【総務委員会】 地方交付税法改正案について

2002年03月05日

武正委員
地方税法、地方交付税法改正につきまして質疑をさせていただきます。民主党、武正公一でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  
もう既に総務大臣からはお話がございますが、まず第一に、平成十四年度予算で交付税特会からの借り入れをなくすというふうに、ちょうど一年前のこの地方交付税法の質疑で明言をされた総務大臣でございますが、今回、八分の一ずつ国と地方の借り入れを残した理由、これがいわゆる国債発行額三十兆円枠の堅持のためなのか。
そして、そもそも交付税改革を三年以内で行うことを前提に、十三、十四、十五ということでの赤字地方債発行ではなかったのか。果たして、これで来年度、先ほども総務大臣はゼロにするというふうに言われましたが、交付税特会借り入れゼロにできるのかどうか。  
以上、総務大臣並びに財務省にお聞きをいたします。

■片山国務大臣
確かに去年の総務委員会で、十三年度の地方交付税法改正の御議論の際に、私は、これは当時の宮澤大蔵大臣と私の方で合意をしまして、二カ年で交付税特会借り入れはなくします、十四年度でなくしますということを申し上げたことは、確かにそのとおりでございます。  
ただ、その後、いろいろ予算編成で財務省と協議をしてみまして、我々が思ったより大変財源不足額が多額に上がる、想定よりも相当多額に上がるということもありましたし、もしそれでやりますと、地方の方は赤字地方債の発行が三倍になる。十三年度の赤字地方債に比べて十四年度は三倍になる。
三倍はちょっときついという意見が地方の財政関係者からもありまして、また、国の方は一般会計の調達でございまして、これは私の方がとやかく言うことではありませんが、国債発行三十兆円という一つの枠もある。こういうことを考えまして、財務省と相談しまして、半分だけやろうと。
残りの四分の一は平成十五年度に解消することにして、十五年度からは交付税特会の借り入れはなくしよう、こういうことの相談をいたしたわけでございます。  
その間、おまえの方は見通しが大変甘いのではないかというと、景気やあれについての見通しが、そういうことがあったということは率直に認めなければなりませんけれども、税万般の事情をぜひ御理解賜りたい、こういうふうに思っております。

■牧野政府参考人
お答えいたします。  
ただいま総務大臣から御答弁があったとおりでございますが、我々も、非常に財政事情が厳しいという中で、国税、地方税が大きく落ち込みまして財源不足が拡大するという状況にあります。  
その中で、特会借り入れを解消しようといたしますと、さらに交付税を削減するということが必要になりますが、そういったことは地方財政の運営に支障を来すという事情もございますし、それから、特会借り入れを解消して赤字地方債で賄おうとすれば、その発行額が三倍にも膨張する、そういった事情もございまして、残念ながら、二分の一から四分の一に借り入れ幅を圧縮するということで、財政の透明化に一歩進んだわけでございますが、一部は残さざるを得なかったということでございます。  
十五年度はどうかということでございますが、これは、財政の透明性を確保するということは非常に重要なことでございますので、十五年度におきまして交付税特会借り入れが解消できますように、国、地方が協力しながら引き続き取り組んでまいりたいと思っております。

武正委員
赤字地方債が三倍になるから問題だ、さらにまた財源不足が予想以上だった、これは理由になっていないと思うのですね。  
税収不足あるいは財源不足、これについてはやはり予想の範囲といったことも言われますし、あとは、赤字地方債は、特会からの借り入れは要は際限がない、国、地方の負担を明確にしよう、赤字地方債で明らかにしようということで言っていたわけですから、三倍になろうと、これははっきりと、三倍なら三倍、それだけ地方財政は大変なのだということが昨年の大臣の発言であったのではないですか。  
これについてはもう一度、大臣、御答弁をお願いいたします。

■片山国務大臣
我々も、交付税特会の透明性、それから地方全体で責任を持ってもらうという意味で、借り入れ方式をやめて、半分が赤字地方債、半分が一般会計加算、これは正しいと思っております。ただしかし現実に、委員、三倍になるといいますと、それは発行する方も大変でございますし、そこのところはなかなか理屈どおりにいかないところがあるな、こういうように思います。  
地方団体の意見も聞いたのです。倍ぐらいなら我慢しますと、もともと予定しておったのだから。十三年度から予定しておったのだから倍ぐらいは、ただ三倍はちょっときつい、こういう意見もありまして、そこで、御承知のように、四分の一だけ借り入れを残したわけでございます。  
そういう意味では事情が変わったということで、その事情が変わったことについての見方が甘いと言われれば、私はもう甘んじて受けなければならないと思いますけれども、再来年度はぜひ本来の、三年の約束で交付税制度の見直しをやったわけでありますから、十五年度は最終年度でございますので、再来年度には特会借り入れは解消いたしたい、こういうふうに改めて今決意いたしております。

武正委員
赤字地方債、三倍で大変だというお話ですが、後ほど触れますけれども、地方債は今人気なのですよね、大変買い手市場ということで。ただ、これが問題だということは改めて指摘をさせていただきますが、そういった事情と、三倍ということでは四兆円ということですかね。ただ、もう百九十兆円も発行しているのですよね。百九十兆円も地方債をこれまでどんどんと膨らませてきて、特にこの十年間で地方の借金を三倍にしながら、ここで三倍にするのは問題だというのは到底理解できないわけであります。  
地方の財政が厳しいことを明らかにすべしということで赤字地方債を取り入れながら、それが、一兆が四兆弱になるのが大変だというのは、やはり国債三十兆円枠の堅持という、この大命題があるがゆえに、総務省としては譲ったということではないでしょうか。いかがでしょうか、大臣。

