【衆院本会議】平成十五年度地方財政計画について

2003年02月18日

武正公一
民主党・無所属クラブの武正公一です。
平成十五年度地方財政計画、地方税法改正案、地方交付税法改正案について質疑を行います。(拍手)

平成十三年六月十二日、本会議のこの場で、私は、小泉首相の国民に痛みをという痛みは族議員と縦割り官庁と業界、団体にまず求めるべきであり、国民一人一人に安易に痛みを押しつけてはならないと求めました。しかし、この二年弱を見る限り、改革とは見せかけであり、私の心配のみが現実になりました。
 
平成十五年度予算案を見ると、増税をして、借金のたがを外して、国民のサービスを引き下げる、デフレ脱却予算とは呼べず、デフレ加速予算であり、やってはならない政策転換と考えます。
 
民主党は、税の使い方が間違っている、誤った予算を組んでいるとして、政府案への対案を示しました。特に、中央から地方への補助金ということでなく、一括交付金という十五兆円規模の裁量可能な資金を地方へ移譲します。また、サラリーマンの医療費三割負担引き上げを凍結する法案を野党四党で提出したのも、医療の抜本改革を先送りにして国民一人一人に安易に痛みを押しつけてはならないという思いからでございます。
 
さて、地方税法には、平成十六年四月一日より外形標準課税を法人事業税に盛り込むことが含まれております。地方税収の安定は理解できるものの、資本金一億円以上に限って導入すること、資本増強や雇用促進のブレーキになりかねないなど、問題が多い。のになぜ、予算関連、日切れ法案と言われる地方税法にまぜて内閣は提出したのか。

過去、総務省は、地方自治法改正でも同じことをしました。中核市の要件緩和と住民訴訟の類型変更を同じ法案にごっちゃに入れたため、法案審議は混乱を来したことがあります。国会軽視と言わざるを得ない。総務大臣の所見を伺います。(拍手)
 
今回、内閣提出法案百十本のうち予算関連三十五本、うち日切れ扱い十五本、重要法案とされる産業再生法も日切れ扱いであります。これらは本当に日切れなんでしょうか。その理由を尋ねると、予算関連だからということで三本あると言われておりますが、予算関連なら三十五本を日切れにしなければならないのではないでしょうか。
なぜ、三十五本を日切れにしないのか。また、外形標準課税を地方税法に潜り込ませるような政府案の提出について、内閣の取りまとめを行う立場から官房長官にその考え方を聞きます。
 
当初、平成十三年度予算でゼロにする交付税特別会計借り入れは、やっと平成十五年度で実現しました。ただ、ゼロといっても、恒久減税分、平成十五年度先行減税分、義務教育費国庫負担金などの一般財源化分は借り入れを行い、結局は、新規にふえたものは約二兆円に上ります。つなぎの措置としておりますが、結局は、特会借り入れゼロは先送りにしたということではないでしょうか。また、将来、どのようにしてこの借り入れを返していくのか、総務大臣に伺います。
 赤字地方債は、三年間の臨時措置である最終年度の十五年度は五兆八千七百億円と、対前年度比八〇%増でありますが、平成十六年度はどうするのか。

 平成十三年二月二十七日の答弁で、総務大臣はこう述べました。「昨年末、宮澤大蔵大臣との折衝では、とりあえず三年間この方式でやってみよう。我々の思いは、三年たてば景気がきっちり自律的な回復軌道に乗る、その際は、国と地方の事務や権限の再配分に伴う地方税財源のあり方について、国と地方の配分のあり方についてしっかりした議論ができるのではなかろうか。」また、「私は、三年後はこの方式を続けるのではなくて、できれば新たな方式というのがあるのかな、こう思っております。」と述べております。
 
なぜ景気は回復軌道に乗らなかったと考えるのか、また、景気がこのような状況でどのような新たな方式が考えられるのか、総務大臣に聞きます。
 
昨年、財務大臣は、一兆円の基準財政需要額の見直しを提起後、すぐに修正をしました。今回、補助金、交付税、税源移譲の三位一体改革のうち、地方がやりたがらない地方単独事業は四年間で三兆円を減らそうとするものの、今年度の地方交付税は赤字地方債を加えれば対前年度比一兆一千六百七十九億円増、五・一%増になる。赤字地方債は全額、後年度基準財政需要額に算入、つまり交付税措置であるので、交付税の先食いであります。

