【総務委員会】 地方税法の一部を改正する法律案

2002年05月28日

武正委員
民主党・無所属クラブ、武正公一でございます。
 地方税法の改正について御質問をさせていただきます。
 総務大臣におかれましては、片山試案というプランを先週発表され、地方への税財源の移譲、これが、当委員会においては、景気が上向いたら、経済が好転したらというようなことがよくまくら言葉に出てまいりましたので、今回の政府の景気の上向きという、そんな発言がこの提出の一つのきっかけだったのか。あるいは、何度も委員会でやっておりますように、地方交付税改革あるいは特別会計の見直し、こういったところについてやはり早急に手を打たなければならないといったところで出されているのかということも、またきょうの質疑で明らかにできればと思っております。やはり景気をよくする、経済を活性化する、こういったことが、こうした行財政改革の大変大事な同時並行の側面ということで、まず冒頭、電波についてちょっと気になることがありますので、これを一点お伺いさせていただこうと思っております。
 実は、五ギガヘルツ帯を無線LANにアメリカあるいは欧州などが大きく開放している中、日本が五・〇三から〇九の屋外利用六十メガヘルツのみということで、これはもっと開放すべきじゃないかといったことが言われております。
 おまけに、来年六月に開会予定の世界無線通信会議において、五・一五から五・七五ギガヘルツ帯を無線LANで利用できるようにすることを諸外国が検討している中で、この帯域のうち、総務省はこの四月二十四日、暫定見解を公表し、五・四七から五・六五ギガヘルツを無線LANに割り当てるならば、既存のレーダー、無線標定業務を最優先と位置づけ、同業務の十分な保護をすべきというようなことを発表されております。
 アメリカではFCCが五ギガヘルツ帯八百メガヘルツを開放するなど、国際的な整合性を尊重すべきで、既存業務を優先する見解を四月に総務省が出されたことは、過日、電波法の改正の議論をして、総務大臣も、電波の経済的価値を認めるといった発言もあり、やっとこれから電波の利用状況を調べようというやさきにこういった見解が総務省から出されたことは、大変理解できないんですが、この点の御所見をお伺いいたします。


■山内大臣政務官
委員御指摘の点、確かにあろうと思うんですが、この電波割り当てについては今大変流動的な時期でございまして、少し経緯なども話しながら御理解をいただけたらと思うわけです。
 無線LANを初めとする五ギガ帯の無線アクセスシステムについては、これは駅とか飛行場、空港、そういったホットスポットと呼ばれる屋外でのインターネット接続の手段として大変有望なものであると我々も認識をいたしております。
 このため、総務省は三年前から気象レーダーなど既存業務との共用の可能性を検討してきておりまして、今般、四・九から五・〇ギガヘルツの百メガヘルツ幅とか、五・〇三から五・〇九一の六十一メガヘルツ帯、これは二〇〇七年まで暫定使用という形を考えておりますが、この無線アクセスシステムに割り当てをしております。その旨、今度電波監理審議会に諮問をしたところでございます。
 そして、このような無線アクセスシステムに適している五ギガヘルツ帯の周波数の分配については、来年の六月から七月にかけて国際電気通信連合、ITUが主催をいたします国際電気通信連合世界無線通信会議、これは通称WRC二〇〇三と今度呼ばれておりますが、この主要議題として取り上げられております。このWRC二〇〇三の準備会合として来月開催されます世界無線通信会議の準備会合に向けまして、電波利用に関係の深い産業界とか国の機関などの意見を十分踏まえまして、我が国の暫定見解を取りまとめて、今パブリックコメントを行ったところでございます。
 そして、具体的に申し上げますと、五千四百七十から五千七百二十五メガヘルツ帯は無線アクセスシステムに分配することが検討されておりまして、その帯域というのは、これは現在日本では、アメリカと同じく、船舶及び航空機、そういったレーダー等の重要な公共業務用の無線局が使用されておりまして、無線アクセスシステムが共用して使用できるよう、今アメリカ、欧州とともに提案をする予定でございます。
 つまり、すみ分けをうまくやっていけばいけるのではないかなということでございます。
 いずれにいたしましても、無線アクセスシステム周波数確保は、非常に大変な重要な課題でありますので、国際的な動向も踏まえながら、今後とも検討していきたいと考えております。


