【内閣委員会】構造改革特区について

2002年11月15日

武正委員
おはようございます。民主党の武正公一でございます。
 きょうは、この内閣委員会で構造改革特区について質疑を行わせていただきます。答弁は政治家の皆さんにお願いするということで、ことし、通常国会からそれぞれ皆様にお願いをしておりまして、きょうも、それぞれ各担当の大臣、副大臣、政務官の皆様にお力をしっかり御発揮いただくよう、よろしくお願いいたします。
 さて、まず冒頭でございますが、規制改革三カ年計画の進捗状況、また、なぜこのたびこうした特区法案が出てきたのか、御説明をいただけますでしょうか。

■大村大臣政務官
武正委員の御質問にお答え申し上げます。
 政府といたしましては、行政の各般の分野につきまして計画的に規制改革を積極的かつ抜本的に推進をするということで、御案内のように、平成十三年の三月に規制改革推進三カ年計画というものを策定させていただきました。その後、本計画の進捗管理の一環といたしまして、毎年度、この計画の改定を行うということとさせていただいております。
 第一回の改定といたしまして、ことしの三月に、昨年十二月の総合規制改革会議の答申を踏まえまして、そしてまた内外からの意見、要望等を踏まえまして改定を行ったところでございます。加えまして、本年の改定に際しましては、小泉総理からも、景気刺激効果の高いものを重点とした計画を実現する、そしてまた、その前倒しをしてもらいたいということを各閣僚に要請されました。これを踏まえまして、本年九月にこの計画の前倒しの状況を私どものところで取りまとめさせていただいたところでございます。
 その結果、平成十四年度以降措置することが必要な五百九十九事項のうち、本年度の上半期に二百五件の事項が実行に移されるということで、本計画の積極的な推進が図られているということでございます。
 また、ことしも七月二十三日に総合規制改革会議で中間取りまとめも行われまして、また、来月でございますが、十二月に向けまして、その第二次答申というものを今作業を進めているところでございまして、これをできるだけ深堀りをして進めていきたいと思っております。
 そういう中で、今回、幾つかの規制改革事項につきまして、ずっとやってきたわけでありますけれども、いろいろな事情によりまして規制改革の早期実現というのが妨げられているというものでありますとか、なかなか入れられないというものがあるのも事実でございまして、そういう意味で、制度的な工夫といたしまして、全国一律の規制じゃなくて、やはり地域の実情に合わせた規制があってもいいんではないかという発想の転換を含めて、制度的な突破口として、今回、この規制改革特区の構想が出てきたということでございますので、御理解を賜りたいと存じます。

武正委員
規制改革は、当初、やはり日米のそういった通商摩擦等からもアメリカからの強い要望もあり、あるいはまた日本の国民の皆さんの生活の質の向上といったテーマもあり、そして最近は、特に経済活性化に力点が移っていったのではないかなというふうに考えるところでございます。
 そういった意味では、昨年の三月、三カ年計画では持続的な経済成長がうたわれ、その中でも、当然、指定検査機関から第三者認証あるいは見直し条項というものを法律に明記しよう、あるいはADRというような法整備、こういったところがうたわれていく中で、昨年十二月、総理諮問、経済の停滞、個別の規制の改革おくれ目立つ。システム全体でやろうという昨年の十二月で、ことし三月改定、そして四月の経済財政諮問会議民間委員の中でも構造改革特区がうたわれ、そして七月、中間取りまとめ、全国一律にこだわる、規制改革特区の実現に向けて、こういった流れを見てくると、やはり日本全国での一律の規制改革がなかなか進まない。これがために個別の特区というような形に移っていったというふうに見ざるを得ないわけでございます。
 規制改革の特例措置のばらまきではないか。また、補助金というのは今回はつけませんよ、財政措置はうたいませんよと言っておりますが、経済財政諮問会議の民間委員では、産業集積など、地域の活性化のために、これら規制改革に加えて、それぞれの地域に応じた支援措置を行うことということも指摘をしておりまして、今回はないかもしれないけれども、構造改革特区法案ではないかもしれないけれども、そういったものがあるんだよということが、名乗りを上げている各自治体には期待感が強いんではないかということも考えるわけでございます。
 これについてはもう一度、大村政務官、よろしいですか。私の指摘は、やはり全体の規制改革がうまくいかない、だから個別突破なんだけれども、ある面、規制改革のばらまきじゃないか、そして自治体にはやはり財政支援、これへの期待感があるんではないかというふうに考えているんですけれども、これについて御所見を。


