2007年4月13日
【総務委員会議事録】 統計法案に関しての質疑

武正委員 おはようございます。民主党の武正公一です。

 統計法全部改正ということで、逐条審査があってしかるべきぐらいの大変大事な法案という認識で質問に立たせていただきます。

 まず冒頭、昨日の憲法特、それから安保委員会、それぞれ、まずは憲法特については、審議時間五十八時間ということでありますが、やはりもっともっと十分な審議時間を尽くすべきという野党の主張にもかかわらず審議が打ち切られまして、また、大変不正常な中で採決になったこと、甚だ遺憾でございます。

 また、安保委員会は、米軍再編にかかわる法律でありますが、やはり二兆、三兆と言われる大変巨額な支出、しかも海外に米軍基地が移転する、これについて、世界でも初めて、日本が、ホストネーションが海外に移転するその移転先の整備についてお金を負担するという、これも初めての枠組みでもあるにもかかわらず、ほとんど政令で、あるいは日米間の信義でありますので明らかにできないということで、審議も十分尽くされないままの十七時間が経過しての、これは動議による審議打ち切り、強行採決、甚だ遺憾であります。これについては強く抗議をいたす次第であります。

 さて、総務大臣は、昨日の総務委員会、最後の与党の議員の質問時間に総務委員会を退出され憲法特に行かれたわけでございますが、政府提出法案でありますので、大臣は与党の質問であってもきちっとこの委員会で答弁に応じる責任があるということを申し上げると同時に、テレビを見ていると、一体総務大臣は何をあのときに、採決の前にしゃべっていたのか、ほとんど聞き取れなかったのですが、何を言われたのか。ここでもう一度御開陳をいただきたいのと、それから、一体なぜ憲法特で総務大臣がああいった場に登場したのか、これもあわせてお答えをいただきたいと思います。

○菅国務大臣 まず、私があそこに行ったのは、国会法に基づいて、議員提案に対して政府としての意見を求められる、そういう形であの委員会に出席をさせていただきました。そして、私は、委員長の指名に対して、政府としては国会における御判断を尊重して適切に対処してまいります、この趣旨を申し述べました。

武正委員 適切に対応していくということですか。もう一度ちょっと言っていただけますか。

○菅国務大臣 政府としては国会における御判断を尊重し適切に対処してまいります、こういう趣旨をきのう申し上げました。

武正委員 ようやく何を言ったのかわかったわけでありますが、先ほど触れましたように、総務委員会開会中でありますので、私は、やはりきちっと総務委員会での御対応もあってしかるべきというふうに考えるわけであります。

 それでは、統計法の質疑に入らせていただきます。

 まず大臣の認識を伺いたいんですが、統計というものが先ほど触れましたように大変大事なものであるということは論をまたない。民主主義の根幹でもあるという指摘も既にきのうも本委員会でございましたが、政府の政策遂行に当たって、政府の政策の評価の基準にこれはなろうかというふうに思っております。

 例えば、今国会では格差拡大についての議論がこの間ございまして、いや格差は拡大していない、している、こういうような議論があるわけでもありますし、有効求人倍率、一位と四十七位の県がこの五年間で格差が一・五倍になった、こういったことを某大臣に私も質問をしましたが、いや一位と四十七位の県を比較して何の意味があるんだ、こういうような答えが返ってくる始末であります。

 やはり統計というものが大変大事な政策の評価にかかわる基準になる、基礎になるというふうに考えるのですが、この点についての大臣の認識と、そのためにも真実性、正確性が問われると考えますが、以上二点、御所見を伺います。

○菅国務大臣 今の点につきましては、全く武正委員と私も同じ考え方であります。

 公的統計は、国や地方公共団体にとって、政策の事前、事後の評価を行う上で、その合理性だとか客観性を担保するための情報として極めて重要である。公的統計がそうした役割を果たすためには、真実性だとかあるいは正確性が必要不可欠である、こう考えます。

武正委員 真実性、正確性が不可欠であるという認識だということでございます。

 前内閣から新しい内閣に移って、この間、前内閣から、官から民へ、こういったキャッチフレーズ、そしてまた市場化テスト、民間委託、これもこの統計法の制度設計で重要な柱の一つとされているわけですけれども、果たして、今言われた真実性や正確性を官から民へということで担保できるのかどうか、これがやはり問われているというふうに思います。それから、国民、被調査者の理解、例えば官から民へということで、調査主体がこれまでの国の機関もしくはそれに準ずるところから新たに民間委託あるいは市場化テスト、これが被調査者の理解を得られるというふうにお考えなのか。以上二点、御所見を伺います。

○菅国務大臣 その点については、十分に配慮させていかなきゃならないというふうに思っています。

 統計の真実性だとかあるいは正確性を確保することは、先ほど申し上げましたけれども極めて重要であって、このことは、統計調査を市場化テストだとかあるいは民間委託を行う場合であっても当然のことであるというふうに思います。

 総務省としては、従来から民間委託を行う場合のガイドラインというものを策定いたしておりますけれども、このガイドラインの改定作業において、民間事業者が適切に選定される方策などを明示することを検討いたしております。

 また、今回の法案において、統計関係業務の委託を受けた者の調査票情報等の適正管理義務及び守秘義務について明記をしまして、守秘義務違反及び不正な目的による統計情報の利用について、それぞれ罰則の対象となることを明確化しているというところであります。これによって民間委託の適正と国民の信頼の確保というものを図ることが可能であるというふうに思います。