武正委員
四・九から五・〇は世界標準から外れているわけでございますし、屋外で利用できる帯域が極端に少ないといったことも指摘されております。
 きょう国土交通省の政務官もお見えでございますので、今、この五・二五から三五の帯域を気象庁さんが利用されておりますので、雨量検知のレーダーが二十、主要空港での雨量レーダーが九と聞いておりますが、周波数変更に関してどのぐらいの費用が一レーダー当たり必要であるか、お伺いをしたいと思います。


■高木大臣政務官
ただいま、気象レーダーの周波数変更についてお尋ねがございましたけれども、まず、我が国の気象レーダーにつきましては五・三ギガヘルツ帯の周波数を割り当てられておりますけれども、気象レーダーは、台風や集中豪雨等の監視に不可欠な観測システム、雨等の影響を最小限にする必要があることから、この周波数帯が割り当てられたものであります。
 その上で、仮にこの周波数帯から別の周波数帯に新たに割り当てられたとした場合、割り当て周波数帯にもよりますけれども、受信施設等の改修には、気象レーダーの場合は最大約二億円、空港気象レーダーの場合には最大約九億円が必要と見込まれておりますので、これをすべて変更いたしますと、総計約百二十一億円程度の経費が必要と考えられます。


武正委員
額はかなりいろいろなケースがあるやに伺っておりますので、ぜひ精査をよろしくお願いしたいと思います。総務大臣におかれましては、こうした形で電波の経済的価値を認めて、これから総務省乗り出していくというやさきでございますので、今の国交省さん、気象庁のレーダーの帯域、あるいはもっと広い帯域などを含めまして、再度御所見をお伺いしたいと思います。


■片山国務大臣
我々の方も、今の五ギガヘルツ帯の無線アクセスシステムの重要性というのは十分わかっているつもりでございまして、そこで、先ほど山内政務官が言ったような一応の措置をいたしたわけでありますが、今後とも、どういうふうにやるか、気象庁とも、仮に動いてもらうとすれば、補償等含めていろいろな相談があるわけでありますし、また将来、世界の動向もどういうふうになるのか、この辺も含めて、ITUもありますし、前広にいろいろな検討をして、今委員が御指摘のようなことについての対応を十分図っていきたいと考えております。


武正委員
ぜひ前向きに、国際的な標準もしっかりと考えながら、そして制限しないような形で御対応をお願いしたいと思います。
 さて、今般のこの地方税法改正でございますが、民主党といたしましては、法人税の改正では、やはりこの連結付加税は問題が多いというふうに考えております。二%を二年間付加するといったことが言われておりますが、この増収、初年度七百三十億円は、歳出削減で埋めるべきと考えておりますし、また、今回、法人税の改正が地方税の改正とセットになっているわけなんですが、特にこの法人税の改正により、中小企業が利用しやすい仕組みになっているのか、財務省さんの御答弁をお願いいたします。


■砂田大臣政務官
お答えいたします。
 連結納税制度はすべての企業を対象とする制度でありまして、その創設は、企業のより柔軟な組織再編を可能とするものであり、中小企業にとっても、組織再編や子会社の設立といった場面で十分に意義のあることと考えております。
 また、連結納税制度の仕組みの中で、中小企業を親法人とする企業グループが連結納税制度を採用する場合の軽減税率を定めるなど、中小企業の制度利用に配慮しているところであります。
 以上でございます。


武正委員
中小企業が子会社をどんどんつくるというのは余り考えられないものですから、やはりこの法人税改正が中小企業にとってどういうメリットがあるのか、これをぜひわかりやすく財務省としても御説明をお願いしたいと思います。
 さて、総務省さんにお伺いしたいのは、今回は、国税、法人税は連結納税、そして地方税、法人事業税、同住民税は単体納税ということを維持する。異なる納税単位をとることになり、欠損金の繰越控除など、地方税において独自の対応が必要となる項目が幾つか生じることになりますが、事務負担が複雑にならないかどうか、この点、総務省、副大臣、お願いいたします。