■大村大臣政務官
確かに、各自治体でいろいろな要望を上げておられるところには、中にはそういった財政的な支援の期待があるというのは事実だろうと思いますが、先ほど申し上げましたように、これまでの全国一律の規制というのを、発想を転換して、地域から実情に合ったやりやすい規制の改革をしてその地域の活性化を、まず一歩を踏み出してみようという趣旨でございますので、財政の議論は、自分もいろいろな思いがありますが、それはまた別といたしまして、とにかくこれはまず一歩を踏み出していこうということでございます。
 そういう意味で、今回のこの特区は、ある意味で、規制改革のばらまきということではなくて、むしろ地域の実情に合った創意工夫を生かしていく、その第一歩だということで御理解を賜れればというふうに思います。


武正委員
今、地域からの改革というようなお話もあったわけでございますが、過日発表になりました地方分権改革推進会議最終報告書、これについて、総務副大臣もお見えでございます。
 総務副大臣にお伺いいたしますが、最終報告書、これについては地方六団体も不満の声を上げている。この報告書を見ますと、基本方針二〇〇二あるいは総理の諮問の三位一体改革、これに基づいてやろうということが最初にぼんと打ち出されまして、ただ、中にはやはり、各省庁と合意できなかったんだ、そういった事項が書かれている。
 あるいは、今回特区法案でも出てきている幼保一元化等。これはパイロット的に取り組むのは問題だということもこの地方分権改革推進会議では指摘をしております。個別にやっちゃだめだよ、補助負担金を一般財源化してやはり全国的にこの幼保一元化も取り組むべきではないかというような指摘。
 また、後で経済産業政務官にお尋ねをいたしますが、産業振興についても、国は真に戦略的に考える分野に集中、できるだけ地方自治体の自主性を重視すべきだということもやはり地方分権改革推進会議最終報告書で述べております。
 こういったところの中で、ただ残念ながら、焦点だった補助金の廃止、縮減は、義務教育費の教員退職金など限定的なものにとどまり、国から地方への税源移譲など代替措置への言及も避けた。また、教員給与の半額補助である義務教育費国庫負担金三兆円のうち、教員退職金、年金に当たる共済費長期給付を先行して廃止、縮減と。これは十六年後には三倍に膨らむとされているわけでございます。
 こういったところを特に六団体は不満の声を上げているわけですが、総務副大臣、この最終報告についてどのようにお考えになるか、お聞かせをいただきたいと思います。


■若松副大臣
この最終報告についてでありますが、今委員が御指摘になりました六月二十五日の総理指示、すなわち三位一体の改革につながる国と地方の事務事業のあり方、国庫補助負担金の廃止等の原案を作成してほしい、これが要請でありまして、取りまとめられたものと理解しているわけでありますが、三位一体の改革の入り口であり、また、そのかぎとなる国庫補助負担金の見直しの原案としては、不十分であると理解しております。
 その理由として四点挙げさせていただきますと、まず一点目は、個別分野の国庫補助負担金について、具体的方向が示されているものはわずかでありまして、数兆円規模の削減につながるかどうかイメージがわいてきません。二点目はまた、数兆円規模の削減をするためには、全体を通じる見直しの考え方が明確にされ、今後各省が具体的検討を進めるための指針となり得るものであることが必要と思いますが、その点が不明確であります。三点目が、個別分野では、特に義務教育費国庫負担金の見直しについて、地方分権の理念という根本のところから疑問を持っております。四点目は、国庫補助負担金の削減に伴う税財源措置が明確ではありません。
 そういったことから、地方団体からも、今委員が御指摘になりましたように強い批判が出ておりまして、特に十月の三十日に全国知事会を初めとする六団体から、まことに残念である、到底受け入れることはできない、このようなもう異例ともいうべき強い批判が出ております。
 今後、政府といたしましては、さらに検討を進めるわけでありますが、国庫補助負担金削減並びに地方への税財源移譲の考え方を明確にしていかなければいけないと強い決意をしておりまして、地方議員経験の武正委員からもぜひ御指導いただきたいと思っております。

