【総務委員会】電波法の一部を改正する法律案について答弁

2003年05月08日


■中村(哲)委員 
これからは民主党の法案提出者にお伺いいたします。
 私は、民主党提出者の出している法案というものは、今政府がおっしゃった、逼迫した周波数を有効的かつ効率的に利用するということを意識してつくられているんだと考えております。具体的には、電波利用料の設定に経済的価値を反映させて、効率的再配分を行うに当たり、市場の力をかりようとするというものだと理解しております。
 そこで、法案提出者にお伺いいたします。電波利用料の額はどのように定めるんでしょうか。

武正議員 
中村委員にお答えをいたします。
 まず、前提といたしまして、衆法提出者は、地上波デジタル放送については、もちろんそれについては是である。あるいはまた、先ほど大臣が答弁されたように、景気回復といったことももちろん是である。そういった観点から、やはり土俵づくりについては第三者機関、あるいは公平公正な土俵をつくってもらった上で事業者がそこで事業を営む、こういった観点から衆法を提出しております。
 
今の御質問でございますが、電波利用料の額は、経済的価値が適切に反映されるような算定基準を総務大臣、設置後は通信・放送委員会、第三者機関が省令で定め、これによって決定することとしている。また、免許人の選定に当たっては、オークションが用いられた場合は、オークションにおける競落額が電波の経済的価値を適切に反映するものとして電波利用料額となるということでございます。
 
先ほど委員御指摘のように、九三年に電波利用料がスタートした当時は、当初、郵政省は出力とか帯域幅に応じて電波利用料を決めたかった。ところが、関係省庁とのやりとりの中で、結局、書類の量によった。つまり、手続費みたいな形になってしまった。これも、やはり電波というものが関係省庁にまたがるがゆえに、内閣府の外局、三条委員会にすべきという根拠にもなろうと思います。
 
また、今回のパブコメについても、NHK、民放連、テレビ東京、あるいは新広島放送等から、これは暫定的な措置なんだろう、あるいは、納得がいかない、あるいは、三つに分けることは疑問がある、今回限りにしてくれというパブコメが出ておりますので、やはり放送事業者からも異論が出ている。
 
さらにまた、サイマル放送についても、受益があるというふうに総務大臣はおっしゃいますが、NHKからも、これはユニバーサルサービスであって受益にはならないんだ、あるいは民放連からも、二重投資でこれは受益にならないんだ、そういった指摘もあるわけでありまして、さまざまな問題をはらんでいるので、やはり経済的価値に応じた電波利用料設定、しかもその参考にオークションが必要、このように考えます。

■中村(哲)委員 
よくわかりました。
 それでは、オークション制度導入について、そもそもの目的は何ですか。また、具体的に衆法提出者が考える法案におけるオークション形式とはどういうものをお考えなのでしょうか。

武正議員 
電波は国民共有の資源であって、それを効率的、効果的に使うことで、これは国民の福利向上、そしてまた日本における電波を利用した技術の発展、そしてそれを利用して起業、つまり、どんどん事業が起きてくる、あるいはベンチャー企業が起きてくる。

こういった目的のために、まず電波利用共益費という今の概念、経済的価値については、負担していない、つまりゼロである。これはやはり、電波を効率的に利用するインセンティブが働く仕組みになっていないという認識のもとに、電波利用により享受する経済的利益に見合った負担を行う趣旨に改める。具体的には、オークションの形式として、電波利用料の一年間当たりの額について競りの方法をもって行うこととしております。

■中村(哲)委員 
それだったら全部オークション方式にするのが筋じゃないかなという考え方もあると思うんですが、しかしながら、衆法提出者の法案によると、オークションによる免許付与と従来からの比較審査による免許付与を総務大臣、設立後は通信・放送委員会ということになるんでしょうけれども、総務大臣が選択できることとなっております。その趣旨は何でしょうか。

武正議員 
オークションが成り立つためには、付与可能な免許の数に比してこれを上回る数の申請者が見込まれること、ある周波数帯につき特定の者に免許を付与する公益上の必要がないことといった諸条件が整う必要があるが、これに関して、個々の免許ごとに状況判断が必要であるため、総務大臣、設置後は通信・放送委員会が個別に選択できることとする必要がある。ですから、やれるものとやれないもの、それは通信・放送委員会が見きわめるということでございます。
 
加えて申せば、例えば放送についてはやはり公共性が高いというようなこと、あるいは公的セクターについては、今ゼロでありますが、これはやはり賦課をすべきでありますが、公的セクターについても、やはり通信・放送委員会がその公共性にかんがみてその設定額を決めるというようなことはできようかというふうに思っております。

 加えて、昨年この電波利用料、放送局の値上げということが報道された当時、当初七十億というような報道もございまして、結果三十五億に落ちついたといったことがあります。こういったことが放送の独立性の堅持の妨げになるのではないか。つまり、放送局が支払うべき電波利用料の額を総務大臣のさじかげんで決めてしまうということにならないか、こういう危惧を覚えての衆法の提出になっております。

■中村(哲)委員 
非常にわかりやすい答弁ありがとうございます。
 それでは次に、免許の有効期間を五年以内から二十年以内にするのはなぜか、そして、有効期間の延長はかえって再配分が硬直化するのではないか、その二つの質問をあわせてさせていただきます。