■若松副大臣
連結納税制度の地方税についてのお尋ねでございますが、あくまでもいわゆる地域における受益と負担、この関係をまず重視いたしまして従来どおり単体法人を納税単位としたということで、基本的には事務手続は従来と変わらない、そういう内容でございます。
 そして、この課税の仕組みにつきましては、納税者と課税庁双方の事務負担も十分考慮しておりまして、法人税におきまして各法人に配分されるいわゆる個別帰属額、これを課税標準とするなど、できる限り簡素な仕組みとなるように制度設計を行った次第でございます。
 さらに、各連結子会社がそれぞれの所轄税務署に提出する個別帰属額等を記載した書類、いわゆる従来の書類でございますが、これを課税庁である地方団体が閲覧できるようにしたとか、また円滑な事務処理が行えるように配慮もいたした次第でございます。
 今後も、そういった観点から、地方団体に対しましても制度の周知に努め、そして事務負担のないように万全を期してまいりたいと考えております。


武正委員
ぜひよろしくお願いいたします。
 さて、外形標準課税については当委員会でもいろいろと議論が出ておりますが、東京都の銀行税につきましては、やはり私は、地方の独自課税といった点では大変一石を投じていると思っております。地方税法七十二条の十九ということで、過日敗訴ということで上告をされているわけなんですが、それによって地方自治体の独自の課税の芽を摘むということは、やはり本来の趣旨からすればあってはならないというふうに考えるわけなんですが、ただ、地方税法七十二条の十九がどのような場合に発動できるかということがなかなかわからないといったことが言われております。
 この点についてお聞きをするとともに、また、判決は応能原則を支持しているんですけれども、税調の中間答申は応益原則、政府答弁も応益原則でございますが、この応能原則という判決、これが矛盾するのではないかといった点について、御感想を二点、よろしくお願いいたします。


■若松副大臣
まず、前半の質問は私が答えさせていただきます。先ほどの地方税法第七十二条の十九に記載されております、いわゆる事業税についての「事業の情況に応じ、」という言葉でございますが、これはあくまでも外形基準を課税標準として用いることができる道を開いている、このように理解しております。
 そこで、「事業の情況に応じ、」とは具体的にどういうことかということがございますが、先ほど言いましたように、あくまでも外形基準を課税標準としているということでありますので、所得を課税標準としているということは、二つ問題というか、いわゆる想定していないところがありまして、一つは、特定の事業者の事業税の負担がその受益の程度に比して相当に低いのがいつまでも続く、いわゆるほとんど課税額が出てこないような事態。二つ目としては、特定の業種の景気感応性が高い、いわゆる事業年度ごとによりましてその所得等が極端に変動する、こういったことで地方公共団体の安定的な行政サービスの提供に影響が生じる。
 こういったことを考えますと、一定の業種の事業者の負担が、先ほど申し上げました二つの例をベースにした、所得を課税標準としたということであればやはりいろいろと問題があろう、そういうことで、この当該業種を対象として外形標準課税を行うことができる、このように考えている次第でございます。
 後半は、大臣から答弁があります。


■片山国務大臣
東京都の銀行税は、この地方税法の七十二条の十九がストレートにイメージした税じゃないんですね。外形標準課税というのは、同じことを何度も繰り返しますけれども、広く薄く公平になんですね。広く薄く公平になんです。ところが、東京都の銀行税は、そう言ったらいささか問題があるかもしれませんが、広くないんですね。大変狭いんです。限定的なんですね。極端な言い方をすれば、ややねらい撃ちなんですよ。そういう点から我々は閣議で閣議了解ということにしたんですが、大手銀行のみに課するこの税については合理的理由がやや乏しいんではないか、こういうことを政府としては閣議了解という形で発表しているわけですね。
 ただ、今回の一審の判決を見まして、所得を課税標準にしているから応能だ、こういう言い方ですね。所得をなぜ課税標準にしているかというと、これは担税力ですよね。担税力というのは、支払う能力ですからね。だから、これは私は、地方税に対するやや誤解があるんではなかろうかと。我々は、あくまで応益だ、こういうふうに思っておりまして、応益ですけれども、現在の法人事業税は所得を課税標準にしていますよ。だから、応益に徹してはおりませんけれども、しかし、所得と位置づけているから応能であるという考え方、これはいささかどうかなと私は思っております。