■片山国務大臣
赤字地方債というのは今まで地方財政法上認めなかったのですよ。十三年度から認めようということにしたので、これは普通の地方債と同じだから、もう二倍も三倍も四倍も一緒だということには、私はちょっとそこは、地方の財政の関係者からいうとなかなかならないのではなかろうか。なだらかにふえていくならともかくも、一挙に三倍ということについてのいろいろなお考えがあったと私は思います。  
それから国の方のことは、余り言いますと牧野次長は困りますので、私はなるべく言わないようにしているのですが、言われるとおり、三十兆円と全く関係がないかというと、それはあります。

武正委員
三十兆円枠と関係があるというふうに認めていただきました。  
さて、赤字地方債は違うのだというお話なのですが、だからこそ私も去年、赤字地方債は国の赤字国債と同じにならないですねというふうに質問したのですね。それで、それは違うのだと。三年に限ってということを大臣は明言されたわけです。だから、そういったことでいえば、今回、一兆が四兆であっても、来年で終わりなんですよ、赤字地方債の発行は。だからそれは、そこを明らかにすべきなんです。  
それを大臣、もごもごというふうに言われましたけれども、来年で交付税改革、そしてこの交付税特会の借り入れゼロに本当にできるのですか。もう一度明言をお願いいたします。

■片山国務大臣
しかし、世の中、何が起こ るかわかりませんからね。それはあれでございますが、我々としては、現時点ではゼロにしようと思っております。

武正委員
昨年、ゼロにしようというふうに明言をされたのですが、今回八分の一、両方足して四分の一借り入れをしていると。今、思っていますということで、甚だ弱いなといったところでありまして、到底そういった答弁は認めることができない。去年赤字地方債を導入したときのあの明言と、交付税改革を三年でやるんだ、そして景気を回復する、これはもう三年以内でできるんだというような力強い発言もあったわけでありますから、やはり今回の、赤字地方債を抑え交付税借り入れをしたのは問題であるということを改めて指摘させていただきます。  
さて、第八回経済財政諮問会議で、本間議員が三十兆円枠について発言をされております。これを読みますと、「三十兆円に国債の制限 をして地方債で増大させることは技術的には可能だろうが、非常にクレディビリティーに欠ける。国債の上限と、地方債の上限 をリンクさせ、国と地方が併せて合理化をしていくスタンスを国民に見せることが必要。」ということで、国債を三十兆円で抑え て、そのかわり地方債の発行をしてはいけないよといったことを、本間議員は大臣も御出席の諮問会議第八回で指摘をされたわけ でありますが、この発言について、今回の平成十四年度予算、改めてどのような見解で今回の予算を組まれたのか、本間議員の発言 と絡めて御答弁をお願いいたします。これは総務大臣、財務省、お願いいたします。

■片山国務大臣
本間議員が今委員が読まれましたような発言をされたことは私も聞いておりますし、私自身も、表現は違いますけれどもそういう趣旨のことを、そのときか別のときかはわかりませんけれども、言ったことを覚えております。やはり、国債が三十兆円という節度を設けるのなら、地方債についても節度が必要ではなかろうかと。
ただ、地方債の場合には、委員、赤字は十三年度初めて出したわけでございますので、国の場合にはもう赤字はかなり前から出しておりまして、そういう関係もあると思いますけれども、考え方としては、やはり地方債にも一定の節度を持つようなことは考えていくべきだと。
ただ、地方債というのは、先ほども言いましたように三千三百の地方団体の財政の総和でございますから、国のような単一の財政体じゃありませんから難しさはありますけれども、我々はそういうつもりで今地方債計画等を策定いたしておるわけであります。

■牧野政府参考人
お答えいたします。平成十四年度の地方財政計画の策定におきましては、地方税収や地方交付税の原資となる国税収入が大幅に落ち込みまして、そのために国と地方が折半して補てんする財源不足が大幅に拡大いたしました。このために、地方の特例地方債が大幅に増加いたしまして、地方債総額も増加することになったわけでございます。
ただ、申し上げておきたいことは、国も折半分として、国債を財源といたしまして一般会計繰り入れを行っております。そういう意味で、地方債を一方的に増大させたということでないことだけは御理解いただきたいと思っております。  
それから、本間議員の御発言についてでございますが、この点につきましては今総務大臣からお答えがあったとおりでございますが、今後とも、国、地方を通じまして、借金に依存しない財政運営が望ましいということでございますので、現在非常に景気情勢等でやむを得ない面はございますけれども、できるだけ財政の効率化を図って収支ギャップを縮小していきたいと考えております。

武正委員
先ほど同僚委員の質問に対して総務大臣は、交付税は八千四十九億円減だ、ただ、いわゆる赤字地方債、臨対債を合わせると九千七百二十四億円、二十二兆七千七百十億円しっかりと確保したよ、地方に迷惑かけないよというようなことを言われたんですが、これでは、先ほど来財務省さんも言っておられる、そしてまた昨年の骨太の方針でも示した地方交付税を減らすということ、これは結局赤字地方債を足して約一兆円ふえているではないかといったことであります。
単に、財務省さんの発言のように、三十兆円の枠を守るために赤字地方債の額が減っただけであって、交付税特会の借り入れをやっている。そして、この赤字地方債と交付税総額は、骨太の方針や地方分権推進計画の報告にあるような地方交付税を減らすといったことはせずに、結局は赤字地方債を合わせてふやしていると。  
この点について、総務大臣の御見解、結局は特会借り入れを残したのでそのかわりなのかといったことがあるわけなんですけれども、この点についての御答弁をお願いいたします。

