国会レポート17号

 

1.郵政関連4法案(6月25日・7月4日)

小泉首相の公約である「郵政民営化」について「信書便法」「郵政公社化法」が提出されました。信書便法案では、信書の定義を盛り込み(DMは手紙とみなす)、民間事業者に課するユニバーサル・サービス(ポストの数等)も審議の過程で明らかになりました。審議前から「ヤマト運輸」は「総務大臣の許認可権が強すぎる」ことから「参入せず」と表明していたので、法律が施行されても参入業者がないと言われています。

一方の公社化法は、そもそも平成9年9月の「行政改革会議中間報告」では「郵便は国営で、郵便貯金、簡易保険は民間で」とされていたのが、なぜ年末の最終報告では「3事業一体で公社化」になったのかを問いました。というのは、今回の「郵政公社」は「独立行政法人」よりも「国会に対する説明責任」を果たさなくて良い点が問題であるし、「郵便貯金と簡易保険の計350兆円」を「公社が自主運用できるのか」という点での議論がほとんど委員会ではされなかったからです。首相の「郵政民営化」の持論が「矮小化され、骨抜きにされ」た議論になった理由は「首相と自民党郵政族議員との妥協」のゆえです。 

公社化法の与党案修正点 武正の指摘
全国にあまねく郵便局を配置 郵便局はハードでありユニバーサルサービスはソフトで論理矛盾
子会社への出資を認める ファミリー企業の例を見ても公社の「焼け太り」になりかねない
4年ごとに利益が出たら国に納める 前期の4年間の利益を上回らなければ納めなくて良いのは問題
法案は賛成多数で可決成立していますが、中途半端な公社化(自由な経営をしたいと総務大臣は答弁しながら、職員の身分は国家公務員)になっています。

2.官製談合防止法案(7月17日)

官製談合防止法案は、昨年11月に民主党案を提出しましたが、ようやく与党案が7月に出されました。両案審議となり、私も法案提出者としての趣旨説明を行い、答弁に立ちました。
両案に共通なのは、公務員が公共事業の入札価格を漏らすなど、談合への関与が認められた場合は

  ・公正取引委員会は発注者の長に改善措置を要求できる
  ・国や自治体に損害を与えた職員に対して損害賠償を請求できる

ですが与党案には民主党案の「談合の黙認」として「設計価格の97~8%で落札する」「定期的に決まった業者が落札する」「談合情報の通告がある」のようなケースを除いています。
また、談合の「調査」には与党案は「身内の職員」があたることになっていますが、民主党案は「長の責任」で行い、また、「会計検査院」を絡ませています。

結局、与党案が可決しましたが、付帯決議に民主党案の趣旨を入れることができました。また、何よりも与野党それぞれ議員立法を提出し、官僚の書いた答弁書を読まず、自らの言葉で答弁していたことは、「国会本来の在るべき姿」だと痛感しました。

(3)救急医療改革(民主党案)を総務、厚生労働両大臣に提出(7月4日)

県議会議員時代から、救急医療に取り組んできたため、平成12年11月17日に厚生委員会、平成13年3月2日に予算委員会第5分科会で早速質問に立ち、救急車内での「気管挿管(口から気管へ直接管を通して気道を確保する)」を行うべきことなど救急救命士の「特定医療3行為」の拡大を提起してきました。

昨年末、秋田県の救急救命士が6年にわたって「医師の指示を受けずに気管挿管を行ってきたこと」がわかり、にわかに法律に違反しているということで注目を集めたところ、党内医療問題ワーキングチーム救急医療担当主査として以下のような案をまとめました。

除細動(心臓への電気ショック)を早急に認める
医師の指示のもと気管挿管を行うことができる
輸液(血管に薬剤を投与する)は条件付き必要最小限の薬剤の投与を認める

加えて、搬送後の患者さんの容態が病院側から救急隊側に伝わるように相互の連携を求めたものを、7月4日厚生労働・総務両大臣に直接手渡しました。厚生労働省も検討会の議論が進んでいるようですので、その進捗状況を見ながら、法改正を視野に臨みます。