2007年4月10日
【総務委員会議事録】 地方税法、交付税法に関しての質疑

武正委員 民主党の武正公一です。

 地方税法、交付税法に関しての質疑、当初、法案可決前ということができませんでしたので、きょうこうして改めて質疑をさせていただきます。

 さて、まず質疑に入る前に、ようやくというか、三月十三日提出と言われました放送法、これが先週金曜日に閣議決定されております。私は、三月十三日までということで衆議院の議運でも求めてまいりましたこの法案提出、それを過ぎたのであれば、今国会の提出は見送って、とりわけ参議院選挙もあって会期延長もできないわけですから、臨時国会以降に当然提出をすべきであろう、こういうふうに考えておりますが、先週提出をされております。

 その法案が、きょうも私どもの部門の勉強会で説明を聞きましたが、放送法等と言っておるんですけれども、放送法についても大変分厚い盛りだくさんの内容、それに電波法、そしてまた、近未來通信事件をもとにした、私はこれは法改正すべきでないと再三申し上げた電気通信事業法改正、こういったものまでセットで出されるというのは、当総務委員会では過去も、地方自治法の改正、あるいは平成十七年も放送法、電波法をセットで法案を出されまして、私ども民主党では両法案への対応が違っていたものですから、やはりこうやって何でも一緒に出される、そうした政府、とりわけ総務省の国会への法案提出のやり方、これについては再三改善を求めてきております。

 そういった経緯がある中で、時間も大変、一カ月近くおくれる中でまた三法をセットで出されるということは甚だ遺憾であり、改めて法案をもし出されるのであれば放送法だけに絞って提出をいただきたいということを重ねて求めておきます。

 それでは、質疑に入らせていただきますが、まず、今回の地方選挙でいわゆるローカルマニフェストが初めて解禁になりました。ただ、部数などをめぐって、三十万部が上限であった知事選などでは、やはり東京の有権者一千万からするといかがなものか、こういったような指摘もあるわけなんですが、こうしたローカルマニフェストの初めての選挙であったこの選挙を振り返って、ローカルマニフェストについて、大臣としての御所見。

 また、期日前投票がかなり定着してきたと思います。ただ、期日前投票をしたくても、投票用紙が手元に届くのが告示後数日を経てというふうになっておりますと、今回、例えば県議選ですと九日間、特に最初は土日があるわけなんですけれども、その土日に期日前投票をしようにも、まだ投票券が届いていない。実際私のところもそうだったんですけれども、こういった実態があるんですけれども、これについてもまだ改善の余地があるのではないかと思いますが、以上二点、大臣の御所見を伺います。

○菅国務大臣 いわゆるローカルマニフェストでありますけれども、各党会派の皆さんの協議によって、この選挙前に倫選特の委員長提案という形で法案が成立をし、この統一地方選挙から頒布できるようになった。

 そういう意味で、今、ビラの枚数についてのお話がありました。これにつきましては、国政選挙だとか、あるいはそうした通常はがきの枚数、そうしたバランスの上で今回取り決められたわけであります。

 やはり多くの国民の皆さんがそれぞれの選挙の際に非常に参考にする方がふえてきているようでありますので、今回は初めての導入でありましたけれども、今後、それを広げるについても、ぜひ各党会派においてしっかりとした議論をして方向性を定めてほしいなというふうに思います。少なくとも、今回のことによって選挙に関心が高まったということは私は評価をしたい、こう思います。

 期日前投票でありますけれども、実は私も期日前投票に行ったんですが、私のところはもう事前に着いておりました。委員のところはまだだったということでありますけれども、これはやはりできるだけ多くの自治体が、告示前というんですか、その土日に対応できるようにするのがある意味では私は望ましい姿だというふうに思っていますので、私どもも、これの徹底というんですか、そういうことも前向きに考えさせていただきたいというふうに思います。また、もっと言うならば、この投票をもっと多くの人に利用してもらえるように、そういう仕組みも一緒に考えていきたい、こう思っています。