武正議員 
オークションを成功させるためには、免許の有効期間を現行の原則五年以内よりも長くすることが必要な場合もあり得ると考えたところであります。例えば第三世代携帯電話のように規模の大きな事業では、欧州で見られるように、二十年の免許期間が適当と考えられるものもあり、二十年の範囲内で個別に適切な免許期間を設定できるようにしたということでございまして、この二十年以内ということが初期投資の回収に当たっては有効ではないか。
 
ただ、これが再配分を硬直化するということも御懸念あると思いますので、最初のオークションの際に年数を設定して、二十年の範囲内でどの程度で競りをかけるか、それを決めることも通信・放送委員会ができるわけでございますし、あるいは、例えば十七年で落札をした業者さんが、例えば十五年で返そう、あるいは十四年で返そう、こういったことも一年ごとに競りの額を払っているという仕組みからいって可能であるというふうに考えております。

■中村(哲)委員 
オークション制度を導入した場合の懸念なんですけれども、オークション制度を導入したら免許費用が高騰したり買い占めが行われるような、そういう懸念が考えられるんですが、その点についてはいかがお考えでしょうか。

武正議員 
いわゆるバブルというんでしょうか、これは欧米であったというような御指摘があるわけなんですけれども、オークションは市場原理によって経済的価値をはかる方法であり、オークションによる競落額は電波の経済的価値を適切に反映したものになると考えております。オークションは、諸般の状況から適当と認められる場合に初めて実施されるものであり、周波数帯が特定の者によって買い占められるおそれはないものと考えております。
 
先ほど、冒頭触れたバブルでありますけれども、これは、インターネットバブルの時期に重なったワイヤレスバブルというようなことも言われておりまして、特にイギリス、ドイツというところがその額が高騰した。それを見て各国がさまざまな形を取り入れているといったこともあるわけなんですけれども、一つやはり事例といたしましては、入札額は高騰したけれども、それが利用者に転嫁されたことはない、これはぜひ御認識をいただきたい点でございます。

■中村(哲)委員 
その具体的な例として、海外で実際にオークション制度を導入していて成功している事例というものは、具体的にもし答えられるのであれば答えていただきたいと思うんですけれども。

武正議員 
一九九〇年前後から米国における第二世代携帯電話のオークション、九三年を初めとしてニュージーランド、オーストラリア、英国、ドイツ、カナダ等で無線局免許にオークション制度が導入され、これまでに多数実施されており、肯定的に評価されているものと理解しております。
 
欧州の一部、先ほど触れたように、イギリス、ドイツでは、二〇〇〇年に実施された第三世代携帯電話の免許のオークションにおいて免許料が高騰したことが問題とされたのは確かでありますが、これらの国でもオークション制度自体はおおむね肯定的に評価しているものと理解しているところであります。
 
また、先ほど触れたように、イギリス、ドイツを参考に、例えばイタリアでは書類審査を事前にやる。あるいはフランスでは、美人コンテストというんでしょうか、そういう事前審査の方式を取り入れている。あるいはオランダでは上限価格を設定しているなど、さまざま各国工夫しながら、このオークション制度を前向きに導入しているということでございます。

■中村(哲)委員 
非常によくわかりました。
オークション制度だけでやるというわけではなくて、オークション制度を部分的に導入すると。オークション制度にも弊害が起こる部分に関しては、従来の、今までどおりの方法も使うことによってその弊害をなくしていく。非常に明確な基準を求めてこれをやっていけるということですね。
 
政府に、このオークション制度についてどのように考えておられるのか、最後にお聞きしたいと思います。

○片山国務大臣 
一つのやり方であることは事実ですが、今のヨーロッパなんかの例を見ましても弊害が多過ぎる。金を積みさえすれば国民の資産である電波を二十年間ひとり占めできるなんということはなかなか国民の理解を得がたい。しかも、具体に弊害があるし、うまくいっていない。ただ、研究はする必要がある、こういうふうに私は思っております。

■中村(哲)委員 
片山大臣の答弁は、武正提出者のお話の一部分をとらえて話されているように私は理解しております。だからこそ、これから検討させていただくということをおっしゃったんだということを理解させていただきまして、時間が参りましたので、私の質問を終わります。
ありがとうございました。

■遠藤委員長 
次に、山田敏雅君。

■山田(敏)委員 
山田敏雅です。
まず、法案提出者にお伺いいたしますけれども、今回の目玉であります通信・放送委員会、これを設置する趣旨をまず述べていただいて、それから、総務省の所掌事務から情報通信の規律、まあ規制というのを規律という言葉で言うんですが、規律に関する部分を分離して独立行政委員会の事務としなければならないのか、この点についてお答えをいただきたいと思います。

武正議員 
山田委員にお答えをいたします。
通信・放送事業の規律、電波監理等情報通信の規律に関する事務は、内閣が一体として政策的に行う振興行政と異なり、総務大臣の裁量により振興行政の都合に左右されることなく、公正かつ中立に行われる必要性が特に高い。そのため、独立した委員会によって実施されることとする必要があるというふうに考えます。
 
よく言われる官僚の無謬性、官僚は間違えない、こういったことがあると、結局は柔軟な対応が行えない、継ぎはぎ継ぎはぎで、過ちを何としても繕うような形がとられてしまう。こういったことから、やはり規律について、ルール設定については第三者委員会で、これはもう平成九年の行革会議で、集中審議のときにも了承されまして、二十五回議事録に出ておりますが、二十五回議事録で結局了承されたのが通信放送委員会でありまして、四十一回、結局設置しない方向になったのは、政府・与党との協議ということでございましたが、行革会議でも既に出ている。
これについては、衆法提出者とすれば、電監審、情通審、そして、できれば電気通信事業紛争処理委員会も合わせてもいいのかなというような形でのイメージを持っております。
 
