【総務委員会】オンライン化法案について

2002年12月03日

武正委員

民主党の武正公一でございます。よろしくお願いいたします。 「正論」という雑誌の九月号に、財務省理財局国庫課長岸本周平さんが、「電子政府における情報システムの調達問題を解く」ということで書かれております。この中で三点ほど挙げておられる項目でございますが
一、役人レベルの現場の意識は行政の電子化に偏り過ぎている、二、電子政府の使命として、納税者の便益向上という視点が明確になっていない、三、人員と経費の削減を明確な目標にすべき、財務省の理財局国庫課長としての個人的な意見ということで、雑誌「正論」九月号に載っているところでございます。
この法案の審議に当たりまして、私は、民主党の部門会議で四点ほど提起をいたしました。
その法案審査に臨むポイント、既に同僚委員から指摘がございます。IT化推進は積極的に進めよう。
しかしながら、個人情報は保護をされなければいけない。
また、今の政府、自治体が進める電子政府、電子自治体は、サプライサイドの視点が強過ぎてユーザーサイドの視点に欠けているのではないか。
そして四点目は、先ほど第二の公共事業と言われるように、二兆二千億の年間支出、非常にその予算の使われ方に問題が多い。
以上四点をもって審議に入りたいと思います。
まず、一点目でございますが、既に指摘をされておりますが、地方自治体でも五千の手続をオンライン化しようということでございますが、この中には年間数件程度の手続申請もある。果たしてそういったものもコストをかけてでもやる必要があるのか否か。
あるいはまた、オンライン化を強制することが、先ほどの財務省の岸本さんの指摘にもあるように、役人レベルのといった考えで強制をしているのではないか、果たして納税者の便益向上に本当にこのオンライン化が役立つのか否か。
電子申請は利用者のサービス向上のために用意する選択肢の一つであるべき、これは野村総研の石井良一さんという方が書かれているところを引用したものであります。
これは、「地方財務」二〇〇二年二月号「電子申請にどう取組むか」という特別企画でございます。
以上二点について、総務大臣に御所見をお伺いします。

■片山国務大臣

今、武正委員の言われるように、年間ほんの少ししかない手続についてはやめたらいいですね、中身を見てみなければいけませんが。そんなものは、できるだけ手続を少なくした方がいいので、そういう意味では、この際、オンライン化の際にすべての事務についてもう一遍見直して、やめればいいものはやめる、統合すべきものは統合する、そういう方向だと思いますね。 それから、もう一つ、オンライン化というのは選択肢の一つなんですよ。
紙でもどうぞということなんです。ただ、御希望ならオンラインの道も開きます、こういうことでございまして、そこで、我々は、オンライン化のときにワンストップサービスをやりたい。
港湾だとか自動車関係というのは、手続が物すごいでしょう。
港湾なんか、三十ぐらいのいろいろな届け出を出したり、幾つもの役所を回らなければいか。
それを、一つの窓口で受け付けたら全部それが関係のところに回っていって処理できるようにする。そういう意味では、まさにユーザーに対するサービスを上げる、便益を増進する、こういうことを我々はしっかりと肝に銘じなきゃいかぬと思います。
ただ、言われるように、どうしても役所がやると役所の方の効率化や役所の方の便益の方やや先に来るようなところがありますけれども、基本的には、国民の皆さんに役に立つような電子政府や電子自治体でなきゃいかぬ、こう思っておりますので、今後ともそういう考えでやってまいります。 ただ、初めて取り組んでいますからね、特に地方自治体の場合には。地方自治体は三千三百ありまして、しっかりしているものからしっかり度が低いものまでありますから、そこでいろいろな、うまい業者の方にうまい話をされたりなんかするという向きはありますけれども、我々としても、やはりすべての自治体のレベルを向上ということも同時に考えておりますから、そういうことの中でいろいろなそういう便益対費用の問題もクリアしていきたい、こういうふうに考えております。

