【衆院外務委 議事録】 東アジア債券市場構想について質す

2008年05月21日

武正委員 民主党の武正公一でございます。

 二之湯総務政務官もおいでいただきまして、ありがとうございます。

 まず、きょうも同僚委員から既に質疑がございましたが、ミャンマー、中国災害支援について伺わせていただきたいと思います。

 国際緊急援助隊の最初の第一陣は、二回に分かれて六十一名派遣、そしてまた帰国の途につかれたということで、本当に大変なお働きをいただいた、心から敬意を表する次第であります。確かに生存者の救出にはつながらなかったとしても、大変な貢献を現地でいただいたことに感謝を申し上げる次第であります。

 国際緊急援助隊の所管省庁は総務省ということでございますので、第一陣帰国ということになって、これを振り返ってどのように見ておられるのか。また、六十一名の内訳を見ますと、警視庁、消防庁、海上保安庁が中心のメンバーでございますが、私は、もうちょっと消防庁がたくさんいてもいいのかなという印象も受けておりますので、そうしたことも踏まえて総務省としての御所見を伺いたいと思います。

○二之湯大臣政務官 国際緊急援助隊は、被害を受けた国から外務省に要請がございまして、そして外務省が消防庁にまた要請する、こういうことでございます。この具体的な人数、規模等は外務省が決める、こういうことになっておりますので、消防庁といたしましては、外務省の要請どおり今回派遣した、こういうことになっております。

武正委員 あと、団長のテレビでのコメントなども見ておりますと、きょうも既に外務省からもお話があったように、もうちょっと早く現地に入りたかったというようなこととか、行ってみて、移動時間とかあるいは捜索の場所の選定とか、いろいろとやはり課題があったということを述べておられますが、そうした今回の派遣についての御感想、御所見も触れていただけますでしょうか。

○二之湯大臣政務官 御承知のように、地震が発生してから我が国の消防援助隊が中国に行って救助活動を始めたのはかなり時間が経過してから、こういうことでございまして、当然、発生直後に行けば、これは仮定の話でございますけれども、何名かの人命を救助できたんじゃないか、このように言われておるわけでございます。

 しかし、先生も御案内のとおり、テレビ等で見ますと、日本の建物とあの中国の建物は、中国の場合は鉄筋コンクリートではありませんので、すき間がなくて、どさっと一遍に崩れ落ちておるということでございまして、今までの日本の消防レスキュー隊の活動と若干違ったような感じでございます。

 しかし、一生懸命頑張って、たとえ一人の生存者も救出できなかったといたしましても、テレビ等で中国政府が非常に日本のこの消防の活躍に深い敬意と感謝の気持ちをあらわしておるということは、非常に目に見えた国際的な援助活動だったのではないか、このように思うわけでございます。

武正委員 また、二十日から六月二日までの第二陣ということで、これは医療メンバーが中心ということで派遣をされておりますので、またこの医療、看護を中心としたメンバーの皆さんが本当に現地で活躍していただいて、貢献していただくことを御祈念申し上げたいと思います。

 外務省あるいは外務大臣、今の第一陣なんですけれども、資料をいただきましたら、六十一名の構成は、消防庁さん十七名、一番多いのは警視庁二十名、それから海上保安庁十三名、JICA六名、医師四名、外務省一名、合計六十一名。私は、警視庁が多いなというふうに思って、意外だったのです。

 今、総務省さんは、人数の構成は外務省が決めるんだというお話だったのですが、もうちょっと消防庁のレスキューが多くていいんじゃないかなと思ったのです。ここら辺、もしおわかりならば、御感想でもお答えいただければと思うのですが、いかがでしょうか。わかりませんかね。

○高村国務大臣 私にはちょっと、正確な答えをしかねます、わかりませんが、衆知を集めていいバランスで送ったのだとは思っておりますが、今コメントするべきことはございません。

武正委員 そこで、政務官、もうちょっといていただけるとありがたいのですが、ミャンマーについても伺いたいと思います。

 先ほども御紹介があったように、先週の金曜日、五月十六日、外務委員会は、ASEANセンターでASEANの大使と意見交換を行いました。私からも、議長役のタイの大使からお答えをいただいたのですが、過去もアチェの津波とか起きているので、そうした災害のときにASEAN十カ国でお互い連携して協力するということはやっているんですかというふうに尋ねましたら、タイの議長さんが、実はASEANレスキューチームというのがあるんだというお答えだったのですね。今度は、高村大臣もきのうですかお会いになっておられますミャンマーの大使に聞きまして、では、ミャンマーはこのASEANレスキューチームは受け入れていますかと言ったら、いや、お医者さんをタイから受け入れていますと。たしかそのときにはインド、バングラデシュ、中国と言われたでしょうか。ということは、お医者さんは受け入れているけれども、ASEANレスキューチームはまだ受け入れていないという話でございました。

