【文部科学委員会】 学教法改正について
2001年06月01日
■武正委員
民主党・無所属クラブの武正公一でございます。
まずは、委員長を初め委員各位におかれましては、質問の機会をいただいたことに感謝を申し上げる次第でございます。また、大臣、副大臣におかれましては、小泉内閣の文部科学大臣、副大臣ということでの御就任、おめでとうございます。
さて、まず初めに、学教法改正についてお伺いをさせていただきます。
こちらに、「社会奉仕体験活動、自然活動等の体験活動の充実」という項目がございますが、社会奉仕体験活動ということでございまして、小学校の学習指導要領では「総合的な学習の時間の取扱い」で、「自然体験やボランティア活動などの社会体験、」というような記載。
あるいはまた、総理の私的な諮問機関である教育改革国民会議最終報告では、「子どもの自然体験、職場体験、芸術・文化体験などの体験学習を充実する。」これが一項目。
二項目めが、「小・中学校では二週間、高校では一カ月間、共同生活などによる奉仕活動を行う。」ということで、分けて書かれているわけでございます。
何ゆえ社会奉仕体験活動と一緒くたにしてしまったのか、あるいは、ボランティアという言葉を使わず奉仕という言葉を使ったのか、御所見をお伺いしたいと思います。
■遠山国務大臣
もう申すまでもないかとは思いますけれども、児童生徒に社会性や思いやりの心など豊かな人間性をはぐくむという観点から、児童生徒に対して社会奉仕の精神を涵養するということを目的とした体験活動を行うことは極めて重要であるわけでございます。
今回の改正におきまして、このような活動を法律上規定するに当たりまして、社会奉仕という言葉を用いたわけでございますが、これは、従来から、学習指導要領におきまして、社会奉仕の精神を涵養する体験を得られるような活動の用語として用いてまいっておりまして、学校現場においてはその言葉が定着している用語でございます。
なお、平成十年の学習指導要領におきましては、「ボランティア活動など社会奉仕の精神を涵養する体験が得られるような活動」ということで、むしろ社会奉仕という用語の一つの例としてボランティア活動を位置づけているわけでございます。
したがって、より広い概念でありますところの、「社会奉仕の精神を涵養する体験が得られるような活動」という用語を引き続いて使用しているところでございます。
したがいまして、社会奉仕体験活動という用語を使用することが適当であると判断したものでございます。
■武正委員
先ほど私は、小学校の学習指導要領と総理の私的な諮問機関、教育改革国民会議の最終報告を例に引き出したわけでありまして、それぞれそういった例があるということでございますが、今の、大臣は大臣としての御所見ということでございまして、やはり、奉仕、ボランティア、いずれの用語を用いるのか、あるいはまた、社会奉仕体験活動ということで何ゆえ一緒くたにするのか、これが非常にわからないというふうに思います。
教育改革国民会議で書いてありますように、体験活動と奉仕活動ということで分けて書けばよいのではないかなというふうに思うわけでございますが、再度御所見をお伺いします。
■岸田副大臣
何ゆえに一緒にするのか、社会体験、奉仕体験、分けたらどうかということですが、今回の改正によりまして、要するに体験活動の重要性を強調しているわけでありますが、広い意味で、奉仕活動、社会活動、すべてこの体験活動の一部だというふうに考えております。
その体験活動の中で特に重要な例示としましてこういった形で挙げさせていただいたということでございます。
そういった趣旨で、こういった言葉を使ったと御理解いただければと存じます。
■武正委員
過日の委員会でも、副大臣からモデル事業などの例示もあったわけでございますが、同僚委員からも、里山での作業あるいはごみの清掃など、いろいろとモデル事業が示されております。
今は、モデル事業ですから一週間とかいう形でございますが、奉仕の体験ということで、果たしてそれが子供にとっていかがなものかなということで、やはり疑念が呈せられているわけでございます。
私は、社会体験と奉仕活動はやはり分けてきちっと取り組むべきであって、拙速に社会奉仕体験ということで一緒にするのはいかがなものかと考えるわけでございます。
先ほど例示を出しましたが、小中学校二週間、高校一カ月というようなことでございます。
まだこの法文にはそういった期間を明示はしておりませんが、こういったことがもしそういう期間でということで進むとすれば、夏休みをまとまって利用しなければ、例えば高校生一カ月はとれないだろうというふうに考えるのですが、この期間についてはいかがでございましょうか。
■岸田副大臣
先生御指摘のように、期間につきましてはこの法文の中に何も触れていないわけであります。
そして、これからのあるべき姿としましても、体験活動というものはいろいろな形が想定されます。