武正委員

今、大臣の方から、各自治体が選ぶ、あるいはユーザーサイド、選択肢だというような御発言がありましたが、先ほどの同僚委員の質問に対しては、ある面、地方自治体はみんな乗るべきだ、このネットワークに参加すべきであるし、それに参加しないというのはいかがなものかというような趣旨の発言がありました。
これは、きょうと、またあさっての質疑の中で、同僚委員に指摘をしてもらいたいなというふうに思っております。
あくまでも、地方自治体に強制はしない、地方自治体の自由意思だ、あるいはまたオンラインも、住民票でできるんだということを、やはり選択肢の一つということで担保すべきであって、オンラインが選択肢ただ一つに限られるようないろいろな制度は設計すべきではないというふうに考えております。
さて、先ほどの自治体の話でいうと、自治体の中でもやはり受け付け体制が整っていないというところが随分あるんですね。
今回のこのオンラインについては、あくまでも受け付けシステムでありまして、その後の庁内での処理は自治体がやらなきゃいけないというところがやはり課題になってくるということでありますので、中央政府がやれやれと言ってもなかなか地方自治体がついていけないというのは、市町村ごとにそれぞれ独自の事情があるといったことをやはり配慮していくべきだろう。電子政府、電子自治体、何年度までにやろうということでかけ声をかけてきたe―Japan戦略でありますが、それがなかなか各市町村の実態を伴っていないということはしっかりと認識をすべきだというふうに思います。 さて、入札の契約額と実際の受注額、これに差額があるということがよく指摘をされます。
前回、ワン切り法でも私、指摘をさせていただきました、いわゆる一円入札と言われるような安値入札でございます。これは制度的な問題を抱えているから、このような入札、そして落札、契約、当初の予算額との差が大変多額な額出てきても、それが次々と行われる。これは制度的な欠陥があるんではないかなというふうに私は考えております。
既に予決令の改正で、これは総務省さんの例でございますが、工事及び製造から工事及び製造その他という予決令の改正によって、安値入札、当初の予定額というか予算額が十分の六以下の場合、契約担当官がこれはちょっと実際仕事ができないんじゃないかなと判断したときは、契約審査委員が調査をすることになっています。
ただ、その審査委員は、総務省さんの場合、各課ごとに、負担行為担当官ごとに三人ずつ置かれている。
同じ課の中に調査をする人、契約審査委員を置いている。同じ課同士で果たして調査がお手盛りにならないか。
そもそも、契約担当官が十分の六以下の落札額であってもできるできないを判断する、
こういったところもやはりお手盛りになる可能性があると考えるんですが、こうした入札額と当初の予算額の差が出ていることに対して、今の改正を経てどのように対応されているか。
■片山国務大臣

武正委員、もし誤解されているといけませんのでちょっと言わせていただきますが、住基ネットは、これは法律上全部入らないとだめなんです、選択の余地はありません。
これは行政機関が公の事務をやる場合の本人確認の仕組みで、国のシステムじゃないんです。
何度も同じことを言いますけれども、すべての地方団体の、都道府県と市町村の共同のネットワークでございまして、これはもう入ってもらわないと、入ったり入らなかったりしますと本人確認なんということはやれない、オンライン化の申請の添付書類なんというのもばらばらになっちゃう。
そういう意味では、こっちは私は選択の余地はない。
電子自治体、電子政府は、これについてオンライン化をするかしないかは、これは選択してもらえば結構です。
ただ、国としては、e―Japan戦略というものを決めまして、行政部門のIT化をやろう、それによって国民の皆さんの便益を増進しまして、行政改革もやり、場合によってはIT産業も地方に根づかせよう、こういうことのためにやってもらった方がいいという姿勢でございますけれども、これは強制したり義務づけたりするものではありません。やりたいところにやってもらう、こういうことでございますので、ぜひそこは御理解賜りたいと思います。
今の落札と入札との関係その他は、副大臣か局長から御答弁させていただきます。

■若松副大臣

まず、契約の適切さが同じ課で行われてちゃんと担保されているのか、こういう御指摘でございますが、総務省本省の場合は、契約審査委員は官房会計課の職員のうち契約実務を直接担当する者以外の者を指定しておりますので、私どもは調査の正確性の担保は図られていると考えているわけでありますが、これは、外部の御意見等がもしございましたら、例えば会計検査院とか、独立性等が担保されているか、そういった御指摘があれば、私どもは検討していきたいと考えております。
それと、予算額と落札額の差額につきまして、その処理でありますが、地方自治法上、歳出予算の経費の金額というのは、原則として、各契約のそれぞれの、各条項等々含めて相互に流用ができない、このようになっておりますが、各地方公共団体の長の判断によりまして、各目の間もしくは各節の間におきましては相互に流用することが認められている、こういう二つの制度があるわけであります。
仮に地方公共団体の情報システムの入札におきまして予算額よりも落札額が著しく低くなった場合においても、その差額につきましては、地方自治法施行令及び各地方公共団体の財務規則、こういったものに基づきまして他の必要な費目に流用されて、それが適正かつ有効に費消されている、こういったことを私どもは認識しているところでございまして、
特にこの差額についての処理が問題とされているということは認識しておりません。