 調べてみますと、二〇〇五年七月二十六日にビエンチャンで災害管理緊急対応というASEAN協定を結んでいる。ASEANレスキューチームとタイの大使が言ったことは多分このことじゃないのかなというふうに思うのですが、今、このASEANレスキューチームは受け入れるような可能性もあるという報道もあります。

 その後に、平沢委員長が、もっと早く人をやはりミャンマーは受け入れるべきですよというような話で、かなり突っ込んだ話もミャンマー大使とその場でできたということで、そういう意味では、非常に成果があったなというふうに私も承ったわけであります。

 ミャンマーでの人的な受け入れということで、このASEANレスキューチームあるいはASEANの災害管理緊急対応と日本が何か連携を図っていくこと、こういった可能性がないのかな。きのうは、たしかミャンマーの大使と港の船の引き揚げということで、ああ、これは非常にいいアイデアだなと私も報道で拝見をいたしました。一方、このASEANレスキューチームというのがあるらしいので、そことうまく連携していると、こうしたASEANは非常に災害が多いので、そこにうまく人を出せる可能性があるんじゃないのかなと思うのですが、この点について、あわせて御所見を伺いたいと思います。

○高村国務大臣 先ほどの、警察十三名はちょっと多過ぎるんじゃないか、消防はもっと多くというのは、これは同じような訓練を平素から受けている人たち、消防十四名、警察十三名、海保十二名が小隊三十九名、同じ隊となって行った、こういうことだそうであります。

 それから、ASEANのレスキューチームと日本のレスキューチームがふだんから訓練するということが必要かどうか、そういうことではなくて、タイの外務大臣と会ったときも、私の方から、タイはミャンマーに対する寛容政策をとっておりますから、タイだけじゃなくてASEANのかなりの国が寛容政策をとっていて、それなりの影響力があるので、国際的にレスキュー隊を、要するに人的支援の受け入れをタイの側から説得してほしいと私の方から申し上げたことがあるわけであります。

 それでそうしたとは申しませんけれども、その後、特使を派遣し、また首相みずからが行って、そういう中からASEANについては受け入れる、それからその前に隣接国については受け入れる、そういうことになっているわけでありますが、昨日私の方から申し上げたヤンゴン港における沈没船の引き揚げに関しては日本の人的支援を受け入れる、こういうことになって、少しずつ、国際的に連携をとりながら、ミャンマーが多くの人的支援を受け入れるように説得していきたい、そう思っております。

武正委員 私も警視庁の皆さんの御尽力に心から敬意を表するわけですが、ただ、中国側のカウンターパートが中国人民解放軍ということで、一部の報道では、やはり日本が来てというようなところの、そうしたアレルギーのようなことも報じられていたところも確かにございます。また、既にアチェの津波、あのときも、特にアメリカの艦船などがやはり現地に入ることに対して非常に抵抗感があったというような報道もございます。それは率直なところだというふうに思いますので、受け入れやすいような、そうしたタイの組織ということで、私はやはり消防庁さんはもうちょっと枠があっていいんじゃないかなというふうに思ったので、それを触れたわけでございます。

 ぜひ、先ほどの、タイの大使がいみじくも提起をされたASEANレスキューチームあるいは災害管理緊急対応、ビエンチャンでのASEAN協定と何かうまく連携を事前に図られるようにお願いをしたいというふうに思います。

 総務政務官、何か一言、御感想があれば。

○二之湯大臣政務官 もちろん、今の先生の御指摘のように、そういう被災国があれば進んで日本が目に見える形で日本の高度な技術をもって人命救助に当たるということは、大変重要なことだと思います。

 せんだっても、世界消防団会議、私もこれは余り知らなかったんですが、中国にも五百万人の消防団員がいる、こういうことを伺いました。先週、非常に大きな成果を上げてこの会議が終わったわけでございます。そういう団員レベルでの交流を通じ、あるいはまた政府間同士の公式な緊急援助隊が活動すれば、それはまた非常にASEAN諸国にとっても大きなプラスになるんじゃないか、このように思いますので、消防庁としても前向きに取り組んでまいりたい、このように思います。

