【沖縄及び北方問題に関する特別委員会】 沖縄新法について

2002年03月18日

武正公一
民主党・無所属クラブの武正公一でございます。きょうは沖縄新法の質疑ということで立たせていただきました。  
まず、新法の質疑に入る前に、先週金曜日に鈴木宗男衆議院議員の自民党離党の記者会見があったわけでありますが、尾身大臣におかれましては、沖縄担当大臣として、この会見についての、あるいは離党の申し入れについての御所見を伺いたい。  
というのは、九九年度予算案概算要求の際、沖縄県内の米軍基地用地の賃借料について、鈴木氏の指導を受けて増額要求したという疑惑、これについては今防衛施設庁が調査を継続中でありますが、こういった点があること、また、民主党としても昨日から沖縄に調査団を派遣し、あるいは野党四党外務省問題プロジェクトチームもきょうから沖縄入りしているといったこともございますので、沖縄担当大臣としての御所見を伺います。

■尾身国務大臣
鈴木議員が各般の疑惑問題で離党されたことは、まことに残念であるが、やむを得ないことと考えております。

武正公一
多分、自民党としてはまだ離党は決定はされていないというふうに私は理解をしております。
残念なことというような大臣の御発言でありますが、沖縄に関するさまざまな疑惑が言われている、また、まだそれは調査中ということでありますが、担当大臣として、やはりこの点についてもしっかりと、問題があるところは実態究明を行うべきと考えますが、再度、御答弁をお願いいたします。

■尾身国務大臣
いろいろな点で、役所側としても襟を正していかなければならないと考えております。

武正公一
続いて、新法の質疑に移らせていただきます。  今回の新法は、憲法九十五条で言う地方特別法ではないかということがかねてより言われております。
住民投票が必要とされるこの憲法九十五条に当たるのではないかということは、この条文が眠れる条文と言われ、一九五〇年当時には使われましたが、それ以降使われなかった、しかしながら、沖縄復帰に伴う特別措置法、沖縄復興開発特別措置法には沖縄の地方公共団体の組織や権限に関するものがあり、地方自治特別法に該当せざるを得ないものがあったという佐藤功さんの憲法九十五条の諸問題という指摘もあり、その判断は最終的に国会にゆだねられているという伊藤正己さんの「憲法 第三版」での解釈もあるわけでありますが、この点についての大臣の御所見を伺いたいと思います。

■尾身国務大臣
憲法九十五条の趣旨は、地方公共団体の自治権を保障することをねらいとしているものでございまして、地方公共団体の組織や権能に改変を加えようとしているわけではない、また住民に利益を付与する法律につきましては、自治権を侵害するようなおそれはなく、この九十五条の規定に抵触するものではないというふうに考えております。  
沖縄振興特別措置法案でございますが、沖縄の置かれた特殊な諸事情にかんがみまして、沖縄の振興を図るために沖縄振興計画を策定し、またこれに基づく事業を推進する等特別の措置を講ずることにしているわけでございます。この特別の措置につきましては、例えば補助率に関する特例措置、あるいは各種地域指定制度に係る税制上の優遇措置でございまして、むしろ沖縄県が利益を受けるものであり、したがいまして憲法九十五条の特別立法には当たらないというふうに考えております。  
なお、現行の沖縄振興開発特別措置法におきましても、昭和四十六年の制定当初におきまして、国会におきましてこの議論がなされたわけでございますが、この法律は憲法九十五条の特別立法には当たらないという御了解がなされておりまして、今度の沖縄振興特別措置法案についても同様に考えている次第でございます。

武正公一
沖縄に利益をもたらすというようなことで、不利益をもたらすわけではないから当たらないというような御答弁がありましたが、利益、不利益に関係なく、やはり特別措置法については九十五条に当たるのではないかという議論があって、先ほど言ったように、国会の議論ということでありますので、私は改めて、九十五条と今回の新法はやはりかかわりがあり、沖縄のことは沖縄で決めるといったことを申し上げておきたいと思います。  
さて、この新法制定当初から、沖縄県からは一国二制度についての要望が寄せられておりました。今回の新法で一国二制度についてどのような形で盛り込まれたのか、大臣の御所見を伺います。

