【沖縄及び北方問題に関する特別委員会】 沖縄振興法について

2002年03月19日

武正公一
民主党・無所属クラブの武正公一でございます。沖縄振興法につきましての質疑をさせていただきます。  
まず、金融特区でございます。第五十五条で「主務大臣は、」というような条文になっておりますが、観光振興計画、第六条、情報通信産業振興計画、第二十八条、特自貿地域活性化計画、五十二条、農林水産業振興計画、六十条等々、そういった振興計画を沖縄振興計画のもとつくることになっている中で、昨日も大臣からは、金融特区はそのまま指定をするんだ、まだ歴史的に浅いからというような答弁があったんですが、私は、この沖縄新法の目玉であるならば、やはり振興計画をきちっとつくって取り組むべしというふうに思うんですが、これについての御所見、大臣、再びお願いいたします。

■尾身国務大臣
金融特区につきまして、いわゆる振興計画をつくらないということになっているのは事実でございます。  
これは、情報産業につきましては、数年来の各種の取り組みによりまして相当程度の関連企業の集積が既になされておりまして、今後さらなる集積を図るという計画的な取り組みが一層求められているという段階に来ておりますが、金融につきましてはまだ緒についたばかりでありまして、そういう点を、実態的な違いを踏まえてこういう差を設けたものでございます。

武正公一
緒についたばかりであるからこそ計画をつくって、またアクションプランをつくって、そして積極的に取り組むべしというふうに考えるところでございます。  さて、昨日も話が出ておりましたが、キャプティブ保険あるいはまたCMSを金融特区に認めるべきではないか。
この点につきましては、昨日大臣からは、いや、キャプティブ保険を実は入れたかったんだけれども、それを知ったのが間際だったというような趣旨の御答弁がありましたが、私は、今からでも遅くはないというふうに考えますし、また、遅くとも半年か一年のうちに実現を図るべきではないかと。  
これは、サピオという雑誌、二〇〇二年三月二十七日、沖縄特集でボレロ・ドット・ネット日本代表福重良文さんが言っていることなんですが、こういった形で、あるいは岸本名護市長もキャプティブということを再三再四言っておられますが、これをやはり取り入れるべきではないか。
取り入れるとすればどのような形で今後可能性があるのか、そのタイムスケジュールも含めて大臣からお答えをいただきたいと思います。

■尾身国務大臣
昨日、私は、キャプティブ保険を入れるべきだと思うけれども、時間が足りなくてという話はたしかしなかったと思うのでございます。
私が申し上げましたのは、この話を岸本市長から初めて聞いたのは、調べてみましたら二月七日の午前九時二十分でございましたが、おいでになりまして、キャプティブ保険を本法案に盛り込んでほしいというお話がございました。
そのとき私はキャプティブ保険というのを初めて聞かせていただいたわけでございますが、二月八日が本法案の閣議決定の日でございまして、したがいまして、内容について実はまだしっかりとした勉強をしていないというのが実情でございます。  
ですから、今後の検討課題として勉強をさせていただきますということを昨日申し上げたわけでございまして、これは岸本市長からも御要望があり、この委員会でもそういう話が出ておりますので、今後の検討課題として勉強させていただきたいと考えております。

武正公一
このキャプティブ保険を検討していくには日本の保険業法を改正しなければならないというふうに聞いておるんですが、これは村田副大臣、御答弁よろしくお願いします。

■村田副大臣
お答えを申し上げます。  キャプティブ保険につきましては、今尾身大臣からもお話がございましたが、私どもの柳澤大臣のところへも岸本市長がおいでになりまして、そのときにいろいろ御要請を承っております。  
私どもの大臣から、新しいビジネスとしておもしろい考え方だと思いますが、専門家が議論して、再保険を受けるキャプティブについてどのようなことが可能か、保険の原則にさかのぼって検討するような話だと思う、このようなお答えをしております。  
保険業を行うことについては、保険会社の保険業法上の認可を受けなきゃいけない、こういうことでございます。その趣旨でございますけれども、保険業を行う者は、ひとしく保険業法に定められている経営の健全性や業務の適切な運営を確保するための基準を満たすことが必要でありまして、この点について、キャプティブ保険に関しまして特例を設けることが適当かどうかということを検討してみなきゃいけない、こういうことになるだろうというふうに思っておりますので、今後検討していくべき課題として私どもも検討させていただきたいと思っております。