武正委員 昨年の国勢調査、これでやはりなかなか調査ができなかったことなどがこの法案が提出される一つの後押しにもなったというふうに理解をするわけですが、国勢調査は、九十八万に区を分けて、八十三万人の調査員がそれぞれ五十世帯ぐらいを担当する。調査ができなかった率が、前回一・七%だったのが今回四・四%にはね上がった。十年ごとには二十二項目、五年ごとには十七項目の簡易調査ということで行っているということですが、昨年の調査あるいはプライバシー保護の観点から封入の検討とか、いろいろなことがこれから検討されようということであります。

 今のお答え、罰則があり、あるいはさまざまな規制を民間事業者にもかけるというようなお話、国民も理解できるんだということなんですけれども、果たしてどうかなというところがやはりあるのは、何といっても、政策評価の基礎になるという意味でも大変大事な真実性、正確性が担保できるかどうかということがあろう。もちろん国民の理解ということだと思います。

 そこで、公的統計調査は通例一定の日時に一斉に実施されるわけですけれども、全国を対象とするので、なかなか一社単独では対応できないのではないだろうかという指摘があります。複数の企業が請け負う場合、一定レベルの統計精度を保とうとすると経費はかえって高くなる、こういうふうな指摘もあるわけですが、この点についてはどのようにお考えでしょうか。

○菅国務大臣 公的統計の規模はさまざまでありますけれども、統計局所管の指定統計調査について申し上げさせていただきますと、全国で大規模に実施する調査であり、郵送調査である科学技術研究調査を除き、法定受託事務として地方公共団体を通じて調査を実施させていただいています。

 これらの指定統計調査については、業界団体などからのヒアリング結果などを踏まえて、全国規模で単独の企業が確実にできる実施状況ではありませんが、地域を限定すること等の条件を付せば、調査実施に関する業務を民間業者に委託するということは可能だというふうに考えております。

 このような現状を踏まえまして、所管指定統計調査の民間開放に関しては、地方公共団体ごとに、地域単位での民間開放、そういう方向で検討を進めております。

 いずれにしろ、統計の信頼性を確保しつつ、効率化を実現できるように取り組んでまいりたいと思います。

武正委員 今のお話ですと、地方公共団体ごとに、地域ごとの民間委託というと、一社どころか、数社どころか、それこそ下手をすれば、国勢調査は九十八万区ですから、九十八万社に委託をするところまで広げかねないというような、そんなことも考え得るということだと思いますが、果たして、先ほど来お話ししておりますが、統計の真実性あるいは正確性が担保できるのかどうか。幾ら規制改革三カ年計画であろうとも、あれは前提として今の真実性、正確性が担保できることなどが前提にあるわけですから、やはりこれについては私は慎重な対応が求められるというふうにまず申し上げます。

 もちろん、お手元に資料を理事会のお許しを得てお配りしておりますように、指定統計は五十五もございますので、きのうも質疑でやりとりしておりますように、これからつくられる統計委員会への総務大臣からの諮問で、当然この五十五項目の中での見直し、あるいは百十一項目の承認統計についての精査などを経て、当然重複を避けたり、あくまで国の基幹統計としてやるべしというところと、これはもう一般統計ということでそれこそ民間にこの部分は委託しても構わないな、そういう濃淡をつけていくということがあっての話であって、やはり基幹統計調査についての官から民への委託というのは慎重であるべしというふうに考えるわけであります。

 そこで、前内閣から六年進めてまいった政府の政策、ITジャパン、あるいはe―Japan戦略1、2、そしてまたIT新改革戦略ということで、政府はITということで、総務省はICTということで、やはりこれもコミュニケーションは大変大事だと思って、総務大臣のお気持ちもよくわかるんですが、やはりどうしても政府はITということでありますので、私はどっちかに早く統一した方がいいのかなというふうに思います。

 政府はすべてITという表題を使っていますのであえてITと言いますが、これは、平成十三年、この五年間で世界最先端の電子国家を目指すということを掲げてまいりました政府であります。ただ、この目標の中で、いろいろこれまでの1、2あるいは新戦略を見ても、統計のIT化というところが、なかなか文言が出てこないようにお見受けをするんですが、今回の法案の見直しで、e―Japan1、2あるいはIT新戦略、これとの整合性をどのようにとっておられるのか、お答えいただけますか。

○菅国務大臣 実は、私も、何とかICTにまとめたい、一本化した方がいいだろうと思って努力をいたしておりますけれども、力不足でまだITが主流になっておりますけれども、これは将来的なことを考えた場合、Cというものをぜひ入れるように頑張っていきたいと思っていますので、武正委員もぜひ応援をしていただきたいというふうに思います。

 公的統計に関係する業務及び情報システムについては、電子政府構築計画に基づいて、業務・システム最適化の一つとして今取り組んでいるところであります。

 今回の法案におきましても、このような現在進められております電子政府の取り組みも視野に、第八条及び第二十三条の統計の公表等におけるインターネットの利用、第二十七条の事業所母集団データベースの整備、そして第五十四条の公的統計の所在情報の提供といった新たな規定を置いているところであります。

