【国土交通委員会】区分所有法について
2002年11月13日
■武正委員
民主党・無所属クラブの武正公一でございます。区分所有法について質問をさせていただきます。
まず、先ほど平岡委員も冒頭指摘をさせていただきましたが、前国会、私も官製談合防止法案の法案提出者として臨みました。当委員会の委員長の久保委員長も、公明党の担当者として精力的に法案成立に臨まれたことも承知をしております。ただ、民主党案と与党案との差というものは歴然としておりまして、それを附帯決議に盛り込んだところでございます。
法改正をやはりしなければならないということを改めて先ほどの質疑で認識したわけでございますが、公取さんからは、一月六日に法が施行されても法的措置はとれないという答弁があったわけでございますが、いわゆる民主党案である、入札談合を行わせ、助長、談合のおそれがあることを知りながらといった部分をやはり改正しなければ、あるいはまた、損害額、公取の意見、あるいは会計検査院等もやはり絡めていかなければといったことを考えるわけでございますが、法改正の必要があるというふうに大臣として御認識をされているのかどうか、御見解を賜りたいと思います。
■扇国務大臣
先ほど平岡議員と論議しているのをお聞きいただいたと思いますけれども、現段階では、私は、与党とか野党とかということではなくて、この法案、官製談合法案を通したときには、与党三党の法案に民主党も賛成していただいて通ったということで、それを改正するか改正しないかは、出した皆さん方の改めての態度であろうと。これは政府から出したわけではございませんから。皆さん方の議員立法という形をとっておりますので。
私は、今それを改正するというよりも、私に課せられた一番の大事なことは、きのうのようなものがなぜ起こって、そしてどうして知られなかったのか。少なくとも、そういう談合があってはならない、また丸投げもあってはならないということが入契法に明記してあるわけですから、その入契法の施行以後、こういう関連の事件が起こるのは許せないと言ってありますので、改めてこの根っこを考えなければ、改正するといっても、どこをどう改正すれば二度とこのような事件が起こらないかという原因を探らなければわかりませんので、現段階では、道路公団のみならず各公団に、情報を上げるようにと私は言ってありますので、それが上がってきた段階で考えるべきこと、第一段階が今の状況でございます。
■武正委員
であるならば、公募型指名競争入札、これは談合を防止するための一つの入札方法ですよという答弁も、国交省さんから随分出されました。しかし、この公募型指名競争入札を装った、内部情報を伝えるなど構造的な談合が露呈したわけでございます。
加えて、入契法、入契法というふうにお話をされますが、それであるならば、入札適正化法第十五条に、一般競争入札を原則とすべきというふうに法改正すべきと考えます。このことも既に前通常国会で民主党案としても提示をしておりますが、政府が出された入契法の法改正については、どのようにお考えでしょうか。
■扇国務大臣
入契法は昨年の四月から施行されました。そして、その中に、談合及び丸投げに関して、公取に届けなければならないという義務も明記してあります。それと、先ほども私は平岡議員にお答えしましたけれども、第三者委員会の入札監視委員会をきちんと設置するということも明記されております。
そして、今、一般入札にすべきではないかということですが、私も公団の総裁を呼んで言いました。けれども、どうしても随意になるということです。
私、今これの実情をちょっと話させていただきますと、例えば高速道路をつくりますね。そのときに、かさ上げをします。そして、一般道路をトンネルでするということで、かさ上げした部分は下に空間ができるじゃないですかということを言っているのですが、一般競争入札にしても、道路というのは、緊急工事をするときに、その緊急に対応できる会社でなければ、結局工事ができなくなる、こうおっしゃるんですね。