加えて、ちょっと御披露させていただきますのは、「電監審四十年のあゆみ」というもので電監審の委員がいろいろなことを言っております。
この電監審というものはまだまだ今のあり方が最上であるとは思っていない、これは芦部委員であります。それから塩野宏委員は、公正で民主的な電波法行政を遂行するため重要な役割を担っていることには変わりがない、こういった認識。
 
それから、審理官もさまざまなことを言っておりまして、公平審理官、カラーテレビは早くやりたい、まだ早い、大変な騒ぎがあった、元電波監理局長が陣頭真っ先に座を占める、そういった雰囲気であると。これは、いわゆる訴え側の方ですね。それから中西審理官も、異常な雰囲気と。あるいは渡辺審理官も、電波監理委員会設置の際、自民党政府は委員会行政に内心反対であった、あの毅然たる態度がいつか次第に失われていったのである、それが現在の政治の姿とはいえまことに寂しい限りである、こういったことも言っております。
 
そしてまた、いわゆる聴聞会というものがありますが、一説、聞くもん会と言われ、当局は一度言い出したら利害関係者が何を言っても聞くもんかいの対応であった、これは草部審理官が書いております。任命権者が郵政大臣であってみれば、審理官は首をかけて審理に当たらねばならず、郵政と利害関係者の中にあって公正中立を保つため、心を千々に砕かざるを得なかった。
 
私は、主宰した聴聞の調書について当時の電監審の委員の先生方に説明したとき、行政当局と同一機構の中にある審議会としては、どうしても大きい行政方針に拘束されるのは仕方がないことだと申し上げて先生方の納得を得たことを思い出す、これは小林審理官の言葉であります。
 
そして葛西審理官。福島の織田大蔵氏が異議申し立ての準備書面で、審理官のことを郵政省の大臣以下と同じ穴のムジナとののしったのを指定職員の一人として聞いた覚えもあり、身を持することに慎重でなければと身の引き締まる感を覚えたのはいまだに生々しいことである。
塚原審理官。審理官の数が二人が一人になったというのは、これは問題だと。
そしてまた郵政省側からも、河野職員は、逓信委員会で申請者リスト、要は電波の申請、予備免許の申請リストの提出要請があった、強くお断りし続けたこと、電監審の職員時代の回想として書いてあります。
 
このように、こういった第三者の委員会というのはさまざまな圧力があると。政治側からも圧力がある、そして事業者側からも圧力がある。その中で、郵政省の中にある、今の総務省の中にある八条委員会の限界性というものをこの電監審の四十年史で触れている、これをつけ加えさせていただきます。

■山田(敏)委員 
規律と振興ということですね。原子力行政もそうだったんですが、規制をする側と振興する側が同じ場所で物事をやると、いつの間にか、一生懸命振興しなければいけない立場の人間が、今度は国民のために厳正な規制をしなければいけないということが非常にあいまいになってくる、これが一つの例だったと思うんですが、今回の、振興と規律は一体の方がいいというのは政府の見解だそうですが、これについてはどう思われますか。

武正議員 
振興と規律を分離するとスピーディーでなくなるという主張が政府から聞かれるわけですが、その趣旨がいま一つ判然としないと思います。両者を分離したとしても、必ずしも政策決定がスピーディーでなくなるとは考えておりません。
 
例えば、昨年からのNTTの接続料問題、これももう一年、優にかかっております。いろいろな、さまざまな圧力がかかっております。アメリカからも文句を言われている。内政干渉が甚だしいのにこれを放置する。それは、やはりある面、裁量行政を許しているという批判にたえられないからでありまして、そういった意味でも独立行政委員会が必要であろうと思います。
 
また先ほど来オークション問題、大臣はきっぱり、これは無理だというふうに切って捨てましたが、これはもう平成三年から話題に出ているんですね、電波政策懇談会。そして平成七年、規制緩和推進計画、平成九年から十一年にやるよと、そして結局、規制改革推進三カ年計画では、平成十五年の措置ということなんですが、先ほど触れたように、局長の一諮問委員会が結論を出した。それを大臣は、これでもう結論出ているんですよというような言い方もされましたが、結局、公平公正な形ではそういった決定がされていない、総務省の意に沿うような形で一審議会あるいは一諮問会議が結論を出している。

これは、これに参入しようとする事業者にとっては甚だおかしなもの、スピーディーなことをかえって阻害しているんじゃないか、一緒になっていると。こういうふうに考えます。

■山田(敏)委員 
アメリカのFCCは、規制業務と振興業務というのが一緒に今、形の上ではそうなっているんですが、ここで提出者にお伺いしたいんですが、アメリカの事情と今の日本の事情、これはどういうふうに違うんでしょうか。

武正議員 
アメリカでは、FCC、確かに振興と規制が一つになっております。ただ、その前提として、審議とかプロセスは文書を公表して公開をする、そして少数意見も尊重をする、公開をする、そして規制は公平公正性をということで、参入しようとする事業者にとってはその不確実性が少ない、リスクが少ないというメリットがあります。
 
