【本会議】 地方自治法等の一部を改正する法律案

2001年06月12日

武正公一
民主党の武正公一です。
民主党・無所属クラブを代表して、地方自治法等の一部を改正する法律案について質問を行います。(拍手)

改革断行内閣を掲げる小泉内閣は、間もなく発足二カ月を迎えます。森内閣当時には、景気回復と構造改革は、まず景気回復優先であったのが、竹中経済財政担当大臣いわく、景気回復と構造改革はコインの裏と表、二匹のウサギは一匹であると転換を行うことを言明しています。
橋本内閣が財政構造改革に取り組み、途中で方向転換した轍を繰り返さず、景気回復と構造改革を実現するためには、一九八〇年代後半からの経済運営や失われた九〇年代の十年の厳しい検証と、その検証により得られた教訓を生かすことが欠かせません。そのことの是非と、どのような教訓を得られたか、お考えをお伺いします。

日米構造協議で四百三十兆円の公共投資を合意し、九五年には六百三十兆円にかさ上げし、十六分野の公共投資基本計画を進めてきたことは見直しが必要です。
例えば、事業費一千兆円と言われる四全総で、道路公団の予定路線は、七千六百キロを一万一千五百二十キロに延ばしました。今、原点を四全総の策定時点に戻して、公共投資の考え方の転換が必要ではないでしょうか。
以上、竹中大臣と塩川財務大臣の御所見を伺います。

平成十四年度予算で国債発行額を三十兆円に抑えることを掲げる小泉内閣は、道路特定財源の見直しを、地方交付税の見直しを挙げました。
しかし、所信表明でも、「財源問題を含めて地方分権を積極的に推進するとともに」の二十五文字しかなかったように、地方分権ということでは小泉内閣の顔が見えません。
民主党は、地方分権を徹底する中で、地方における雇用の受け皿を、福祉、環境、NPO産業に求めています。さらに、緑のダム構想にて、山の手入れを継続的に行うことによる雇用の創出も提案しています。そして、百花繚乱の地方(まち)をつくることで、地域地域の個性的で自立した産業や経済が生まれ育つと考えます。
きのう、素案が示され、今月末には骨太の方針を打ち出す経済財政諮問会議の担当大臣である竹中大臣に、景気回復と構造改革における国と地方の役割分担をどのようにお考えか、伺います。

あわせて、経済財政諮問会議で本間委員が指摘したように、国債発行額を抑えた分を地方債発行という抜け道をとらないことの確認を塩川大臣にさせていただきます。(拍手)
次に、道路特定財源は平成十三年度で五兆五千億円、地方自治体分はそのうち二兆三千億円になります。道路特定財源の見直しが地方税収に与える影響を心配する声があります。

先週の党首討論でも、小泉首相は、見直すと言ったら見直すんだ、しかし、具体的な中身は参議院選挙後の一点張りでありました。
宮澤前財務大臣は、経済財政諮問会議が依頼して、経済社会総合研究所がつくる複数の財政再建のパターンをこの夏、提示する、それを国民が選択すると述べています。この中には、歳入構造の見直しとして、消費税の税率のアップなどが想定されると言われています。
増税はしないと言う小泉首相ですが、この財政再建のパターンも、この夏、すなわち参議院選挙後に明らかになります。いわゆる小泉改革の是非を国民に仰ぐならば、少なくとも道路特定財源の見直しの具体的な内容は参議院選挙前に明らかにすることが小泉内閣の責務と考えますが、いかがでしょうか。(拍手)

また、この見直しは、政府、自治体あわせて、公共事業の見直しの一環としての措置と考えてよいのかどうか、伺います。
さらに、消費税の税率アップなどの増税は行わず、例えば電波のオークション制の実施などにより歳入増を図ることについての御所見を伺います。
以上、塩川大臣のお考えはいかがでしょうか。

