医療問題ワーキングチーム救急医療作業部会の活動
2001年07月04日
■医療問題WT救急医療作業部会(主査・武正公一 副主査・山井和則)から厚生労働大臣へ以下の申し入れを行った。
平成14年7月4日
厚生労働大臣 坂口 力 様
民主党NC厚生労働大臣 山本孝史
医療問題ワーキングチーム座長 今井 澄
救急医療作業部会 主査 武正公一
副主査 山井和則
「救急救命士の業務拡大」についての申し入れ
我が党では3月から4ヶ月にわたり医療問題ワーキングチーム救急医療担当作業部会(座長:今井澄、主査:武正公一、副主査:山井和則)において、救急医療の現場、救急救命士、関係諸機関よりヒアリングを行い、考え方をまとめたので、早急に救急救命士の業務拡大を図ることを申し入れる。
1. 基本的な考え方
- 欧米に比べてはるかに低い病院外心肺停止患者の救命率を向上させるために平成3年(1991年)救急救命士法が制定された。しかし、11年経った今日でも欧米と比べてはるかに救命率が低く、今後さらなるプレホスピタルケアの充実が望まれるところである。
- 救命効果検証委員会(平成9年6月~平成13年3月)では「今後、更なる救命効果の向上を図るためには、気管挿管とエピネフリン等の薬剤の投与などの救急救命士の処置範囲を拡大し、発症後早期の傷病者の心拍再開を得られるような体制にする必要がある」と結論づけられている。そのため今後は早期に具体的な実施体制の検討えを行い、結論を得る必要がある。
2. 特定行為(除細動・気管挿管・薬剤投与)について
- 現在検討会において議論されている特定行為(除細動・気管挿管・薬剤投与)について考え方を述べる。
- 業務拡大にあたってはメディカルコントロール体制の早急な整備が前提である。
- メディカルコントロール体制整備において必要な救急救命士の生涯教育・再教育等の研修体制及び事後検証体制を早急に整備する必要がある。
- メディカルコントロール体制の整備については医療圏等にとらわれず地域の枠を越えて、限られた医療資源を有効に活用しながら進めていくべきである。
- 拡大された業務における事故等の責任の所在についても明確にする必要がある。
(1)<除細動>医師の指示なし除細動を早急に認める
- 事後検証体制、実施マニュアル(プロトコル)などメディカルコントロール体制の整備を図りつつ、医師の指示なし除細動を早急に実施されるべきである。
(2)<気管挿管>条件付きで気管挿管を認める
- 既存の器具(ラリンゲアルマスク・食道閉鎖式エアウェイ)での気道確保が困難な症例に対して適応・禁忌を明示した実施マニュアル(プロトコル)を作成し、医師の指示の下で気管挿管を実施できるようにすべきである。
- 医師の指導下において、更に必要十分な研修を終えた救急救命士に限り、気管挿管を認める。研修の際、患者への包括的なインフォームドコンセントが必要である。
(3)<薬剤投与>条件付きで必要最小限の薬剤の投与を認める
- 救命に必要な不整脈の除去、血圧の上昇などの薬理作用がある必要最小限の薬剤投与を医師の指示の下に認めるべきである。
- 薬剤を使用するには高度な知識が必要であるので、諸外国のパラメディックの薬剤使用状況を参考にし、投与に対しての実施マニュアル(プロトコル)を定めるべきである。
- 薬剤投与に関しては、気管挿管と同様に、更に必要十分な研修を終えた救急救命士に限り認めるべきである。
3. 教育研修・事後検証について
- 医療提供者及び救急救命士隊、相互に搬送後の情報提供を行い、救急医療の向上を図るべきである。
- 研修体制、事後検証体制が整った救命救急士隊から拡大された業務を実施していくべきである。
4. 今後の課題
- プレホスピタルケアとホスピタルケアの救急医療全体を考えた救急医療体制に関わる法整備も検討していく必要がある。
- 今後、二次救命処置(ACLS)のガイドラインを確立し、医師、看護婦を含めた教育システムを作るべきである。
- バイスタンダー(一般市民)に対しても心肺蘇生法を普及させ、除細動等の行為ができるようにすべきである。
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