一方、我が国の方は、省庁の意思決定により結論が大臣名で出される、実質的なプロセスは非公開である。私もそうですけれども、いろいろ議事録を下さいと各省庁に言うんですけれども、議事録が出てくるというのは少ない。出てきたとしても、その個別な、だれが発言したかというのはほとんど書いていない、こういったことがありまして、加えて、日本の場合、審議会のメンバーは非常勤、実質的な決定はやはり省庁内部で行われる。
 
これでは事業を行おうとする参入者にとっては不確実性が高い。事業に参入したら途中でルールが変えられてしまうんでは、とてもリスクがあって萎縮してしまう。これでは、結局は、日本の電波利用あるいはITの事業が盛んになっていかないというふうに考えるわけでございます。

■山田(敏)委員 
今回の提出法案で政府の意見をいろいろ聞いたんですが、一つの意見で、行革に逆行しているんじゃないかという意見があります。その辺について、ちょっと組織的な見直しも含めてお答えいただければと思います。

武正議員 
行革に逆行するという御指摘なんですけれども、ただ、今回、衆法提出者が提出しました三条委員会、これは、先ほど触れたように、電監審と情通審を合わせて通信・放送委員会をつくるわけですから、二つの審議会が一つになるということで、逆に言うと行革を進めているんじゃないか、これが第一点ですね。
 
それから、人員についても、後でまた触れますけれども、今までの総務省の職員を移行するだけ。
ふえる部分はどこかというと、八条委員会を三条委員会にしますと、委員は常勤ですから、その委員の手当が一億二千八百四十一万円、これは五名の委員ですね、公取と同じですから。委員長が三千万、そして委員が二千五百万、これで約一億三千万弱、これがふえるということなんですが、これまでも委員の手当は、電監審は六百四十三万のうち三百六万、情通審は五千四百七十四万のうち三千五十八万円はそれぞれ委員の手当で要していたということでございまして、スクラップ・アンド・ビルドにより行うものであり、行政機構の肥大化につながるものではない。したがって、行政改革に逆行するとの批判は当たらないと考えます。

■山田(敏)委員
総務省にちょっとお伺いいたしますが、電監審と情報通信審議会の事務局はどこが務めていますでしょうか。

■加藤副大臣 
まず、電波監理審議会の事務局は総務省の総合通信基盤局総務課、そして、情報通信審議会の事務局は情報通信政策局総務課が担当しております。

■山田(敏)委員 
ちょっとついでに答えていただきたいんですが、電監審の幹事は何名で、だれですかということと、総務省の八条委員会のうち、国会の同意人事を必要とするのは幾つでしょうか。この質問、ちょっと答えてください。

■加藤副大臣 
まず最初のお尋ねでありますが、電波監理審議会の幹事は、総合通信基盤局総務課の職員が一名指名されております。
 そして次の、八条審議会は、地方財政審議会、国地方係争処理委員会、電気通信事業紛争処理委員会、電波監理審議会の、この四つであります。

■山田(敏)委員 
今お答えになったように、電監審も情報通信審議会も全く役所の、総務課というところがやっているわけですけれども、その電監審の幹事も総務省の職員が当たっている。本当に役所の中でがんじがらめにコントロールをする、そういう体制が見えてくるんですが。
 
そこで、今回、法案提出者が提出しておりますこの委員会ですね、役所の方にちょっときのう聞いたんですが、これはちょっとなじまないんじゃないかという意見を聞いたんですが、その点、ちょっと総務省の方、お答えいただけますか。

■片山国務大臣 
私は、何度もこの委員会でも同じことを御答弁させていただいておりますが、アメリカは委員会大好きなんですよ。これは大統領制だからですよ。だから、大統領に全部権限が集中するんですよね、そういうものが大統領制なんですから。知事や市町村長さんも同じですよ。だから、できるだけ特殊のものについては委員会をつくってやる。
 
しかし、日本の場合には、もう何度も、釈迦に説法ですけれども、議院内閣制で、国会で指名された国会議員である総理が国会議員を中心に内閣を組織して、国会に対して連帯して責任を持つんですね、国会から国民の代表として選ばれた人が。しかもそれは、意思決定は閣議ですよね。総理が意思決定するわけじゃないんですよ。閣議で全員が合意して国の意思が決まる。それで、それぞれ所管の仕事については各大臣が責任があり、執行権があるんです。総理じゃないんですよ。
 
だから、総理は閣議の主宰者でありますし、閣僚の任免権という大変強い権限がありますけれども、仕事は分かれているんですね。だから各大臣が責任を持ってやる、こういう仕組みなので。これはこれで、国会に対して連帯して責任を持つんですから。委員会で民間の人を何人か呼んできてやる、これは準司法的なことはいいですよ、専門的なことはいいけれども、しかし、それは国会に対して責任を持てないんですよ、そういう意味では。これは議院内閣制にもとるんですね。
 
だがしかし、必要最小限の公取や何かは要りますけれども、だから、各大臣に責任を持たせてやって、問題があれば選挙でまた、国民の皆さん、それはだめだ、この内閣は、この与党はだめだということで審判を下すでしょうから、それで交代していく、こういう仕組みですから、何でも委員会がいいというわけにはなかなか私そこはいかないと思う。
 
それから、振興と規律ですか、振興というのは、親でいうと、子供をおだてて、いいところを伸ばしてやるのが振興で、規律の方は怒る方でしょう。おだてるのと怒るのが一緒の方がずっと効果的なんですよ、うまく育つ方にも、怒る場合にも。その方が、一人の人がやるんだから、おだてる方と怒る方が別で、これはコミュニケーションがなかったら混乱しますよ。
 