武正委員 このIT新戦略で、オンライン申請を五〇%以上ということを掲げています。これは法務委員会マターでありますが、法務省の申請が大変低い申請率、これはもういろいろなところで指摘をされるわけであります。こういう電子政府化の取り組み、あるいは報道でも、外務省でしたか、申請が一件当たり大変高額な費用になっているということもありまして、政府の思惑に反してなかなか国民のIT活用による申請というものがうまくいっていない、ミスマッチというものもやはり指摘されているわけです。

 これはまた別の機会に、総務大臣には、ぜひこの五年間の政府の取り組み、IT戦略あるいは電子政府化、これがなぜうまくいかない面があるのか、これについては検証をそろそろしていく時期なのではないのかな。次から次に、1、2、そして新戦略と、矢継ぎ早には出しておられますが、やはり、いま一度立ちどまって、振り返る時期ではないのかなというふうに考えるわけであります。

 今お答えをいただいたわけですが、その中でちょっと出てこなかったのは、先ほどの、例えば国勢調査はやはり封をしてプライバシー保護をすべきではないか、こういうような提案が出ているのと、もう一つ、それこそ電子申告ではありませんが、国勢調査もやはりインターネットでできないのか、こういうような指摘もあるわけですが、今のこの法案の中での条文ではなかったわけです。インターネットを通じて共通のデータベースの利用ということは条文の中にありますけれどもね。これについては総務大臣としてどのように考えられますか。国勢調査ほか、基幹統計調査などでの電子媒体を利用しての申告。

○菅国務大臣 まず、今申し上げましたけれども、インターネットを利用するということを今回入れさせていただきました。

 国勢調査の中で、正しい情報かどうかというところの判断をどうするかという一つの問題がありますので、そういうことも含めて私ども検討しなきゃならないなという問題意識を持っております。

武正委員 先ほども触れました八十三万人の統計調査員、やはり六割は自治会の役員さん。いろいろな映像で、自治会の会長さんが十回も訪問しても一回も会えなかったオートロックのマンションのことなども触れておられますが、やはりどうしても今そうしたプライバシー保護の方にいろいろな生活パターンがなっています。その中で、今回、立入調査権など強い権限を与えてはおりますけれども、それこそ政府はこれまでどれだけIT化あるいは電子政府化にお金を投じてきたのか。それがこういったところで生かされないというのは、やはりおかしなものというふうに考えるわけですね。

 ですから、本法案提出に当たって、もっともっと、インターネットでの電子申告についての枠組み、この検討がなされて法案提出に至るべきであったというふうに思うわけであります。今、検討していくということでありますので、ぜひ早急な取り組みと御検討をお願いしたいというふうに思います。

 また、加えて、八十三万人にプラスして十万人の指導員がいるわけなんですけれども、これもほとんど市町村の、地方自治体の公務員の方が兼職をしているということもありまして、例えば、後で触れますけれども、指導員についてもやはりIT系の人材活用がもっともっとあってしかるべきなのかな、それから、調査員についても、そうしたITにかかわる方々、それについて造詣の深い方々の活用などもあってしかるべきなのかなというふうに思います。

 この五、六年、政府が進めてきたこのe―JapanあるいはIT新戦略では、人材の育成ということを掲げておりましたけれども、果たして本当にITにかかわる人材の育成ができたのかどうか、これもぜひ私は検証をすべきだというふうに思っております。

 私が、二〇〇〇年八月三日ですか、初当選の初質問は当時逓信委員会でございまして、郵政大臣に質問したのは、IT関係の人材が一次、二次、三次、四次と大変重層構造にまたがっていて、名前はそのとき申し上げましたが、大手のそうしたデータ関係の会社が受注をしても、それは二次、三次、四次と下請にどんどんどんどん仕事が回される。四次に至っては、本当にそれこそ今ワーキングプアということで、厚労省ですか、ネットカフェ難民とテレビで今取り上げられて、私も非常にショックを覚えていますが、一泊千円、二千円で、ネットカフェで寝泊まりをしている。メールで仕事の注文が入ると、それはIT系の人材であるとコンピューターの方でやる。年収は多くて二百五十万、少ないときは百万台の前半というのがテレビでも流れておりました。実は、そうした上部から下部にわたる重層構造の中で、二十代を中心に大変身を削って今のITを支えている、これを何とかしないと日本のITジャパンはうまくいきませんよと。これは初回の質問で取り上げたんですが、それこそ間もなく七年経ますが、果たしてそれが解決できているのかどうか、これが大変気がかりであるし、ぜひ御検証をいただきたいというふうに思うわけであります。

 そういった意味で、人材、特にIT系の人材の活用がこの統計のそれこそ真実性、正確性も担保するきっかけになるのではないかと思いますが、こうした人材を、指導員も含めて活用するという視点についてはどのようにお考えでしょうか。

○菅国務大臣 当然のことであるというふうに思っていますし、そしてまた、これから日本の産業の発展というものを考えた場合も、そうした人材育成というもの、私どももこれは中心になってやっていきたい、また常々そのことを思っております。

武正委員 所管大臣としてぜひ積極的なお取り組みをお願いしたいというふうに思います。

 それでは、お手元の資料三ページをごらんいただきたいんですが、これは、民主党の要求に基づきまして、衆議院総務委員会で可決をされ、そして調査局が全独立行政法人に行ったことしの予備的調査の結果、独立行政法人統計センターからお答えをいただいた調査票の一ページ目でございます。

 これを見ていただくと、所管省庁からの出向数というのがそれこそ毎年ふえております。平成十五年が九十五人、十六年が百三十五人、十七年が百七十七人、十八年が二百二十二人。所管省庁ですから総務省ということで、九百十六人中、総務省から二百二十二人が出向しているというこの数字。