■尾身国務大臣
沖縄振興特別措置法案に盛り込まれておりますすべての特別措置につきましては、他の地域と異なる扱いを行っているという意味でいいますと、いわゆる一国二制度的なものになっているというふうに考えております。  
具体的に申しますと、各種の産業振興を図るための地区指定の制度あるいは税制上の特例等もございまして、憲法上の平等権には配慮しつつも、本法案第一条の目的規定にありますとおり、沖縄の特殊な諸事情にかんがみ、特別措置としてこれらの措置を講ずるということにしているわけでございます。

武正公一
今回、この法案、百二十条と大変条文も多いわけでありますが、これを見てまいりますと、百十四条に「主務大臣等」という条文がございまして、それぞれについて主務大臣という条文はだれに当たるのかというのが百十四条に書かれております。
これで、例えば第六条六項、七項等ですね、百十四条の第一項では、内閣総理大臣、農林水産大臣、国土交通大臣及び環境大臣、第二項では、内閣総理大臣、総務大臣及び経済産業大臣ということで、主務大臣に大変たくさんの大臣が当たるわけなんですね。  

そうすると、これは沖縄県にとっては、それぞれの大臣に同意を求めなきゃならないということで、沖縄にこの新法を今回つくるに当たって、沖縄の自立あるいはまた一国二制度の要望があっての新法という中で、この主務大臣にそれぞれ同意を求めるというのは大変煩瑣ではないかなというふうに思うんですけれども、これを例えば総理大臣一本にするとか、そのようなことはできないものか、これについての大臣の御所見を伺います。

■尾身国務大臣
沖縄に関するいろいろな事業あるいはその規制等は、そういういわゆる実務的な分野は基本的には各主務大臣がその内容に応じて所管をしているところでございまして、私どもとしては、いわゆるその所管の大臣に事業実施の手続等につきましてゆだねても問題のない場合は別といたしまして、いわゆる所管大臣がおられる場合であっても、沖縄対策の全体的な政策判断が大変重要だと考えておりまして、この主務大臣に内閣総理大臣がむしろ加わっている、そういう沖縄の観点からそれをチェックするという立場で主務大臣と同じく共同所管にしている、こういうことでございます。  
したがいまして、これを、例えば国土交通省関係の問題を内閣総理大臣だけがやるということについては、実態から見てむしろ、逆の場合はあり得ても、内閣総理大臣だけでそれをやるということは適切ではないというふうに考えております。

武正公一
私は、沖縄の一国二制度という要望を考えると、できるだけ沖縄が沖縄のことを自分で決められるようにすべきであり、そういった観点からは、やはりさまざまな煩瑣な手続はシンプルにすべきだろうということからお尋ねをしたわけであります。  
さて、今お手元の方に、理事会のお許しを得て、赤土のことに関する資料を配らせていただいております。二月の二十四日から三日間、民主党では沖縄調査団を派遣いたしまして、例えばこの赤土の流出問題につきましては、石垣島・轟川の流域の調査、あるいは市役所でその轟川から流出する赤土のビデオなども見てまいりましたが、「沖縄の赤土汚染と農業」という県の研究所の赤土研究室長の大見謝辰男さんはこのように述べております。
「流出した土壌が海底に堆積するほど生きたサンゴが減少し、海底が田んぼのように泥で覆われるとサンゴはほとんど死んでしまう。」これは九七年十月号「農業と経済」で述べているんですが、そのようなことを言っております。  

また、お手元に配付いたしました「県営水質保全対策事業のずさんな一例」というのを見ていただいても、この赤土が大量に河川を通じて海に流れていく、これは宜野座村の例であります。これは沖縄市の漁業協同組合の莇和義さんのホームページのものでありまして、先ほど引用した大見謝室長は、「漁民にとっては、赤土汚染による漁業被害も深刻だ。」「赤土汚染によるサンゴ礁の荒廃や海の濁りは、漁獲高を減少させる。」とも述べているんですね。  
昨年の六月、環境省国際サンゴ礁研究・モニタリングセンターがWWFJ等三団体で共同で行ったサンゴ礁の被害、これの調査報告が出ておるんですけれども、これについて奥谷政務官から、詳細、御答弁をお願いいたします。

