【衆院内閣委 議事録】 公務員制度改革について質す

2008年05月21日

武正委員 民主党の武正でございます。

 内閣委員会で質問の機会をいただきましたこと、感謝を申し上げます。

 それでは、通告の順番に従って質問をさせていただきたいと思います。今、お手元の方に資料を配らせていただいておりますので、それに基づいて質問をしたいと思います。

 民主党の公務員制度改革に関する考え方、もう既にこの委員会でも同僚委員からお示しをさせていただいていると思います。縦割り行政の弊害の排除というのも当然のように入っております。ただ、やはり縦割り行政の原因の一つに、政府の方は人事というものをお考えのようでありますが、その人事、そしてまたいわゆる天下り、再就職、そしてそこに契約というものがすべて密接に絡んでいる。その背景には、各省縦割りの業法、そしてまた、この後触れる会計法あるいは予責法等の支出関係の契約の法律、制度の問題点、これが実は縦割り行政の弊害の一つとしてあるというふうに、民主党、そして私は理解をしております。

 そこで、民主党の中では対案の中に、行政監視・評価院の設置による、天下りと結びついた事業発注、契約等についての厳しい監視の徹底、こういったものも天下り規制とともに盛り込んでおりまして、やはりこういったことが残念ながら政府提出の法案には欠けているということを言わざるを得ないわけでございます。

 そこで、きょうはそれぞれ、内閣官房副長官を初め副大臣、政務官にもおいでをいただきまして、ありがとうございます。順次質問をさせていただきます。

 まず、お手元に、これは独立行政法人に対する予備的調査で明らかになった数字でございますが、独立行政法人国立病院機構、平成十八年度の全支出を見ますと、一万一千七百二十四件中五千六百五十六件が一般競争入札である。今、政府を挙げて随意契約の見直し、そしてまた、それぞれの省庁に第三者委員会をつくってそれを進めている政府でありますが、なかなか、随意契約の見直しができそうでさまざまな抜け道がある、こういったところも我々は国会で指摘をしているわけでありまして、これもやはり縦割り行政の打破の一つというふうに理解をしております。

 そこで、まず、国立病院機構の一般競争入札の落札率というものを、いわゆる予定価格と落札価格を見ますと、一〇〇%の落札率がおよそ二割、その額は百七十一億ということで、額は一一%になります。九九%以上の落札率を合わせますと六割、そして、その額は七七%、一般競争入札に占める額ということになろうかと思います。

 政府提出の法案は、人事とそれから契約、こうしたことを結びつけた法案にはなっていないんですが、まず財務省、お見えでございますが、財務大臣政務官、会計法を所管する立場から、また、一般競争入札が原則である、こういったことで臨んでおられる省庁として、この落札率一〇〇%というのをどのように見ておられるのか、御所見を伺いたいと思います。

○宮下大臣政務官 お答えを申し上げます。

 予算決算及び会計令におきましては、予定価格は、契約の目的となる物件等につきまして、取引の実例価格また需給の状況、数量の多寡等を勘案して適正に定めなければならないとされております。したがいまして、予定価格の水準等によりましては、予定価格に近い落札価格となる場合も十分考えられますので、落札率が一〇〇%であるからといって直ちに会計法上問題ということにはならないと考えております。

 財務省としましては、取引事例に係ります市場調査を幅広く行って市場価格を適切に把握する等、予定価格を適正に設定することなどを通じて、入札また契約事務が適正に執行されるようにすることが重要だというふうに考えております。

 ただ一方で、先生御指摘のように、省庁で監視体制をつくるということもやっております。

 この背景には、応札者が例えば一者であるような少数の場合に落札率が高いというような傾向もございまして、そういう公共調達の適正化という面から、各省庁が、随意契約見直し計画を策定していただき、それに基づいて、より競争性の高い契約方式へ移行するというような措置を実施していただいております。

 全省庁で第三者機関のチェック、特に応札者が一者しかないものなどは重点的に監視する、また、この第三者機関がきちっと機能しているかどうかは総務省において一元的、横断的に監視するというようなダブルチェックシステムでやっていこうという体制を整備したところでございます。

 今後も、各省庁連携をとりながら、こうした見直しについて徹底して取り組んで、引き続き公共調達の適正化に努めていくことが重要であると考えているところでございます。

武正委員 基本的に、落札率が一〇〇%でも会計法なり予決令では問題にできないという限界をいみじくも財務省としては露呈したということだと思うんですね。

 官房副長官、本当は御指名していなかったんですけれども、今内閣官房で、前、坂さんでしたでしょうか、それで今、二橋さんの御担当にさらに格上げしてこの随契の見直しをやっておられる。

 今、一者だけ受注というのはやはりちょっとチェックしろということで、指示を関係省庁全部出しているんですが、落札率一〇〇%というのは、やはりまだ明確に指示には書いていないんですよ。多分その背景には、今財務省が言われたような、法令に違反するとまでは言いにくいといったところがあるのかと思うんです。