■片山国務大臣
交付税制度の見直しは、骨太方針や三十兆の前ですよね。これは平成十二年十二月の十三年度予算編成のときに、当時の宮澤大蔵大臣と、私も自治大臣でございましたけれども、自治大臣との間の合意で、三年で交付税制度をとりあえず見直しましょう、そのうちの二年で交付税特会の借り入れはなくしましょう、こういうことを決めたわけでございますから、三十兆なり骨太方針が念頭にあってこういうことを決めたわけじゃございませんので、そこのところは御理解をいただきたい、こういうふうに思います。  
それと、地方財政計画は初めて、地方財政計画が始まって以来、前の年よりマイナス一・九にいたしたわけでありまして、そういう意味では、補助事業はもとよりでございますが、単独事業も一割カット、経常経費も相当見直す、定数も落とす、給与も落とす、ラスパイレス指数のことですけれども。
そういうことをやりましてこれだけの地方財政計画の規模を固めまして、そのための財源として、交付税と赤字地方債で二十二兆七千七百億円確保いたしたわけであります。  
地方財政計画が想定している標準的な地方団体の財政運営については、この交付税と赤字地方債で財源補てんができた、私はこういうふうに考えて、せんだっての質問の方にも申し上げたわけであります。

武正委員
交付税改革、そしてまた地方の税財源の移譲ということも、先ほど来閣議決定ということでお話がありましたが、やはり交付税を減らしていくんだというのがこれの方向ですよね。  
これについては塩川財務大臣も、そのために基準財政需要額を一兆円減らしてくれと。あのときに片山大臣がかみつきまして、交付税額一兆円減とは首相もあるいは財務大臣も言っていないよと。それで、慌てて塩川財務大臣は、基準財政額を一兆円ほど減らしてもらって、それに対する地方財政計画を編成してもらう、こういった答弁をされているわけなんですね。
塩川財務大臣に言わせれば、国債を三十兆円でとめなきゃならない、そのためには三兆三千億円どこかでカットしなきゃならない。であるから、国の方で二兆円ばかり、地方で一兆円を負う形ということを今年度発言されているわけなんですね。  
そういった中で、今地方財政計画は減らしているよと、一・六兆。それから地方一般歳出二・二兆、地方単独事業一・七五兆減らしましたよ、地方交付税総額も八千四十九億円減らしましたよと。しかしながら、いわゆる赤字地方債と交付税を足した額は一兆円ふやした、これで地方に迷惑はかけないよと。これがやはり矛盾したように私は感じてならないんですね。  
それと、その裏づけになるのが、やはり地方債の総額を七千三百八十六億円ふやしていることなんですね。これについては、次の質問で再度取り上げてまいりたいと思います。  それでは財務省さんに、今四十六兆円になりました交付税特会の借り入れは、財投の改革によって市中から借り入れを入札等で行うようなやり方を平成十三年度からやっておられると聞いておりますが、どのようにこの交付税特会の借り入れを市中から行っているのか、御説明をお願いいたします。

■寺澤政府参考人
お答えいたします。  
交付税特別会計の市中からの借り入れにつきましては、借入利率を競争入札に付す、いわゆるコンベンショナル方式によりまして借り入れを行っております。これは平成十二年の七月から実施しているところでございます。なお、入札事務につきましては、十三年六月からインターネットによるシステムを使用して実施しているところでございます。現在、原則といたしまして週一回入札を実施しておりまして、市場の動向等を見きわめつつ入札を行っているところでございます。  
入札の状況を簡単に申し上げますと、約二倍程度の応募倍率がございまして、順調に借り入れが進んでいると認識しているところでございます。

武正委員
二倍ということでありますが、これが一倍を切ったのが、平成十三年九月二十一日から二十八日のときに〇・九三倍といったことがありました。最近は二倍ということで、今は国債の人気が高いわけですね。ペイオフを前にして、またお金の使い道がなかなかないということで、国債、地方債、大変人気が高い。後で触れますが、ペイオフ解禁を前にして、地方公共団体が他の団体の地方債を買っているんではないか、こんな話もあるわけなんですね。  
さて、今人気が大変高い交付税特会、大変いいというふうにも言えますが、これは国の十六兆円分だけ入札をやっていて、地方の三十兆円分については財政融資資金ですか、そこから借り入れている、地方の三十兆円は入札をやっていないということを聞いております。この点についてはもう一度御答弁をお願いいたします。また、なぜなのか。国だけ十六兆円入札をやって、なぜ地方はやっていないのか。

■寺澤政府参考人
お答えをいたします。  
平成十二年度予算編成のときに民間借り入れを導入したわけでございますが、そのときの考え方は 、当時、十二年度の資金運用部の原資の状況は郵貯の集中満期を見込んで非常に厳しいという状況がござい ましたので、従来からの資金運用部からの借り入れに加えまして新たに民間からの借り入れを導入すること にしたということで、基本的には新規の借入金について民間から入札により調達をするということで、既存 のものにつきましては、現在、財政融資資金と言っていましたが、財政融資資金から引き続き貸しているということでございます。

武正委員
地方分も新規の借り入れがあるんじゃないでしょうか。それをなぜ入札にしないんでしょうか。

■寺澤政府参考人
お答えいたします。  
新規の借り入れの負担が地方か国かということとは関係ございませんで、特会の新規の借り入れについて 入札で行い、既存のものは財政融資資金で引き続き融資をしているということでございます。

武正委員
ちょっときょうは日銀の方は来ておりませんけれども、日銀の方にお聞きいたしますと、入札を行っているのは国の十六兆円であって、地方は財政融資資金であるというようなことを私は聞いております。  
次に移らせていただきます。  
景気回復による国、地方の税収増、あるいは地方行財政改革を含めての歳出減、地方税財源の国、地方再配分、これは総務大臣の御答弁なんですが、いわゆる交付税特別会計借入金を償還できるのかどうかといったことについて、引き続き述べますと、これをプラスにしないと、今の償還計画どおりで巨額な交付税特会の借り入れの償還は大変かなと思っていますから、総合的な戦略でこの返済を推進したいということを昨年述べておられるんです。  
この交付税特会の償還について、総務大臣として、これは法律に明記をされておりますが、なかなかこ の償還計画どおりでは大変なんだということを総務大臣は述べておられますが、赤字地方債を発行し、また 交付税特会からの借り入れを行った平成十四年度予算を今審議中でありますが、改めて、その自信ありという御答弁をお願いいたします。

