2007年5月22日
総務委員会 議事録】 地方公共団体再建法案について質疑

武正委員 民主党の武正公一でございます。地公体再建法案の質疑を行わせていただきます。

 民主党も、昨年の十二月二十五日、大臣が行かれるちょっと前でございましたが、鳩山幹事長を団長に十名の国会議員で夕張に行ってまいりましたことは、何度かこの場でお伝えをしたとおりでございます。私、やはり印象深かったのは、議長さんだったんですけれども、仕方がなかったんだ、こういうような言葉が出たことでありました。もちろん、その後、青年会議所理事長の、やはりおれたちが責任を持って立ち上がらなかったらいけないんだ、こういう一言でがらっと雰囲気が変わったこともお伝えしたとおりでございます。

 きょうの質疑を通じて、なぜ夕張でいみじくもそういう仕方がなかったんだという言葉が出たのか、そして、二度とこういった仕方がなかったということがないように、いかにということで質疑を行わせていただきたいと思います。

 まず、政府提出法案の中で、長及び職員の責任について触れられているのかどうか、一点お伺いをしたいと思います。

 二点目、以前この総務委員会では、いわゆる住民訴訟の二段階訴訟、これまで長を直接住民が訴えられた法体系を、いわゆる地公体を訴えて、その後地公体が長を訴えるという二段階方式、これにした経緯がございますが、民主党はそのとき、やはりこれはおかしい、直接住民は長を訴えられるようにすべきであって、何で二段階にするんですか、こういうやりとりで反対をいたしまして、そのときは、通常国会をまたぎまして、臨時国会での政府・与党による成立といった経緯がございます。

 二点目は、いわゆる長を二段階で訴えるような法改正になって、その後、件数がどうなったのか。法改正前五年間と法改正後五年間、この件数をお知らせいただきたいと思います。

○菅国務大臣 まず、長及び職員の責任についての考え方であります。

 地方自治法においては、首長やその補助職員等について、契約などの行為は法令または予算に従わなきゃならないこと、また、会計管理者が法令または予算に違反せず債務が確定していることを確認しなければ具体の支出はできないことなどの義務が定められております。

 また、こうした支出に係る事務の権限を有する職員や補助する職員等が、故意または重大な過失により法令の規定に違反をし、地方団体に損害を与えた場合の賠償義務も定められております。

 さらに、職員等に違法または不当な公金の支出等があると認められる場合には、住民監査請求、住民訴訟の制度も設けられているところであります。

 本法案では、こうした地方公共団体の長や職員に係る法令の規定を前提として、その上で、財政情報の開示の徹底を図るとともに、財政の早期健全化及び再生を図る制度を整備し、財政規律を確立しようというものであります。

 地方公共団体における住民訴訟の件数についてであります。

 総務省ではおおむね五年に一回の調査を行っておりますけれども、直近では、平成十一年度から十四年度までの間における状況を把握いたしております。その間において住民訴訟が提訴されたものの件数は八百六十六件でありまして、そのうち、平成十四年の住民訴訟制度の改正前は七百三十五件であり、改正後におきましては百三十一件であります。

武正委員 単純に二つには割れませんが、件数が減ったということがわかると思います。

 さて、既に大臣からは、国にも責任があったということは、夕張に関しては発言があったと思います。今回の政府提出法案で、今、長や職員の責任についてはこれまでの法律で整備がされているので、とりたててこの法律には明記していないということでありまして、後ほどやはり長の責任ということも議論をしていきたいと思いますが、国あるいは都道府県の責任というものについてはこの法律では何か規定をしているのか、あるいは、規定していないとすればなぜなのか、大臣としての御認識を伺いたいと思います。

○菅国務大臣 まず、規定はしておりませんし、なぜということであれば、自治法上にそういう規定があるということであります。

武正委員 自治法の何条にそういう規定があるのか、御披瀝をいただければと思います。

○菅国務大臣 第二百四十三条の二です。

武正委員 そこにもし条文があったら、せっかくですので、恐れ入りますがお読みいただけますでしょうか。

○菅国務大臣 会計管理者もしくは会計管理者の事務を補助する職員、資金前渡を受けた職員、占有動産を保管する職員または物品を使用している職員が故意または重大な過失により云々ということでここに書かれております。