武正委員

まず大臣の方の御答弁でございますが、住民基本台帳法の改正、これで全自治体強制加入みたいなことを言われましたけれども、それがやはり、先ほどの附則の問題もあり、問題ありということになっているわけでございます。
まずその点を指摘させていただきます。
そしてまた、先ほど大臣から、e―JapanなりIT化は、あくまでも国民の利便性だと。ただ、それが本当に国民の利便性になっているのか。
大臣がいみじくも認められたように、サプライヤーサイドの視点が強過ぎやしないか、あるいは、行政サイドの目標を何としてもクリアしようというところが市町村がついてこられない現状になっているんではないかというふうに考えます。
また、先ほど行政改革という言葉を使われました。答弁でも随分使われておりますが、私、ここいろいろ、IT政策大綱とか見ているんですが、行政の簡素化、効率化というのは出てきますが、行政改革という言葉はどこかに出ていますか。もし出ているようでしたら、後で御指摘をいただきたいと思います。
行政の効率化、簡素化は出ているけれども、それが予算や人員の削減を伴う具体的な行政改革ということは示されていないんではないか。
これはまた後で指摘をしたいと思います。
先ほど副大臣から御答弁がありましたが、であるからこそ、同じ課ではなくて他の課からチェックが必要であろうし、あるいは庁全体のCIO、全体の情報をコントロールするような、全体を見るような方が必要だということを改めて指摘をしたいと思います。
次に、安値入札のことなんですけれども、公取さん、お見えでございます。
公取さんが既に警告を出しているのは、東京都の文書総合管理システム七百五十円、そして法務省の、これもやはり総合的受付・通知システム、これは五百万円、金融庁情報システムということで、三件警告をされております。一万円入札については、これはもうこの間も指摘しましたように、最初は一万円で入札、受注をして、二回目は九億八千万、三回目は六十一億、四回目は月額二億七千万ということで、最初は安値入札で、後でどんどん大きな額が随契等で交わされる、こういったことでございます。
霞が関WANも、これも省庁間の文書交換システムは、回を追うごとに安値、安値に行っているということも指摘をされております。
この安値入札について公取さんは、どのような観点から警告を発し、またこうした安値入札についてどのように考えておられるか、御答弁いただけますか。

■上杉政府参考人

お答えいたします。
政府調達における極端な安値入札に対する公取の取り組みということでございますが、ただいま御指摘のように、コストを下回る極端な安値受注というものが繰り返されますといろいろ問題が起きるということで、これは独占禁止法上、不公正な取引方法の一つである不当廉売ということで問題になるわけでございます。
この点につきまして、昨年の一月に、「官公庁等の情報システム調達における安値受注について」ということで、独禁法上どういう場合に問題になるかについての考え方も示したところでございます。
また、先生御指摘のように、東京都の七百五十円の問題を初めいろいろな問題が引き続いて起こりましたので、これらについて調査をした上、独禁法上、警告という処分を行っておりますけれども、また、これらが引き続いたこともございまして、関係業界団体に対しまして、独占禁止法上どういう場合に問題となるかについての考え方の周知徹底を要請したところでございます。
入札制度の改革等が進むことによりましてこういった問題がなくなっていくことを期待しておりますけれども、今後とも引き続き、安値入札というものが発生いたしましたならば、独占禁止法上に基づきまして厳正に対応したいと考えております。