武正公一
尾身大臣も前向きに検討したいということで、この業法の改正についても、金融庁、副大臣から前向きに検討といったことで御答弁をいただきました。  
さて、二十人以上という、金融特区での一つのラインが引かれているわけなんですけれども、実際のところ、ダブリンは一社平均七名、あるいはまたキャプティブとかCMSというのは大体一社当たり三人から五人といったことも言われている中で、あるいはまた製造業でも、例の自由貿易特区あるいは特自貿、二十人以上というのは実は大変だという指摘もあるんですね。  
こういった中で、二十人以上にした理由が、昨日もペーパーカンパニーを防ぐんだという大臣の御答弁があったんですが、やはりこの金融特区を実効あらしめるには、二十人というのはハードルが高いのではないかというふうに考えるんですが、再度、大臣の御所見を伺いたいと思います。

■尾身国務大臣
金融特区をなぜ設けるかという趣旨にも関係するわけでございますが、私どもは、こういう特別な特区を設けて、そこに企業を誘致して、そしてそれによって沖縄の雇用をふやす、経済を発展させるということを願ってこういう制度を新設しているわけでございます。  
三五%の法人所得控除というのは日本の税制の中で極めて異例な、非常に高いレベルの優遇措置であるというふうに考えている次第でございまして、言えば単なるペーパーカンパニーのようなもので、法人税の大きな減免を受けて沖縄の雇用の増大に余り貢献しないというのでは、この制度を創設した意味が基本的なところで崩れてしまうということで二十人以上という数を決めたわけでございます。
これによってこの区域内の雇用が実質的に増加して、現に沖縄に住んでいる方々がそれによって非常にプラスの影響を受けるということをねらっているわけでございまして、むしろ、沖縄の本当の意味の雇用あるいは経済を守るという気持ちもその中に入っているということも御理解いただきたいと思います。

武正公一
金融特区、法人税の減免、これについては財務省さんといろいろとやりとりがあって年末に決定といったことで、年末の時点では大変喜ばしいというような発言が、大臣初め各方面から、現地でも上がったというふうに聞いておりますが、そういったいろいろな、財務省と今回の沖縄新法のやりとりがあった、せめぎ合いがあったというふうには拝察するわけです。  
この金融特区についての二十人ということが、やはりそれが雇用の確保につながるんだ、まずハードルを高くして人数を確保しようというお話だと思うんですが、私は、逆に、ハードルを低くしても雇用はどんどんふえる、ハードルを低くしないと雇用はふえないんじゃないかなというふうに思うんですね。  
これは日経の地域レポート、昨年、二〇〇一年十一月十九日ですが、例のコールセンターについてもこんな記載があります。問題は、人材供給力不足を指摘するコールセンター側に沖縄県が何ら新提案をしていないという点、県が人材供給や育成で何らかの対応策を打たないと、状況次第ではコールセンターの立地の流れが他へ移るというようなことで、二十人になったから、ではそれでいいのか。それでまた、なったときに果たしてどうなのか。
やはり人材育成、供給というものの不断の努力が必要でしょうし、先ほど触れたように、キャプティブあるいはCMS、これをこれから前向きに検討するのであれば、まず二十人というラインはやはり高かろう。  
ですから、これは、これから法が施行されて計画をつくっていく、そういった中で、やはり現状に合わせて、それぞれの関係行政庁としっかりと協議の上、見直す必要もあろうといったことが出たときには見直していくべきだと考えるんですが、再度、大臣の御所見を伺います。

■尾身国務大臣
この制度は、もとより今回初めて創設した制度でございまして、人数制限につきまして二十人よりふやすのか減らすのか、そのいずれかも含めまして、制度の実際の運用状況を見て適切な対応をしてまいりたいと考えております。

武正公一
これは週刊東洋経済、昨年二月十日なんですが、アイルランドの例がよく出ます。アイルランド・ダブリンの例が出まして、ここの国際金融センターの役割といったことがよく取り上げられるんですが、「成功の背景には、弁護士や会計士の重点育成など、明確なビジョンに基づく政府の施策があった。」ということで、やはり金融関係のサポート体制というものも非常に大事かというふうに思うんですが、これについての御所見をお伺いいたします。

■尾身国務大臣
この金融特区におきまして、金融業あるいは金融関連業が誘致をされたという場合におきましては、それに関連する弁護士とか税理士あるいは会計士、そういう職業の方々も沖縄に活動の場をふやしてくるのではないかというふうには考えているわけでございます。  
ただしかし、弁護士や会計士や税理士をそれ自体として沖縄で事業をやっていただくことによる税制上の優遇措置をやるという考え方は、現在のところ、全体の税の公平性という観点から見ていかがかなという感じもするわけでございまして、こういう制度でスタートしたということでございます。

