2009/03/25
【衆院外務委 議事録】 尖閣諸島への課税調査について

武正委員 おはようございます。民主党の武正公一でございます。

 それでは、質疑を行わせていただきます。

 お手元の方に資料を配付させていただいておりまして、昨年の五月十六日、当委員会でも行いました、尖閣諸島に対する政府としての対応ということで、再度、その後の経過も含めて、関係省庁、それぞれ政治家の皆さん、お運びをいただいておりまして、ありがとうございます。

 これはもともと、お手元に資料がございますが、当外務委員会が平成十八年一月に石垣市長からお手元のような要請を受けたのがきっかけでございました。同年の四月二十八日に、やはり、当時麻生外相にこの委員会でこの問題を聞きまして、総務大臣の経験もある麻生外相からは、政府の中同士の調整ということで、検討が必要であるというような御趣旨の答弁をいただいておりまして、その後、こうした問題について昨年取り上げたところでございます。

 そこでまず、総務省さん、お見えいただいておりますので。昨年この席で政務官から、外務大臣が政府間の取り組みが必要というふうに当時麻生現総理がお答えになられたんですが、昨年の段階では、総務省としてはまだ、特に内閣官房でしょうか、そうした協議にあずかっていないということなんですが、その後、そうした協議があったのかどうか、伺いたいと思います。

○坂本大臣政務官 地方税との関係について申し上げますと、同法におきましては、固定資産税の課税について、固定資産税の現況を実地調査するというような旨の規定があるところでありますけれども、固定資産税の課税に当たって地方税法に基づき実地調査を行うことは、同法にのっとった行為であると考えております。

 ただ、その後、いろいろな変更、変化、ございませんので、前回先生が質問された後の変更はあっておりません。

武正委員 資料で一番後ろから二枚目に、今政務官が言われたように、固定資産の実地調査ということで、地方税法四百八条で、「市町村長は、」「固定資産の状況を毎年少くとも一回実地に調査させなければならない。」、こういう規定があるわけでして、石垣市の市域にある尖閣諸島に石垣市長とすれば現地に上陸をして調査をしたい、こういう要請を平成十八年、外務委員会として、口頭でありましたが、直接石垣市長から受けたことがこの発端ということでございます。

 そこで、内閣官房副長官は前回のときには大野官房副長官でありまして、大野さんの方からは、上陸については政府の方針が示されているわけなんですが、このことを踏まえながら、改めて対応を検討するということになろうと思いますというふうに、昨年五月十六日、御答弁いただいたわけです。

 今、総務省とすれば、その後、協議がないんだというお話ですが、政府内で改めて対応を検討するというふうに当時官房副長官は述べておるんですが、この間、そうした検討はされたんでしょうか。

○松本内閣官房副長官 尖閣諸島四島は、もともと私有地でありまして、平成九年四月、当該四島の所有者から、国の機関を除き上陸等を認めない、また、第三者による権利侵害行為に対して厳重な対処を求める旨の要請がなされているところでございます。

 また、平成十四年四月には、政府が尖閣諸島の平穏かつ安定的な維持管理を図ることを目的として、尖閣諸島三島について当該所有者から賃借を開始したところでございますが、この所有者の意向を踏まえ、かつ、賃借の目的に照らしまして、原則として何人も尖閣諸島への上陸を認めないとの方針をとってきているところでございます。

 したがいまして、上陸を認めるかどうかについては、土地所有者の意向、政府の賃借目的などを十分に踏まえて検討していく必要があると考えております。

 固定資産税課税のための現地調査についても、このような考えを踏まえまして、関係省庁とも連携して対応を検討していくことになると思います。

武正委員 去年五月十六日、官房副長官が、対応を検討するということになろうと思いますと言われたんですが、今もまた同じ答えということは、対応を検討するということであっても、他省庁との協議には入っていないということでしょうか。

