【総務委員会】 地方財政需要額の算定方法について

2001年02月27日

武正委員 
民主党・無所属クラブの武正公一でございます。
大臣、副大臣、政務官の皆様には、御答弁よろしくお願いいたします。また、政府参考人の皆様にも、よろしくお願いいたします。

今、佐藤委員からお話がありましたように、私も県議会の方では五年間務めさせていただきましたので、そのときにいろいろと経験したこと、国と地方との関係についていろいろ感じたところを、体験を交えながら質問をさせていただきたいと思っております。
まず、地方財政需要額の算定方法についてでございますが、交付税の作成に当たっては、地財計画総額が決まって地方税や支出金を作成した後、その残りで決まってくると思われます。しかし、地方自治体の交付税額は、大変複雑な基準財政需要額と基準財政収入額の差で決定されます。

例えば、交付団体の基準財政需要額と同収入額の差、財源不足額を一九九一年から九九年まで見ると、九一年が、基準財政需要額が二十八兆九千余、基準財政収入額十四兆九千余、財源不足額が十四兆余、普通交付税が十三兆九千四百ということで、その差が〇・二一%。九九年との比較をしますと、基準財政需要額が四十一兆八千余、基準財政収入額が二十二兆二千余、財源不足額が十九兆六千三百余、普通交付税額が十九兆六千百余ということで、その差は〇・〇五%ということであります。
つまり、交付税額に合わせて基準財政需要額を決定しているのではないか、すなわち、単位費用や補正係数などを調整しながら基準財政需要額を決定しているのではないかと考えますが、御所見を伺います。

■香山政府参考人
基準財政需要額についての御質問にお答えさせていただきます。
毎年度、私どもは予算編成の時期に地方財政計画というのを策定していくわけでありますけれども、この地方財政計画は、歳入と歳出を比較いたしまして、最終的には、一般財源が不足する部分は交付税を増額するというような対策を講ずることによって、収支バランスをとるようにしておるわけであります。
そういう意味で申しますと、地方財政計画の歳入のうちで、国庫補助金といった特定財源を除いた一般財源、地方税と交付税とを合わせた額と、それから歳出の中で一般財源を必要とする経費、これは基本的に基準財政需要額の方に対応するものになるわけでありますけれども、もともと一致するように計画そのものができておるわけであります。

普通交付税は、さらに具体的に申し上げますと、地方財政計画で予定をしております一般財源所要額のうち留保財源分、これは県の場合は税収の二〇%、市町村の場合二五%ということになりますけれども、これを除いたものが基準財政需要額とされます。一方で、計画の上で想定をいたしました税収の方から今申し上げました留保財源を除いたものが基準財政収入額ということになりますから、この両者を差し引きますと、基本的にはこれは普通交付税の額と一致するというふうに計画はできておるわけでありまして、その意味では、御指摘の趣旨とは若干異なるかもしれませんけれども、地財計画を受けて普通交付税の算定をし、地財計画で予定をしております歳出に見合うように単位費用等を設定していきますと、基本的にはこれは普通交付税の額と一致するようにでき上がっておるということであります。

補正係数の方は、むしろ地方団体間で交付税を配分する場合に、その実質的公平を図るためにいろいろな費目に対して導入しているものでありまして、例えば人口が多い団体の場合は、一人当たりの経費が割安になるのでその分だけ割り落としをするとか、そういった趣旨のものでございまして、これは年度によってそんなに大きく変動するものではありませんで、この率を調整するというようなことで、交付税額と地方財政計画と申しますか基準財政需要額とが合うように調整をしているということではございませんので、御理解を賜りたいと存じます。

武正委員
御説明はいただいておるのですけれども、要は地財計画で地方交付税を出す、その税額に合わせて単位費用を調整するというふうに今答弁で言われたように、結局は地財、地方交付税の額に単位費用を合わせていくんだという認識を持ったわけでございます。
次に、今基準財政需要額の話をしましたが、この算定が非常に複雑であるということで、簡素化についてはもう既にいろいろと提言が出ているわけですね。
それについて、今年度もいろいろと実行をされているのは伺っているわけでありますが、まず、交付税改革の論議で、早稲田大学の林正寿教授によれば、人口だけで九四%、面積で九八%説明がつくんだ、それ以外は要らないというくらいの簡素化が基準財政需要額の算定で図れるというようなことを言っておられます。
これについて御所見を伺うのと同時に、地方分権一括法で、交付税算定について地方自治体が意見を述べることができるようになりました。

たくさんの意見がいろいろと出されているようでございますが、私の出身の埼玉県もこんな意見を出しております。それは、やはり人口が増加している県でありますので、この人口増加に対する基準財政需要額について、国調の数字をもとに対応する。そうしますと、国調時点での数字が今の人口増の係数の対象に満たない場合には五年間対応がないといったことでありまして、減数補正は人口が減っているところは全部やるということでありますから、人口増加についても同じような対応ができないか。それも、国調をもとにするのであれば、住民基本台帳、これであれば毎年毎年出るわけですので、これをもとにやってみていただけないかという要望が出ているのですね。
そのほか、この人口について言えば、例えば今回三宅村のお話が出ていますが、北海道の虻田町、これは同じく今回の噴火で、人口、平成七年国調で一万五百三十六人のところ、千四百三十三人の方が町外に避難をされている。差し引き、今九千百三人の方がいらっしゃるということでありますので、昨年の国調で計算をしてしまいますと、千四百三十三人分交付税措置が減額をする、影響額を試算しておられるわけであります。これもやはり要望として出ているわけですが、これへの対応。
あるいはまた神奈川県では、基準財政収入額への収入の乗率が市町村、大都市あるいは横浜、名古屋、大阪で違う、〇・九八、一・一〇、一・二五、これは神奈川県の申し出によれば、団体別の乖離の状況は団体の規模との関連性は見られないということによって、全団体に同一の乗率を適用してはどうかというようなことも要望として出ております。
それぞれについて、お答えもあわせていただきたいと思います。

