国会レポート12号

日本の通商・産業政策の転換を!
中国・朱鎔基首相と2時間意見交換を行う
去る12月12日、中国・北京を訪れ、朱鎔基首相と2時間ほど会談する機会を得ました。中国がWTOに加盟した翌日であり、その前日には経済産業大臣、農水大臣 がセーフガードの本格発動を巡り、交渉に訪れたものの不調に終わった後のことです。 今回の両大臣の訪中は外務省との連携が取れていないと言われ、朱首相の「譲歩で きない」とのコメントを聞き、「足許を見透かされている」という印象を持ちました。 ただでさえ弱い日本の外交が今回の農産品の流入を巡り3省庁の連携が取れていな ければ、さらに弱くなるのは自明の理です。 首相、内閣のリーダーシップの強化と、それを可能とするには国会が立法府として 縦割り行政をしっかりとコントロールしなければなりません。そのためには、「族議 員」が「バッコ」する国会を、国民の皆さんの利益をまず第一に代弁する国会に変え なければなりません。

石油備蓄は日本政府90日、中国政府3日!
朱首相には私から石油公団の民営化に伴い、日本の石油備蓄基地の一部を中国の備蓄分として使用する提案を行いました。
(表2参照)

上位30社が日本の輸出額の半分!  
近年のわが国の貿易動向は、2000年の貿易額(輸出額と輸入額の総計)は92 兆円と米、独に続いて世界第3位であり、そのうち、輸出額が51兆6千億円、輸入 額も40兆9千億円となっています。(表1参照)
しかしながら、貿易黒字は10兆7千億円(前年比12.7%減)と2年連続で減 少しており、特に日中間における日本の対中貿易赤字は昨年過去最大の249億ドル (日本円で3兆2370億円)に達しており、日本の貿易黒字急減の大きな要因となって います。 これらは、日本企業自らの中国生産分や現地で開発した商品の輸入(開発輸入)に よる影響が大きいものと思われます。

このような状況を踏まえ、わが国としてもこれまでの貿易黒字の縮小に重きを置い た「輸入促進政策」から、国内外の企業がわが国との関連で自由に貿易活動を行うこ とを可能とする政策、すなわち、WTO(世界貿易機関)ルールに則り、貿易・投資 のバリアをなくすために政策転換させていきたいと考えています。そもそも海外の安 い人件費で安い製品を作り、日本に輸入するという通商産業政策から、海外の市場を 開拓するというように転換する必要があります。

見沼たんぼを都市近郊農業のモデルに!  
また、日本の農業政策についても、国民自給率を高めるという『食料安全保障』政 策とともに、競争力のある農業を実現するポイントは都市近郊の農業政策にあると考 えています。見沼田んぼをモデル地域として、花・植木・野菜の生産・流通の拠点に、 市民の皆さんとの交流拠点に、また「朝市」等、地域の生産物が地域で流通するように市場機能の充実にも取り組みます。

表1 製造業輸出額
上位企業リスト

(単位:兆円)
順位 企業名 輸出額
トヨタ自動車 4.1
本田技研工業 1.8
ソニー 1.6
日産自動車 1.6
松下電器産業 1.6
キャノン 1.3
東芝 1.2
三菱自動車工業 1.2
日立製作所 0.9
10 三菱重工業 0.8
「企業経営の分析 平成10年度」
国立国会図書館
経済産業調査室調べ
表2  日中の原油備蓄について
日本 中国
原油輸入量 533万バーレル/日 178万バーレル/日
民間備蓄義務量 70日分(約2000万kl) なし
消費量 553万バーレル/日 484万バーレル/日
資源エネルギー庁調べ 平成13年12月現在