武正委員 そこでお伺いをしたいんですが、既に夕張に関して国に責任があったと言っておられる大臣でありますが、今例を挙げられたのは、いわゆる予算執行責任者に関するそうした責任ということで、職員の方ということだろうと思うんですね、地方自治法に関しては。ですから、やはり長に関してはこの法律では規定がなくて、今までのもので準用するんだということだというふうに伺ったわけです。

 まず、その予算執行責任者についてもちょっと伺いたいんですが、予算執行責任者が全国の都道府県、政令市でそれぞれ何人いるのか、それぞれによって決め方というか規定が違うようなんですが、合計数をぜひ総務省からお聞きしたいのが一点。

 それから、今挙げられた二百四十三条の二もそうですが、先ほど大臣が答弁されたのもそうですが、いわゆる故意または重過失ということでの責任ということなんです。実際、例えば十八年度、あるいはそれがなければ十七年度で結構なんですが、国や自治体に損害を与えて賠償責任を負ったり懲戒対象になった国、地方それぞれの公務員数は何人なのか。いわゆる故意または重過失ということでいいますとなかなか対象が少ないのではないのかということが言われているので、その数も教えていただきたい。また、特にこの五年間もあわせて教えていただきたいと思います。

○菅国務大臣 都道府県、政令市に予算執行責任者が何人いるかということですけれども、委員がいみじくも言われましたように、非常にその規定というのはなかなか難しい部分もあることをぜひ御理解の上、私から答弁させていただきます。

 地方自治法では、普通地方公共団体の長が予算を調製してこれを執行することにしており、また、地方公営企業法では、地方公営企業の業務は管理者が執行権を有することとしております。したがいまして、法律上は首長及び地方公営企業の管理者が予算の執行の責任者である、こう考えるのが自然じゃないかなというふうに思います。

 そういう意味でいうならば、四十七都道府県の知事、政令指定都市の長は十七でありますけれども、あるいは都道府県だとか政令指定都市の地方公営企業の管理者、これは十七年度決算によりますと約三百ということであります。

 ただ、この予算執行責任者というのが予算執行について実務的に決裁を行う者という意味であれば、地方自治法においては、長の権限に属する事務は補助機関である職員に委任する、こういうことができることとされておりますので、さらに、それぞれの団体内部において決裁の権限を補助職員にゆだねている事例は数多くあるというふうに思いますので、その総数については掌握をしておりません。

 そして、この五年間で懲戒対象となった公務員の数でありますけれども、国家公務員に関しましては、故意または重過失により国に損害を与え賠償責任を負ったり懲戒処分の対象になった数については、把握をいたしておりません。

 地方公共団体においては、平成十一年度から十四年度において、地方自治法二百四十三条の二に基づき職員の賠償責任が問われ、監査委員による監査の結果、賠償責任があるとされる案件は四十二件でありまして、賠償責任があるとされた者は五十五名であります。

 なお、同条の規定に基づいた事由によって懲戒処分を受けた地方公務員の数については、把握をいたしておりません。

武正委員 内閣委員会で、今、国家公務員の、民主党いわく天下りバンク法案、民主党提出天下り根絶法案、先のは政府案、民主党は根絶法案ということで審議中でございますが、きょうも朝、理事会で、やはりもともと総務省が国家公務員、地方公務員の所管省庁なのに何でまた内閣委員会に行ってしまったんだ、こういう議論をしまして合同審査を求めました。内閣委員会の理事などに聞いても、やはり内閣委員会に総務大臣が来てもらわなかったらなかなか議論が深まらないんだ、もちろん担当大臣はいらっしゃいますが、そういうような声もよく聞かれるわけであります。

