【衆院総務委】与党の郵政公社法案修正案の矛盾を追及

2002年07月04日

 民主党の武正公一議員は4日、衆議院総務委員会において、郵政公社法案に対する与党修正案の矛盾点を厳しく指摘した。

 武正議員は「与党3党の修正案は、国庫納付金は4年ごとの納付であり、しかも前期4年間より利益が上がらなかったら納めなくてよいことになっている。そうではなく、年度ごとに企業会計原則、財務諸表に基づいて納付すべき」と質した。片山総務相は「郵政事業はこれから公社化しスタートする。最初の中期経営計画の4年間は(国庫納付金を)納める見通しは立たない。儲かるなどとは想定できないし、あくまで健全経営を担保しておく必要がある」などと逃げの答弁に終始した。
(民主党サイトより転載)

【議事録】

武正委員
民主党・無所属クラブ、武正公一でございます。郵政関連四法案並びに修正案に対する質疑を行わせていただきます。
 まず、修正案提出者に伺いますが、郵便局のあまねく全国における設置の明記ということで修正案を出されておりますが、この郵便局には簡易郵便局も含まれるというふうに考えてよろしいかどうか、お答えをいただきたいと思います。

■八代委員
簡易郵便局法の第七条第二項は、公社法第二十条第一項の規定の適用については、簡易局を公社法の郵便局とみなす、こういうぐあいに規定していますね。したがって、含まれる、こういうことでございます。

武正委員
簡易局も含めてあまねく郵便局を配置するということでの修正案でございますが、これまでのユニバーサルサービスということで来ました、全国津々浦々あるいはあまねくということでございましたので、郵便局をあまねく設置というのは、何か非常に違和感のある法案になっているなというふうに私は感じます。
 ユニバーサルサービスということであれば、やはりサービスについてあまねくというのであればいいんですが、郵便局というハードをこのユニバーサルサービスということでとらえるというのは無理があるのではないかという点が一点と、こうした形で公社に郵便局のあまねく設置を義務づけるのは、公社の自由な経営を縛ることにならないか。
 以上二点、修正案提出者にお伺いします。

■八代委員
人の住んでいるところには、国民共有の財産として、ほかの公共機関というのはだんだん山里から消えていくというような状況下でございますけれども、最後のとりで的に、私はこの郵便局というものは国民共有の財産だと思っているんですね。
 そういう意味では、全国津々浦々、あまねく郵便局というものが地域の利便性のために存在する、その拠点として位置する、しかも三事業というものは、身近な人たちの便に供するために、二万四千七百という数からしてみても、私は大変利便性のあるものだというふうに思っておりますので、あまねく設置すると同時に、あまねくサービスというものは、言ってみれば表裏一体的なものだというふうに思っておりまして、そういう意味でも、御指摘のようなサービス面からもユニバーサルサービスの確保が規定されているのであり、ユニバーサルサービス、そのサービスという言葉をとってしてみても、このサービスというものはこれからも普遍なものでなければならないというふうに思っております。
 しかし一方、民間参入ということもございますから、今までのような何でもかんでも縛り切っているというような形ではなくて、自由な、いろいろ経営ということにも期待を寄せなければならないのではないかというような思いを持っておりますので、したがって、御指摘のように、郵便局の、全国に、自由な経営を阻害するということではなくて、自由な経営をむしろ付与することによって、やはり競争の中においてユニバーサルサービスが担保されるような方向が望ましいのではないか、こんなように思っているところでございます。

武正委員
大臣にも修正案について御意見を伺いたいんですが。
 私は、午前中松沢委員も指摘したように、全国で郵便局が置かれていないのが十町村ですか、簡易郵便局がカバーをしているのが五百町村。私は、農協さん、JAさんなど含めてさまざまな形でこのユニバーサルサービスを補完できるとすれば、何もここであまねく全国に設置という書き込みが必要あるんだろうかということで、この公社の自由な経営を縛るのではないかというふうに危惧するんです。
 ぜひ大臣の御所見を伺うと同時に、もともとこのユニバーサルサービスというのは、セオドア・ベールAT&T社長が一九〇七年に、ワンシステム、ワンポリシー、ユニバーサルサービスということで発言したことがもととされておりまして、その発言は、当時司法省からAT&Tの独占に対する批判にこたえる形でこのユニバーサルサービスというものを持ち出したというふうに言われているわけであります。このユニバーサルサービスが、そうした司法省からの独占批判への抗弁といったことがもともとの発端であるということも含めて、これについて、大臣どのようにお考えになるか。
 以上二点、お伺いしたいと思います。

■片山国務大臣
我々は、今の国の郵便局ネットワークサービスを、今度は国営公社に変えますけれども、それは全国あまねくユニバーサルサービスを、生活へもたらす基礎的なサービスをそのまま保障していく、こういう考え方でございます。
 政府の案、閣法では、地域住民の利便の確保について配慮して郵便局を設置、こういう条文を置いたわけでありますが、今回与党の方であまねく全国に郵便局設置ということを追加する、こういうことでございまして、それは、そういうことではユニバーサルサービス確保がより担保される、明確になる、こういうふうに思っているわけでございます。
 サービスと郵便局ネットワーク、ハードな方は、今もお話がございましたが表裏一体でございまして、今の二万四千七百の郵便局がネットワークを組んでいることでユニバーサルサービスが確保されていると我々は考えておりますから、そういう意味で、今のネットワークの仕組みや数を後退させていくということは考えていないわけでございます。
 それから、二点目の、ユニバーサルサービスという言葉は、なるほど一九〇三年に、私も委員の御指摘で勉強させていただいたわけでありますが、AT&Tのセオドア・ベールという社長が言われた、ワンシステム、ワンポリシー、ユニバーサルサービス、こういうことでございます。
 これは、当時AT&Tが反トラスト法上の問題を指摘されていましたので、競争を回避するための発想からの主張ではないか、こう受けとめられた向きがございますけれども、その後の歴史を見ますれば、全米どこでもだれもが電話サービスの利用が可能になってきた、現在のFCCも、アメリカの競争政策の柱の一つがユニバーサルサービスの確保だ、こういうことを言っておりますので、私は、セオドア・ベール社長がどういうお考えで言ったかは定かでございませんけれども、結果としては、ユニバーサルサービスが言葉としては独立して現在根づいているのではないか、こういうふうに考えております。