武正公一
であるからこそ、やはり金融特区を指定するについて、またその金融特区を振興させるについて、総合的な計画を立てる必要があろうということをあえて指摘をさせていただきたいと思います。  
今の週刊東洋経済で、また同じところで、この金融特区が国内の金融機関にほとんど認知されていないという指摘があるんですけれども、なぜ日本の金融機関の関心が少ないのか、これについてお答えをいただきたいと思います。

■村田副大臣
お答えをいたします。  新しい制度を導入しようというわけでございまして、これから、今御議論になっております税制上の優遇措置等が導入されるわけであります。
そうした措置のメリットなどを金融機関が認識することによりまして、金融機関サイドにおける具体的な検討が始まっていくんじゃないか、こういうふうに考えております。

武正公一
この金融特区をどういうふうにということで、地元の自立型オキナワ経済発展機構、OKIDOの呉屋守将社長、この方が琉球新報の平成十四年一月二十六日で指摘しているのは、「施策の変更に適宜対応できる金融特区調整室のような機関の設置が必要だ」と。あるいは、今回、情報特区と金融特区、ある面、いろいろ説明を伺っていると、かなり情報特区のコールセンター的なものを金融特区でもバックアップとして考えておられるようなニュアンスを非常に受けるんですが、「情報金融特区のように情報特区と組み合わせていくことで効果があがる」というようなことも言われているわけなんです。  
実は今、政府は特区ばやりでございます。規制改革特区に始まりまして、構造改革特区、IT特区、もうありとあらゆるところに特区特区と名前ができてきておるんですが、その中でこの沖縄が、特区ということではやはり先進地であります。
私は、ここでまず先にモデルケースとして、そして沖縄のさまざまな特殊事情を体して特区を設けるのであれば、それがこれからどんどんふえていくであろう特区と差がないといったことでは、これはとても見劣りがすると考えるんです。この特区をさらに、今言ったようなさまざまな特区があるわけなんですが、前向きに取り組んでいただきたい。そのためにも、先ほど触れたような、金融特区については振興計画が必要だろうということをあえて申させていただきます。  
続いて、東京オフショア市場についてお話を伺いたいんですが、このオフショア市場の規模が激減をしている、この理由を御説明いただきたいと思います。

■村田副大臣
私ども橋本内閣のときに、金融ビッグバンを進めていくということでありまして、そのときに構想したいろいろな計画というのはおおよそ実現の運びとなっているわけでございます。
ただ、その後、日本の経済が大変停滞する中で、日本の金融システムも大変揺らいでいるという状況の中にありますので、そういうことが影響しているか、こういうふうに存ずるところであります。

武正公一
日本の金融機関のレーティングが下がっていることがかなり大きな原因だということを事前にお伺いをしております。やはりこの際、日本の金融の立て直しということが今大変喫緊の課題といったことも、このオフショア市場の扱い高でも見受けられるわけであります。  
さて、今、日本のオフショア市場では有価証券の負債での取り扱い、これが認められていないわけなんですが、その理由として、いわゆる外―外勘定のそれが、外、内というバリアを突破してしまうことを気にしているがためというふうに伺っております。
いわゆるロンドン、香港型は内外一体型、東京、ニューヨーク、シンガポールは内外分離、外―外勘定だけは内と分離するよ、もう一つ、タックスヘーブン型、ケイマンなどがあるということなんですが、やはりこの外―外勘定のバリアを迂回したり、いろいろあるというようなお話があるんです。
東京市場に関する専門部会でも、この内外遮断措置を講じていく必要というのはあるんですが、その中でもやはりこの有価証券の負債での扱い、これは認めていくべきだと考えますが、いかがでしょうか。

■吉田大臣政務官
お答えをいたします。  
証券というのは、流通の市場においていろいろなところを転々とするわけでございます。
そのため、資金の出し手が非居住者であるということを確定するのがそうそう容易ではないということで、今の状況になっているものと考えます。

武正公一
そういう御説明はもう既に前から受けているんですが、そうであっても、日本のオフショア市場をもっと大きくしていく、金融ビッグバンと銘打って始めた有価証券の取り扱いでありますので、負債での取り扱いは必要ではないかなと思うんです。  
もう一つ、東京オフショア市場と沖縄金融特区、これが連携できないかなといったところでありますが、これについてはどうでしょうか、政務官。