 今ただ、お伺いしたのは、やはり予算執行責任者、国では十万人ぐらいと言われていたんですね。郵政民営化の前でありました。地方で一体何人いるかがわからないということで、では、先ほどの、今回のこの法案、長も職員もこの再建法案にとりたてて明記しなかった、これまでの既存の法律があるんだよということであります。

 私はぜひ、少なくとも都道府県、政令市に照会をしていただきたい。予算執行責任者がそれぞれ都道府県、政令市では何人いるのかというのをお願いしたいと思うんですが、総務大臣、いかがでしょうか。

○菅国務大臣 冒頭私が申し上げましたけれども、それぞれの自治体によってさまざまな形態があるだろう、そういうことでなかなか掌握するのは難しいという話をさせていただきました。今、問い合わせということであります。ほかならぬ武正委員の提案でありますので、私もできる限りその調査をさせたい、こう思います。

武正委員 ぜひ委員会の方に御提出をいただきたいと思いますが、委員長、お取り計らいをお願いします。

○佐藤委員長 理事会で協議をさせていただきます。

武正委員 それと、後段の方の質問についても、賠償責任、懲戒対象についてなんですが、国については把握していない、地方公務員は四十二件、五十五名だということなんですが、これは国家公務員については総務省が把握する所管省庁ではないということでお答えなのか、あるいは政府として把握をしていないのか、どちらでしょうか。

○菅国務大臣 これは基本的に人事院で掌握しているのかなというふうに思います。処分件数の中で大枠というのは出ていますけれども、そこまで具体的なことは把握していない、掌握していないということです。

武正委員 では、人事院に聞けばわかるということなんでしょうか。

○菅国務大臣 例えば、人事院の資料を私は今持っているんですけれども、多分、横領等関係で例えば百七人免職するとか、当然こういう数字は出ると思いますけれども、実際そこまで事実関係を、具体的にどうかなということを掌握していないということでありますので、御理解いただきたいと思います。

武正委員 また人事院にも聞かなければなりませんが、いずれにせよ、こうした再建法案というものを出していくときに、長あるいは職員の責任の所在というものが明らかになるような制度がやはり必要であろう、現在の制度がそれにこたえられないのであればそれを補完する必要もあるし、また、とりわけ公務員制度の所管省庁と言われる総務省がやはりそれをきちっと把握するべきであろうということで申し上げたのでございます。私の意見とすれば、重過失は過失に改めていくべきだろうというふうに思いますが、これについては、時間の関係もありますので、大臣の御所見を伺うことはきょうは控えておきます。

 そこで、先ほど来お話がありました、政府提出法案における金融機関の貸し手責任について、大臣としてどのようにお考えなのか。債務調整、今回いわゆる棒引きにしなかった理由というのは既存の法律があるからということで、この理由についてはもう既にお聞きをしております。

 あわせて、今の貸し手責任についての考えとともに、ちょうど日経の五月十九日の記事に、地方版再生機構創設へ、第三セクター処理も対象という記事が日経に出ておりましたが、ここには、主要融資行に債権放棄を求める、こういうような記事も出ているわけですね。

 先ほど来、貸し手責任について問う委員のさまざまな意見がありましたが、今回の法律ではいわゆる債務調整については検討委員会に先送りということになっている一方、この秋にも臨時国会に提出する法案と言われている記事でありますのでまだ定かではありませんが、主要融資行に債権放棄を求める、こういうような記事もあるわけなんです。

 まずは、貸し手責任についてのお考え、これが一点。それから地方版再生機構創設、この法律、今検討中なのかもしれませんが、主要融資行に債権放棄を求めるという考えがこちらの方にはあるのかどうか、あわせて公的資金を見返りに充てるというような報道もありますが、この点をお伺いしたいと思います。

○菅国務大臣 まず、本法案というのは、現行の地方行財政制度の基本的な枠組みの中で、財政指標の整備とその開示の徹底、財政悪化を早期に防止するための財政の早期健全化とか財政の再生、この制度を整備しようとするものでありまして、私とすれば、債務調整というものを実は大臣就任以来非常に関心を持っているという話をさせていただきました。そして、この債務調整問題について、総務省の中に債務調整等に関する調査研究会というものを設置して、今この問題について研究をしていただいているところであります。