そういう意味で、今の金融行政でも産業振興行政でも、金融庁が振興と規律と一緒にやっているんですよ、経済産業省がそういうことを一緒にやっているんですよ。一つもおかしくないんです。FCCもそうですから。これを分けて幾らでも組織を分割していくということは、結果としては行革に反するんですよね。
 
そういう意味で、お気持ちはわかるのですが、特に電波行政は、何度も言うように、中立公平で専門的ですから、電波審議会というのがあって、そこの意見を聞いて責任を持って総務大臣がやる、昔は郵政大臣がやる、こういう仕組みで私は一つもおかしくないと思う。もしそれが悪ければ次の総選挙か参議院の選挙で、与党がだめだ、こういうことになるだけですから。これが議院内閣制だと私は理解しておりまして、何でも行政委員会というのはいかがかなと。
 
アメリカが来たとき、二十四できたんですよ、日本に二十四の行政委員会ができたんですよ。それが、国情に合わない、非効率、責任が持てない、二重行政ということで全部やめていって、今残っているのは四つですよ。ということは、私はそれが国民の最終的な選択、判断だ、こういうふうに思っております。

■山田(敏)委員 
主観的な御意見をよくお伺いしましたけれども、法案提出者、今の件について御意見ありますか。

武正議員 
まず、国会のたがが外れてしまうんじゃないかということは、さっき言ったように、同意人事できちっと抑えられるわけですね。
 
それから、怒る人となだめる人、ちやほやする人が一緒というのはやはりおかしいですよね。やはりこれはちゃんと分けてやった方がいいと思いますね。
 それから、今の大臣の御発言ですけれども、これはやはり私は第三者委員会が必要であるという論点に立っておりますが、まず、国会が国権の最高機関である、これが憲法に書かれておりますが、これが実際、有名無実になっているんじゃないかというのはかなり多くの委員が共有している認識ではないか、日本はやはり行政が強いなと。この行政がまた一府十二省庁になっちゃったんですね。だから、より強くなっちゃいました。
 
これはやはり、準司法、準立法的なものは独立させていい、しかも、国会もちゃんと同意人事でたがをはめられる。しかも加えて、今、電監審、電監審と大臣はおっしゃいましたが、実は、平成十一年七月十六日の中央省庁等改革関連法改正で、電監審の大事な部分を削除しちゃったんですよ。電波、放送の規律について調査し、必要な勧告を行うという、戦後二回しか勧告をやっていませんが、これを削除しちゃったんです。それからもう一つ、その電監審の議決を尊重して措置し、その他電波の規律という、これも削除しちゃったんですよ。
 
こういう逆行することを、戦後、残念ながら政府は積み重ねてまいりました。そのまず端緒が昭和二十七年の吉田内閣で、戦後、GHQがつくった二十二の三条委員会は、これは合わない、減らしていこうと、七つに減らしちゃったわけですよ。そして今、電監審さえこうやって削除しちゃっているんですよ。
 
そして、さっき言ったように、電波の有効利用、オークションについてどうしようか、やりますやりますと言って、どこに考えさせているかといったら、局長の一諮問会議に任せているんですよ。電監審や情通審にだって諮問していないんですよ。これでオークションはだめだと総務大臣が言っているのはおかしいじゃないですか。
 以上です。

■山田(敏)委員 
大変わかりやすかったです。
大臣がおっしゃったように、議院内閣制、やはりこれは、国民の代表である政治家がしっかり国民の利益を行政に反映するという重要な役割があるので、今さっき総務省の方に答弁していただきましたけれども、今の審議会は全く役所のコントロールの中にあって、それをますます強めていくようなやり方、これはやはり政治家として反省すべき点であるというふうに思いますが、いかがでしょうか。

■片山国務大臣 
役所が事務局をやっていますよ。それは専門家だし、いろいろな調査機能やら情報収集機能もありますから、これが民間の人が来て事務局をやったら大変だから役所がやっていますが、審議会の議論は、少なくとも私が私の省で知る限りは、これは自由濶達にやってもらっていますよ。役所の言うことを聞くような人は、そんな偉い人いませんよ。みんな役所とは独立して、自由に意見を開陳してもらっているので。
 
それは、役所がいろいろな資料を出したり、説明はしますけれども、結論や何かは役所の影響下にあるというのは、それは私は誤解じゃなかろうか、こういうふうに思っております。決めるのは、しかし役所なんですよ。諮問会議やいろいろな調査会や研究会の意見を聞いて、決めるのは役所が決めるんですよ。その間にはパブコメや何か、いろいろなものにかけますけれども。
 
それは、役所はその貴重な、専門的な御意見をいただくのだけれども、決定権は諮問機関、調査会や研究会や審議会にあるわけじゃないんです。それが議院内閣制なんですよ。総務大臣が総務省のことは責任を持って決める、問題があれば責任をとる、これなんですよね。
 
意見は聞きますよ。しかし、決めるのは役所が決めるので、たまたま研究会の言われたことが正しければ、そのとおり決めることが多いことは事実ですね。それはそうなんですけれども、そうでなきゃ、国権の最高機関である国会や議院内閣制を冒涜することになりますよ。諮問会議が全部決める、調査会が全部結論を出したらそれがそのまま国の意思になる、そんなことはありません。ぜひそこは御理解を賜りたいと思います。