■香山政府参考人
基準財政需要額の算定方法についてのお尋ね等にお答えさせていただきます。
人口と面積等によって算定すれば思い切った簡素化ができるのではなかろうかという御趣旨でございます。
私ども、林先生の研究論文も読ませていただきましたが、これは人口と面積による相関度は極めて高いという分析をされたわけでありますけれども、あの研究報告に出ております相関係数そのものは、統計学的に見ればかなり強い相関度でありますけれども、個々の地方団体でその財政運営がやっていけるかどうかというレベルで、具体的に各地方団体にどのくらいの影響が出るかといいますと、相当大きな額になりまして、例えば私どもの方も人口、面積、一定の割合で計算しますと、全国の地方団体の数の半分以上は交付税減になってしまうというような結果が出ております。
一方で、地方の歳出でございますけれども、義務教育でありますとか福祉あるいは公共事業といったような形で、国で法令や国庫補助負担金制度を通じまして地方団体の支出規模を実質的に決めておるという経費が大変多うございます。これらにつきましては、当然、国の責任におきまして財源保障をする必要があるわけでございますけれども、法令によって地方団体が負担を求められる経費というのは、残念ながら人口や面積に比例するという保障はございません。
例えば、今地方財政にとって大きな問題になっております介護保険について申し上げましても、これは人口とか高齢者人口にも単純には比例いたしませんで、現実に介護サービスの受給者数に比例する関係にございます。したがいまして、このサービスの円滑な実施を全国的に期待するためには、やはり介護サービスの受給者数に比例するような補正を行う必要がある、そういう事情にありますことを何とぞ御理解いただきたいと思います。

また、人口急増補正等につきまして具体的な御質問がございましたけれども、交付税の算定に用います測定単位あるいは補正係数に用います基礎数値は、基本的に公信力のある数字を使う必要があるということで、人口については基本的に国勢調査人口というのを使うようにいたしております。人口急増補正は、その五年に一回あります国勢調査の後、人口増加が著しくて財政需要額をそのままに計算してはおかしいということで手当てをしようというものでありますが、それは客観的に見まして全国の平均増加率よりも上の団体でよかろう、要するに、それ以下の団体については著しい財政増加があるとまで考えなくてもいいのではなかろうか、また算定の簡素化を図るというような観点も踏まえまして、人口増加率が全国平均を上回る団体についてのみ適用しておるということでございます。
それからまた、有珠山噴火の場合につきましては、これは今申し上げた意味で測定単位の数値につきましては国勢調査人口によることにいたしておりますが、一方で、その人口が区域の外に移動したからといって、当然にその分だけ財政需要が減るわけではありません。したがいまして、私ども、平成十三年度の算定におきまして、過去の算定の例もございますけれども、人口急減補正という補正を持っておりまして、人口が急激に減ったけれども、それによって団体の財政需要がストレートに減るようにならないように激変緩和をするという算定法を持っておりますので、北海道の虻田町等の場合はこの補正を適用するということで、地元の御要請にこたえたいと考えておるところでございます。

それからまた、法人関係税の基準税額の算定についての御質問がございました。
これは交付税の設計、先ほど御質問にあったこととも関連してまいりますけれども、地方交付税全体を配分する場合の基準税額というものは、全体として地方財政計画の収入見込み額に対応するように設計する必要があります。そういたしませんと、交付税が足りないという形になります。一方で、個別の地方団体の税収の実績もある程度反映した方がよいということで、前年度の実績に対して一定の乗率を掛けるという方法で法人関係税について基準税額の算定をさせていただいております。
この乗率につきましては、率直に申し上げまして、ただいま御指摘いただきました意見を初めといたしまして、いろいろな意見をいただくことがございますが、これはそれぞれの御意見に一長一短がございます。特に、法人関係税というのは年度によって変動が比較的大きい税目であります。そういうことで、私どもは実績の収入額がこの基準税額の算定額に対しまして増収あるいは減収となった場合は、翌年度以降の交付税の算定において精算をする仕組みをとっておりまして、いずれの乗率を採用いたしましても地方団体には損得は生じないという方法で対応いたしておりますので、御理解いただきたいと存じます。

武正委員
私は埼玉の出身でして、一人当たりの地方交付税額は全国で四十三番目でございまして、また県と市町村を合わせた一般財源は全国最低の県となっております。そういった意味では、この人口急増補正のみ人口増加率以上、人口急減は減ったところはすべてというのはいかがなものかなと思います。また、虻田町については、人口急減補正率では補てんし切れないということで要望が出ているということをつけ加えさせていただきます。
次に移らせていただきます。

次に、地方単独事業について伺います。
地方財政悪化の原因の一つが地方単独事業の膨張にある。平成三年十三兆三千億円が平成九年十九兆九千億円まで増加した。
片山大臣が述べておられる自治研究第六十九巻第十号というのをちょっと読ませていただきたいと思います。参議院議員という肩書ですから、以前のものになりますが、「地方財政が国の財政を凌駕し、地方単独事業が公共事業の二倍近くに増大しているなかで、「地方には人材がいない」、「情報不足、勉強不足で判断は国任せ」、「国につながる縦割り意識が強い」、「ムダ使いをしたがる」等々、地方の行財政能力に対するきびしい批判があり、当らずと言えども遠からずの感がある。」この部分だけちょっと抜粋しておりますので、前後はちょっと、恐縮しておりますが、というようなことを述べておられます。