それらのメンテナンスを図る場合に、道路の近くに資材倉庫を持っているようなところがどうしても入札に入ってくるので、一般にしても、結局随契と同じような形の会社ばかりが入札してしまうということですが、私は、今言ったように、高速道路は土盛りするわけですから、高速道路をごらんになったらわかりますけれども、その下を駐車場にしているところもありますから、ああいうところを利用して、公団自体が資材をきちんとそこに保管すれば、民間が倉庫をつくらなくたって、道路の補修にその資材を使って、一般入札にできるではないですかということも今指導しているところでございますので、それらのことに関して法律を変えるということは、去年の四月から施行してまだ一年半しかたっておりませんので、そこで今法律を変えるということよりも、まず現状把握がもっと大事である。まだ入契法は市町村まで徹底されておりません。全国の各知事さん、政令指定都市には私たちは国土交通省に十の懇談会をつくって指導しておりますけれども、全国の市町村三千三百にいくまでにはまだ時間がかかっているという状況でございますので、今それを改正するという段階には至っておりません。
■武正委員
この区分所有法の論議は、マンション建替え円滑化法の改正も政府として提出をされております。つい通常国会で法律を通しながら、すぐ改正というようなことをされている提出者としての答弁とは到底信じられません。
また、入契法でございますが、入契法の論議のときに既に、発注者が談合行為をするいわゆる官製談合、これが抜けているじゃないかということで、それをやはり課題として議員立法で出したのでございます。みずから談合を認めるというのはできないのかもしれませんが、政府が当初からそれに手をつければ、何も議員立法で出す必要はなかったわけでございます。
ということで、今の御答弁では到底納得ができないし、まして、公団がこう言っているから、一般競争入札――私は原則と言ったのでありまして、原則ということも、先ほどのような御答弁で、公団の総裁の例をお引きになられるというのは、今現在民営化論議をされている、その所管大臣の答弁としては到底納得ができないのでございます。
さて、区分所有法の方に移らせていただきますが、法務副大臣におかれましては、これは、中間試案のとき、三十年、四十年という両案記載があったわけですが、これがなくなった理由。そしてまた、これはあわせてお聞きをいたしますが、第十六回の審議会から、委員の皆さんから、年数を入れると合理性に欠ける、いや何かそういう年数を入れるべきだという発言があると、いや合理性に欠ける、年数を入れるべきだと言うと、合理性に欠けると、そういったことで、当初三十年といった最後の一つの落としどころが、結局法案になったときには削除されたわけでございますが、やはり、これは合理性に欠けるというふうにお考えになるのか。
あわせて法務副大臣に……(扇国務大臣「まず私から言います。ちょっと一言」と呼ぶ)
■扇国務大臣
今、武正議員がおっしゃいました、この間マンション法の法案を通したのに、すぐにまた追加してというふうにおっしゃいましたけれども、これは全然違います。
きょう初めて論議に御参加になったからおっしゃっていますけれども、私は、マンションの管理、保持、そしてマンションの建てかえを含めて、これは車の両輪であるということをきのうからお答えしております。出したものが不足だったからということではありません。両輪だということを申しておりますので、出したものをまた出すという御質問に関しては、私は疑義がありますし、それはおかしいです。きのうも、私は、やっと車の両輪がそろいましたよと申し上げているんですから、この間出したのにまた重ねて出すということではなくて、法務省の審議がおくれたから一緒に出せなかったということでございますから、それは間違えないようにしていただきたいと思います。
■増田副大臣
私へのお尋ねでございますが、武正先生の問いにお答えをしていきたいと思います。
二つあったと思いますが、まず一つは、中間試案において築後三十年、四十年という要件があったがなくなった、理由はどうだという点が一点だと思います。
こちらからお答えをしていきますが、法制審議会建物区分所有法部会が本年三月に取りまとめた中間試案では、建てかえ決議の要件として、区分所有者及び議決権の各五分の四以上の多数決を得ることのほか、建物が新築された日から三十年または四十年を経過したことなどを要件に付加した案をお示しをして、一般からの意見等をお聞きをしております。その後、寄せられた意見や総合規制改革会議の委員等から行ったヒアリングの結果等も踏まえ、さらに部会において検討したところ、五分の四以上の多数決のみで建てかえができるものとする意見と、中間試案でお示しをいたしました、多数決に加えて築後三十年の経過等を必要とする案とが有力に主張され、結局、意見の一致を見ることができなかったため、同部会が本年八月に取りまとめた改正要綱案では両論が併記されたものとなっておりました。