武正委員  ローカルマニフェストはおっしゃるとおり委員長提案で成立をしておりますので、これは各党各会派でやはり今回の検証が必要だというふうに私も思っております。

 期日前投票をもう一度おさらいをいたしますと、投票券は総務省の政令によって告示日に発送するということになっております。政令ですね。そうしますと、私が言った土日というのは最初の土日ですね、最初の土日に投票しようにも、まだ届いていなかった。私のところは月曜か火曜だったと思うんですけれども、期日前投票利用者にすれば、やはり土日の休みを利用してというふうになろうかと思いますので、やはり告示日に発送するというのをもうちょっと前倒しでできないのかなというのが私の問題意識であります。

 総務省さんに聞きますと、いや、選挙人の確定が告示日の前日なんだ、こういうふうにおっしゃられるんですが、でも、三カ月住んでいないと地方選挙は投票できないわけなんですよ。ということは、もう三カ月前には投票人は確定されているわけです。しかも、年四回、三月、六月、九月、十二月の一日に選挙人の確定が定時で行われている。

 ですから、問題は、前日なり前々日なり、それを確定する意味というのは、三カ月間の間にどこかに行ってしまった人に対して、移動した人に対して投票券を送らないようにするという意味の確定であって、どっちかというと、無駄を排するというか、投票権がない人に投票券を送っちゃいけないということで、ぎりぎりまでそれをずらしているそうなんです。そうであれば、十二月一日から十二月三十日までの一カ月間にもし転居されて投票権を失ったような方々、そういった方に対しては、例えば前々日とか前々々日にそれがわかっていれば、前日の場合に、投票券は送ってしまったけれどもあなたは投票できませんよとか、いろいろなやり方があると思うんですね。

 そういった意味で、政令でやっておられるところでありますし、前日に確定をしなければいけないということも法律にもないわけですので、政省令で対応ができるところなので、ぜひその点、これから地方選もありますし、また参議院選挙もありますので、期日前投票の利用をより進める意味で御検討をお願いしたいと思いますが、再度、御答弁をお願いします。

○菅国務大臣 選挙人名簿の選挙時の登録は、新たに三カ月の住所要件に該当することによって選挙人名簿に登録されるものの、選挙権の行使の道をできるだけ広く開くという趣旨から、それぞれの選挙管理委員会が、公示日の前日を基準日として登録を行っているものというふうに承知をしております。

 一方、入場券がなくても投票も実はできるわけでありますので、こうしたことも一方にはしっかり広報していきたいなというふうに思います。

 いずれにしろ、できるだけ速やかに入場券が届くように、これは私も前向きに行いたいと思いますし、特に地方選挙は一回しか日曜日はありませんので、そういうことも配慮していきたいと思います。

武正委員  ぜひ、ことしは選挙イヤーでありますので、そうしたお取り組みを所管省庁としてお願いして、投票率を上げていく、そしてまた有権者の皆様が投票権を行使できる、そのための所管省庁としてのでき得る限りのお取り組みを強く求めたいというふうに思います。

 さて、次に、税法、交付税法に移りたいんですが、六月からの定率減税全廃、地方への税源移譲、ダブルで、特に住民税が年収五百万円から七百万円までの層が二倍近くにはね上がる、こういうことでございます。

 年収五百万円の方は、定率減税が昨年半減した後と、今回の全廃と税源移譲ダブルを比較しますと、これは総務省がつくったモデルでございますが、住民税が七万三百円が十三万五千五百円、ほぼ倍。年収七百万円の方は、住民税が十八万一千三百円が二十九万三千五百円へということで、これは五割以上、六割ぐらいやはり上がっていく。一千万円の方も、四十二万二千円が五十三万九千五百円ということで、こちらは三割ぐらい上がる。

 とりわけ中堅所得層に対する負担増、これは当然、所得税、住民税の中立ということはわかっているにせよ、定率減税も加わりますので、一月に所得税が下がったということを、半年ぐらいたつとやはりだんだんみんななれてきてしまいますので、ここで住民税がダブルでごおんと二倍に上がってくるというのは大変な重税感を、特に年収五百万円の方々は持つというふうに私は危惧をするわけなんです。そういったことを考えると、やはりこの定率減税全廃と税源移譲をダブルにことしなぜやらなきゃいけなかったのか。再三申し上げているように、恒久的だと。安倍総理、菅総務大臣は、暫定的だと。そしてまた、税制の抜本改革は秋以降だと政府税調も言っているということであれば、なぜことしダブルでやらなきゃいけなかったのかということで、私は、やはりこの定率減税は税制の抜本改革とあわせてやるのが国民的にも一番わかりやすいことではなかったのかなということを思うんですが、特にこの中堅所得層の重税感、個人住民税が約二倍にはね上がることについて、改めて総務大臣としての御所見を伺います。