武正委員 もう時間になりますので、最後に一言。

 TICADが始まりますが、やはり食料高騰ということで、サミットでも取り上げよう、TICADでも取り上げていくということでございますので、私は、バイオエタノールでやはりトウモロコシはおかしいよということをぜひ日本はアメリカにもサミットで言っていくべきだということをこの間提起し、外務大臣も、研究してみるというか勉強してみるというようなお話でありました。特に、TICADでこうした食料高騰への日本の対応、先ほどネリカ米のこともございましたが、何かメッセージを用意されている、あるいは準備されているのか、御所見を伺いたいと思います。

○高村国務大臣 アフリカ開発会議、TICAD4に際しましても、本会合や農業分野に係る分科会等を通じて、アフリカ諸国首脳、国際機関代表等参加者よりさまざまな議論が当然行われるものと考えております。特に、この問題に焦点を当てて、世銀、WFP、FAO及びIFAD主催によるハイレベルパネルディスカッションが行われることになっておりまして、我が国も参加し、議論に貢献していく所存でございます。

 我が国は、この世界的な課題に対し、アフリカ開発会議を主催する機会をとらえて国際的な議論に積極的に貢献するとともに、G8議長国として、その成果を踏まえ、七月の北海道洞爺湖サミットにおいて本問題を取り上げて、力強いメッセージを共同で発出できるように各国と協議を行っていく考えでございます。

武正委員 以上で午前中の質疑を終わります。ありがとうございました。

○平沢委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

○平沢委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。武正公一君。

武正委員 午前中に引き続き、質疑を続けさせていただきます。

 宮下財務大臣政務官もお運びいただきまして、ありがとうございます。

 この後、ASEAN・EPA、経済連携協定、それからASEANセンターの条約についての質疑に入らせていただきますが、外務省の方も、ASEANプラス3、五十五項目ぐらい協議事項がある中で、やはり一番成果を上げているのが、チェンマイ・イニシアチブを初めとするASEANプラス3での金融面での連携だろうというようなことを言っておられました。

 ちょうど五月四日、スペインにおきましてASEANプラス3の財務相会合も行われたわけであります。お手元の方には資料として、これは多分財務省さんにおつくりいただいた資料だと思いますので訂正をさせていただきますが、ASEANプラス3の現地通貨建て債券市場の規模も、中国は昨年の九月で一兆五千億ドルを突破しておりますので、多分今ぐらいだともう二兆ドルぐらいいっているんでしょうか。日本が八兆八千億ドル、韓国も一兆一千億ドルということで、現地通貨建て債券市場も拡大をしております。続いて三枚目の、チェンマイ・イニシアチブ、二国間の通貨スワップ取り決めも、さらに大きくというようなことがスペインで協議をし決められたというふうに伺っております。また、そのほか、資金供給の発効条件とか経済情勢などの相互監視、サーベイランスの仕組みについても議論をしたということであります。

 まず、このスペインでのASEANプラス3の財務相会合で決まったこと、あるいは議論をしたこと、課題として挙がったことなどをお答えいただけますでしょうか。

○宮下大臣政務官 お答えをいたします。

 今先生御指摘のように、今回のマドリードで行われましたASEANプラス3財務大臣会合において、チェンマイ・イニシアチブまたアジア債券市場育成イニシアチブをさらにどういうふうに発展させていくか、実のある議論がされたというふうに伺っております。

 そもそも、このチェンマイ・イニシアチブやアジア債券市場育成イニシアチブは、九〇年代後半のアジア通貨危機の苦い経験を踏まえて、このような危機は繰り返さないようにということで、安定した資金の調達、運用、投資が行われるようにということで始められてまいりました。

 まず、チェンマイ・イニシアチブにつきましてでございます。きょう先生がお配りいただいた資料にもありますように、二国間でどんどん合意が積み重なってきたということでございますけれども、このたびの会議では、これを一括マルチ化する、多国化するということで、さらにレベルの高い包括的な枠組みにしていこうということが話し合われました。また、拠出総額についても、今、二国間の合意、積み上げますとネットで五百八十億ドルなわけですが、マルチの場合には、それをさらに強化して八百億ドル規模のマルチの仕組みにしていこうということ。また、先生御指摘のように、域内サーベイランスについても、頻度をふやす等でさらに強化していこうということが決まったわけでございます。