 特に私は、これから医療改革の中で、三十三兆円のうちの八兆円を占める医薬品、医材料の契約の適正化というのは欠かせないという認識を持っておりまして、今、国立病院機構、百四十の病院ですが、九九%以上の落札率が六割以上、額にすると七割以上というのを見られて、落札率一〇〇%の問題点、予定価格というものが公表されていなくても落札価格と一致してしまう、これについて、副長官、御感想でも御所見でも、簡単に考えをいただければと思うんですが、いかがでしょうか。

○大野内閣官房副長官 突然のお尋ねでございますが、こうして落札率一〇〇%ということ、それをそのまま予定価格に対して、それぞれの分野によりましても、特定の機器であるとか、いろいろなことがあるんだろうと思いますけれども、今、内閣としても、こうしたことの入札の公正ということについては事あるごとに実は指摘をしているわけでありまして、その中で、公正を欠くということが言われないような対応をこれからもしていく所存でございます。

武正委員 ありがとうございます。

 落札率一〇〇%と次の山田洋行過払い請求については関係があります。私の問題意識は、やはり公務員制度改革は人事のみではなくて、民主党が主張するように、人事が、天下り、そして当然そこにまた契約が絡んでくる、その契約を正していく必要があるんだけれども、現行の法制度で実は足らざるところがあるんじゃないか、こういう問題意識でありますので、公務員制度担当大臣には、ぜひあわせてちょっと御所見を伺いたいと思います。

 そこで、資料二ページをごらんいただきたいと思います。「株式会社山田洋行に係る過払案件等について」ということでございます。

 山田洋行に係る過払い案件等ということで、今捜査中といったこともありますし、また、あしたでしょうか、参議院で証人喚問ということも今与野党で協議中ということでございますが、今のところ、十八件について支払い金額八億四千万、うち四億三千万が過払いであったと。これは防衛省の資料でございますが、副大臣がお見えでございますので、ちょっとこの事実関係をお答えいただけますでしょうか。

 次のページにありますように、「山田洋行の過大請求関連調査について」、これも防衛省さんに出していただいておりますように、中央調達百十六件については、回答が百八件あったけれども五十五件は確認中、また、地方調達は五百二十五件調査対象があるけれども、回答があったのは七十二件、うち三十件は確認中ということで、四百五十三件、地方調達はまだ返事もないというようなことも含めて、お答えいただけますでしょうか。

○江渡副大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 今委員からの御質問の山田洋行との関係なわけでございますけれども、山田洋行との直接契約につきましては、昨年の十一月ですけれども、過大請求事案二件が発覚したことを踏まえまして、遡及できる限りすべての契約を対象に徹底的な調査を行うべく、平成十四年度以降の同社との契約六百四十一件、中央調達分百十六件、地方調達分五百二十五件につきまして、外国メーカーに見積書を送付して、その状況の確認を求めながら、五月九日現在で百八十件、中央調達分百八件、地方調達分七十二件の回答を受けて、このうち九件の過大請求というものを確認したところでございます。その他、調査により確認したものも含めまして、現在までに、委員が提出のその資料のとおり、十八件の過大請求、過大請求額約四億五千万円を確認したところでございます。

 まだ地方調達分の方の回答が少ないのではないのかということなんですけれども、実は、昨年この事案が発覚したときから、先に中央調達部分のことをきちんと確認しようということをさせていただきながら、その後、地方調達部分の確認ということで、相手側の方に確認のためのレター等を送って、終わったのがことしの二月の終わりでございまして、その後、まだきちんと回答が来ていないという状況があるものですから、資料で提出させたような状況下になっているというところでございます。

 どちらにしても、今の段階で、この十八件、既に支払いを終えた十六件につきまして、過払い額の合計が、先ほど言ったような形で四億三千八百万円、延滞金を含めた約五億五千万円につきましては、債権の早期保全ということを図るために一たん確定させていただきまして、二月の末に同社への支払い債務と相殺したというところでございます。

 そしてまた、先ほどお話ししたように、地方調達分につきましては、本年の二月末までにおいて全部で五百二十五件の送付を終了したというところでございまして、そして五月九日までの段階において、調査した五百二十五件中七十九件について回答がありまして、見積書と真正との回答があったものが四十二件という状況下でございます。

武正委員 この地方調達分の未回答の部分、これはどうやって催促をするのか、お答えをいただけますか。

○江渡副大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 中央調達のときと同じように、何度も何度も繰り返しという形で催促をさせていただきたいと思っております。つまり、中央調達のときも、我が省の方から相手メーカー側の方にかなりの回数要請をさせていただいて、そしてここまで回答率が上がったというところでございますものですから、そういう努力は引き続きさせていただきたいというふうに思っております。

武正委員 相手側はメーカーさんとか、あるいはメーカーの前のディストリビューターというんですかね、あるいは商社さんとか、そういったところに適正な価格をちゃんと答えるようにという、ある面その強制力というものを防衛省としては持っているということでよろしいですか。

○江渡副大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 強制力といいますと、また今の段階で……(武正委員「先方の回答義務」と呼ぶ)できるだけ、そこの部分においては、可能な限り早期の段階で回答いただくようにということでの申し入れはさせていただいているというところでございます。