○菅国務大臣 委員も質問の中で言われておりましたけれども、税源移譲によって個人住民税が増加しても、その分だけ所得税が減少する、そういう設計で、所得税、個人住民税合わせると個々の税負担は変わらない、このことは御理解いただけるというふうに思います。

 その中で、定率減税の廃止に伴って影響が生じるわけでありますけれども、この定率減税の廃止につきましても、景気が一定の方向が見えてきた中で、十八年度税制改正において廃止することになったわけであります。

 所得税と個人住民税をあわせて見てみますと、定率減税の廃止によって負担がもとに戻るものであって、例えば夫婦子二人の世帯であれば、年間で、給与収入五百万円で一万八千円程度、給与収入七百万円で四万一千円程度の負担増が生じるわけでありますし、そういう意味では過大なものではないと御理解いただきたいと思います。

武正委員  私は、再三、暫定的ではなくて恒久的であった定率減税でありますので、やはり秋以降というか来年度以降の税制の抜本改革とあわせてやるべきであったと。今からでも遅くないというのが私の意見でございます。

 続きまして、実際、住民税が上がっていくこと、要は、定率減税でも上がる、それから税源移譲でも上がる。厚生労働省の副大臣がお見えですので、その後お聞きしますが、厚生労働省以外でこの個人住民税がダブルで上がることに伴って連動して上がる個人の負担というものはあるでしょうか。これは大臣、お答えいただけますか。

○菅国務大臣 税源移譲によって六月から個人住民税の税額が変動しますけれども、先ほど言いましたように、所得税が一月の段階で減税をされている。そういう意味では、所得金額や課税、非課税の区分に連動する仕組みになっている他の制度への影響は生じないというふうに考えています。

 ただ、個人住民税額を用いて国民健康保険料を算出しております一部の市区町村においては影響が生じることがありますので、それぞれの団体において必要な措置がとられているところであります。

 厚生労働省所管以外では、幼稚園就園奨励費補助金の算定に個人住民税額が用いられているところです。また、このほかに、保育所の保育料や地方団体独自の制度などについて影響が生じる場合があり得ますけれども、それぞれの所管省庁やそれぞれの制度を運用する地方公共団体で適切な対応がなされているというふうに考えています。

武正委員  それぞれの地公体が適切な処理をされるというふうに考えておられるということですが、今言われたような厚生労働省以外のこともそれぞれの省庁がきちっと地公体に対応しているかどうかは、やはり横ぐしで総務省がしっかりとチェックをするべきだというふうに思いますので、この点遺漏なきよう御対応をお願いしたいと思います。

 厚労省関係は非常に多いと思うんですが、個人住民税に連動する制度、今言われた国民健康保険税のほかにも、介護保険料、介護保険制度の利用料、国民年金保険料、児童手当、児童扶養手当、障害者自立支援等ございますが、厚労省関係で個人住民税に連動することがあり得るのか。そして、それについて、今言われたように地公体に対応するのか、副大臣にお答えをいただきたいと思います。

○石田副大臣 平成十九年からの定率減税の廃止、地方への税源移譲の実施により、六月から住民税が増加することに伴い国民健康保険料が影響を受ける、こういうことでございます。そのことは今総務大臣からも触れていただきました。

 一方、介護保険の保険料及び利用料、国民年金保険料、児童手当、児童扶養手当については、影響を受けません。また、障害者自立支援法関係では、本年七月より対象となる所得割の額を設定し直すことにより影響が生じないように措置することといたしております。以上です。

武正委員  国民年金保険料はいかがでしょうか。

○石田副大臣 国民年金につきましては、影響はございません。

武正委員  今お話ありました国民健康保険と障害者自立支援、これについて影響があるということですので、それについては、厚労省さんからも、また総務省さんからもきちっと地公体への御対応をよろしくお願いをしたいと思います。