■片山国務大臣
交付税特会の借入金の残高は、今お話しのように四十六兆一千億で、地方負担分が三十兆三千億になる見込みでございます。このうち、国の負担分は平成三十年度までに返す、償還してもらう、地方負担分は平成三十八年度分までそれぞれ法律に基づく年次計画によりまして、法律に書いておりますからね、これによって償還していくことになっております。  
それだけの、法律に書いてあるけれども、償還に必要な財源の確保をどうするんだ、こういう ことでございますが、これは毎年度の地方財政計画の策定を通じてその財源を確保していきたい、法 律による義務づけでございますから、これは確保させてもらう。こういうことでございますけれども、それはそれで 置いておいて、基本的には、この巨額の借り入れそのものは、やはり景気の回復、経済の活性化、地方行財政、国の 行政とあわせての簡素合理化、さらには、何度も私は申し上げておりますけれども、税源移譲による地方税財政基盤の強 化、こういう総合的な対応によって償還していきたい、こういうことであります。

武正委員
やはりなかなか明確な御答弁は得られないところが大変つらいところかなと思っておりまして、やはり交付税改革を三年で思い切ってやらないとこれもだめなんですよね。ですから、もうあと一年しかないわけなんですけれども、果たして本当に三年で、集中期間、構造改革もこの集中期間でありますが、思い切った改革をやらなければならないということで、今回さまざまな改革がありますが、もっともっと大胆にやらなければ交付税特会の償還も今のままでは難しいんではないかといった感想を持つわけであります。  
さて、財務省にお聞きしたいんですが、そもそもこの交付税交付金総額はどのように決まっているのか。 あわせて、大臣が、税財源の移譲、国対地方が六対四、これは実際支出面は四対六だからせめて五対五にしたい、 これを何度も言っておられるんですが、実は税財源の移譲を行うと交付税が減るという相関関係にあるという話があ るんですけれども、これもやはりきちっと押さえておかなければならないポイントだと思うんです。財務省さんに以 上二点についてお聞かせをいただきたいと思います。

■牧野政府参考人
お答えいたします。  
まず、交付税交付金の総額はどのように決まるかでございますが、地方交付税の総額は、予算編成過程におきまして、地方財政計画の策定作業を通じて地方の財源不足額が出てまいりまして、それに対応して決定されております。  
もうちょっと具体的に申し上げますと、平成十四年度におきましては、地方財政収支上大幅な財源不足が見込まれましたので、国税の一定割合としての法定の交付税額、これが十二兆六千四百四十八億でございますが、これに加えまして、国、地方折半による財源補てん措置としての一般会計繰り入れ等を行いまして交付税総額の増額の措置を行いまして、地方財政計画上の地方交付税総額を十九兆五千四百四十九億としたところでございます。  
それから、もう一点、税源移譲と交付税の関係という御質問でございますが、仮にでございますが、現行の制度を前提といたしまして、地方税が増収になった、そういう仮定を置きますと、それで地方の歳出が一定であるならば、地方の財源不足は縮小いたしますので、地方交付税の総額は減少することとなります。  
ただ、税源配分のあり方の見直しといいますのは、それ単独で取り組むべき問題とは考えておりませんで、 骨太の方針にもございますが、地方行財政の効率化を前提としまして、国と地方の役割分担の見直しを踏まえ、 国庫補助負担金の整理合理化や地方交付税のあり方の見直しとともに、根本から検討していく必要があるとされておりまして、 そういう総合的な地方行財政改革の一環として取り組むべきものと考えております。単純に税財源の移譲だけを仮定しま して交付税総額がどうなるということをお示しするのは困難だと考えております。

武正委員
単純に示すのは困難だと言いながら、先ほどの前段ではやはり相関関係にあるということをお認めになられましたが、 総務大臣、今のことをお聞きになって、やはり税財源の移譲をしたら交付税総額が減るんだと。
これでは、税財源の移譲 をしようといったら、地方の、まあ、それは自分でお金を集めよう、そういった自主財源をふやしていく、これはいいこ となんですが、結局交付税が減っていくというこの相関関係にあると、地方とすると、では、どうなのかなというふうに 思うと思うんですが、これは総務大臣としてはいかがお考えですか。

■片山国務大臣
私が言っておりますのは、今の公の収入、税は、国が六〇、地方が四〇で分けている、仕事は、今の役割分担でいきますと、大体地方が六五やって国が三五をやっている、こう言っているんですよ。四〇しか収入のないものが六五の支出を受け持っているんですから、二五は国から流れてくるので、それが地方交付税と国庫支出金だ、補助金ですね。だから、五〇対五〇にしても、地方が今の役割分担で六五の仕事をしていれば一五は国から流れてくるんですよ。それを交付税にするか、国庫支出金にするか、その辺は総合的に考えないといけません。  
だから、トータルとしては地方の取り分は変わらないんじゃないか、変わりません。地方税になるということが地方の自主性強化、自立性強化のためには必要だ。依存財源である交付税や、さらに依存の上にひもがついている補助金よりも、自前の地方税のウエートを高めていく、こういうことが必要だ、こう言っているのです。
だから、国と地方の、今の六五対三五を見直すということは必要かもしれませんよ、 地方が七〇にして国を三〇にするとかあるいは国をもう少しふやすとか。
それは、これからの今の事務配分、 権限移譲を含めての総合的な議論の中で結論を出していくことで、主計局次長が言っているのも、私の言うこ ととそうは変わっていない。ただ、どっちかというと国の立場で言っていますから、私はどっちかというと地 方の立場で言っていますから、それだけの違いでございます。

武正委員
総務大臣も国の立場だというふうに思うんです。  
今のお話なんですけれども、総額は変わらない、要は、税財源の移譲を行って交付税を減らすんだといったことですよね。 (片山国務大臣「国庫支出金」と呼ぶ)国庫支出金、さっき交付税と言われましたけれども。交付税を減らすということでよろしいんですか。