武正委員
そのAT&Tも分割ということで、やはり百年たちますと世の変遷があるということでございますし、この明治四年に始まりました日本の郵便制度も、約百三十年を経て、さまざまな技術の進歩によって通信手段が確保されているという中で、このユニバーサルサービスも変容を遂げていくべきものというふうに考えるところであります。
 特に、大臣には、当総務委員会で、国土の均衡ある発展から個性ある発展に日本の国づくり、地域づくりは変えなきゃいかぬというようなことも言っておられますので、この全国あまねく津々浦々、NTTの法律のときにも議論がありましたが、これについてもやはり変容を遂げていってしかるべきというふうに考えるわけでございます。
 続いて、修正案提出者にお伺いします。
 今度、この第二項というんでしょうか、二番目の修正として、子会社への、あるいは公社からの出資を認めようということを修正案として提出されております。今、この公社ができる暁には、総資産四百三十八兆、資本金は一・九兆。その資本金の比率が〇・四%ということで、過少資本ということが指摘をされている中で、この公社が出資をする余裕があるんでしょうか。これについてお答えをいただきたいと思います。

■八代委員
公社が出資を行えるようにするということは、郵便事業に民間が参入をする、そういうことですから、おのずと競争原理が働いていきましょうし、公社に経営の自由度を付与しようとするものだというふうに思っております。
 公社は、出資を活用することによって参入企業との競争に適切に対応しつつ、さらに一層のサービス向上を図ってもらうと同時に効率化も含めてやっていただく。そのためには、自由裁量の出資があってもいいのではないかという思いから、こういう修正を求めたような次第でございます。

武正委員
私が聞いているのは、余裕がないんじゃないか、お金がないんじゃないかと、公社が。資本金が一・九兆しかない。ですから、その資本金をふやさなきゃいけない。まず自分の資本金をふやさなきゃいけないのにという指摘があるのに、出資をする余裕があるんですかというふうに伺ったんです。

■八代委員
今のは出資の部分ですけれども、その資本金の問題も、やはり一兆九千億というようなものでは非常に過少資本だというふうに私たちも午前の答弁でさせていただいたんですね。
 ほかの都銀、地銀等々は、大体四・七ぐらいの資本を有するような状況になっておりますので、二百五十兆からの郵便貯金があるとしたならば、三事業一体なものですから、四%ぐらいはやはり自己資本として確保すべきだ、基本額として確保すべきだ、留保すべきだということも御答弁させていただきました。そうすると、十兆円ぐらい。そして、その十兆円をしっかりいろいろな意味で担保しつつサービスをし、そしてまた経営の健全化を図る。こういうことですから、一兆九千億をどのように使っていくかは別としまして、私はそういうことでたえ得るのではないかというふうに思っております。

武正委員
ちょっとお答えいただけなかったので、私は、自己の資本を十兆にしたいという今のお話でしたが、そうするとあと八・一兆ふやさなきゃいけない。その一方、子会社に出資する余裕がないんじゃないですかということをお聞きしたんですが、ちょっと御答弁いただけないので次に移らせていただきます。
 きょう、お手元に、理事会の御承認をいただきまして、また先般と同じ資料を配らせていただきました。
 副大臣、この間もこれ、やりとりしたので、また同じ表なんですが、今回の修正案では、郵便の業務に関連する事業には出資できますよという与党からの修正案が出ております。
 この企業のリストは郵便の業務に関連する事業になるのかどうか。この社名ですね。これがまず第一点。
 これをざっと分類しますと、投資顧問会社、ビルメンテナンス会社、建設会社、設計会社、資材会社、損害保険代理店、機械メンテナンス会社、運送会社、商社、データ入力会社というような形で分類ができるんですが、このような分類された事業、これはやはり郵便の業務に関連する事業になるのか否か。
 以上二点、お伺いしたいと思います。

■佐田副大臣
先般も先生の方から御質問があったところでありますけれども、この間、ファミリー企業というようなお話があった。ファミリーというよりも契約があるということでありまして、今回の法案につきましては、修正案にもありますように「業務の運営に特に必要がある場合には、総務大臣の認可を受けて、当該業務に密接に関連する政令で定める事業を行う者に出資することができる」、こういうことでありまして、要するに、一番密接に関係する業務をやっておるところをこれから政令で定めて出資していくということであります。
 それと、先生が言われたように、過少資本じゃないかという話でありますけれども、あくまでも、そういう意味においては、何でも出資するというのではなくて、出資することによって効率がよくなり、そして収益が上がる、こういうふうなことも踏まえてこれは政令で定めていきたい、こういうふうに思っております。