 私自身、この債務調整というものに関心を示しているという一つの例として話させていただきますと、例えば夕張市の場合、六月に財政破綻を市長が表明した、しかし、私はよく言っていますけれども、七月にボーナスが前の年よりも配分された。通常、金融機関というのは、その時点で融資はないと私は思うんですよね。ですから、民間会社であると、多分そこで金融の手続、やりくりというのができなかったと思います。しかし、債務調整というものがないものですから、そういう中で七月に行われた。

 私はそうした事例を見て、やはり緊張感、緊迫感というのが地方自治の運営についても必要だろうと。そういうことで、債務調整というものを何らかの形で導入できないだろうかという考え方のもとに私が現在もいることは事実です。

 しかし、それを導入することによって、非常に財政力の低いと言われる、厳しいと言われる地方公共団体に対しての貸し渋りだとかいろいろな問題が出る可能性が実はありますので、それで今研究会を開いていただいて、そうした問題も含めて検討していただいておるものでありまして、今回、貸し手責任についてはこれに盛り込むことができなかったということであります。

 いずれにしろ、この問題については、やはり私は、この研究会の結果を踏まえて、地方分権推進委員会にしっかりとしたものを提示していきたいというふうに思います。

 そして、地方版再生機構創設、第三セクター処理も対象とするという報道であります。

 実は、私もこの報道を見て驚きました。私は、このことについて、正直全く何も承知をしておりませんので、今武正委員からいろいろな趣旨の質問がありました第三セクター云々について、債務調整の問題も、知らないのに中途半端な答えをしても混乱を生じさせるのかなと思っています。ですから、答えは控えさせていただきたいと思います。

武正委員 まず前段ですけれども、総務省さんにお聞きしても、地方金融機関が、あるいは都銀もそうでしょうけれども、特に指定金融機関を中心に地公体にどういうお金をどういう条件で貸しているのか、これは個別的なことについてはお答えできませんと。先ほども委員が指摘をしたとおりでございます。

 そうすると、こうした再建法の審議についても、いや、この債務調整、議論はあったけれども見送ったんだ、これから研究会でやりますよと。でも、法律は出てきているわけですね。地方債は、大臣にお聞きしたように、この十年の間に百兆が二百兆に膨れ上がって、どうやってこれから削減していくんですか、縮減を図るんですか。一兆、二兆、これは何とかこうやってこうやって返しますというような話がありましたが、いわゆる財政再建の展望についてはこれからというお話でございました。

 そしてまた、この後話が出るんですけれども、いわゆる借換債、これは今回認めていくわけなんですね。先ほど宮脇参考人も、いやこれはいいんだというお話がありましたが、でも地方債は地方債ですから、やはり地方債の二百兆円の縮減の道筋がないまま、これが膨れ上がっていく可能性があるのではないか、これはこの委員会の皆さんが危惧するところだと思うんですね。

 そうしますと、今は金融機関がどういう内容で、どういう利率で、あるいはどういう条件でそれぞれの地公体にお金を貸しているのかというのを、単に地方債の引き受けに占める民間資金の割合が十九年度見通しで六三%という以外にもっと細かに情報開示がされないと、やはり今回の再建法の議論にも資することはできないというふうに思うんです。もっと情報開示、地公体と指定金融機関を中心とする金融機関との関係について公開をしていく必要があると思うんですが、この点についてはどのようにお考えなのかというのが一点。

 先ほどの地方版再生機構、報道で初めて知ったというお話ですが、それでは今こういう法律が検討されているのかどうか。検討されていない、少なくとも総務省は一切相知らぬということを、もう一度伺いたいと思います。

○菅国務大臣 私は、確かに契約上の問題というのはそれぞれ金融機関と地方自治体にあると思います。しかし、地方公共団体ということであれば開示した方がいいだろう、このことについて私は一貫しているわけでありますけれども、なかなか事務方と距離が縮まっていないということも事実であります。