■片山国務大臣
今の役割分担を変えないという前提ですよ、武正委員。国と地方の役割分担を変えないで、 私は、地方税のウエートを高めていく、今のように四〇を五〇にしていくと。まず減らすのは国庫支出金なんですよ、 まず減らすのは。
しかし、国庫支出金の中でもどうしても残さなきゃいかぬものがありますから、そういうものを残した残りは 地方交付税、こういうことになるわけです。減らす順番は国庫支出金、地方交付税、ふやすのは地方税、こういうことでございます。

武正委員
ことし閣議決定で税財源の移譲が言われているわけですから、そして三年以内に交付税改革をやるんですから、 そうすると、地方交付税を減らしていく、国庫支出金を減らしていくといったことだと思いますので、平成十四年度、 八千億余を減らしたけれども、果たしてこれで、十四年度で、最終年として交付税改革は十分なのかどうかといったところだというふうに思うんですね。 時間が限りがありますので先を急ぎます。
ここで総務副大臣にお聞かせをいただきたいんですが、特別地方交付税、一兆余あります。十二月とか三月で、各地方自治体が大変お金がない、 ある面厳しいなといったときに配賦をされる大変ありがたい特別地方交付税と聞いております。これが、東京都以外、全自治体に配賦をされる。 これが、交付税法第一条との関係で果たしてどうなのかなといったことも言われているんです。
しかも、これが法律で明記をされているのではなくて、 交付基準はすべて省令であるといったことも、やはり大変不透明な、あるいは恣意的な配賦が行われているのではないかと言われるこの特別地方交付税、 省令から法律に書き込むべきではないか。これについて、総務副大臣の御意見を伺いたいと思います。

■若松副大臣
武正委員の御質問ですが、まず特別交付税の役割とでも申しましょうか、いわゆる普通交付税の大変画一的な算定方法で通常捕捉されない、予定されない特別な財政需要を算定の対象としているということで、御存じのように、例えばことしですと、鹿児島県の大浦町にたくさんの鯨が陸揚げというんでしょうか、あの処理というのは大変お金がかかるんですね。
そういう、次から次へと、当初予定されない事象が起こるわけでありまして、そういう特殊な需要に対してどう対応するか、こういった観点からこの特別交付税が今運営されているわけであります。  
そういうことで、平成十三年度におきましては、池田小学校事件を踏まえて公立学校への緊急安全対策経費とか、またBSE対策、こういった経費を新たに算定の対象にするということで、毎年毎年、動いている、その中でも大きな変化がある、それをタイムリーに反映するには、正直言って法律というのはかなり窮屈ではないかな、そう私どもは理解しております。  
しかし、この特別交付税の性格からもやはり省令という、いずれにしてもはっきりと出るわけですけれども、やはり透明性というのは、ま た客観性というものは非常に重要な観点ではありますので、この点は、今後も総務省としてしっかり対処してまいりたいと考えております。

武正委員
先ほど触れました交付税法第一条は、この法律は、財源の均衡化を図り、並びに地方行政の計画的な運営を保障と。東京都以外のいわゆる不交付団体、大変豊かな団体にも、この特別地方交付税が配られている。果たして、これが財源の均衡化を図ることになるのかという疑問があります。やはり透明性を図る意味でも、特別地方交付税は法律に、さまざまな指標、基準は盛り込むべきというふうなことを申し上げて、次に移らせていただきます。  
さて、今回の地方交付税法の法案でありますが、単位費用についてちょっとお聞きをしたいと思います。  
単位費用で見てまいりますと、都道府県と市町村で一〇%以上伸びたりあるいは下がっているところをラインマークしていくんですね。そうすると、まず、都道府県も市町村も、河川の延長の投資経費が都道府県で一五・二%、河川は市町村にはありませんね。それから、港湾費が、港湾の外郭施設の延長投資経費が一〇%伸び、市町村も同じということであります。河川、港湾、これは国の事業費も年々下がっているわけなんですね。
港湾整備事業費は平成八年度六千九百九十五億が平成十三年度六千十五億、河川事業費は平成八年度一兆一千二百十二億が平成十四年度に至っては九千四百十億ということで、下がっているんですね。これだけ下がっている。並びに、それこそ昨年の塩川財務大臣の発言でいえば、物価が下がっているんだから基準財政需要額の単位費用が下がっていいんじゃないの、それで一兆円減らしてくれよというような発言があった中で、なぜ河川と港湾の基準財政需要額の単位費用が上がっているのか不思議でならない。  
さっき伸びたり縮んだりと、同僚委員からお話がありましたよね。私は大変いい質問だなというふうに思っておるんですけれども、本当に基準財政需要額が伸びたり縮んだり、結局、何か数字合わせをしているんじゃないかということなんですね。これが典型的なのが単位費用の河川と港湾、伸びているわけなんですね。  あわせて、人口は急減をしているんですね。六十五歳以上あるいは七十歳以上の人口を取り入れるもの、この単位費用は七〇%とか、三〇%、五〇%、伸び率が下がっている。これらの理由をお聞かせいただきたい。  
また、警察官と消防署、警察官の警察費、それから市町村にあっては消防費、この単位ですね。 警察費は、その基準財政需要額の算定、警察職員数に単位費用を掛けるんですね。ところが、で は市町村の消防費は消防官の数に単位費用を掛けるのかというと、消防費は、人口に単位費用を 掛けているんですね。警察費と消防費、単位費用はあったとしても、どうしてこう掛けるべき対象が警察官数と人口で違うのか。 これも不思議でわからないんですね。これをちょっとあわせて御説明をいただけますでしょうか。

