【厚生委員会】 医療法改正案

2000年11月17日

武正委員 
民主党・無所属クラブの武正公一でございます委員長初め委員各位に質問の機会をいただいたことに感謝を申し上げる次第です。
今国会で重要法案とされました健保法改正、医療法改正は、遺憾ながら、委員会で強行採決により、参議院で審議中であります。本来そこでお尋ねしたかったのですが、かないませんでしたので、まず、医療法改正による基準病床数の算定式について伺わせていただきます。

当初、地域保健医療計画をつくった時点で、医療施設が足りない都道府県にとっては、この必要病床数が施設新設あるいは増床の歯どめになってしまったのではないかと私は考えております。算定式のたたき台がございますが、この分子の部分でありますが、流入から流出を引くというこの式自体は、現状を追認する病床数の算定式ではないかなと思うのですね。流出過多の二次、三次医療圏の医療施設不足を容認してしまっているからであります。

二次、三次医療圏で医療を受けられるようにという地域保健医療計画の趣旨からいえば、算定式の分子は流出から流入を引いたものを加えるべきではないかと思うのですが、まず、この御所見を伺いたいと思います。

■伊藤政府参考人
現行の医療計画におきます必要病床数の算定方式では、性別・年齢階級別人口に同じく性別・年齢階級別の入院率を乗じまして、当該区域の流入患者数、他区域への流出患者数を加減して得た患者数を病床利用率で割り戻して必要病床数を算定することとしております。

この流入患者数の加算、流出患者数の減算につきましては、各都道府県におきまして、患者調査などに基づきまして行っているところでございます。
この措置は、二次医療圏を越えた患者の移動があることを踏まえまして、それを必要病床数の算定に反映させるものと考えておりまして、この算定方式は基本的には必要なものと考えているところでございます。

武正委員
私が伺ったのは、分子の部分で流入から流出を引いているのは、要は病院が足りないあるいは病床が足りないという都道府県にとっては、他の都道府県に行くこと、あるいは二次医療圏、他の医療圏に行くことを容認している数式ではないかということでお尋ねをしたわけでありまして、これについてちょっとお答えいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

■伊藤政府参考人
流入流出患者の算定につきましては、現に、二次医療圏から外の医療機関に行っている患者さんの状態、それから他の二次医療圏から入ってくる患者さんの数、これらを踏まえまして、二次医療圏の中でどれだけ病床が必要かということを算定するものでございまして、この流入流出の計算の仕方は、先ほど御説明申し上げましたように、基本的には適正なものと考えているわけでございます。

しかしながら、今回の医療法の改正に当たりまして、都道府県知事の裁量を大きくするということを考えておりまして、具体的に申し上げますと、各都道府県知事が地域の実情を反映した必要病床数の算定を行うことができるように、各都道府県知事が流入流出加算の見直し等を行った上で各圏域の必要病床数の算定を行う、つまり、都道府県知事が各圏域の実情を踏まえて流出流入の加減をするといいますか、そういう措置が可能になるような見直しを現在御審議をお願いしております医療法の中で盛り込んでいるところでございます。

武正委員
今回の改正で何とかカバーできるのだというお話でしたが、そもそもの前提のところがちょっと食い違っていたかなと思います。
今、都道府県知事に裁量があるというお話でしたけれども、都道府県内の隣接二次医療圏でなくてもそういう加算ができるようにすべきではないかとも思いますし、また、医療法第三十条の三に隣接都道府県の相互の連絡調整という項目がありますので、この入院率については、例えばブロックで入院率を算定しているようなところもありますので、隣接都道府県同士で基準病床数の流入流出加算ができないものか、これについてお伺いしたいと思います。

■伊藤政府参考人
お尋ねは二点あったと思います。

一つは、二次医療圏内におきます病床数の過不足等につきまして、三次医療圏、つまり都道府県内で加算、減算できるようにすべきではないかという御意見でございます。
この点につきましては、今回の医療法の改正に当たりましての医療審議会の議論のたたき台におきまして、基準病床数の算定について、具体的な算定については、都道府県知事の裁量により地域の医療の実情を反映することができるよう流入流出加算の見直し等を行った上で各圏域の必要病床数の算定を行う、先ほど御答弁したところでございます。
具体的な算定式につきましては、今後審議会等で御議論をいただいた上で決定することになりますが、現在、都道府県知事の裁量により実際の流入流出患者数の範囲内で適切な数を設定できることを基本として検討していきたいと考えているところでございます。