 ただ、私はやはり、そういう中で今度債務調整の研究会を私ども開いたということで、そのことは理解をしていただけるのかなというふうに思います。

武正委員 二点目の地方版再生機構、総務省では一切相知らぬ、あずかり知らぬことだ、研究も何もしていないということでよろしいでしょうか。

○菅国務大臣 少なくとも、今この時点では全くしておりません。

武正委員 そうすると、こういうことがどこで検討されているのか。検討されているとすれば、例えば金融庁とか、あるいはお得意の内閣府、内閣官房なのかもしれません。ただ、こちらのスキームでは、債権放棄を求めるというようなことがもしあるとすればやはり整合性というものも問われるでしょうし、この委員会でも、やはりそうはいっても小さな自治体では民間金融機関からの資金調達というのはなかなか難しいんだ、市場からのお金も集めにくいんだよと。

 ということであれば、やはり地方債の共同発行も含め、あるいはこの間お話をした東アジアでの流通も含めて、かなり総合的に、それこそ債務調整の研究会、先ほど宮脇さんは余り大きくやっていないんだというようなお話をされていましたので、やはりここはもうちょっと時間をかなりしっかりと急ぎながら、御議論についてよりてこ入れが必要なのではないのかなと思うわけであります。

 ぜひ情報開示を、個別具体的な契約内容までは言いませんが、もう少し立法府、国会の方に情報が提供されないと議論が深まらないと思いますので、その点は重ねて総務大臣にお願いをしたいというふうに思います。

 さて、監査制度の強化について議論を移したいと思います。

 監査委員のあり方、先ほど西村委員からも質疑で、参考人に、どうですかという話がございました。公認会計士、税理士、弁護士などの有資格者の登用、あるいは監査委員の公募、あるいはまた包括外部監査対象団体を拡大したり個別外部監査対象団体の範囲を拡大するなどが、私はやはり監査制度の強化の一つとして考えられると思うんですけれども、この点、以上、総務大臣の御所見を伺いたいと思います。

○菅国務大臣 まず、公募することについての考え方であります。

 監査委員の公募については、現行法上も、識見を有する者のうちから選任をされる監査委員の選任に当たっては、あらかじめ監査委員になることを希望する者を公募し、首長が希望者の中から候補者を定めて選任議案を提出することは可能だというふうに私は思います。いずれにしろ、今後とも、地方公共団体において、監査機能の充実の観点から、適切に監査委員の選任が行われることを期待し、総務省としても必要な情報提供等をしっかり行っていきたいと思います。

 そして、公認会計士、税理士、弁護士等有識者の登用の義務づけでありますけれども、今回の法案においても、公共団体の赤字だとかあるいは将来の財政負担の状況も含めた財政指標を整備して、この指標の議会への報告あるいは公表に際して監査委員の審査に付することとしており、この指標を監査委員会が適切に審査する能力というのは当然求められます。

 一方、公認会計士等の有資格者の監査委員登用に当たっては、有資格者の登用を義務づける必要性についてどのように考えるのか、また、一定の団体において既に外部の有識者による外部監査を実施していることとの関係をどう考えるのかだとか、あるいは有資格者の人員の確保が実際に可能かどうか、こういう検討は必要だというふうに私は思います。

 しかし、まず地方公共団体において、監査委員がみずからの権限を十分に行使して実効性のあるチェック機能を果たすことが重要であり、総務省としても、監査委員制度の充実強化を図る観点から、必要な検討を行うとともに助言指導を行っていきたいというふうに思います。

 さらに、包括外部監査を義務づける団体の範囲を拡大すべきじゃないかなというふうに思っています。このことについては、これまでの外部監査制度の運用状況を十分検証するとともに、地方分権の進展に伴う地方行政体制整備の必要性を踏まえて、必要な検討というものを行っていきたいというふうに思います。

 さらに、個別外部監査対象団体の点についてであります。これまでの外部監査制度の運用状況を十分検証するとともに、地方分権の進展に伴う地方行政体制整備の必要性を踏まえながら、やはりこれも必要な検討というものを行っていきたい。