 また、アジア債券市場育成イニシアチブにつきましても、ちょうどこれが始まって五年目を迎えるということで、新ロードマップに合意をしたところでございます。この新ロードマップは、現地通貨建て債券発行でありますとか需要の促進などの分野につきまして焦点を当てて、各国が進捗状況を評価するための基準を導入することなどを柱としております。

 このように、アジアにおける地域金融協力は大きな進捗を遂げているところでございますけれども、我が国としても、引き続き、ASEAN諸国また中国、韓国とも協力しつつ、積極的に地域金融協力を推進してまいりたいと考えているところでございます。

武正委員 このASEANプラス3の財務相会談には外務省さんも行っておられたんでしょうか、もしわかれば。財務省さんだけなのか、外務省も一緒なのか。

○小野寺副大臣 行っておりません。

武正委員 先般、このことを当委員会で外務大臣に申し上げましたら、これについてはいろいろと研究する、勉強する、そういうような趣旨でたしかお答えになられたと思うんです。

 なぜこのことを申し上げるかというと、ASEAN憲章が去年十一月二十日に署名をされているわけでありまして、民主主義、法の支配、人権尊重、グッドガバナンスなども盛り込まれていますけれども、ただ、やはり国内問題への不干渉原則は維持ということであります。

 民主党の部門会議でも、外務省の方に、ASEANの十カ国のリーダーはどこなんでしょうというような質問が同僚委員からありました。人口でいえばインドネシアでしょうし、例えばGDPの一人当たりの額などの先進性からいうとシンガポールなのかもしれませんし、また、最初の五カ国、そしてブルネイ、そしていわゆるメコン流域の四カ国が参加という、そうしたASEAN域内のある面格差と呼ばれるものもあるということであります。

 ASEANについてはASEANプラス3という枠組みもありますが、これも、ASEANプラス3については、どちらかというと中国が主導しているんだというような認識を外務省で持っておられるような話を伺いました。日本は、それにさらに三カ国ということで、オーストラリア、ニュージーランド、インドだったでしょうか、そうしたことを提案したということでもありました。

 ただ、このASEANプラス3の中では、チェンマイ・イニシアチブとかその前のアジア債券市場構想は日本が非常に主導的な役割を果たし得る分野だというふうに認識をしておりますので、こうして提起をさせていただいております。アジア通貨危機のときに、宮沢ファンド構想などがありながらそれがつぶされたというか、ポシャった経緯がありますが、その後、こうした芽が今非常に伸びている、育っているということでありますので、ぜひ外務省としても、財務相会談でありますけれども、こうしたASEANプラス3の概括のお互いの協力、あるいは現地通貨建て債券市場を大きくしていくということに御関心をお持ちいただきたいというふうに思います。重ねて、大臣のこの取り組みへの御所見を伺いたいというふうに思います。

○高村国務大臣 こういう取り組みは専門家である財務省が、日本だけでなくて各国ともそれでやっておりますが、やはり外交の一元化という話もあるので、外務省が関心を持つのは当たり前のことでありまして、財務省と連携をとりながら、日本外交そしてこの地域全体の繁栄のために生かしていきたい、こういうふうに思っております。

武正委員 わかりませんけれども、あちこちで経済大臣のそうした会議とかいろいろありますけれども、そういったところに外務省さんは行っておられないのか、あるいはそういうときでも行く可能性は十分あるということで、行っても構わないのか、行っているのか。そこら辺、ちょっと初歩的な質問ですが、お答えいただけますか。

○小野寺副大臣 各省庁と連携しつつ、外務省も出席させていただいております。

武正委員 財務省さんからしてみたら、例えばASEANプラス3の財務相会談に外務省さんが来ると邪魔だというようなことはないということでよろしいですか。

○宮下大臣政務官 例えば債券発行でも、国内でのいろいろなプロジェクトはやはり外務省さんがかかわって情報を得られている件も多いでしょうし、お互いやはり連携することがこの市場が発展するためにも非常に重要だと考えております。