武正委員
今、政務官、副大臣とそれぞれやりとりをさせていただきましたが、次は大臣の方にお答えをいただきたいと思うんです。経済産業は後で伺います。
 私、今回のこの法案、第一条の「目的」を読んでも、やはり「地域の活性化」というのがぼんと目に飛び込んでまいります。「経済社会の構造改革を推進するとともに地域の活性化を図り、」といったところでございまして、ある面、やはり規制改革プラス地方分権。それぞれの地方から改革をと、先ほど政務官も言われました。地方から規制改革をと。地方分権で、ある面、そこは規制の特例措置をと、規制の特例措置を地方に分権したような、地方分権プラス規制改革というふうに私は見ておるんですが、この私の見方について御所見をお伺いします。

■鴻池国務大臣
先ほどの委員と大村政務官の御議論に特につけ加えることもないと思うんですけれども、ただいまの委員の御主張につきましては、やはりそのような状況ではないかと思っております。
 この特区を推進することによりまして地域の特性というものが顕在化して、その特性に応じた産業の集積や新しい産業の創出によって地域が活性化されるということを期待いたしておるところでございますし、また、この特区につきましては、規制の改革は全国一律でなければならないという従来の発想というものを、地方の特性に応じてさまざまな規制のあり方があるんだという発想に転換したという意味で、地方の自主・自発性を最大限尊重して地域の特性に応じた規制を導入するという考え方でございます。

武正委員
大臣から私の考えについても同意というか、そのような考え、うなずけるということでお話がございました。
 総務副大臣、どうぞ、時間ですから、お引き取りください。
 過去いろいろと、地方振興の諸施策、法律もございました。新産都市についてもいろいろと御論議がありました。結局は、都市の指定も県から上げることになったものですから、ある面、新産都市がもう全国にたくさんふえてしまった、こんな反省もあったり、あるいはパイロット自治体、これについても、事務手続の簡素化、迅速化という特例措置であって、権限、財源の移譲に踏み切れなかったということでございます。
 掛川市の鈴木さんという主任さんがこんなふうに言っております。「「試験的にやらせてみて成功したら、全国の市町村に波及しかねない、中央集権体制崩壊のアリの一穴になりかねない」と、この制度に非常に危険なものを感じた中央官庁側が、指定のメリットが感じられないように、制度を骨抜きにしてしまったからであるといわれている。」と。これは、パイロット自治体がなかなか実を上げなかった、総論賛成、各論反対で進まなかった理由ということで挙げております。「パイロット自治体指定に向けた市町村の申請気運は、盛り上がりに欠けたもの」となったということでございます。
 今回はこの特区については権限、財源の移譲はない、これについて再度御確認をいただきたいと思います。

■鴻池国務大臣
ただいま確認をしたいというお話でございました。
 九月の二十日に構造改革特区推進本部で決定いたしました基本方針におきましても、構造改革特区におきましては従来型の財政措置は講じないものとしておるところでございます。

武正委員
ただ、先ほど言ったように、経済財政諮問会議では、四人の民間委員さんが、産業集積など地域の活性化のために、これら規制改革に加えて、それぞれの地域に応じた支援措置を行うことというふうに言っているんですけれども、これとの整合性はどのようになりますでしょうか。

■鴻池国務大臣
自由民主党の中に本件に関しての特命委員会というのがございまして、野呂田先生が委員長でやっておられます。そこの御議論を拝聴いたしておりましても、今回はこれで一度やってみるけれども、近いか遠いかは別にして、将来についてはそういう財政措置といったものも考えてみる必要がある時期が来るのではないか、こういう御議論を得ているということは拝聴しておるところでございまして、今のところはどうしても、従来型の財政措置は講じないということでございますけれども、今後のこの特区というものが、四月以降、進み得てから、もう一押しすればなお一層地域の活性化あるいは地方の自主性というものが出てくる、こういうことになりますれば、地方自治体の中でそういう応援、支援というものが考えられるかもしれないという考え方は、私個人的にも持っておりますし、今申し上げました自由民主党の中の財政措置は将来的に考えるべきではないかということにも大変大きな興味を持っておるところでございます。