次に、地方交付税について伺います。
塩川財務大臣は、基準財政需要額の算定の見直しを行うと述べました。これについては、片山総務大臣も同意をされています。基準財政需要額の算定の見直しを行うことは、法律の改正を必要とします。関連法案は十五本あります。
平成十四年度予算に反映させるにはどのようなスケジュールで改正を行うのか、財務大臣と総務大臣の御所見を伺います。

三割自治と言われた地方自治体の財政も、今、歳入総額に占める地方税割合は、平成十一年度決算で、一〇%以下が二六・八%、二〇%以下が五六・一%、三〇%以下が七四・六%を占めます。六次にわたる政府の総合経済対策の下請を自治体が担い、地方単独事業を進め、地方債が二・七倍の百八十八兆円になったこと、政府の補助金、負担金、交付税のうち、特に交付税で後年度の地方債の元利償還を見てもらう措置に乗り、歳出を膨らませてきたことが理由です。財政の硬直化を招いています。

政府は、地方自治体の財政力を高めるねらいから、市町村を千に統合しようとさまざまな優遇策を講じてきました。本法案では、市町村合併を進めようという視点から、合併協議会に当該請求を行った代表者を加え、意見陳述の機会を義務づけるなどの改正は、当たり前といえば当たり前でありますが、これまでできていなかった点から、評価するものであります。

そもそも、合併が進まない理由はどこにあるかということは、合併しなくても自治体の運営に支障はないという点にあります。すなわち、全国三千三百市町村のうち人口が一万人以下の町村が約五割を占めています。また、交付税制度は、基準財政需要額と同収入額の差のため、支出を減らそうとか収入をふやそうとかの自治体の経営努力を促進する仕組みになっていません。
民主党は、政権獲得後、翌年度の補助金等を全廃し、使途を問わない一括交付金にします。
そして、五年後、税源を移譲するとともに、自治体間の財政調整は、人口と面積要件により算定した交付金を考えています。

片山大臣は、余りに複雑でわかりにくい地方交付税の算定方式の簡素化を打ち出し、特に、本年二月二十七日の総務委員会では、「人口が少ない方が一人当たりの交付税額はかなりふえていますから、こういう状況をいつまでも続けるかどうか検討させていただきます。」との答弁がありました。
しかし、第九回経済財政諮問会議では、遠藤副大臣が出席し、片山総務大臣のメモとして、「受益者の適正な負担」と「段階補正の縮小」を、骨太の方針の見出しから削除を求めています。その真意をお聞かせください。

次に、地方税の充実について伺います。
地方の税財源の充実強化は避けて通れません。民主党は、歳出面で政府と自治体が四対六、税収面で六対四の現状を、五対五に見直すことを打ち出してきました。
片山大臣は、景気が回復したら地方への財源の移譲が可能と発言され、議論を始めると言われ、赤字地方債も三年に限って発行したように、三年たったら景気は回復するとの答弁がありました。小泉内閣になり、景気回復と財政構造改革は一匹のウサギと認識を転換された今、どのようなスケジュールで地方税の税源移譲を考えていますか。御所見を伺います。

同じく、塩川大臣に、地方税の税源充実について伺います。

次に、住民訴訟について伺います。
住民の訴訟対象を自治体の長から自治体などの機関にしようという改正は、全国市長会などから、百万円以下が七〇%強を占める弁護士費用立てかえの点からも要望が出ていたことであります。しかし、職員の不正については、二段階で自治体の長が訴えることにより裁判結果のおくれが懸念されます。
また、市長がかわった場合、前市長の不正をただす裁判を現市長の市相手に起こし、第二弾として、現市長の市が前市長を訴えるという仕組みになります。
また、差しとめ請求は、公共の福祉を著しく阻害するおそれがあるときはできないことになっていますが、いわゆる公共事業の差しとめ請求ができなくなるのではないかという指摘もあります。