武正委員
では具体的に、このリストなりこういった業界、業務についてはいかがですか。

■佐田副大臣
まだ検討中でありまして、これがやれるとか、これはやれないとか、そういうことは現時点ではちょっと申し上げられないということです。

武正委員
午前中も、裁量行政いかにということで、総務大臣ともやりとりがありました。こういう国権の最高機関の国会での立法の論議であっても、詳しいことは政令で、これは今言えません、後で決めますと。こういったことは各委員会ですべて見られることでありまして、私は、政令、省令で定めたからといっても、やはり裁量行政に変わりはないというふうに思うわけでございます。
 続きまして、修正案提出者にお伺いします。
 出資企業と公社との関係というのが契約だというお話でしたが、それでは、公社と出資企業の間の契約関係に、公取やあるいは会計検査院からもこれまで、郵政事業庁、旧郵政省のさまざまな事業、委託など含めまして、あるいは発注、これまで言われていたように、一般競争入札をできるだけ取り入れなさい、こういったことも言われているんですが、出資企業と公社の契約関係に何か変化が生まれるのかどうか、これまでどおりなのか、あるいはこれまで以上に一般競争入札をしなければならない、こういったところで御所見を伺います。

■桝屋委員
 私の方からもお答えを申し上げたいと思います。
 今委員の方から、公社と、それから出資を可能とするわけでありますからその出資された企業といいますか子会社、その両者の契約の関係、お尋ねがございました。
 最初に委員に申し上げたいんですが、やはり我々も、出資は何でもかんでもやればいいということではない。今佐田副大臣からお答えがあったとおり、特に必要と認める場合、それはもう端的に合理化といいますかコストダウンが期待できる、こうしたものであろうというふうに私たちは思っておりまして、そこは相当限定的に考えているわけであります。
 その上で、公社とその公社が出資する企業の契約関係でありますが、一般競争入札かあるいは随意契約かということでありますが、これはまさに調達するサービスの性質によって決まるものでありまして、今回出資するということに決めたことによってその関係が変わるとは考えておりません。
 委員から御指摘があったように、私どもも、与党三党もいろいろ議論する中で、やはり随意契約ではなくて一般競争入札、これをふやしていかなきゃいかぬというふうには思っているわけでありまして、そういう意味では、確かに委員の御指摘のような、この出資ということについては私は、おのずと限界がある、制限があるのではないか、こう思っておるわけであります。私たちも今委員の御指摘の方向を大事に、これから総務省令等の内容もあるわけでありますから、しっかり見守っていきたい、このように思っているところでございます。

武正委員
 出資企業こそ契約関係はガラス張りにしなければならないし、今の桝屋委員のお話では、より以上、出資企業だからこそ、一般競争入札の適用を当然受けるべきであろうというふうに私は理解をいたしました。
 さて、先ほど来、出資企業は限定される、公社の効率的な経営、特に必要がある場合ということでお話がございます。ただ、今NHKの肥大化でも既に指摘されておりますのは、出資企業が出資をした、いわゆる孫企業、あるいはそれからまた出資をされたひ孫企業、こういったところが実は問題を生じているということなんですね。
 まず、会計検査院さんお見えでございますが、発注者、ここでは公社でございますが、公社が公社の利益を損なうような契約を出資企業と結んだ場合、これは公社をチェックする立場の会計検査院さんから見てどのようにお考えになるか。また、出資企業が出資をした企業が公社と公社の利益を損なうような契約を結んだ場合はいかに。お答えをいただきたいと思います。

■円谷会計検査院当局者
 契約の相手方が、公社の出資企業、あるいはそのさらに出資企業、国から見ますれば孫出資企業ということになりますけれども、それだからといいまして、直ちに公社の利益を損なうということにはならないかと思いますけれども、契約の相手方を選定するに当たりましては、その契約の性質が許す限り、やはり競争原理というのは導入すべきであろうと思いますので、検査院といたしましては、公平な、公正な競争が確保されているかどうかという観点から、契約事務が適切に行われているかどうか、あるいは経済性、効率性に配慮した契約になっているかどうかということを今後とも検査してまいりたいと考えておりますので、公社の利益を損なうような契約かどうかというのは、個々の契約ごとに判断させていただきたいというふうに考えております。(武正委員「もう一つありました、出資企業が出資した」と呼ぶ)
 出資企業が出資した、孫出資企業ということになりますけれども、これにつきましても、基本的には同じ考えでございます。ただ、検査権限ということに関して言いますと、公社の出資企業は国から見ますれば孫出資企業ということになりますので、会計検査院法二十三条の一項第五号によりまして検査対象になり得るということで、必要があれば検査をするということになりますけれども、孫出資企業まではその権限がありませんので、そういう点では若干の制約がございます。
 以上です。

武正委員
 孫出資企業まではなかなか検査ができないということで理解をさせていただきたいと思いますが、こうした孫企業あるいはひ孫企業、これがやはり今回の出資のときに忘れてはならない点だなというふうに思うんですね。
 それで、公取さんもお見えでございますが、公取さんは、平成十二年十一月三十日、「郵便事業への競争導入と競争政策上の課題」ということで、次のように述べておられます。「郵便事業体が国営の公社として維持されることも踏まえつつ、郵便事業体が自己の施設及び設備を利用して、他の事業分野に進出することによる当該事業分野の公正な競争に与える影響を考慮して、検討する必要がある」ということでございまして、さまざまな分野に進出することについてはやはりクエスチョンがあるということで、公社がいろいろな事業をどんどんふやして進出することは問題あり、こんなことも公取さんは指摘をされているんです。先ほど桝屋委員とのやりとりでもありましたが、出資企業を含めて一般競争入札の割合をふやしていくべきというふうに私は考えるんですが、この点について御所見を伺います。

■上杉政府参考人
 お答えいたします。
 公正取引委員会の所管いたします競争政策の観点から申し上げますと、競争が確保されるということが非常に大事でございまして、そのような意味でも、これから民間事業者との競争が始まるということでございますので、そのような場合の、独占禁止法に違反するような行為が行われることのないように、厳正に対応したいと考えております。
 特に、発注についてお伺いがございましたけれども、私どもは、やはり競争を導入するという意味では、競争入札というものが基本になるという考え方が一番大事ではないかと思いますので、随意契約ということでありますと、これは競争が予定されていないということで独占禁止法の適用を受けないあるいは独占禁止法の適用ができない、こういう関係になりますので、できるだけ競争を生かすような、そういうふうになっていただきたいと思っている次第でございます。
 以上です。