そこで、後段のお尋ねでございますが、圏域を越えて移動する流入流出の患者数をどのように考えるかということでございます。
必要病床数の算定に使っております入院率につきましては、現在、ブロックごとに使っているわけでございます。これはあくまでも、ブロックの入院率は、各地域の実情をできるだけ平均的に入院率なり必要病床数に反映させたいという考え方から、全国一律の入院率にかわってブロックごとの数字を用いているわけでございますが、医療計画自体は、二次医療圏、県単位の三次医療圏というものを単位に都道府県知事が策定するものでございます。

したがいまして、ブロックごとの入院率を数式で用いているということと、各医療計画を策定する責任者でございます都道府県に責任があるわけでございまして、医療計画自体は圏域全体、二次医療圏というものを単位に計算するわけでございますので、その点につきましては、医療計画の性格上、ブロックごとの計画というのは、一体の区域として入院医療を提供する体制の整備という観点からは余り現実的ではないのではないかというふうに考えるわけでございます。

武正委員
議論がなかなかかみ合わないので、私は特に流出過多の都道府県に対する配慮というものが必要なのではないかということを指摘して、次に移らせていただきます。
救急医療あるいは救急救命士制度についてお伺いしたいのですが、まず、厚生省として救急医療の実態をどう把握されているのか、お伺いしたいと思います。

先ほど患者調査を引用しましたが、例えば患者調査票の項目の「救急車利用状況」、「あり」という患者さんの調査票をもとに分析を試みたことがあるかどうか。
先ほど都道府県の圏域を越えるということはいろいろ難しいんだというお話でしたけれども、これは特に都道府県を越えての救急患者の実態を把握することにも役立つと考えますし、また、毎月病院報告を求めていますが、患者調査票の項目に救急外来数を記載させることについて御所見を伺います。

■福島政務次官
ただいま先生から御指摘のありました救急車の利用ということについて、私から答弁をさせていただきたいと思います。
御指摘のように、患者調査の調査票には「救急車利用状況」等の調査項目がございますので、これによって圏域を越えて搬送された患者かどうかということは確認ができるわけでございます。しかしながら、現状においてその実態把握を行っているかといいますと、現状においては行っておりません。
しかしながら、先生御指摘のように試行的に分析を行ってみたいと考えております。

武正委員
自治省さんで都道府県別の救急搬送人員を出されているんですけれども、これを見ると、近年、毎年その総人員は十万人から二十万人の範囲で増加しております。特に、交通事故の搬送が年々減っている一方、急病とか一般負傷が増加しています。
総数の増加とその内訳の変化とともに、医療機関への収容時間にも変化が生じておりまして、この五年間では、二十四・二分から二十七・一分ということで約三分ふえております。

もう少し具体的に都道府県の例で申しますと、埼玉県の例なんですが、この五年間で、二十分未満が四五・七九%から三〇・一二%。二十分未満が四五%から三〇%に減った一方、二十分以上三十分未満が四一・八八%、三十分以上が一七・八二%から二八%ということでふえているわけであります。
平成三年に救急救命士法が施行されて十年になるんですけれども、救急救命士に特定三行為の実施が認められる画期的な法律の施行から十年を経て、各都道府県の消防本部からこの特定三行為についてどのような要望が出ているか、お答えをいただきたいと思います。

■伊藤政府参考人
本年一月二十四日に、全国消防長会から厚生省に対しまして、救急救命士の行う救急救命処置の範囲の拡大に関する要望が出されておりまして、現在医師の指示のもとに行いますいわゆる三つの医療行為、つまり、除細動、気管内挿管、それから強心剤の使用、これを医師の指示なしに行えるようにしてほしいという要望が出されているわけでございます。

武正委員
自治省さん、来ていますよね。そのことでもう一度お答えいただけますか。

■細野政府参考人
救急救命士の処置範囲の拡大のお話でございますが、救急救命士の処置の対象としております心肺機能停止傷病者の救命効果を向上させるためには、救急隊が病院到着前に現在認められている以上の処置を行うことが重要であるということから、かねてより消防機関は救急救命士の処置範囲の拡大を要望しております。

先ほど答弁がございましたように、ことしの一月二十四日、全国の消防長により組織いたします全国消防長会から、厚生省と私ども消防庁の長官の方に、救急救命士の行う救急救命処置の範囲に関する要望書が提出をされております。
私ども消防庁といたしましては、こうした全国消防長会からの要望もございまして、厚生省に対しまして、早期に救急救命士の処置範囲の拡大が実施されるよう要請をしているところでございます。