 それでは、副大臣、どうぞ。どうもありがとうございました。

 続きまして、お手元に資料を配らせていただきました一枚目。二枚目は先ほどの所得税、個人住民税の税額についての表でございます。交付税特会の償還、十八年度補正で五千三百三十六億円償還をしておりますが、十九年から二十年かけてこのような償還額という表でございます。毎年一〇%ずつふえていくという制度設計でありますが、まず、十八年度補正で五千三百三十六億円しか返さなかった理由。たしか二兆五千億円ぐらい、そういった意味では余剰というか税収増に伴うそうしたものがあったわけですので、私は、お金があるうちにもっと返しておけばいいのになというふうに正直思いましたので、この点がなぜなのか、もっと返せたんじゃないですかというのが一点と、それをどうしてもそのときに五千三百三十六億円にしたのは、毎年毎年一〇%ずつ増額して三十四兆円を、三十八年度には三兆五千億返す制度設計ゆえにそういうふうにされたのかと思いますが、やはり毎年一〇%ずつふえていく。わかりやすく言うと、借金の返済を、定額ではなくて、しかもお金があるときに返そうというんじゃなくて、これから毎年一〇%ずつ借金の返済額をふやしていくというのは、一般的な民間の感覚でもなかなか無理があるんじゃないのかなと。お金があるとき返しましょう、あるいは毎月、毎年決めた額を返していきましょう、それに伴ってそれこそ将来の生活設計をしましょうというのが個人あるいは民間のわかりやすい感覚だと思うんですが、なぜこういうような制度設計にしたのか。

 以上二点、お伺いしたいと思います。

○菅国務大臣 まず、委員御承知のとおり、交付税特別会計の借入金は五十三兆円ありました。その中で、国分と地方分を分けて、三十四兆円について地方が償還をしていく。いずれにしろ、この交付税制度の持続可能性というものを確保するということ、これは私ども非常に大事だというふうに思っていますので、そういうことで早期返還を実は決定しました。

 言われましたように、十八年度補正で五千三百三十六億円の償還をすることにいたしました。そして、毎年度一〇%ずつ段階的に増加する形で二十年間で償還計画を、今の資料にありますように決定をさせていただきました。

 仮に、この補正において五千三百三十六億円、これに増額をするならば、平成十九年度に繰り越して交付税総額に加算している一・五兆円、これが小さくなってしまう。また、十九年度に安定的な財政運営に必要な交付税総額というものについては当面の償還をした上でも確保できる、そういう見通しがあったものですから、このような形にさせていただきました。

武正委員  十九年度については、当初の税収見込みよりもふえるというようなことも既に言われているわけですので、私は、やはり十八年度補正でもう少し踏み込んで返済ができたのではないのかなというふうに思っております。

 それと、今の一〇%ずつ上がっていくことが、先ほどの率直な、素朴な感覚からいって非常に無理があるように思うんですけれども、なぜ毎年一〇%ずつ返済額をふやしていくことにしたのか、その根拠をお示しいただきたい。

○菅国務大臣 今委員からの御指摘にありましたように、その資料によれば、最終的には平成三十八年度三・六兆円、毎年の償還の増額というのは五百億円程度であって、最終年度で前の年と比べ三千億ふえるわけであります。

 これについては、内閣府で試算された「進路と戦略 参考試算」によれば、地方交付税の法定率分というのは現行法定率の場合でも毎年約五千億円程度も増加しておりまして、今回の償還計画は一定のそうした前提のもとに立てられておるところであります。

 今後、安定的な経済成長に努めることによって、歳出の効率化努力や歳入確保努力を続けていくことによって、計画どおり償還できるように努めていきたいと思っています。

 とはいえ、経済というのは不確実性が伴うことも事実だというふうに思っております。この償還計画の前提である経済が順調に推移しない場合等には、今後の経済動向だとか地方財源不足の状況などを踏まえてその時点で十分検討して対応していきたいと思っております。

武正委員  十分検討して対応していきたいというお話なんですが、多分、これは財政当局というか財務当局、財務省とのやりとりの中でいろいろこういった額を決めてきたと思うんですね。国全体の財政事情の中でこうした形をとってきたと思いますので、総務省だけで対応していくといってもやはりかなり無理があるのではないのかなというふうに思います。

