2007/03/02
【衆院本会議】予算・総務委員長の解任決議を議論

 枝野幸男議員が2日午後10時25分から開かれた衆議院本会議で、金子予算委員長に対する解任決議の趣旨弁明に立った。趣旨弁明の途中、11時50分に河野議長が延会手続きをとり、3日午前10分に本会議が再開されることになった。0時20分に再開された本会議で、趣旨弁明の時間制限動議が出され、可決された。

 枝野議員は、金子委員長が、柳澤厚生労働大臣をかばったこと、御手洗経団連会長の参考人招致に応じなかったこと、審議時間が例年よりはるかに少ないにもかかわらず質疑を終局したことなどを挙げた。

 また、日本の針路に触れ、改革を進めるというのなら、戦後60年とのスパンではなく、400年のスパンで考え、権力のあり方そのものを変えること、すなわち官僚主導、官僚という権力から脱却すること、分権による基礎的な自治体への権限・財源の移譲を求めた。

 こうした本質的な議論を封じたばかりでなく、天下りや国民が注視している政治とカネの問題を封印したことを1時間半にわたって堂々と述べた。

 賛成討論には中川正春議員が立ち、委員会運営を「数の力に物を言わせた高圧的なもの」と批判した。解任決議は賛成少数で否決された。

 次に佐藤総務委員長の解任決議が議題となり、武正公一議員が趣旨弁明、寺田学議員が賛成討論に立った。武正議員は、地方税法改正案と交付税改正案の審議時間はわずか3時間であったことを指摘し、これで審議をつくしたとは到底言い得ないとした。寺田議員は、「速記録を見ても、動議の声しか記録されておらず、採決とは言えない」と強行採決を批判した。

 その後、本会議内での議場整理係りの折衝が行われ、財務金融委員長の解任決議は取り下げられた。
(民主党サイトより転載)

【衆院本会議 議事録】 
佐藤総務委員長の解任決議への趣旨弁明

 武正公一君 武正公一です。

 私は、民主党・無所属クラブを代表いたしまして、ただいま議題となりました総務委員長佐藤勉君解任決議案について、提案の趣旨を説明いたします。(拍手)

 主文、

  本院は、総務委員長佐藤勉君を解任する。

以上であります。

 以下、その理由を申し述べます。

 総務委員長佐藤勉君は、委員長就任に当たり、「公平かつ円満な委員会運営を図ってまいりたいと存じます」と決意を語っていました。また、佐藤勉君は、みずから総務委員会を「国民生活に密着した、極めて重要な使命を果たす委員会」にするとも述べています。佐藤勉君には、国民の生活がよりよいものになるよう、真摯な態度で委員会運営に当たることが期待されていたのです。

 しかし、地方税法の一部を改正する法律案、地法交付税法等の一部を改正する法律案、平成十九年度地方財政計画の審議において、委員会での審議をほとんど行っていないにもかかわらず、今般、審議を打ち切るという暴挙に佐藤君は出たのであります。きのうの理事会で、突如委員長職権により、本日午後二時の総務委員会を、自民党三十分の質疑、そして採決と立てたのであります。そもそも、予算委員会審議中に採決をするというのは、地方税法、地方交付税法を予算と一体で採決をという政府・与党の方針ともそごがあるはずです。

 これまでの審議時間は、わずか三時間であります。与党一時間、野党二時間であります。重要広範議案に指定をされた二法案について、私ども野党は、理事会で十分な審議時間をとるよう求めてまいりました。この六年間でも、最低でも八時間であります。総理出席、参考人質疑も相次いで求めてまいりました。理事会での協議が、与野党での真摯なやりとりがあったことを佐藤委員長が一番よく知っているはずです。それが突如、委員長職権による委員会開催です。審議を尽くすよう再三求めたにもかかわらず、委員会は開催され、質疑終局後、私どもが抗議したにもかかわらず、佐藤委員長は採決を強行いたしました。

 そもそも、地方税法、地方交付税法をなぜ政府・与党は一括で審議しようとするのでしょうか。大事な地方税が年度内成立が必要なのがわかるにしても、地方交付税は年度内成立は求められておりません。地方公共団体の要請と政府・与党は言いますが、年四回の交付であり、四月を過ぎての成立、交付でも十分間に合うことを総務省も認めています。過去にさかのぼれば、地方税法と地方交付税法は、平成五年まで分離で審議、地方行政委員会では、大蔵大臣出席のもと、参考人も呼んで、二十時間近くの審議時間をかけ、五月、六月に成立をさせています。平成六年以降でも、平成十五年と十七年は分離で審議をしております。

 なぜ、これほどまできょうの成立にこだわるのでしょうか。自然成立からの逆算でしょうか。今国会は、そもそも、開会が二週間おくれ、その上、補正予算も提出、審議のスタートがずれているのですから、自然成立の日にこだわることなく、立法府として審議を尽くすべきであります。佐藤委員長はそれを怠りました。国民生活に密着した、とりわけ地方税、地方交付税の議論が尽くされないことは、三権分立の立法府としてその責任を放棄したとも言ってもよいのであります。(拍手)