武正委員
 公取さんからも強い希望があったんですが、修正案提出者におかれましては、出資企業も含めてやはり一般競争入札の割合をふやしていくべきと考えますが、この点の御所見を伺います。

■桝屋委員
 先ほどから委員が議論されていることは、私ども提出者としても全く同じ思いであります。
 ただ、一つは、出資は、先ほどから何度も申し上げておりますが、何でもかんでも出資するということではないわけでありまして、本当に、公社化後の経営の状況、特に郵便事業の効率化という観点で出資をするわけでありますから、中には契約、発注が全く関係のない、例えば午前中話がありました発送代行業務のようなものは、私は、これは契約の問題がにわかに出てくるかな、こういう気もするわけであります。あとは出資と契約の関係については、委員の御指摘も、やはり我々も十分認識をして、これからの政令の策定等についてしっかり見守っていきたい、こういうふうに思っているところでございます。

武正委員
 こうして与党の方に提案をいただいてのやりとりというのは初めてなもので、なかなかなれないところがありますが、多分これからこういったケースがふえるんではないかという報道もありますので、練習のつもりできょうはやらせていただいておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。(発言する者あり)はい。こういうような力強い御発言もございますので。
 人事院さんにお伺いします。
 国公法百三条、公社は国の機関と考えるわけでありますが、こうした密接な関係にある営利企業、これまではファミリー企業という形容もございましたが、そしてまた今回は、公社が出資した企業について国公法百三条は適用されるのかどうか。並びに出資した企業が出資した企業、孫企業あるいはひ孫企業、これについてはいかに。お答えをいただきたいと思います。

■北上政府参考人
 お答えいたします。
 国家公務員法上の再就職規制との関係でございますが、今回の公社法施行法案におきまして国公法百三条第二項の改正が盛り込まれておりまして、郵政公社の職員が密接な関係にある営利企業に再就職する場合には、国の機関の職員の場合と同様、同項が適用されるということになってございます。
 それから、今先生の御質問の、公社が出資した企業について密接な関係になるかどうかということでございますけれども、これまで国が出資している企業につきましては、あわせて行政上の権限関係もございまして、そういう中で密接な関係を判断してきたところでございます。
 出資の関係だけで密接な関係を判断するとなると初めてのケースとなるものでございますので、人事院としましても慎重に方針を検討していかなければならないというふうに考えておりますが、その際には、出資の状況とか出資に伴う郵政公社と出資先企業とのもろもろの関係の状況等を踏まえまして検討する必要があるというふうに思っております。
 それから、出資先企業とその出資先企業がさらに出資した企業ということでございますけれども、今現在におきまして、例えば国の機関と営利企業が密接な関係にある場合におきまして、その営利企業と商法上の親会社、子会社の関係にある企業につきましては、直接国の機関と関係がなくても、親会社と国の機関が密接な関係にあります場合には密接な関係にあるものとして取り扱っておりまして、今回の場合も同様に取り扱われるものになるというふうに考えております。

武正委員
 人事院さんとすれば、孫企業、ひ孫企業も同様に扱うというような御答弁があったわけでございます。
 さて、先ほどちょっとお話ししましたが、子会社の子会社ということでございます。NHKさんは子会社の売り上げが二千七百七十億、九八年度ですね。日テレ、日本テレビさんと同じということで、当時の朝日さんが社説で肥大化がとまらないということを書いております。
 また、当時、八代委員におかれましては郵政大臣でございまして、そのときの御答弁で、これは二〇〇一年五月十七日、読売新聞、同じく社説ですが、昨年の通常国会で八代郵政大臣は、NHKが普及途上のインターネットで事業を行うことに強い難色を示す答弁をしていたということでございます。NHKについては、同じところに書いてあるんですが、子会社が出資した孫会社の情報は公開していない、ですから、未公表の関連企業は七十社に及ぶと指摘されているということでございまして、子会社がまた出資をして孫会社をつくっていくというところにはなかなかガイドラインが及ばないんだといったところでございました。
 大臣にお聞きします。
 NHKの場合も子会社が出資することには禁止規定が及ばないといった指摘があるんですが、同様のことがこの公社でも危惧をされるわけでございます。先ほどからるるお話をしてまいりましたが、こうした点、子会社が子会社にどんどん出資をしていく、孫会社、この点をどういうふうにして規制するのか、お答えをいただけますでしょうか。

■佐田副大臣
 先生も大変お詳しいですからあれですけれども、NHKなんかの場合も、ガイドラインをつくって、時代に即応して関連企業がふえてきていて、またインターネットも始めておるわけであります。昔でしたらば、例えば地上デジタルなんかありませんでしたから、これは地上デジタルがこう進んでくると、やはり地上デジタルにおける資金を相当NHKも出しておりますから、もちろんこれは関連企業としてインターネットなんかもやっていかなくちゃいけない、そういう時代の必要性に合わせてやってきているんじゃないかと思っております。
 また、今の、本題に入りますけれども、いろいろな契約におきましては、公社は総務大臣の任命するところによります監事が検査をしたり、今お話がありました会計検査院が検査していくわけですね。そして、出資会社についてもそれを検査していく。
 それでは、出資会社のまた孫の会社はどうなるのかという話でありますけれども、私は、出資をしているということは、それだけの、公社の方には、元請というかもとの会社の出資する方については、相当な権限ができてくるわけでありますから、一つ一つの契約であるとか事業経営についていろいろな指導ができるわけですから、その中で孫請というか出資会社の下請をやっている方々に対するいろいろな指導もできてくるんじゃないか、こういうふうに思っております。