 独立行政法人というのは、もともと特殊法人からの改革ということでつくられているわけですが、私は、非常に今の独立行政法人はあいまいになってしまったなというふうに思っております。昨年も、行革特で、それこそ国家公務員の数を減らすために独立行政法人が使われている、しかしながら、人件費や運営費交付金ということで税金が投入されている、これは結局は、官から民へと言いながら、やはりまやかしじゃないのかと。

 私は、先ほども触れましたように、統計業務などはやはり国がきちっとやるべき一つの業務であって、それを官から民へといってどんどん民間委託していくということは果たしてどうなのかなというふうに思っております。この独立行政法人統計センターも、ことし見直しで、果たして来年度以降、非特定、非国家公務員化していくのかどうかということもこれから論議が夏にかけて行われるようでありますが、私は、何でもかんでも非特定、何でもかんでも非国家公務員は果たしてどうなのかなというふうに思っております。

 そういった意味で、それを明らかに証左するのが、総務省から出向者が年々ふえているということは、結局は、総務省でやらなきゃいけないのに独立行政法人でやらなきゃいけないからその人材を出向させているといったふうに見てとれるわけですけれども、この出向者が毎年総務省からふえていくことについて大臣としてどのように御認識をされますか。

○菅国務大臣 この独立行政法人の統計センターでありますけれども、平成十五年三月以前は、総務省の施設等機関であって、総務省統計局と一体的にその人事運用というのがなされていたという歴史があります。

 いわゆる独立行政法人に移行後も、その業務は総務省統計局等の統計調査の製表であることには変わりはなく、統計局等と密接に関連をしていることから、統計センターと人事交流を行っていくということは、総務省職員の専門性向上の面からもこれは有意義である、そういう考え方の中で行われていることであります。

武正委員 総務大臣は独立行政法人も担当する大臣でありますが、独立行政法人にこうやって担当省庁から出向者が毎年ふえていくということについての認識、これを伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。

○菅国務大臣 いずれにしろ、所管大臣としての立場からすれば、この統計センターについては、今までそういう歴史があって一体的な運用をしましたけれども、独立行政法人に移行したわけでありますから、そうしたものは専門性を確保するための最低限なもので対応すべきだなというふうに思っています。

武正委員 いや、よくわからないんですが、所管大臣、総務相としてのこの独法に対する意見じゃなくて、独立行政法人全体を所管する総務大臣として、この法人も一つの例でありますが、中央省庁から出向が多いという実態、ましてこうやってふえていく実態、これをどうお考えになるか。

○菅国務大臣 本来であれば、この独立行政法人統計センターの場合は、ここでしっかりとした人材を確保することも大事だというふうに思っておりますけれども、今、まだ過渡期という形で、私ども総務省から人が行っているということだというふうに私は思っています。

 いずれにしろ、基本的には、独立行政法人の趣旨に基づいてそれぞれのところでまさに独立して行ってもらう、そういう方向を目指していくのは当然のことだと思います。

武正委員 人材がいないから総務省から出向しているんだというようなお話かと今受けとめたんですけれども、この間も民主党の総務部門にこの独立行政法人の方が説明に来られたんです。五人いらっしゃって、三人は総務省からの出向の方で、一番中心になって説明していただいた総務省の出向の方は、もともと統計の専門の分野にいたわけではないというふうに言っておられましたので、やはり独立行政法人の制度設計そのものが非常にあいまいなものになってしまっているなというふうに私は考えております。

 そもそも、これはイギリスを例にということでつくられたものでありますが、やはり公がやらなきゃいけないことをやっていく機関。あくまでも官でやる、ただしかし、やはりそこに民間の手法とかノウハウを取り入れるべし。ですから、当然トップはやはり公募をして、民間のさまざまなノウハウを持った方を据えて、そして公でやれないことを民間の知恵を使ってなしていく、これがやはり私は独立行政法人の姿だというふうに思っておりますので、私は、国家公務員でもいいと思うんですよ、みんなそれをどんどん定数外にしていく必要はないと思うんですね。まして、統計というものの真実性、正確性からいったら、私は特定でいいというふうに思っていますが、やはりトップについては、今中川さんですか、元総務省のOBでありますが、それこそ民間からそうした理事長などは公募をして、そして民間の手法をもって当たる。だから、今政府は特定から非特定へと進めていますが、私は違うんじゃないかなと。堂々と特定のまま残していい、そのかわりトップは民間の方を公募で据えるべきである。

 昨年、小泉前総理ともやりとりしましたが、当時百十三の独立行政法人のトップを調べますと、政府は五割がいわゆる中央省庁からの再就職だと胸を張るんですが、それでも五割。でも、私が調べますと、文部省に入省されて、国立大学の教授とか学長を経て独法のトップになられた方を合わせますと、八一%がいわゆる中央省庁からの再就職。これはやはりそれこそ何かちぐはぐなんですね。トップをどんどん再就職させて、そして職員は非国家公務員化している、でも、運営費交付金が三兆五千億もつぎ込まれている。こういう中で、真実性、正確性が求められる大事な、政策の評価の基準であるこの統計が本当におろそかなものになっていかないかどうか、大変危惧を抱くところでございます。

