【建設委員会】 公共工事での官製談合
2000年11月08日
■武正委員
民主党・無所属クラブ、武正公一でございます。
本日は、委員長そしてまた建設委員各位におかれましては、質問の機会をいただき、心から感謝を申し上げます。また、先ほど来、扇建設大臣よりは本法案の思い入れをるる聞かせていただきまして、時宜を得た法律案であるということで敬意を表するとともに、以下、幾つかの点についてお伺いをさせていただきます。
まずは第一に、発注者責任の明記についてお伺いをさせていただきます。
もう既に同僚委員から御指摘がありましたが、まず第一に、官製談合、発注担当者が落札予定価格を教えている等、公共工事でこうした官製談合が行われている、行われていたという認識はお持ちでありましょうか。これをまず第一にお聞かせいただきたいと思います。
そして二点目は、これは聞く話でございますが、発注担当者が積算ができない、あるいはしなくて、その積算に至る大部分を建設コンサルタントや大手設計会社に任せていた、いるという話を聞くわけですが、積算価格の漏えい、談合の誘発につながり、建設コンサルタント、大手設計会社による建設業界支配となるおそれが指摘されております。公共工事の発注担当者が積算できない、あるいはしていない、大部分を外部に任せているという認識をお持ちかどうか。
以上、二点の認識について、建設大臣にお伺いをさせていただきます。
■扇国務大臣
まず、今の御質問の中で、発注者責任とそれからというお話で、まずその点からお答え申し上げたいと思います。
発注者責任として談合の防止またはその他の入札・契約の適正化の責務を負う旨を明らかにするべきではないかと今おっしゃいましたけれども、少なくともこの法案では、御存じのとおり、入札・契約の適正化の基本法として、透明性の確保あるいは公正な競争の促進、また不正行為の排除の徹底、適正な施工の確保、この四点を挙げているというのが第三条にございますのは、先生御存じのとおり、御認識賜ることだろうと思います。
また、これらの入札・契約にかかわりまする発注者あるいは受注者すべてが踏まえるべき基本原則でございますし、あるいは、当然のことながら、発注者もこれに従って入札・契約の適正化を図る責任を負うものであるというのは、おわかりのとおりでございます。明記してあるとおりでございます。
けれども、少なくとも排除を徹底すべき不正行為の主なものである談合につきましては、今おっしゃいましたように、発注者もこの基本原則に従って、透明性の向上、あるいは談合の起きにくいシステムづくり、あるいは先ほどもお答えになりましたけれども、公正取引委員会の判断に、通知をする、公正取引委員会に必ず通知をしなければならないというそういう義務もあるということによって、私は少なくとも防止が図られるというふうに考えております。
また、国などは、職員や建設業者に対しましても独占禁止法等の関係法令に関する知識の習得等をさせる責任を負う、そのように考えておりますし、それは第二十条に、ごらんいただきましたら書いてあるとおりでございますので、明記してあるところでございます。 そういう意味で、この法案に対しましての発注者の談合防止あるいは責任の趣旨、そういうものに対しては十分に少なくとも盛り込んであるというふうに私は考えております。
■武正委員
発注者責任の明記についてというのはまくら言葉でありまして、今お伺いしたのは、官製談合が行われているという認識があるかないか、また、公共工事の発注者が積算できない、外部に委託している、こういう認識をお持ちかどうか、以上、二点の認識をお伺いしたので、それについてお答えをいただきたいと思います。
■小川政府参考人
若干大臣の御答弁を補足させていただきたいと思いますが、特に、ただいま御指摘いただきました、積算が外部に漏れている、ないしは積算する能力がないのではないのかというふうな点についてでございますが、率直に申し上げまして、公共工事の発注者は、私ども直轄、建設省だけではなくて、全国に三千三百の市町村ございます。
その中には、技術者が極端に言えば一人もいないというふうな団体も現にあるわけでございまして、その場合には、残念ですが、コンサルに、丸投げと言うと語弊がございますが、全面的におんぶせざるを得ないというのも現実であります。
そういうふうな場合には、極めて残念ですが、全貌を掌握しているわけではございませんが、場合によっては御指摘のようなケースがあり得ることを否定できないというふうなのが、極めて残念ではございますが、率直なところでございます。