 毎年五千億円ずつふえていく国税収入あるいはその根拠となる五税ですか、言われたわけですけれども、この十年間をとってみても、平成十七年と昭和六十二年、六十三年を比べて、あるいは平成元年と比べると、国税収入は十兆円、租税収入は下がっているわけですね。地方税の収入もでこぼこで、上がったり下がったりというのがこの二十年間やはり続いているわけですね。

 ですから、これからの二十年間、毎年五千億、五税なり国税の地方交付税の算定基準がふえますよというのもいかがなものかと思いますので、今回の制度設計、国と地方ではっきりと責任を分けたというのは評価をしても、この返済計画には非常に無理がある。また、そのときに総務省だけで対応しますといっても、説得力からいって、やはり政府全体でどういう形でこれに対応できるのか。

 これは地方交付税制度全体、民主党は地方への一括交付金、これも過渡的な考えでありますが、こうしたものを打ち出しておりますが、やはり交付税のあり方そのものも、交付税特会の借入金の償還計画は改めて提起をしているということをこのときにあわせて指摘をしたいというふうに思います。

 さて、今回、交付税法の改正で新型交付税を提案されておりますが、その前に、私は、今三千三百の自治体が約千八百になっているわけですけれども、この先政府は、自治体の合併目標を幾つに置いて、いつまでにどのような手法で市町村合併を進めていかれるのか、御所見を伺いたいと思います。

○菅国務大臣 市町村合併につきましては、与党の行財政改革推進協議会における、市町村合併後の自治体の数を千を目標とする、そういう方針に基づいて、引き続き自主的な市町村合併を積極的に推進するという閣議決定に基づいて、政府として積極的に進めていきたいというふうに思っております。

 現在、平成十一年十一月には三千二百三十二あった市町村数が、本年四月には千八百四となったわけでありまして、それなりの効果があったというふうに思っています。

 しかしながら、現在でも、人口一万未満の市町村も五百程度存在をしております。少子高齢化の進行や厳しい財政状況、さらに地方分権の進展などを踏まえるときに、市町村において、行財政基盤の強化の観点からも、合併新法の期限、平成二十二年になっておりますけれども、ここを見据えて、合併について検討していただきたいというふうに思っているところであります。

 この合併新法におきましては、都道府県が市町村合併の推進に関する構想を作成したりあるいは合併協議会の設置勧告をできるようにするなど、都道府県の役割を強化しておりまして、さらなる都道府県の積極的な役割を期待しているところであります。

 政府としては、市町村合併支援プランによって各種支援措置を講じるとともに、都道府県と協力をしながら、引き続き市町村合併というものを一つの千という目標を目指して取り組んでいきたいと思います。

武正委員  行革大綱でも千ということをうたっているわけですが、具体的にいつまでというのは決まってはいないということでよろしいでしょうか。

○菅国務大臣 具体的な最終目標年次というのは決めておりません。

武正委員  それで、これまで千八百まで進める中で、やはり合併の特例に基づいて、合併に伴う地方債の発行について交付税措置を、これがかなり合併を促してきた、一つのインセンティブ効果があった、これは大臣も認めているところだと思うんですね。ただやはり、先ほど触れたように、財政当局のそうした考えも当然あるでしょうし、これがこの先使えないという中でどうやって市町村合併を進めていくのか。

 先ほど都道府県に頑張ってくれというお話でしたけれども、果たして、では都道府県知事が、それこそ分権時代ですので、市町村合併についてもかなり、いや、ここまでやったじゃないのかというような見方も都道府県知事には一部あると思うんですね。その中に、知事に頑張ってくれと言っても、それこそ総務省、政府は、ないそでは振れないよ、あとはもう自主的に頑張ってよと言って、本当にこの先市町村合併が千に進んでいくのかどうか。

 また、合併もかなり無理をしてまいりましたので、果たしてそれが本当に住民にとって、福祉の向上にとって役に立つのか。あるいは、コミュニティーがそれこそ崩壊していないか。それこそ、地域間の格差がこれによって、それぞれの地域地域で大きな合併の市町村が誕生したことによって、それぞれの市町村の中での格差が拡大しているのではないのか。

 こういったさまざまな疑義もあるわけですけれども、千という目標をとらえて、今言ったような合併特例債、これが、交付税措置がない中でどういう形でインセンティブをつけていくのか、御所見を伺います。