そもそも地方単独事業については、身の回りの生活関連施設を着実整備するためのものであり、景気動向などに左右されるべきものではない、あるいは地域経済の下支えであるから国の施策動向と横並びにはできないというような意見があるのでありますが、先ほど大臣は、思い切りやってほしい、あるいは喜んで地方単独事業をやってほしいというようなことを言っておられます。
実際に、例えば地方債制度研究会からは「市町村長さんと議員さんの知恵袋 これでわかる地方単独事業」、こういうブックレットが出て、懇切丁寧に地方債と、あとは交付税の措置等も書かれているわけですね。
先ほどから大臣に答弁をというような声が周りから出ておりますので、これは今大臣のお言葉を引用したこともありますので、まず御所見をお伺いできればと思います。

■片山国務大臣
武正委員、いろいろお話がございましたが、いつでしょうか、恐らく大分前の自治研究に書いた論文だと思います。
今、地方が受ける事業はいろいろあるのですけれども、一つは、国が直接やる直轄事業というのがあるのですね。それから、国から補助金や負担金をもらって地方がやるのが補助負担事業ですね。それから、全く起債を中心に、あるいは自分で調達した一般財源でやるのが単独事業であります。
私は、基本的な行財政改革からいいますと、直轄事業は国でないとできないような大規模で技術的にも大変高いレベルが要る事業ですから、これはこれで結構だと思うんです。国の補助事業というのは次第に少なくしていくべきだ、あとは地方が独自の判断で事業を選択してやれる単独事業をふやすべきだ、もともと私はそういう論者なんです。補助金や負担金を出すことによって国がひもをつけますから、事業自身の選択性を狭めるわけですね、国が介入して、国がむしろ事業の優先順位を決めるようになりますから。ただしかし、そうはいっても一遍に単独事業といきませんから、やはり直轄事業、補助事業、単独事業の別は仕方がないと思うんですが、ウエートは単独事業に移していくべきだと私は考えております。

そういうことからいうと、地財計画上もだんだん補助事業が減って単独事業はふえていますね、一・八倍になっている。私は結構なことだと思うんですけれども、ちょっとバブル期に地財計画を上回って単独事業をやり過ぎたのですね。そのツケがちょっと来ているようなところがあると私は思うんです。例えば、箱物だとかテーマパークなんというのはそういうたぐいですよ。だから、これからは大変地方財政も厳しい時代ですから、本当に住民の意向に沿った優先度の高いものを選んでもらいたい。それについてはしっかりやったらいいと私は思うんです。
ただ、地財計画上一兆円減らしたのは、先ほども申し上げましたが、地財計画の計上額と決算額の乖離が大きくなったものですから、やはりここは近づけた方がいい、規模是正した方がいいと思うんですが、それでも十七兆五千億でしょう。公共事業が国の予算で九兆四千億ですからね。
だから、私は、十七兆五千億はしっかりやってもらう必要があると思うんですが、本当に必要なもの、インフラ整備みたいなものを中心にしっかりやっていただきたい、それについては地方債や地方交付税で財源措置をしていきたい、こういうふうに思っておりますが、むだなものはないんでしょうけれども、ちょっとランニングコストがかかって、後、往生するようなものは私は控えていただきたい。そういう選別はしっかりやっていただいた上で単独事業をやるということは、私はいいことだと思っております。

武正委員
一兆円の減額をお聞きしようと思っていたんですが、もう先にお答えいただいております。先ほどもお話が出ましたように、ことしは一兆円の減額ということでございまして、ただ、九九年、九八年と四兆円の乖離があったという、今も大臣のお話がありました。
さっき例に出しましたこの地方単独事業には、地方債は充当率何%ですよ、それから交付税でその残りの部分をどのぐらい補正できますよというようなことが書いてあるんですね。ということは、頑張って思い切りやってくれというお話はよくわかるんですが、今度、その財源の話が必ず出てくるわけですね。あるいはまた、地方債をそのように後年度、交付税の形で算入していって果たしてどうなんだろうということが出てくると思うんですね。これについては、後ほどまた地方債について伺いますので、そちらの方に譲りたいと思います。 次は、第三セクターについてお伺いをしたいと思います。
宮崎のシーガイアの破綻のニュースが過日流れましたが、平成十一年度末で全国六千七百九十四法人のうち、損失補償を行っている法人数とその額をお聞かせいただきたいと思います。

■香山政府参考人
計数的なことでございますので、私の方からお答えをさせていただきます。
私どもの方、総務省におきましては、地方団体が二五%出資している法人について調査をいたしておりますけれども、対象法人が六千七百九十四ございまして、そのうち損失補償を行っておる法人というのは七・七%の五百二十法人というふうに相なっております。
また、この関係法人の負債総額というのは十四・六兆円ほどでございますけれども、これに対応いたします損失補償の額というのは二・六兆円程度と相なっております。
以上でございます。

武正委員
この法人に対する地方公共団体からの出資が二兆弱ということを考えると、出資を上回る損失補償をしているということが今のお答えでわかったと思います。
そういった意味では、第三セクターについてお聞かせをいただきたいんですが、平成十二年十二月の自治省、第三セクターの状況に関する調査報告によると、単独の地方自治体が二五%以上出資、出捐している第三セクターは、平成四年をピークに、前後九年間で設立されている。委員会などによる点検評価体制があるものは五・九%にすぎない。条例、要綱などで情報開示を求めているものは二一・九%。平成十一年五月二十日付で自治大臣官房総務審議官、第三セクターに関する指針というものが出されているんですけれども、これは都道府県知事、政令指定市長あてなんですが、この中で、地方自治法では五〇%以上出資をしている団体、第三セクターは議会に報告義務があるということでございます。
そういった意味で、先ほど二五%というお話がありました、それ以外にも検討すべしということでこのときの指針では述べているんですけれども、その後どうなっているのか、お答えを、これはいかがでしょうか、よろしくお願いします。