武正委員
 それがやはり焼け太りという批判のもとだというふうに思うんですね。NHKについても、第三者的機関とする審査委員会の委員の大半がNHK幹部である上、事業活動と直接的な利害関係を持つ者からしか苦情を受け付けないなどというような、こんな記事もあるといった、ある面の先例があるんですね。
 ですから、私は、今は、公社が判断するというような形での御答弁でありましたが、こうした子会社が子会社に、孫会社にといった野方図な出資がこれから起こらないためにも、やはりこれは第三者のチェックが必要だというふうに何度も申し上げているわけでありますし、政府提案の公社化法も、独法よりも国会のチェックはできないという根本的な問題点が解決されていないということは引き続き指摘をさせていただきます。
 さて、提出者に伺います。
 この三項めの修正でありますが、国庫納付金についての修正をした目的、もう趣旨説明に書かれていますので、これと重複しないところでもしお答えいただければというところ。
 あと、私がこれを読みますと、要は、簡単に解釈しますと、中期経営計画の中で利益が出れば納付しますよと、そうすると四年ごとの納付というような形にもなるんですが、果たしてそれがいかにといったことと、特に二号を加えております。一号、二号のうちの二号、これはどういった理由で二号を加えたのか。
 以上、お答えいただけますでしょうか。

■桝屋委員
 四年ごとに納付するというこの修正の趣旨、提案理由以外のところをもしあればということでございましたが、私も後から参加した一人でありまして、八代先生からまた後から私の知らない話があるかもしれませんが。
 ここは、国庫納付については、私どもも当初は、私は自民党と違いまして公明党でありますから、今の政府原案を見ていて、まあまあ基本的なことは政令にあるわけでありますから、これからの議論かなと思っておりましたけれども、郵政公社が独立行政法人と同様に複数事業年度に係る経営目標、経営計画を策定する、こういう形になっているわけでありまして、これに沿って国庫納付のあり方について入念に規定をしたいという御説明をいただいて、まあそれは私たちの党としても理解をしようと、了といたしたところであります。
 それで、二号。一号、二号、実はこれも独法と同じ法文の形になっておりまして、極めてわかりにくい表現でありますが、いずれにしても、公社の経営の健全性を確保するという観点で、中期経営計画期間中に積立金が増加した場合に、期間中の損益を通算したときに黒字であった場合であって、かつ、中期計画期間終了時点において基準額を超える積立金の額がある場合に限って国庫納付を行う。それで一号と二号分けているわけでありまして、一号は先生も御理解されて、二号、これはどういうことかということですが、前期間の終了時の積立金の額が基準額を超える場合には当該期間中の積立金の増加額を納付額の算定基礎とするということでございます。
 これも、私どももぎりぎりのところで自民党さんからお聞きしたわけでありまして、これはやはり、一つは基準額というものを設けたということがあるんだろうと思うんですね。さっきから申し上げておりますように、まさに経営の健全性をより確保するという観点で、中期計画四年ごとに、しかも基準額を設けて、そしてそれ以上出た場合にということでありまして、しかもそれが、二号の方は前期と比べて、比べた部分でふえた部分について一定割合を納付する、こういうことでありまして、より入念に規定をされているわけであります。
 これは、午前中も議論がありましたけれども、四%、十兆円、こういうざっくり言っての話が八代提案者からもありました。これをどのように考えるかということでありますが、私どもといたしましては、経営の健全性をより確保するということでこの表現でいいのではないか、こう考えた次第であります。
 いささか長くなりましたが、そんなことでございます。

武正委員
 与党三党での御協議が大変最後までもつれて、御説明が桝屋委員の方にはなかなかぎりぎりだったということはよくわかりました。
 さて、今の御説明でありますが、大臣、企業会計原則を取り入れようという公社ですよね。大臣は、自由な経営でやらせたらいい、だから国会の関与もできるだけさせないんだ、事前チェックじゃなくて事後チェックだよということを何度も言われるわけなんですが、今回、国庫納付金が四年で利益が出れば納めてもらおうよという修正案、並びに二号に至っては前期四年間での利益よりも上回った利益が出た場合その上回った部分で納めなさいということは、前期の四年間で上げた利益よりも今回の四年間が少なかったら納めなくていいよというふうに私は理解するんですが、これでは、企業会計原則を入れて自由な経営をさせて、そして官から民へという流れの中でせっかく公社をやろうというのに、何かもう、もうからなくてもいいよ、別にもうからなくても、利益上げなくても、国に対して納めなくていいからというような形でとらえられて仕方ないんですね。
 やはりこれは四年に一回じゃなくて年度ごとに、財務諸表も総務大臣のもとに毎年提出するんですから、毎年毎年、一年一年で企業会計原則に基づいてやってもらう、こういうのが当たり前だというふうに思うのですが、これについて、大臣、御所見いかがでしょうか。