■林政府参考人
お答えをさせていただきます。  御提案を申し上げています法律の中にございます単位費用の単価の動きについての御質問でございますが、基本的には標準的な経費を算定するための基礎として単位費用を定めるものでございますので、物価等にスライドをするものが基本でございますが、ただ、御指摘をいただきましたものにつきましては、本年度の地方財政対策の変更等に伴う結果といたして変化が出ておりますので、多少御説明をさせていただきます。  
まず、河川費等について御質問がございました。  
これは、交付税改革の中で事業費補正の見直しをすることにいたしておりますが、それと関係するものでございまして、事業費補正の見直しに伴いまして、公共事業の地方債の充当率、従来九五%といたしておりましたが、それを九〇%に引き下げたことに伴い、当該年度に一般財源として支出する部分が増加することになるわけでございまして、これによりまして単位費用を増加させる必要があるということで、御指摘いただきましたように、例えば都道府県の土木費の河川費につきましては、事業費補正の見直しによりまして、単位費用が一五・二%伸びる、こういうような形になっております。河川費であるとか港湾費は、その理由であります。  
それから、一番大きな増加理由になっておりますが、臨時財政対策債、先ほど来御議論いただいておりますが、臨時財政対策債の発行額が、平成十三年度一・四兆円でございましたが、これが三・二兆円に増加することになりまして、これに伴いまして基準財政需要額からの振りかえ額が増加することになりますので、関連する単位費用につきましてはこれが減少をしていく、こういうことになるわけでございまして、その他の土木費であるとか企画振興費につきましてそのような単位費用の変更を御提案申し上げているわけであります。  
それから、測定単位で、人口についても御指摘がございました。  
実は、これは交付税の算定に用いております人口が国調人口の置きかえをする必要が出てまいっております。現在、平成十四年度から測定単位の数値といたしまして六十五歳以上の人口を用いることにいたしているわけでありますが、従来の、平成七年の国調の調査数値を平成十二年の国調の数値に置きかえてまいりますと、六十五歳以上人口が二〇%増加をするということになりますので、全国的な標準的な経費を算定する際の基礎となります単位費用につきましては、逆にそれに見合った減少をさせなければならないということで、減少いたしているわけであります。  それから、警察費と消防費についての御質問がございました。  
私ども、測定単位を定めます場合に、確かに警察費につきましては警察職員数を、また消防費につきましては人口を用いております。何を測定単位とするかということを考えます場合に、私ども、地方行政の種類ごとはもちろんでありますが、当該行政に要する経費の多寡を最も的確かつ合理的に反映するものを用いることといたしております。つまり、財政需要との間に高い相関関係があることが一つでありますし、また、用いる数値は、客観性があって公信性の高いものを用いる必要があります。  
以上の二つの条件を満たすものを探しているわけでありますが、警察費につきましては警察職員数といたしておりますのは、警察に係る財政需要と警察職員数との間に高い相関関係がございますし、また、御案内のように、その数値は政令定数となっているということで、公信性があるので、それを用いております。  
なお、消防費につきましては、消防職員につきましてそのような政令定数のようなものはございません。 ただ、消防力の基準におきまして一つの考え方が示されてございますが、その数値は地方団体によりまちまちでございまして、 全国的な客観性あるいは公信性のあるものとしては用いることができないのではないかということで、消防関係の財政需要と相関関係が あると考えられております人口を採用いたしているところでございます。

武正委員
総務大臣、とにかくこれは複雑で、非常にわかりにくい。要は、今の人口の測定単位の費用が減った理由が、臨対債に振りかえていたのが原因だと。各費目の、その他とか企画振興費とかいった費目の実態があやふやなものを合計で約一兆七千三百七十億、県と市町村合わせて減らしているんですよね。
こういった、何か、ふやしたり減らしたり、しかも河川や港湾の事業費がどんどん下がっているのに単位費用だけ上げていく。  
確かに、これは単位費用を上げろと都道府県から随分要望が出ているんですね。人口の要件はもっと減らしてくれと。 これは私は、人口の要件を減らしていくというのは逆じゃないかなというふうに思うんです。
ある面、やはり人口とか面積とか 、もっと単純化していいと昨年も申しましたが、そういったことについて、再度、総務大臣、交付税改革を来年度でやるんだ、 三年でやるんだという中で、基準財政需要額の算定の単位費用をもっともっとシンプルにすべきだろうと考えますが、いかがでしょうか。

■片山国務大臣
日本の交付税制度は世界で一番精緻だといって半分は褒められているんですよ、半分はやはり冷やかされているというようなところがあると私は思いますが。長い間、地方財政平衡交付金が地方交付税になってきてからもう四十年近くなるんですよね、三十何年。
その中で、私は大変精緻な仕組みになってきたと思うんだけれども、しかし、もっとわかりやすくした方がいいですね。透明にした方がいい、簡素にした方がいい。そういう意味では、今できるだけ簡素化を心がけておるんですけれども、しかし、やはり限界がありますね、今もらっているところが大幅に変動するようじゃみんな文句を言うから。  
そうなんですよ。基本は人口と面積ですよ。しかし、人口や面積だけでは把握できませんよね、今の話のように。例えば福祉や介護なんというと、人口じゃないんですね。お年寄りの数が、介護を要する人がどのくらいおるか、こういうことですね。教育でいうと、人口じゃなくて、子供さんがどのくらいおるか、こういう議論になるので、そこは委員の御心配も我々はよくわかっておりますから、それはしっかり受けとめて簡素化にさらに努力していきたいと思います。
ただ、今回は、交付税が今、赤字地方債だとかいろいろな地方債の制度とリンクしていますから、この辺が単位費用が、 いわゆる基準財政需要との出入りが非常にあるわけですね。起債に振りかえる、起債から交付税に返す、こういう点がありますか らちょっとわかりにくくなっておりますけれども、ぜひ交付税制度改革の一環としてさらなる簡素化を進めてまいりたい、こう思っ ておりまして、補正についてもいろいろ今簡素化する努力をいたしておりますので、ぜひ御理解を賜りたいと思います。