また、官製談合については、自治体が費用を持って訴訟することに疑問の声が上げられています。さらに、相手方を削除したことにより企業の責任を問えないという指摘もあります。わかりやすく言うと、談合に加わった職員の弁護費用などを税金で負担することにより、談合した職員及び相手方の弁護に当たり公費を使い、談合を追及する住民と対抗することになります。
一方、自治体が第二弾で自治体の長を訴えるときは、代表監査委員が務めることになります。代表監査委員の自治体の長からの独立性や事務局体制の充実が担保されなければ、実効性は乏しいと考えます。

以上の指摘について、片山総務大臣の御所見を伺います。

また、住民監査請求制度における監査委員と外部監査人の権限を強化した点は、地方分権における自治体運営のチェック機関としての役割を認識した結果と評価するものであります。
そこで、過日、本院を通過した行政評価法における国の委任または補助にかかわる政策評価のうち、自治体分に関しては、行政評価・監視の連携のもと、監査委員及び外部監査人との協力体制が必要と考えますが、総務大臣の御所見を伺います。
小泉内閣は国民の圧倒的な支持を受けています。政治に対する関心も高まっています。

その手法は、首相のリーダーシップをもって方向性や具体的な政策を国民に示し、その国民の支持を確認して、トップダウンで進めようとしています。
であるならば、国権の最高機関である国会の議論を通じて、わかりやすく国民に小泉内閣の目指す方向性や具体的な政策を伝えるべきであります。
党首討論の時間が四十分では説明責任を果たしていないと考えますが、いかがでしょうか。(拍手)

また、今通常国会のNOx法審査や行政評価法審査で明らかになった各省間の覚書は法律に書き込むべきであり、省庁間の問題点は国会の議論の土俵にのせることで、行政をわかりやすくするべきであります。官房長官の御所見を伺います。

最後に、国民に痛みを求めるという小泉首相の痛みを求める国民とは、政官業の癒着で守られてきた族議員であり、組織防衛に努める縦割り官庁であり、既得権益を持つ業界、団体であるはずで、決して一人一人の国民に安易に痛みを求めてはならないということを最後に申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)

〔国務大臣竹中平蔵君登壇〕

■国務大臣(竹中平蔵君)
私に対しては三つの質問があったかと思いますので、お答えさせていただきます。  
第一は、失われた十年の検証と、それにより得られた教訓についてであります。  
二点申し上げたいと思います。  

最大の政策上の教訓は、やはり資産デフレ、大幅な資産デフレの影響というのを私たちの社会全体が過小評価してしまったということではないかと思います。
これについては、九二年から九四年までの成長見込みを非常に高く政府見通しが見積もっていたということの中に象徴的にあらわれていると思いますが、同時に、民間のシンクタンクも同じような高い成長見込みをその当時、掲げていました。
その意味では、社会全体の資産デフレというものに対する知的なストックが不足していたということを、これは学者も含めて、ジャーナリズムも含めて恥じるべきだというふうに考えます。  

政策に関してもう一点申し上げますことは、九七年から九八年にかけて一種の危機的な状況が起こってしまった、危機的な状況が起こりますと、これは、なりふり構わず財政金融の政策を発動せざるを得なくなる、それによって、しかし一方で、非常に大きな財政の負担、赤字の負担を負ってしまったということではないかと思います。
その意味で、そういった政策を受けて、安易に需要の拡大に頼らない構造的な政策が今求められている、それをぜひ実行したいというふうにも認識するわけであります。  
第二の質問は、公共投資基本計画と公共事業関係長期計画についてのお尋ねであります。

これらの計画は、国民が豊かさを実感できる社会に向けて、社会資本の整備という点でそれなりの大きな役割を果たしてきたということは間違いありません。しかし一方で、資源配分を硬直的なものにしたというような批判も、これは十分にやはり傾聴に値するわけであります。
結局のところ、社会資本については、新しい時代の変化に対応して、やはり効率的で重点的な配分を進めなければいけない、そのための新しい仕組みづくりをしなければいけないということに尽きると思います。