 そこで、次に質問を移らせていただきますが、ぜひ後で資料をいただきたいのは、この二百二十二人の出向者がどのぐらいで総務省に戻っていくのか、ぜひ数字を出していただきたいと思います。

 昨年、調べますと、大体二年から三年ぐらいでみんな帰っていくわけですよ。だから、人材がいないからという先ほどのお答えですけれども、できて間もないんだというお話ですけれども、二年や三年で帰っていくというのは、結局は総務省としての人事管理の中の一環でしかないのかなと。しかも、専門的な方が行っているわけでもないという例もあるわけですし。

 ですから、私は、この独立行政法人の制度設計自体の見直しも、それこそ早いものは五年を経て次の中期計画に入っておりますので、ぜひこの点も御検討いただきたい。あわせて、その数字についても御提出をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 さて、先ほど来、法定受託事務ということで、地公体を利用して、活用してこれまでも指定統計などが行われてまいりました。今回の基幹統計調査、指定統計調査から名前が変わりますが、統計法において、地方公共団体の役割、これはどのように位置づけられているのか、お答えをいただきたいと思います。

○菅国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、全国的な観点から実施する基幹統計調査の円滑また効率的な実施のためには、地方公共団体に対して調査業務の委託をしてその協力を得ながら行う、このことは極めて私は大事なことであるというふうに思います。また、当該事務を遂行する中で当該地方公共団体自身の統計が整備をされている、こういう側面もあるというふうに思います。

 そこで、今回のこの改正でありますけれども、現行法と同様に、基幹統計調査に関する事務の一部については地方公共団体に委託できる仕組みを設けているところであります。今後も、地方公共団体におきまして、この基幹統計調査の実施において重要な役割を果たしていくことを期待していきたいと思います。

武正委員 昨日も質問がありましたように、地方分権改革の流れの中での地公体の統計調査のあり方、今言った法定受託事務についてしっかりとサポートもしていくんだということがありましたが、やはり地方公共団体も、それこそ政策評価の指針としてこの統計の正確性、真実性が求められるわけでありますし、それこそ分権時代でありますから、それぞれがそれぞれのアイデアに基づいていろいろと個性豊かな政策が政府としても期待をされているわけでありますが、ただ、やはりそれはきちっと評価を伴うわけですので、地公体の今言った法定受託事務以外の独自の統計調査に対するしっかりとした国としての支援、あるいは、それこそ分権ですかね、こういったところも求められるわけです。

 もちろん、その中で、行政機関の情報を活用できるようにということは当然地公体にとっても有益なものであろうということで本法案が出ておりますけれども、ただしかし、後で指摘をしますように、目的外利用へどういう形で透明性を担保するのか。当然被調査者への目的説明からは目的外利用になっていくわけですので、この点はやはり留意が必要だということを申し上げておきます。

 そこで、統計調査を行う独立行政法人等ということで、届出独立行政法人等、これは日本銀行を想定しているのか。そうであればなぜ日本銀行と書かないのか。今後、届出独立行政法人が、百十三からいろいろ統合で減りまして本年一月九日現在百四の独立行政法人や特殊法人や認可法人などに拡大していくことを想定しているのであるのか、これもお答えをいただきたいと思います。

○菅国務大臣 届け出を行うべき独立行政法人等については、基幹統計調査の実施に影響を及ぼし得る統計調査を事前に把握し、また調整を行うために、その業務の内容その他の事情を勘案して大規模な統計調査を行うことが想定されるものとして政令で定めること、そうされておりますけれども、現在のところ、日本銀行を対象とする、このように想定をいたしております。

 これは、日本銀行がこれまでも届出統計調査の実施主体として全国企業短期経済観測調査等の重要かつ大規模な統計調査を行ってきたことから、今後も基幹統計調査に匹敵する大規模な統計調査を行うことが想定されているためであります。

 また、日本銀行以外の独立行政法人等が基幹統計調査に匹敵する大規模の統計調査を実施する可能性も否定できないことから、届出独立行政法人等を日本銀行のみに限定することなく、届け出を要するか否かの判断を可能としておいた方がいいだろう、そういう判断の上に立って「等」とさせていただきました。

武正委員 拡大の余地を残しているということだと思います。

 そこで、昨日来、この司令塔について同僚委員からも質問がございました。総務省統計局、内閣府経済社会総合研究所国民経済計算部、そしてまた今度内閣府に置かれる統計委員会、このうちどこが司令塔なんですかというような質問に対して、大臣の方は、全部司令塔なんだけれども特に統計委員会が大事なんだよ、こういうような御趣旨の答弁があったと思うので、次の質問に移りたいと思うんです。

 私は、なぜ内閣府に置くのかなと。総務省はこれまで、それこそ統計の総合調整、各省庁に横ぐしを入れるような、そんな役割も旧総務庁からも担ってこられております。統計委員会の前身の審議会も総務省に置かれていたということでありますので、私は、やはり総務省に置くべきではないのかなというふうに思うわけです。

 統計委員会が内閣府に置かれてしまうと、これからこの総務委員会で統計委員会に関しての質問ができるものとできないものが出てくる。これは、地方分権改革推進委員会に関する質問を菅総務大臣兼地方分権改革担当大臣にしようとしても、この総務委員会では答えられないんだ、だから内閣府の副大臣を呼んで地方分権改革推進委員会について聞かなきゃいけない、こんなおかしなことがまかり通っていると言われております。