■片山国務大臣
今御指摘のように、平成十一年の九月だったですか、第三セクターに対する指針を出しまして、その前に自治法で、五〇%以上の出資をしているものは議会への報告、二五%以上のものは監査委員の監査をしろ、こうやっているんですが、そのときに、五〇%、二五%にかかわらず、五〇%未満でも積極的に情報開示をして議会に状況を報告したらどうかということを指導しておりまして、今幾つかの府県でそういうことをやるということになっております。
今回、シーガイアの問題も出ましたし、その他大変状況の悪い第三セクターのプロジェクトも一、二ありますので、もう一度そこは検討して、第三セクターに対するいろいろな規制を含めて、そういうことの徹底を図る必要があるかなと今考えているところでございます。

武正委員
先ほど引用させていただいたあの自治研究、もう一回ちょっと引用させていただくんですが、私も県議会にいたものですからそのときに五〇%以上の団体のみの資料だけだったものですから、あのときは信用保証協会でしたか、やはり審査ができないということで、改めて翌年度、信用保証協会も公社事業等の特別委員会の審査対象にしてもらったことがありました。
そんなことで、やはり議会の役割というものが第三セクターに対しては大きいということを先ほどの引用文章で大臣が述べておられますので、ちょっと引用させていただきます。「最近、目につく地方の大小の汚職事件も、議会のチェック機能が正常で、議会と執行機関に緊張関係があれば、その多くは防止できたのではないかと思う。地方における議会の権威を高め、そのチェック機能を回復するため」ということで、あといろいろ、首長の多選とかも触れておられる文章なんです。
そういった意味でぜひ、今も大臣から先に決意を伺った次第でございますが、やはり議会の権能を高めなければ、チェック機能を高めなければ、地方分権の受け皿たり得ないだろうということでございます。
実は、先ほどお話しした第三セクターに関する指針も首長さんあてなんですね。こういったことが、私も県議会にいても、なかなか伝わってこなかったんですね。今度、地方分権で通達とかいろいろなものは変えるんだというお話ですが、議会がチェックすべきいろいろなもの、団体等の情報なり指針なり通達、こういったものはやはり議会に直接送るか、送れないとすれば、例えば首長にそれを議会に必ず伝えるようにとか、何かそういうようなことができないものだろうか、重ねて大臣にお伺いをしたいと思います。

■片山国務大臣
今委員御指摘のように、国の場合には議院内閣制ですけれども、地方の場合は大統領制でございまして、やはり執行機関、首長さんと議決機関の議会は車の両輪ですね。その間にやはりチェック・アンド・バランスの機能がないといかぬと私は思うんで、そういう意味では緊張関係が必要だと思いますね。また、さらに地方議会のチェック機能を強化していただきたいというのは、かねて私の持論でございまして、そういう意味で、今お申し出の話につきましては検討させていただきます。
ただ、議会は、これは独立した意思決定機関ですから、そこにストレートに総務省からというのはなかなか、私は難しいのかなという気がしますが、首長さんを経由してとかいろいろなルートを考えまして、我々の趣旨が議会の方にも徹底をするように検討させていただきたいと思います。

武正委員
前向きな御答弁を次々に大臣からいただけるということで、後から来る我々のメンバーも大臣にどんどん聞いていく形になるのかなと思っております。
次に、赤字地方債の発行についてお伺いをしたいと思います。
今回、赤字地方債というべき臨時財源債の発行を行うわけなんですが、特別会計借入金の償還繰り延べも行うわけでありまして、まず危惧するのは、昭和五十年の赤字国債発行の二の舞を踏まないのか。赤字地方債の増発を生むのではないか。また、その理由として、後年度一〇〇%の交付税措置が手当てされるということでございます。これについて御所見をお伺いしたいと思います。

■片山国務大臣
かつてそういう時期がありましたが、あのときはまだ地方財政の規模も小そうございましたし、それから財源不足額も大変小さかったというふうに記憶いたしております。今と状況が大変違いますので、資金運用部でお金を借りて、交付税特会でその借金が四十兆近くなる、そのままずるずるいくわけにいかないということが一つと、先ほど言いましたように、資金運用部が廃止になりますから、今度はあの資金は自主運用ということになりますので、この際、資金調達そのものもおかしくなるので、しっかりと国の持ち分、責任と、地方の持ち分、責任を分けた方がいい。
そのためには、いわば交付税特会でまとめて赤字地方債を出したのと同じことでございますから、今回は、それをはっきり個別の団体に割り振って、責任を持ってもらう。そのかわりそれの元利償還は、大変地方財政の運営に影響を与えますから、きっちり交付税で補てんする、こういうことで考えたわけでありまして、前回のときとはちょっと我々は発想を異にしておるわけであります。

武正委員
大臣が、そういった形で責任の所在をはっきりさせるんだということを言っておられて、多分そういったことも今回の改正の一つの目的だと思うのですね。
ただ、地方自治体は、今住民の方から、県債あるいは市町村債、特に都道府県が多いのですけれども、こんなに出して大丈夫かということで、住民の方と一番接している地方自治体ですから、絶えずそれを言われている。これが県議会であり、あるいはまた県庁の方の実感だと思うのですね。そういった意味で、今までは責任が余りわかなかったということは、もしかすれば、財政能力の低い市町村なりがさまざまな措置でいろいろと国からお金が来るといったことで、どうもぴんとこないようなところがあったんじゃないかな。かなり規模の大きい都道府県は本当に必死な覚悟で行財政改革に取り組んできたと思うのですね。
そういった意味では、私は、やはり今回の赤字地方債というものは、責任というお話もありましたが、責任はもう感じているところは十分感じている。そういった意味では、今回三年で一つ期限を区切っているのですけれども、三年後はどうするのか、これについても同じく御所見を伺いたいと思います。

■片山国務大臣
昨年末の、そのときは大蔵大臣でございましたけれども、宮澤大蔵大臣との折衝では、とりあえず三年間この方式でやってみよう。我々の思いは、三年たてば景気がきっちり自律的な回復軌道に乗る、その際は、国と地方の事務や権限の再配分に伴う地方税財源のあり方について、国と地方の配分のあり方についてしっかりした議論ができるのではなかろうか。
それまでのつなぎということもありませんが、それまでの間の方式としてこれを採用しよう、そこで大蔵省とも我々の方とも意見が一致したわけでありまして、私は、三年後はこの方式を続けるのではなくて、できれば新たな方式というのがあるのかな、こう思っております。