武正委員

この間ワン切り法のときにも指摘したんですが、二年半前、私は逓信委員会で、こうした情報システムが、一次、二次、三次、四次と下請を日本で行っていて、それで、四次下請の方は、本当に時間を切り売りするような形で徹夜徹夜の残業続きといったこの階層型の下請構造を指摘しました。
建設業法では一括丸投げ禁止というのがあるんですが、この情報システムは一括丸投げ下請オーケーということがやはり問題だなというふうに考えるんです。
今は二年半たってどうなったかというと、この下請が海外に行っている。
しかも、中国にかなりの下請が出されているというのが実態だそうです。先ほど指摘したこの一万円入札もこれは上海未来軟件有限公司というところ、開発要員七十名、一万円落札の案件を徹夜で完遂という記事が出ております。
あるいは、ヨミウリ・ウイークリー十二月十五日号、今週号でありますが、急増中国人SEはIT業界の救世主か黒船かということがやはり躍っております。
ITで年間二兆二千億も日本は金を使っている、そして総務省も、あるいはe―Japan戦略でもIT人材の育成といいながら、実はその二兆二千億のお金が海外のIT産業や海外のIT人材の育成のために使われている。
これが今の下請構造の実態なんですよ。
これは、その入札制度、受注制度をやはり見直していかなかったら、大手、NTT、富士通、日立、NEC、政府発注情報システムの六割を受注している既に今回、政府調達府省連絡会議で、競争入札、JV、中小企業受注と出ております。
総務省さんもそれを御検討されているようでありますが、これについても、改革案を骨抜きにされるだろうというような指摘もある。
本気でこの二兆二千億が、JVや中小企業、競争入札をしっかりやることで、日本のIT産業、そして日本のIT人材育成につながらなければ、このe―Japan戦略は、あるいは総務省さんのこのIT重点施策ですか、これも絵にかいたもちになってしまうと考えるんですが、総務大臣、御所見を伺います。総務大臣、お願いします。

■遠藤委員長

総務省大野政策統括官。指名していますから。

武正委員

いや、政治家で御答弁をお願いします。
これだけ私も力を込めて言っているので、お願いいたします、総務大臣。

■片山国務大臣

お答えします。
行政の改革と行政の簡素効率化は同じことなんですよ。行政改革の方が広いんですけれども、感じが。行政改革は何のためにあるか、まさに行政の簡素効率化なんですよ、大きな目的の一つは。
だから、それはいわゆる行政改革というもっと広い概念で使っておりますから、普通、こういう場合には行政の簡素効率化といいますけれども、これはその中に含まれているとぜひ御理解を賜りたい、こういうように思います。
それから、今、大手が約六割もとって、実際には全部下請、孫請で、しかもそれが外国に行っているのではないか、こういう御指摘がございました。
そういう御意見等もあるものですから、情報システムに係る政府調達府省連絡会議というものを、ことしの三月につくりまして、競争入札参加資格については、今までが厳重過ぎたのでこれをもう少し柔軟な運用にしよう、また、ジョイントベンチャー等の企業共同体への競争参加資格を付与しよう、余り固定的に考えずにやろうと。
基本的にはそういうことの中で我が国のIT技術者の人材育成を図っていく、こういうことでございまして、一遍にかじは大きく変わらないかもしれませんけれども、徐々に、まさに武正委員言われたような方向で我々もやり方を変えてまいりたい、こういうふうに思っております。

武正委員

ぜひ速やかに制度変更を、この政府調達制度、まず総務省が率先してお取り組みをいただきたいと思います。
既に二〇〇一年一月に導入した官公庁の新統一基準というのがありまして、システム調達案件が五項目で合計点数で、これが実際今運用されておりまして、これで大手企業の寡占化が一層進むような仕組みを導入している経緯があるんですね。
ですから、総務省が率先してのお取り組みをお願いしたいと思います。
さて、会計検査院さん、お見えでございます。
今回の会計検査院の平成十三年度の指摘ということで、テレビ会議、IT講習会ということで指摘をされていますが、この会計検査院の報告書に盛られていないことも含めまして、またこのIT予算の使われ方をどのように考えているか、御答弁いただけますでしょうか。

