【決算行政監視委員会第二分科会】キャリアカウンセラーについて

2002年07月23日

武正委員
 民主党の武正公一でございます。
 きょうは、キャリアカウンセリング、また、男女共同参画の視点から共学校ということが一部推進をされる向きがございますが、私は、公立には男子校、女子校、それぞれのよさ、選択肢があってよいのではないか、こういった視点から質疑をさせていただきます。
 まず最初に、この四月十二日に厚生労働大臣が記者会見で、厚生労働省として五万人目標でスタートしたキャリアカウンセラーをキャリアコンサルタントと名称変更をしたということでございます。
 昨年、民主党では、私も法案提出者として、臨時国会に、小学校から各学校に進路指導を目的とした相談員を置ける、そうした学教法の改正を議員立法で出させていただいております。その目的は、これまでのいじめを対象としたスクールカウンセラーのみでは問題解決にならない、子供たちの生きる力を養成するためにも、やはり将来の進路、進学、就職、そうしたはっきりとした目的、意識づけを行うことが小学校から求められる、そのための外部の専門家を導入してはいかがかという法案でございます。
 さて、先ほどの話に戻りますが、厚生労働副大臣がおみえでございますので、なぜ、厚生労働大臣は、キャリアカウンセラーをキャリアコンサルタントと名称変更すると記者発表されたのか、一点。
 そしてまた、昨年来、厚生労働大臣はさまざまな答弁で、厚生労働省は文部科学省と連携をしてキャリアカウンセラー五万人体制を実現する、文部科学省と連携をするということを何度も何度も言っておられますが、具体的にどのように連携をしてきたのか、また、これから連携をされようとするのか。以上、お伺いしたいと思います。


■狩野副大臣
 お答えいたします。
 厚生労働省では、平成十三年十月から、専門家の方々にお集まりをいただきまして、キャリアコンサルティング研究会を開催いたしました。そのときに、キャリアコンサルティングの実施に必要な能力要件等について検討を行ってまいりました。この研究会におきまして、キャリアコンサルティングについては、キャリア形成に関する相談ばかりではなくて、指導助言や求人、求職のマッチング等の支援も行うことなどを考えれば、カウンセラーよりもコンサルタントを用いることの方がより適当ではないかという議論もありましたので、本年四月の報告においてはコンサルタントが用いられたところでございます。
 このため、厚生労働省におきましても、研究会報告後はキャリアコンサルタントという用語を用いることといたしましたけれども、一般的にはキャリアカウンセラーやキャリアアドバイザーなど、その他の名称が使われることを妨げるものではございません。
 また、これまでの文部科学省との連携につきましては、キャリアコンサルティング研究会の委員を選定するに当たりまして、学校における相談指導の実態に詳しい専門家の推薦を同省に依頼をしたほかに、同省の担当者にも研究会の議論に参加していただいております。
 さらに、今後、厚生労働省といたしましては、キャリアコンサルタントの指導的人材の育成のあり方についても検討することにしておりますけれども、そうした検討におきましても、文部科学省と連携していきたいと考えております。



武正委員
 カウンセラーをコンサルタントに変えた、このことの持つ意味というのが私は大変大事なところがあると思っております。カウンセリングということですので、やはり心理面に踏み込んだ、あるいは教育課程に踏み込んでキャリア形成にアドバイスを行おうということで、当初、厚生労働省さんが中心となって文科省さんの連携を得てやろうといったことで来たわけでございますが、ここでコンサルタントと名前を変えてしまうと、心理面での踏み込み、あるいは学校教育面での踏み込み、こういったところがおろそかになるのではないかというふうに危惧をするわけでございます。
 また、厚労省さんでは、今度このキャリアコンサルタントの資格要件について、この夏発表ということで進めておられますが、ともすると、そうした資格要件が企業経験者、そういった面がどうも強くなってしまうのかなということを危惧しております。
 やはり、学校教育面あるいは心理面、カウンセリング、こういったところを重視していただかないと、せっかく五万人体制でやろうと進めておられるキャリアコンサルタントが絵にかいたもちになってしまうのではないかなと、今大変大事な岐路に立っているように私は認識しております。
 さて、文科省さんは、このキャリアコンサルタントを厚労省さんが進めるについて、これまではキャリアカウンセラーでしたが、どのように連携、協力をしてきたのか。また、これからしようとするのかお伺いをするのが一点目でございます。
 また、ことし二月一日、検討会議ですか、高卒者の職業生活の移行に関する研究、三月五日には最終報告も出ておりますが、この中で、二月一日段階では、キャリア教育を小中学校から高校まで実施することや、そのための専門的指導・援助者を学校に配置することを決めたとしておりますが、この専門的指導・援助者とはどういう人たちで、どのような資格を有し、どのぐらい配置をしようとするのか。また、それは教員の資質向上によって行うのか、外部の専門家を取り入れるのか。それぞれをどのように取り組もうとされているのか。これは、大臣、副大臣、よろしくお願いします。