○松本内閣官房副長官 現在まで、固定資産税課税のための尖閣諸島への上陸について、具体的な要望がなされていないというようなところから、仮に固定資産税課税のための尖閣諸島への上陸についての要望が出された場合には、改めて関係省庁とも連携して対応を検討させていただきたいと考えております。

武正委員 総務省にお聞きするんですが、固定資産税の評価については、ちょうど三月末が評価がえの締め切り、しかも、それは三年に一回の、ちょうど今佳境に入っているということでよろしいでしょうか。

○坂本大臣政務官 今そういう状況であると認識しております。

 今官房副長官が言われましたように、そして、その後、具体的に要請がもし出されるならば、その段階で、改めて各省庁と協議をしながら対応策を考えてまいりたいと思っております。

武正委員 資料三ページを見ていただくとおわかりなんですが、石垣市議会の議長から、内閣官房副長官補室、当時の内閣事務官江口さんあて、平成十八年六月二日の「尖閣諸島上陸許可の再要請について」という文書が出されておりまして、再度ということで、平成十七年八月十一日付でも出しているということであります。中身は、四ページにありますように、「石垣市長も「尖閣諸島は石垣市の行政区域であり、上陸して視察する責任がある」と明確に上陸視察の姿勢を示しております。行政区の首長が尖閣諸島に上陸し、行政区域として明確な姿勢を示すことは大きな前進であり、」云々ということであります。

 私は、あるいは外務委員会の委員は、特に固定資産税の評価がえという、ちょうど三年前だったんですね、それは直接口頭で要請を受けていますが、この文書にあるように、もう既にこうした文書も出されておりますし、もっと明確な文書が必要だということであれば、そういうような意思もあるということも私も確認をしておりますが、この問題はもう三年前から取り組んでおりますので、今もって関係省庁内の協議に入っていないというのは、やはり政府としていかがなものかと改めて指摘をせざるを得ないわけであります。

 そこで、国交省さん、おいでなんですけれども、資料五ページにありますが、魚釣島の灯台についてであります。

 これも、昨年五月十六日、この席で、平成十八年十月二十七日と十一月八日に国交省の職員が上陸をしていること、また昨年四月にも上陸したことを言っておられますが、このことの確認とその目的、また、年に一回ぐらい上陸されているとすれば、平成十九年度も上陸されたのかどうか、お答えをいただきたいと思います。

○岡田大臣政務官 御指摘の魚釣島灯台に関してでありますが、平成十七年に三回、これは、かつて私有であった灯台の補修作業等で、三回海上保安庁の関係者が上陸をしております。その後は、平成十八年六月二十二日、平成十九年七月二十三日、そして平成二十年四月十一日と、ほぼ年に一回上陸して維持補修の作業を行っているところでございます。

武正委員 関係省庁というか政府の機関もこうして上陸をしているわけですので、私はやはり、当該自治体が固定資産税の評価、地方税法四百八条という法律を守る、また、行政機関の長として、その市域の管理等、そうした責任を有しているということで、上陸を認めていくべきであろうというふうに思うんです。

 官房副長官、再度、こうした国交省さんの事例もあるわけなので、また要請もこうした形で文書としてのその趣旨はもう明確でありますので、もちろんそうした再度の文書の要請もまた出るとして、さらにこれは各関係省庁との協議を進めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○松本内閣官房副長官 総務省の見解は、一般論として、地方税法に基づき、固定資産税課税のための現地調査を行うことにつき述べたものと理解をしております。尖閣諸島への上陸という文脈におきましては、土地所有者の意向、政府の賃借目的などを十分に踏まえて検討していく必要があるというのが政府全体の方針であります。

 仮に、固定資産税課税のための尖閣諸島への上陸について要望が出された場合には、上陸についての現在の政府の方針を踏まえつつ、改めて関係省庁とも連携して対応を検討することとなります。