これを受けて、本年九月の法制審議会総会では、この両案のどちらが適当であるかという点について検討が加えられましたが、築後三十年の経過等を必要とする案につきましては、構造や管理の状況がさまざまな建物に築後三十年という基準を一律に適用するのは合理的でないこと、築後三十年を経過するまでの間に建てかえの必要性が生ずる場合についても建てかえが実施できるような要件を別に定める必要があるが、そのような要件を明確化の要請を満たしつつ定めることは困難であることなどの理由から、大多数の委員はこの案に反対し、五分の四以上の多数決のみで建てかえを認めるべきであるという意見でした。
そこで、法制審議会総会では、五分の四以上の多数決のみで建てかえができるものとする案に一本化する形で要綱を決定し、法務大臣に対して答申をいたしました。改正法案はこの要綱に基づきまして立案されたものですので、中間試案でお示しした築後三十年または四十年の年数要件は削られております。
それから、重ねてということで、合理性という関係をお尋ねになりましたが、建てかえ決議の客観的要件を年数要件とすることについての合理性に欠けるという意見があったことについてどう考えるかというお尋ねでございました。
法制審議会の審議の中で、一定の、築後三十年が経過したことを、あるいは四十年が経過したことを建てかえ決議の要件とする案につきましては、基準として明確であり、建てかえの必要性のあるマンションの相当部分をカバーできるのではないか、当該年数が建てかえを検討するきっかけになるのではないかなどのメリットは指摘されていたところであります。
しかしながら、この案につきまして、委員御指摘のように、区分所有建物の物理的構造や管理の状況等が建物ごとにさまざまでありまして、老朽化の進行の度合いは個々の建物で著しく異なる場合がありますことから、すべての区分所有建物について、一定の築後年数の経過という形式的基準を一律に適用することの合理性を説明することは困難であるという意見もあり、法制審議会で慎重に御審議をいただいた結果、この意見が大勢を占め、一定の築後年数が経過したことを建てかえ決議の要件とする案は答申に採用されなかったわけであります。法務省としても、この法制審議会の結論を尊重しまして今回の法案を作成したものであります。
そこで、二番目のお尋ねは、副大臣に問うというのは、おまえはどう思うかというのが入っていますか。(武正委員「はい。とにかく手短にお願いします」と呼ぶ)それでは、それも簡明に申し上げます。(武正委員「それを聞きたかった」と呼ぶ)そうですか。
今から足かけ約三年前に、私は有珠山噴火の現地対策本部長、現地の責任者で有珠山に参りました。噴火と地震はつきものですから、ちょうどそのときに震度五前後の大きな揺れが参りまして、棚にあるものが全部倒れました。びしびしという音がしまして、私はたまげて、すぐ伊達市の市長に、市長さん、この建物は耐震基準に合っていますかと。私は消防団長を長いことやっていましたので、合っていますかと聞きましたら、いや、耐震基準は昭和五十六年ですから、その前の建物ですから合っておりません、そうですかと。後で気づいたんですが、建物にはひびが入っておりました。
あした噴火するというときでしたから、会議はその四階で続行していったんですけれども、今になって思うと、私は、現在三十年ぐらいたっているのが十二万戸あるというふうに聞いているんですが、やがて十年もたったら今度は九十万戸か百万戸近くになるというふうに聞いております。これを考えると、耐震基準に合った建物というのは、これはほとんど難しいんじゃないか。こういう理解で、私も、副大臣に問うと言われれば、私もそのような観点から大変苦慮した中でこの法案を提出する方に賛成したわけです。