武正委員
従来型の財政措置というのは、いわゆる補助金等ということでございましょうか。

■福田国務大臣
そのように考えております。

武正委員
それでは私はやはり今までの繰り返しではないかなというふうに思うのですね。やはり、権限、財源の移譲、先ほど総務副大臣が、やはり今回の最終報告、不満、各省庁の強い抵抗というような形で、権限、財源を地方自治体に移譲することは各省庁反対がある、今回は構造改革特区法案、財政措置、従来型のものはやりませんよと。
 ただ、今の大臣あるいは自民党の野呂田委員長のもとのお話を含めますと、将来的には従来型の財政措置では、これまでの新産都市、あるいはこれまでの地方のいろいろな個別の特例ですね、これのまた繰り返しになってしまうんではないか。既に聞くところでは、八十一ほどの地域が内定しているやに聞いておりますし、また、第二次の申請でさらにまた多くの特区が名乗りを上げてくる。今回は従来型の財政措置はないけれども、将来はあるんだよ、そういう期待を政府・与党に強く各自治体が持っている。本当はやはり、先ほど最終報告でも出ておりました、幼保一元化のときに最終報告で指摘しているように、補助負担金ではなくて一般財源化して、その財源は地方に移すんだ、地方で使い方は決めてくれと。これは既に片山試案でも五・五兆円の税源の移譲ということを言っておりますが、これをやるべきであって、従来型の財政措置を期待する自治体には、もう方向性は九月に出しているわけですから、将来については、やはり政府・与党として、これまでの地方への税財源の移譲といったことはあったとしても、従来型の財政措置はないんだよと、やはりここはきっちり言明をしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

■鴻池国務大臣
まさにそのとおりだと言明を申し上げたいと思います。これにつきましてはもう既に何度も申し上げておりますように、自助と自立の精神を生かすために、国としての従来型の財政措置は行わないというところでございます。
 一方、先ほど私も一部触れさせていただきましたように、地方公共団体が自発的に各省庁の予算を効率的に活用する、そういうことによりまして地域の活性化というものが高まってくる、そういう効果というものは否定するものではございません。
 しかし、なお、これまで地方公共団体等から出された提案においても、従来型の財政措置を講じることなく、規制の特例のみで地域の活性化につながるんだというアイデアがあるということも申し添えたいと思います。

武正委員
最後の点は、規制改革だけでは地域の活性化につながらないという懸念が地方からあるというふうに最後大臣が述べたということを確認させていただきます。
 さて、この特区でございますが、政令市、中核市、特例市、その下と言ってはなんですが、そのような形である面いろいろな権限が地方に分権をされる。その権限の分権度合いに応じて政令市、中核市、特例市とあるんですが、先ほどの地方分権プラス構造改革ということでいえば、その下に個別の特区があるような感じを私は受けるんですが、この私の印象についてどのようにお考えになりますか。

■鴻池国務大臣
私も委員と同じように、政令都市、大きな都市が随分立派で市町村が立派でないという思いは全くございません。
 そういった中で、今回も五十九の町、十一の村から提案が出されてきております。それぞれの地方公共団体の中においてきらりと光るものを模索していくという姿勢につきましては、大変評価をさせていただいているところでございます。

武正委員
経済産業政務官、お待たせをいたしました。先ほどの、産業振興は、国は戦略的に考える分野に集中して、できるだけ地方自治体の自主性を重視すべしという地方分権の最終報告もございましたが、私、イタリアの産業政策に興味を持っておりまして、イタリアの奇跡と呼ばれるような経済復興の理由というものもいろいろ調べてみたんですね。そうしましたら、ちょっとこれは発音が非常に難しいんですが、スィビルッポ・イタリアという、これは、中小企業に対する金融支援、コンサル、あるいは地方政府、地方自治体への地域計画の作成支援など、こういったところは先ほどの最終報告でいえば戦略的に考える分野。
 あるいは、これは多分沖縄も、私もいろいろと担当で沖北の方も理事をさせていただいておりまして、ことし、やはり沖縄の公庫の重要性というのは随分沖縄県から指摘をされました。今、地方の金融機関が大変苦しい中で、確かに組織的に、機能的に、いろいろ問題はあるんですが、政策金融として、やはり、地方への支援ということの重要性をこのスィビルッポ・イタリアは言っているのかなというふうに思うんですが。
 ただ、商工業政策はイタリアは各州に分権をしたということでございます。これは商工業政策だけではございませんが、一九七〇年代半ば、七五年、州確立・分権化法、それから七七年の権限委譲令、こういったところで特に産業政策の大部分は州及び基礎自治体に移管をされたわけでございます。
 私は、こういったところも踏まえて、特に産業政策は、先ほどの地方分権最終報告に見られるように、地方自治体にゆだねられるものはその自主性を重視して分権をすべきではないかというふうに思うんですが、御所見を伺います。