○菅国務大臣 まず、三千二百から千八百になった。これは、全国を見てみますと、都道府県によって非常にばらつきが実はあるわけでありまして、寺田委員のところの秋田県なんかは合併が非常に進んでいる。しかし、合併の進んでいないところもある。私どもとすれば、まず先行して合併をしていただいたそうした市町村、そこがまず合併してよかったという仕組み、当初目標のようになることというのは、私は、極めて大事だというふうに思っております。

 そのことも、関係省庁によってこうした支援を行うことになっていますので、その効果というのはこれから出てくるというふうに思っていますので、合併効果が上がって合併の一つの模範的な自治体がふえてくれば、当然、続く市町村もそうした方向になってくると私は思います。

武正委員  では、合併効果はどういったところで出る、あるいはそれをどういうところで評価されるんでしょうか。

○菅国務大臣 例えば、単独の市町村ではできなかった、幼稚園だとか、保育園だとか、学校だとか、あるいは図書館だとか、高齢者福祉だとか、全体の中で見られるわけでありますから、私は、合併効果というのはやはり非常に大きなものが出てくるというふうに思っています。

 それと、コミュニティーのためのバスの運行だとかいろいろなことを今それぞれの自治体で取り組んでおりまして、効果も出始めていますので、私は、必ずそういう効果が出てくると思っております。

武正委員  そういう合併効果が目に見えた形で住民の方がわかるには、一つにはやはり分権を徹底して進めていくというのがまず第一だというふうに思っております。

 一方、コミュニティーというお話がありました。ただ、今まではそれぞれの市町村がコミュニティーとして成り立っていたわけですから、それは自治区とかいろいろな形の補完的な法改正も既にありましたけれども、やはり旧来の市町村が大きなものになってしまった中でどういう形でそれを補完するのか、これがやはり問われてくるというふうに思いますので、その点は、この先、この総務委員会でもきっちり議論をしていきたいと思いますが、御対応をお願いしたいと思います。

 そこで、新型交付税なんですが、ax対byイコール、都道府県が三対一程度、市町村が十対一程度ということで、xが人口、yが面積ということで算定方法を出していただいています。都道府県は三対一ということで、人口と面積でいうと面積の三倍人口を評価する。ただ、市町村は十対一ということで面積よりも十倍人口について評価をするという数式になっているので、これはもしかしたら市町村の合併を促すために三対十にしているのかなというふうに、うがった見方もされると思うんですけれども、この点についてはどのようにお答えになりますか。

○菅国務大臣 うがった見方はしない方がいいのかなと実は思っておりますけれども、いずれにしろ、今委員御指摘されましたように、都道府県は三対一、市町村は十対一ということは事実であります。

 これは、新型交付税で算定をする投資的経費について、都道府県分においては、土地改良事業など、面積の広い狭い、これによって事業量が増減する事業のウエートが非常に高いということであります。また一方、市町村分においては、小中学校だとか廃棄物処理施設の整備など、人口の多い少ない、これによって事業量が増減する事業のウエートが高い、こういうことを実は反映した結果であります。

 また、この新型交付税の制度設計に当たっては、人口が少ない地方公共団体ほど人口一人当たりの行政経費がかかりますので、そうしたことを反映するとともに、条件不利地域の財政需要にも配慮するなどしながら変動額を最小限にとどめることとしたところであります。

 新型交付税の導入というのは、前にも申し上げていますけれども、算定の抜本的簡素化と交付税の予見可能性を高める、そういう中で行われたものであって、市町村合併を推進するためのことではありません。

武正委員  どうしても、都道府県が三で市町村が十ですから、うがった見方をしないでくださいといっても、そういった指摘がされるところもあるということでございます。

 いずれにせよ、やはりこの新型交付税はよくわからぬというところでありまして、これから五兆円までこれを拡大していくということでありますから、やはり説明責任がきっちり果たせるように、簡素化というところは私も理解できますし、人口、面積については私もこの委員会でそうしたことを提起したこともあります。

 ただやはり、今合併に伴って、それぞれの市町村の抱えているさまざまな課題、またこれから市町村を千にというときに、これがそれのてこにという形で使われてしまうとまたおかしなことになりますので、やはりきっちり制度がわかりやすい形で説明ができるように取り組みをしていくべきだと。我々は、やはり新型交付税は問題ありという立場に変わりはないところでございます。