それぞれの地域におきましてどんな体験活動をするのか、さまざまな体験活動のバランスですとか、あるいは、何よりもその受け入れ体制の状況、こんなことによりまして、いろいろなケースが考えられると思っておりますので、このあたりは柔軟に対応するのが適当であるというふうに考えております。
ですから、今回は、その期間等は明示することなく、要はその体験活動を促進するという理念を明らかにする、このことに力点を置いております。
■武正委員
柔軟にというお言葉が出ましたので、一つ安心をするところもあるんですが、このようにどうしても期間がひとり歩きしまして、そうしますと、やはり夏休みをということになりまして、体験といいながらも、ある面強制ではないか、本当にそれが子供の奉仕という意味でよいのかどうか、拙速を心配する声がやはりあるわけですね。
ということですので、既にモデル事業とかいろいろ示されておりますが、やはりそれは、地域地域、あるいはそれぞれの教育委員会教育委員会、あるいは学校学校ということで活動をこれからやっていこうとするのであれば、それぞれの状況に応じて任せていくということでございまして、やたらモデル事業というものを提示しないといったことが必要ではないかなというふうに思っております。
次に移らせていただきます。
平成十二年度からもう始まっておりますが、先ほど大臣から平成十年度の教員免許法の改正というお話がございました。
特に、小学校の教員免許の改正では進路指導を二単位加えたということは、過日、同僚の山谷委員と大臣とのやりとりでも出たと思います。二単位ぐらいでは少ないわよというようなお話がありましたが、これも大変な議論で、審議会で入れる入れないで大変な議論があって、やっと入れることができたということでございますが、私は大変大事なことだなというふうに思っております。
進路指導を小学校段階から、あるいは職業についての意識づけを小学校段階から進めていくということが大事なんだなというふうに思っておりまして、そうなりますと、今回の学教法の十八条を見る、そして三十六条を見たときに、二号を読みますと、中学校における
「社会に必要な職業についての基礎的な知識と技能、勤労を重んずる態度及び個性に応じて将来の進路を選択する能力を養うこと。」
という記載がありますが、ここまで全部書かなくても、少なくとも小学校段階でも、学ぶことと、そして働くことの意義を結びつけるようなことというような書き込みがあってもよいのではないかなというふうに思うのですが、その御所見をお伺いします。
■岸田副大臣
学校教育におきましては、児童生徒の発達段階に応じて適切な目標とか内容を設定し、かつ適切な方法が行われることが肝要だと考えておりますが、小学校段階においては、日常生活において必要な基礎的な事項についての知識、技能を身につけさせることが重要だと考えておりまして、要するに、何らかの職業を前提とした具体的な知識、技能について指導することまでは適切ではないのではないかという認識でおります。
ただ、その一方、児童に勤労の価値あるいは働くことの必要性、すばらしさ、こうした喜びを体得させる、このことは大変重要なことだと思っております。
ですから、働くことの意義を理解させる、この部分を小学校段階においてはしっかりと強調して学んでもらう、このことが大切だというふうに考えております。
■武正委員
半歩前進したのかなというふうに思っておりまして、ありがとうございます。
さて、兵庫県でトライやる・ウイークという事業が進められておりまして、よく多くの議員の方々が引き合いに出される事業でございますが、このトライやる・ウイークの意義について、評価をどのようにされているか、御所見をお伺いします。
■遠山国務大臣
私もこの事業につきましてつぶさに知っているわけではございませんけれども、資料を通して拝見いたしますと、生徒が五日間、実社会において、学校ではできないさまざまな活動に挑戦できるということを通じて生きる力を育成するということでございまして、
一週間、これは中学校の二年生全員でありますけれども、そういう年齢段階の人たちが、いろいろ自分の目指す研修先でボランティアの指導のもとに活動ができるということはすばらしい体験であろうと私も考えております。
■武正委員
このトライやる・ウイークについてでございますが、やはりこの研修先、場所をいろいろ見つけていく、あるいは交渉というのがなかなか大変だというような現場の教員の声が上がっております。
また、この分野を見てみますと、平成十年度七二・一%、平成十一年度七一・一%が職場体験活動ということでございまして、ボランティアあるいは文化芸術創作活動、勤労生産活動もあるのですが、やはり七割を超える内容が職場体験といったことになっているわけなんですね。