私ども直轄の場合にも、率直に申し上げまして、行政判断は伴わないような単純な業務等々については、定員事情、職員状況を考えまして外部委託をせざるを得ないというのが現実でございます。ただ、その場合でも、やはり発注者としての責任というふうなものが大前提というふうなことは堅持していきたいと思います。
したがいまして、問題は、やはり冒頭申し上げましたような極めて発注体制が脆弱な団体が現にあるというふうなのも事実でございますので、それに対する支援体制というものをどういうふうな形で構築していくのかというのは、やはり大きな、避けて通れない問題になってくるのではないかというふうな感じはいたしております。
以上でございます。
■武正委員
発注担当者が積算できないという認識が地方自治体並びに建設省直轄事業についてあるということで御答弁がございました。
そして、それが、建設コンサルタント、大手設計会社が積算をする場合には、そこにまた先ほど指摘があったように天下りがあるということで、これがまた官製談合の温床ということでありますので、積算をやはり発注担当者、担当部門で行っていくというのが発注者の責任であるということを申し添えて、ちょうどきょうはまた公取の方がおいででございますのでお聞きをしたいのですが、大臣が、発注者責任は明記されているというお話でしたが、同僚委員の指摘もありました。
独禁法には根拠がなくて、要請しかできない、発注者に対して要請、お願いがせいぜいであるということでありますが、本法律施行後どういう形で公取として対応ができるのか、対応が変わるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
■鈴木政府参考人
お答えを申し上げます。
本法案におきましては、談合等、公正取引委員会の所管します独占禁止法に違反する事実があると疑うに足ることがございましたら、発注者の側において私どもへ通知することが義務づけられています。
私どもとしては、その通知を受けまして、それを違反事件を調査いたします一つの手がかりとして、貴重なものとして扱わせてまた調査を進めたいと考えています。
また、引き続きその中で発注者が関与するような事例、事実が見られました場合は、その点につきましては、現在、私どもの法律では、先ほど公正取引委員長が申し上げましたけれども、事業者あるいは事業者団体に処分が可能となっておりますので、発注者の側につきましては、その改善方を真摯に要請してまいりたいと考えております。
■武正委員
本法案が施行されても、依然公取は要請しかできないというお答えでございました。
では、第一条の本法案の趣旨、第一条「目的」、あるいは、先ほど公取に通知という第十条、ないし第十六条に、発注者責任を明記し、守られない場合は公取が関与できるという記載を設けた場合に、公取としてどのような対応ができるか、お聞かせをいただきたいと思います。
■鈴木政府参考人
本法案にそのような規定を設けました場合でございますが、私ども、その点につきまして、すべてが扱い切れるかどうか、若干懸念を有しているところでございます。
と申しますのは、この法案、対象を公共工事に限定しておりますところ、入札談合及びそれに対する発注者側の関与は工事に限られませんで、物品、役務の調達においても行われるものであるため、本法案において公共工事に限定して発注者側に対する措置規定を設けたとしても、必ずしも十分な、すべての問題を扱い切れるものとはならない、そういう限界があることを若干懸念いたしておるものでございます。
■武正委員
物品購入などがこれには盛り込まれていないという点を今指摘されたと思います。
先ほど来、建設大臣はこれで万全だというような御答弁をされておりますが、私からすれば、公取がやはりお目付役としてきちっと、官製談合、発注者側に対する要請以上の強い態度で臨めるというふうな形が必要だと思いますが、再度建設大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
■扇国務大臣
ぜひお聞き取りいただきたいと思います。
私は、万全だと言った覚えもございませんし、法案に一〇〇%というのはないということは、何度も貴党の同僚の皆さんにも申し上げてあります。
少なくとも私は、一里塚である、第一歩であるということだけは明言するというふうに申し上げてありますので、きょうの御審議において皆さん方の意見によってということも申し上げてありますので、私は、これで万全であるということは一度も言っておりませんので、ぜひ御認識賜りたいと思いますし、発注者責任というものもでき得る限り是正していく。
また、少なくとも、この法案によって発注者がもっと責任を感じる、それを提言する、しかも喚起する、そういうことに対しては、私は大きな役割を果たすというふうに感じていると申し上げているんです。
■武正委員