■遠山国務大臣
 委員御指摘のように、私は、学校におきまして、子供たちに将来の自分の職業についての展望を持つ、あるいはどういう職業が世の中にあるのかというようなことを知る等のことは大変大事でございまして、これまで日本の教育の中では必ずしも十分ではなかったと思っておりまして、その文脈の中で、厚生労働省におきましてキャリアコンサルティング研究会を発足された、これは大変意義が深いのではないかと思っております。
 我が省としましては、この調査研究につきましては、オブザーバーとして参加、協力してまいりました。そして、キャリアコンサルタントは、今後五年間で五万人という目標を持って養成される予定と聞いております。
 文部科学省といたしましても、特に高等学校での進路指導におきますキャリアコンサルタントの活用について、今後、厚生労働省との連携、協力のもとに必要な情報提供などに努めてまいりたいと思っているところでございます。
 また、そういう外部の方々に学校に来ていただいて、いろいろ助言をいただくような方策といたしましては、平成十三年度から、学校いきいきプランということで、社会人の登用の方途もとってまいっているところでございまして、そのような形で今後とも十分に連携をとりながら、学校教育におけるキャリア教育というものの充実に資していきたいと考えております。


■岸田副大臣
 もう一点、先生の方から、進路指導にかかわる人材の質の向上についての御質問がございましたが、まず、進路指導担当教員の資質向上がまず重要だというふうに考えております。この点につきましては、文部科学省において、全国規模で進路指導講座等の研修を行っているところでありますし、各都道府県におきましても、各種の研修、講習が行われているというような形で、各段階でこうした進路指導担当教員の資質向上に努力しているところであります。
 加えて、学校いきいきプランですとか、あるいはキャリア教育実践モデル地域指定事業等々の事業を通じまして、外部の人材をキャリアアドバイザーとして活用しているわけでありますが、こうした外部の人材と学校関係者との連携協力、これは大変重要な点だと考えておりまして、各教育委員会におきまして必要な情報提供、指導が行われるよう促しているということでございます。こういった促しの中で資質の向上等を図っていくというのが現在の状況であります。


武正委員
 高卒者の職業生活の移行に関する研究、これにおける、先ほど触れました専門的な指導・援助者、これは外部の専門家を使うということだと理解をいたしました。具体的なことは三月五日の最終報告の方にも出ているようでございます。
 さて、十三年度、十四年度、文科省さんでは、六地区のキャリア教育実践モデル地域、ここで実際にキャリア教育を進めようということで、たくさんのいろいろな団体と協力をして行っております。この十三年度、十四年度の六地区では、先ほど厚労省さんからも、文科省さんに派遣をしたりお互いに連携をするということでございましたが、厚生労働省のこのキャリアカウンセラー、名前が変わってキャリアコンサルタント、六地区で活用したのか、また十五年度以降活用するおつもりはあるのか、文科省さん、お答えをいただきたいと思います。



■岸田副大臣
 御指摘の全国六地域のキャリア教育実践モデル地域の指定でありますが、この中身としましては、キャリア教育の推進のために、従来、高等学校が中心であった指導の内容それから指導方法を中学校まで広げて、中学校、高校を通じて一貫した指導内容、指導方法の開発を行うということになっています。中学校の段階からキャリア形成、あるいは勤労意識について指導を行うというような内容を含み、さらには、やはり地域それぞれの事情に応じた対応を考えなければいけないということで、地域の人材を活用するというような内容、こういった内容を盛り込んだ調査研究を行っているわけであります。
 厚生労働省の方で進めておられる事業、十三年から研究が進んでいるわけでありますが、この事業と、先ほど申し上げました調査研究、直接には今かかわってはいないわけでありますが、今後、それぞれ並行してその調査研究を進めていく中にあってその連携は考えられるかとは思っております。
 なお、直接の連携ではありませんが、平成十一年度以降、厚生労働省の人材供給事業との連携の観点から、緊急地域雇用対策特別交付金を活用した進路指導の専門家を学校に招聘する事業、これを、平成十三年度は、先ほど大臣から申し上げました学校いきいきプランという形で実施しておりますが、こういった事業を厚生労働省と連携して行っているということはつけ加えさせていただきます。
 以上でございます。