武正委員 昨年発出して以来半年、あるいは二月からもう四カ月ということになろうかと思うので、事前に部門会議で民主党が伺うと、防衛省さんからは、なかなか回答を求める強制力がないんだということを盛んに言っておられますが、どうですかね、これ。

 財務省さん、契約額が七億三千万、実際に払ったのが八億四千万、でもそのうち四億三千万が過払い、つまり払い過ぎていた、こういったことは会計法なり予決令を所管する財務省としてはどのようにお考えになりますか。

○宮下大臣政務官 先生御指摘の過払いというのは、本来あってはならない話だと思います。

 したがいまして、これは予算編成時におきましてもできるだけチェックをしていくということだと思いますし、従来も防衛装備品につきましては、その必要性、数量、価格など、さまざまな観点から精査を行っておりますし、主要な装備品の過去の調達価格なども勘案しながら、異常値がないか等々もチェックをしつつやっておるということではありますけれども、一方で、今回の事例のように、問題事例ということも明らかになったわけでございますので、これは予算の執行調査というのをもっと充実させていこうということで、まさにその執行の状況を把握する努力を強化しているところでございます。

 具体的には、本年度の予算執行調査で防衛装備品の輸入をめぐる問題を特に重点として取り上げてしっかり調査をしていこうということでございまして、こうした手段も活用しつつ、今後、防衛省における装備品の調達が適正に行われるように、財務省としても努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

武正委員 きょうは会計検査院もお見えなので、こうした海外のメーカーとかディストリビューターとか商社に対して、実際に幾らなんですかというようなことを聞けるのか、例えば任意でも。法的な問題と、それから過去、会計検査院は防衛省に限らずそういうことを聞いたことがあるのか、お答えをいただきたいと思います。

○小武山会計検査院当局者 お答えいたします。

 まず、会計検査院の防衛分野での検査についてちょっと一言申し上げたいと思うんですけれども、毎年公表いたしております会計検査の基本方針でも、重点を置いて検査を行う施策の分野といたしております。そして、防衛装備品に対する検査を充実するため、今般、防衛調達の検査を担当する専門部署でございます防衛調達検査室を新設しております。

 お尋ねの山田洋行等の過大請求事案につきましては、これまでの国会での御議論や報道の内容等を十分に念頭に置きながら事実関係等の把握に努めるなどして検査を行っておるところでございます。今後とも、防衛調達の適正化につながるように鋭意検査してまいりたいと考えております。

 それから、外国のメーカーに対する権限等の関係なんですけれども、会計検査院といたしましては、輸入代理店等から防衛省に提示された見積書等の真正性につきまして、これまで、具体的な問題点とか疑問点が何もないという状況の場合、外国のメーカーに対しましては、国の直接の契約相手先でないことから検査権限自体はないわけでございます。そういうことなので、問題点とか疑問点が何もない状況ではなかなか問い合わせるということは難しいと考えて、外国メーカーに直接問い合わせは行ってきておりません。

 ただ、今回、国会での御議論やマスコミの報道等によりまして、見積書の写しの偽造など具体的な問題点や疑問点が明らかになってきたところでございまして、会計検査院法に二十八条というのがございまして、今後、この規定の適用によりまして外国のメーカー等に対して協力を求めることも検討してまいりたい。これはあくまでも相手の協力が必要だということでございます。

武正委員 防衛省さんは山田洋行の告発というものを考えておられるのかどうか、あるいはそういうスケジュールに入っておられるのかどうか、お答えいただきたいと思います。

○江渡副大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 今の先生の御質問にお答えする前に、先ほど私、山田洋行の地方調達部分のところで、調査している五百二十五件中七十九件と発言してしまいましたけれども、七十二件の誤りでしたので、ここで訂正させていただきたいと思います。

 今委員の御質問の告発するかどうかというところでございますけれども、今、この件につきまして鋭意調査中でございますので、そして関係省庁ともしっかりとこの辺のところを検討させていただきながら、その方向性で考えているところでございます。

武正委員 契約額の半分が過払いというのはやはり異常ですし、また、これが実はこれだけではないのではないかということで、今、民主党は資料の再提出を防衛省さんにお願いしております。

 具体的には、例えばこの一番から八番までの弾薬とか訓練具とか、こういったものは十二年度、十三年度だけじゃないだろう。毎年何か山田洋行と契約をしている。防衛省さんは、いや、それは過払いはなかったと言うのですから、ではその具体的な額を教えてくださいということもお願いをしております。また、山田洋行以外にも、ほかの、同じような一般輸入をしている防衛関係のこうした装備品の商社、これについても同じようなことがあるのではないのか。ある面、やはり全体的な体質というか、そうした点が問題なのではないかということでございます。

 そこで、財務省さんにもう一度お聞きします。

 先ほど私は、縦割り行政、実は契約のところを見直していく必要があるんだと言っておりますが、会計法第十条では、「各省各庁の長は、その所掌に係る支出負担行為及び支出に関する事務を管理する。」ということで、財務省さんに伺うと、結局は、それぞれ省庁の大臣が契約の責任を持っているし、権限を持っているので、会計法を所管する財務省としてもなかなかそこにああだこうだと言えない、これが実態なんだというようなことを伺ったんです。