武正委員 外務大臣、二月二十八日の日中外相会談でもこの尖閣諸島の問題が取り上げられたというふうに外務省のホームページで開示をされております。中国側からの提起を受け、説明があり、日中間の全般に影を差すことがないよう努力することで一致をしたということでありますが、私はやはり、日本固有の領土である、昭和十七年まで缶詰工場がちゃんと経営をしていたところでありますので、この固有の領土について、当該自治体の長が上陸をしたい、これは至極当然のことだというふうに思うんですね。

 ちょうど三年前、当時の麻生外相も、政府内の検討ということも言っておられるんですが、今回、日中外相会談でもこの尖閣諸島について取り上げられたということなんですけれども、まず、地元市長のそうした要望、これについて、外相としてどのようにお受け取りになられますでしょうか。

○中曽根国務大臣 先ほどから総務省また内閣官房で御答弁をいたしておりますとおり、現時点におきましては、上陸につきまして具体的な要望は出されていない、そういうふうに承知もいたしておりますし、そういう要望が出された場合には、御答弁がありましたけれども、関係省庁と連携をしながら対応を検討するということになると思っております。

武正委員 それでは、それぞれ省庁の皆さん、ありがとうございました。お引き取りください。

 今の点に関して、もう一点。外務大臣、具体的に外相会談で中国側からどういう提起があって、どういう説明があったのか。ホームページからですとよくわかりませんので、もう少しつまびらかにしていただければと思っております。

○中曽根国務大臣 委員もホームページをごらんになられておりますので、もう御存じのことと思いますけれども、このことにつきましては、中国側からの提起を受けたわけでございますが、私からは、我が国の原則的な立場についての明確な説明を行ったところでございます。

武正委員 どういう提起があったのかということをもう少しお答えいただければと思うんですが。二月の二十七日ですか、中国の報道官が固有の領土であるというようなことの発言があったちょうど翌日でありますので、その趣旨で発言があったのかということをお聞きしたいと思います。

○中曽根国務大臣 これは外交上のやりとりということになりますので、詳しいことはちょっと申し上げるのは差し控えさせていただきたい、そういうふうに存じます。

武正委員 前日に報道官から中国固有の領土であるという発言があった翌日ですから、多分その趣旨の発言があったのではないかと思うんですけれども、我が国固有の領土でありますので、その固有の領土に対して、法律で認められたしかるべき対応を政府として粛々と進めていくことを、外務省としてもしっかりと政府の一員として取り組んでいただきたいということをお願いしておきます。

 それでは、次に、外交史料館の情報公開及びこの国会に提出されております公文書等管理法案への対応について伺いたいと思います。

 手元の方に資料を配っておりますのは、外交史料館の閲覧数でありまして、現状どういうふうになっているのか、また外交史料館の今の体制、これを資料として配らせていただきました。

 六ページをごらんいただきますと、外務省外交史料館利用状況というのがございます。外務大臣はもう、外務大臣になられて外交史料館の方は行かれておられますでしょうか。

○中曽根国務大臣 大変残念ながら、まだ訪問というか行っておりません。

武正委員 ぜひ行っていただきたいというふうに思います。

 そこで、きょうは内閣府政務官もお見えなんですが、今国会に提出されておりますこの法案でありますが、この法案で「国立公文書館等」というふうにされておりますが、この「等」には外交史料館が含まれるということでよろしいでしょうか。

○並木大臣政務官 先生も御承知のとおり、そうした「等」という施設の概念を設けているわけですけれども、現時点においては、外交史料館に関しましては、国立公文書館に類する機能を有する施設として認められれば、これは施行令で認めるということになりますので、その法案が、規定が適用される、そういうことになりますけれども、その時点の違いですけれども、そういう方向になるかと思います。

武正委員 法案もまだこれから審議に付されるということでありますので、まだこれからということも、前提があったわけですけれども、国立公文書館等ということで、この外交史料館が含まれるという方向だということであります。