■片山国務大臣
 郵政事業、郵便だけじゃなくて郵便貯金、簡易生命保険、これは基礎的な国民に対するサービス、いわば生活のインフラだ、こういうわけでございまして、しかし、そういうことからいうと、やはり経営が大変健全でなきゃいかぬ。
 これが公社に変わってこれからスタートする。しかも、それが大変な過少資本だ。今十兆円と言いましたが、郵貯だけでも四パーなら十兆円ですが、簡保まで入れますと十五兆円ですよ。一兆九千億と十五兆円というのは全然違うので、だから私は、今までも答弁しましたように、最初の中期経営計画が終わる四年間は恐らく納める見通しにならないでしょうということを私の見通しとして申し上げたのです。
 そういう意味では、四年ごとに区切っていくというのは一つの考え方です。それは、やはりこの公社そのものの経営の健全性に大変おもんぱかっていただいたんじゃなかろうか、こういうふうに思っております。
 そんなにこれからこんな生活のインフラのような事業がどんどんもうかるなんということは余り想定できませんよ、またそんなことをもうかるようにやるべきでもない。経営の効率化はやらにゃいけませんよ、サービスの向上はせないけませんけれども、しかし、そういうことで、国庫納付金について、我々が出した案よりはかなり丁寧に、詳細に書いていただいたということは、それはそれで一つの考え方であるなと私は思っているわけでありまして、とにかく公社がスムーズにスタートして、国民のための事業をしっかりやるということが一番肝要ではないかと考えております。

■八代委員
 その修正につきましては、公社の経営の健全性をより確実に担保する観点、特に、いろいろな公聴会に行きましても、いろいろな意見の中でも、公社化はやはりあまねくサービスを含めて健全でなければならない、こういう意見が大多数であった、このように私は思うのですね。
 そういう意味では、政府原案を修正して、納付金算定の考え方をより具体的かつ丁寧に規定しまして明確化を図ることとしたものでございまして、公社に国庫納付金を免除するという趣旨じゃないんです。
 ですから、大いにもうけてもらって、そして上回ったものは国に納めてもらうなんというのは、これは至極当然のことだと思いますが、やはり健全経営ということをまずスタート時には私たちは担保しておく必要があるのではないか、こういう思いでございます。

武正委員
 健全な経営ということをお二人とも力説されるわけでありますし、大臣に至りましては、もうからないというような明言がありまして、もうからないところに民間が参入するかということが、結局名乗りが上がってこない。いや、もうからないことはない。そのかわりハードルを下げてさまざまな規制をなくしていけば、十分経営とすればもうかるんですね。だから、やはりそれは考え方の違いといったところを認識したわけです。
 公取さんに、今八代委員から免除じゃないというお話もあったんですが、納税免除は九九年度でいうと千二百八十五億、預金保険料でいうと、〇・〇八四六%ですから約二千億。これに加えて、今回の国庫納付金についても、私はやはり免除になるというふうにとらえるのですが、公正競争の点からどのように考えられますでしょうか。

■上杉政府参考人
 お答えいたします。
 公正取引委員会の所管いたします競争政策の観点から申し上げますと、事業者の間ではできるだけイコールフッティングが確保されていることが重要であるというふうには考えておりますけれども、個々の事業者はいろいろな条件のもとで活動しているものでございまして、ただいまのように国庫納付金を免除になるのかどうか、私もよく存じ上げませんけれども、御指摘のようなことがあったからといって、公正な競争が阻害されたり、あるいは独占禁止法上問題となるというようなものではないと考えております。


武正委員
 公取さんにはぜひ、先ほど来さまざまな形で御提案あるいは決意をお聞かせいただいておりますので、やはり健全な競争にさらに御尽力をいただきたいと思います。
 さて、副大臣にお伺いをいたします。
 郵貯、簡保三百五十兆円の運用、これが国債を幾らお買いになっているのか。十三年度末の数字が出るといいんですけれども。また、財投債は幾らか。並びに、国債、財投債それぞれ十四年度はどの程度の購入予定があるのか。さらに、財投債は七年間の激変緩和で幾ら購入を予定しているのか。
 以上、お聞かせをいただきたいと思います。

■佐田副大臣
 平成十三年度末における郵貯、簡保本体の国債保有額は、現在決算の取りまとめ中でありますけれども、郵貯が約五十三兆円でありまして、簡保が約三十七兆円となる見込みであります。なお、財投債は、市場においてこれまでの国債と何ら変わりがないために、保有国債をこれまでの国債と財投債とに区別はなかなか難しいものですから、一緒に今言わせていただきました。
 また、平成十四年度における国債、財投債の運用予定額は、昨年末の郵政審議会に諮問の上策定、公表した郵貯、簡保の資金運用計画におきまして、郵貯が、国債市場購入が約八兆円、そしてまた、経過措置による、経過措置というのは例の七年の話でありますけれども、経過措置による財投債引き受けが十三・六兆円。簡保の方が、国債市場購入が約六兆円、そして経過措置による財投引き受けが三・一兆円となっておるところであります。
 なお、平成十九年度までの激変緩和措置としての財投債引き受けにつきましては、今後の経済情勢等により、財政投融資の規模や財投機関側の資金需要及び調達動向等に応じ財務省が決定する各年度の財投債発行額そのものが未定であることから、これからの検討である、こういうふうに理解しております。

武正委員
 大臣に、前回もお聞きをしたんですがお答えいただけなかったので、今回質問として項目立てをさせていただいたんです。平成十四年度も十六・七兆円の国債、財投債も一緒なんですね、分けられないということなんですが、これを購入される担当大臣として、国債のランクが今二ランク、ムーディーズとスタンダード・アンド・プアーズで下がりました。こうした国債のランクが下がっていることについて、どのようにお考えになりますか。


■片山国務大臣
 今言いましたように、私どもの方の郵貯、簡保の運用では、国債が一番大きいですね、額が。だから、国債については大変関心を持っておりますが、格付をどうやってやるのか、この仕組み。それから、それがどれだけの権威、信用があるのか。
 いろいろなことをいろいろな人が言っていますね、意図的にやったとかやらなかったとか。わかりませんよ。しかし、私は、日本のファンダメンタルズや将来のいろいろな要素を勘案して、ここで二段階も下げることは必ずしも適当でないと考えております。
 しかし、それは向こうは向こうの都合でやるのですから。おまえらが文句を言ってもやるという。おやりになれば結構なんで、それはやむを得ませんけれども、この格下げによって国債の価格が大きく下落しているような状況じゃございませんので、私どもは、今それをもって郵貯、簡保の運用を考え直すとか検討するとかということは全く考えておりません。