武正委員
以前委員会の方で、私は、行政裁判というんでしょうか、これが司法裁判になかなかなじまないというようなお話もさせていただきましたので、この点もやはり今回の判決は一つ課題を投げかけているんではないかなと思います。
 また、当初石原都知事がこの案を提起したときに、あらゆる自治体がそうでありますが、バブル期に膨れ上がった収入、特に法人関係諸税が激減した、これを何とか埋めなきゃいけないということでこの税を持ち出してこられましたが、私は、収入が減ったのなら、やはり支出をバブル期の前に戻すぐらいの思い切ったことをしなければ根本的な解決にはならないだろうというふうに思っております。
 次は、またいよいよ片山試案についてのお話に移りますが、今回、片山試案では、地方交付税の原資は確保ということでございますが、この地方交付税の抜本的な改革をいろいろとやってはおられますが、もっと思い切った改革が必要ではないかなというのは、交付税が景気動向の影響を受けやすい国税五税に連動しているのが問題であって、景気がよいと自治体は支出をふやしてしまう、これが今回の銀行税の根っこにあるんじゃないかなというふうに考えるからであります。
 まず、この片山試案について、先ほど同僚委員からも財務省さんのお考えはどうだろうということがございましたので、財務省政務官からこの片山試案についての率直な御意見をお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。


■砂田大臣政務官
お答えいたします。
 地方の自立を促す、そういう意味では、国、地方を通じた効率的な政府を実現するということが大変必要なことでございます。国と地方の関係の抜本的な改革を進める必要があることにつきましては、財務省としても異論のないところでございます。
 そのためには、経済財政諮問会議に対する財務大臣提出資料にございますように、国と地方との、行政の徹底したスリム化や地方交付税のあり方の見直し、地方税の充実確保等の総合的な改革と一体として取り組む必要があると認識をいたしております。
 いずれにいたしましても、真に地方の財政的自立を目指す改革のためには、地方の財政運営のために必要な歳入を最終的に保障している地方交付税のあり方についても見直しが必要であると考えるところであります。
 また、今後さらに経済財政諮問会議におかれまして議論が行われるものと考えておりますけれども、財務省としても、総合的な地方行政改革等の道筋を具体化できるよう、総務省も含め関係方面と調整をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
 以上でございます。


武正委員
たしか報道では、塩川財務大臣からは、やはり国債償還の原資がなくなってしまうからとても今の段階では地方への移譲はできないんですよというようなことが漏れ伝わり、記事にもなっておるというふうに理解をしております。
 さて、いろいろ地方の自治体からも地方への財源移譲のプランが出ております。東京都は七・二兆円、島根県は八・〇兆円の移譲案。どこも、この移譲案だとうちの自治体はふえるのか減るのかということが、やはり中心の関心事のようでございますが、どうもそういった形ではなくて、もっと思い切った大胆な形での地方への税財源の移譲と、そしてセットの、今も財務省さんがお話しになられました交付税の抜本的な見直し、改革といったことが必要だろうということでございます。
 PHPの研究所が、ちょうど大臣の試案とほぼ同時期に加藤寛先生が座長で、やはり十八兆円地方への税財源の移譲は可能だよといったプランを発表されております。これは、二〇〇八年に地方交付税と国庫支出金を廃止する、国と地方の債務は別の組織に移して、そして合併を、これはPHPの案ですと、たしか三百弱に、二百五十ぐらいへと合併を進めようという案でございますが、合併の成果が地方に還元する仕組みと。PHPでは、合併特例債、約七割の元利保証は問題ありというふうに言っておりますが、それとは別な形で合併の成果を地方に還元する仕組みにすれば、十九兆円の移譲は可能といったことも提案がございます。
 さまざまな形で今地方への税財源の移譲が言われている中で、民主党では既に、地方交付税ではなくて一括交付金でと。そして、これはシャウプ勧告のときには地方財政平衡交付金といった形で動いていたのが、その後交付税制度に移ってしまったといったこともございます。
 こういった意味からも、この地方交付税改革、大臣も今回の片山試案では幾つか地方交付税改革をうたっておりますが、もっともっと思い切った改革が必要だ、交付税特会の見直しも含めて課題だろうというふうに考えますが、この点について大臣の御所見をお伺いいたします。