 さて最後に、平和祈念事業特別基金が、ことし四月一日から二年間、請求受け付け期間としている恩給欠格者、戦後強制抑留者、引揚者、それぞれの対象人数は何人であり、今年度の予算総額は幾ら、その予算総額の対象人数は何人であるかをお答えいただきたいというふうに思っております。

 昨年、総務委員会でこの法案は可決をしたわけです。民主党は、三十万円から二百万円までということで、基金全額を取り崩して、それも国債で支払うべきというふうなことを主張しましたが、政府案の、半額をもって、しかも十万円の旅行券ということであります。

 既に始まっているわけなんですけれども、どうも、総務省のホームページあるいは市町村に資料は置いてありますが、申請制度、当事者からの申請に頼っているところもあります。平均年齢八十五歳という方々であり、長年待たれていた方々でありますので、私は、もっと積極的にこの周知徹底を図るべきというふうに考えておりますので、今の点についてお答えをいただき、例えば、対象者の特定が可能であるならば、あるいは可能でないとしても、できる限り団体を使ってその周知徹底を図るなど、やはりこの特別慰労品贈呈対象者への告知方法について改善をしていくべきだというふうに考えます。

 以上、最後、この三つの質問をまとめてお答えいただきたいと思います。

○菅国務大臣 今回の特別慰労品の贈呈事業の対象になられる方々は、実際の申請は別にしまして、恩給欠格者は約七十万人、戦後強制抑留者は約十一万人、引揚者は百二十四万六千人と想定をいたしております。

 今回のこの贈呈事業の実施に当たっては、平和祈念事業特別基金の資本金の一部を取り崩す形の中で、今年度は、平和祈念事業特別基金による贈呈事業の過去の実績などを踏まえまして、約二十七万件の申請を想定し、九十八億円予算計上をいたしております。

 そして、特定は可能であるのか、あるいはもし可能でなければどういう理由かということでありますけれども、申請者一人一人について、個々に軍歴などを確認する必要がある人が約二百二十万人という大変膨大な数が見込まれています。

 この対象者のうち、昭和六十三年から昨年まで、この基金による書状等の贈呈を受けられた八十四万人の方々についても、贈呈時の状況は把握できるものの、その後の死亡、転居等の個々の消息は把握されておりません。

 こうしたことから、この慰労品の贈呈対象者を特定するというのは極めて困難かなというふうに思っております。

 そういう中で、周知について、具体的には、全都道府県担当者会議による事業内容や受け付け体制の説明、全都道府県及び全市区町村窓口のポスター、パンフレットの掲示、配布の要請、都道府県、市区町村広報誌への掲載の要請。さらには、平和祈念事業特別基金のホームページに掲載するとともに、今月の五日以降は中央紙と地方紙の計七十三紙に新聞広告を掲載するなど、対象者に広く周知するように今全力で取り組んでいるところであります。

    〔委員長退席、谷委員長代理着席〕

武正委員  前回も、銀杯については対象者の六割程度というようなこともありまして、やはりこれは、大臣が拉致問題に積極的に取り組んでいるところは評価するところなんですが、シベリア抑留者あるいは中国の残留孤児等、やはり日本人の生命財産、あるいは日本の領土、領海を守るということに大変取り組んでこられた大臣であればこそ、やはりこの周知徹底、さまざままだまだやり方があると思うんです。団体をもっともっと活用もできますし、今までの過去の方々をしっかりと把握することもできると思うんですね。予算があって、それで人をということで、その周知徹底があだやおろそかになっているとすれば、やはり我々後輩が、さまざま、先人の、先輩の御苦労に対して、その責任を国会は果たしていないぞ、あるいは政府は果たしていないぞというそしりを免れ得ないので、改めて、その二年間の取り組み、しかも平均年齢八十五歳ですので、よろしくお願いをしたいと思いますが、最後、一言御決意をお願いいたします。

○菅国務大臣 私どもも、今日の平和のために国を代表して戦ってこられた、そうした人たちに対してできる限りのことはさせていただきたい。そういう中で、周知徹底、まずそれが最大でありますので、そのことに全力で取り組んでいきたいと思います。

武正委員  ありがとうございました。
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