■奥谷大臣政務官
本件は、平成十三年の六月初め、石垣島東岸の白保海域に流れ込む轟川河口周辺においてサンゴ礁が大量に死んでいるという情報を得まして、環境省国際サンゴ礁研究・モニタリングセンター、WWFジャパンサンゴ礁保護研究センター、八重山サンゴ礁保全協議会とが合同で現状把握のための緊急調査を六月二十日と二十一日に実施し、その結果を発表したものでございます。  
本発表資料では、貴重なサンゴ群集の被害として、まず第一に、轟川の河口南側で堆積物をかぶった塊状のハマサンゴが大量に死んでいるとの確認がされました。その被害範囲は南北約一・二キロメートルであったこと。
そして、第二におきましては、中心付近の約二十ヘクタールの範囲で点在するハマサンゴ群落のほぼ一〇〇%が死亡、その周辺では死亡率八〇%の海域が約四十六ヘクタール広がっていたこと。
そして第三点は、一〇〇%のサンゴが死亡していた海域では、全体に二センチから五センチの厚さで赤土が堆積しており、サンゴだけでなく海草もほとんど枯れていたこと等が報告されております。  以上でございます。

武正公一
続きまして、お手元に「石垣島轟川河口海域におけるサンゴ類大量死について」というA4一枚の紙も配らせていただきました。
これは、昨年の十一月三日、日本サンゴ礁学会第四回大会で、先ほど政務官が言われた三団体共通でこの半年近く調査した結果として出したものでありまして、まとめの一番下に書かれているように、「今回の被害の直接原因は、塩濃度の低下と赤土の堆積であると推定される。」というような形で結論づけております。  

そこで、次にお伺いをしたいのは、なぜこのように沖縄では赤土が大量に流出するかということなんですが、これについて、先ほどの県の大見謝室長は、「過去の開発面積などから予測すると、土地改良は最も赤土を流出した公共事業と考えられる。」というふうに述べておられます。  
沖縄県における農業農村整備事業費の推移は、昭和四十七年から平成十四年度までの累計が七千六百九十七億円、うち圃場整備事業が約二千億円とされておりますが、例えば勾配率も、当初日本全国と同じ勾配率にしていたものが、これではどんどん赤土が流出するということで勾配率をだんだん下げていった、そんな経緯もあるわけなんですね。  
また、これは、「土地改良事業がサンゴ礁を脅かす」ということで書かれている中で、丘陵地で、土地改良以前は起伏のある地形となって、雨が降っても水の力が分散されていたけれども、改良事業で平たんな農地を造成したために、その一帯が巨大な一枚の斜面となり、降った雨が同方向に流れやすくなった、これは野池元基さんという方がやはり書いてあります。  

また、農家にとってこの土地改良事業がどうかということについて野池さんは、「農家は工事費の一部やダムの水の使用料などを、負担金として組合である宮良川土地改良区に支払う必要がある
。こうした中で、負担金を滞納する農家が増えていった。」というような形で、ある面、本土と同じようにこの土地改良事業、圃場整備事業を推し進めていったがために赤土流出がとまらない、しかも農家にとっては、赤土が流出するわ、また負担金を払わなければならないわ、そして赤土流出すれば当然収量がダウンするわと、踏んだりけったりということを現地でも聞いたんですけれども、この土地改良事業並びに圃場整備事業あるいは農業農村整備事業についてのそうした問題点、これについて、宮腰政務官、どのように把握をされておりますか、御所見をお願いいたします。

■宮腰大臣政務官
お答えいたします。  
沖縄県におきます赤土の流出につきましては、侵食を受けやすい国頭マージなどの土壌の条件、亜熱帯特有の強い降雨などの自然条件もありますし、あるいは農作業の機械化の進展や長期の未作付等の営農状況に加えまして、本土復帰以降の各種開発事業の増加等によって赤土流出が増大してきたものというふうに考えております。  
今ほど委員御指摘の沖縄県におきます土地改良事業につきましては、侵食を受けやすい土壌条件等を勘案いたしまして全国基準より緩い圃場勾配で整備を行ってまいりまして、この勾配の条件につきましても順次基準を緩くしてきているわけでありまして、赤土流出の防止に努めてきたところであります。土地改良事業が赤土流出の主な原因であるというふうには考えておりません。  

一方、未整備の圃場や施行年度が古い圃場におきましては、勾配や沈砂池の整備状況など、現在の整備水準と比べますと流出防止対策が十分でない農地があるということは間違いありませんので、今後とも、土地改良事業の実施に当たりましては、赤土流出防止に万全を期すとともに、赤土流出防止を目的として創設をされました水質保全対策事業につきまして、未整備の圃場あるいは施行年度が古い圃場につきましても推進をしてまいりたいというふうに思っております。  
なお、水質保全対策事業につきましては農家負担はありませんし、土地改良事業につきましても、平成八年度から赤土流出防止対策に係る費用について農家負担をゼロにしているということでありまして、積極的にこれからも赤土流出防止対策を進めていきたいというふうに考えております。