特別地方交付税も、IT等補助金化している。結局、交付税改革は進んでいないのではありませんか。財務大臣に伺います。(拍手)
 三位一体改革では、同じく地方税にも手をつけられませんでした。
 道路特定財源六兆円の一般財源化を高々と首相はうたったものの、平成十四年度、手をつけたのは二千二百億円のみで、今年度は全く進みません。今回、地方に移ったのは、この二千二百億円のうちわずか九百三十億円です。

三兆円の義務教育費の一般財源化も、当初目標五千億円に対して二千二百億円しか手はつけられなかった。芽出しといっても不十分で、とても展望は開けない。
 「改革と展望」期間中、現実に何が進み、何を示せるのか。片山試案では、五・五兆円の国から地方への税源移譲を提案していますが、すぐに財務大臣は、困難とコメントしています。結局、地方への補助金や交付税の見直し、税源移譲は、小泉内閣、そして自民党政権ではできないのではありませんか。また、法定外税については、国の同意基準を下げるべきではありませんか。 以上、財務大臣に伺います。

 国債は、三十兆円枠を突破し、三十六兆円を超えています。財政構造改革法は、国、地方の赤字を、ことしである二〇〇三年までに対GDP比三%と決めたものの、平成九年、公布したが、翌年、凍結されました。当時、地方自治体は、法施行を受けて、真剣に財政改革に取り組みました。しかし、凍結後、景気振興策への転換により、先進国に比べ、日本のみ悪化の一途をたどりました。

 対GDP比赤字は何%になるのか。また、財革法を凍結したことを今どのように総括するのか。どうやって二〇一〇年代初頭にプライマリーバランスをとろうとするのか。また、財革法を凍結したのでありますから、医療費三割負担引き上げは凍結してもよいのではないでしょうか。
以上、財務大臣の所見を伺います。

 政府が閣議決定した公務員制度改革大綱では、人事院の力をそぎ、職員採用時に、天下り容認時に各省庁の権限を強めようとする、およそ改革とは逆行する方針です。民主党は、自由党、社民党とともに天下り禁止関連四法案を既に提出しております。人事院のチェック力をそぐべきではないと考えますが、官房長官の所見を伺います。
 
また、戦後二十二あった国家行政組織法三条委員会を七つで固定する理由を伺います。
 民主党は、ジェー・シー・オー事件に際し原子力安全委員会を、金融不安に際し証券取引等監視委員会を、電気通信事業法に際し電気通信事業紛争処理委員会をそれぞれ三条委員会にと提案しましたが、政府は反対し、与党によりいずれも否決されました。
 
しかし、その後、原子力発電所ひび割れ事件が起こり、金融安定化は進まず、IT化も、アクセンチュアが日本の電子政府・電子自治体のレベルは十七位と指摘するように、国民サイドの視点に立てていません。監督官庁が規制や検査や評価を行う限界を露呈しております。
 
官房長官は、行政改革のために三条委員会をふやせない、我が国の行政制度になじまないと答弁されておりますが、肝心の行政改革は見せかけで進まないのに、お手盛り行政、さじかげんのきく裁量行政をチェックするための三条委員会の増設を認めない理由を改めてお聞きいたします。
 
また、一般論として、閣議決定は一度決めたら見直すことはできないのか、お伺いいたします。官房長官の所見を伺います。
 イタリアの奇跡、財政赤字を解消し、ユーロに加盟し、経済成長を達成した。これは、七〇年代に地方分権を行ったからであります。各州に産業政策を分権したのであります。また、州生産活動税を地方税源として移譲しています。それとともに、手工業法ということで、物づくりの保護育成の法律も施行している。そのこともあり、十人以下の企業の就業者数は日本の三倍を占めるのであります。
 
一方、日本は、開業率が廃業率を下回った一九八九年以来、好転しない。また、小売業の事業所数を平成十三年を平成八年と比べると九・三%減、特に四人以下の減少率は二けたで群を抜きます。
 