 この会計法十条から、例えば今のこうした防衛省の過払い案件についても、財務省としては先ほど言ったような執行調査ぐらいしかできないんだというようなことだとすると、この会計法十条をやはり見直す必要があるだろうし、そういった意味では、公務員制度改革の法案の中で、人事だけではなくて契約の適正化、当然そこに天下りというものが密接に絡むとすれば、それらをセットでやはり見直していく必要があるというふうに思うわけですが、会計法の十条の関係、財務省政務官、お答えをいただけますでしょうか。

○宮下大臣政務官 先生御指摘のとおり、予算の策定に当たっては、一義的には、各省大臣、各省庁が責任を持って、それを財務省の方で査定をさせていただいております。また、今回のような事例も含め、案件は膨大でございまして、すべてを財務省がチェックするというのはなかなか難しいというところもありまして、やはり主要なものについて各省庁と連携をしながらしっかりチェックをしていく体制をとっていくということが、むしろ実効性が高い方法なのではないかなというふうに感じております。

武正委員 お待たせしました、公務員制度担当大臣。

 今までのやりとりを聞いていただいたと思うんですが、まずは、この落札率一〇〇%が、そうはいっても法律的にはなかなか問題とは言いづらいというようなお話とか、過払い案件も、防衛省はなかなか回答をしっかり求められないようなところ、また財務省も、それはもう防衛省の契約の範疇なんだ、会計法を所管して、予決令を所管していてもというような、限界ということがおわかりいただけると思うんです。

 これはやはり公務員制度改革ということで契約に関する適正化ということを、よく大臣が言われるような今の各省縦割りの行政、その弊害の排除には、契約のあり方、各省の大臣が権限あるいは責任を持っていて、財務省もそれに横ぐしをなかなか入れられない、それから会計検査院も、先ほどお聞きになったようになかなか入れられない。我々民主党は、国会のもとにアメリカのGAOのように独立した会計検査院を置くべしという考えでありますが、現状は残念ながらそういうところであります。

 この落札率一〇〇%あるいは山田洋行過払い案件をお聞きになって、そうした契約まで含めた公務員制度改革の必要性について御所見を伺いたいと思います。

○渡辺国務大臣 今回の基本法案では、職員の倫理の確立それから信賞必罰の徹底のための規定を設けております。「職務上知ることのできた秘密を漏らした場合その他の職務上の義務に違反した場合又は職務を怠った場合における懲戒処分について、適正かつ厳格な実施の徹底を図るための措置を講ずる」といたしております。

 基本法案は、特定の個別の事案に対する措置を規定したものではございません。しかし、基本法案の規定に基づく措置によって、職員が懲戒処分事由に該当する行為をした場合の懲戒処分については、適正かつ厳格な実施が徹底されていくことになろうかと思います。

 御指摘のGAOのような機関を設けるということについては、基本法案は触れておりません。こうした国会改革との関係における争点は、この基本法案成立後の次の課題として真剣に研究をしていくべきものと思います。

武正委員 もうちょっとわかりやすくお答えをいただけるように、ちょっとわかりやすい質問をさせていただきます。

 国立病院機構の九九%以上の落札率という契約が六割を占める、契約金額では七割以上を占めること、それから今回、山田洋行の契約額の半分が過払いであったということ、これについては、特に金融また経済にお詳しい大臣として、問題意識としてどういうふうにお感じになるか、御所見、御感想を伺いたいと思います。

○渡辺国務大臣 それぞれ大臣政務官が答弁されたわけでして、私はこうした実態が詳しくわかっているわけではございませんので、そのとおりなんだろうとは思いますが、ただ、素人目に見て、この数字は一体どうなっちゃっているんだろうなという感じは持ちます。いずれにしても、こうしたことの背景に公務員制度の問題がもしあるとすれば、それは厳しく改めていかなければなりません。

 今回の基本法案では、例えば、職務上の秘密を漏らす、予定価格を漏らすとか、また適正な契約をやらなかったとか、職務を怠ったというような場合の懲戒処分については、「適正かつ厳格な実施の徹底を図るための措置を講ずる」という規定を設けているところでございます。

武正委員 基本法の九条でも、「職員の倫理の確立及び信賞必罰の徹底のため、次に掲げる措置を講ずるものとする。」ということで、今言われた「職務上知ることのできた秘密を漏らした場合」ということもあります。ただ、これはある面、いわゆる情報公開と二律背反なところがありますので、情報公開の徹底というものがやはりないと、こればかりが先行してしまうことには大変危惧を覚えるところでございます。

 その三号には、「国家賠償法に基づく求償権について、適正かつ厳格な行使の徹底を図るための措置を講ずること。」という条文もございます。きょう午前中、細野委員からの質問でもこれに触れられたというふうに思います。