そこで……(武正委員「いや、もう、ちょっと時間が限られておりますから」と呼ぶ)いやいや、あと、簡明に申し上げますから。この答弁、これから簡明に申しますから……(武正委員「質問権を遮らないでいただきたいと思いますので」と呼ぶ)そうですか。よろしいですか。はい、わかりました。以上です。
■武正委員
ちょっとお時間も限られておりますので、国土副大臣に本当はお聞きしたかったんですが、もう今法務副大臣のですべて意を尽くされたというふうに思いますが、ただ、四月の段階で、国土副大臣は、やはり三十年にすべきと。きのうも我々の同僚委員からありましたけれども、そういった指摘があったわけでございまして、この合理性ということで、国土大臣にもお聞きしたいんですが、ちょっと時間の関係で、次に移らせていただきます。
建てかえか修繕かの判断、評価、調整すべきはだれか、人や組織はどのように考えるかということで、先ほど国土副大臣にお聞きできなかった分もございますので、これは法務副大臣も御用意いただいていると思うんですが、国土副大臣の方にちょっとお答えをいただけますでしょうか。
■中馬副大臣
先ほどの、年数のことはもう法務副大臣の方からお答えいただきましたからあえて申しませんが、しかし、三十年とかいった特定の年数をしますと、その年数を過ぎたものはすべて老朽マンションだというようなことにもつながりますので、こういったことを避けたわけでもございます。
それから、建てかえか修繕かという話でございますが、この判断は、あくまでやはり、これは、すぐれて集合住宅といいますのは、そこの住民の一つの共同体だと思います。そうしますと、やはりその方々が、いろいろな茶飲み話等で、もう建てかえなきゃいけないなとか、あるいは、もうちょっともつんじゃないの、そういったところから私は話が始まっていくんじゃないかと思います。
そうした中で、もちろん素人でございましょうから、そのときに、ではどうする、どういうことで判断するかといったときのことで、基本的な方針を決めさせていただいておりますし、また、技術的な指針を作成することも今回は皆様方にも御報告申し上げている次第でもございます。
しかし、そういったことも含めて、マンション管理士等の制度も認めました。こういった方々に御相談いただくと同時に、それぞれの自治体の方がかなり相談の窓口を開いております。ほとんどのところはそうした自治体に相談ができる形をとっておりますから、それに基づいて、その管理組合の方々が建てかえか修繕かということを最終的には御決断なさるのではないか、このように思っております。
■武正委員
ちょっと、先ほど大臣からのお話があって、法務省が遅くなったという御指摘でございますが、いろいろ調べてまいりますと、逆に法務省はもうちょっとゆっくりやりたかったんじゃないかな。きょうもきのうも随分御論議がありますが、まだまだ論議を尽くしていないといったところなんですが、逆に国交省さんの方からせかされたというような印象、あるいはそういった意見もあるということをつけ加えさせていただきます。
さて、今マンション管理士さんというお話でしたが、今はまだ七千人合格の四千人登録ということでございます。関西のマンション管理士協会が管理組合に入札制度の導入を働きかけているということなんですが、ただ、原始規約に、管理業務を委託する管理会社をあらかじめ指定し、その変更をできないという規定を織り込んでいる例も多くて、あるいは、元地権者が四分の一以上を超える議決権を持っている場合、永久に是正できない、管理規約の変更は、集会で、議決権及び区分所有者の四分の三ではなくて、議決権または区分所有者の四分の三というふうに改正すべきであろうという意見もマンション管理組合からも出されていることをまず申し上げまして、そういった意味では、マンション管理士さん以外にも、これは、マンション適正化法でも、マンション管理センターあるいは高層住宅管理業協会のほかにも、例えばNPO法人、あるいは、これは前国会でも大臣から御答弁あった建築士さん、一級建築士さん三十万人もいるよといったことも含めて、まだまだそういった対象者、広げていくべきではないかと考えるんですが、国土副大臣、いかがでしょうか。
〔委員長退席、菅(義)委員長代理着席〕
■中馬副大臣