武正公一
土地改良事業と赤土流出は関係ないという答弁には納得できません。先ほど触れましたように、県の大見謝室長は「過去の開発面積などから予測すると、土地改良は最も赤土を流出した公共事業と考えられる。」というふうに述べておられるわけですから、今の答弁には到底納得できないわけであります。  
また、平成五年度、轟川流域赤土流出実態調査、これも県が行ったわけでありますが、その中でも、今後、計画されている土地改良事業の位置は比較的地形の急なところで土壌も国頭マージ地帯を主としているので、流出防止対策には十分な配慮が必要であるということも述べておるわけであります。  
今、水質保全対策事業ということを述べられましたが、そのずさんな一例ということで、きょうこの資料を配らせていただいたわけです。これは、先ほど触れたように、宜野座村の例でありますが、平成五年から平成八年、総事業費二億ということでありますね。
七十三ヘクタール、事業概要は沈砂施設六基というふうにあるわけなんですが、ここに見ていただくように、要は、国頭マージは、沈砂、沈まないわけですね。小石のフィルターもフィルターとしての役割を果たしていない、一ページ目に書いてあります。  

それから、二ページ目にも書いてありますが、降雨中は常に流水で攪拌されているために、ほとんど沈殿効果がない。それから、二槽目の沈砂池から三槽目の沈砂池に排出される濁水はどんどん流れていってしまう、一応フィルターとして小石を使用しているが、ろ過機能はほとんどない。
三槽目に当たる最終沈砂池、本来はここで沈むわけでありますが、二〇〇ppm以下という県の条例があるんですけれども、これでは甘いという指摘もあるわけなんですね。  
そういった形で、これが最終的に流れていってしまう、焼け石に水ということで、三枚目の一番下を見ていただくとわかるように、三面コンクリート張りされた排水路を八百メートルほど離れた海に向かって流れるということなんですね。  
先ほど水質保全対策事業ということを言われましたが、それでは農水省さんとして水質保全対策事業をどのように評価されているのか、御答弁をお願いいたします。

■宮腰大臣政務官
水質保全対策事業は、排水路、沈砂池等の整備、のり面保護、グリーンベルトの設置、圃場の緩傾斜化等によりまして、赤土流出防止を図るため平成五年度に創設をいたしました圃場事業であります。
本事業の実施によりまして、流出防止につきましては一定の効果を上げてきているものというふうに考えております。  
農地からの赤土流出防止効果は、土地改良事業や本事業のハード対策とあわせて、営農面の対策等のソフト対策等によりまして総合的に発揮をされるものであるというふうに考えておりまして、本事業の効果を取り出して評価することには種々の課題もありますけれども、事業効果の一層的確な評価に向けて検討を行ってまいりたいというふうに考えております。  
なお、今ほどいただきました資料につきましては初めて拝見をさせていただきましたが、小石等で効果がないということは拝見したとおりだと思っておりますので、この事業の具体的な技法等々につきましては、これはさらに検討すべきこと、課題がたくさんあるのではないかというふうに考えております。

武正公一
農水省さんから政策評価シートというものをいただきまして、農村整備事業、この評価をいただいているんですけれども、その中には水質保全対策事業の記載はないんですね。
農水省さんからすれば、そんなに大した金額でないからというような解釈なのかわかりませんが、もうちょっと大くくりな補助事業のものしかありませんし、その中には、水質保全対策事業という名前は政策手段として出てきますが、水質汚濁防止のための農業用用排水施設の整備としか書いてないんですね。
これは平成十三年度から、十三年一月の省庁統合によって政策評価というものが義務づけられているわけですから、私は、農水省として、この水質保全対策事業、いま一度評価をきちっとやるべきだというふうに考えます。これは要望として申し上げておきます。  
さて、石垣市議会から、平成十三年三月二十九日、こうしたことを受けまして、赤土流出の抜本的対策を求める要請決議が行われております。
国営事業での取り組み、環境保護保全対策、ポスト三次振計画での重点的課題ということで、沖縄担当大臣ほか関係大臣に要望、要請がされておりますが、これについて大臣としての御所見を伺います。

■尾身国務大臣
赤土の流出につきましては、私も石垣島にも参りましたし、ほかのところでも現場を見ております。
いろいろな対策をやっておりますが、まだ赤土の流出がとまっていないというのも実情でございます。したがいまして、この問題はどうしても解決しなければならない問題であるというふうに考えておりまして、県の要望、また地元の御意見も伺いながら全力を尽くしてこの対策に万全を期してまいりたいと考えております。