武正委員
再度自治省さんにお伺いしたいのですが、例えば、自治省さんがまとめておられます初診時の状態がどうであったかということでございますが、平成十年度の三百五十四万人の搬送人員のうち五万七千人が初診時で亡くなられている。
重傷者が四十四万人ということでありますけれども、この重傷者がその後どうなったのか、特に二十四時間以内にどうなったのか。自治省さん、そしてまた厚生省として把握をされているのかどうか、それぞれお答えをいただきたいと思います。

■細野政府参考人
私ども消防機関が対象としております救急業務につきましては、消防法の第二条第九項に、傷病者を救急隊によって医療機関等に搬送するというのがその業務でございます。
したがいまして、傷病者を救急現場から搬送いたしまして医師に引き継ぐまでが一般的に救急業務の範囲でございまして、引き継ぐまでの状況は今お話ございましたように調べてございますが、その後については調べておりません。

■福島政務次官
厚生省としましても、二十四時間以内の予後についての調査ということについては現時点では行っておりません。
しかしながら、こうした調査を実施するということにつきましては、救急搬送のあり方や受け入れ医療機関のあり方等について検証する上で一定の意義を有することではないかというふうに考えております。
また、実施するとなりますと多数の医療機関に協力を求めなければなりませんので、今後の研究課題とさせていただきたいと思います。

武正委員
先ほどこの五年間で救急車が病院に着く時間が三分延びているということをお話し申し上げましたが、一刻一秒を争う救急車であります。
先ほどちょっと触れましたが、三十分以上が一〇%ふえた埼玉県の例がありましたが、これが一時間とか四十五分とかかなりふえているという数字もあります。
要は、なかなか病院が見つからない、あるいはよく言われるたらい回しというようなお話があるわけなんです。

先ほど来の御質疑では、厚生省としては救急医療の実態は把握をされていないという御答弁もありました。
また、今、初診時、自治省消防庁から引き渡されたというかバトンタッチされた患者さんが二十四時間以内にどうなったのか、特に重症者については把握をしていないというお話がございました。

厚生省さんでは、病院前救護体制のあり方に関する検討会報告書をまとめていますが、これを読むと、医師の指示、事後検証、救急救命士への教育の三つのうち、特に指示についてはメディカルコントロールの必要性を、事後検証、教育についてはまだまだ十分でないということが指摘されておりますが、特定三行為の拡大には時期尚早というような報告になっております。

先ほど来のさまざまなお話の中で触れておりますように、厚生省としてこの救急医療への取り組みの必要性についてまずお伺いするとともに、例えばメディカルコントロールが行われている自治体に限ってでありますけれども、先ほど消防庁から出ております要望を認めていってはどうか、この二点について大臣にぜひお伺いをしたいと思います。

■津島国務大臣
私、救急体制につきましては格別な思い入れがございます。武正委員御指摘の救急救命士法は、ちょうど十年前に私が厚生大臣をやっておりましたときに、当時の自治大臣と協力をいたしまして、ぜひとも救急救命士という制度をつくってもらいたいと御提言をし、翌年法律化したわけであります。

そのときの一つの目標が、委員が今まさに御指摘のように、最初の数分間が非常に大事な重篤な病気が多いんだから搬送時間を縮めることが一つのメルクマールだ、こう申し上げたのでありますが、その目的が必ずしも達成されていないというのはまことに残念だと思っております。
ただ、全体として申し上げますと、一次から三次までの救急救命体制は非常に組織的に整備をされたことも事実だし、地方自治体における意識も非常に高まってまいりました。そして、救急救命士法ができた。

救急救命士法による三つの医療的な行為を認めるかどうかについては、もう少しそれぞれの地域で体制の確立をした上でやるべきであるという報告書もいただいておりますが、総じて申し上げますと、体制の整備について全体として一層の努力をしなければならないと思っております。今の医療行為の範囲拡大の問題を含めて、体制の整備につき、委員の御質問も参考にしながら懸命に努力をさせていただきたいと思います。