 私は、やはりそういうのはあってはおかしいと思いますので、ぜひこれは、与党の皆さんと協議をして、今国会で、それについては国会がきちっと審議をできる、立法府としての権能を果たすべき、そうした形にしていかなきゃいけないというふうに思っております。

 今の点、なぜ内閣府に統計委員会を置き、総務省に置かないのか。また、その次の質問もあわせて聞きますが、統計委員会に置かれる職員数というのは一体何人ぐらいで、そのうち兼職が何人ぐらいで、そうはいっても、やはり総務省から人材を当然出向するのか、先ほどの内閣府からも出向するのか、それこそ出向の方は何人ぐらいなのか。これからだというお話もあろうかと思いますが、当然、法案提出ですし、司令塔の中枢的な機能を占める統計委員会、それを補佐する事務局機能、その職員数もあわせてお答えをいただきたいと思います。

○菅国務大臣 まず最初に、なぜ内閣府に置くのかということでありますけれども、統計委員会というのは、総務大臣からの諮問事項のみを受けていた統計審議会とは異なって、国民経済計算の作成基準を内閣総理大臣から、公的統計の基本計画や基幹統計の指定等を総務大臣からと、二つの府省庁にまたがるということであります。

 また、匿名データの作成については、統計調査を実施する各省大臣からの諮問を受けて統計委員会が審査を行い、各省大臣に答申をする、こういうことになっております。これについては、個人情報保護の観点から、より中立公正な判断が求められており、現に大規模な統計調査を実施しており、審査を受ける立場にある総務省よりも、そのような立場にない内閣府に審査を行う場を置くことが順当じゃないかなということであります。

 さらに、統計委員会は、法律の施行に関して、内閣総理大臣、総務大臣、または関係各行政機関の長に対して意見を述べることができるというふうにされております。その場合、その多くは統計制度を所管する総務大臣に対するものになる、こう考えますので、より中立公正性を確保していくという観点から、総務省よりも、そのような立場にない内閣府に置くことが適当であるというふうに思いました。

 このようなことから、統計委員会は、総務省でなく内閣府に置くことにさせていただいたところであります。

 さらに、職員の数でありますけれども、事務局を置くこととはしておらず、関係機関からの併任で対応する、こういうことを想定しますけれども、具体的な人数というのは現在決めておりませんけれども、当然、総務省だとかあるいは内閣府だとか、そういうところからこの事務局体制というのはつくっていくというふうに思います。

武正委員 司令塔機能の統計委員会なんだと言うにしては、まだ人数もわからないし、しかも兼任だと。中立公正の観点からという意味では、やはり独立性も担保できていないのかなというふうに大変心配になります。

 私は、諮問するから内閣府だというようなことではなくて、やはり総務省が堂々と、おれたちがこれまでも国の統計調査の中枢で頑張ってきたんだ、そういう自負を持ってやられるべきであって、民間委託だといって民間に任せたりしないで、本当に、政策判断、評価の大変大事なお役をやっていただいているんだ、そういう観点から、それこそ中枢機能である司令塔機能をやはりぜひ総務省に、独立した形であっても、総務省の所管ということで、あるいは総務省にかかわって置くべきだというふうに思います。

 そこで、中立公正と言われたわけなんですが、私は、そうであれば、いわゆる国家行政組織法第三条の委員会にすべきなのではないのかなと。三条委員会になりますと、これは当然、職員数などももっともっとふやせますし、それこそ総務大臣に対して、あるいは関連の大臣に対しても、この条文でも担保されておりますような、きちっと勧告する、こういったことがもっと強い立場で物が言えるわけですので、三条委員会にすべきだというふうに思います。

 この点はどうでしょうか。

○菅国務大臣 統計委員会は、総務省に置かれている審議会等である統計審議会を発展的に改組して、内閣府に設置をすることにさせていただいています。

 これは、我が国の統計行政については、各行政機関の長がそれぞれ権限を持って遂行してきている分散型の構成を今日までもとってきていますし、このことを生かしながら、統計委員会が、諮問機関としての中立公正な第三者的立場から意見を述べる構成とすることが適当である、こういうふうに考えたところであります。

 内閣全体で責任を持って統計行政を推進する観点からは、統計委員会を三条委員会とするのではなくて、八条機関の統計委員会を司令塔の中核に据えることによって、統計委員会と内閣府、総務省が一体となって司令塔機能を十二分に発揮することができることになるというふうに考えております。

武正委員 分散型のこれまでのメリットもあったでしょう。ただ、デメリットもあるゆえに、今回の全面的な法改正になったというふうに理解をしますし、司令塔機能ということで統計委員会を上げておられるのであれば、それをしっかりとサポートするためにもやはり三条委員会であってしかるべき、しかも、サポートするのが実質上総務省であれば、総務省にかかわって三条委員会という形で置いたらどうかなというふうに私は思います。

 そこで、先ほど触れましたように、当委員会で統計委員会について我々委員が質問した場合、答えられるもの、答えられないもの、これを具体例を幾つか挙げていただきたいんです。あわせて、地方分権改革推進委員会についても同様でありまして、以上二点、お答えをいただけますでしょうか。

○菅国務大臣 まず統計委員会でありますけれども、総務委員会で答弁できないものでありますが、国会の場でどのような事項について質問するかというのは、各議員の自由な判断であります。統計委員会は内閣府に置かれる機関であり、例えば統計委員会の委員の任命行為に関する質問等については、やはり内閣府で答える、こういう形になろうかというふうに思います。