商店や商店会は、町のコミュニティーの担い手であります。PTAや消防団やお祭りの担い手。これがシャッター通りと言われ、歯抜けの状態は解消されない。まさに商店街振興はコミュニティー施策であるという認識を総務、経済産業両大臣はどのように考えるか。イタリアの例をまつまでもなく、産業政策こそ分権すべきと考えるが、両大臣の所見を伺います。

 国の政策と地方自治体の施策のそごが目立ってきました。原子力政策をめぐる巻町の住民投票は記憶に新しいところですが、地方分権を真剣に行おう、地域のことは地域に本当に任せようという動きが強まれば、当然、そごはふえます。ルールづくりが必要です。住民投票もその一つです。あるいは、自治体の意見を国の政策に反映させる仕組みも必要です。
 
昨年、民主党は、「沖縄ビジョン」をまとめました。在沖米軍基地の整理、統合、縮小ではSACO最終報告の完全実施と新SACO協議の開始、復帰三十年を経て、自立のため、沖縄の歴史的、地理的特性を生かし、観光面などで一国二制度を認めるべき等としました。しかし、今回の構造改革特区でも、沖縄のビザなし交流の観光特区構想は拒否をされています。
 
過日、普天間基地移設について、嘉手納統合案を一つの選択肢とした麻生自民党政調会長に同党野中元幹事長が不快感を示し、政調会長がわびを入れるというてんまつが伝えられました。
 民主党は、「沖縄ビジョン」では、嘉手納統合案も踏まえ、キャンプ・シュワブ沖のジュゴンがいる海を埋め立てるのはいかがなものかとして、「あらゆる可能性を積極的に検討する。」としました。
 
日米安全保障協議委員会、2プラス2では、外務大臣は、閣議決定に従って、十五年問題をアメリカ側に明確に伝えていません。あるいは、なぜ地位協定見直しの県民の求めを運用改善に固執するのか。であるから、エルドリッジ氏が指摘するように、日、米、沖縄、三者での話し合いが必要です。
 
2プラス2へのオブザーバー出席ができないか。日米安全保障体制を堅持するために相互の信頼関係が必要で、そのときには、国民の生の声をアメリカ側に伝える努力が欠かせない。外務省沖縄大使がそのバリアになってはならない。それは、民主主義の母国とするアメリカ側に必ず理解されるはずです。言いたいことも言わない日米関係は、対等ではなく、アメリカ側も歓迎しないはずです。米国の対イラク攻撃に関しての政府のあいまいな答弁もしかりであります。
 地方分権を進める小泉内閣として、外交・安全保障など国の政策に地方自治体や住民の声をいかに反映させるか、国と自治体のそごをいかに調整するか、官房長官の所見を伺います。
 最後に、地方財政が厳しい折に、住民税を払っていなかったと伝えられる竹中大臣がETFはもうかると発言したことは、インサイダー取引の疑惑あるいは風説の流布の疑惑濃厚であり、それを個人としての発言であったと言いわけすることなど、その任にあらずということを申し述べて、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
    〔国務大臣片山虎之助君登壇〕

■片山国務大臣
 武正議員の御質問に順次お答え申し上げます。
 まず、外形標準課税を何で今回の改正案に入れたか、こういうお尋ねでございます。

 今回の法人事業税の外形標準課税化は今次地方税改正の主要な項目でございまして、これは今までもまとめて改正すると。施行期日が必ずしも十五年の四月一日でないものも、例えば配偶者特別控除の廃止に伴う上乗せ、あるいは証券税制等も十六年の一月一日からでございますけれども、今回はまとめてこの改正案で対応させていただこう、こういうふうに考えておりますし、また、課税する方も課税される方も、やはり一年ぐらいの準備期間が要るのですね。例えば電算システムを変えるその他。そういうことでございまして、都道府県の方からの要請もございますし、今回の地方税法改正案に入れさせていただいた次第でございます。
 