武正委員 それでは、政務官、ここでお時間、どうもありがとうございました。

 これは、おわかりになればお答えいただきたいんですが、ASEAN憲章を見ていたら、ASEAN各国代表部をジャカルタに設置、ASEAN内部の意思決定は右代表部間の協議メカニズムを通じて行う、またASEANの域外対話国はASEAN担当大使を任命することができるというのがあります。ASEANの域外対話国にもし日本が入るとASEAN担当大使というのを任命することができるというのをASEANが言うのもおかしいなとは思うんですが、例えば別な観点から、ASEAN重視というようなことで、今それぞれの大使がいますが、ASEAN全体を見る大使というのは今どなたが任命されているのか、お答えいただけますか。

○小野寺副大臣 特にASEAN全体を見るASEAN大使みたいなものは、任命をしておりません。

武正委員 この間、ASEANセンターに外務委員会が行きまして、十名のASEAN大使、お二人は代理だったでしょうか、意見交換をしまして、この後触れるASEANセンターのあり方についてもいろいろと意見交換もしましたし、先ほど御質問したように、ミャンマーの大使あるいはミャンマーの受け入れについても突っ込んだやりとりがありました。

 今回のこのASEANセンターの強化というのは、やはり日・ASEANで合意をして、相互の貿易、投資、観光そして人物交流ということをさらに深化させようというねらいというふうに承っているんですが、これは、例えば、ASEANを担当するような大使みたいなものが日本にいてもいいのかなというふうに思うんです。これは思いつきの域で、ほかの国にもしかしたらそういう人がいるのかいないのかも私は承知しておりませんけれども、ASEANに対して日本の積極的な意思を表明するいろいろなやり方があると思うんです。ASEANセンターの強化もその一つなのかもしれませんが、その一つとしてこういうアイデアというのはいかがでしょうか。

○小野寺副大臣 ASEAN憲章が来年以降発効する状況になりましたら、日本もASEAN大使というものを任命する検討が必要かというふうに思っております。

武正委員 これはASEANが任命することができると言っているんですね、この日本語からちょっとどういうことかなというふうに思いましたが。ぜひ、そうした積極的な取り組みを日本としていち早く示していただきたいというふうに思います。

 そこで、ASEANセンターの条約改正の、人物交流というのをちょっと伺いたいんです。

 この人物交流が条約にあります。また、人物交流の前に「適当な場合には、」、アズ・アプロプリエートと書いてあるんですね。ちょっとこのアズ・アプロプリエートというのもよくわからないんですけれども。ですから、人物交流の前に何か前提もついているようなんですけれども、今までなかったこの人物交流、これは一体どういうことなのか、お答えをいただけますか、中身について。

○小野寺副大臣 近年の日・ASEAN首脳会議等におきまして、日・ASEAN間の相互理解促進の手段としての人物交流の重要性が確認をされております。また、東アジアにおきましては、さまざまな枠組みを活用しまして、環境・気候変動、青少年交流等の分野において具体的な協力が進展しつつあります。

 そのような状況を踏まえまして、我が国とASEAN各国との間でセンターの活動目的に人物交流を加えることで一致し、今回の改正に反映されました。

 どのような活動かといいますと、東アジアにおいては、さまざまな枠組みを活用し、環境・気候変動、青少年交流等の分野において具体的な協力が進展しつつあることを踏まえまして、センターとしては、そのような地域協力の進展も念頭に、センターの活動目的である我が国とASEAN諸国との貿易、観光、投資の促進に資する分野を中心に、日・ASEAN間の相互理解促進の手段として人物交流の促進の具体的な方策について検討を行っているものと承知しております。

 我が国も、センターの加盟国として鋭意検討に努めてまいりたい、そう思っております。

武正委員 第三条の五、六、七の人物交流にはすべて、「適当な場合には、人物交流に関する調査及び研究を行う」「適当な場合には、人物交流に関する情報並びにセンターによる調査及び研究の成果を提供すること。」そして「適当な場合には、人物交流に関する技術協力を促進すること。」、英文ではアズ・アプロプリエートというのがついているんですが、その理由は。逐条の話ですけれども、もしわかればということですが。

○小野寺副大臣 まだこれからどのような具体的なアプローチあるいは先方からの提案があるかわかりませんので、現在のところそういう状況でさせていただいております。

武正委員 ということですかね。

 それで、お手元の資料の四ページ目は、日本語研修費用についてということで、昨年承認をしたフィリピンとの経済連携協定もありましたので、既に昨年度から経済産業省さんが予算化をした日本語研修の予算額十六億七千万円、五百人分、そして今年度はフィリピンに加えてインドネシアということで、経産省が十七億円、五百十六人分、外務省さんが六十人分、一・六億円の予算が立てられたという資料でございます。

