国会レポート2004年春号外

●武正vs小泉首相 代表質問で攻防
1月22日 衆議院本会議
「国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。武正公一君」
議場に河野洋平議長の呼び出し声が響きます。国会の花、代表質問。今回の小泉首相の施政方針演説に対しては、菅代表含めて民主党でたった3名のみの代表。たけまさは2期目で異例の大抜擢です。

首相の国会軽視を追及
「国会軽視もはなはだしい。まさに問答無用の態度であります」
質問の冒頭、前日にイラク問題の再質問を首相が避け続けたことを取り上げ、厳しく問いただしました。
昨年の予算委員会でも、国債発行30兆円枠という公約を守れなかったことに対して、「大したことではない」と開き直った小泉首相。国会や国民との約束をあまりに軽々しく扱う姿勢が目立ちます。
高速道路建設でも、民営化推進委員の答申を尊重すると言いながら、選挙が終われば結局残りの2000kmすべてをまるまる作ると態度を変えています。「国民をだますことにならないか」と追及しました。

就職率 数字のまやかし
今春は高卒予定者の内定率が50%を切り、大学生の内定率も73・5%と過去最悪となりました。
首相は「3年でサービス分野の雇用が200万人増えた」と答弁しましたが、実際に増えたのは155万人、減ったのは157万人、実は差し引きで2万人も減っています。
また政府発表のハローワークでの就職率は約30%ですが、これはハローワークに新規登録した人で計算しているからで、実際は約6%です。「首相の神奈川県や私の住む埼玉県は、さらにその半分の約3%台」「正直に国民に伝えなければ雇用市場の信頼は得られない」と直言しました。

年金 働き盛り世代を直撃
基礎年金の財源を税金でまかなう割合を2分の1へ引き上げるため、与党案は3兆5000億円に上る定率減税を廃止することを提案しています。しかしこれは働き盛り世代を直撃します。少子化が進んだため保険料が足りなくなったのに、さらに働き盛りの子育て家庭を苦しくする与党案にはビジョンが見えません。「国民が怒っているのは、納めた保険料がいいかげんに使われたことです。グリーンピアと住宅融資事業で計1兆3100億円の損失です。グリーンピア13施設のうち、地元自治体が買うのは2つで、あとは引き受けてもくれません。この損失の責任は誰がとるのでしょうか」と首相を問いただしました。
民主党案では、まずは無駄な特殊法人、公共事業をなくし、議員の定数、公務員人件費の一〇%削減などで歳出を見直すことで財源を捻出しようとしています。

●北朝鮮拉致問題
外務委員会 拉致等小委員会 他
衆議院外務委員会に「北朝鮮による拉致・核開発問題小委員会」が設置され、私は5名の幹事の一人として運営に当たっています。北朝鮮による拉致被害者家族会の横田さんご夫妻、蓮池透さんなどをお招きして3回にわたって開催いたしました。
外務省の藪中局長によると、昨年9月17日の日朝平壌宣言時に、「拉致被害者5名は一時帰国者である」との事前の調整はあった(約束ではない)とのことであり、北朝鮮とのボタンの掛け違いはここから生じているようです。
また、韓国から北朝鮮に拉致された李在根さんら3人の拉北者からは「日本からの拉致被害者は100人を超える」「北朝鮮に食糧支援、エネルギー支援をしても、金正日体制の強化につながるだけでやってはならない」などの証言が続きました。経済協力ありきの日朝平嬢宣言には問題があると認識します。

●国際協調あっての日米安保
2月26日 憲法調査会 他
イラク開戦からまる1年、小泉内閣は日米同盟に片寄りすぎたと考えます。憲法前文に国際協調の記載はありますが、日米同盟は触れられていません。国際協調は日米同盟の上位の概念であります。
残念ながら今年の外務省予算でも「国連等国際機関の機能強化と意思決定過程への積極的関与」が27%減と目を引く削減となっております。日本は国連改革に主体的役割を果たすべきで、軽視してはいけません。

●理念ある日本外交を!
拉致事件について日本の主張はいまいち迫力に欠けています。それは国内で日本は人権を守る国なのだという強いコンセンサスに欠けるからです。常日頃から国内外で人権擁護の発言が積み重なっていれば、いざ北朝鮮との協議という時にも、その言葉の重みが違います。また核廃絶についても同様です。日本の議員の中からも、核を持つべきといった発言が時々聞かれるなど、国内での核に対する意識のギャップがみられます。

私は唯一の被爆国である日本の国是として、核を断じて持たず、世界から廃絶していくべきだと考えます。昨年国連の核廃絶の軍縮会議に大使として参加した猪口邦子さんは、他国を説得する時に、日本が唯一の被爆国だということを拠所にして交渉したといいます。こうした国是をかかげ貫くことで、北朝鮮へ核廃絶への明確な、そして力強いメッセージを伝えられるのではないでしょうか。日本として守るべきものは何なのかをはっきりするため、憲法解釈の変更・憲法改正も含めて取り組んでいきます。

●卸売業泣かせの総額表示
2月26日 財務金融委員会
この4月からスーパーの値札は消費税も含めた総額で表示されるようになります。この総額表示を前に百貨店・スーパーなどの大手小売業者が、納入価格の引き下げなどを卸売業者に押し付ける動きがあります。 
私からは全日本漬物組合の指摘などを取り上げて、納入業者が1円以下の切り捨てなどで消費税の一部をかぶる問題点を指摘しました。こうした働きかけにより、3月19日には公正取引委員会が独占禁止法違反でホームセンターなど4社に行政指導をし、取締りが強化されました。また、納税者意識を高める観点からも、内税よりも外税の方が望ましいと考えます。

●日銀の独立性を!
3月23日 財務金融委員会
就任して1年の福井総裁への質疑を行いました。私からは、「3年前5兆円だった当座預金枠を35兆円に引き上げたのに、マネーサプライが増えない理由はドル買い資金に回っているからではないか」「外国為替特別会計は平成16年度末予定額で外貨預け金が28兆円、外貨証券が 103兆円となるが、ドル安と米財務省証券の暴落で差損を被るのではないか」など、あまりに米財務省証券に片寄った政府に、中央銀行として言うべきことを言っていないと問いただしました。政治の圧力で金利引き上げが遅れたバブル崩壊の教訓が生かされていません。日銀は中央銀行として政府に対してより独立性を強く持つべきです。