■円谷会計検査院当局者

お答え申し上げます。
先週の金曜日、十一月二十九日に、平成十三年度の決算検査報告を内閣へ提出いたしました。
その中に、今御指摘の総務省関係の事業に係る掲記事項二件が含まれております。
その概要を御説明いたしますと、まず、電気通信格差是正事業等の実施に当たりまして、
事業の審査及び実施体制を整備し、補助事業の適切な実施及び事業効果の発現を図るよう改善させたものについてでございますけれども、総務省では、IT関連施策としての電気通信格差是正事業等を行う都道府県等に対しまして、毎年度多額の補助金を交付しております。
今回、八年度から十三年度までに実施されました約三千の事業のうち、
十八道府県において実施されました五百四十九の事業を検査いたしましたところ、一番としまして、ハードウエアの整備を行う事業でありますのに、
補助対象となる範囲が明確に定められていなかったため、ソフトウエアの経費を含めていたりしたものが十三事業。
また、事業効果の発現について検査いたしましたところ、施設予約システムにおきまして、
運動施設の空き状況は確認できるものの、システム上で予約ができないといったことで、
補助事業を完了しまして一年以上経過しましてもなおシステムの主要な機能が稼働していなかったものが三十二事業。
それから、補助事業で整備したテレビ会議システムの利用状況が週平均で一回以下と
非常に低調な状況になっていたものが二十四事業ございました。
これらの事態に係る国庫補助金額は約二億七千万円に上っております。
本院の指摘に基づきまして、総務省では、補助事業の適切な実施を確保し、
また事業効果が速やかに発現されるよう、補助事業の申請及び内容の審査が適切に行える体制を整備しますとともに、事業主体に対しまして実施体制の整備を図ることを周知徹底するなどの処置を講じましたので、改善処置済み事項として掲記したものであります。
次に、情報通信技術講習推進特例交付金事業の実施状況についてであります。
総務省では、IT基礎技能の早期の普及を図るため、全国で約五百五十万人にIT講習を受講させることを目標といたしまして、約五百四十五億円の情報通信技術講習推進特例交付金を平成十二年度の補正予算によりまして、緊急に都道府県に交付いたしております。今回、十六道府県の三百八十事業主体につきまして検査いたしましたところ、事業の必要性等地域の実情に配意した事業計画となっていない市町村が多数見受けられました。
また、開設した約八万余の講座の中には、受講者数が募集定員の二分の一以下のまま開設されたものが約一万、中には五人以下のものが五千近くあるなど、効率的となっていないものなどが見受けられました。
今後も、国におきましては、IT革命に対応するための施策を講ずることが求められておりまして、この種の交付金を交付する場合には、適切な指導を行うことにより、交付金の趣旨に沿った効率的な事業に努めることが望まれますことから、特定検査対象に関する検査状況として掲記したものであります。
検査の概要は以上のとおりでございますが、IT予算の使われ方についての認識という御質問、検査報告に掲記したもの以外ということでございますけれども、会計検査院といたしましては、IT基本法の成立、e―Japan戦略の決定等を受けまして、IT関連施策の予算額が近年急増しておりますことから、重要な検査対象の一つとして取り組んできております。
その検査の結果につきましては、これまでの検査報告におきましても幾つかの事態を掲記しておるところでありますが、こういった問題が発生しております背景としましては、予算や事業の急激な増加に市町村などの事業主体の実施体制の整備が伴っていないということや、あるいは住民のニーズが十分反映されていないといったことなどもあろうかと思っております。
したがいまして、検査院といたしましては、今後も、幅広い観点からIT関連施策の検査に取り組みまして、今後の事業の推進に資するよう、単に問題点を指摘するというだけではなく、その背景や発生原因等にまで踏み込みまして、事業の推進に寄与するような検査を実施してまいりたいということを考えております。
以上であります。

武正委員

会計検査院さんにも、ぜひ、さらに特段のお取り組みをお願いしたいと思います。
貴重な税金が一円でも有効に使われる、これが本来の趣旨でございますし、何よりも国民の利便性向上といった観点からのIT化でございます。
さて、先ほど、行政改革も入っているよということで御答弁いただきましたので、行政改革については先に移らせていただきます。
この住基法の三十条四十三、これは副大臣にお答えをいただくんでしょうか、「市町村長等」という、この「等」に国や都道府県知事が含まれているかどうか。
含まれているとすれば、国や都道府県知事がデータベースをつくることができてしまうというふうに考えるわけなんですが,これについて御答弁をお願いいたします。