ほど申しましたように、マンションの建てかえにつきましては、その合意形成や事業採算をとる上で、法律、建築、不動産、金融、税制など、広範囲にわたる専門的な知識が必要であります。そういうことで、マンション管理士等にもそのような役割をもちろん担っていただくわけでございますけれども、先ほど申しましたように、やはり地方公共団体がかなり、都市計画も含めて、その機能を果たしておりますし、そこが主とした苦情処理機関としての役割を持ってもらえるものと期待をしております。
■武正委員
ハワイにあるコンドミニアム事業者、ユーザーから成る組織がありまして、きのうも第三者機関という同僚議員からの問題提起もありましたが、コンドミニアム問題検討委員会というのは参考になるのかな。ディベロッパー、管理組合理事長、管理会社、弁護士、研究者、政府代表者。定期的に開催し、苦情処理なども受けている。
マン管センター、高層住宅管理業協会の苦情処理機関としての適正性、これはまだまだ論議をしっかり深めなきゃいけないというふうに考えておるところでございます。
さて、次でございますが、次の区分所有法の件も、ちょっと時間がかなり制約がございまして、次に移らせていただきます。御了承ください。
先ほど副大臣から自治体の窓口についてのお話があったんですが、四月時点、お聞きしたんですが、現在幾つになっておるかお答えいただけますか。
■中馬副大臣
マンション管理センターもありますが、それはほんの限られた場所でございますから、先ほど申しましたように、地方公共団体がその役割を担っております。
その窓口の設置状況でいいますと、都道府県では、四十七都道府県があることは御承知のとおりでございますが、そのうちの四十五団体がこのような窓口を正式に開いております。しかし、それ以外の、これは茨城と長野が正式な形になっておりませんが、これにつきましては、もちろん、建築部ですとか、そこらあたりがちゃんとした対応はしてくれることになっております。
政令市はすべて、十二団体、一〇〇%設置をいたしております。中核市におきましても、三十団体のうち二十四団体、そして、特例市におきましても、三十七団体のうち三十一団体がこの窓口を設置いたしております。
■武正委員
市町村はいかがですか。
■中馬副大臣
市町村で、マンションの問題がいろいろと問題になることはほとんどないと思います。そういうことで、その場合におきましては、特にこうした窓口は設置いたしておりませんが、少なくとも、市町村に相談に行けば、それなりの応対はしてくれる、そしてまた専門的なことはこうした都道府県の方にまで上げてでも対応してもらえるものと考えております。
■武正委員
市町村は問題ないというのは、ちょっと認識が違うと思います。
特例市以下と言ったらあれですけれども、その規模の市町村でももう問題は山積しておりまして、やはりこれは、今おまとめの方針の中でも行政努力規定ということを設けておりますので、特例市以外の市町村への指導というのは欠かせない。そしてまた、行政だけで、もちろん人的に足りないということは申すまでもありませんので、その意味で、NPOを含めたさまざまな関係団体の協力が必要だというふうに指摘をさせていただきます。
さて、国土大臣にお伺いをしたいんですが、京都議定書批准も踏まえて、国交省さんとして、建築廃材の減量化、リサイクル、あるいはヒートアイランド対策等、この京都議定書批准を踏まえての対応をお聞きをさせていただきます。
■扇国務大臣
これは、マンションのみならず、地球的規模の問題になっているのは、今京都議定書というお言葉をお使いになったので、そのとおりだと思います。
我々都市に住む者、また地方でもおおむねそういうことができてきております。住宅とかあるいは建築物などの民生部門のエネルギーの消費量は、我が国のエネルギーの消費量の二六%を占めております。そういう意味で、今おっしゃった環境という点からも、二酸化炭素の排出の抑制によって地球温暖化対策を進める上でも、都市の主要な居住形式であるマンションについて対策を講じるというのは大変大事な問題である。
先ほどもおっしゃいましたように、築三十年が十二万戸、十年後には百万戸ということですから、これも含めて大事な対策であると思っていますし、また、私たちの国の平均気温は、ここ百年ぐらいで約一度上昇しているというのも、これも、気象庁が所管でございますから、きちんと数字が出ております。平均は一度ですけれども、大都市は二、三度上昇しているという現状でございますので、ヒートアイランド現象というものが重要な課題になっているのは事実でございます。