武正委員
先ほど、景気が回復すれば地方財源の充実も図れるんだという御答弁がありましたので、今のお答えでは、この三年で景気を何としても回復させるんだという決意とも受け取るわけでありますが、甚だいろいろな状況が、何としても好転をさせなければなりませんが、非常に厳しい見通しもいろいろあるわけでありまして、そういった意味では、三年後どうするのかといったところが、景気の動向ということに頼っていると、また地方自治体は大変心配であろうというふうに思うわけですね。
それで、交付税特会の償還でございますけれども、平成十二年度で三十八兆で、平成十三年度で四十二兆ぐらいになるのでしょうか、ちょっと数字が定かではありませんが、三十八兆だとすると、そのうち二十六兆が地方分、これをどうやって返すのかということでございます。

返済額のピークが二〇〇七年から二〇一〇年に来る。来年度、十三年度、民間借り入れについては、財務省は入札で六兆円を予定している。この十三年度の借りかえが八兆円要る。この六兆円を足すと、調達額が十四兆円。
大体六カ月から七カ月の債券でありますので、年に二回借りかえをすると、毎月二兆円の額の借りかえが発生する。これを財政投融資の改革の中で調達をしていくということでございますが、この地方交付税特別会計の償還についての見通しについてお伺いしたい。

■片山国務大臣
資金運用部が借り入れる際に、償還については、国と地方の責任を明らかにしながら一応の償還計画をつくっているわけですね。しかし、私は、なかなかその計画どおりには事が進まないおそれもあると思いますので、何度も繰り返しますけれども、基本的には景気の回復によって国も地方も税収をふやしていく。
あるいは、地方行財政の行革を含めて簡素、効率化を進めて歳出の節減を図ること。それから、何度も言いますけれども、最終的には地方税財源の国と地方の再配分を進めること。これをプラスにしないと、今の償還計画どおりで巨額な交付税特会の借り入れの償還は大変かな、こういうふうに思っておりますから、総合的な戦略でこの返済を推進したい、こういうふうに思います。

武正委員
本当にこれから、財投改革で市中から、あるいは先ほど簡保、郵貯というお話もありましたが、要は地方債の信用というものが問われる、そういった時代になってくるわけでありますので、先ほどの三年たてば、景気がよくなればというような形ではなくて、ぜひ主体的な形で地方財政をどうするかといった観点がより一層今求められているのではないかなということをお伝えさせていただきます。

次に、地方債の借りかえについてお伺いします。
今回、地方債計画でも公営企業債、公営企業借換債、六百億円を見込んでおりますが、実際、この六百億円の対象が徐々に緩和をしてきてはいるのですね。その額が二千三百九十七億ということで、対象債残高はふえております。
ただ、やはり公営企業債を借りている合計というのはもっと莫大な額だと思うのですけれども、まず、これは合計でどのぐらいで、そのうちどのぐらい今回、対象債残高になっているのか、お答えをいただきたいと思います。

■香山政府参考人
お答え申し上げます。
公営企業借換債は、公営企業の健全化を図るために、資本費負担比率が高い一定の公営企業に対しまして、高利のものから順番に借りかえをするという方法でやってきておるものでございまして、平成八年、九年は、大体金利七・五%以上のものを対象にいたしました。
十年度から十二年度にかけましては、七・三%のものを対象といたしました。八年度は百六十億、九年度は二百六十億、十年度は三百四十億、十一年度、十二年度はそれぞれ六百億円の借りかえを行っております。

今御指摘にありました金利七%、これは、平成十三年度におきましては、借りかえ対象の高金利というのは一応七・〇%まで引き下げることにしておるわけでありますが、この金利に相当いたします貸付残高は、全事業で見ますと二兆一千八百億円程度、うち、財政健全化の必要性が高いということで借換債の対象事業といたしております上下水道、工業用水道、都市高速鉄道の四事業に係るものについて申し上げますと、二・一兆円程度となっております。

武正委員
合計二兆一千億のうち二千三百億ということでございまして、私も県議会にいたときに、やはり金利が七パー、八パー、あるいは八パー以上という、これはもう全国地方自治体挙げて、これだけ低金利の時代に何とか借りかえができないかということを望んでいるわけですね。
今回、借換債の現状では、大蔵省資金運用部資金は認められていないということで、公営企業金融公庫資金について順次拡大を図っているわけですが、依然二兆一千億円の二千三百億ということですから、十数%ということになります。やはりこの拡大を望む声は強いと思うのですね。

これは埼玉の例なのですけれども、水道について見ますと、この借りかえ条件というのが一立米資本費八十四円以上、それから給水原価が一立米百四十二円以上ということなんですね。
埼玉県ですと、資本費は一立米四十四・二六円、給水原価は一立米六十三・六七円ということで対象にならないわけであります。それから、工業用水についても、資本費が一立米十六円以上、埼玉県十一・五五円ということで、これも対象にならない。

工業用水の方は何か緩和が打ち出されるような話も聞いておるのですが、やはりこういったところを見ますと、先ほどの十数%の借換債の対象ということはやはり拡大をしていくことが、先ほどの地方財政を安心させるという意味では非常にわかりやすい事例ではないのかなということでございますので、この点について再度大臣、いかがでございましょうか。

■片山国務大臣
今、自治財政局長から御答弁のように、年々借りかえの拡大をしてきていることは事実ですけれども、全体から比べるとまだ一割程度、こういうことではなかろうかと思いますが、これは公営企業金融公庫そのものの経営にも影響があるのですね。余りどんどんやりますと、今度は公営公庫そのものの存立に響いてくるようなところがありますので、今お話がございましたことを十分しっかり受けとめて検討させていただきます。
我々としては、できるだけふやしたいとは思っておるのです。どの辺がどうかな、こういうことについてはさらに検討をさせていただきたいと思います。