 今回の公文書等管理法案の趣旨として、国立公文書館等が特にそうした政府の文書に対してより強い働きかけができるようになるという法律の趣旨だというふうに理解するんですけれども、その法律の趣旨でどのような点が強化されるのか、一部御紹介いただければと思います。

○並木大臣政務官 当然のことながら、移管を受けた文書の保存、また目録作成とか、あるいは利用者の利用請求への対応、展示その他の方法による利用提供とか、こうしたことが法文において明確になっていく。

 そして、保存、利用状況について、もともと公文書館ができるときに、外交史料館とか宮内庁の書陵部とかあったわけですけれども、そういったものが今法案によって、内閣総理大臣への報告などの事務を行う、それが一つにまとめられていくというか、そういう方向が強化されるかというふうに思います。

武正委員 文書の保管、あるいは移管、廃棄、これについてより積極的に国立公文書館等が関与するという法案の趣旨というふうに理解をいたしました。

 そこで、外務大臣、お手元をごらんいただきますと、六ページなんですけれども、外務省外交史料館利用状況ということで、閲覧者数は若干減っておりますけれども、照会件数、それから展示室見学者数、とりわけインターネットの利用件数というものがふえている。これは、昨今のそうしたIT化の状況が背景にあるということであります。

 ただ、一番最後の資料を見ていただきますと、外交史料館の体制ということでいきますと、総勢二十六名、閲覧室は七名ということでありまして、これからいよいよ機能強化を求められる外交史料館の体制として、果たしてこれで十分なんだろうかということをぜひお伺いしたいというふうに思います。

 私とすれば、やはり今回のこの法案の提出もこれあり。そしてまた、特に外交文書については、三十年ルールということで公開に取り組んでおられまして、お手元の資料では七ページに、昨年の第二十一回の公開、官房総務課外交記録審査室の公開のファイルの一ページ目のコピーを持ってまいりました。佐藤総理訪米関係ということで、一九六五年一月の外交文書が四十四年たって公開ということでありますので、三十年ルールからいえばやはり遅いのかなということもあります。

 やはりこういったことも外交史料館の機能強化が求められてくる理由の一つでもあるわけでありますが、外交史料館の機能強化といった点について御所見を伺いたいと思います。

○伊藤副大臣 外交史料館の機能強化は、まさに重要だと思います。

 私の立場でお答えするのもちょっと僣越ですけれども、ただ、国全体の財政事情、また外務省予算、人員の中で、委員御指摘のように、機能強化に対して最大限の努力をしてまいりたい、そのような考えでございます。

武正委員 そうしましたら、政務官、お引き取りいただいて結構でございます。ありがとうございました。

 ただ、外務大臣、私も史料館、飯倉公館の隣ですから、飯倉公館にはよく行かれると思うんですが、改めて行ってまいりまして、お話を聞いてまいりますと、今、外務省の文書管理規則の第十七条、十八条では、例えば十七条では、文書管理責任者、これは外務省の各課がそれぞれ責任者になっているわけですが、行政文書につき措置を講ずることができるとしているわけですね、行政文書ファイルのうち保存期間が満了したものについて。一つが、保存期間を五年以下の必要な期間延長すること。それから、歴史的文書として外交史料館に移管すること。そして、廃棄することということであります。

 十八条では、そうした文書管理責任者は、今言ったように、延長、移管、廃棄について、その適否について総務課長と協議しなければならないということがありまして、実際、外交史料館も移管に関していろいろ相談にあずかっているようであります。

 聞くところでは、年間一万ほどそうした案件がある中で、廃棄の文書が二千ぐらい提案されてくる、ただやはり、外交史料館がそれを見て、いや、これは廃棄しちゃだめですよというものが一割ぐらいあるんだ、こういったことを外交史料館あるいは外務省の方から聞いたんですが、副大臣はこの点について把握されていますでしょうか。