■西川大臣政務官
今、イタリアの例をお示しになりながら御質問いただきました。確かに、地方のことを地方に任せた方が、地方のことを一番よく知っている、こういうことで効率的に行政ができると私は思うんです。私も、県庁職員と県議会議員と合わせて三十年やってきました。その中で、経済政策の分権化というのは何だろう、こういうことを考えますとなかなか難しい、こう思います。
 先生から御提言、御質問をいただきましたので、私も県庁の職務分担をもう一度開いていろいろ検討しましたが、やはり国の補完的な仕事が大体県庁の商工行政だ、こういう状況に今なっています。それで、先ほど言われましたように、金融の、例えば保証協会等、これも確かに商工労働部で指導はやっておりますけれども、実態的には県の方針どおりだ、こういうことになっていると思います。
 それから、地方分権の問題で、機関委任事務を廃止しよう、こういうことで自治事務と法定受託事務にした。これも全部整理は終わりましたけれども、果たして産業政策の分権化というのはどうやったらできるのかな、こう私も考えているところであります。
 分権化はした、今後また協議をしながら、何と何を地方にお任せすれば効率的な運営ができるかということは前向きでやっていきたい、こう思っています。
 先ほどのイタリアの話、大変成功されておると私どもは受けとめております。イタリアで中央は何をやるんだといったら、宗教の問題、国防、通貨、選挙法、度量衡、基本的なもの、確かにそれだけであとは地方に任せてきた、こういうことでありますけれども、分権がまだ緒についたばかりで、本当に経済政策というのはどうやっていけばいいのかということを私ども前向きでやっていきたいと思います。
 ただ、商工行政でも、産業というのは振興をすることに対しては私は規制は行うべきではない、基本的には、規制なしの中でお互いに知恵を出し合って商業活動、工業活動、産業活動をやってもらう、こういうことでありますので、規制のないところで自由な競争ができる、こういう社会を築いていければ、こう思っております。
 以上です。

武正委員
政務官、ありがとうございました。どうぞ、時間ですので、お引き取りください。
 加えて、やはりイタリアには手工業法というのがあるんですね。イタリアは、十人以下の従業員数は日本の三倍なんだそうです。手工業をやはり大事にしようという、そういう法律があるんですよ。私は、日本でもこれは必要だなと。守るところはきっちり守っているという、それがやはり地域の力になる。
 大臣、政務官おいでですが、産業政策のことを特に経済産業政務官に来てお話をしたのは、今回の特区法案が、あるいは三カ年計画が経済活性化で仕切られている。特に昨年十二月の見直しということは、特にここを重点にやれという総理の諮問もあったからということでございますので、今、具体的な産業政策の地方分権は何かということは検討してみるというお話でございましたが、特に、今回の構造改革特区法案、そしてそれは地方分権も合わさっているんだという先ほど来のやりとり、特に経済活性化ということでの産業政策の分権ということをあわせて御検討いただきたいと思います。ありがとうございました。
 さて、憲法九十五条の地方自治特別法に当たると。そうしますと住民投票の必要性があるわけであります。この九十五条は、申すまでもなく、「一の」というんですかね、一つということではない、あるというふうに読み込むということですが、「地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票において」という条文でございますが、この構造改革特区法案はこの九十五条の地方自治特別法に当たると言えないのかどうか。あるいはまた、法文にその都市の、名前を挙げるかどうかわかりませんが、ある面のやはり絞り込みのようなことが書かれていた場合にはどうか。あわせてお答えをいただきたいと思います。