このため、エネルギーの使用の合理化に関する法律、これは省エネ法でございますけれども、それに基づいて省エネ基準というものをつくっております。そして、住宅金融公庫の融資基準におきます省エネ対応の住宅への優遇措置、これを行っております。そして、住宅性能表示制度における性能表示事項として、省エネルギー対策の等級設定、これもいたしております。そして、市街地住宅の整備に関する補助事業とあわせた省エネルギー型住宅への上乗せの補助、これも行っております。省エネの施策を講じて、私たちは、モデル的、また先進的な取り組みについては、環境共生住宅市街地モデル事業、ちょっと名前が長うございますけれども、そういうもので屋上の緑化などに対する補助、それらを地球温暖化対策とヒートアイランド現象の対策として実行しているところでございます。
〔菅(義)委員長代理退席、委員長着席〕
■武正委員
京都議定書批准、そして、いよいよロシアが批准ということで、来年には発効ということでございますので、今お話しの御趣旨を踏まえて、であるからこそ、マンションはでき得れば建てかえもせずに長く使えるようにすべきであろうというふうに思うわけでございます。
さて、環境副大臣、お待たせをいたしました。ここでお答えいただいて、お引き取りをいただきたいと思うんですが、ヒートアイランドの報告書を出されておりますが、ヒートアイランド対策の基本的な考え方をお聞かせいただけますか。
■弘友副大臣
ヒートアイランド現象、今論議がございましたように、都市化の進行に伴いまして、一つは人工排熱の増加、そしてまた緑地等の面積の減少、そして建物増加による太陽熱の吸収率の増加等が原因となって生ずるものでありますけれども、今扇大臣がお答えのように、過去百年間に日本では平均気温が一度上昇している、東京ではヒートアイランド現象等がありまして平均気温三度上昇しているというのですね。この二十年間でも、七月から九月の三十度を超えた延べ時間数というのは、東京、名古屋で約二倍、仙台では約三倍に時間数が増加している。環境省としては、ヒートアイランド現象というのは生活環境を保全する上で極めて重要な課題であると認識をしているわけでございます。
この対策といたしましては、建物における省エネルギーの推進によって人工排熱を低減する、二番目には、緑化等の推進、屋上緑化等もございますけれども、その推進によって地表面の改善を図る、三番目は、よく風の道、水の道と言われておりますけれども、そういうことを増進するような都市形態を創出するということが大事だというふうに考えております。
本年九月には、ヒートアイランド問題について総合的な施策の推進を図るために、環境省と国土交通省が事務方になりまして、あと経済産業省及び内閣官房から成るヒートアイランド対策関係府省連絡会議というのを設置したところでございます。今後、この連絡会議の場を活用いたしまして、効果的な対策を積み重ねることによって政府としてのヒートアイランド問題への取り組みを促進してまいりたい。
なお、この間も、環境省といたしましては、各施策の効果予測、そしてヒートアイランド対策に資する工法などの推進に努めてまいりたい、このように考えております。
■武正委員
どうもありがとうございました。どうぞ、お引き取りいただいて結構でございます。
法務副大臣にお伺いいたしますが、先ほど、ヒートアイランド対策で屋上の緑化ということがよく出てくるんですが、これは第十七条、新設の「その形状又は効用の著しい変更」に当たるのかどうか。これは当たるか当たらないかでちょっとお答えをいただきたいんですが。
■増田副大臣
簡明にお答え申し上げます。
やり方によって当たることもあるし、やり方によって当たらないこともあります。
そこで、こう言うと恐縮なんですが、一般論として申し上げます。屋上全面に、簡単にもとに戻せるような工事を実施した場合、こういうような場合には共用部分の著しい変更には当たらない、したがって二分の一の賛成で、過半数の賛成でというふうに理解をいたしております。もし固定されて簡単に戻せないという場合には特別議決になります。四分の三です。
以上です。
■武正委員