武正委員
財投について、簡保、郵貯のお話を伺いたかったのですが、ちょっと時間も押していますし、先ほどもるる出ておりますので、これは割愛をさせていただきたいと思います。

次に、先ほどちょっと話が出ましたが、地方債の元利償還金算入について、なぜこれは元利償還金を算入していくのか、その理由をお聞かせいただければなと思っております。
平成十三年度で一三・四%の割合ですが、この地方債の地方交付税に対する元利償還金算入が毎年一%ずつ伸びているわけですね。このことが今後も続くのかどうかも含めまして、なぜ地方債の元利償還金を算入していくのか、お答えをいただきたいと思います。

■片山国務大臣
今の地方団体の実態を見ますと、やはり仕事をやるのは公共事業なり単独事業で、公共事業の場合には裏負担が要りますね、それから単独事業の場合には主として起債ですよね、地域総合整備債や何かで。それを全く元利償還はおまえらの責任でやれといいますと、財政力の弱いところは事実上、仕事ができないのですよね、財政力のあるところだけになりますから。
財政力に応じてある程度元利償還も面倒を見てやる、こういうことが、それじゃ公営事業をやろうか、こういうことになりますから、私は、元利償還を相当交付税で見るということは必ずしもいいとは思いませんけれども、今の割合程度で交付税で元利償還を補てんしてやるということはやむを得ないのかな、今の地方団体の実態を見たときに、弱小切り捨てになりますから。そういう感じを持っております。

武正委員
そもそも建設国債というものは、将来の国民にいわゆるインフラ整備の金利あるいは償還を負担してもらおうということでありますので、地方債が同じく建設地方債だとすれば、すぐ元利償還金を繰り入れていくというのはいかがなものかなというふうに思うわけであります。
それで、いろいろと債券について、普通交付税の措置でさっき言いました元利償還金の算入が行われているのですが、一つ例を挙げさせていただきますと、補正予算債なんですね。補正予算債が、昭和六十二年度補正分までは、一番低いのが三八%算入、そして一番高いのが昭和五十三年度分の六九%算入ということですね、これは県分になりますが。ということだったのが、平成四年度からこの補正予算債が元利償還金の八〇%算入に一律なった、この理由をお聞かせいただきたいと思います。

■香山政府参考人
お答え申し上げます。
国の補正予算とかあるいは予備費を使用することによって年度中途に公共事業が追加されるということになりますと、その地方負担につきましては、地方団体の方に年度中途の事由でありますから財源が原則的にない、追加財政需要額を充てるということはありますけれども、大きな事業になりますと、その財源がないということで、補正予算債と称しまして全額を地方債で対応することといたしております。

また、その元利償還につきましては、先ほど申し上げたような理由で、翌年度以降交付税に算入するという措置をとっておるわけでありますが、六十二年度までは、当初予算に算入をされております各事業種別ごとの算入率というのを加重平均したような形で率を設定させていただいておりました。平成四年度からは、なかなかこれも複雑だということになりまして、結局全体として八〇%に統一をするということで、年度中途の補正事業の償還は安定的なものにするということで、一律八〇%にするということにいたしまして、それ以後、統一的な扱いを続けておるものでございます。

武正委員
私が伺いたかったのは、なぜ八〇%に高くなったのか、これをちょっとお聞かせいただきたいと思うのですが、大臣いかがでしょうか。

■香山政府参考人
これにつきましては、最近、財源不足等に対応するために財源対策債というようなことを発行いたしておりますが、それに対する算入率が八〇%になっておるということ、また補正予算につきまして確実な執行を期する必要があるというようなことで、八〇%というラインにさせていただいた次第でございます。

武正委員
後ほど触れますが、やはり総合経済対策、これをきちっとやる、やってもらう、そのときにはやはり地方にといったことの裏づけになっているのかなというふうに感じるわけであります。
さて、先ほど大臣から地総債のお話がありました。地総債について、現在の発行残高、これをお聞かせいただきたいと思います。

■香山政府参考人
計数のみお答えさせていただきます。
平成十年度末におきます地総債の残高は十一・二兆円程度となっております。

武正委員
私も県議会にいたときに、この地総債についてたくさんの県議会議員が質問に立ちました。本当に大丈夫なのかといろいろ質問をしたときに、答弁の方が、この方は自治省から来られた方なのですが、このため後年度に交付税措置のあります起債の活用を図ってきたところでございます、お尋ねの有利な条件の起債とは、地方交付税の額を算定する上で、基準財政需要額に県債の元利償還額の一定割合が算入されるものを指して申しております、平成八年度を例にとりますと、おおむね県債の元利償還額の七割程度が算入されているところでございますということで、我々県議会議員は、この有利な県債、有利な県債ということが、耳にたこができるほど聞かされたわけでございます。

一体何が有利なのかということで、それは地方交付税に後年度負担、算入されるということをあらわしているのですが、では国の財政を考えて本当に大丈夫かなということを心配したわけでございます。
これも先ほどの総合経済対策と同じく、ある面、政策的な誘導がなかったのかどうか、大臣いかがでございましょうか。

■片山国務大臣
地総債につきましては、今お話がありましたように、大体充当率が七五%ぐらいで、その元利償還は財政力に応じて三〇%から五五%補てんする、こういうわけでございますから、大変ある意味では地方団体にとっては魅力的な事業ではなかろうかと思います。

やはり地方自治というのは、地方が自分の判断で自主的ないろいろな事業を選択して多様な地方自治行政を展開するということだと思いますので、今の窮屈な財政事情の中では、私は、地総債というのは大変そういう意味では効果といいますかそれなりの効用を発揮してきた、こういうふうに思います。