○伊藤副大臣 細かい数字については必ずしも承知しているわけではございませんけれども、今議員御指摘のとおり、外交史料館を外交記録公開の審査においてどういうふうに活用しているかということは、協議している、そのことについては承知しております。

 今御指摘のとおり、外交記録公開の審査においては、これまでも担当の部局が、外交史の史料館と緊密に協議していて、その上で外交史料として同館に移管すべき文書の判断等を行ってきております。

 外交史料館においては、外交文書の整理、編集に当たって、外部の有識者から編さん委員としての助言等も得ておりまして、今後、これらの委員等の意見も参考にしつつ、適切な外交記録公開に努めてまいりたいというふうに考えております。

武正委員 ただ、こうした外交史料館の活用が、いわゆる三十年を経過した、先ほどの資料の七ページにありますような佐藤総理訪米等のこういった歴史的文書、三十年経過したものを公開するか否か、これの相談には外交史料館はあずかっていないというふうに聞いたんですが、この点は、副大臣、承知されていますでしょうか。

○伊藤副大臣 ちょっと繰り返しの答弁になると思いますけれども、これまでも担当部局が、外交史料館と緊密に協議しつつ、外交史料として同館に移管すべき文書の判断等を行っていると聞いております。

 それからまた、外交史料館においては、外交文書の整理、編集に当たって、外部の有識者から編さん委員としての助言を得つつ、こういった意見を参考に、適切な外交記録の公開に努めていく、そしてまた努めてまいりたいというふうな考えでございます。

武正委員 私が聞くと、それぞれの文書の保存期間が過ぎて、さっき言った文書管理規則の十七条で、五年以内でその文書を各課が、各課の文書ですね、あれは何か外務省の地下に書庫があるんですか、そこに保存しているんだそうですが、確かに手狭ですから、ある程度、まあ多分、五年たったら、大事な文書は、五年以下であれば延長して保管するか、外交史料館に移すか、廃棄するか、それを十七条で決めているわけです。そういうような相談については外交史料館はあずかっているそうなんです。年間一万案件があって、二千廃棄するよと言われたときに、ちょっと待てと、それで一割の二百は廃棄させないでとどめている。それはやはりプロだから、プロの目から見た適切なアドバイスができると思うんですよ。

 問題は、三十年ルールで、この七ページにあるように、佐藤総理訪米、これも、この中で文書として公開されているものだけではない、非公開のものもあるわけなんです。そういった相談に外交史料館はあずかっていないということを私が聞いたものですから、やはりプロの外交史料館をもっともっと活用すべきではないのか。まして、先ほど内閣府の政務官が言ったように、今度、外交史料館がもっと積極的に外交文書の保管とか管理とかあるいはそういった公開についてあずかれるようになるわけですから、法律として。というふうに思うんですが。

 外務大臣、どうでしょうか、このやりとりを聞いていて。外交史料館というプロ集団、そうはいっても、閲覧の担当者はわずか七名しかいないんですけれども、もっともっとこれを活用する、もっと積極的にですね。そして、国民の皆さんに外交文書というものが、三十年たてば、ある面、一世代クリアしているわけですから、私はやはり原則公開ということでもっといくべきだという意見も持っておるんですけれども、こうした外交文書の公開に関する御所見も、あわせて伺いたいと思います。

○中曽根国務大臣 武正委員におかれましては、先週ですか、みずから外交史料館に訪問された、そういうふうに聞いておりますし、私まだ訪問したことがございませんので、委員のお勧めもありましたので、できるだけ早く行ってみたいとは思っております。また、外交史料の保存の公開に対する御支援を引き続いてお願いしたいと思います。

 この制度につきましては、もう委員が一番御承知のとおりでありますけれども、こういうふうに順次一般に公開しているわけでありまして、膨大な数の史料というものを公開しているわけであります。