■吉田大臣政務官
お答えをいたします。  
この連携ということではあるんですけれども、そもそも東京オフショア市場というのは、全国どこであってもそれが適用できるというものであって、あえて沖縄に限ってというようなことをする考えというのは持たなくてもいいというふうに判断をしております。

武正公一
まあ、私は可能性を期待して、とにかくこの沖縄を、やはり金融特区をいかにして活性化というか成功させるか、これについてぜひ財務省、金融庁挙げてのお取り組みをお願いしたいという意味での質問でありました。  
さて、続いて、日経金融新聞、平成十二年十一月十日に「「日出ずる国」の優位」という文章がございまして、ちょっと読みますと、「インターネット時代に地理的要素などはすべて捨象でき、もはや国際金融センターになるなんて意味がないと割り切り、あきらめてしまっていいのだろうか。 
実は、日本の地理的優位性は厳然として存在する。」云々かんぬんということなんですが、ただ、円を含めアジア通貨建ての証券が不利な扱いをヨーロッパでは受けているんだと。
「国際的クリアリングシステムが日本にあれば問題は基本的に解決可能で、証券資本市場のみならず、貿易金融の分野でも同様なことが言えそうだ。」と。結論とすれば、「インターネット時代には、世界中で一日が最も早く始まる「日出ずる国日本」に潜在的なオペレーション上の優位性が存在する。」というふうに述べているわけですね。  
要は、世界で一番早くマーケットがあく日本、この優位性を生かさなかったらもったいない、ここに実はチャンスがあるのではないかというのがこの趣旨 なんですが、これもまた沖縄にも当てはまってくるのかなと。ここに何か、今の東京オフショア市場も含めて日本の金融の、ある面、まあ囲い込みと いうか、漏れがあってはいけない、そごがあってはいけないというようなところを非常に感じるんですが、もっとオープンに、堂々とやったらどうか といったことでは非常に激励の文章と私は感じるんですが、これについての御所見を大臣に伺ってよろしいでしょうか。

■尾身国務大臣
私自身、この種の金融の問題の専門家ではありませんが、世界全体がいつもどこかでマーケットを開いているという状況に変わってきた中で、一番早く一日が明けるという日本のこの地位というものは、世界全体のグローバルな金融活動の中で、ある種の特性を持ち得るものだというふうに考えております。
したがいまして、そういうところに沖縄が位置しているということも含めて、沖縄の金融特区が将来何らかの形で世界の金融のある種のセンターになるということも、この日経金融新聞にありますように、夢ではないのではないか、そういう思いもございます。  
この点については、もちろんプロの方々がいろいろとお考えいただくことと思いますが、私どもも勉強してまいりたいと考えております。

武正公一
では、副大臣にお願いします。

■村田副大臣
委員の御指摘の記事で、読んでみましたけれども、ちょっと理解ができないところもございますけれども、私なりに、私どもが担当しております証券決済システムについて、これの日本の証券市場の国際競争力を確保していくという観点から今やっていることを御披露したいというふうに思っております。  
昨年も、CPのペーパーレス化ということで法案をお願いして通させていただいたんですが、今回の通常国会でも、国債と社債のペーパーレス化、こういう法案を提出させていただいているところでございます。  
これは、今、証券の決済にはTプラス3ということで、契約をしてから四日目に決済がされる、こういうぐあいになっておりますが、世界各国の動きを見ますと、即時決済という方向、流れに動いておりまして、そういう意味では、私どもとしては、こうしたペーパーレス化を進めることによりまして決済の即時化を図っていく、こういう努力をしているところであります。
そういうことによって我が国の証券資本市場が国際競争力を増していく、このことがまた沖縄の特区にもいい影響をもたらすのではないかということを考えて、この記事を読ませていただいた次第でございます。

武正公一
時間がかなり押してきました。下地政務官にもおいでいただいていますので、ちょっと先を急がせていただきます。ちょっと質問を飛ばさせていただきますが、御容赦いただきたいと思います。  
金融所得税制についても、いわゆる二元税制への見直しといったことも政府税調で言われております。
これはもう平成九年から小委員会で打ち出されているわけでありまして、これについても、私もやはり積極的に取り組むべしというふうに考えます。  
また、自由貿易地域、特別自由貿易地域については昨日も大臣から御答弁をいただいておりますので、ちょっとこれも質問は飛ばさせていただきますが、ただ、やはり地元では、自由貿易地域に、決済業務を行う外資系金融機関が沖縄に一行もない、あるいは大手都銀も一行だけしか決済業務を行っていないという指摘もあります。
ですから、沖縄の決済業務についてはまだまだ非常に不十分であるといったことが指摘をされているわけなんですね。  
さて、きょうの参考人質疑で、参考人から全島フリーゾーン化について再び提起があったんですけれども、このことについて大臣の御所見をお伺いします。