武正公一
ぜひ、万全の取り組みをお願いしたいと思うんですね。そのときには、今行っております事業の適正な評価、それから、どちらかというとこれまでハード中心に行われていた事業のソフトへの転換、これはマルチングとかあるいは豆類を間作で植えるとか、いろいろなことが言われていますが、マルチングとても、いわゆる本土で行われているように黒いビニールで覆っちゃうと、また水が下に流れていってしまう。やはり、沖縄には沖縄の特殊な状況があるといったことだというふうに思うわけですね。  
今回、轟川で見たこの事業も、国が八五%、県が一五%で一〇〇%なんですね。市は負担がないといったことなんですね。
こういったことを踏まえて、これは昭和四十七年三月の同委員会で山中総理府総務長官が沖振法の審議で答弁されています。「いままで存在したかつての本土、現地を通じて最も高い補助率、さらにまた性格によって、道路、港湾、空港、漁港等については十分の十の補助率をもって実施する」ことにいたしているわけでございますと。  

まさにこうした形で、例えば本土並みの勾配率とか、本土で、事業を一〇〇%国が面倒見るからということで三十年間やってきた。その結果がこうして赤土が流出して漁業の漁獲量が下がったり、これから、サンゴが死滅してしまったら、これは観光に与える影響も大なるものがありますし、本土で、国が一〇〇%何でも面倒見るからやってやるぞ、これが果たして沖縄のためになっているのかというと、私は検証が必要ではないかなと思うんですね。  
そういった意味では、一国二制度も含め、沖縄のことは沖縄が取り組めるように、そんな形での権限、財源を与えていく、特区には特区の権限、財源をもっともっと与えていくべきだと思うんです。補助率一〇〇%で本土並みに何でもやるよということはここでやはり見直しが必要だと考えるんですが、大臣の御所見を伺います。

■尾身国務大臣
沖縄に対する補助率につきましては、本土よりも高い補助率をもうほとんどあらゆる事業について適用しております。
その場合に、その事業の適否等につきましては、やはり沖縄の地元の皆様の御意見もよく聞きながら、しっかりと対応してまいりたいと考えております。

武正公一
これは、石垣島で私が肉牛の生産者から陳情を受けました。今回のBSE対策で、肉牛の全国平均の基準が一頭当たり三十六万六千円。
ところが、沖縄では三十万二千円で、六万四千円の差があるんですね。
肉用子牛生産者補給金制度では三十万四千円。ですから、沖縄ですと二千円しか高くない。それを基準として、どのぐらい下がったかということで補償基準の価格を設定しているんですね。全国平均より六万四千円も沖縄の方は低い。こういった全国での価格の遍在があるということ。  
それから、石垣島には屠畜場があるんですけれども、一日に五、六頭しか屠畜できない。
ですから、全頭検査というと、本島に行って屠畜しなきゃいけない。そうすると、やはり行って帰って三、四日かかるわけですね。そうすると、当然輸送で肉質が落ちるわけです。
加えて、石垣島には冷蔵施設がない。こういったことが、BSE対策では全国一律でやろうというような形ですけれども、実は、沖縄、石垣島ではやはりそれぞれの事情がある。  
こういったことがあるんですけれども、これは尾身大臣に、こうした点について、この石垣の肉牛生産者からの悲痛な叫びということがございますので、これはやはり農水大臣にきちっと、沖縄の、あるいは石垣島の事情ということで、特に今行われておりますBSE対策では格段の配慮を求めていただきたいと思いますが、大臣の御決意をお願いいたします。

■尾身国務大臣
沖縄の肉用牛生産につきましては、価格が全国に比べて低い、輸送コストがかさむ等の実態があることは御指摘のとおりでございます。  
そういうことから、沖縄の肉用牛生産について、農林水産省におきまして、子牛の輸送費助成などの地域特性に配慮した施策が実施されていると聞いておりますけれども、こういう中で、近年は生産頭数が順調に伸びるなど、沖縄農業の有望な品目になっていることも事実でございます。  
BSE対策につきましては、農林省と沖縄県が連携して対応しているわけでございますが、御指摘の点も含めまして、そういう事情も十分伝えてまいりたいと考えております。

武正公一
以上で終わります。ありがとうございました。

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