 以上であります。

武正委員 先ほど公認会計士協会の副会長さん、宮内さんからもお話がありまして、今、包括外部監査百十一、そのうち百は公認会計士がやっているよと。もちろん弁護士、税理士などもそれにかかわっているわけであります。

 公認会計士さん、頑張っていただいているんですけれども、地方では、やはり公認会計士さんが必ずしもいらっしゃらない地域というのもある。私は、前に税理士会の方においでいただいたら、たしか全国で六万人とか七万人いらっしゃるんでしょうかね、やはり税理士さんに外部監査で、あるいは監査委員も含めて、もっともっとお願いしていったらどうかなというふうに思っておりまして、そうした公募あるいは有資格者の登用というものも、いろいろな工夫があっていいと思うんですね。小さな自治体だけでなくていろいろな、複数協力しながらということも含めてやっていったらどうかなと。

 あわせて、包括、個別の対象団体も、平成十七年度、包括外部監査が今百十一、個別外部監査、条例制定団体が百四十一ということで、まだまだ少数にとどまっていると思うんですね。今回の再建法で外部監査を義務づけはしますけれども、私は、条例制定も含めて、当初から義務づけていったらどうかなというふうに思うんですね。

 個別外部監査は一件五十万円ぐらいからやっているところもあるんですよ。包括外部監査が大体一千万から二千万台が六割ぐらい占めているんですけれども、個別外部監査は五十万円とか、かなり少額でもできますので、私は、やはりこうした点も考えていくべきだろうというふうに思うんですけれども、大臣、何か御所見があれば。

○菅国務大臣 これを全国に義務づけるというのはどうかなというふうに私は思います。ただ、条例でできることですから、そういう方向性というのは正しいというふうに私は思いますけれども、国が全部義務づけるというのはどうかなということであります。

武正委員 例えば、個別外部監査の対象を市以上に義務づけていって、そしてそのほかは、条例で決めたところはできるようにする。ですから、それはそれぞれの町村の自由になっているわけですし、例えば東京都で杉並区などは毎年個別外部監査をやっていますね。ですから、やはりそれは、条例で定めた町村に拡大していくということは選択肢としてあってもいいんじゃないかと思うんですが、その点はいかがでしょう。

○菅国務大臣 今の仕組みでも、町でもどこでもそれは条例でできることになっておりますので、私はそうした方向に行くことについては全く否定をするものではありません。

武正委員 そこで、先ほど公認会計士さんのお話をしましたけれども、監査委員あるいは監査をする立場から公認会計士協会の方が前に述べていたのは、そうはいっても、財務諸表監査、これがやはり必要なんだ、これがきちっと整備されていないと、幾ら監査委員が頑張っても、土台あるいは内部統制がきちっとできていないと監査にならない、こういうようなお話でありまして、いわゆる連結財務諸表の整備というのが義務づけられないのかどうか。

 あるいは、財務諸表作成の基準の統一、これは、総務省方式、財務省方式、結果、二〇〇六で財務省方式、財務四表の準備ということに落ちついたようでありますが、この点についてどのようにお考えになるのか。特に、財務諸表作成時においていわゆる簿価と時価、これをどうするのか、時価に統一できれば一番いいんだと思うんですけれども、以上の点、お答えをいただきたいと思います。

○菅国務大臣 まず、地方公共団体において、資産だとか債務管理や財務情報のわかりやすい開示の観点から、連結ベースも含めた財務書類を整備するというのは私は極めて大事だというふうに思っています。

 その観点に立って、地方公共団体に対して連結財務書類の整備を義務づけることについては、現金主義、単式簿記による現行の予算決算の意義、国の取り組みの動向、地方公共団体の財務全体のあり方等を十分に考慮した上で、慎重に検討する必要があるというふうに思います。