 また、後で追加した二枚組は、これは厚生労働省さんからいただいた社団法人国際厚生事業団の資料ということで、インドネシア人看護師候補者、介護福祉士候補者の受け入れに関する手数料ということで、それを受け入れる特養とか老健とか、そうしたところが受け入れ機関として幾ら負担をするのかという資料を配らせていただきました。

 そこで伺いたいんですけれども、この人物交流に日本語の教育あるいは日本語研修というものが含まれるのかどうか、あるいは含まれる可能性があるのかどうか、あるいは検討されているのかどうか、お答えをいただきたいと思います。

○小野寺副大臣 そのような日本語の研修等のことも想定はされますが、まだ具体的には決まっておりません。

武正委員 それは大体幾らぐらいなのかというのは、割ってみますと、経産省の分で割りますと、一人当たり三百二十九万円、外務省さんですと二百六十六万円。一日当たりにすると、経産省が一万八千円で外務省が一万五千円ということで、上のAOTS、財団法人海外技術者研修協会という経産省の所管する財団法人での日本語等研修費用と比べていただきますと、企業を相手にするところに比べるとやはり経費は安いということになるんでしょうか。今、この海外技術者研修協会というのがありますので、フィリピンについてはここで受け入れるということで去年も予算化をされている。ことしについても、経産省はそのつもりでインドネシアからの受け入れも予算化をしている、外務省もそうであります。

 ただ、日本ASEANセンターがもし日本語研修を受け入れるのであれば、私は、海外技術者研修協会なる財団法人でなければ日本語研修ができないのかなというところもやはり精査がもっと必要なのかなと思っております。半年間の日本語研修、その後三年、四年看護師、介護士さんはそれぞれ現場で働いて、その間もそれぞれ受け入れの場所で日本語のいろいろな研修もやって、そして日本人と同じように看護師、介護士の試験を日本語で受ける、こういう枠組みでありますが、果たして財団法人海外技術者研修協会でなければだめなのかどうか。

 まだASEANセンターについては検討中ということでありますが、ASEANセンターでなければ、今のままですと、この海外技術者研修協会で日本語の研修を受けるということにインドネシアの方々はなろうかと思うんですが、あるいはほかでも大丈夫なのかどうか、外務省さん、おわかりになればお答えいただきたいと思います。

○小野寺副大臣 今後の検討課題だと思います。まだ具体的に決まっておりません。

武正委員 この財団法人海外技術者研修協会以外でも、半年間、日本語の研修を受け入れることは可能であるということでよろしいですか。あるいは、それは必ずこの財団法人か、あるいは国がかかわるような施設でなければだめなのか。

○小野寺副大臣 現在検討中ですし、可能性としてあり得る場合もありますが、やはり具体的に検討しながら決めて、細目を詰めていくことが一番重要かと思っております。

武正委員 日本にとって外国人の研修生の受け入れというのは、もう既に五省庁所管のJITCOの方もありますし、いろいろと実績はあるのかもしれませんが、さらに今度は介護士、看護師、EPAということでの本格的な受け入れがフィリピンそして今度インドネシアということで始まるわけでありまして、その前提にしている日本語研修のプログラムをどこが担当するのかということで、それについて、例えばこの額なども、先ほど触れたように、国からの予算が十七億、一・六億ということで立てられております。

 これに加えて、もう一つの厚生労働省のペーパーによりますと、例えば日本語研修機関への支払いということで、受け入れる例えば特養なり老健施設は、一枚目の一番下に書いてあるように、一名当たり三十六万円を日本語研修機関へ支払うことになっております。また、二枚目、注の四を見ていただきますと、日本語能力試験二級程度の能力を有する者は六カ月の日本語研修が免除され、入国した際に、JICWELSが手配する研修会場において一週間程度研修を受けなきゃいけない、一人当たり約二十七万円をお支払いいただきますということで、その受け入れについては、もう既にこのような額の決定もホームページでされているわけであります。

 こうした日本語研修機関にも受け入れ先のそれぞれの団体は一名当たり三十六万あるいは二十七万という額も払っていく、なおかつ、国から多くの補助金が、十七億、一・六億ということで出ていく、半年間で一人当たり三百万ぐらい国も補助をするという日本語研修が本当に実を上げないと、その後三年、四年せっかく現場で働いても、日本語の試験を日本人と同じように受けたときにそれがクリアできなかったら大変なことになるだろう、こういう話は既にEPAのときにも出ておりますので、やはり受け入れる場所の選定というのは大変大事だというふうに思うわけであります。

