国会レポート3号

 

第150国会報告(上)
■所信表明でITは22回、農業は37文字!
この臨時国会は首相所信表明で、11000文字を超える中に「IT」と言う言葉が22回出てきたくらい「IT(情報通信)」への思い入れの強い国会で、それが、IT基本法と補正予算に現れています。しかし、それぞれ総花的、バラマキとの批判は否めません。ちなみに、「教育」は16回、「21世紀」が24回、「インターネット」が13回。特に、農業については、「農林水産業と農産漁村の新たな発展についても、引き続き力を注いでまいります。」の37文字という通り一遍のお粗末さは、これまで農村部の支持を基盤としてきた自民党総裁として、これまでの農政はなんだったのか、これからの農政はどうなるのか、総括と展望が示されない現状を表したものといわざるを得ません。

■非拘束名簿方式の公職選挙法改正案が強行採決(委員会)!
久世前金融監督庁長官への大京からの資金提供と自民党への党費立替問題を端に、参議院比例代表の名簿順位を金で買うとの批判と、下表のように、先の衆議院選挙での個人得票と政党得票の差(自民党約800万票)を埋める方式として、急遽浮上したのが非拘束名簿方式の公職選挙法改正案であります。ご存知のように野党4等結束しての審議拒否の中委員会での強行採決を経て衆議院を通過しています。参議院の選挙制度とはいえ、審議に応じたあとも小選挙区制度(衆議院)の審議を参議院が行ったことに比べ、衆議院の審議時間が約10分の1しかないことも問題であります。

■健康保険法、医療法改正は問題の先送り!
70歳以上の高齢者は医療費の定率負担(1割)行うこと、看護婦1人を患者3人に対して配置、医療機関の広告規制緩和などの改正に対しては、医療の抜本改革が当初の2000年から2002年に先送りされたこと、当初案の急性期病床と慢性期病床の病床区分が一般病床にまとめられたこと、看護婦1人に患者2.5人にすべきこと、病床数のスリム化の視点や情報開示の視点が欠けていること等で反対の立場をとりました。

■少年法改正は様々な教訓を残した!
検察官送致を14歳以上に、16歳未満少年院にて刑を執行可能に、16歳以上の故意の犯罪により致死にいたったものは原則逆送、少年審判に検察官関与可能になどの改正に賛成しました。ただし、法務部会では、少年法の精神から、少年の保護育成を求める修正を求めてきましたが、与党は一切の修正に応じませんでした。審議時間が少ないことも重要法案だけに問題と感じました。

■鳥取県西部地震の現地に入った!
10月13日(金)地震発生後一週間の鳥取県日野町に入りました。民主党内で災害ボランティア制度づくりの為、神戸元気村・吉村副代表に案内をしてもらいました。神戸と異なるのは中山間地の高齢化率30%を越えること、また、初動体制の重要性と心のケアを再認識しました。

■あっせん行為利得等処罰法は「ザル」法!
国会議員、地方議員等が行政に働きかけ(あっせん)を行い、その見返りに報酬を得ることを禁止する法案に対しては、金庫番と言われる秘書が大方私設秘書であることから、これが抜けていること、またその「行為」を限定しすぎていることは「ザル法」との観点から反対しました。

■公共工事の入札及び契約の適正化促進法案は「一里塚」!
11月8日建設委員会で同法案への質疑に立ちました。中尾前建設大臣の収賄容疑を発端として、扇建設大臣の肝いりで提出された内閣法です。扇大臣自ら、「一里塚」であり「万全」ではないと認めましたが、修正で「談合」という文字を法案に入れることや付帯決議をつけることで全会派一致で賛成しました

■マンション適正管理法案
これまで、建設省を始め地方公共団体には、分譲マンション(約1000万人居住)、賃貸マンションに関する政策や窓口がなかったといってもよいほど対応が遅れていました。本法案では、マンション管理士制度の創設、マンション管理業の監督強化等が骨子。しかし、それぞれを(財)マンション管理センター、(社)高層住宅管理協会に一元化するとの説明には、諸団体、NPOとの連携で行うべきではないかと民主党建設部会で提案をし、建設委員会でも取り上げられました。しかし、3年後再検討の付帯決議がされたものの、ほぼ原案通り可決されました。

■厚生委員会(11月17日)で質問に立つ!
大きく3つの柱で津島厚生大臣、福島統括政務次官に尋ねました。
(1)必要病床数は埼玉のような患者流出県に配慮を!
(2)救急医療(厚生省)と救急救命士(自治省)の連携を!
(3)基本健康診査の受診率向上を!特に自営業者に働きかけを!
厚生委員会の領域は広い。2002年医療の抜本改革は1年で成案を得ること。年金・介護を加えた社会保障のビジョンをつくりたいと。

■平成12年度補正予算案が可決!
総額4兆7800億円の歳入のうち、国債が約2兆円、しかもその内の8割が5年債、2年債であることは市場で15年以上の国債の引き受けが困難になってきた証左であり、短期国債はいずれ借り換えが発生し借り換えの費用がかかること、平成11年度の決算剰余金(財政法6条)を約1兆400億円繰り入れたことは本来国債の償還に当てるべきものまで使い、そしてその支出には「IT」と名がつけば各省何でも認められるような「バラマキ」であることから反対を致しました。