武正委員
もうあと一年しかないわけでありますから、もっともっと大胆に変えていかなければならない。そのときに、先ほど話したように、三十兆円枠という歯どめが一つあったり、交付税特会の借り入れをしてしまったり、そしてまた基準財政需要額を減らしてその振りかえに臨対債を発行というような形で、ちっとも、交付税改革、あるいは国と地方のともに改革をするんだといったところが逆に後退をしているんではないかということを改めて指摘をしたいと思います。  
さて、地方単独事業、これは予算と実態の乖離が四兆円とか五兆円とか、地方自治体は、もう地方単独事業はできません、地方債の発行はもうできません、平成三年から十年で地方債は三倍になっている、もうこれ以上、地方で単独事業をやれ、地方債発行して将来交付税で面倒見るよ、これはもうたまらぬというのが正直なところで、今回はやっと一〇%減らしましたけれども、これでも多過ぎるんじゃないかと。実はこれを十五兆七千五百億円やっているのは地財計画で総額を維持するために、目標を減らしたといっても一〇%しか減らせない、これもやはり構造的な欠陥じゃないかなと思うんですね。  
地財計画で総額を維持するために投資的経費である単独事業の額を下げられない、地方での実際の支出との乖離は四兆円、 五兆円あるのに、またこれをやる。これについて総務大臣の御所見を伺いたいと思います。

■片山国務大臣
地方単独事業については、かねてから大変議論があるところでございまして、バブルの前までは単独事業の方が少なかったんですね、補助事業、公共事業よりも。多いときは倍になったんですよ。それが結局、バブル崩壊後、景気対策で、公共事業には限界があるから地方単独事業をやってくれ、起債の元利償還は交付税で面倒見ましょうということで、地方にやってもらったんですよ。だから、これは、私は地方だけの責任でないと思いますよ。国の責任も半分ある。  
そういうことで、やはりアクション・リアクションで、今、地方団体が、借金をしてまで単独事業をやることには大変憶病になっていますよ 、憶病になっている。しかし、私は、箱物やレジャー関係の投資はやめてもらった方がいいと思うけれども、生活 インフラはこれからやってもらわなければいけません、生活道路だとか、廃棄物の処理だとか、環境関係だとか、 都市計画だとか、下水道だとか。そういうことのためには、場合によっては公共事業、補助事業とリンクしながら 、地方単独事業をやってもらうために、やはりこのくらいの額は地方財政計画上確保しておく必要がある、こうい うふうに思っておりまして、精査をして、いいものをやってもらう。昔は何でもやったんですよ。今は、いいもの だけ精査してぜひやってもらいたい、地方の社会資本の整備をさらに進めてもらいたい、こういうふうに思っております。

武正委員
この十年を総括したときに、地方が悪いという、先ほどそんなお話をしたやに御答弁がありましたが、私はやはり国の責任だと思います。国がもう地方自治体のしりをたたいて、金を使え、物をつくれ、第三セクターつくれと、この十年、景気浮揚だ、雇用創出だと盛んに地方を使って借金をさせた。
これが、やはり国に問題がある、原因があるというふうに言わざるを得ないんですね。  今、地方自治体がそのあおりを食って、財政逼迫でもう大変です。そのときに、まだ十五兆七千五百億円も地方単独事業、そしてまた地方債も今回八千億円弱増額と。また、地方債もさらに発行しなさい、交付税でまた面倒見ますよということをまだ続けている。もっともっと地方単独事業は減らしていいというふうにあえて申させていただきます。  
時間も限られておりますので、本来は総務省に地方債の市場での消化状況を聞きたいんですが、こちらの調べた話では、現状は大変順調だというような話を聞いているんですけれども、実は、これから、いわゆる国債の暴落、そして需給事情が逼迫したときにまず地方債からお金が逃げていく、地方債に金が集まらなくなるということが言われております。  
これについて、今は地方債は、特に縁故債なんかは公募債と違って大変融通の悪い債権ですし、東京都債はあ る程度市場で流通していますが、ほかはなかなか流通性も悪い。こういったことも含めて、地方債の改革というものなしに は、これも絵にかいたもちになる。資金需要が逼迫したときには、国債、そして都道府県債、市町村債、特に市町村債が消化 できなくなっていくんではないかというふうに危惧をするんですが、この点について総務大臣の御所見を伺います。

■若松副大臣
ただいまの地方債の今後の売れ行きの御懸念の件でありますが、この地方債の販売、処分でしょうか、過去をずっと見てまいりますと、当然景気がよくなった時期があったわけでありますが、そういった民間の資金需要が多くなった時期であっても、いわゆる市場公募債が市場で消化されなかったというようなことは、私どもは経験しておりません。また、縁故債による金融機関からの資金調達が行われなかった、こういうことも経験しておりません。そういうことで、将来においても、そんな、委員の御心配には至らないのではないかと私どもは認識しております。  
ただ、やはり、今後の流れといたしましては、市場公募債の拡大は時代の流れでしょうし、 また、いわゆる地域密着型というんですか、住民参加型ミニ市場公募債、いわゆるコミュニティーボンド、 先ほどほかの委員からも御質問がございましたが、こういった個人消化等もやはり進めざるを得ないのではないかと思っております。 地方債の流通性の向上とか資金調達手段の多様化、こういったことにしっかり努めながら、長期的視点に立った民間資金の安定的かつ有利な調達を目指 して頑張ってまいりたいと考えております。