骨太の方針では、そういった社会資本の問題というのを非常に大きなテーマの一つと位置づけておりまして、幾つかの議論を最終的に、今、詰めているところであります。六月末の骨太の方針の中で、このような議論をさらに詰めていきたいというふうに考えます。

第三の、国と地方の関係についてのお尋ねであります。
国の過度の関与を縮小して、自立した地方が多様な個性と創造性を発揮して競争していくということが、地域の活性化につながるし、同時に効率的な資源配分ももたらすということは、もう間違いないと思います。

個性ある地方の競争ないしは自立した国、地方の関係の確立等、こういったテーマに基づいて、経済財政諮問会議の骨太の方針の中では、国と地方のあり方を根本的に再検討しております。
受益と負担の明確化という観点からこの議論を今、詰めているところでありますので、骨太の方針に沿って御報告をさせていただきたいというふうに思います。
 ありがとうございました。(拍手)

〔国務大臣塩川正十郎君登壇〕

■国務大臣(塩川正十郎君)
武正議員にお答えいたします。
短い時間で随分とたくさん御質問されましたので、ひょっとしたら答弁漏れがあるかもわかりませんが、十分注意してお答えいたしたいと存じます。
まず、第一点のお尋ねでございますが、八〇年代後半からの日本の経済の運営はどうであったかということについてでございます。

竹中大臣が先ほどお答えになりましたので、重複を避けまして、私の感想を申し上げますと、九〇年代になりましてから日本の経済も変わってまいりましたが、しかしながら、右肩上がりの、それ行けどんどんの経済方式で依然として景気対策をやってきたということは間違いなかったと思うのです。
それが効果がなかったということではございませんけれども、それがために経済の構造改善は余り進んでいなかったと思っております。

しかしながら、いつまでも右肩上がりではございませんので、そこで、根本的に経済の構造を変えなければならぬ、財政の構造も変えなければならぬということで、今回、小泉内閣が「聖域なき構造改革」ということをテーマにして登場いたしましたのは、その使命感をしょっておることだと思っておりますので、私たちも、これからの制度の改正と同時に、その改正した、規制緩和をしたその力をもって新しい経済の力をつくっていきたい、こう思っておる次第でございまして、構造改革をしながら景気回復に懸命の努力をしていきたいと思っております。

それから、二番目のお尋ねであったと思うのでございますけれども、日米構造協議において六百三十兆円の公共投資をして、十六本の公共投資計画を進めてきた、この見直しをどうするかということでございます。
確かに、長期計画をつくりまして公共事業を進めたことが、そのことが予算に対して大きい硬直状況をつくったということは、これは事実であろうと思っておりますけれども、これによって、日本の経済基盤、社会基盤はしっかりした、基礎を固めたということもまた事実でございます。

ここにおいて、公共事業のあり方等についても、やはり財政を拘束しない、硬直させない範囲において、軽重をわきまえた、けじめのある投資をしなければならぬということでございまして、その見直しにつきましては、法律で裏づけられておるところの長期計画は、これを推進いたしますけれども、しかし、法律に裏づけられておらない長期計画につきましては、今後においてのその効用等を十分見定めて、計画の練り直しをいたしたいと思っております。
これにつきましては、現在進められておりますところの経済財政諮問会議において十分な検討をいたすつもりでございます。

それから、道路財源についてのお尋ねがございました。
道路財源は一般財源化するということを一つの目標にいたしております。
確かに、道路財源が設定されましたその当時から見まして、現在の道路財源が経済的に、あるいは地域開発的に果たしていく役割というものも相当充実してまいりましたし、また、変わってまいりました。したがって、ここ五十年近く続けてまいりました道路特定財源の使い方につきまして、もう少し幅広く、いわば私たちの生活、あるいは地域の密集地帯における解消のために使うべきではないかと思うのでございまして、道路特定財源の創設された使命を尊重しながら、これの多様化を図っていきたい。