建設大臣の強い決意をお伺いいたしました。ありがとうございます。
続いて、第二につきましては、第十九条の情報の収集、整理及び提供に努めるという点でございますが、やはり、各発注機関が共同で利用できて、建設会社の技術力を公正に評価し得る工事実績データベースが必要であろうというふうなことは、既に指摘をされているところでございます。
財団法人日本建設情報総合センターのCORINSがありますが、データベースとしてこれを念頭に置いているのかどうかをまず一つお伺いしたいということであります。
CORINSは、平成六年に建設省直轄工事、都道府県、政令市に登録義務づけが開始されていますが、市町村は少なく、二十二市町村が活用中、十五市町村が準備中、ことし八月十八日現在。
また、受注時合計登録件数は約五十四万件、竣工時約八十万件、平成十二年度の情報で、これは受注時でありまして、入札時の情報は登録されておりません。
例えば、関東地方を中心に構築されているのがKDnetでございますが、その登録は入札情報からでありまして、入札公告九万件、入札予定五十三万件、入札結果百十八万件。民間でこれだけのデータベースをつくっているわけであります。
特に、公共工事の発注の七割は都道府県、市町村と言われておりますので、全国の発注業者が共同で使える入札時からの工事実績情報データベースの確立が第十九条の実行のためには必要と考えます。これについての御所見をお伺いしたいと思います。
■扇国務大臣
今おっしゃいましたように、少なくとも、情報その他の普及が公共工事の入札及び契約の適正化の推進に資することとなるように、情報の収集及び整理、提供に努めなければならない、これは今御指摘のあった第十九条でございます。
けれども、今おっしゃいましたように、本法案で情報の公表を、入札・契約の適正化を図る上で最も重要な事項の一つ、そういうふうに位置づけていますから、今の、国、特殊法人等及び地方公共団体を通じて入札・契約にかかわるさまざまな情報の公表を義務づけているところでございます。
それは、今おっしゃったとおり、公表するということが基本でございますので、今までそれがやみであったということに対するひとつの大きな前提でありますし、私は前進であろうと思っております。
また、一方、数多くの発注者から発信されます情報は膨大な量になります。少なくとも、私の記憶では大体二万件、一年間に二万件の入札があるわけでございますから、膨大な量であることだけは間違いございません。
それと、少なくともこの工事に関しては、書類あるいは設計図が要りましたり、あるいは積算の細かいことが要りますから、これは大変な量になりますけれども、今、御存じのとおり、森内閣において電子政府という言葉を使っておりますし、また、今回は、私は入札も電子入札を将来やっていきたい。
そうしますと、より全国一律に電子入札によって明快になる。
ただ、電子入札をします場合には、電子入札をしたときに相手が良質な工事をし得る業者であるかどうかの選定が大変不安になる、そういう一縷の不安も持っておりますけれども、私は、二十一世紀型というのであれば、少なくとも電子入札をして、より公平に、より明快にできるという方法を得るべきであろうと思っております。
これは電子政府とともに今まだ緒についたばかりでございますから、最終目標としては私は電子入札というものも当然考え得るものである、しかもそれがより公明、公正である、しかも電子入札をした場合には談合というものもすべてできなくなるし、今おっしゃった第十九条で情報の収集、公開等もすべて、電子入札というものが実行されるようになれば、これも一つ私は大きく前進するものであると思っておりますので、ぜひ十九条の御理解と、そして十九条の適用方法を今後ぜひ御検討いただきたいと思っております。
■武正委員
データベースの構築が電子政府のこれからの中できちっと行われていくべきであろう、そのときには、現状、例えばCORINSのような、受注情報ではなくて、入札時の情報がやはり、先ほどの市町村まで含めた発注者は欲しいということでありますので、ぜひ入札情報まで含めたデータベースの全国的な構築をお願いしたいと思います。
第三番目が第十五条の適正化指針でありますが、まず、2の一の情報の公表に関して、予定価格の事前公表は賛否両論ある、メリット、デメリット両方あるんだということでありますが、私は埼玉県の出身ですが、埼玉県では一〇〇%行われているということをまず申し添えたいと思います。
これは、やはり、いわゆるボーリングというような予定価格を探ろうとする不正な動きの防止につながるわけですので、ぜひ行うべきだろう、指針に盛り込むべきだと思います。これは私の考えを伝えておきます。
