レッズと浦和 純愛サッカー物語
 山岡 淳一郎 著
  論創社1998年 ISBN: 4-8460-0137-7 価格: 1,429円(税別)
華やかなJリーグの開幕前夜、「サッカーの街浦和にも、ぜひプロサッカーチームを」と立ち上がった人々がいた。政治家を志す者、地元の若手経営者、草の根でサッカーを支える人々・・・彼らが幾多の壁を乗り越え、三菱自動車サッカー部を見事誘致し、日本一の人気チームとして地元に着実に根づかせるまでの様々なドラマは、まさにサッカーへの熱情が織りなす夢物語だ。

目次
 序章 祝祭の夜に
 第1章 「プロサッカー」を地元に引っ張れ
 第2章 ホンダから三菱へ
 第3章 地域の論理と企業の論理
 第4章 レッズ特急・東へ西へ
 第5章 ボランティアからスチュワードへ
 終章 夢見る力・2002年

武正が屈託なく語り始めた。
「古河産業の川淵三郎さんという人に会ってきたよ。考え方が進んでる人だね。ホームタウン制の確立や企業スポーツからの脱却、スタジアムの問題などを話してくれた。今までのプロスポーツの概念を変える人だな。ところで、あの川淵さんってどんな人なんだ」
「えっ?おまえ、知らずに行ってたのか」
吉田は半ば呆れながら、川淵がかつて早稲田大学在学中に日本代表に選ばれ、古河電工入社後、東京五輪の代表選手として鳴らし、現役引退後は日本代表監督を務めたことを話した。川淵のプロ化構想の根本には、若い頃、ドイツで見たスポーツシューレ(学校)の環境のすばらしさへの憧れがあることもつけ加えた。
「プロ化を仕切ってる人だよ」
「そうか。川淵さんが言うにはさ、浦和にチームを呼ぶなら本田技研は可能性があるかもしれないって。狭山には四輪車の工場もあるしな。それで宮本征勝総監督を紹介してくれて、昨日、東京駅大丸の喫茶店で宮本さんにも会ってきた。宮本さんもサッカー選手だったんだよな」
「宮本さんにも会ったの?何も知らずに?」
吉田は武正の行動力に唖然とした。
<第1章 「プロサッカー」を地元に引っ張れ>より一部抜粋

「浦和にプロサッカーチームを」若き日の武正公一と友人である吉田浩が語り会う場面から、この浦和とレッズの純愛物語はスタートします。二人の熱情がやがて多くの人々をまきこみながら、街を、そしてチームをも動かして行きます。山岡淳一郎氏渾身のルポルタージュ、浦和レッズをご存知ない方にもぜひお読みいただきたい一冊です。
 
著作者紹介
山岡淳一郎(やまおかじゅんいちろう)

プロフィール
1959年愛媛県生まれ。ノンフィクション作家。人物ドキュメンタリー、企業ルポ、スポーツ・ノンフィクション、海外紀行など幅広い分野で旺盛に執筆。

山岡淳一郎氏の本
「マリオネット(文芸春秋)」
「幸せ年金ハワイ島(河出書房新社)」
「ボクサー回流(文芸春秋)」
「風と土のカルテ 色平哲郎の軌跡(まどか出版)」
ほか著書多数。

山岡淳一郎氏ホームページ  
http://www.landgarage.co.jp/yamaoka-page.htm