その上におきまして、さらに、一般化への問題は将来の問題といたしまして検討し、必ず一般財源化してやっていきたいと思うのでございますけれども、そのためには、ガソリン税あるいは重量税等を納税していただく方々の御意向も十分に参酌しなければならぬと思っておりまして、せっかちな改正というよりも、十分納得のいく方法で一般財源化へ進めていきたいと思っております。

それから、非常に関心の高い御質問でございましたが、例えば電波オークションの制度を実施してはどうか。
これはなかなか新しい提案でございまして、私もこれは注目しておるところでございます。ちょっと静かに聞いてください。
増税を行わずに、例えば電波オークション制度を実施して歳入を図る、これはなかなかいいアイデアだと私は思っておりますし、構造改革なくして景気回復なしと言っているその考え方にも合致するものだと私は思っております。

つきましては、この電波オークション制度の実施につきましては、これは所管が私、財務省じゃございません、総務省の関係になるのじゃないかと思いますので、総務大臣、来ておられますので、後でお答えいただければ結構かと思っております。
それから、地方交付税に関して、基準財政需要額の見直しのためには法改正が必要と考えるが、平成十四年度に向けてどのようなスケジュールで見直すのか、こういう御質問でございまして、これは非常に私たちの関心の高いお尋ねでございます。

小泉内閣としては、財政構造改革に取り組む中で、十四年度並びに十五年度の予算編成に当たっては、国と地方が協力して、聖域なく歳出を見直していき、その歳出の中で行政単価を一度根本的に見直してみたい、そして経費の節約を、確実に実りをとっていきたいと思っております。

地方交付税につきましても、こうした観点を踏まえまして、予算の編成過程及び地方財政計画の策定を通じて、市民が要求するところの最小必要な行政要求に対しまして、そういうものを十分に見直した上で、地方歳出について聖域なき見直しを行う。

そして、所要の交付税額を決定して、これは保障いたしますけれども、しかしながら、交付税の中で、地域において相当相違あるもの等は、これは修正していかなきゃなりませんし、また、交付税の配分につきましても、ニーズの高いところとそれの濃淡によりまして、新しく交付税をし直すということも必要ではないかと思っておるのでございまして、要するに、国も節約いたしますから、地方も十分に節約していただきたいというのが私たちの趣旨でございます。(発言する者あり)したがって、それに伴って法改正をいたしますということでございます。

地方への税源移譲と地方税の充実に関する私の所見を問うということでございます。
地方税財源につきましては、国と地方を問わず、やはり行政の最低限はどの程度のことなのか、過大化していきますところの行政需要というものを限りある財源で賄い切れるものでございませんので、この際に、シビルミニマムあるいはナショナルミニマムというものをしっかりと見定めて、歳出水準を考えていくべきだと思っております。

それから、八〇年代後半から……(発言する者あり)質問が多かったのでね。――交付税、補助金等を削減して、税源の移譲により国税を減税し、その分、国の交付税総額と減らして、財政構造目標の三十兆円以下にできるようにして、そして地方に財源を移譲したらどうだろうかということであります。  
税金というものは、全部、国民に払っていただくものでございまして、それを国と地方とに分けておるのでございますが、財源の移譲といいましたら国から地方へ移すということでございますから、移していったら国が減るのは当然でございます。そうすると、国の財政も困る。

したがって、これからの見直しの必要なのは、国と地方との財源をどう配分するかということでございまして、移譲ではなくて、私たちは、配分のことについて協議をしよう、それによってお互いのニーズとして沿うところの財源を確保したらいいではないか、こう思っておるのでございまして、これは、経済財政諮問会議の中で必ず検討していただいて、適正な方向を出していただくようにいたしたいと思っております。
以上でございます。(拍手)