 地方分権担当大臣として総務委員会で答弁できるもの、できないものということでありますが、私、総務大臣としては、これまでも推進してきております地方分権の推進に係る事項だとか地方自治制度に係る事項等について担当いたしております。

 一方で、昨年の十二月十五日付で地方分権改革担当の内閣府特命担当大臣に兼務を命ぜられ、地方分権改革推進法に基づいて内閣府に設置されている地方分権改革推進委員会に係る事項や地方分権改革推進計画の作成等、これから三年の時限で推進する地方分権改革について担当することになっております。

 地方分権改革担当はあくまで内閣府の特命担当大臣であることから、国会でお決めいただき、地方分権改革推進法に基づいて内閣府に設置されている地方分権改革推進委員会に係る事項や地方分権改革推進計画の作成等について、総務委員会で答弁しないことということになっております。

 総務委員会において、引き続き、総務大臣として、国の各省庁の施策や運営について地方自治に影響を及ぼす場合に意見を述べることを初めとする地方分権の推進に係る事項、地方自治制度に係る事項等については担当し、答弁は私がしていいというふうに思っています。

 いずれにしろ、国と地方の役割分担を徹底して、権限、財源を地方にゆだねる、こうしたことに地方自治の責任の確立のために取り組んでいきたいと思いますけれども、国会で決めていただいた部分だけという形であります。

武正委員 統計委員会について、その内容を答えられないというお話も今伺いましたが、あわせて、地方分権改革推進計画について答えられないというのは、甚だおかしいなと思うんですね。これから、政府が最重要課題として決められて、推進本部も総理大臣が本部長でやるんだ、一丁目一番地である、こういう意気込みだというふうに伺うわけなんですね。それが、これだけ分権の推進法を論議してまいりましたこの総務委員会でその計画について聞けないんだと。それで、これはまた内閣委員会ですかと。何でも内閣府で、何でも内閣委員会、これはやはりおかしいですよね。

 平成十三年の一月六日の省庁再編以来、内閣府は確かに頭一歩出た省庁として、それは総合調整をやるという法的な制度設計かもしれませんが、本当に内閣府が、あるいは内閣官房がそれを果たしているのか。結局、みんなそれぞれ省庁から出向された人材でやっているだけじゃないのかということもあって、推進計画もこの委員会で質問できないということで、それで、国会がお決めになったからというようなお答えでしたけれども、果たしてどうなのかなというふうに思うんです。これはやはりおかしいと思うんですが、どうでしょうか、総務大臣。

○菅国務大臣 正直な話、私も違和感は感じるところはあります。私がここに総務大臣として出席していて、そして地方分権のことについて副大臣が来て答弁をしていることを見まして、これはやはりおかしいなと私は思いました。

 しかし、これについては国会で皆さんで整理されていることでありますから、私どもはそのルールに従ってしか答弁できないわけでありますので、そのことについてはそれぞれ各党会派で十分協議をしていただいて、例えば私が総務大臣で出席しているときは、地方分権のところは私とすれば答えたい気持ちが非常に多かったんですけれども、しかし、これは国会の皆さんで決めたことでありますから、私は、その辺のことについては十分意見交換して、そういう決定をしていただきたいな。そういうふうにすれば、私は喜んで答弁させていただきたいと思います。

武正委員 各党各会派でということでありますので、与党の皆さん、これは国会で立法府としてきちっとやはり対応していかなきゃいけないという、今総務大臣からの投げかけでありますので、総務委員会として、委員長、ぜひお取り組みをお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

○佐藤委員長 理事会で協議をさせていただきます。

武正委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 質問を用意してきたんですが、まだ半分ぐらいしか終わっておりません。そのぐらい、やはりこの統計法というのは、議論を重ねれば重ねるほど奥の深い法案である、大変重要な法案であるという認識であるということをぜひ御理解いただきたいと思います。

 事業所母集団データベース、これも大変いい法案だとは思うんですが、これはやはり事業所としてのデータベースがひとり歩きしていきかねないわけですね。いわゆる目的外利用でいろいろなところが利用できるわけですから。こういったところに対してどういう形で慎重な取り扱い、運用の透明性を担保するのか。これは指摘をしておきます。

 そのほか、情報公開についてもやはりきちっと地公体も含めて行っていくべきだろう、一般統計も地公体の統計も。公表義務がないという今の二十三条、二十四条について、公表すべきであろうというふうに考えますし、二十九条から三十一条までの公的統計作成のための目的外利用にも、やはり必要性や効果などの説明、明示をきちっと担保すべきであろう。これも指摘にとどめておきます。

 また、お手元に、資料では一番最後に、患者調査の調査票をお配りしております。これはオーダーメード集計ということで、今回出ております三十四条でありますが、私は、この患者調査三年に一回を利用して、この調査票で一番下の「救急の状況」で救急外来を受診したというところに項目があるものと、上から二番目で、患者さんの住所が病院と別な都道府県にお住まいになられたというところをクロスして、いわゆる県外からの搬送率というのを厚労省に出していただいております。

 つまり、受診をしている病院で患者調査を三年に一回やっているんですが、県外からどのぐらい搬送しているかというのが、要は総務省、消防庁に聞いてもわからないわけですね。それは受診側の病院、厚労省が持っているということで、この患者調査を分析してくれということで、いわゆる県外搬送がやはり高くなっている率。大臣は神奈川県でありますが、とりわけ、我が埼玉県は県外搬送率は全国平均の三倍ですよ。やはり東京都に隣接しておりますので。