それから、交付税特別会計、借入金が残っているではないかと。
 残っているんです。実は、平成十五年度の通常収支の財源不足は、これは、交付税特会の借り入れでなくて、国負担分については一般会計で調達してもらって加算してもらう、地方負担分については臨時財政対策債で措置する、こういうことにいたしたわけでございますけれども、例えば恒久的な減税分は、いずれ抜本的な税制改正があるわけでありますから、そのときはその増収で充てる。先行減税分については、これは先行ですから、おくれてまた増税があるので、その増収を充てる。それから、国庫補助負担金の整理合理化に伴う一般財源化分については、議員自身からもお話がありましたが、我々は三位一体の改革をことしの夏ぐらいまでに工程表をつくってやりたい、こういうことでございますから、その際は税源移譲の対象になる。
 
こういうことで、とりあえず、いずれも臨時の措置でございますから、交付税特会の借り入れで対応する、こういうことにいたしているわけでございます。
 ちゃんと返せるのか、こういうことでございますが、借り入れたものは、全部法律で、何年度までに返すと、今の交付税特会の借入金はすべて平成三十八年度までに返すと、こういうことを法律上明記いたしておりまして、それで対応させていただく。
 
基本的には、経済の活性化、景気の回復によって国税も地方税も増収していく、あるいは、むだを省いて地方行財政も簡素効率化する、あるいは税源移譲、そういう抜本的な対応でこれから措置していく、こういうことになるのではなかろうかと思います。
 
平成十三年二月の答弁で、おまえは、三年間はこういうことでやると。
 確かに申し上げました。十三年度、十四年度、十五年度はそういうことでやってまいったわけでありまして、十六年度からは、地方財政に仮に穴があいた場合の新しい方式を考えなければなりません。

 何で景気が自律的な回復軌道に乗らないんだ、こういうことでございますが、十六年度以降、我々は、民間主導の景気回復をいたしたい、こう考えたわけでございますけれども、アメリカ経済の、例えば九月十一日の同時多発テロその他でアメリカ経済が先行きがおかしくなってきた、あるいは世界的な株価の低迷、こういういろいろな状況がありまして、私どもが当初考えたよりは見込みが少し変わってきた、大変厳しい状況が続いている、こういうことでございますが、いずれにせよ、集中調整期間を一年延長し、デフレ阻止、景気回復に全力を挙げる、歳出や税制や金融や規制の改革を進めていく、こういうことにいたしたわけであります。
 
十六年度以降どうするんだ、こういうことでございますが、これにつきましては、今の時点で景気の状況の確かな見通し等がまだつきませんし、あるいは、国の財政運営がどうなるのかという点もございますので、そういう状況を見ながら今後とも我々は検討してまいりたいと思いますけれども、いずれにせよ、十六年度以降も、地方団体の財政運営に支障がないようなことは我々がしっかりと保障していく、こういうふうに考えております。

 それからもう一つ、商店街振興はコミュニティーの基礎ではないかと。
 私もそう思います。私は、しっかりした商店街は地域の魅力であり、それが地域の顔である、こういうふうに考えておりまして、コミュニティーというものが地方自治の基礎ですから、そういう

意味では、商店街振興は大変重要な施策だ、こう思っておりまして、関係省庁と協力して、私どもの方も地方財政措置等を講じてまいりましたが、今後とも積極的に支援してまいりたい、こういうふうに考えておりますし、中心市街地活性化法等もございますので、多様な、いろいろな手法を組み合わせながらしっかりと対応してまいりたい、こういうふうに考えております。
 以上であります。(拍手)
    〔国務大臣福田康夫君登壇〕

■福田国務大臣 
武正議員にお答えいたします。幾つかございます。
 まず、なぜ予算関連、日切れ法案扱いと言われる地方税法案に外形標準課税を含めて提出したのかとのお尋ねがございました。

 外形標準課税の導入は、地方税法で規定する法人事業税の課税標準の一部を見直すものであり、経済社会の活性化のためのあるべき税制構築に向けた重要な要素の一つであることから、地方税法案の中で一体として改正することとしているところでございます。
 また、予算関連が理由なら三十五本を日切れにしなければならないのではないかというお尋ねでございます。
 