〔国務大臣片山虎之助君登壇〕

■国務大臣(片山虎之助君)
武正議員から何点かの御質問がございましたので、順次お答え申し上げます。

まず、地方交付税の見直しに係るスケジュールでございます。
先ほども財務大臣からお話ありましたが、地方交付税というのは、毎年度の地方財政計画を策定する際に、その年度の地方交付税を幾らにするか、こういうことが決まるわけです。

地方財政計画は、御承知のように、すべての地方団体の収入と支出を集約いたしまして、その結果、毎年度かなりな財源不足額が出る、それを地方交付税で埋める、こういうわけでございまして、今は、国税五税の一定の比率を交付税にいたしておりますけれども、それで足りればもちろん結構でございますけれども、足りない場合にはいろいろな手だてでそれを補てんしていく、こういうことにいたしております。
そこで、交付税が決まりましたら、その交付税を算定する技術的ないろいろな基準として、基準財政需要額と収入額の中身を固めていくわけであります。

基本的には、まず地方の歳出をどうするかということ、収入がどのくらい見込めるかということ、その差額を地方交付税で補てんして、それを基準財政需要額、収入額という技術的なやり方で中身を固めていく、こういうことでございまして、これは毎年度、予算編成のときに内容は固まる、こういうふうに御理解を賜りたい、こう思っております。

それから、地方交付税のこと等につきまして、経済財政諮問会議で、おまえの方から意見を出したではないかと。
実は、二点出しました。武正議員の言われるとおりでございまして、一つは、「受益者の適正な負担」という項目は落としてくれと。
これは、公共事業の地方負担額に対する交付税措置の記述でございますけれども、同じことがよそにもあるのです。

それともう一つは、地方の歳出を切り込むためには、地方の歳出の七割は国絡みなんです、公共事業、社会保障、教育で。
この国の歳出の方の見直しがなければ、地方の歳出そのものの見直しはないのです、実は七割がそうですから。
そういう意味で、むしろ公共事業の見直しの方が先なので、ここで麗々しく、受益者負担の云々というのは、落としておいた方がまとめとしてはいいのではないか、こういう意見を申し上げたわけであります。

それから、「段階補正の縮小」は、これは御承知のように、規模の小さいところを優遇する補正でございまして、このものの見直しはいたします。
私は、段階補正の時代的な要請は満たしてきた、こう思っておりますから、現時点で見直す必要があると思いますけれども、これを経済財政諮問会議のあそこにかけますと、市町村合併のためにこれを一つのてこにするのじゃないか、こういう疑心暗鬼を市町村の方に持たれるといかがかな、こう思いまして、削除を求めたわけでございます。
なお竹中大臣の方と調整いたします。

それから、二兎・一兎論というのがありまして、おまえは税源移譲は景気が回復してからだと言っておったけれども、今、変わったのかと。  私は、基本的に変わっておりません。
ただ、国から地方への税源移譲は、議論をこれから始めます、もう既に議論をいたしておりますけれども。

そこで、今、財務大臣は、税財源の再配分だ、こう言いましたけれども、我々は、今、国と地方は税を六対四で分けているのです。国が六割、地方が四割。
ところが、実際の仕事は、地方が三分の二やっているのですね、国が三分の一で。
国が収入の六割を取りながら仕事は三分の一、地方は収入の四割で仕事は三分の二で、ここに、受益と負担といいますか、収入と支出の乖離があるので、これをできるだけ詰めたい、できれば五対五ぐらいが一つの考え方ではなかろうか、こう思っておりますから、再配分でも税源移譲でも、地方の取り分をふやすということが我々の考え方でございまして、その議論は、地方分権の今、私はすぐ始めなきゃいかぬと思います。

ただ、現実問題として、御承知のような財政状況ですから、それじゃ、来年度すぐなるかどうかということは、今それを盛んにあれしても、やや現実的ではないのではなかろうか。
議論は始めます、しかし、それはやはり景気回復との関係が相当ある、こういうことを申し上げているわけであります。  