これがやはり小学校段階から、先ほどの副大臣の言葉をかりれば、働くことの意義というものを実体験を通して学んでいく、体験をしていく、これが非常に有用であろう、あるいは子供たちもそれを希望している、あるいは先生もそういった手配をした、コーディネートをしたということの実態でございます。
さて、先ほど、教師の方がなかなか大変なんだというお話を挙げましたし、先ほど同僚の鎌田委員も、先生は忙し過ぎるんだよというお話がありました。
例えばクラブ活動なども含めて、そしてまた今回、地域の皆様が学校の運営に参加をしていく。
私もよく青少年育成の活動でいろいろな方々とお会いしますが、先生方もそういったところへいろいろ出てこられます。
ですから、ますます先生がいろいろな活動にかかわらなければならないということの中で、私は、やはり教師、教諭の方々との連携を前提として、外部の専門家を小中高で、特に今言いました、例えば職業、働くことの意義づけ、あるいは今のようなトライやる・ウイーク、そしてまたこれからの体験学習、さまざまなところでいろいろな活動をしなければならない、どこで活動をしたらいいのか、どこの会社、あるいはどこの職場がいいのか、いろいろな交渉もしなきゃいけない、そんなときに外部の専門家が非常に有用ではないかなというふうに思っております。
特に、今回の改正で、まず学教法では、関係機関との連携を挙げております。
さらにまた、これは今度教育委員会にまで広がりますが、地教行法では、相談体制というものも打ち出しております。
さらに、社教法では、体験活動の機会を提供する事業の実施ということも教育委員会に明示しているということで、教師そしてまた教育委員会に課せられた仕事が非常にこれから多くなっていく。
そのときに、外部の専門家の果たすべき役割というものが期待をされるのではないかというふうに思うのですが、この点の御所見をお伺いします。
■岸田副大臣
今先生が例示として挙げられました職業とかあるいは進路ということを考えましても、日ごろのこうした指導を通してそれぞれの生徒の特性をよく把握している学級担任ですとかあるいは進路指導主事が中心となって、教育活動全体を通して計画的、組織的に行うこと、これはまず大事だというふうには思っておりますが、ただ、今御指摘がありましたように、こうした職業等につきましては、外部の人材を活用する、やはりいろいろな経験を積み、さまざまな見識を持った外部の人材を活用するということ、これは大いに有効だというふうに思っております。
ですから、地域の企業の実務経験者等をキャリアアドバイザーとして活用する方法ですとか、あるいは、今スポーツ等のお話もございましたが、外部の人材を活用するということ、これは大いに検討すべきものだというふうに認識しております。
■武正委員
そういった中で、きょうは厚生労働省の方もお見えでございますが、厚生労働省では、第七次職業能力開発基本計画の中で、キャリア形成支援を担う人材育成ということを挙げております。
実は、スクールカウンセラー制度というのは、もう既に平成四年度から導入されておりまして、これも財団法人の認定ということで資格も与えているのですが、職業を含めた進路指導についてのコンサルティングあるいはカウンセリング、これについての資格がまだ日本にはございません。
民間では幾つかあるのですが、まだまだ公的というか、あるいは多くの広がりを持った形では、特に厚生労働省さんあるいは文部科学省さんがかかわる形でもまだつくられていないということでございますが、厚生労働省さん、このキャリア形成支援を担う人材育成の資格要件の創設について、どのような御所見をお持ちでしょうか。
■酒井政府参考人
先生今御指摘になりました第七次の基本計画、先般、都道府県にもお示しをいたしたわけでございますが、実は先生御案内のように、労働移動が大変頻繁な時代になっておりますから、事業主主導の職業訓練に加えまして、自発的に職業能力開発を進めるということを実は今国会でも法改正させていただきました。その趣旨を含めまして五カ年計画を示したわけでございます。
その際に、やはり御自身でキャリアを形成していく、職業生涯を形成していくという場合には、これを裏づけるところの、あるいは支えるところのコンサルティングが必要だということで、今その点を先生御指摘になったと思います。
十月から、全国の都道府県のセンターにおきまして、私ども、キャリア形成支援コーナーというものを設けて、スタートさせることにいたしております。
十月でございますので、公的なものとしてはそういう経験をどんどん進めていく予定にしております。
恐らく先生御案内と思いますが、キャリアシートを使ってのコンサルティングということでございます。
今先生おっしゃった、民間におきましてキャリアコンサルタントあるいはコンサルティングということでいろいろな取り組みがなされているのも、私ども存じております。