いわゆる日切れまたは日切れ扱い法案は、三月末までに現行法が失効するもの、または三月末までに成立しないと実質的に支障を生ずるものであり、いわゆる予算関連法案とは異なる分類であります。政府としては、今国会に提出した法案のうち、二十五本が日切れまたは日切れ扱い法案に該当するものと考えております。
 
次に、公務員制度改革についてのお尋ねがございました。
 今回の公務員制度改革では、中央省庁等改革基本法等に従い、各任命権者の人事管理に関する責任の明確化を図るとともに、人事院について、人事行政の公正の確保及び職員の利益の保護のためにふさわしい機能へ集中することなどを目指しておりますが、人事院の意見の申出や人事行政の改善に関する勧告などのチェック機能は、引き続き重要な役割を果たすことになると考えております。
 
閣議決定は、一般論としては、特段の状況の変化があれば見直すこともできますが、政府としては、公務員制度改革大綱に基づきまして、国民の理解と信頼を得られるような公務員制度改革の具体化に取り組んでいきたいと考えております。
 
次に、行政委員会の増設を認めない理由についてお尋ねがございました。
 行政委員会は、能動的に行政目的を追求する事務については行政責任が不明確になりやすい等の問題が指摘されたことから、昭和二十七年以降、大幅に整理されたところでございます。その新設についても慎重に対応してまいりました。
 
なお、今国会に継続審議となっている人権擁護法案には、行政委員会である人権委員会の新設が盛り込まれておりまして、行政委員会の形態をとることがふさわしい組織で、かつ、スクラップ・アンド・ビルドの原則が守られていれば、行政委員会の新設を全く否定するものではございません。
 
最後に、日米地位協定の問題等の日米間の外交・安全保障上の問題に自治体や住民の声をいかに反映させるかとのお尋ねがございました。
 私は、日米関係は我が国外交の基軸であると考えており、良好かつ強固な日米同盟関係を強化していくためには、日米双方が言うべきことを言い、やるべきことをやっていくことが必要と考えております。
 
日米地位協定については、政府としては、その時々の問題について運用の改善により機敏に対応していくことが合理的であるという考えのもと、運用の改善に努力しているところでございまして、これが十分効果的でない場合には、我が国のみで決定し得ることではありませんけれども、日米地位協定の改正も視野に入れていくことになると考えております。
 
在日米軍に関する諸問題につきましては、これまでも、政府は、地方公共団体からの要望を勘案しつつ、随時、日米地位協定のもとでの日米合同委員会の枠組み等を通じて米側と協議してまいりました。政府としては、今後とも、現在の枠組みを一層活用し、日米安保体制の目的を達成しつつ、地元の要望を可能な限り満たすべく努力してまいります。
 
他方、日米安全保障協議委員会、いわゆる2プラス2会合は、我が国の平和と安全をいかに確保するかという観点から、我が国を取り巻く国際情勢や日米安保体制に係る諸問題全般を協議する枠組みでございまして、米国との国際約束上、構成メンバーが決定されており、構成メンバーを変えることは考えておりません。
 いずれにしましても、今後とも、外交政策に国民の皆様の声を最大限反映させるよう努力してまいります。(拍手)
    〔国務大臣塩川正十郎君登壇〕

■塩川国務大臣
 私に対するまず最初の御質問は、十五年度の地方財政対策と特別交付税との関係についてのお尋ねでございます。
 
地方財政計画によりますと、十五年度は、前年度よりも相当上回った財源が必要となりまして、交付税と地方債の合計額が前年度をはるかに上回る金額となってまいります。これは、国税、地方税の双方とも大幅な減収によるものが原因でございますので、したがいまして、この処理につきましては、国と地方が折半の対象とする財源不足であるから新しく今回講じたのであります。

 まず、その一つといたしまして、地方歳出を徹底して見直しを行ってもらおうということと同時に、交付税特別会計借り入れを完全に解消して一般会計からの繰り入れと赤字地方債で対応することによりまして、国と地方の責任を明確にし、地方財政の効率化を図ることとしております。
 