 総務省としては、昨年の五月の研究会報告書を踏まえて、新たな公会計モデルを活用して、連結ベースを含めて、今後すべての地方公共団体において財務書類が整備されるよう要請をいたしておるところでありますけれども、公会計の整備が地方の規律ある財政運営の実現に資するよう、さらにこのことについては積極的に取り組んでいきたい、このように考えております。

 また、この財務書類の整備については、現在、新地方公会計制度実務研究会において、財務書類の作成方法や資産評価について実務的な検討がなされております。連結に当たっては、会計基準統一は行わず、各法人の財務書類の金額を基礎として連結することを原則とするものの、売却可能資産等に係る評価については、可能な範囲で時価で統一する。そして、今後、一定の方向性というものは、その時価統一という方向性で出されるものだろうというふうに思っております。

武正委員 地方公営企業金融機構法附則十条二項で、資産、負債の承継について大臣とやりとりをして、「時価によらないことができる。」という条文について、いや、原則あるいは基本的に時価でというお話もございました。地方公営企業についても時価会計の導入ということになっていくんだということだと思いますが、特に、今回の四つの指標がありますけれども、実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率、将来負担比率、特にこの将来負担比率は、私はやはり時価でまず試みをやってみてもいいのかな、将来像を描いていく意味で、ここら辺がまず導入するには導入しやすいのではないかなというふうに思うんですね。

 これについてどうでしょうか。将来負担比率の方にこの時価会計というのを導入していくについて。

○菅国務大臣 この趣旨そのものが、市民の皆さんに自分たちの財政状況がどうなっているかということをできる限りわかりやすく情報提供する、そしてまた監視もしていただく、そういう観点もありますので、私は将来的なものについても、できるだけ時価でわかりやすい方向の方が望ましいというふうに思います。

武正委員 最後に、住民監査請求について伺いたいんです。

 この住民監査請求の期間、その対象が一年ということがあって、そのことが発覚をして、では住民監査請求をしようとしても、もう一年過ぎてしまっている、こういったことがよく言われるわけなんですけれども、例えば、この期間を拡大していくこと、要件の緩和、これは全国知事会も指摘をしている点で、先ほど井戸知事からもいただいたペーパーの方にその指摘があったわけなんですけれども、この住民監査請求の要件緩和、これについての御所見を伺いたいと思います。

○菅国務大臣 この住民監査制度というのは、住民訴訟制度とあわせて、地方公共団体における住民の行政監視制度の一つとして極めて大事だというふうに、まず私の認識を申し述べさせていただきます。

 そして一方、この監査請求というのは、住民個人が請求をすることができるために、その要件を緩和することによって件数がいたずらに増加することだとか、あるいは長や職員による政策判断に対する過度の慎重化や責任回避、士気の低下などが生じて、地方公共団体が積極的な施策展開を行うことが困難になる、こういう懸念も当然考えなきゃならないだろうというふうに思います。

 したがって、要件を緩和する、このことについては、地方公共団体における円滑な事務執行を確保する観点も踏まえながら検討していくべきことになるだろうというふうに思います。

    〔委員長退席、岡本(芳)委員長代理着席〕

武正委員 地方独法、地方三公社、第三セクター九千二百八団体。自治体からの貸付金四兆四千二百二十四億円。債務保証、損失補償計九兆三千八百五十三億円。この間、この委員会でも取り上げたように、独立行政法人、いわゆる独法化に当たって、十二兆円のいわゆる減殺ということもありました。これから、その地方の再生機構、これによっての債務放棄なども記事がある中で、説明責任がきちっと求められる中で、やはり何といってもその原資は地方あるいは国の税金でありますので、それがいつの間にかなくなっている、減殺をしてしまっているようなことがないように、きちっとそれは説明にたえられるような、そしてそういう説明の道は残しておくべきであって、私は、住民監査請求の拡大は、全国知事会の要望に沿って取り組むべきというふうに思っております。

 そうでないと、何度も申し上げますが、長を訴えられる例の法改正によって住民訴訟の件数が減った、こういうのはやはり説明責任からいうと逆方向であるということを改めて申し上げて、私の質疑にかえさせていただきます。

 どうもありがとうございました。