武正委員
 十五年度以降、厚労省さんの五万人キャリアコンサルタントを生かして、文科省さんがキャリア教育実践モデル地域、これに積極的にキャリアコンサルタントを活用したいという形での発言まではまだちょっと出ておらないということを今承ったのですが、ぜひ、厚労省さんが積極的に進めておられますから、これを文科省さんとして大いに活用するということが必要ではないかということを申し述べさせていただきます。
 さて、逆に厚労省さんは、文科省さんがこういった実践モデル地域を実践されております。実際にこういったところに厚労省さんとしてキャリアコンサルタントを派遣する、こういったことについてはどのようにお考えになりますか。


■狩野副大臣
 ちょっと先ほどの答弁の中で補足させていただきたいと思いますけれども、キャリアコンサルタントと呼ぶことに対しましては、委員御指摘の心理学的要素も当然に求めることとしております。そういうことで養成を図っていきたいと考えております。ですから、心理学の専門家にもその部分を教えていただくことも考えなければならないというふうに考えております。
 先ほど委員御指摘いただきました、厚生労働省といたしましては、キャリアコンサルタントについても、これから五年間で五万人を目標として、官民協力のもとに養成を推進しているところでございますけれども、その養成されたキャリアコンサルタントにつきましては、職業能力開発機関や職業紹介機関のほか、民間の企業、教育訓練機関、人材ビジネス企業等の雇用の関連分野において幅広く活躍してもらうことを想定させていただいております。
 さらに、学校の進路指導、職業指導の場面における活用も考えられておりますから、文部科学省からの要望等に応じて必要な協力を行ってまいりたいというふうに考えております。



武正委員
 厚生労働副大臣には、もうこの後質問がございませんので、お引き取りをいただければと思いますが、最後、厚生労働省は、この三月に各都道府県労働局職業安定部長あてに通知を出しているんですね。これは、先ほど来指摘をしておりますが、高卒者の職業生活の移行に関する研究最終報告を踏まえた対応ということで各都道府県に通知を出しておりまして、文科省における事業との連携もするようにという通知を出しておられます。
 ですから、ぜひそのキャリアコンサルタント、私は、五万人をこれから養成していくについて、キャリアコンサルタントには二段階あるんじゃないかなと。もう既に千人は、昔の雇用促進事業団、名称は変わりましたが、そういったところに配置をされておりまして、これから企業内でも養成をということで五万人を何とか達成しようと。ただ、その中で二段階あるんじゃないか。ある面、指導的な立場に立つ、心理面もしっかりとカウンセリングできる、そんな高度なキャリアコンサルタント、そしてまた、実際に現場でいろいろとお話を聞く、傾聴という言葉がありますが、そういった、ある面二段階に分かれていくのではないかなというふうに思っておりますが、文科省との連携について、厚生労働大臣そして副大臣が言われるように、積極的にお取り組みをお願いいたします。ありがとうございます。
 さて、文科省さんにお伺いをいたしますが、ことしの三月に、今厚労省さんが全国の職業安定部長に通知を出しているのと同時に、文科省の児童生徒課長さんのお名前で各都道府県教育委員会進路指導担当課長に、同じくやはり高校生の職業生活の移行に関する研究、これを厚労省、文科省共同でやってきた、最終報告がまとまった、キャリア教育、インターンシップの推進などを通じて高校生に望ましい職業観、勤労観を育成するなどで、これをしっかりと都道府県労働局と協力して取り組まれるようにという通知を出しております。
 これを受けて、また五月に、全国の都道府県の担当者を集めて会議をやっておられます。その会議を受けた都道府県の担当者がそれぞれの都道府県に戻って、都道府県内でそれを周知徹底したと思うんですが、どのように周知徹底をしたのか、お答えをいただけますでしょうか。