■尾身国務大臣
当初、自由貿易地域をつくることを検討したときに、沖縄におきましてもこの議論がなされまして、全島をまとめてフリートレードゾーンにするか、あるいは特区的に一部をするかという議論がなされたというふうに聞いております。
全島を一緒にまとめて全県をフリーゾーンにする場合には、農林水産業への深刻な影響があるというような意見もございましたし、また、香西泰さんを初めとする学識経験者で構成された総合研究開発機構、NIRAでございますが、その研究会においても、地域限定の方がいいのではないかという御意見もございまして、現在のような、地域を限定した形の自由貿易地域ということになったわけでございます。  
そういう考え方の中で、いろいろな意味での深掘りをして制度を整備してきたわけでございますが、現在のところ、そういう制度を活用してできるだけ多くの企業を誘致し、それを産業発展の起爆剤にするという考え方で進んでまいりたいと考えております。

武正公一
一国二制度ということは沖縄から絶えず今回の新法制定に当たって投げかけられているところでございまして、特に財務省さんからは、なかなかそれについてさまざまなせめぎ合いがあったと漏れ伝わっておるわけでございます。  
さて、下地政務官には、今アジアで自由貿易協定を、日本、シンガポール、あるいは韓国にもと、そしてまたASEANは十年以内に中国とというさまざまな動きがあるわけなんですが、この自由貿易協定を結ぶことの、日本国内で予想される、言ってしまえばメリット、デメリット、お答えをいただきたいと思います。

■下地大臣政務官
お答えをさせていただきたいと思っております。  
自由貿易協定を私たちが今結んでおりますけれども、今度一月にシンガポールとの新時代経済連携協定というものを結ばせていただきました。その協定を結ばせていただきますと、相互承認、今度法律を出すわけでありますけれども、国外適合評価、この二つをやりますと、輸出をするとき輸入をするとき、私たちが両方で承認をするというふうなことで、スピーディーに物事が進むということが一点目にあります。
また、コストの面でも非常に安くつくというふうなことが、今度の私たち日本政府とシンガポールが結んだ最大の要素であるわけです。  
アジアは非常に経済的に成長しておりますから、そういう意味でも、この自由貿易協定を結ぶことによりまして、私たちは、そのアジア市場に対して日本の企業が、大きなマーケットがありますから、アクセスがしやすくなるということが一点、それともう一つ、アジアの企業が日本に対して投資をしやすくなるというふうなことが二点目に、両方であるのではないかなというふうに思っております。  
最後のところでは、どうしてもこれからは、グローバル化しておりますから、アジア全体で経済を成長させていくという意味では、数多い自由貿易協定を結んでいくことが私たち日本にとっては大きなメリットもあるし、アジアとともに、成長著しい国とこれから手を取り合っていきたいというふうに思っております。

武正公一
最後に、ちょっと大臣にお聞かせをいただきたいのですが、今下地政務官はプラス面、メリットを三つお話しになりましたが、やはり農産品の輸入といった日本にとって大変大きなハードル、あるいはまた、要は自由貿易協定を結んでしまうと特区というものの持つ意味がなくなってしまうということも反対で言われているのですね。  
これについて、この自由貿易協定を結ぶときの沖縄の持つ拠点性として、大臣としてどのようにお考えになっているのか。
アジアの中心的な拠点性もあれば、そのときに特区ということにこだわっていると、結局は、さっきも言ったように、全島フリーゾーンならいざ知らず、特区の持つ意味がなくなってしまう。
この相反するところがあるのですが、お答えをいただきたいと思います。

■尾身国務大臣
確かに理論的には、自由貿易協定によりまして関税の撤廃あるいは大幅な引き下げがなされた場合には、この特区制度あるいは自由貿易地域に認められている選択課税制度につきましては、相対的には、本土に比べて優位性が低下するということが言えるかと思います。  
ただし、そういう中でやはり地域的一体性をさらに推進して、片方のプラスが片方のマイナスになるというようなことではなしに、プラス、プラス、プラスということで、こういう問題はむしろ全体の流れの中で、アジアにおける中心的な地位にある沖縄としては、そういう大きな流れの中でグローバルなネットワーク、アジア地域全体へのネットワークを生かしながら拡大的に発展していくというふうに前向きに受けとめていくのがいいのではないかと私は感じております。

武正公一
以上で終わります。どうもありがとうございました。

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