そして、一方、公表するものと公表は控えた方がいいものというのがあると思うんですが、談合防止のためには、指名業者の公表というのは実は控えた方がいいんじゃないかなと思うわけですね。
入札参加業者が明確になって談合を助長してしまうからでありまして、これは2の四に関しても同様に、他の指名業者がわからないように、現状では現説、現場説明の日時、場所を特定しておりますので、どの人が指名されたのかがすぐわかってしまう。
これも、限定しないでもうちょっと緩やかに、関係図書などを取りに来たっていいんじゃないかなということ。
あとは、現説から入札までの期間も、これが一つ二週間というような、これは直轄事業では上限がありますが、これをもうちょっと適正にしてやることによって談合を防止できるんじゃないかということ。
それと、先ほど大臣が力強く言われたインターネット入札、電子入札。
これはもう密室性を排除するわけですから、やはり談合防止にもなるし、また、後で触れますが、一般競争入札について事務量が膨大になるという点については、この電子入札は大変有益であるというふうにも考えるわけであります。
先ほど入札時の明細書の添付も同僚議員から出ましたが、特に、具体的には工事仕様書に金額を明記して提出させるというような形で、それぞれ談合の防止につながるのではないか。
指針に盛り込む点、以上、お聞かせをいただければと思います。
■風岡政府参考人
まず五条の関係で、指名業者の名称の公表の時期についてでございます。
これは、五条の規定の関係につきましての入札情報の公表につきましては、時期は、この法律では政令で定める、こういうような法形式をとっております。
現在、政令で定める内容につきましては検討させていただいておりますけれども、一律的な義務づけの措置としては、手続の各段階でやるのではなくて、まとめて契約締結後に行うということが基本かな、このように考えております。
ただ、情報公開というような形で個別に求められるケースもありますから、途中の段階で情報を公表するということまでこれは禁ずることはできない、このように考えております。
ちなみに、建設省におきましては、指名業者の名称の公表の時期でございますけれども、これは中央建設業審議会の審議、建議を受けまして、昭和五十七年から、指名業者については指名通知後、なるべく早期に公表する。
要するに、入札の契約が締結された段階ではなくて、指名段階でなるべく早期に公表する。このことが開かれた行政、透明性につながるということで、今そういうような取り扱いをさせていただいております。
今後、先生御指摘のような形で、どういう時期に発表するのがいいのかというようなことについては、多分いろいろな御議論があると思いますので、私どももさらにいろいろな議論をしていきたいというふうに思います。
それからもう一点、入札に当たりまして明細書をつけるべきだということでございますが、これも確かに重要な御指摘であります。先ほども御答弁をさせていただきましたけれども、法律で明細をつけることを義務づけるということについてまでは、今の時点ではなかなか難しいなというふうに思っております。
ただ、入札に当たりまして積算をするという、当然のことでありますので、そういった当たり前のことが行われるようなことということは当然必要なことでありまして、この点につきましては、閣議決定をします適正化指針の中でその考え方を明らかにしていきたい、こういうように考えているところであります。
■武正委員
次に、JV共同体について伺いたいと思います。
昭和三十七年に、建設事務次官通達ですね、このJV共同体が導入された当初、共同請負の実施については、中小建設業者を今後単なる共同請負から協同組合化へ、さらに進んで企業合同へと位置づけているんですけれども、今日までどのようにそれが歩んできているのか。また、JV共同企業体については、その受注額の割合に応じて施工を請け負っていることがわかるような、例えば下請への受注票を提出するような形で、いわゆる名義貸しのようなことや上投げのようなことが起こらないようにすべきと考えるんですが、これについてお伺いをしたいと思います。
■植竹政務次官
今の、中小企業育成のための経常JV制度が要するに形骸化している、そしてその中には施工しているかどうか、そういう疑問があるところもあるんじゃないか。
したがって、JV制度の的確なガイドラインを考えまして、これを運用していけばいいじゃないか、そういうお尋ねでございます。このJV制度のあり方ということにつきましては、昭和六十二年の中央建設業審議会におきましていろいろこれを建議いたしまして、受注機会の配分と、誤解を招いたり施工の効率性を阻害している、これをなくすためにも、中小建設業者の振興を図るための経常JVについて、例えば構成員の数とか組み合わせとかあるいは資格等につきまして、一定のガイドラインを示しながら、各発注者においてそれに従って運用基準を各自に決めておるということでございます。