■遠山国務大臣
 今御指摘いただきましたように、文部科学省におきましては、三月に報告書を厚生労働省と取りまとめて、それを各都道府県に通知をし、そして本年五月に各都道府県教育委員会の高校生の就職指導担当の指導主事を対象とした連絡協議会を開催いたしまして、三月の通知以降の各都道府県における就職慣行の見直し状況等についての情報交換や協議を行ったところでございます。
 私は、今回の動きは大変意味があると思っておりまして、あの報告の中で、高卒者の厳しい雇用状況にかんがみまして、生徒、企業がお互いに納得できる仕事あるいは企業、人材選びができますように、いわゆる一人一社制などの就職慣行の見直しを行うということについてのしっかりした指導や情報交換を行ってまいったということで、大変意味があると思っております。この協議会におきます協議内容の成果につきましては、各都道府県において各高等学校の進路指導主事を対象とした講習会、また、各高等学校の校長会、教頭会等で適切に伝達、周知されたものと承知しているところでございます。
 私どもとしまして、高校の場合、多くが都道府県立であるということもございまして、都道府県の進路指導主事といいますか、都道府県の就職指導担当の指導主事を対象として連絡協議会を開きますが、必要に応じて市町村の、もし市立のものがあればそこから徹底して連絡をするように、また各高等学校についてもそこから連絡をするように、私どもの行政の対応の情報の流れはそういうふうになってございまして、このことについてもきちんと伝達、周知されたものと考えております。



武正委員
 今、主に高等学校ということでございましたが、最終報告では、先ほど来触れておりますように、小学校からのキャリア教育ということが盛り込まれておりますので、この点の小中への指導徹底もやはり必要ではないかなということを申し述べさせていただきますし、また、事前のやりとりを文科省の方とされましたら、会議をやりました、集めて皆さんにお話しした、その後、各都道府県でどのようにやっておられるかは把握していませんというお話だったんですね。
 例えば企業ですと、全国の営業部長を集めて、ことしの売り上げ、これが目標だと社長が訓示をする、各営業部長が各支社に散って、またそこで社員さんにやって、あるいは支所にやって、そうすると、当然それでフィードバックをするわけですね。各営業部長が本社の営業本部長にフィードバックをして、それをまた社長に上げる。
 どうも何か、文科省さんのお話を聞いていると、そういうフィードバックが余りされていないような印象を受けたんですね。これが一つのやり方なのかな、上から下に流して、ちゃんと、どういうふうにやりましたよという報告がもしないとすると、これは私は問題じゃないかなと。誤解だったらあれですけれども、そういったことがやはり必要ではないか。これは指摘にとどめさせていただきます。
 さて、先ほど副大臣は教員の資質向上について触れておりますが、今全国に、各学校に進路指導主事が何人ぐらいいて、それぞれの進路指導主事の平均在職年数は何年なのか、これをお伺いしたいと思います。先ほど、どのように研修を行われているかはお聞きしましたので、その点だけお伺いします。



■岸田副大臣
 公立学校における進路指導主事の人数は、学校基本調査によれば、平成十三年度において、中学校九千八百三人、高等学校四千五百七十八人、合計で一万四千三百八十一人となっております。そして、御質問の在職平均年数ですが、平均年数については、正確に平均年数を計算した資料がありませんが、約二年から三年というケースが多いというふうに承知しております。



武正委員
 これも事前にお伺いをしたら、平均年数はわからない、把握していないということなんですね。今、副大臣も、二年から三年が多いのじゃないかということなんですが、私は、教員の資質向上、これからこのキャリア形成のために大変大事だと思っておりますし、各学校におかれて全国で一万五千名の進路指導主事に対する研修、これは大変大事ではないかなというふうに思っておりますので、実態把握をぜひしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。



■岸田副大臣
  実態把握ということは大変重要な点だと考えております。御指摘の点も含めて、こうした政策の成果を確認する意味からも、極力その調査を進めたいと考えます。



武正委員
  ありがとうございました。
 さて、筑波大学には社会人向けの修士課程でカウンセリング専攻がありまして、ここに渡辺三枝子教授がいらっしゃるのですが、渡辺教授がこういうふうに言っています。
 現場の教師から、ガイダンスカウンセリングの研修をきちんと受けたいという声が最近強く上がり、専門性の重要性に気づき始めている。スクールカウンセリングは余りにも治療に偏っている。適した教師に専門的教育を施す必要がある。厚労省さんが今進めておられますキャリアコンサルタントは、ある面、企業経験者を採用するといったことでありますが、やはり、キャリアガイダンスに関する教員の研修、進路指導担当の教員、進路指導主事等への研修が、あるいは配置が軽視されているとすれば、これは本末転倒だ、企業経験者ばかり優遇してはいけないよと。日本の大学院の現状を見ますと、心理療法や不登校問題に対応できる教官は多いのだけれども、生きる力を育てるためのキャリアガイダンス、キャリア教育、そしてキャリアカウンセリングを指導できる教官は非常に少ない。
 こう指摘をしているのですが、私は、この筑波大学は今トップサーティー入りを目指して頑張っておられるので、ともすると、こういったキャリアカウンセリング専攻、大変大事な部門が見落とされがちではないかと危惧をするのですが、大臣、こういった渡辺教授の指摘をどのようにお考えになりますか。