■若松副大臣

住民基本台帳法第三十条の四十三におきます「市町村長等」、これにつきましては、法の別表に定める国の機関、都道府県知事等が含まれておりまして、これらの機関は、市町村長と同じように、住民票コードの告知要求が禁止されていないところとなっております。
一方、これらの法別表に定めます国の機関、都道府県知事等につきましては、住民基本台帳法第三十条の四十二におきまして、住民基本台帳法の定めるところにより本人確認情報の提供がある場合に限って、住民票コードの告知要求ができるとされているところとなっております。
これらの法別表に定めます国の機関、都道府県知事等につきましては、法定された利用事務以外の目的には、住民票コードを初めとする本人確認情報の利用が禁止されており、これは法の第三十条の三十、第三十条の三十四に記載されておりまして、それとともに、関係職員に守秘義務を課しまして、違反者には通常より重い罰則、これが法第三十条の三十五、第四十二条となっておりまして、個人情報保護措置がしっかり講じられていると認識しております。
したがいまして、第三十条の四十三の「市町村長等」に国や都道府県が含まれていたとしても、そのことによって、国や都道府県から情報が漏れるとの懸念は、私ども、持っておりません。

武正委員

住基ネットに関する訴訟が起きた場合、訴えるのは市町村のみであるかどうかということ、これもお聞きをしたかったんですが、事前に、市町村以外にも、実際、今係争中であるということもお答えいただいておりますので、次に移らせていただきます。
今、副大臣から、本人確認情報が都道府県や国に提供された場合、国や都道府県知事はそれをデータベース化というんでしょうか、それについて、「市町村長等」というのにはこれが含まれるというようなお答えがあったわけでございますが、私は、やはり、それによって国や都道府県がデータベース化を進めることによって、本来の目的ではないデータベース化ということが起きる危険性がある、あるいはまた、そこから情報が漏れる危険性があるということを危惧するわけでございます。
やはりここは、本人確認情報が都道府県に提供されるという仕組みがあるのは問題だなというふうに思っておりまして、先ほど同僚委員が提起をしているように、電子証明書の発行は、何も都道府県にすることはない、市町村が本人確認情報とともに電子証明書の発行もすればいいというふうに考えるゆえんでございます。
まず先にお聞きをしたいのは、この住基ネットワークを使わずにほかのネットワークを使って公的個人認証サービスが実現できるんではないかというふうに考えるんですが、これは総務大臣、御所見はいかがでしょうか。

■片山国務大臣

それはできないことはないですけれども、同じことをもう一遍やることになるんです。
それだけの話なんです。そんなむだなことをする必要はない。
しかも、市町村、都道府県という最も信用できる公的な団体の共同のネットワークですから、別にもう一つ、何でつくる必要があるか、こういう議論ですよ。

武正委員

先ほどからお話が出ておりますが、LGWANということで、既に総合行政ネットワークというような仕組みもあるわけですね。
総務省さんがつくられた資料では、そのLGWANが黒い輪っかになっておりまして、そこに、ややダブりながら斜めに、住民基本ネットワークというものが点線で書かれているんですね。
これがどういうことを意味するのか、いささか疑問でございますが、私は、この住基ネットワークの回線を使わずとも個人認証ができるというふうに考えるわけでございます。
さて、加えて、先ほど触れました、市町村が電子証明書の発行を行えばいいのではないか、あるいは失効情報の管理もというふうに考えるわけですが、これは、平成十四年一月十一日、総務省さんによるパブリックコメントの募集、それによって集まった中にも、この電子証明書の発行は市町村でやるべきだというような意見も出ておるんですけれども、この点、御答弁をお願いいたします。これは副大臣、お願いできますか。
先ほども大臣、副大臣にお答えいただいたと――よろしくお願いします。

■若松副大臣

御存じのように、自治体、三千二百あるわけであります。
あくまでも、それがそれぞれのシステムを構築して、そしてこの四情報というところを効率的にいかに使うかという、結果的にはその議論になろうかと思います。
そういった観点から、かつ、これから公開かぎ、秘密かぎ等のいわゆる個人認証サービスをどう持っていくかそれを三千二百の自治体がそれぞれインフラとしてしっかり持っていく方がいいのかどうか、私どもは、いろいろと検討した結果、やはり都道府県四十七がそれぞれの責任でやっていただいた方が効果的ではないか、そういった判断で、現在のシステムになった次第でございます。