■山田(敏)委員
最後に、法案提出者、今の御意見にちょっとコメントしていただけますか。

武正議員 
私の方は、今回、総務省から職員を第三者委員会に切り離すというようなことを考えておりまして、行革には逆行しないということを重ねて申し上げさせていただきます。
 
具体的に言うと、本省から二分の一程度、地方支分局からは十分の七程度が通信・放送委員会に移ることになるのではないかというふうに考えております。当然、そういった職員については、退職されたら、新規の職員はやはりその分野にたけている人を採用したり、あるいは特に公取との人事交流等、二年で交代するんじゃなくて五年ぐらいで人事交流するとか、あるいは専門性と、いろいろやり方があろうかなというふうに思っております。
 
議院内閣制との関係でございますが、現在の法制度のもとにおいても、公取、公安委員会、公害調整委員会、ちゃんとあるわけでして、独立行政委員会が日本の法制度において従来から認められてきた組織であって、日本になじまないという制度ではありません。
 
これは個人情報保護法のときも、大臣が、どんどんと独走していってしまう第三者委員会は怖いというようなことを言いましたが、ちゃんと民主的コントロールはききます。さっき言ったように、国会が同意人事もやっていますし、政府が予算を握っているというようなことで、ちゃんとコントロールは及んでいるわけでありまして、そういった御懸念はないというふうに考えております。
 
行政府がルールを決めるというのはやはり無理がある。だって、行政府は振興しようとしているわけですから、いろいろな事業を興そう、興そうとしている、事業をどんどん頑張れ、頑張れと言っている、予算をつけている、補助金をつけている、そういった行政府が公平であるべきルールも決めちゃおう、これはやはり無理があるというふうに考えます。
 以上です。

■山田(敏)委員 
委員会の話になりましたけれども、公正取引委員会のような役割を持っていくということをきのう政府の方に申し上げたんですね。そのときに、総務省の方は、委員会というのは事後規定には向くんだ、事前規定にはなじまないんだ、こういう理屈をおっしゃいました。
 
政府委員、御存じですか。結局、総務省の中の仕事を奪われるのは耐えられない、役所の中の自分たちの仕事を守ろうという、非常に、国民のためにいいことをやろうというんじゃなくて、そういうのが見え見えになるんですが、委員会という、今四つの委員会が残っていますけれども、これについて、政府委員、どう思われますか。

■片山国務大臣 
今の行政委員会方式は、今言いましたように、いろいろな難点があるので、終戦直後はたくさんつくりましたけれども、どうしても必要な行政委員会だけに限定して今残っている、こういう状況でありまして、私は、アメリカの大統領制と日本の議院内閣制は歴然と違うので、そういう中での行政委員会の活用の仕方には、やはり日本は日本としての限度がある、日本としての工夫がなきゃいかぬ、こういうふうに思っております。
 
基本的には、今、行政委員会というのは結局、合議制の執行機関なんです、簡単に言うと。大臣というのは独任制の執行機関ですよね。しかし、議院内閣制というのは、閣議で全会一致で意思決定をやるので、意思決定は全会一致、合議ですけれども、独任制の執行機関。公取のように五人か何人か集まって、ここでみんなで相談して物を決めてやっていく、こういうのが行政委員会ですよね。
 
しかし、この方が、先ほども言いましたように、全部民間の方で、国会に対して責任を持つような立場にない。しかも、仮に規律だけやらせるとすれば、振興と規律の関係が二重行政になって混乱が起こる。しかも、その合議制の執行機関が、中央から地方までちゃんと事務局を持つのなら、これは大変行革に反することになる。

だから、どうしても必要最小限度のものは行政委員会というのも認められますけれども、基本的には、議院内閣制を貫いた方が行政効率の上でもあるし、救済措置はちゃんといろいろあるわけですから。不服申し立てもある、訴訟もある、あるいは審議会で意見を聞くこともある。私は、そういう仕組みの方が国民から見てずっとわかりやすいし、責任が明らかだし、効率的である、こういうふうに思っております。
 
同じことを繰り返していただきましたけれども、この電波等について行政委員会で分けていくということには、なかなか結構でございますということにはならない、こういうことを申し上げているわけであります。

■山田(敏)委員 
電波及び通信、情報、これからの日本の行く末を決める大変重要な分野です。これを間違うと日本は世界から取り残される、成功すると非常に大きな可能性と雇用が生まれる、非常に重要なポイントだと思うんですね。
 
先ほどから、委員会、例えば公正取引委員会、これが議院内閣制と何か反しているような、そんな言い方をされるんですが、独立行政委員会は委員会で、きちっとした役目を持って、そして公正に中立に、国民の立場に立って、正しく競争が行われるかどうか、こういうことをきちっと果たしているんじゃないですか。それに対して、議院内閣制と違うんだとか、大統領制と違うんだというのは何の脈絡もない。
 法案提出者、お答えいただけますか、今の僕の意見に対して。

武正議員 
例えば、議院内閣制の御本家であるイギリスでは、トライビューナルとかADRということで、行政に附属をしながらもやはり準立法、準司法的なものは独立させているんですよ、議院内閣制の御本家であるイギリスで。
 