それから、各党でも、あるいは先生の御党でも、キャリアコンサルタント制度を制度化すべしというようなお声もあるのも存じております。
私どもといたしましては、これからスタートさせるような事業の推移を見ますとともに、民間の方々のお取り組み、そういうものを見ながら、このキャリアコンサルタントといいましょうか、こういうことの専門に当たられる方の社会的位置づけについて十分検討していきたいと思っておるところでございます。
今先生おっしゃいました教育の場での話につきましても、いずれ私ども、そういうことで鋭意急いで取り組みたいと思っておりますけれども、教育の場でもお取り組みになる場合には、またその際に連携をすることも必要になってくるのではないかというふうに思っておるところでございます。
■武正委員
中教審では、各学校段階及び大学などで、卒業後における社会との接続をも視野に入れて、キャリアガイダンス、ガイダンスカウンセリング、これについての提言が出ているわけなんですが、今厚生労働省さんから、そういった資格要件について、文部科学省さんと一緒にというか、連携という言葉が出たのですが、これについての文部科学省としての御所見はいかがでしょうか。
■岸田副大臣
ただいま厚生労働省の取り組みについてお話があったわけでありますが、一つ考えなければいけないこととして、労働者を対象とする場合と生徒を対象とする場合、その支援方法とか内容の相違については考えなければいけないというふうに思っております。
このあたりは検討しなければいけないとは思っておりますが、ぜひ、今厚生労働省で検討している事柄につきましては、文部科学省としても積極的に協力していきたいと考えております。
■武正委員
ぜひ共同での資格要件の創設についての積極的なお取り組みをお願いしたいと思います。
まさに、今はやはりこれからの、職業について、あるいは雇用についての心配がたくさん出ておりますし、よく就職の七五三というようなことも出ておりまして、やはり小学校段階から職業についての意識づけが始まり、そして、中学、高校と進むにつれて、自分がどういう職業にという意識づけをよりはっきりさせていく、これが教育段階で求められ、そして卒業後についての厚生労働省との連携もまた密にということを願うのは私一人ではないと思うからでございます。
さて次は、今回法案に出されております飛び級についてでございます。
私どもの党の部門会議で、同僚議員、特に理数系出身の同僚議員からこんな意見が出されました。飛び級ということで、これまで物理、数学に限定をしていた。
彼いわく、彼女でもいいのですが、同僚議員いわく、やはり物理、数学というのは、それこそ学問で言うと非常にスポーツに似たようなところがあって、よく八歳とか九歳くらいで大学レベルの天才があらわれるといったことで、千葉大、名城大では、物理、数学ということで限定したのだろうということです。
この飛び級について今回すべて開放しようということを進められようとしておりますが、やはり限定というものは必要ではないのかなと考えるのですが、この点の御所見をお伺いします。
■岸田副大臣
今先生御指摘ありましたように、この制度は数学、物理に限定してスタートしたわけですが、今二十一世紀を迎えまして、我々の社会は大変なスピードで複雑化し、そして変化をしております。
ですから、学問分野自体も、従来の仕切りの枠を超えて複合化あるいは学際化というのでしょうか、こういった動きがどんどん進んでいると思います。
先日も、委員会で、例えばバイオインフォマティックあるいはデリバティブ、あんな例を挙げて御説明したかと思うのですが、こうした生物学ですとか、あるいは情報学、あるいは金融、あるいは数学なんかも融合してくる。
こうした学問の状況を考えますと、数学と物理学というようなことで、単純に線を引いて枠をはめていいのだろうかというような問題意識が、まず一つあると思います。
また、今現実の動きとして、高等学校と大学の連携、高大連携なんて言われておりますが、こうした聴講生の受け入れ等もどんどん進んでおりまして、これは現実問題として、物理や数学以外の分野においても行われてきているところであります。
こうした現実を見るときに、この制度がどうだろうかということを考えるわけですが、やはりこれはいろいろな考え方があるのでありましょう。
やはり自主的な判断、現場の判断というものを尊重することが大切ではないか。
そして、何よりも、さまざまな分野で才能を伸ばせる機会を学生生徒に与えるということ、これが大切ではないか。
こういったことで、とりあえず自主的な判断に任せるという意味で、今回その分野の限定を外したということでございます。
■武正委員
先ほど、幾つかの例示を副大臣は出されましたが、それも、ある面かなり限られた、物理、数学を駆使したような分野がかなり多かったように私は受けとめたのですが、そういった意味では、この限定というものをすべて外してしまうというのはいかがなものかなというふうに考えるわけでございます。