武正委員
各都道府県が要望を出しておりますので、ぜひ厚生省としてこの救急医療体制への取り組みに万全を期していただきたいと思います。
それでは次に、今年度からスタートした健康日本21についてお伺いをいたします。
まず、普及啓発のボランティア支援について具体的な指定団体をその中心に考えているかどうか、特に、さまざまな厚生省通知に位置づけられております食生活改善指導員さんについてはどうかということをお伺いしたいと思います。

■福島政務次官
健康日本21の推進というのは、国民運動として盛り上げていくことが極めて大切だというふうに思っております。
ただいま先生から御指摘がございました食生活改善推進員ということでございますけれども、現在二十二万人の方がおられるわけでございまして、この健康づくりに対して大変大切な役割を担っていただけるというふうに考えております。

武正委員
期待を述べられておりますが、また、やはり厚生省の通知に、在宅栄養士というような表現での通知もございます。

今、栄養士さんの免許交付数は累計で平成十年度で七十二万人、うち給食施設配置数は約七万人。
ですから、六十五万人が給食施設以外での勤務もしくは在宅ということになるのですが、在宅栄養士の活用を先ほど触れました食改の皆さんとともに行うことが、また食改の皆さんの活性化にもつながるのではないかなと思っておるんですね。
特に、朝のテレビ小説の「私の青空」でしたでしょうか、こちらの方で栄養士ということが取り上げられたんですが、私は、今、栄養士に対する関心が高まって、この資格を取りたいというような機運も高まっているんじゃないかなと思うんですね。

例えばこの栄養士の免許を、インターネットなどを活用して受講して、実習はまとめてスクーリング、いわゆる通信制によって学校を修了できるようにしてはどうだろうかなというふうに思うわけでありますが、これについては少子化への対応から学校サイドからも要望があると伺っております。
これについてお伺いをしたいと思います。これが二点目。

それから、三点目なんですけれども、全国社会福祉協議会によると、ボランティア登録団体は平成十一年四月現在で約九万、人数は約七百万。また、経企庁によりますと、平成十二年十一月十日現在で、NPO受理は三千四百五十六、認証が二千八百九十一でありますから、ボランティアに関してこういった団体の活用を――それからまた、例えば埼玉県とか広島県では約一万人を超える母子愛育会の会員がいます。

横浜市では約七千七百人の保健衛生指導員もいるわけでありますから、また、来年度のヘルスサポーター百万人というお話も伺っておりますが、こうした健康日本21のボランティア支援は多種多様な団体を認めていくべきではないか。
以上、三点についてお伺いしたいと思います。

■福島政務次官
まず初めに、栄養士の養成ということで、インターネットを活用してというお話についてお答えをしたいと思います。
そういう御指摘、御意見があるということは承っておりますけれども、現状におきましては、一方では、栄養士養成課程の入学者が定員を下回っている中で通信制を導入する必要性があるのかどうか、通信制でも教育の質の低下を来さないためにはどうしたらいいのか、そしてまた、栄養士の場合には実験実習が大切でございますけれども、そういう施設の確保をどうするのかなど、いろいろな課題があるということも承っております。したがって、両方含めてさまざまに検討を進める必要があるのではないかというふうに思います。

在宅の栄養士の方、また、さまざまなボランティア団体、こういうものを活用していく必要があるのではないかという御指摘があったわけでございますが、この点については先生御指摘のとおりだと思います。健康づくりを国民運動として進めていくためには、さまざまなNPO、また資格を持った専門の方に御協力をいただきながら進めていく必要があると思います。

武正委員
この健康日本21では、老人保健事業第四次計画も位置づけているわけなんですが、基本健康診査の受診率が、平成十六年で五〇%という目標と伺っておるんですけれども、平成十年で三九・九%。具体的にその内訳を見ますと、特に四十代、五十代の男性が低いんですね。
これは都道府県、市町村でも見られることなんですが。これは私が考えますに、国保加入者で、小企業にお勤めの方あるいは経営者の方、ここら辺は特に男性の受診率が低いんじゃないかなと思っております。

私の身近でも、小企業の経営者の方で大変体に自信がある、なかなか病院に行かない、その方が突然亡くなられたり病気になられるケースを間々見聞きいたしますが、今現在は、そういった方々に対してはがきが一本届くだけというような形でのアプローチしかないわけですね。
こういった方々はそれぞれコミュニティーでは大変な役割を担っておりますし、もちろん、企業の経営者ですから社員に対する影響も大きいわけでありますから、この方々に対して基本健康診査の受診を呼びかけるということは、受診率アップにつながるだけではなくて、日本経済の活力あるいは地域社会のコミュニティーということでも大変大事だと私は思っているんですね。