 お手元の資料四ページに、国家賠償法、地方自治法、それから予算執行職員等の責任に関する法律を並べてあります。ここに、職員の損害賠償の責任について「故意又は重大な過失」というのがずらっと並んでいくわけなんですけれども、国家賠償法の第一条では、「故意又は過失によつて」ということで、重大なというのが抜けているんですね、「国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。」と。あるいは予算執行職員等の責任に関する法律の第六条でも、「故意又は過失に因り」ということと「故意又は重大な過失に因り」というのが二つ並んでいるわけであります。

 先ほど同僚委員から、今、ある面公務員バッシングというようなお話もありましたが、逆に民間からすると、やはり官民イコールフッティングである。なぜ公務員だけ、あるいは官の世界だけ民間と違うようなことがまかり通るんだろうと。民間では、そうした高い値段で契約してしまったり、あるいは特定の一者だけと随意契約してしまったり、会社にそうした損害を与えれば当然のように罰せられるといったことが、なぜ公務員の場合あるいは官の世界では罰せられないんだ、こういったことを我々は直接訴えられるわけでありまして、それがやはり今、国民の皆さんの官あるいは公務員に対するいわゆるバッシングになっているのではないかと思いますので、私は、やはり、契約というところを適正化させていかないと公務員制度改革基本法の名に値しないのではないのかというふうに思わざるを得ないんです。

 この基本法案第九条の三号で「国家賠償法に基づく求償権について、適正かつ厳格な行使の徹底を図るための措置を講ずる」というふうに挙げておられますと、当然、国家賠償法第一条二項で「故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。」という、この「重大な」というのはやはり取っていくべきではないかというふうに思うんですが、担当大臣の御所見を伺います。

○渡辺国務大臣 御指摘のように、基本法案の第九条第三号において、国家賠償法に基づく求償権の規定がございます。適正かつ厳格な実施または行使の徹底を図るための措置を講ずるとしております。

 徹底を図るための措置の具体的内容は、基本法成立後に検討されることになります。運用の徹底ということを想定いたしております。

武正委員 運用の徹底ではなくて、求償権について、第九条の三号では「適正かつ厳格な行使の徹底を図るための措置を講ずる」わけでありますから、具体的には、「故意又は重大な過失」ということでハードルを上げないで「故意又は過失」と、こういうことがいろいろな法律にあちらこちらありますので、そういうふうに法改正をすべきだというふうに思いますが、この点はいかがでしょうか。

○渡辺国務大臣 まず、守秘義務違反とか国家賠償法に基づく求償権の行使、こうしたことが今まで厳格に適用されてきたかどうかということを考えますと、まずこうした規定の運用の徹底、厳格化していくということが大事であろうかと思います。

武正委員 財務省政務官、予責法というのは財務省の担当だと思うんですが、我々民主党は、これまでも官製談合防止法で、予責法の「故意又は重大な過失」の「重大な」を取る、そうした改正案を提出してまいりましたが、担当省庁としてどうですか。

 私は会計法も改正すべきだというふうに思っておりますが、予責法もやはり改正をして、それこそ会計検査院なりあるいは財務省なりがちゃんと横ぐしを入れられるようにしないと、各省縦割りの契約がそのまま野放しにされていては、結局は公務員制度改革が、政府が目的としている縦割り行政の弊害の排除とか国民の信頼の回復にはつながらないというふうに思うんですが、財務省さん、いかがでしょうか。

○宮下大臣政務官 お答えをいたします。

 予算執行職員等の責任に関する法律におきまして、会計検査院の役割、また各省各庁の長の役割について明記をされております。

 この中で、会計検査院は、国に損害を与えたというような事例に接した場合、その事実があるかどうかを審理して、弁償責任の有無及び弁償額を検定するということで、しっかりやれということでございますし、また、会計検査院が検定する前でも、各省各庁の長が予算執行職員に対して弁償を命ずることもできるということでございまして、まず、この法律に沿って会計検査院また各省が責任のある調査、またその弁償を命ずるというようなことをしっかりやっていくということが一番重要ではないかなというふうに考えます。

 なお、先生御指摘のように、当該職員に故意または重大な過失があった場合に限られているのが問題ではないかという御指摘についてでございますけれども、この予責法において、弁償責任を命じる要件として「故意又は重大な過失」というふうに掲げておりますのは、予算執行事務が複雑また広範な内容でございまして、重大な過失と言えない過失まで責任を問うということになりますと、むしろ予算執行職員に過大な負担を課して、かえって事務の円滑な執行を妨げるおそれがあるという懸念もございます。

 したがって、現在のところ、財務省として、御指摘のような方向での予責法の改正を行う必要があるとは考えていないということでございます。

武正委員 財務省に伺いますが、過去、戦後になろうかと思いますが、予責法が施行されて、この弁償責任の検定をしたという件数は何件でしょうか。

○宮下大臣政務官 手元に情報がございません。

武正委員 予責法という法律がありながら、そしてまたそうした国に損害を与えたということを、これはたしか国家賠償法もなかなか実際の運用ができない、そういうようなことが指摘されておりますので、「故意又は重大な過失」の「重大な」というハードルを下げていくことが、今、公務員制度改革の中で、契約の適正化、国民の信頼にこたえる一つではないかというふうに私は思うわけであります。