そしてまた、先ほどから閣議、閣議とおっしゃいますが、残念ながら、まだ日本の行政は各省縦割りですよ。それぞれの大臣も、それぞれの自分の省庁の権益をやはり閣議の中でいかに守るか、こういったことに頑張っておられるんじゃないですか。日本の国益を守るために閣議が決定して、首相のもとに日本が運営されている、残念ながら、まだまだそうなっていないじゃないですか。
 やはり経済の展望を開かなきゃいけないこの今の時期にあって、相変わらずルールを各省の大臣がその省庁にとって都合のいいようにやっているから、電波利用料を九三年に決めたときだって、郵政省は出力と帯域幅に応じて決めたかったんでしょう、それが各省との折衝でできなかったんじゃないですか。書類の量に応じて決まっちゃったのが電波利用料じゃないですか。
 
だから、ここがやはり根本的な過ちがあるということで、準立法、準司法的なルールづくりは独立行政委員会であってしかるべきであって、何ら議院内閣制とそごを来すものではないというふうに思います。

■山田(敏)委員 
時間が参りましたので、質問を終わります。

■遠藤委員長 
次に、島聡君。

■島委員 
民主党の島聡でございます。
電波法に関する審議であります。
 
今、山田委員も言われていましたように、電波は限られた資源とよく言われます。電波不足ともよく言われるのですが、これは、きょうは法案提出者に特に聞きますけれども、今日本、無線LANも余り伸びていませんよね。無線LANに一番適した電波帯というのは無線インターネットですけれども、四から五ギガヘルツぐらいなんですよ。これは今回の法律とはまたちょっと違った形で使うようになっていますけれども。
 
今、電波不足と言いますけれども、電波はいろいろ、低周波から高周波までずっとあって、本当に不足しているところはいわゆる携帯電話のところだけなんです。不動産の土地からいけば、ほかのところはあいていて、低層住宅があるんだけれども、一部、携帯電話のところだけは物すごく高度利用をせざるを得ない。そこだけ不足している。周りは物すごく低層住宅で、一戸だけ高層ビルがあるようなものですよ。これはもう行政がおかしかったんですね。第四世代携帯電話というのが、恐らく十年後で、どうでしょうね、周波数帯域約五割ぐらいに膨らんでやっていくようなことになっていきます。
 
そういう意味で、電波法というのは非常に重要であるという意味で、私どもも武正IT副大臣が中心になってこの対案を出しました。
 
そういう意味で、武正提出者に聞きますけれども、特に電波利用制度の中で、共益費用でしたね、今までの考え方が。それを電波の経済的価値を反映したものに変更してきた。これは今申し上げた観点からも非常に重要なことだと思うわけでありますが、その趣旨は何ですか。
    〔委員長退席、佐藤(勉)委員長代理着席〕

武正議員 
先ほどからお話をさせていただいておりますが、共益費用は、要は電波の監理のための事務手数料。九三年にスタートしたときは、ファイルをつくるというのが一つと、二つ目は妨害電波、電波妨害に対するそういった意味で共益費用が始まったんですよ。
 
それが、今、もちろんアナ・アナ変換も含めてだんだんと共益費用の項目がふえていっています。共益費用があって電波利用料を決めたと当初は言っていたんですが、今これだけ携帯電話が、八千万台を超えて、電波利用料がどんどんどんどんふえていった、国庫に入ってくる、これを使わなきゃもったいないということで共益費用の項目をふやしていった。電波利用料があって共益費用がある。当初の設定とは全然変わったものになってきているこの共益費用、もうかなり無理があるというふうに思います。先ほど触れたように、やはり経済的価値を反映した電波利用料にしなければ、この国民共有の資源である電波を有効に活用できない。
 
しかも、今委員おっしゃられたように、無線LANですよね。これは欧米が競って電波帯を開放して積極的に導入を図っている。一時、無線LANですか、JRが試験的に、ワールドカップのときだけ主要駅でやりましたよね。あれがあればそれぞれの駅で無線を利用してさまざまなインターネットサービスも受けられる、いろいろな受益を供与できるわけでありますが、これが進んでいない。こういったところも、実際、結局、日本の電波行政がスピーディーでない理由というふうに批判を受けるところだと思います。
 
私は、やはり電波利用料は、無料ではなくて、経済的価値に応じてきちっと、その価格に応じて受益者は負担をすべきである、それが大事だというふうに思っております。
 
ある方に言わせれば、電波利用の共益業務は、これは民営化して、競争入札方式で外部委託すればいいという意見もあるんですよ。そういった意見もありますし、今委員がおっしゃられたように、ある面、無線LANとかあるいは免許不要の帯域があったっていいというような意見もあります。
 
電波も、電波帯で決められた方しかできないんじゃなくて、重層的に有効に利用できる、実際、調査してみると、全体の一〇%、五%しか利用していない。日本の国民共有の資源である電波帯が逼迫しているんじゃなくて、有効利用がされていないということだと思いますので、こういった点をやはり解決するために経済的価値を反映したものに変更するべきだというふうに思います。

■島委員 
おっしゃるとおりなんですよ、本当に。
 
有効利用させて、しかも、すごく技術が発展しているために、どんどんそれに対応させようと思ったらそういう経済的価値を反映させてやっていかないと、電波監理を最も市場経済的原理に合わせた方がいいところを、何か社会主義の考え方みたいに管理していくと本当に失敗する、私は本当にそう思いますね。
 
ただ、提出者、法案では、国や地方公共団体が公益上の電波の利用を必要とする場合にもオークションが行われる可能性に触れていますけれども、これは私、若干考えなくちゃいけないことがあると思うんですが、どうですか。