 私どもといたしましては、開示につきましては適切に対応していきたいと思っておりますが、その中におきまして、史料館の中でのいろいろな、例えば整理とか編集とか、そういうものにおきまして、先ほども御答弁させていただいておりますけれども、外部の有識者の方々にも参加をしていただいて、助言をいただきながら行っておりますので、今後も、そういう委員の御意見も伺いながら、外交記録の適切な公開というものに努めていきたい、そういうふうには思っております。

武正委員 私は、やはり外交は国民の皆さんが広く関心を持ってもらいたいと思っていますので、前回も、外務省のパブコメが著しく少ないということも苦言を呈したわけであります。三十年たてば、利害関係者も、一つの、ワン世代過ぎたということもありますので、日本の外交を広く開示して国民の目に、その外交についての評価をもらえるようにしていくべきであるので、私は積極的な取り組みが必要だというふうに思います。

 最後に、中国空母保有発言ということで伺いたいんです。

 去る三月二十日、二十一日、浜田防衛大臣の訪中で、浜田大臣から空母保有に関する考え方をただしたと。中国の国防部長からは、空母については、永遠に空母を持たないわけにはいかないが、空母を持つためにはいろいろな要素を考慮しなければならない旨発言と。ただ、これに至る間、中国の海軍の関係者から、全人代等で、こうした国産の空母保有について真剣に考慮という発言が相次いでいるわけなんです。

 私は、やはり、北東アジアの安定という点から、この中国の空母保有意図なりの発言がこれだけ出てくるということは非常に懸念を持つわけなんですが、この点について外相はどのように思っておられるのか。

 また、二月二十八日の日中外相会談で、空母とは言っておりませんけれども、懸念を率直に述べたということが書いてありますが、どのようなことを述べられたのか、空母についても言及されたのか、お答えをいただければと思います。

○中曽根国務大臣 まず、委員の御質問にお答えする前に、けさほどの中山委員の御質問について、私自身、両岸情勢に関してお答えする際に、一国二制度につきまして言及いたしましたけれども、これはあくまでも、同制度が、現在、香港及びマカオで実施されているとの認識のもとでお答えしたものでございまして、若干誤解を招く表現がありましたので、改めて明確にさせていただきたいと思います。

 中国の空母保有のことに関してでございますけれども、今お話ありましたように、先般、浜田防衛大臣が訪中いたしました際に、梁光烈中国国防部長と会談をされたわけでありますが、梁部長が、中国の空母保有に関しまして、永遠に持たないわけにはいかないが、空母を持つためにはいろいろな要素を考慮しなければならない旨の発言があった、そういうふうに私も承知をいたしております。

 この発言から、中国は空母保有について大変強い関心を持っているものと理解をいたしておりますが、我が国といたしましては、空母保有を含めた中国軍の近代化の動向につきましては、引き続き注視をしていく考えでございます。

 二月の二十八日に行いました日中外相会談におきましては、私から中国のヨウケツチ外交部長に対しまして、中国の軍事力の増強、それから近代化などへの動きへの懸念を率直に述べまして、抑制的な対応と透明性の向上を求めたところでございます。

 いずれにいたしましても、中国の国防政策や軍事力につきましては、透明性を一層高めていくということが望まれるわけでございます。

 我が国といたしましても、安全保障分野におけるさまざまな対話、交流というものをまた中国政府とも行いまして、今申し上げましたような点につきましては、引き続き中国に対して働きかけていく、そういう考えでございます。

武正委員 北東アジアでいわゆる軍拡競争が行われてしまうということは、やはり北東アジアの安定という点からゆゆしきことになるわけですので、こうした、最近、中国が空母を保有したいと、今、世界で空母保有国は八カ国でありますから、あえてここでなぜそうした空母を中国が持つのか、やはりそれは北東アジアの安定にとっては非常に問題であるということを強く外務省とすれば指摘していただきたいということをお願いして、質問にかえさせていただきます。

 どうもありがとうございました。