 財団法人海外技術者研修協会については、私もまたさらに、どういう中身を日本語研修でやっておられるのか、経産省の方もお見えいただいて話を聞きたいというふうに思っております。

 ただ、先ほどの同僚委員のやりとりを聞いていても、ASEANセンターで日本語研修のプログラムをよもややっていくというのは、これまでのセンターの運営の状況とか、あるいはこの後触れるスタッフの構成とか、あるいはまた、先ほど大臣はいらっしゃいませんでしたけれども、私もいただいておりますが、勘定元帳という二枚紙とあとは領収書の束というか、ただ打ち込まれた資料しかないというような、そうした会計の状況なども踏まえると、このセンターで日本語研修をやっていくというのはちょっと無理があるんじゃないかなというふうに思うんです。今検討中というお話でしたけれども、この点、外務省さんとしていかがでしょうか。

○小野寺副大臣 ASEANセンターは、過去、さまざまな業務にも携わっております。今回の日本語の研修については現在検討中でありますので、済みませんが、まだ何も決まっている状況ではありません。

武正委員 次に、スタッフのことに移らせていただきますが、資料の五ページをごらんください。三十七名の内訳ということで、外務省さん、さっきから事務局長、事務局長と言いますが、事務総長ということでよろしいでしょうか。

○小野寺副大臣 事務総長という呼び名を使っております。

武正委員 ASEANも事務総長だから、ちょっとかぶるということなんでしょうが、この事務総長さんがタイの大使を経験された方ということでいきますと、このスタッフの事務局体制からいうと、外務省が二名、経産省が二名、国交省が一名。人件費については、総勘定元帳から、平成十八年度二億七千二百八十三万二千円、そのうち事務総長さんの給与が、先ほど副大臣の御答弁では二千八十九万円ということで、一割弱ということになろうかというふうに思うわけであります。

 このスタッフの構成を見ると、先ほど触れたように、五名の方がそうした省庁から来られているわけでありまして、ASEANの貿易投資観光促進センターの役割が果たしてこういうスタッフ構成で本当に力を発揮できるのかなというふうに思うわけであります。もちろん、そうした省庁から定期的に人が順繰り順繰りというふうにかわっていくとすれば、当然、指摘されるような問題点、それからあとは、今度の条約の改正で、ASEANセンターの役割が本当に双方にとって有益なものになり得るのかということだというふうに思います。

 常設展示場の展示についても、二〇〇八年度につきましては、五月から七月にヘルス・アンド・ウエルネス、十月から十二月が食品、一月から三月がギフト、ファッション、アクセサリーということで、二カ月ずつ三回ということで常設展示を行っています。予算の関係でそれ以上はなかなか難しいというようなお話でありましたが、どういう方々が担当職員になっているのかというのもちょっと定かではありません。

 例えば、貿易、投資それから観光ということだとなかなか難しいのかもしれませんけれども、NGOなどの活動にも精通した人とか、NGOのそうした活動をしている人とか、あるいはそれぞれまた民間の企業の出身の方も、貿易部長代理の方は、前職は外国為替取引の会社に勤務をしていたというようなことも聞いておりますが、そうしたスタッフ体制もやはり工夫があっていいんじゃないのかなというふうに思います。

 もし中央省庁のいすと化すようなことがあったらやはりそれは改める必要と、あわせて、事務総長については公募するんだということも先ほど副大臣からも御回答いただいたというふうに思いますが、広くスタッフを募集する、集める、そしてASEANセンターがより力を発揮できるような体制づくり、中央省庁との関係、以上、お答えをいただけますでしょうか。

○小野寺副大臣 まず、事務総長につきましては、広く公募をさせていただき、その中の経験としましては、民間企業あるいは国際機関、NGO等の業務に関連した方々にぜひなっていただきたい、そういうような制限が必要かと思っております。いわゆる天下り的なとらえ方をされないような、日本としてはそのような方を事務総長候補者として推薦したい、そういうふうに思っております。

 また、職員につきましても、現在、どうしても各省庁の人数が多いという御指摘もございます。できるだけ民間の経験者の方がより多く比率を占めるように努力していきたい、そう思っております。

武正委員 以上で終わります。ありがとうございました。

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