■鴻池国務大臣
今回のこの法案につきましては、憲法第九十五条に規定する一つの地方公共団体のみに適用される特別法には当たらないと考えております。また、特区の認定が行われた場合でも、そのことにより憲法第九十五条に定める特別法に当たることにはならないものと考えております。
 なお、詳しい御説明は、必要でございましたら、事務方、室長の方からいたさせます。

武正委員
ありがとうございました。
 続いて、構造改革特区でございますが、これは指定をされた地域は規制改革の恩恵を受けるということでございますが、その構造改革特区の隣の市町村とか周辺でございますが、ここに経済効果が及んでいけばもうすばらしいんですが、もしかすると、特区のみが経済効果を生んで、その周辺、境の市町村が不利益を生じるということも場合によっては考えられるのではないか。
 いろいろな形での経済効果があれば、当然、小売、物を買うあるいは医療を含めていろいろな形でその特区に集中する、人の流れが集中する、それによって周辺部が疲弊するといったことも当然起こる可能性があるわけですが、こういったことについてどのような対応が可能なのか、その辺についてどのようにお考えになるか、お答えいただけますか。

■鴻池国務大臣
これは何度も申し上げておりますように、特区地域の活性化のために、地域から提案をいただいて、これを可能な限りその活性化のために規制を緩和しよう、外していこうというものでございます。
 そういう過程において、ただいま委員の御心配のようなところも出てくるやもしれません。しかし、その周辺も、これは負けてはならない、隣の市町村が頑張っておるならば同じように頑張っていこうと、同じことでも申請を受け付けることができるわけでございますので、そういう中において、まさに私が絶えず申し上げております飛び火していっていただく、あるいは、それがすべてよりよき方向に進むならば燎原の火のごとく広がっていただくことを期待いたしておるところでございます。

武正委員
先ほど沖縄の話を申しました。八月二十六日に、民主党では沖縄ビジョンという政策を那覇市で発表してまいりました。記者発表のときには、当時岡田政調会長以下、かりゆしウエアというんですか、あの沖縄独特の服を着て記者会見に臨む。やはり沖縄ビジョンであれば東京で発表する必要はない、那覇でと、それで洋服もそんな洋服でやってまいりました。
 一時、一国二制度ということが当時大田前知事のときにぶち上げられたことがございます。あるいは、沖縄全県のフリートレードゾーン、全県をフリートレードにしたらどうかということもございました。ただ、ことごとくそういった一国二制度的なものはだめだということでポシャった経緯がございます。
 今回、沖縄ビジョンで我々が取り上げた中で、例えば介護保険料、来年度見直しでございますが、沖縄は月五千円以上の全国一多額の介護保険料になるだろうというふうに言われております。下手をすれば六千円と言われている理由は、要は、離島が多いものですから、各島に施設をそれぞれつくっているんですね。これでやはり保険料が上がらざるを得なかったというようなところがありまして、やはりこういったところに対する補完措置として、あそこでは非常に、ユイマールとか門中とか、その一族郎党のすごいネットワークがあるんですね。これまで厚労省は家族介護はサービスの対価としては考えないということですが、そういったところも対価として認めてサービス提供者の一つとして考えてもいいんじゃないか、そういういろいろなネットワークですね。こういうようなことも、一国二制度的なものあるいは入管の緩和等、提起をいたしました。
 今の特区の周辺部との摩擦あるいは外部不経済の問題、不利益ですね、これは、今大臣は、その特区を見て隣がいいと思ったら申請すればいいというようなお話だった。であれば、もっと対象範囲を広く考えていいんじゃないかな。例えば、沖縄県なら沖縄県、ぼんと、これは構造改革特区だよと指定をする。ある面、都道府県単位、もしかしたら、例えば関東とか近畿圏とか四国四県全部ぼんと、そのぐらいで考えていかないと、経済というのは人も物も金も移動するわけですよね。その特区に壁をつくって、入っちゃいけないとか出ちゃいけないとかはできないわけですよ。私はエリアとしては小さ過ぎるのではないかというように思うわけでございますが、これについて御所見をお伺いします。