なお、特別交付税でございますけれども、これは総務省の所管でございますが、交付税の一環として行っておられることでございますので、当省といたしましては、その算定方法について議論を申し上げるものではないということであります。
 二番目の問題でございますが、地方財源の確立のために、まず地方税への移譲あるいはまた財源移譲の措置について積極的に取り組んでいけというお話でございます。

 もちろん、地方分権を進めなければならぬことは当然でございますが、それに伴って財源措置も必要であることは言うまでもございません。
 つきましては、財源を単に地方税への移譲のみで処理できるものではございませんで、国庫負担金あるいは補助金、あるいは地方交付税のあり方、そして税源の移譲、この三つをあわせて三位一体として考えていくべきものでございまして、これにつきましては、本年度、内閣の重大課題といたしまして、積極的にこの改善に取り組んでまいりたいと思っております。

 しかしながら、本年度におきましては、とりあえず、国庫補助負担金の整理合理化、地方財政計画の規模の抑制を通じた地方交付税総額の抑制をいたしましたことと、それに見返るものといたしまして、自動車重量譲与税の譲与割合を引き上げるという措置を講じて、芽出しを図った次第であります。
 
また、第三の問題といたしましては、法定外税について国の同意基準を下げるべきではないかというお話がございました。
 平成十二年四月の地方分権一括法によりまして、法定外税の許可制度を廃止いたしまして、同意を要する協議制に改めることといたしたところでございます。現時点におきましては、国の同意基準を見直すことは考えておりません。
 
それから、第四の問題でございますが、名目経済成長率が依然としてマイナスになっておる状況のもとにおいて、プライマリーバランスをどうしてとっていくのかということでございます。構造改革とプライマリーバランスの関係について御質問がございました。
 財政構造改革法案につきましては、金融機関の経営破綻等による厳しい経営状況に対応するため、平成十年十二月に凍結されたところでありますけれども、財政構造改革を推進するという基本的な考え方、その精神は現在も小泉内閣に継承され、引き続きその実施に努力しております。

国及び地方の財政赤字の対GDP比につきましては、平成十三年度六・六%、十四年度七・七%、十五年度八・一%と見込まれるなど、極めて厳しい状況にありますが、政府といたしましては、主要な歳出分野におけるところの改革や、あるいは民需主導の持続的成長を実現するための構造改革を加速させることによりまして、あるいはまた、税制改正を図ることによって、景気の刺激を図り、二〇一〇年代初頭においてプライマリーバランスを黒字化するという計画を進めておるところでございます。
 
なお、御質問の中にございました、医療費の患者負担の引き上げについてでございますけれども、国民皆保険を将来にわたり堅持していくために必要な措置の一環として考えておりますので、予定どおり、本年四月から患者三割負担をお願いすることといたした次第でございます。
 以上であります。(拍手)
    〔国務大臣平沼赳夫君登壇〕

■平沼国務大臣
 武正議員にお答えをさせていただきます。
 まず第一点は、商店街の振興についてのお尋ねでありました。
 
商店街振興はコミュニティー施策であるかとのお尋ねでございましたけれども、私も、そのとおりだ、このように思っております。
 
中小の商店街あるいはその他の商店街というのは、文化の伝承の場であり、そしてまた身近な買い物の場、そして高齢者を含めた地域住民の交流の場の提供等、地域コミュニティーの中核として重要な役割を果たしてきたものと私どもは認識しております。
 
そのために、経済産業省としては、商店街における空き店舗対策でございますとか、アーケードなどの基盤施設整備への補助等、積極的に施策を講じまして、地域と一体となった商店街の活性化に努力をしてまいりたい、このように思っているところでございます。
 
次に、地方分権と産業政策についてのお尋ねがございました。
 平成十年五月に閣議決定されました地方分権推進計画に従いまして、中小企業対策等々、累次の分権化を行ってまいりました。今後とも、必要に応じまして、さらなる分権を私どもは検討していきたいと考えております。

 産業政策については、各地域がその特性を生かした政策を自主的に展開する一方、国は真に戦略的なものや広域的な効果の高いものに対して重点的に取り組むことが重要である、このように思っておりますので、この地方分権の方はしっかりとやらせていただきたいと思っております。
 以上であります。

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