武正委員
 MITのドーンブッシュという教授が、日本の長期債務は七百兆じゃない、千二百兆だと。それは、何がプラス五百兆かというと、年金の返却というか、今の日本の年金では年金制度が破綻して返せないだろうということで、プラス五百兆見ている、そんなことで千二百兆円、二四〇%。そんな指摘もございます。
 今、これはランク会社がランクしたことでということで、塩川財務大臣と同じような御答弁だなというふうに伺うのですが、ただ、国債を買う立場の大臣としては、一方的な見方というのは、やはり郵貯、簡保の利用者に対する説明責任、責任としてはやはり問題があろうというふうに思うのですね。
 ぜひ、この点については、さらにそうした説明責任ができるように、国債のランクが、じゃ、どうしたら上がるのか、やはりそれはちゃんとした評価として前向きに受けとめていただきたいとお願いを申し上げます。
 さて、副大臣には、簡保事業団、これは今度なくなるわけです。簡保事業団がこれまで運用していたわけなんですが、この理由と、廃止する理由。また、簡保事業団が有していた施設、これは公社が有するのかどうか、また統廃合の計画があるのかどうか。
 あわせて、郵貯振興会もどんな組織に変わるのかということと、郵貯振興会の施設、これはまた公社が保有するのかどうか、統廃合の計画があるのかどうか。
 以上、お答えをいただけますでしょうか。

■佐田副大臣
 多岐にわたった御質問なんですけれども、前の郵貯、簡保の運用に当たりましては、これは国でありましたから、直接株を保有するということが民間企業の支配につながるということもありましたので、これはまずいということで、簡保事業団を通じまして指定単運用を行っていたというのが現実であります。
 ただ、今度は、公社化に当たりましては、特殊法人等整理合理化計画、これは平成十三年に閣議決定されておるわけでありますけれども、簡保事業団の資金運用事業は「郵政公社化に合わせ、郵政公社に移管する。」とされておりまして、これを踏まえまして、簡保事業団の資産及び負債を郵政公社へ承継する、こういうことになっております。したがって、それを承継することによって、その中において指定単運用をこれからも行っていく、こういうことになっております。
 また、今御指摘がありました、簡保事業団を廃止する理由ということでありますけれども、公社化になりまして、これは特殊法人になるわけであります。自律的また弾力的な運営をやっていくわけでありまして、これを存続させるということは全く、簡易保険事業団自体もこれは特殊法人でありますから、そういう意味におきましては、その存在価値がなくなってきましたので、公社に一元的に統合していく、こういうことであります。
 それだけですね。(武正委員「施設のことと、あと、郵貯振興会もあわせて。簡保の施設と」と呼ぶ)失礼しました。
 郵貯振興会の方でありますけれども、郵便貯金振興会は郵便貯金の普及に寄与することを目的としておりまして、郵便貯金に関する調査研究や、また郵便貯金会館、いわゆるメルパルク等の施設の運営に携わってきたわけであります。郵便貯金振興会は、もともと郵便貯金の普及に寄与することを目的に設立された財団法人でありましたけれども、運営を受託している郵便貯金会館等が、これはさっき言ったメルパルクでありますけれども、国有財産であるために、これを明確化するために、昭和五十二年に認可法人としたわけであります。
 また、今般の公社化に伴いまして国から公社に承継することとなったものでありまして、したがって、郵便貯金振興会については、運営を受託する施設が国有財産から公社財産になるために、認可法人である必要がなくなってきたものでありますから、今度はまた逆に財団法人に組織変更していく、こういうことになっております。

武正委員
 施設がどこに所属するのかと、統廃合の計画はいかがですか。

■佐田副大臣
 加入者福祉施設につきましては、昨年十二月十九日に閣議決定した特殊法人等整理合理化計画におきまして、不採算施設の統廃合や、競争条件を付した外部委託の拡充など、効率化に向けた改善を実施しまして、宿泊施設またレクリエーション施設に係る運営費交付金を縮減いたしまして、平成十九年までには、これはいわゆる運転資金みたいなものでありますけれども、運営費交付金を廃止する方向で今進めております。
 したがいまして、公社化後は、日本郵政公社において、この閣議決定に伴いまして、不採算施設の統廃合等について具体的に検討しまして必要な措置を講じていきたい、こういうふうに思っております。

武正委員
 これまでは、国による直接の支配がいかぬ、株を持つのは。そういったことで、簡保事業団を通して運用してきたということでありましたが、今度は公社が直接やるということでありますので、余計、運用の影響がさまざまな形で、ある面の企業支配だったり、そしてその企業との不透明な関係につながらないように、やはりさまざまな形でのチェック体制が必要だというふうに考えるわけであります。
 そこで、この間も質問したのですが、会計監査人の任期を一年強としているのですが、先ほども、中期経営計画、四年ということを非常にこだわられます。四年で利益が上がればという修正案も出す、そういったところでありますので、では逆に、そのチェック体制ということであれば、会計監査人の任期は、この中期経営計画と同じであってしかるべき、四年あっていいんじゃないかというふうに考えるのですが、大臣、御所見を伺います。

■片山国務大臣
 これは、株式会社の会計監査人の任期が一年なんですね。それから、独立行政法人、これも公社と同じように、中期的目標管理の仕組みというのでしょうか、中期経営計画的なものを目標と計画に入れているのですけれども、これも約一年なんですね。そこで、そういうものを見ましてこの法律の中では一年にいたしたのですが、言われる点はよくわかります。
 これは再任が可能ですから、スタートして、再任を含めて、状況を見て万般考えていきたい、こういうふうに思っております。