 長いことありがとうございました。防衛省、それから財務省、会計検査院もでしょうか、お引き取りをいただければと思います。

 そこで次に、政と官のあり方について伺います。

 お手元の五ページが、平成十四年七月十六日、閣僚懇談会の申し合わせということでありまして、それについて、行革推進本部に昨年の十二月、では、「政・官の在り方」の周知方法はどうやったのか、「政・官の在り方」の申し合わせ以降、「政・官の在り方」の「2 対応方針」の〔1〕に基づいて、大臣等に報告を行った件数、当該報告を受けた大臣等が要請、働きかけを行った国会議員に対し内容の確認を行った件数について確認をしましたら、すべての府省においてどちらもゼロ件であったということでありました。

 平成十四年の七月十六日に「政・官の在り方」ということでこのような閣議決定をしながら、結局は、それぞれの省庁に報告がゼロ件というのは一体どういうことなのかというふうに思うわけで、こうしたことの徹底が図られないのに、今回、そういう意味で政官の接触を禁止するというのは、やはり順番が違うというふうに私は言わざるを得ないと思います。

 きょう、理事会の方に資料も出されたというふうに伺っておりますが、今現在も相変わらず、各省で大臣等に報告を行った件数、当該報告を受けた大臣等が要請、働きかけを行った国会議員に対し内容の確認を行った件数はゼロ件なのか、官房副長官でしょうか、お答えをいただけますか。

○大野内閣官房副長官 ただいま資料を配付されておりまして、確認をさせていただきましたが、ここにありますとおり、大臣等に報告を行った件数、当該大臣等が要請、働きかけを行った国会議員に対して内容の確認を行った件数、当該大臣が政官の関係について適正の確保等処理をした件数、それぞれ、いずれも報告はゼロでございまして、ここにお示しをいただいた資料のとおりでございます。

武正委員 先ほどの山田洋行事案とか、あるいは日米平和・文化交流協会の事案とか、政と官、お金をめぐる、あるいは契約をめぐるいろいろな事件が起こっております。そうしたときに、国会議員から関係大臣等に必ず働きかけがあるはずだということで私どもは政府にただすんですが、いや、そうした記録はありませんというふうに言われるわけなんですね。

 なぜかなというふうに思うんですけれども、この五ページをごらんいただきたいんですが、閣議決定のアンダーラインのところが非常に限定をした書き方になっているのが、大臣への働きかけなどの記録がゼロであるという一つの原因ではないかというふうに思うわけでありまして、こうした政官の閣議決定のある面対象の緩和というのを今やるべきであるというふうに思うわけであります。

 この「対応方針」の〔1〕「「官」は、国会議員又はその秘書から、個別の行政執行に関する要請、働きかけであって、政府の方針と著しく異なる等のため、」云々かんぬん「大臣等に報告するものとする。」次、「報告を受けた大臣等は、要請、働きかけを行った国会議員に対し、内容の確認を行うとともに、」云々かんぬんと。

 まず第一のハードルが、政府の方針と著しく異なるかどうかということでありまして、ここが、政府の方針と異なっていなければ対象外である。でも、さまざまな事件があって、何か圧力を政府、関係省庁、大臣にかけていることを、政府の方針と著しく異なるかどうかということでハードルを高くする必要があるのかどうか。政官接触、また不当な圧力が国会議員の側から政府にあったとすれば、それは正していくべきであって、なぜここで政府の方針と著しく異なるということを書く必要があるのか。

 あわせて、今度は、報告を受けた大臣等は、内容の確認を国会議員に対して行う。ある面、圧力をかけた、今の現状では政府の方針と著しく異なるというぐらいの圧力をかけた国会議員に、あなた、これをやりましたかねという確認を行うというこの閣議決定。こんなことをしたら、多分また国会議員は、いや、それはちょっと、頼みますよ、出さないでくださいとか、記録を残さないでくださいと当然言うわけでありまして、これは非常に非現実的な閣議決定がそのまま放置をされているというふうに思うわけであります。

 結果、〔4〕「日時・経過、内容等、当該案件の処理経過を記録し、大臣等の確認を経た上で保存する。」ここでもまた「改めて本人の確認を求める。」と。これではいつまでたっても各省の記録というものは、ゼロ件です、ゼロ件ですと。

 これでは、政府のさまざまな意思決定に不当な圧力があったとすれば、我々国会がそれを正していく、立法府としての役割、行政のチェックが果たせないわけでありまして、それを変える前に、政治家と行政の接触は一部の官僚に限りますよということは、何をやろうとするんだ、まず先にこっちの閣議決定見直しが先じゃないのかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

○大野内閣官房副長官 閣議決定されておりますこの申し合わせなんですけれども、このことにつきましては、もう委員御案内のとおりでございますが、これは組閣の際に、実は初閣議において官房長官から各大臣に対しましてこの趣旨を確認するなど、各府省に対して周知徹底をしております。そしてまた、初副大臣会議、初政務官会議におきましても同じようにこの趣旨の徹底を実はしておりまして、そのことを十分認識、承知をされていると思うわけでございます。