武正議員 
九三年当時も、公的セクターが電波利用料を払わないというのはおかしいじゃないか、妨害電波の影響は公的セクターも受けますよといったことを経済団体からも指摘を受けていたんですが、さまざまな省庁からの御意見を踏まえて郵政省さんも、公的セクターから電波利用料を取らないということでスタートしております。
 
公的セクターであっても電波利用料を払っているというのは、イギリスとかオーストラリアとかカナダということで、実際事例がございます。
 
ただ、公的セクターがオークションするかどうかという御懸念でございますが、公益上特定の電波を利用することが必要不可欠であると認められる場合には、オークションによらず、総務大臣、設置後は通信・放送委員会が、従来どおり、行政手続により承認または免許を与えることができるものと衆法では考えておりまして、そういった通信・放送委員会が、やはり電波の利用者の公共性ということをかんがみた、さまざまな対応ができるというふうに考えております。

■島委員 
電波は非常に、大いなる公共財ですから、そういう観点も必要であるということでありますね。
 オークションによる免許付与、従来から比較審査による免許付与を、それに対してまたこれは、徹底してやるのじゃなくて、総務大臣にも選択ができるようにしていますね。その趣旨は何ですか。

武正議員 
オークションが成り立つためには、付与可能な免許の数に比してこれを上回る数の申請者が見込まれること、ある周波数帯につき特定の者に免許を付与する公益上の必要がないことといった諸条件が整う必要がありまして、これに関しては個々の免許ごとに状況判断が必要であるため、総務大臣、通信・放送委員会設置後は委員会が個別に選択できることとする必要があるというふうに考えています。

■島委員 
先ほど、オークションを言下に否定されたという話をされましたけれども、いわゆるそういう公共財であることも十分に検討してあって、そして、それも付与してある法案であるということだと理解をしております。
 新制度でやっていきますと、電波利用の収入は現行の五億円程度からかなり増加することが予想されると思います。その使途についてはどんなふうに考えていますか。

武正議員 
当初、電波のオークションという話が出たときに、財政再建の観点からということが随分言われました。これは与党の総務会長、当時の方からも、電波のオークションによって五兆円収入が上げられるんじゃないか、あるいは十兆円だというようなこともいろいろ挙げられましたが、そういったことが、やはり現下の経済情勢もかんがみたり、あるいはいわゆるバブルといったことも踏まえて、今回、衆法では、財政再建ということは、これは今後、日本の経済の状況においてこのオークション制度をどの程度の帯域まで広げていくか、それはやはり通信・放送委員会がいろいろとかげんをしながらやっていっていいんじゃないかなというふうに思います。
 
この国民共有の財産である電波を特定の者に利用させることから得られる収入は国民全体に還元させるのが基本であります。ですから、国庫の一般会計に繰り入れられ、国政全般のために使われるべきと考えます。ただし、電波から生じる収入であるので、現行と同様、一般会計の歳入としつつ、電波利用共益費用に必要な分についてはこれに優先して充てることとしております。
 
ただ、先ほど触れたように、電波利用料がふえていったから、では共益費用の項目をふやそう、これではやはりおかしいわけでありまして、必要な分はそこから充てますが、不必要な分はしっかり国庫に返して、入れて、それできちっと、しかるべき施策に充てるということが国民共有資源である電波の経済的価値に見合った、このオークション制度の導入という目的だと思います。

■島委員 
最初、オークション制度が導入されるときには、確かにそういう議論がありましたね。これで財政再建に随分寄与するというような話が、たしか与党から出たと私も思っています。どういう経緯でどういうふうに変わっていったのか、ちょっと私も理解しがたいところがありますが。
 
私は、今もおっしゃったように、国民共有財産である電波ですから、一般会計というのはそれでいいと思います。国政全般に使われていく、そしてさらに、共益費の分というのはそれはそれとしてとっておく、それはそういう形でいいのではないかなというふうに思います。
 何はともあれ、電波政策の非常に根幹のところであります。ここできちんとした審議が必要であると思いますが、先ほどからいろいろな議論が出ておりますいわゆる通信・放送委員会ですね、NHKを通信・放送委員会が所管するとしているという法案だったと思います。その目的は一体何ですか。衆法の提出者。

武正議員 
当委員会にもNHKの会長さんが年に一度二度お見えになって、予算、決算、その質疑に当たられております。多くの委員が質疑に立たれていると思いますが、私の見るところ、また多くの同僚委員も感じられるところでありますが、NHK会長の答弁は非常に奥歯に物が挟まったような感じで答えられているように受けざるを得ません。ある面やはり監督官庁である総務省に対する気兼ねがNHK会長の答弁にあるとすれば、やはりそれがNHKの放送の独立性を堅持するといったところを侵しやしないかということを危惧するものであります。
 
そういった意味で、通信・放送委員会がNHKの監督を、行政を行うという独立行政委員会に任せていこうと、中立かつ公正に行われるべく、規律行政であるため、規律行政を担う委員会の所管としたものであります。
 
現状、NHKは総務大臣から財務、受信料、業務、放送施設等さまざまな場面で認可、そしてまた届け出、そしてまた命令、これを受けるような形になっておりまして、また多くの部分は電監審に諮問も、必要的諮問事項ということでなっておりますけれども、ただ、この電監審でさえ、先ほど触れたように、中央省庁等改革関連法案で電監審の大事な部分を削除してしまっております。
 
こういった中で、NHKの放送の独立性、公共放送であるがゆえになおさらその独立性をNHKが堅持されるように、その監督は通信・放送委員会にさせるべきというふうに考えております。

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