■片山国務大臣
言われるとおりなんですが、こういうことなんです。今の国税、地方税という税制と地方交付税と国庫支出金というのは、これは三位一体なんですね。その一つだけ取り出してそれですべて解決するということにはなかなかならないんですね。私は三次方程式だと言っているんですが、この三つをともに解決せにゃいかぬと思っておるんです。
 そこで、交付税が大変難しいのは、今、国税五税にリンクしておりますけれども、地方にとりましては、これは国税の形を変えた地方税だ、地方固有の税源だ、既得権とは言いませんけれども、そういう考えがあるんですね。だから地方交付税の総額というのは、地方の取り分として位置づけてもらった上での議論をしなきゃいかぬ。
 ただ、交付税制度も長い歴史の中でやや金属疲労みたいなところもありますから、例えば段階補正は見直すとか事業費補正は見直すとか、できるだけ国の関与の縮減をしてもらって簡素化するとか、あるいは我々は、留保率も来年度は見直していこう、こういうことで全体の効率化、合理化ということは同時に考えていかなければなりませんけれども、これだけ我が国の地方に経済力の格差がある、税収の格差があるときに地方交付税をなくしますと、もう六、七割の地方団体は財政運営できません。だから、好むと好まざるとにかかわらず、財政調整だけじゃなくて財源保障を交付税でしているんですね。
 私は、交付税についていろいろなことを言われる学者の方もおられますけれども、そこのところはぜひ考えていただきたい。ある意味では、弱小地方団体には地方交付税が命綱なんですね。これを財政調整だけやれなんといったら、みんな財政運営はできないですよ。だから我々は、できるだけ地方団体を大きく強く、財政基盤も強くしよう、こういうことも合併のねらいの一つにあるんです、それだけじゃありませんけれども。
 だから、そういうことの中で、地方交付税制度も、これができてからもう約四十七、八年になりますから、五十年近くなりますから、ぜひ私は、この抜本的な見直しは、将来の地方分権、地方自治のためには避けて通れない、ただ、今はその時期ではない、もうちょっと時間が要る、こういうふうに考えております。


武正委員
先ほどのPHPもそうですけれども、この財源調整、特に地方自治体に対する財源調整、これは必要であるし、財源の補てんも必要である。これは東京案も含めて、いろいろな地方への税財源の移譲案はすべて認めているところだと思うんですね。ただ、交付税制度がやはり問題が多い、基準財政需要額の算定も不透明である、こういったことはもう当委員会でも何度も議論があるわけですので、片山試案のツーになるのかわかりませんが、この一カ月で、経済財政諮問会議で、財務省さんあるいはさまざまな省庁間での協議が進められると思いますので、たしか四名の議員さんがペーパーを出されておりますよね。その中でもやはり、交付税改革と地方税の充実はセットだよというような形で、牛尾議員を初め四名の方がペーパーを出されておりますので、ぜひこの交付税改革を同時に進めていただきたいということをお願いするわけでございます。
 基準財政需要額の算定については、大綱を決定するための第三者機関が必要ではないか。これは、シャウプ勧告のときに地方財政委員会を設置して、実際に五〇年から五三年まで活躍したといったことも過去あるわけでございますので、思い切った、地方交付税改革のときに、大変算定が不透明と言われる大綱につきまして、第三者機関による算定、この点について再度大臣の御所見をお伺いして、質問を終わらせていただきます。


■片山国務大臣
地方財政委員会というのは確かにありまして、あのころは地方財政平衡交付金と言われておったんですね。あのときは戦後間もなくでございまして、アメリカ式の行政委員会がいっぱいできたんですね。その中の一つで、内務省も解体されましたし、地方財政委員会というのができたんですが、アメリカは大統領制ですから、一元的に大統領に権力、権限が集中しているものですから、ああいう独立行政委員会をつくって権限を分けるんですね。日本は議院内閣制ですからね。
 それから、地方交付税というのは不可分に国の政策、施策と結びついているんですね。地方にお金を与えるだけじゃないですよ。国のいろいろな施策の財政的裏打ちもするものですから、これは第三者機関では私はうまくいかないと思います。地方財政委員会時代にも地方財政担当の国務大臣はおったんですよ。だから、それは私は、今の地方交付税制度は算定を透明化して公平にしながら、やはり内閣の一員である総務大臣なら総務大臣が責任を持って算定する今のやり方の方がベターではないか、こういうふうに思っております。


武正委員
この第三者機関は、大臣とはいつもこうした議論を積み重ねておりますが、議院内閣制であっても、やはりどうしても与党と内閣、行政府、この癒着といったこともよく指摘をされるわけでございますし、また行政のさじかげん、これがいろいろなところで問題になるわけですので、準立法、準司法的なものは独立をさせようといったことでありますので、再度この点はお願いをして、質問とさせていただきます。どうもありがとうございました。

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