■遠山国務大臣
  学校教育で生徒に望ましい職業観、勤労観を育成するキャリア教育を推進いたしますために、教員のキャリアカウンセリング能力を向上させますことは大変大事なことだと考えております。
 私どもといたしましては、今年度からキャリア教育の推進に関する総合的調査研究を実施することとしておりますし、また、中高一貫したキャリア教育推進のために、平成十三年度から二カ年の実践的調査研究事業といたしまして、キャリア教育実践モデル地域指定事業を実施しているところでございます。
 私も、今御議論を伺いながら思うことでございますけれども、学校におきます進路指導主事に対しまして、もう少し社会の職業の動きとか、キャリアコンサルタントの養成のために用いるカリキュラムとかプログラムというものを勉強していただく、あるいはそういうところへ派遣するというようなことも、これは全く今思ったところでございますが、将来はそういう柔軟な対応をしながら、本当の意味のキャリア教育が実質化されるように工夫していくのがいいのではないかと考えます。



武正委員
  前向きな御答弁、ありがとうございます。
 特に今、厚労省さんがキャリアコンサルタントの資格要件を決めようとしているさなかでございますので、ぜひ文科省さんから、積極的にその資格要件はいかにと、特にその面では、カウンセリング、心理面、特に学校教育での取り組み、この点が必要なんだよといったところを強く御主張いただきたいと思います。
 さて、冒頭触れました男女共学についてでございますが、今、私立高校では、男女共学校の比率が五七%、全体で八七%ですね。国立校は八〇%を超えるということでございます。公立校では九六・四%ということですが、大臣、副大臣、この男子校、女子校についてどのように、公立校についてお考えになるか、お答えをいただけますでしょうか。



■遠山国務大臣
 男女がお互いに尊重し合い、協力し合わなければならないわけでございまして、教育上、男女の共学は尊重されるべきものと考えるわけでございますが、このことは、一概に男女の別学を一律に否定するというものではなくて、男女の共学、別学につきましては、地域の実情、あるいはその歴史的経緯などのようなことも十分配慮をして、設置者が適切に判断すべきものと考えております。



武正委員
  ちょっと時間がないので、申しわけありません。
 今、埼玉県では、男女共同参画苦情処理委員会が勧告を行いました。「高校生活の三年間を一方の性に限ることは、人格形成からも、また男女共同参画社会づくりの視点からも問題である。 高校生という多感な時期に、異性と真剣に向き合い共に協力し合って問題を解決していく体験こそ重要である。 公立の高校として、男女の性差にとらわれることなく個人の能力・個性を発揮していくため、男女別学校の共学化を早期に実現する必要がある。」このように指摘をされ、今、男子校、女子校、別学の高校では、PTAあるいは同窓生を中心に、これまでの伝統もあり、また、公立高校の選択肢は多様であっていいんじゃないかというようなこともあり、この共学化への動きに問題ありというような動きが出ております。
 また、アメリカでも、これまで連邦法からいったらやはり男女共学ということでございましたが、公立校にも選択の幅を広げるための措置として、男女別学いいんじゃないかということで、今パブコメを実施中でございます。男女別学を奨励する方向で公立学校、検討に入った、アメリカ教育省という記事もあります。
 先ほど、設置者の意向ということを大臣申されましたが、公立校に多様な選択肢があってよいといった点、そしてまた男女共同参画の視点からのこうした勧告、こういったことで現場は非常に混乱をしているんですが、文部科学大臣として、再度御答弁をお願いいたします。



■遠山国務大臣
 今回の埼玉県の男女共同参画苦情処理委員からの勧告につきましては、現在、埼玉県の教育委員会において、地域の実情や関係者による幅広い意見等を踏まえながら検討を進めているものと承知しております。
 県によりますと、地域からの要望を踏まえて、新設校については共学とすることで共学化を進めながら、男女別学の学校は、それぞれ長い歴史の中で独自の校風と特色を持って、生徒や保護者からも学校を選ぶ際の選択肢の一つとして高く評価されてきていると聞いております。
 公立学校におきます男女の共学は、地域の実情等に応じて設置者が判断すべきことでございますから、我が省としては、埼玉県教育委員会の検討を見守りたいと考えております。



武正委員
  以上で終わります。ありがとうございました。

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