そして、この実態につきましては、全国四十七の都道府県中四十一自治体、あるいは特例政令都市十二の中の八自治体というものが事業をしておられるわけでございます。
■武正委員
中小企業建設業育成という点でこの経常JVというのがあるわけなんですけれども、例えば中小建設業育成には、経営事項審査申請書類の簡素化とか、工事報告について、図書の作成、写真の提出、打ち合わせ議事録の作成などを簡素化するというような形で中小建設業の負担を減らすというようなやり方もあるんじゃないかなという点を、これはちょっと指摘をさせていただきます。
最後に、一般競争入札を原則とすると会計法で決められているわけなんですが、これを指針に盛り込んだらどうかなという点を触れさせていただきます。
まず、一般競争入札については幾つかやはり指摘があるわけですね。
まず第一に、不適格業者の排除が困難という指摘、第二に、過当競争により質が低下するのではないかという指摘、第三に、受注に隔たりが出るという指摘であります。
例えば、不適格業者の排除が困難ということについては、経営事項審査の徹底というか、特に平成十年改正で技術力の重視ということをうたっているわけですので、この点を徹底していくことでできるんじゃないかなと思うわけなんですが、ただ、平成十年の改正で、完成工事高の上限が三千二百七十から二千四百九十九に下がったのと同じく、技術力の上限も三千百三十二から二千四百二に下がっておりまして、これでは技術力重視と言えないのではないかと思うわけであります。
それともう一点は、建設業の種類別技術職員数についてですが、建設業法、建築士法、技術士法が一級五点もしくは二級二点扱いなのに対して、電気工事士法、電気事業法、消防法、職業能力開発法による電気工事士、電気主任技術者、消防設備士、技能士の評価が、二級が上で二点もしくはその他一点ということで、差があるわけですね。
このように差を設けるのはいかがかなと思うのは、建設業法では三百万人の資格を持ち、電気工事士では百八十五万人、技能士で二百二十万人という資格を有しているわけですから、差を設けるのはいかがかなと思うことをまず第一にお聞かせをいただきたい。
それから第二の、過当競争により質が低下するのではないかという指摘は、過日、熊谷国体工事で再入札が行われたときに、未工区の入札は抽せんでどちらにするかを決めたやり方を行って、一つは調査基準価格を下回り、保留後、適正であるとの判断で、設計価格を大幅に下回る価格での落札となり、もう一つの工区も一回目の落札金額を大きく下回るといった結果に終わっております。
これは、発注者が設計価格と落札価格が隔たりがあるとその能力を疑われるというメンツのことをよく言われるんですが、もうメンツの問題ではない。やはり、先ほど、価格が安いのは、ただそれだけでは問題だと言いましたが、調査基準価格を下回っても、検討して、大丈夫だということも埼玉県が今回熊谷国体で出しております。
それとまた、予算を使い切らなければならないということはもう時代にそぐわないという点では、やはり落札価格は競争によって安くする。それがきちっと適正に行われる工事であるということが補完されれば、やるべきではないかな。質は決して低下しない。これが第二点であります。
それから第三点は、受注に隔たりが出るという指摘がありますけれども、建設業が今雇用六百五十万人。日本の産業構造改革が今後行われる必要があるときに、やはり適正な競争は、建設業、避けて通れないと思うわけでありますね。
冒頭、大臣が、八十兆から七十兆に、平成四年から平成十一年で建設投資が下がったと言われましたが、これは民間の建設ががくんと落ちたのであって、それを補うために、地方公共団体は、この七年間、景気浮揚、雇用確保の名のもとに補正予算を出し続けてまいりました。
私は、埼玉県議をちょうどその五年間やってまいりましたので、まざまざとその様子を見ておるんですが、埼玉県では、平成四年の八千億の県債が、この七年間で二兆三千億、三倍にふえたわけですね。これは埼玉県ひとりに限らず、全国の地方自治体の県債、都道府県債の発行額が飛躍的にこの七年間、八年間でふえたわけであります。
地方自治体は、もう補助金をもらっても負担を伴う公共工事はできない、まして県単独事業なんかとんでもないというような状態になっている。