武正委員
今、地方の金融機関がどんどんと破綻をしている中で、状況はもう激変をしている。国債の暴落も近いというふうにも言われているわけですから、今、状況は変わっているということで、副大臣との認識は残念ながら一致をしなかったわけであります。市町村債を共同で発行するなど、さまざまな取り組みが必要だろうというふうに思うわけであります。  
さて、今年度地総債をやめたんですね、約十二兆円ぐらい残高がありますが。ただ、これを見ると、地域活性化事業というのを新たに創設しました。それから、これまでの継続事業分と新規の合併特例事業、防災対策事業、これを合わせると、昨年の地総債の一兆八千六百億とほぼ同額なんですね。だから、結局これは地総債のつけかえではないかなというふうに思うわけなんですね。これは指摘ということで次に移らせていただきます。  
先ほど、個人でというお話なんですけれども、個人で地方債を買ってもらうのもいいんですね。ただ、これが、それぞれの地方自治体自由にということなんですが、国債の場合は変動金利で、しかも途中で国債返して換金ができる、こういうことを考えられているんですが、地方債が固定金利でやった場合は、先ほどの国債暴落や、地方債の買い手がなくなる、地方債の方が先に暴落するといった状況では、地方債を買った人に負担を押しつける結果になるんではないかなというふうに私は危惧をするんです。この点については、これも指摘とさせていただきたいと思います。  
最後、これはちゃんと聞かせていただきます。  
小樽市で、チームティーチングや少数人数の学級編制といったことで教員の加算配置をやった。ところが、小樽市ではその先生を適正にそういったチームティーチングや少人数学級の方に充てないで、ほかの形で分散をさせてしまったということが地元の市議会で取り上げられている。  
これについて、文科省さん、総務省さん、文科省さんについては国庫負担金について、そして総務省さんについては地方交付税について、 どのようにこの小樽市の実態を把握され、どのような方策をとろうとされているのか、御答弁をお願いいたします。

■加茂川政府参考人
お答えをいたします。  
小樽市におきます指導方法の工夫、改善を実施するために定数加配された学校におきましては、私ども、北海道教育委員会を通じまして小樽市の教育委員会の調査によったものを入手いたしておりますが、平成十三年度につきまして、定数加配のある小中学校二十校ございますが、このうち十九校の指導方法が適切でない、本来の指導方法の工夫、改善の取り組みを全く行っていない、あるいはほとんど行っていないという状況であることがわかりました。  
委員御指摘のように、この定数加配は、少人数指導でございますとかチームティーチング等による指導を行いまして、子供たちにわかる授業を行う、そして子供たちの学力の向上を図る観点から、特別に加配をされておるものでございます。今回の事例では、教育に携わる者がこのための指導を行わずに、いわばみずからの負担を軽減する等のために活用したということでございますので、明らかに本来の目的、趣旨に反する使い方でございまして、私どもも大変遺憾なことだと認識をいたしております。  
そこで、我が省としましては、引き続き北海道教育委員会による実態の確認、原因究明、さらには責任の所在等、 詳細で徹底した実態調査を行うようお願いをしておりますし、あわせて再発防止策の策定についても依頼をしておるところでございます。 事実関係が確認され次第、道教育委員会に対しまして、御指摘のございました義務教育費国庫負担金の返還ということも選択肢に含めながら、 今後厳正な対処方針について検討してまいりたいと思っております。

■平林委員長
林自治財政局長、時間が経過していますので、簡潔に頼みます。

■林政府参考人
お答えを申し上げます。  
御指摘の件につきまして、私ども、普通交付税の算定上は、法律に基づく教職員の定数を用いております。
もし事実関係が確認された場合に、 算定に用いた教職員定数の異動が確認されました場合には、錯誤等により是正措置を行う必要があるのではないか、こういう制度になっておりますし、 そういうふうに考えております。

武正委員
次の中村委員からちょっと時間をおかりいたしまして、今の点なんですけれども、確かに大変問題である、これは文科省さんも総務省さんも一致をされ、国庫負担金並びに地方交付税の返還、返納、こういったことも視野にという御答弁でありました。  ただ、また一方、小中学校の教員の定数を初め、地方が保つべき行政水準は法令で細かく決めているんですね。この水準を財政的に保障しているのが地方交付税で、法令による規制を緩和しなければ地方交付税の大幅な削減や算定方法の簡素化というのは難しいということであります。  
先ほど同僚委員が教育特区というお話をされまして、私はこれはまたすばらしい質問だなというふうに聞いておったんですが、いわゆる全国一律の均衡ある発展、そしてまたユニバーサルサービス、シビルミニマム、これは総務大臣がよく口にされることなんですけれども、北海道には北海道の、あるいは沖縄、九州には沖縄、九州の、やはりそれぞれの事情があろうかと思うんですね、北海道小樽の事情はまだまだ定かではありませんが。  
そういった意味では、やはりそれぞれの地方にある面任せていくべきではないか。税財源の移譲もそうですが、交付税についてもさまざまな算定で細かく基準財政需要額を算定していっていますが、ある面そこら辺は大くくりに、人口とか面積とかで先ほど言ったようにどばっと出して、それであとは任せる、自由にやってくれと。これでなければ、今回いろいろ問題はあろうかと思いますが、これでまた地方が萎縮して思い切ったことができないというのはやはり本末転倒になろうかと思います。  
私は、今回の問題は大変問題があろうかと思いますが、その意味では基準財政需要額の算定についても、 そして先ほどの教育特区の話も含めて、任せるべきものは任せていく、それが交付税改革、平成十四年度、 ラストイヤーの、やはり総務大臣として臨んでいただきたいということを、最後に御決意をお伺いして質問を終わらせていただきたいと思います。

■片山国務大臣
先ほども言いましたが、これからは均衡ある発展でなくて、個性ある発展なんですよ。個性ある発展を我々は応援していきたい、こう思います。  
地方交付税は、全国に標準的な行政確保のための、ナショナルミニマムというんでしょうか、シビルミニマムというんでしょうか、 そのための財源保障と財源調整の制度なんですよ。
だから、突出したものを面倒見るようなことにはなっていないんで、 そのために留保財源というのを委員御承知のように認めているわけですよ、二割なり二割五分なり。私はそういうことの方で措置すべきことではないか、 こう思っておりますが、せっかくのお申し越しでございますので、全般的に研究してまいります。

武正委員
地方交付税法第一条を持ち出されましたが、であるならば、特別地方交付税は何なんだ、財源調整なのか、違うではないかといった、今の地方交付税制度は大変矛盾が多いということを指摘して、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

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