■鴻池国務大臣
委員の思いというものは、私は大変理解ができます。
 しかし、今回のこの特区構想というのは、国からこうしようじゃないかということではなく、それぞれの地方公共団体あるいは民間からこうしたいんだという構想、提案を受けて、これをできる限り可能な要望を聞こう、そういうシステムになっておるわけでございますので、今回の特区につきましては、地方公共団体からの、あるいは民間からの御提案、また、一月十五日締め切りで第二次募集をいたしておるところでございますので、これを待ちたい、このように考えておるところであります。

武正委員
地方からということでございました。
 本来、それであってしかるべきなのですが、先ほどお話があったように、去年十二月の総理諮問、そしてことし三月の改定、そして経済財政諮問会議民間四委員の話、一連の流れは、国として、経済は活性化しなければいけない、その必要なもので今回構造改革特区ということが出ているわけですから、地方からといったところはやはり私はちょっと違うのではないかなというふうに思っております。
 であるからこそ、エリアはもっと広域で、やはりもう原則は全国で規制改革をやるんだ、これが本当でありますので、大臣、そのとおりというふうに言っておられますが、これを特に内閣で、特に各省庁を督励していただいて、規制改革を、同時並行で進めるというようなことは言っておられるようですが、同時並行以上にさらに加速をしていただきたいというふうに思うわけでございます。
 それで、具体的にこの法案でございますが、基本方針を閣議決定もするというふうに書いてありますが、今のお話ですが、それぞれの特区を進めて以降、具体的にどういうふうに構造改革、規制改革が全国的に進むのか。やはりこのアクションプランも法案にちゃんと、つくるんだよという条文があっていいと思うのですよね。これについてはどうでしょうか。

■片山国務大臣
委員御指摘のアクションプランとは、法案第三条に定める構造改革特区基本方針がそれに該当するということを御承知をちょうだいしたいと思います。
 基本方針では、定期的な特区に関する提案募集など、政府が講ずべき施策の基本的方針、次に、内閣総理大臣が計画を認定する際の基準、次に、特区において講じられる規制の特例措置の具体的内容と関係行政機関の同意の要件、特区において講じられる規制の特例措置の具体的な評価方法等、構造改革の推進に関し政府が講ずべき措置についての計画のようなことについて定める予定でございます。

武正委員
第三条二の四で「構造改革の推進等に関し政府が講ずべき措置についての計画」、五、「必要な事項」というような形がありますので、ここに盛り込まれていくのかなと思うのですが、特区がそれぞれ頑張るということではなくて、目的は全国一律の規制改革なんだということであれば、当然、そのためのアクションプランがここにちゃんと入っているんだよということで、これはもう一度御確認をしたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

■中城政府参考人
お答え申し上げます。
 先生の言われるようなアクションプランのような内容につきましては、法案第三条に定める基本方針の中に盛り込んでいく方針でございます。

武正委員
また、これは試験的なもの、あるいは質疑の中でも実験的なものというのも時々出てくるんですよね。この試験や実験がうまくいかなかったら、じゃ、もう規制改革はだめだな、試験、実験がうまくいかなかったからとなってしまっては、これはもう本末転倒だというふうに思うのです。そういった意味では、それぞれの規制の改革について複数の特区を指定すべきではないかというふうに考えるのですが、これはいかがでしょうか。

■片山国務大臣
これはそのとおり、複数の特区というものを認定していく可能性というのは十分ございます。

武正委員
ぜひそうしていただきたいと思う。一つだけある種の規制改革の特区があって、それがだめだったからこの種類の規制改革はだめですよというふうになってはやはり困るわけでございますので、複数の特区を指定していただきたいというふうに思います。
 さて、指定が受けられなかったときの苦情処理、あるいは特区でさまざまな規制改革を受けて進行中、いろいろな形で仕事を進める、雇用活性化、頑張っておられるときの苦情処理、これは機関や仕組みがどのようなものになるのか、お答えいただけますか。