こういう状態では、受注に隔たりが出るから一般競争入札ができないということではなくて、やはり適正な競争を、一般競争入札を原則とするということをこの指針に明記することによって、地方自治体も大変な財政難という、また日本もこれからやがて財政構造改革に突入、こういう時期には公共工事をやはり一般競争入札によって、適正な競争を導入する、これについて最後お聞かせをいただきたいと思います。
■扇国務大臣
今たくさんおっしゃいましたので、どれからどうと思いますけれども、まず一般競争入札に関しての御答弁を申し上げたいと思います。時間もあることですから、多くは申し上げられませんけれども。
一般に競争入札は少なくとも透明性、競争性が高い、今委員がおっしゃったとおりだと思います。けれども、メリットだけかというと、そうではなくてデメリットもございます。そのデメリットはどこにあるか。不良あるいは不適格業者の排除が困難、だれが入ってくるかわからない、そして資格審査等の事務処理が膨大になる。
そういうこともありますし、今私ここに例を持っておりますけれども、日本の場合、私は大変、これも今までこういうことが世の中に余り公示されていないということも残念だと思いますけれども、もともと明治二十二年に会計法が制定されて、その当時は一般競争入札が原則だったんですね。
ところが、それが、不良業者が参入するということが起こって、これは明治三十三年に指名競争入札。そして、それを導入したけれども、今度は昭和二十三年に、当時ほとんどの工事を随意契約で行っていたんですね、ですからそういう意味では、これは特に国鉄の場合はその当時は多かったわけでございますけれども、GHQ等々の命令によって原則として一般競争入札で契約をされたんですけれども、今言ったような不良業者あるいは資格審査等々の煩雑な仕事が多くなったということ。
また、イギリスのバンウェル委員会で、これは一般競争入札を導入したときに、一般競争入札は価格のみに関しての重点を置いて、仕事の仕上がりのよさに関心を払わないという根本的な欠陥を内蔵した、また、入札に参加させようとする業者について慎重にして周到な審査がされることは絶対に必要であるということで、これも指名競争入札に変わった。
これがイギリスでございます。
また、ニューヨークにおきましても、これは一般入札において、一般競争の弱点は、不誠実な業者が低価格で入札し、不当な設計変更、訴訟を通じて契約額を上げる場合にはっきりする。また不正、浪費、悪用は一般競争入札と非常に綿密な関係があるということで、一般競争入札以外の方法の可能性について真剣に討議された。
いわゆる諸外国でも日本でも、同じような一般競争入札に関するメリット、デメリットというのは両方内蔵しているわけでございますけれども、私は、今回のこの法案において、現時点で指名競争入札を禁止して一般競争入札を全面的に導入するということは、今の事例を挙げただけでも困難な部分が多いなということはおわかりいただけたと思います。
これは、今後一般競争入札を適正に実施するとともに、公募型の活用等によって指名競争入札においても透明性、競争性を高めるということにして、私は一般競争入札の適正なあり方というものも今後ぜひ皆さんと検討し、なお、一般競争入札が一番理想ではありますけれども、一般競争入札のデメリットを少なくするように努力していきたい。
そして、一般競争入札をなるべく多くするという方向だけは間違いないということを申し上げておきたいと思います。
■風岡政府参考人
経審につきまして二点御質問をいただきました。
まず、平成十年度の改正、確かに見かけ上は技術力のところは点数を引き下げておりますが、これは完工高の引き下げとの見合いでやっておりますので、私ども、この考え方は、別に技術力を引き下げる、積極的に引き下げるという意味ではなくて、ニュートラルにしているというつもりです。逆に、民間の、国家資格以外のものを評価するようなこともあわせてやっておりますので、御理解をいただきたいと思います。
それからもう一点、技能検定の資格等、私どもにとりまして他省庁の技能士等の資格との格差がおかしいじゃないかと。
経審の基本的な企業評価の考え方でございますが、これは元請企業としての施工能力、それからまた管理能力、この総合的なところを評価しているというふうに考えております。
技能検定等につきましては、施工能力に重点がある資格ではないか、このように考えておりまして、結果的にはそういうところから少し取り扱いの差があるのではないかというふうに考えております。
ただ、今後技能検定等におきましてマネジメントみたいな能力を重視するというような動きがあれば、またそれはそれで適正な評価をしていきたい、このように考えております。
■武正委員
終わります。ありがとうございました
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