 政府・与党は景気が回復していると盛んにアピールしていますが、景気回復の恩恵にあずかれない過疎地などでは、税財源を確保することが切実な問題となっております。自治体の財政格差の問題が深刻化しております。また、財政赤字を抱えた夕張市が財政再建団体に移行することを表明するなど、地方財政をめぐってさまざまな問題が噴出しております。このような状況にもかかわらず、佐藤勉君は、地方の実情を把握するための、重要広範議案として参考人を呼ぶという最低限の努力も怠りました。まさに言語道断であります。

 そもそも、このたびの二法案、全くいいかげんな法案であり、それをいいかげんな方法で成立させようとしている佐藤勉君の行為は断じて許すことができません。

 佐藤勉君が強引に成立させようとしている二法案の問題点の一端を御説明いたします。

 第一に、個人、地域の格差是正には全く取り組んでいないということであります。この五年間、政府・与党は国民個人に八兆三千億円の負担を強いております。消費税率三・五%分の増税、保険料の負担増でございます。こうした中、地方への税財源移譲、そしてまた定率減税全廃、六月にはダブルで住民税がはね上がります。これが地方経済ないし家計に与える影響は深刻であります。こうしたことに今回の地方税法の改正は少しも取り組んでいないということがまず第一点でございます。

 第二は、安倍内閣の無策ぶりを反映して、今回、地域間の格差是正には取り組まれていないということであります。有効求人倍率一つとっても、五年前、第一位の都道府県と最下位の格差は三・一倍でありました。昨年の十二月、第一位の愛知県と最下位の沖縄県との格差は約五倍へと広がっております。この地域間の格差拡大、これが放置されているというのが第二点の理由でございます。

 そして第三点、これはやはり、安倍内閣が地方分権に対する具体的なプランを何ら示し得ていないという点でございます。

 そして第四、特に、今回のこの交付税法の改正では、特別会計の償還というものが始まっております。二十年間でこの三十数兆円を返還する、その初年度は五千億円でありますが、最終二十年度は年間に三兆五千億円もの返還をすることになっております。毎年一〇%ずつ償還がふえていくプログラムであります。これは経済成長を前提としておりますが、二十年間経済成長が続くという保証はどこにもないことは言うまでもありませんし、さらに、地方交付税全体をベースとして、そこから償還額を出していくという制度設計自体にまず問題があるのでございます。

 そして、第五に、頑張る地方応援プログラムでございます。

 そもそも、交付税制度に、こうした財源保障、財政調整といった観点から、頑張る地方応援プログラム、これはそぐわないものでございます。なおかつ、頑張る地方応援プログラムは、一自治体三千万円までの特別交付税を交付する措置が盛り込まれておりますが、その基準が全くさじかげんであると言っても過言ではありません。

 特に、また、頑張る地方応援懇談会と称して、選挙を所掌する総務大臣あるいは副大臣、政務官が、地方選挙が行われる四月までに、全国四十七都道府県を回って市町村と懇談をして、そしてその後に交付税の算定が決まるということは、選挙を預かる大臣として疑義が高いということを改めて指摘させていただくものでございます。

 これだけでも、佐藤勉君ががむしゃらに成立させようとする法案、さらに加えて、新型交付税、これもまた問題が大いにあるにもかかわらず、これがまた地域振興費ということでブラックボックスになっております。こうしたさまざまな問題がある法案をがむしゃらに通そうとする佐藤勉君の委員長としての責任を重ねて問うものでございます。

 加えるに、そもそもスタートが遅く、補正予算審議も行われた今国会では、参議院選挙があるので延長も難しいという会期であります。九十本もの政府・与党提出法案のうち、総務省の法案は十六本もあります。全法案の五分の一近くであります。

 総務大臣は、昨年、NHK命令放送に続き、近未來通信事件を契機とした立入検査強化の電気通信事業法改正等、しかし、これは平成十年、内閣府にそもそも国民生活センターから既に提起があったことが、政府の各省庁の連携がうまくいかずに問題が大きく大きくなってしまったもの、そしてまた、NHKに対するいわゆる強制徴収、受信料の徴収義務化、そしてまた二割引き下げ要求、あるいは関テレの捏造といったことを契機とする放送法改正など、矢継ぎ早の法改正を提出していた結果、総務委員会での運営が大変窮屈なものになったことを指摘するところでございます。

 以上の理由のように、本院は佐藤委員長を信任すべきではありません。よって、ここに総務委員長佐藤勉君解任決議案を提出するものであります。議員諸氏がその良心に従い、本決議案に御賛同賜らんことを訴えて、趣旨説明を終わります。(拍手)