 ですから、国会議員等からの不当な働きかけがあった場合においては大臣等に報告を行った事例がないということでございますけれども、こうしたルール化によりまして、国会議員から不当な働きかけなどで行政の中立公正性が損なわれるという事態、こうしたことに対して、私は、この申し合わせの確認によって歯どめがかかっているということは現実にあると思っておりまして、ですから、この報告の中では、こうしたゼロということの中では、この申し合わせが効果的な成果を上げている、こう思っております。

武正委員 公務員制度担当大臣、いかがですか。

 政と官の接触禁止というのは、大臣は、いや、行政が政治家の側に変な、何かそういう言葉を言っておられましたよね、圧力を、ロビーイングとか、あともう一つ言っておられましたが、そういうのはだめだから今回法律に盛り込んだので、国会議員がどんどん行政に対するチェックとか情報を求めるとか、それはいささかも規制がありませんと言いますが、我々は、この法律からは今まで以上に非常に行政からの情報をとりにくくなるし、民主党でいえば、部門会議に呼びにくくなるし、あるいは、翌日の質問ということで、本当は前々日という話もありましたが、ただこれは、質問取りも政務官という相打ちみたいな話で、突然あした委員会に立つということも決まりますから、やはりその場その場で、電話でも、直接来てくださいということで行政に対して情報を求めるわけですが、それに対する非常にブレーキになると大変危惧をしているわけなんです。

 まず、この「政・官の在り方」の閣議決定、今、官房副長官はこれがあるからゼロ件なんですというようなお話ですが、公務員制度改革担当大臣も同じような御認識でしょうか。去年、随分この委員会で大臣も御奮闘されたと思います。我々も民主党の法案提出者として横で並んで大臣の答弁を聞いていて、ある面、霞が関の官僚組織の中で大臣が孤軍奮闘されている、そういうような印象も受けたものですから。

 こうした全省庁ゼロ件、大臣に対する国会議員からの働きかけはありません、これがブレーキになっているんですというのは、やはりおかしいと思うんですね。どうですか。このゼロ件というのが、五月になってもゼロ件。本当にこれでいいんだ、こういうことなんですよということで御納得されますか。やはりこれは、まず閣議決定を見直そうとか、何かお考えはありませんか。

○渡辺国務大臣 詳しい数字を持っているわけではございませんけれども、ここに該当しない報告事案というのはあるんだろうと思います。恐らく、すべての政治サイドからの働きかけについて大臣に上げているということでは多分ないのかもしれません。局長段階あたりでふるい分けをして、大臣に上げるもの、上げないもの、そういうことをやっているという話を聞いたことがございます。

 今回の基本法案では、御案内のように、政官接触の集中管理という規定を設けておりますが、それは、今まで全くルールがないという中で官の方からのロビーイング活動が野方図に行われてきている、このことについて規律を設けていこうということでございます。

 したがって、国会議員の側からの情報収集等に支障を生じないよう十分配慮をしていくことが必要でございます。国会議員に接触する場合には大臣の指示を必要とするなど、大臣による指揮監督をより効果的なものとするための規律を設けることといたしております。

武正委員 私もそろそろ八年衆議院に在籍いたしますが、残念ながらというか幸いながら、官庁の皆さんからのロビーイングというのは受けた記憶がないんですね。民主党の中でも受けている方はいらっしゃるかもしれませんが、それに近いものはあるのかもしれませんけれども、やはり野党として、また国会として行政をチェックするんだ、こういう気概を多くの国会議員は持っている、与野党を問わずあると私は思っております。

 逆に、もしそれは与党に対してやはり多いという御認識であれば、きょう実は外務委員会ではASEANセンターについての条約の改正案の質疑がありまして、自民党の議員が、このASEANセンター、外郭団体、財団でもないし、なかなかチェックが及ばないけれども、外務省にはいっぱいこういうのがある、いわゆる天下り団体になっているということで、徹底して質疑の中でただしていました。

 私は、やはり国会が与野党を問わず行政に対するチェックを徹底していく、そして特に、それぞれの省庁に入っている与党の議員の皆さんがそれぞれの省庁の中の改革を徹底して行うことが今まさに国民から求められているというふうに考えます。民主党は、今の与党よりももっと多く省庁に入っていこうということを考えているわけでございます。

 副長官、どうですか。地方自治体は、たしか、そうした問い合わせがあったら、全部それを記録して、それをオープンにするということを今やっていると思うんです。ですから、今の、政府の方針と著しく異なるとか、それから内容の確認を国会議員に再度しないと、結局はゼロ件になってしまうということなので、これが歯どめになっているというよりも、今、自治体は全部やっていますよ。御案内だと思うんですね。議員からの働きかけをちゃんと記録にして、それを公表するということをそれぞれ自治体はやっているじゃないですか。それが政府がこういうことで、全省庁ゼロ件なんて恥ずかしくて地方自治体に顔向けできないんじゃないでしょうか。