ただ、バブルのときは、私は、本当に、繰り返して言いますけれども、箱物だとかテーマパーク風のものだとか、ややいかがかなと思うものはあったことは事実ですけれども、だんだんそういう過程を経て今地方団体は賢明な選択をするようになっておりますから、この仕組みはなお維持していきたい、こういうふうに思っております。

武正委員
この後年度負担の地方交付税への算入ということについては、確かに地方自治体は本当にありがたいわけでありますね。
ただ、それに関しては、我々民主党の方では一括交付金というような形を考えておりまして、こういったそれぞれのメニューを用意して地方債とそのほか後年度負担算入ということで手を差し伸べていく、その大変なお気持ちというのは地方自治体にとってはありがたいのですが、先ほどの三年で結果を出さなければいけないという今の実態から見ますと、やはり自立をいかにして求めるかということが今問われているのではないかなと思うわけであります。

次に、今回「地方債協議制度の概要」という文書をいただきましたが、要は平成十八年度から協議制度に移行するということでございますが、そのただし書きに「財政構造改革法の停止前の目標年度である平成十七年度までは許可制度を維持」ということが出ているのですね。これは、財政構造改革法の停止前の目標年度である平成十七年度までと、平成十八年度から地方債の協議制度を始める、この関係はどういうふうになっているのか、お答えをいただきたいと思います。

■香山政府参考人
お答え申し上げます。
地方債の許可制度を協議制に切りかえるということは地方財政運営の基本にもかかわるかなり重要な改正でありますので、一定の周知期間を置く必要があるというふうに私どもは考えたわけでありますが、そのときにどのくらいの期間がいいか、それからどのように説明がつく期間がいいかということになりますと、財政構造改革をやっている期間というのはやはり地方債を、国の関与を若干厚目にして運用する必要も高かろう、これが一応めどがついたときに協議制に切りかえる方がよかろうということで、十八年度というのを選ばせていただいたということでございます。

武正委員
一応ということで、御説明がちょっと不十分かなというふうに思うのですが、財政構造改革法、今凍結はされておりますが、国、地方で赤字が対GDP比三%と決められております。現在それぞれが何%であり、それを踏まえて凍結されている財革法の目標に対する認識はいかがでございましょうか。

先ほど大臣は、やはり行革なんだ、行革をやらなければだめなんだ、実際に地方団体はやっているぞというお話もありましたが、どうしても、財革法を凍結されまして、私も埼玉県でそうでしたが、財政構造改革法に対応して、では県も行革をやろうということでつくって、よしというときにもう一回見直しになってしまったわけですね。その後、一挙にまた歳出が膨らむ基調になっていったわけですが、財革法に対する認識、大臣、お答えをいただければありがたいと思います。

■片山国務大臣
委員の言われました国及び地方の財政赤字の対GDP比は、平成十三年度見込みで六・四%だそうであります。
そこで、財政構造改革法でございますけれども、あれが出たとき、私たちも大変な議論をして国会を通しましたね。しかし、景気がこういうふうに加速度的に悪くなりましたので、あれは凍結、こういうことになりました。しかし、私は、日本の将来を考えるときに、財政構造改革は必要だ、こう思っております。

ただ、御承知のように二兎論と一兎論というのがございまして、今はやはり景気回復に軸足を置くべきだけれども、財政構造改革についてもそろそろ準備に入るべきではないかと私個人は考えております。
今、経済財政諮問会議というのがありまして、私もそのメンバーでございますけれども、そこで経済運営を含め財政構造改革等も議論を始めておりまして、私は、景気回復をしながら財政構造改革に資するようなことがあるのではないか、こういうことを個人でも思っておりますし、その諮問会議でも主張しておりまして、これから大いに総務省も財務省その他と協議しながらその方途を探ってもらおう、こういうふうに思っております。

武正委員
私も大臣と同意見でありまして、二匹のウサギは必ず追える、そして捕まえられるというふうに思うわけであります。ただ、その前提がやはり民主党に政権をとらせていただくというのがあるのかなというふうに私は思っております。

そのほかいろいろな前提があるわけでありますが、るる今までお話を申し上げてきた中に、地方が総合経済対策を担うことへの認識と問題点というものがあるのかなと思っております。総合経済対策は事業規模で総額百三十五兆円。平成四年から平成十二年度までです。建設、赤字国債発行額が四十五兆円。減税が十九・七兆円。
うち地方影響分として三十一・二兆円。内訳は、地方負担額が単独事業を含めまして二十二・三兆円、減税のうち地方の減収分は八・九兆円ということで、特に減税の半分を地方が引き受けたというのが大変大きな痛手というか影響を持っているのかなということも感じますし、先ほど来、るる補正予算債あるいは地総債などの手厚いさまざまなバックアップで地方が単独事業を引き受ける、あるいは地方が引き受けられるようにということをやってきたのですが、その結果、地方の負担額が二十二・三兆円といったことが出ているわけです。

そういった意味で、この総合経済対策を地方がこのようにこれからも引き受けなければならないのかといった点が、今回の、失われた十年と言われる、検証の中でやはり必要ではないか。地方のあり方といった点から、この総合経済対策への御認識とそしてまたお感じになる課題、問題点を大臣、お聞かせをいただきたいと思います。

■片山国務大臣
マクロの経済政策については、私は基本的には国の責任において対処すべきものだとは思いますが、我が国の公経済における地方財政のウエートというのは大変高いのですよ、よその国に比べまして。実施部門では、御承知のように、国より地方の方が財政支出は大きいわけですから。それから、財源配分は、交付税まで入れますと、大体国、地方が四、六ぐらいになるのでしょうか。税だけでいきますと六、四ぐらいでしょうけれども。