さて最後に、教育委員会の活性化についてお伺いしたいと思いますので、ぜひ、まず大臣から御答弁をお願いしたいのです。
今回の地教行法の改正で、教育委員会の委員に保護者を加える。これは保護者と同年齢の方というようなエクスキューズも、ただし書きもちょっと聞いたのですが、要は、教育委員会の活性化ということは大いにやっていただきたいというふうに思うわけでございます。
現状が出されておりますが、すなわち、都道府県では二九・四%、市町村では三四・四%が教職経験者ということでございますが、この教育委員会制度というのは非常に、まだまだ改革をしなければいけないのではないかなというふうに私は思っております。
そもそもが、戦後はまず公選ということで、委員は公選、教育長は任命と。ある面、委員はそれこそ広く、教育のプロでなくてもいいよ、しかし教育長はプロだよといったことが途中で法改正になったわけですね。ですから、私は、教育委員が必ずしも教職出身、あるいはプロでなければならないということはないだろうということで、今回の改正を是とするわけでございます。
そういった中で、全国市長会から要望が出されている。まず人事について、県教委の人事が強いのではないか。これは、教職員について県教委でそれこそ決まってしまうといったことが一つ。
それから、やはり文部科学省の縦系列の指導が強いというのが市長会から出されております。
そして、できれば、今市長さんたちが力を入れている生涯学習分野、やはりこれを市町村長の所管にしてほしいというのが三つ目。
そして最後に、そうはいっても、やはりしっかりと教育委員会と首長の連携を図っていくべきだろうというようなことを出しております。
既に御案内だと思いますが、この全国市長会からの要望「学校教育と地域社会の連携強化に関する意見 分権型教育の推進と教育委員会の役割の見直し」、本年二月十九日付でございますが、これについての御所見をお伺いしたいと思います。
■遠山国務大臣
全国市長会がことし二月十九日にまとめました「学校教育と地域社会の連携強化に関する意見」におきまして、学校と家庭、地域が一体となった地域連携型の教育を目指して、現在教育委員会が担っている事務のうち、学校教育に関するものを除き市町村長の所管とすることなどが提言されているのは承知いたしております。
しかしながら、教育委員会は、教育行政の中立性と継続性を担保するという観点から、市長とは別に合議制の執行機関として設けられているものでありまして、そうした要請というのは学校教育には限られないのではないかと思います。
また、学校、家庭、地域が一体となって教育、文化、スポーツ等の振興を図っていくためには、教育委員会において統一的にこれらの事務を行うことが必要と考えております。
さらには、さまざまな分野についての知識や経験を有する教育委員が合議によって意思決定を行うことによって、教育行政に住民の多様な意向や価値観を反映させることができると考えます。
こうした観点を踏まえますと、今後とも、生涯学習や文化、スポーツを含めて、教育委員会制度の果たす役割は大変重要と考えられます。
ただ、私は、教育委員会の仕事が本当の意味で活性化をし、生き生きとした実績を上げていくには、首長部局との十分な連携をとっていかなくてはいけないと考えておりますので、地域に根差した主体的かつ積極的な教育行政を今後とも展開していただきたいと考えております。
■武正委員
私は県議会議員を五年やっておりまして、そのときに感じたんですけれども、何か教育の独立性、教育委員会の独立性ということで、どうも知事部局なりが教育について物申すのに遠慮しいしい言っている。知事がそういう姿勢ですから、それに対して議会もやはりなかなか物が言えないようなところを感じておりました。
昭和二十三年、当初の教育委員会法には、「この法律は、教育が不当な支配に服することなく、」という書き込みがございました。昭和三十一年、地教行法にはそれらの書き込みがなくなりました。
今も大臣から御答弁があったような中立性ということでございますが、国民あるいは県民、市民から選ばれた首長あるいは議会、こういったものとの連携というものは、やはり地元の多くの声を代表しているということからいうと、そこで余りに中立、中立でいってしまうと本末転倒になるのではないかなということを思うわけでございまして、再度この点だけ、御答弁があれば。
■高市委員長
武正委員の質疑時間は終了いたしております。
■武正委員
そうですか。では、最後に意見表明ということで終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。
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