例えば、八百屋さんの組合に受診を呼びかけたり、あるいは商工会議所とか各種商工団体などに検診カーを派遣するとか、こういったことが厚生省として各保険者に指導できないものだろうかということをお伺いしたいと思います。

■福島政務次官
先生御指摘ありましたように、基本健康診査の受診率というのは、四十歳から四十九歳の働き盛りの男性の場合には低いということは事実でございます。全体としては、平成元年に三一・一%でありましたものが平成十年には三九・四%ということで、改善をしてきているということは事実でございますけれども、まだまだその働き盛りのところが少ない。
保健事業第四次計画というものがスタートしたわけでございますけれども、私どもは、十六年度を目途にこの受診率を五〇%にしたい、そのために努力をしていきたいというふうに考えております。そのためには、確かに先生御指摘のように、働き盛りの男性の皆様方にもしっかりと受診をしていただきたい。
そのためには、さまざまな取り組みがございます。

一つは、各自治体が、広報誌や、最近ではさまざまな放送媒体を持っているということもありますし、そういうものを活用して周知をしていただくということが大事だと思います。
そしてまた、さまざまなコミュニティーが地域にはございますので、そういうものを活用していく。
住民の代表の方の御協力を得て受診の勧奨を行うということで、住民の参加を求めることも必要であるというふうに思っております。

さらには、医療機関へ委託をすることで受診をしやすいような形にするとか、先生も御指摘ありましたように、検診用バスの活用とか、そういうさまざまな方途があろうかと思います。
いずれにしましても、それぞれの地域の実情に合わせて弾力的に受診率を高める方向で各自治体に努力していただくように私どもも進めてまいりたいというふうに考えております。

武正委員
努力をやっていきますよというお話だったんですが、例えば労働安全衛生法で経営者の方は従業員さんに健康診査を受けさせなければならないという義務があるわけなんですが、労働基準監督署に報告義務は五十人以上というようなこともありますので、要は、小さな企業あるいは商店、こういったところの経営者の方は案内が来てもなかなか受けないわけですね、ポスターを見ても受けないわけですね。

やはりそこに対してはかなり積極的に働きかけをすべきではないかなというふうに思うわけですが、そうはいっても、保険者である市町村は国保の未納率に頭を痛めている、国保財政どうなってしまうのかということで手いっぱいで、さらに余計お金をかけて何とか受診率を上げよう、特に男性の四十代にといったところに手が回らないのが実態なんですね。
これについて、もう時間もそろそろ来ておりますので、大臣の決意をお伺いして、終わらせていただきます。

■津島国務大臣
大変大事な点の御指摘をいただいてありがたいと思っております。
すべての国民が定期的に健診を受けるということは非常に大事なことであり、回り回って医療費の適正な活用ということにもつながってくる、健康な方がふえるということでございます。自営業者の方々にとってとても大事な問題であると同時に、忘れてはならないのは家庭の主婦の方でございますね。
今まで市町村は国保保険者の事業として一生懸命やっておられまして、その必要性の周知広報、それから、健診の実施に際して検診用バスの活用とか、休日健診を進めるとか、利用券方式の導入とか、地域の実情に応じてさまざまな工夫が行われ、私は随分進歩してきたと思うのでありますが、率直に言いますと、国保保険者、つまり市町村によってやはり濃淡がございます。

熱心なところでは、一年に一回は必ず皆様方に御連絡をして、健診を受けるように慫慂するというのを私の地元の県庁所在地で始めまして、非常に成績を上げておる。
その場合に、国保の未納者がどうこうという問題よりも、そのことによって国保に対する関心も上がってくるわけでございますし、国保の財政も健全化するというのが私は実態だと思います。ですから、もう少し市町村の首長の方がそのことに思いをいたして努力をしていただくよう、私どもも一生懸命にサポートしていかなければならない。

と同時に、もう一つの問題は、人口の移動の非常に大きい大都市だと思うんですね。委員の選挙区のようなところは地域のつながりも必ずしも濃くない方々も多いと思うのでございますが、こういうところでどういう工夫をするか、これからみんなで知恵を出して努力をしていかなければならないと思います。
健診事業を重視し、さらに施策の充実を図っていただきたいという御指摘には、全く賛成でございます。

武正委員
ありがとうございました。
以上で質問を終わります。 

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