国の責任で地方は知らないというわけにはなかなか経済政策としてはいかないので、国と地方はある意味では運命共同体でありますから、国がよくなることが地方もよくなるので、そういう意味で経済対策に地方が協力するのはやむを得ない、私はこういうふうに思っております。
地方だけがよくなるということはないのですね、国が悪くて地方だけがよくなるということは。地方をよくするためにも国をよくする。また、地方がよくなることがトータルとしての国もよくなる。こういう二人三脚でいかざるを得ないのかなと思っております。

いろいろな今までの十年の経済政策については御意見があろうと思いますけれども、私自身は、これはやむを得なかった、こういうふうに思っております。
武正委員
そういったことで、なぜ地方税の減税を中央政府が決めるのかということがまず一点。今も大臣からるるお話がありましたが、やはり地方税の税財源の充実がなければいつまでもこういったことが続くだろうと思うわけでありますが、まず一点、なぜ地方税の減税を中央政府が決めるのか。

今もお話がありました、地方が八割を担っているんだということがありましたが、それと地方税の税財源の充実、特にこの三年、さっきの二匹のウサギを追うためにも、やはり地方が安心して財政運営ができるためにもこの三年だというふうに思うのですが、特に地方税の税財源の充実について、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

■片山国務大臣
減税については御意見はあると思いますよ。だから、次第に課税自主権を強化していくということは、方向としては正しいと私は思いますけれども、税源自身が国と地方が共有しているのですよ。それで、国分だけ減税しますと、地方はしませんというわけにはこれまた、今言いましたように、国と地方は運命共同体ですから、なかなかできないので、その辺はぜひ御理解いただきたいと思います。

基本的には、地方税を充実強化して、地方に自主的な、それは地方税を取るのは大変な苦労もありますけれども、取る苦労が地方自治なんですよ。そういう意味では、地方の皆さんにもそこは御理解を賜って、地方交付税の方が楽だという意見も本当にあるのです、私のところでも市町村長さんや何かに。そうではなくて、やはり地方税は苦労して取る。そのためには、苦労して取る地方税の税源を地方により手厚く配分して与えていくということは、基本的に正しいと思っておりますから、いずれにせよ、しっかりと今後議論してその辺は詰めてまいりたいと思っております。

武正委員
もう時間も限られておりますので、次は、合併のお話を伺いたいと思います。
私は、浦和市、蕨市、埼玉一区選出でございますので、一月に総務大臣の認可をいただき、五月一日には三市が合併をしてさいたま市をつくるわけであります。やはりその目的は、地方分権の担い手として、また埼玉はどちらかというと、東京のベッドタウンですので、中心となる都市をつくろう、そこでやはり自立性をしっかり持たせていこうといったところがあるわけでございます。

ただ、この合併がなかなか進まないといったことで、合併について種々対策がとられております。例えば合併しても交付税が十年間減らないようにとか、その後も激変緩和措置とか、いろいろとられているのですが、私は、今までお話をしてきた、例えば交付税制度、地方単独事業あるいは後年度の交付税算入、こういったものが実は合併を阻んでいるのではないかなというふうに思っているのですね。

これは、黒川教授のお話では、大体人口三十万人くらいが一番適正規模の自治体ではないか、これにはいろいろ御議論もあるかと思います。そういった意味では、今回、さいたま市のような政令市を目指すといった例は別にいたしまして、小規模の市町村、これが合併を自然と行っていくということで、今までどちらかというと、あめとむちで言えばあめというような形で交付税措置などがとられておりますが、決してむちという言葉を使いたくはありません。

ただ、そういった意味では、合併を阻む理由が、手厚い財政力の弱い市町村に対する交付税制度、あるいは地方単独事業、そして地方債の後年度の算入といったところにあるとすれば、大臣が、市町村合併をやろう、しかも政府として千にしたい。これは各党からも出されているわけでありまして、地方財政の健全化あるいは三年で次の新しい改革の入り口を見る、こういったことを考えますと、やはり合併というのは避けて通れない。ただ、そのときにそれを阻む理由が交付税、地方単独事業、後年度の交付税算入にあるとすれば、この点の改革が必要ではないかと思うのでございますが、大臣の御所見をお伺いいたします。

■片山国務大臣
今いろいろお話がございましたが、合併は私もぜひしていただきたい。地方分権の受け皿として、今の市町村の規模、能力では必ずしも十分でないと私は考えておりますから、本当の地方の時代、市町村の時代をつくるためには、基礎的な地方団体である市町村の充実強化は避けて通れない、こう思っております。

そこで、大変政府の方でも考えまして、今の合併特例法の期限が十七年の三月ですから、それまでに合併をやっていただくために、合併特例債だとか交付税の算定がえだとか、算定がえというのは減るのをとめるだけですから、あれは優遇じゃないのですけれども、あるいはその他いろいろな優遇措置をとっておりますが、私は、それはそれなりの、あめと言うと言葉が悪いですけれども、優遇措置が魅力があるのではなかろうか、こう思っております。

そこで、合併をしない弱小市町村に対して、むちという議論も確かにあります。我々の党内にもあるいは経済界にもありますが、私は、合併はあくまでも自主的な合併でなきゃいかぬし、そのためにしないところにむち的な措置をとることは適当でない、こう思っておりますが、今お話しのように、弱小の市町村ほど交付税の方では有利なような今の仕組みになっているのですね。だから、今の状況で優遇されているのですよ、極めて。だから、この優遇をいつまでも続けるかどうか私は議論がある、こういうように思っているのです。

むちはやりません、むちはやらないけれども、今も人口が少ない方が一人当たりの交付税額はかなりふえていますから、こういう状況をいつまでも続けるかどうか、交付税の総額の議論もあるし、これは検討させていただきます。こういうことを私は全国町村会にも言っているわけでありまして、そういうことを含めて、総合的にどういう方法が合併を進めることになるのか、しっかりと検討させていただきます。

今の法律でとっている優遇措置は、これはこれで続けさせていただきたいと思いますので、そこは御理解賜りたいと思います。

武正委員
以上で終わります。ありがとうございました。 

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