それから、住民訴訟につきましては、大変細かい質問がございましたので、要約して答弁させていただきます。

まず、今回の改正による裁判結果のおくれの懸念についてはと、こういうことでございます。
今回、二段階にしたわけですね。執行機関にまず訴訟を起こしていただいて、そこで勝訴、敗訴の場合に、当該本人に執行機関が求償する、こういう仕掛けにしたわけでありますが、第一段階目の訴訟において、執行機関等から長や職員個人、当該当事者に対する訴訟告知を義務づけておりますから、訴訟が長期化するおそれは、私は、ないものと考えております。

また、前市長の行為について執行機関としての現市長を訴えることや、官製談合等の事例について地方公共団体が弁護士費用を負担することにつきましては、いずれも、当該行為が適法か違法かの判断が、訴訟を起こされた住民の方と執行機関の間が違うわけでありますから、執行機関を相手に争うことが私は適当であると考えております。

さらに、執行機関を被告とすることにより、将来の予防や類似の違法行為の是正のための措置を講じやすいという利点もあると考えます。
また、差しとめ請求の制限につきましては、「人の生命又は身体に対する重大な危害の発生の防止その他公共の福祉を著しく阻害するおそれがあるとき」というふうに法律が書いておりますから、極めて例外的な場合でございまして、公共事業がすべてこれに当たるということはあり得ないわけであります。

また、企業の責任を問えないのではないかということでございますけれども、新しい四号訴訟は、団体が企業に対して有する賠償金等の請求をすることを執行機関に求めるものでございますから、企業そのものの責任は従前と同じでございます。
代表監査委員が提起をする訴訟は実効性が乏しいのではないかということにつきましては、代表監査委員は、第一段階目の訴訟の裁判で決められた額の訴訟の提起そのものを義務づけられておりますから、御指摘の懸念は当たらないものと考えております。

次に、政策評価法、国の行政機関が行う政策評価について、地方団体の補助事業、委託事業についてはどうか。

私は、それを各省庁がみずからの政策評価として、地方団体に対する補助や委託の事業について、いろいろ調査される、評価されるということは結構なことだと思っております。
その場合には、外部監査人なりあるいは監査委員さんと、必要な情報や意見の交換をやる、共同の研修を行うこと、一緒にやる、これは大いに結構なことではなかろうか、こう私は思っておるわけであります。

それから、電波免許のオークション制の導入については、これは総務委員会等で盛んに議論されておりますが、これは大変なメリットもあります。
電波というのは国民共通の資産といえば資産でございますから、これを高く売る方がいいという議論は確かにあるのですが、よその国で、オークションをやっているところで大変弊害が出ておりますから、そういうものをつまびらかに検証した結果、日本としてはどういうあり方がいいのかという結論を、できれば二〇〇五年までに出したいということで、現在、検討に入っているところでございます。
以上、御理解を賜りたいと思います。(拍手)

〔国務大臣福田康夫君登壇〕

■国務大臣(福田康夫君)
武正議員にお答えをします。
まず、党首討論に関してでございます。

国会において政府としての考え方を説明し、あるいは議論を重ねていくことは、国民の前に争点を明らかにし、国民の政治への関心を高めるために重要なことであり、国政を預かる者としての責務であると心得ております。
御指摘のありました党首討論の時間に関しては、いろいろな見方はございますけれども、党首討論のあり方全般について国会改革の一環として国会において決定されたものであり、国会において御議論をいただきたいと思います。

次に、法律案の提出に際してのお尋ねがございました。
内閣提出の法律案については、所管省庁において、法律案の目的等を踏まえ、そこに盛り込むべき事項について必要な検討を行った上、これを法律案に規定して提出しているところでございます。
いずれにせよ、法律案について、国会の場において十分な御審議をいただく中で、国会からのお求めがあれば、所管省庁において、資料の提出や説明など、できる限り協力してまいる所存であります。(拍手) 

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