 ということは、厚労省の医療計画は都道府県ごとでありますが、特に救急医療などはやはりブロック単位で、広域でやるべしという論拠は、ここから導き出されるわけなんですね。

 そういった意味で、オーダーメード集計というのは大事だというふうに思いますが、国会がこういったオーダーメード集計をお願いしていった場合に、手数料を払わないとお願いができないのかというふうになっていくと困りますので、やはり国会からの要請についてはきちっと、オーダーメード集計についても、分析についても御対応いただきたいということもお願いしておきます。

 そこで、最後の残された時間で独立行政法人に移らせていただきますが、資料の四ページ目をごらんいただきたいと思います。

 この独立行政法人統計センター、平成十七年度における支出件数七十七件中、随意契約三十九件、これが予備的調査で明らかになっております。それで、この資料四ページ目の一番下、財団法人日本統計協会が、随意契約で統計広報展示室の管理運営業務を八百四十万円で受けておられます。統計資料館の管理運営業務を六百三十万円で受けておられます。これはやはりこの財団でなければ管理運営できないものなのかどうか。

 それから、上を見ていただきますと、独法には総務省から、先ほど触れた中川さん、鈴木さん、川口さんが再就職をされていますが、独法から他の法人への再就職は、今言いました日本統計協会に加え、財団法人統計情報研究開発センターに再就職をされております。それぞれ、両財団の過半数が総務省あるいは独法からの再就職ということであります。

 それぞれ、随意契約の見直し、再就職の見直しということを行っていく必要があるというふうに考えますけれども、どのようにお考えになりますか。お答えをいただきたいと思います。

○菅国務大臣 まず、独立行政法人統計センターの随意契約三十九のうち、財団法人日本統計協会に関するものは二件で、いずれも統計関係の広報施設の管理運営業務であることであって、これは、効果的な広報を行うために、統計に関して十分な専門知識を有する団体を選定したものであるということであります。

 本件については、調達の競争性及び透明性を確保する観点から、統計センターにおいては、十八年度以降、一般競争入札に切りかえたと承知しております。

 また、財団法人日本統計協会、財団法人統計情報センターに、総務省の出向の役員でありますけれども、日本統計協会においては七名総務省出身、統計情報研究センターにおいては八名が総務省出身であります。

 いずれにしろ、指導監督基準が平成十八年八月に改正をされて、所管する官庁の出身者の数は理事のうち三分の一以下とすることになっておりますが、当該財団は、基準に認められている経過措置の期間、二十年の八月まででありますけれども、この基準に適合するように是正をしたい、こう考えております。

 また、統計センターでは、調達の競争性と透明性を確保する観点から、国の取り組みに準じて、平成十八年度から随意契約について積極的に見直しを行っている、このように承知をいたしております。

 さらに、総務省の所管する公益法人への職員の再就職については、現在進められております公務員制度改革に関する議論に基づき適切に対処していきたい、こう思います。

武正委員 ですから、そもそも統計をどこまで官がやるべきなのか。官から民へということを繕う余り、独法そして公益法人という形でやらざるを得ないという面ももしあるとすれば、やはりこの点も含めて見直しが必要なのかな。ただ、いずれにせよ、こうした中で、不透明なお金の流れあるいは契約は正さなければならないということを申し上げます。

 最後に、一番最後の質問、ちょっとお答えをいただきたいんですが、ことし二月二十二日付、当委員会、寺田委員の質問で、「国会議員から問い合わせがあった場合でも、一つのメモも残していませんか。」と、伊吹文部大臣の事務所費についての問い合わせでございます。これについて、「ないということを私報告を受けていますから。」というふうに大臣は答えておられますが、聞くところによりますと、国会議員からの、あるいは国会議員の秘書もしくは国会議員の事務所から、それぞれの役所に対してさまざまな問い合わせがあった場合には、それをきちっとメモとして残すようにということが、閣議で官房長官もしくは大臣から口頭報告ということであると伺っているんです。そうであればやはり、伊吹さんがちゃんと問い合わせをしている、あるいは秘書、事務所が問い合わせをしているというふうに言っているわけですから、そうすると総務省にそうしたメモがあるのではないかというふうに思うんですが、この点について、改めて御見解を伺います。

○菅国務大臣 今の武正委員の御指摘というのは、平成十四年七月十六日の閣僚懇談会申し合わせとの関係であるというふうに思います。

 この申し合わせにおいては、「国会議員又はその秘書から、個別の行政執行に関する要請、働きかけであって、政府の方針と著しく異なる等のため、施策の推進における公正中立性が確保されないおそれがあり、対応が極めて困難なものについては、大臣等に報告するもの」こうされており、さらに、「大臣等に報告するものについては、日時・経過、内容等、当該案件の処理経過を記録し、大臣等の確認を経た上で保存する。」こういうことになっております。

 収支報告書の記載方法についてお問い合わせの件は、個別の行政執行に関する要請や働きかけとは異なるもの、こういうふうに考えておりまして、私どもとしては、個々の日常的な問い合わせについては記録はとっていない、このように実は申し上げたところであります。

武正委員 いずれにせよ、透明性を確保するべきであるということだと思いますし、与党も法改正を検討中ということでございますので、早急なる与党としての法案の提出をお願いしたいということを質問として指摘して、終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。
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