 いかがでしょうか。私は、やはり閣議決定のアンダーラインのところを緩和していくのをまず今政府はやるべきであって、今、政官の禁止だということはやはり順序が違うというふうに思うんですが、閣議決定の見直し、お考えはいかがでしょうか、官房副長官。

○大野内閣官房副長官 お答えする前にですが、閣議決定ではなくて閣僚懇談会の申し合わせでございますので、私もそういうお答えをしたかもしれませんが、訂正を願います。

 政から官へ働きかける中におきまして、大臣等に報告するものについて処理経過を記録し、大臣等に確認した上で保存するということになっております。その内容の中で、今までこの報告がなかったということを申し上げたわけでありまして、こうしたことのいわゆるガイドラインを示しているわけでありますから、これから政官関係の適正な確保に努めていくことが大事である、こう思っております。

武正委員 もう時間が五分を切っておりますので、ちょっと五番、六番は飛ばしまして、総務政務官もおいでいただいておりますが、基本法第八条について触れたいと思います。

 第八条で、「国際社会の中で国益を全うし得る高い能力を有する人材を確保し、及び育成するため、次に掲げる措置を講ずるものとする。」ということであります。

 現状は、要は国際機関にどのぐらい国家公務員が出ているか、派遣されているか。十四年度から十八年度まで見ますと、大体百八十人から百九十人出ておりまして、そのうち国際機関への派遣人数は七十、八十ということであります。

 過日も、総務省のITUへの派遣人数が、ITU自体は七百五十人でありますが、そのうちわずか五人ということでありまして、日本は金は出すけれども人は出ないというか出さないとか、ここをやはり変えていく必要があるだろうということが多分この基本法の八条の問題意識だというふうに私は理解をするわけでありまして、ただ、そのためには、官民人材交流法あるいは定員管理法、それから国際機関派遣処遇法等の改正が必要だというふうに思っております。

 具体的には、官民人材交流法は官と民、民と官で交流しますが、中には、民から官に来て、そのままスルーして国際機関に行く、こういう可能性もあるんですが、官民人材交流法はそういった考えは持っておりません。官と民、民と官の交流だけです。民から官に来て、そのままスルーして国際機関に行く、こういった観点が必要なこと。

 それから、国際機関派遣処遇法は、二条で、要請があって同意をする、要請がないと派遣できない。それぞれの国際機関から要請がないとというところのやはり限界。それから十一条は、戻ってきたら待遇面、ちゃんと同じように配慮しますよというようなことがもちろん盛り込まれているわけであります。

 それから、定員管理法。これは、いや、定員が足りないからなかなか国際機関に出せないんですよというような答えを国会の質疑の中でいただいたんですけれども、一番最後のページを見てください。実は、定数にこれだけ欠員があるんですね。十八年度で八千人の欠員があるんですね。ですから、定員がいっぱいだから国際機関に出さないわけじゃないんです。

 だから、やはりもっともっと工夫をして、今現在で、今の法律でも変えればできるところはいっぱいある。まして、基本法の八条でそうした認識を持っておられる大臣ですので、関係法令の改正ということにぜひ取り組むという御決意をいただきたいのと、担当省庁の総務省として、官民人材交流法、定員管理法、それから処遇法、こういったものの改正についてどのようにお考えなのか。

 まず総務政務官にお答えいただいて、大臣と、続けてお願いいたします。

○秋葉大臣政務官 武正先生には以前にも同趣旨の御質問もいただいているようでございますけれども、官民人事交流法は、国と民間企業の相互の人材の交流により公務部門における人材の育成や行政運営の活性化を図り、公務の能率的な運営に資することを目的としている法律でございまして、民間企業の者を国に受け入れるに当たりましては、行政運営の活性化を図るため、各府省のポストについて勤務をすることが前提となっているところでございます。

 したがいまして、民間企業の者を国際機関に出向させることを前提として国家公務員に採用、交流することは、この法律の趣旨からいたしましてなかなかに難しいという認識は変わっていないわけですけれども、先ほど先生の資料にもございましたように、確かに今、各府省には欠員が約八千五百名ほどあるわけでございまして、一般論として申し上げれば、派遣職員は派遣期間中は定員外となるわけでございますから、ほかの職員を補充した場合でも、派遣期間を終了して職務に復帰する職員は各府省の欠員を充当して受け入れることが可能でございます。

 したがいまして、定員管理との関係で申し上げれば、各府省において、それぞれの人事管理の実情を踏まえつつ、政府職員の国際機関への派遣を一層推進していくことは可能なのではないかと考えているところでございます。

○渡辺国務大臣 御指摘のように、国際機関への派遣というのは我が国の国際戦略上も非常に大事なポイントであろうかと思います。基本法成立後、具体的な中身の検討に入っていくわけでございますが、法制上の必要措置を講ずる必要がある場合には、基本法施行後三年以内を目途として措置を講ずることを規定しております。

武正委員 以上で終わります。ありがとうございました。

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