一体だれがそれを判断するのかといったところもありますし、固定か、容易か、これについてもやはりあいまいな表現だなといったところが言われる理由かなと思いますが。
さて、先ほど大臣からは、京都議定書批准、やがて発効も踏まえての国交省のお取り組みがありましたが、既に前通常国会でも御指摘をさせていただきました外断熱、これは山岡淳一郎さんという方が書かれました「外断熱は日本のマンションをどこまで変えるか」という本でございますが、前通常国会では外断熱はまだまだというような趣旨の御答弁があったんですが、京都議定書の発効も間近という中で、この外断熱を義務づけてもよいのではないかというふうに考えますが、御所見を伺います。
■扇国務大臣
外断熱工法は内断熱工法に比べて、外気の温度変化というものに対して、その躯体が保護されているために、劣化しにくいという特性があるというのはもう御存じのとおりでございます。しかし、施工が複雑である、あるいは建築コストが割高である、そういう側面があるわけでございますので、その問題点をどうクリアするか。
また、このほかに、省エネルギー性能の面で、外断熱工法というものは冷暖房の終了時に効果が継続しやすいというようなメリットもございますけれども、逆に、冷暖房の開始時には短時間で効果が上がりにくい、比例するわけでございますので、そういうデメリットもこれまたございます。このようなそれぞれの工法の特性について都市基盤整備公団も同様の認識を持っているものと私も聞いております。
それぞれの工法のメリット、デメリットというものを、一概にどちらの工法がいいとは言いにくいという現段階でございますので、私は、今武正議員がおっしゃるような、義務づけるということにはまだ早々ではないかと思っております。
■武正委員
私は、コストが一〇%高くてもやはり百年住宅を目指す、あるいはまた、先ほど言われました省エネ、そしてまた解体、再建築ということを要しない工法というようなこと、あるいはシックハウス対策、カビを除去する、こういったことを考えると、効用の方が多いということをやはりもう認めるべきではないか。まして、京都議定書は発効するといったことでございますし、産構審あるいは地球温暖化対策推進大綱もそれぞれ住宅の省エネ、省エネというふうに相次いでうたっている国交省さんでございますので、外断熱はもはや今行うべきというふうに考えるところでございます。
さて、先ほど修繕積立金のお話がございました。前国会でも、私は建てかえ積立金を設けたらどうかと。そうしましたら、国土副大臣は、いや、それはできないよと。その趣旨のお話がこれまでも繰り返されてまいりましたが、国土大臣、いかがでしょうか。やはり、きのうも御説明があったように、修繕積立金は、平均的に見ますと七十五戸で約三百万必要だと。大規模修繕三百万。しかしながら、建てかえの平均額は一千五百万から二千万が一番多い。今の法案では、二カ月前に連絡して、一カ月前に説明会やって、それでどうだと。こんなことで判断ができるんでしょうか、時間的余裕も見て。この差額の千二百万円をその場で用意できるんでしょうか。やはり、建てかえ積立金なるものなのか、あるいは修繕積立金にどのような形で工夫を凝らしていくのか。それを当初から考えていかなければ、この法案はやはり絵にかいたもちになるんではないかというふうに考えますが、大臣の御所見を伺います。
■中馬副大臣
先ほど平岡委員と大臣とで大分議論がありまして、大臣もはっきりおっしゃっておられましたから私の方から答弁いたしますが、今の修繕積立金も、平均で一戸当たり月々五、六千円だということを聞いております。それからすれば、確かに大規模修繕のときには足らないことがあろうかと思います。しかし、多くの方々が、最近はともかくとして、そのマンションをお買いになったときには、これは本当に五十年、六十年、ちゃんと使っていけば、孫子にも場合によっては相続できるといったようなお考えでお買いになったんじゃないかと思います。三十年使ったらすぐ建てかえるということを前提にはされていなかったと私は思います。例えば、そうであったとしても、そのときの経済状況がどうなっているのか、そのときのマンション価格がどうなっているのか、自分がそのとき生きているのか死んでいるのかも含めて、このことの金額をあらかじめ想定して積み立てるということは非常に不可能だと思います。
