プレス民主「若年層へのアピール強化へ」武正公一衆議院議員に聞く

プレス民主 2015年5月15日351号

 選挙権年齢を18歳に引き下げる公職選挙法改正案が今国会で成立する見通しだ。それを若年層の投票率アップにどうつなげるのか。与野党9会派のプロジェクトチームの座長代理、党組織委員長でもある武正衆院議員に話を聞いた。

 民主党が長年主導してきた「18歳選挙権」は、世界の9割の国が導入しており、若年層の政治参加の促進を目的としたものです。今回、引き下げが実現する背景には昨年成立した国民投票法改正があります。その付則に、公選法の選挙権年齢や民法の成年年齢の18歳引き下げに関しても、「速やかに必要な法制上の措置を講ずる」とあるため、与野党は法改正のためのプロジェクトチームを発足させ、今年3月に民主、自民、維新、公明、次世代、生活の与野党6党で衆院に再提出しました(昨年は衆院解散で廃案に)。

■社会全体で政治 参加の促進を
 民主党は「市民が主役」ということで、特定の団体や大きな企業よりも有権者、市民一人ひとりを主役とする政治の実現を党是として掲げています。そうした立場から、低迷する若年層の投票率の改善に向け、インターン制度の活用や「民主党大学」の開催など、これまでも若い世代に対するアピール、アプローチを重視してきました。そこと符合する形で今回の18歳選挙権が実現すれば、さらに若い世代の政治参加が実現できるだろうと考えています。
 今後は、政治に関心を持ってもらえるよう高等学校はもとより小・中学校での学校教育や社会的な教育が大事です。あわせて国民の皆さん全体に政治に関心を持ってもらう機会を増やす必要もあるでしょう。これは教育基本法の改正の議論などでも民主党が特に強く主張してきました。
 民主党は、18歳選挙権を見据え、「主権者教育のあり方検討ワーキングチーム(座長・中川正春衆院議員)を4月に設置しました。この「主権者教育」は、民主党政権の2011年12月に総務省が取りまとめた「常時啓発事業のあり方研究会」の最終報告で初めて位置付けられたもので、今回の18歳選挙権を契機に、充実させるためより具体化していきたいと考えています。
 民主党は「子ども・子育てマニフェスト」をまとめましたが、これも「チルドレンファースト」を掲げ、子どものための政策を重視してきた党の姿勢の表れです。若年層の政治参加を促す、投票率を上げる意味でもこうした手法は、政治を自分の身近なものとして考えてもらえるツールになると思います。
 また政治は、中長期的な諸課題の解決よりも目の前の現実的な対応に追われがちですが、こうした現状に一石を投じる効果も期待しています。例えば、民主党政権ではこれ以上子どもたちの世代に借金を先送りしないためにと社会保障と税の一体改革に取り組みましたが、若年層の政治参加がこうした課題解決を後押しするのではないかと思います。

■インターンや イベントを拡充
 現在民主党の党員・サポーター23万人のうち18歳、19歳の割合は0・2%以下、400人弱、女性の割合は3割と、若者や女性の比率が低い現状にあります。組織委員長としては、今年度の募集に当たっては若い世代、女性の割合を増やすよう各都道府県連や総支部にお願いしているところです。私自身、これまでも学生のインターンを積極的に受け入れてきましたが、今後は党として高校生にも広く呼びかけたり、若年層の政治参加を促すイベントを各地で開催していきたいと思っています。
 高校での選挙運動や政治運動については、文部省が1969年に出した通知では、どちらかというと慎重、否定的でした。今度は18歳、高校3年生も有権者になりますから、この通知の見直しも必要になります。法案審議が始まるまでに各党の提出者間で意見をまとめ、文部科学省などともよく議論を詰めていきます。
 18歳選挙権に関連し、民法の成人年齢の引き下げも検討事項になっています。少年法の成人年齢引き下げについては、少年法を支える理念である保護主義の観点から反対の意見も上がっていますが、一方で選挙権年齢に合わせて民法の成人年齢も同様に引き下げるべきと言う声もあり、党として、国会として積極的に議論をしていきたいと思います。

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