武正委員

市町村でやれない理由というのは、どういったところにあるんでしょうか。

○若松副大臣御存じのように、自治体には、まさに三百数十万人という横浜もございますし、
または千人を超えている自治体もございます。
そういう意味で、この電子自治体という、レベルというか、専門家を擁しているという観点からすれば、当然、差がございます。
そういったところも含めまして、やはり都道府県がそういう技術的にも、また人材的にも不十分なところをしっかりフォローアップするという観点から、都道府県が関与して、そして、かつ効果的な全国ネットワークをつくった、私は、これは非常に精度の高いシステムではないかと考えております。

武正委員

先ほど同僚委員も指摘したように、情報というのは、行ったり来たり、もともと、ユーザーというか国民の方々と一番接している基礎自治体、市町村を基本にこのシステムは構築されているというふうに私は認識しております。
いろいろな本人確認も、厳正に対応するためにも、やはり市町村なんだということを説明で書かれております。
今、そのように情報を県に上げて、そしてそこから電子証明書をやる、こういったやりとりの中で、それが漏れたり改ざんされたりする危険があるというふうに考えるので、今の、都道府県がフォローアップできる、一体そのフォローアップというのはどういうことなんでしょうか。私は、かえって危険だというふうに思うんですが、副大臣、いかがでしょうか。

■若松副大臣

私は、フォローアップというよりも、やはり三千二百の各自治体がこの住基ネットを活用するに当たって、
都道府県がいろいろな意味で、補完的というんでしょうか、そういった形をすれば、やはり三千二百の自治体、安心して、かつ信頼性の高い住基ネットができる、そういった観点から申し上げた次第でございます。
いずれにしても、都道府県を介在させないで直接市町村がやった方がいいんじゃないかと再三委員が御指摘でございますが、これも何度も申し上げるわけでありますが、公開かぎ証明書とかまた本人との関係に至る証明、こういった手続を、信頼性の高い失効情報を効果的に作成するには、運営経費の経済性とか均質で信頼性の高いサービスを維持するとか、そういったことを総合的に勘案いたしますと、やはり全国的に確保できる都道府県、これが行っていただくことが適当ではないか。これは私ども、何度もいろいろと検討した結果の結論でございます。

武正委員

信頼性を確保するために都道府県を介在させるということは、市町村がそれを行うと信頼性に欠けるということでございますか。

■若松副大臣

私はそういった意味では言っておりませんで、いずれにしても、あくまでも住基ネットというのは全国民が入っていただいて初めていろいろとメリットが出てくる制度でありまして、そういった観点から、各自治体をしっかりといわゆる補完というかサポートというか、そういった趣旨からも、都道府県にも私どもはこの住基ネットのいわゆる自治事務としての参加者としていただいたわけでありまして、今の都道府県、そして市町村という関係を持っていただくという制度が、何度も繰り返しますが、やはり経済性や信頼性の高いサービスを維持できる制度と私は理解しております。

武正委員

私は、やはり市町村に基本を置く日本であるべきだ、地方分権も、最終報告、まだまだ手ぬるいなというふうに思うんです。
今、コスト、コストというお話もありました。それぞれの自治体が、また指定認証機関に委託できるわけですよね。ですから、私は、今は都道府県が委託することになっているんですが、市町村が、いや、おれのところはちょっと難しいなと思えば委託できるのであれば、それは、今副大臣が言われたようなことは懸念になると思うんですが、これはどうでしょうか。

■若松副大臣

例えば、では、どこに委託をすべきかというのも、やはりある程度専門性がないと、万が一、いわゆる信頼性が乏しい、ある意味でかなり零細なところに行ってしまう、そういったことがないように、そのためにも、私どもは何度も、総務省としては市町村合併も推進して、いわゆる基礎的自治体の強化、さらに行財政基盤の強化という観点からも言っておりまして、そういった複眼的にぜひ見ていただいて、かつ、先ほど言いましたように、本当に規模の小さい、小規模の市町村に対して、やはりしっかりと、都道府県の関与というのは大変重要なことだと考えております。

武正委員

時間が来ましたので終わらせていただきますが、今言われたように指定認証機関については、この法律では大変細かに、基準というか行わせることができる中身も書いております。
今、指定認証機関の信頼性というお話が副大臣から出ましたが、指定認証機関こそ、信頼性の高い、決してそういった情報が漏れることのないものをということでこの法律で書いておられるというふうに認識をしておりますので、今の御答弁は大変解せないということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

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