2006年5月23日
議論の集大成としてまとめあげた日本国教育基本法案
民主党は23日、日本国教育基本法案を衆議院に提出。党教育基本問題調査会会長の鳩山幹事長、同会会長代理の藤村修、同会副会長の達増拓也、同会事務局長代理の笠浩史、法案提出者の高井美穂各議員が法案提出を行うとともに、提出後には党本部において法案提出者のほか、同会顧問の松本剛明政策調査会長、同会顧問で党教育基本法に関する検討会座長でもある西岡武夫参議院議員、同会事務局長の鈴木寛参議院議員、法案提出者の武正公一・大串博志衆議院議員らが出席して会見を行った。
同法案は、3月29日の『次の内閣』において「教育基本問題調査会」再設置が了承され、4月20日に行われた同会第1回総会で「教育基本法に関する検討会」設置を確認後、同25日の検討会第1回会議を皮切りに多くの党国会議員の出席のもとでの集中討議を積み重ねるなど、検討に検討を重ねた結果としてまとめあげ、提出に至った。
鳩山幹事長は会見で、鈴木事務局議長の司会のもとで冒頭マイクを握り、法案の提出を報告。「改めて申しあげるまでもないが」と前置きしたうえで、国会会期が残り1カ月あまりとなった時点で、自民・公明両党の妥協の産物のような政府の教育基本法案が提出してきたとして、「教育基本法は憲法付属法であるだけに、憲法改正の議論をなさっている以上、そのなかでの教育の議論をしっかり行ったうえで、それに基づいて教育基本法をつくるべきだ」と指摘。政府・与党の取り組み姿勢を問題視した。
同時に、「しかし政府案が提出された以上、国民のみなさまにしっかりと教育基本法を通じて教育の議論を行っていただきたいと思った」とも語り、急遽、検討会を設置して党内議論を重ね、法案をとりまとめた経緯を説明した。
「あえて『日本国』という名称をつけた大変重い法案である」とも主張し、しばしば議論の的となった「国を愛する心」に関しては、「日本を愛する心を涵養し」という表現で、前文に盛り込んだことを改めて説明。「水がじわじわと土の中にしみこんでいくような形で、自然体で、押し付けではなく愛国心というものが国民のひとりひとりに養われて行くことが望ましいという思いを前文に盛り込んだ」と述べた。「前文は大変美しい、大変重要な理念が謳われている」とも語り、小沢一郎代表が提唱する「共に生き、互いに生かされるという共生の精神を醸成する」との一文も盛り込み、その重要性も重視したことを明らかにした。
さらには「学ぶ権利」を重視した姿勢を改めて示すとともに、「公明党さんへの思いで宗教教育のことが政府案ではあまり重要視されていないが」と分析したうえで、民主党は宗教的感性を涵養することは重要であり、生の意義、死の意味を受け付けていくことが大切との観点で政府案では極めてあいまいとなっている「宗教教育の重要性」も盛り込んだことを説明した。
鳩山幹事長はまた、「じっくりと時間をかけて国民的な議論を呼び起こして行くことが肝要」とも語り、法案提出を契機として国民的な議論を巻き起こし、できるだけ多くの方々の意見を聞くなかで、少なくとも1~2年かけてじっくりと議論すべきとの考えを示した。同時に、民主党案を提出したことで、今後の特別委員会審議はどう展開していくかとの問いに鳩山幹事長は、「教育の基本の議論であるだけに、国民のみなさんの参加の下で議論を進めていくべきだ」と重ねて主張。47都道府県で地方公聴会を開くなど、じっくりと審議していく必要があると述べるとともに、「あと1カ月というところで安易に上げていこうとの議論は禁物」と語り、残る会期で成立を急ぐ政府・与党の姿勢を大いに牽制した。
また、愛国心の表現をめぐって「強制」「評価」には繋がらないかとの問いには、「強制にはつながらない」と断言。その理由として、「水がしみこむように、日本のを思う心を養うとする『涵養』という言葉を用いたことで、強制は回避できる」と説明。また、政府案は条文に「愛国心」が入っているために目標とされ「強制につながる危険性」があるが、民主党案では前文に入っている理念であるために「強制につながる危険性」はないとの見方を示し、「押し付けになるなどの批判は当たらない」と明言した。
さらに「学ぶ権利の保障」を第2条に盛り込んだ理由を問われたのに対しては、西岡座長が応じ、「第2条に書いたことで、その重要性をご認識ください」と前置きしたうえで、従来は教える側に立った教育行政という認識が強かったが、民主党案では学ぶ立場に立った教育ということで第2条に盛り込んだことを明らかにした。
(民主党ホームページより)
民主党が23日に衆議院に提出した「日本国教育基本法案」、その説明資料は以下の通りです。
日本国教育基本法案(PDF) |