武正委員
 続いて、公社の資産の評価について、これも大臣にお伺いをしたいのです。
 施行法ですが、公社が承継した財産、資産、負債の価額は評価委員が評価した価額とし、その額を決定しようとするときは、公社の設立のときにおける時価とすることとしている。ただし、当該財産の種類、用途などを勘案して時価によることが適当でないと認めるときは、承継財産の時価によらないことができるとしているということなんですが、この評価委員の構成、そしてまた、やはり私は第三者機関に評価させるべきではないかということと、それから、時価の例外を設けるというのはいかがなものかな。
 今、企業会計原則が既に時価会計ということで一部導入をされております。二〇〇六年には全企業で導入ということも、当初は二〇〇二年でありましたが、考えられておりますので、公社は、企業会計原則、しかも時価会計でやるべしというふうに考えますが、大臣の御所見を伺います。

■片山国務大臣
 今言われたように、郵政公社に引き継ぐということについては、時価を基準にして総務大臣が任命する評価委員が評価した価額とする、こう書いていまして、評価委員の構成については、具体的には政令になりますけれども、一般的にはこれは独立行政法人や特殊法人にいっぱい例がありますから、その例を見て考えたいと思いますけれども、学識経験者はもちろん入っていただく。公認会計士の方や不動産鑑定士の方、それから、所管省庁といいますか総務省の代表として総務省の職員に入ってもらう。それから、財政当局、国庫当局の代表として財務省の職員に入ってもらう。それから、新しい法人、公社の代表にも入ってもらう。こういうことを今念頭に置きながら検討いたしておりまして、これは今までいろいろな例がありますから、それを見てやりたい。第三者機関と言われますから、できるだけそういう第三者機関的な、そういう方を選んで全体をまとめていく、こういうことを考えております。
 そこで、評価について、なるほど法律には、財産の種類、用途、その他の事項を勘案して時価によることが適当でない場合には、時価でなくてもいい、こうしておりますが、今考えられておるのは満期保有目的の債券だけですね。場合によっては、これは償却原価でやる。会計基準がそういう基準になっているものですから。残りは時価でやる。こういうふうなことを今考えておりまして、そう委員が御心配のようなことにはならないし、しない、こういうことであります。

武正委員
 ちょっと時間がかなり押してきましたので、二問ほど飛ばしましていきたいと思います。
 大臣の方に、この一般信書便事業者に対する立入検査、三十六条でありますが、私はこれはかなり厳しいなというふうに考えるんですが、この点。
 それから、これは最後の質問になりますが、信書便法では、総務大臣の許可、六条から九条、二十九条から三十一条、十五条、そして認可は十二条、十三条、十四条、十七条、二十二条、二十三条、二十四条、二十五条、届け出が十条、十六条、三十二条ということで、総務大臣が次から次に出てくるわけなんですが、こうした総務大臣の許認可、これがやはり信書便法、余りにも多過ぎるんじゃないかというこの指摘。二点、お伺いします。

■片山国務大臣
 立入検査ですね。この信書の送達の仕事というのは、立憲民主主義に基づきます表現の自由に関係がありますので、信書の秘密の保護を十分に確保しなければならない、こういうことでございます。やはり必要最小限度の立入調査等はやらせていただかなきゃいかぬ、それは、ほかの似たような法制も全部そういう仕組みになっておりますので、ぜひ御理解を賜りたいと思います。
 それから、なるほど、認可、許可、届け出が多い、そうなんですが、これもほかのこういう種類の公益事業法制に比べて多い方じゃないんです。多い方じゃないんです。極めて少ないとは言いませんが、そういう意味であとは運用上いろいろ透明性その他考えることもあると思いますが、これも御理解いただきたいのは、やはりユニバーサルサービスの確保ということが大命題でございますので、あるいは信書の秘密の保護ということが大命題でございますので、そこの担保のためには我々としては必要最小限度のチェックはさせていただきたい、こういうふうに思っている次第でございます。

武正委員
 やはりユニバーサルサービスの概念も変わってきましたし、信書の秘密の概念も変わっているんですね、百三十年で。ですから、それでぎりぎりとやってしまうとどこも参入したくないということになったんじゃないかなというふうに私は考えます。
 最後に、たくさん、多いですよということなんですが、特に、その中で、総務大臣の許可。許可というのは、行政法上、法令による特定の行為の一般的禁止を特定の場合に解除し、適法にこれをすることができるようにする行政行為をいう、釈迦に説法でございますが、一般的禁止を解いてやることを許可というんだということなんですね。特に十五条、一般信書便事業者の休止、廃止、解散、これは許可を受けなきゃいけないんですね、総務大臣の。特定信書便事業者は届け出でいいんですね。何でこれは違うのかなといったことも含めて、ここは、大臣が言う事後チェックということであれば、やはり許可から認可へ、認可から届け出へというふうに垣根を下げてやらないと民間事業者は入ってこないと思うんですが、最後、この十五条の点、いかがですか。

■片山国務大臣
 休廃止をされる場合に突然やられるとみんな迷惑するんですよ。あらかじめ、ちゃんと予告期間をとって、その間受け付けないことにしてもらわないと、受け付けて途中でやめたということになりますと、それこそユニバーサルサービスも信書の秘密も全部吹っ飛びますので、そこで、そこの一つの手続をとらせていただいている、こういうことでございますので、ぜひこれも御理解賜りたいと思います。

武正委員
 もう時間となりましたので終わりますが、最後の点は、やはり、十五条は許可だけれどもいわゆる特定信書便事業者は届け出でいいというのは、今の御答弁は納得できません。
 以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

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