しかし、それでもやろうというところは、あくまでこれは先ほど言いましたように集合住宅でありますし、一つの共同体でありますから、その話し合いの中で、私的な自治にゆだねられるといいましょうか、その方々がお決めになって、では、我々としても、このマンションはどうも三十年たったら壊れそうだから月々十万円ずつ積み立てましょうかとか、そういうことをお決めになるのはあくまで管理組合を構成する住民の方々の御意思だと思います。そういうことをあえて申させていただきます。
■武正委員
今パブコメを求めておられて、もう締め切られた国土交通省の方針には、初動時に、建てかえなのかどうなのか、やはりそういう見きわめに関しての情報提供等あるいは説明会等ということを明記されているんですね。しかしながら、今回の区分所有法は二カ月前、国土交通省さんの指針、方針の初動時と余りにも差があるわけでございます。
さて、私は、本法案には、午前中の参考人からもございましたが、再生を第一義に置く、これをやはり明記すべきというふうに考えるんですけれども、法務副大臣、いかがでしょうか。
■増田副大臣
最近の百年マンションという言葉にあらわれていますように、できる限り長期間にわたり建物が利用できるよう適切な維持管理に努めるべきであるという考え方も一般的になっているところであります。
改正法案は、区分所有建物の建てかえ決議の要件の見直しを行っておりますが、これは個別の事情を離れて一律に建てかえを推進しようとするものではなく、あくまでも各区分所有者、各建物の実情に応じて、建てかえるか計画的に修繕を行い建物の維持をするかについて、十分な情報が得られた上で自主的に判断すべきことを当然の前提としているものであります。
このように、改正法案におきましては、十分な配慮に基づき、建てかえの要否が判断されるよう手当てがされておりますので、委員御指摘のような規定をあえて置くまでの必要はないものと考えております。
■武正委員
私が再生と言ったのは、先ほどの国土交通大臣の省エネあるいは京都議定書、地球温暖化対策といったことも踏まえての発言でございまして、これは国土交通省にお聞きをしたいところでございますが、時間も限られております。
そしてまた、十分論議ができるという今のお話でございましたが、あえて重ねて申しますが、二カ月前に連絡が来る、修繕なのか建てかえなのか、その費用の差額はこうだよと二カ月前に来る、一カ月前に説明会、さあどうだ、千二百万、千五百万用意しろ、こんなことは健全な日本のマンション市場あるいはまた国民のストックの育成保護には到底寄与しないのではないかと言わざるを得ません。
最後でございますが、きのうもあった縦配管、これについて国土大臣にお答えをいただきたいと思います。
マンション管理センターでは、この縦配管、防火区画の壁を貫通している、寿命三十年、ジョイント部分のシールが劣化し、水漏れを起こすが、一般の長期修繕計画にそのことがほとんど書かれていない、書くべきであろう、また、やはり縦配管を置くべきスペースはエレベーターホール近くの共有部分として、これを義務づけるべきではないかと考えるんですが、最後、大臣に御所見をお伺いいたします。
〔委員長退席、赤羽委員長代理着席〕
■中馬副大臣
縦配管は共有部分に設置するよう義務づけるべきとの御指摘でございますが、マンションの的確な維持管理には、計画的な診断、修繕などが行いやすいものとして建設することが有効でもございます。
最近の傾向でもございますが、内部をかなり自由に、内装を変えるといったようなこともございます。そういったことで、国土交通省といたしましても、スケルトン・インフィル住宅、SI住宅と申しますが、躯体をしっかりとしたものにして、内部はかなり自由に変更ができる形でございますが、この技術開発に取り組んでおります。
こういったようなことも含めて、今後は縦配管の、共有部分でそれが設置できるように持っていくことを私たちも願っているような次第でもございます。そのことの前提としまして、SI住宅の普及ということを前面に出して国土交通省としても取り組んでいる次第でございます。
〔赤羽委員長代理退席、委員長着席〕
■武正委員
以上で終わります。ありがとうございました。
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