■鴻池国務大臣
仮に認定が得られなかった場合につきましては、地方自治法第二百五十条の四の規定によって、内閣総理大臣から申請を行った地方公共団体に、理由を付して通知が行われることに相なっております。
 さらに、内閣総理大臣の認定や関係行政機関の長の同意を得られなかったことに対する不服がある場合には、地方公共団体は、地方自治法の規定に基づく紛争処理の仕組みを活用することができるということに相なっております。
 いずれにしましても、地方公共団体の御意見をよく聞きながら、認定に関するプロセスを、公正で、かつ透明なものとして、認定後も地方公共団体の計画実施をしっかりとフォローアップしてまいりたいと思っております。

武正委員
紛争処理の仕組みがあるんだよということでございますが、これは、総務省が、規制の設定または改変にかかわる意見提出手続に従いフォローアップ、公表。あるいは行政機関による法令適用事前確認手続の導入。これは閣議決定、いわゆるノーアクションレター。これは今回の法文にも出ております。
 それから総務省、これは評価の方ですね、規制改革について調査研究。内閣府は、経済効果の公表。各府省は、規制のコスト及び効果の分析、公表。総務省及び各府省の政策評価機能。それから総務省は行政評価監視機能。
 もろもろ、特に総務省、内閣府が中心でありますが、一応そういうチェック体制はある。
 ただ、やはり中央省庁からの規制改革について地方自治体が異議ありと言ったときに、中央省庁がそれをチェックをする、裁定を下すというのは、お手盛りになる可能性があるという危険があるんですね。そこで、やはりADRのような苦情紛争処理システムの整備、こういったもの、あるいは独立行政委員会、戦後二十二ありました。今七つしかありません。今の政府・与党は、行政改革の視点から、例の原子力安全委員会、もろもろ、三条委員会への格上げはノーということを言い続けておられますが、やはりこういった独立性、中立性のある紛争処理の仕組みがこの特区に関しても必要ではないかというふうに考えるのですが、再度お答えいただけますか。

■片山国務大臣
先ほど御答弁申し上げましたように、内閣総理大臣の認定や関係行政機関の長の同意を得られなかった、ただいま委員が御指摘のことでございますが、そういう場合に不服があった場合には、地方公共団体は、地方自治法の規定に基づく紛争処理の仕組みを活用していただきたい、このように考えております。

武正委員
具体的にちょっと今のことを御説明いただけますか。

■中城政府参考人
大臣が申し上げましたのは、国地方係争処理委員会というものを経由いたしまして、国の関与について不服のある地方公共団体からの審査の申し出に基づきまして審査を行い、国の関与が違法というような場合には、国の行政庁に対して必要な措置を行う旨の勧告を行うことができるということについての御説明でございます。

武正委員
そういった仕組みが機能していないということで、ADR、この法制度、これも規制改革三カ年計画でうたわれていますね。平成十四年度中に法整備というふうに出ております。これをやはり速やかに法整備を進めていただくということが必要だと思います。
 この法文の中に、先ほど出ていました、法令の解釈について確認を求めることができるというのがあるんですが、ということは、今までできなかったというふうに読み込んでいいのかどうか、これをお聞かせいただきたいと思います。

■片山国務大臣
個別法令においてこのような規定を置き、また、関係省庁に回答義務を課したのは初めてでございます。

武正委員
今までできなかったということですね。各地方自治体が口頭では各省庁に確認を求めても、口頭では返事はあっても、文書によるやりとりは、閣議決定を経て今回法文に盛り込まれたのは初めてというふうに理解をいたしました。ありがとうございます。
 さて、規制改革三カ年計画で、その対象として、進捗状況を先ほど政務官からもお話がありました。ただ逆に、規制改革三カ年計画の対象外で規制改革が後退しているとすれば、それについてはどのようにチェックをされているのか。一方で規制改革を進めながら、別なところで規制が強められたり、あるいは規制改革が後退していたりしたら、これは元も子もないわけでありますが、そのチェック体制についてお伺いしたいと思います。

■大村大臣政務官
このチェック体制は大変大事な点だと思います。
 まず、総合規制改革会議で、各団体、企業などから、毎年新たに規制改革要望というのをまた随時受け付けさせていただいておりまして、それを踏まえて十二月に答申という形で盛り込ませていただいているわけでございます。
 また、あわせまして、総合規制改革会議の事務局に各団体等から受けた要望すべてを、一年に一回、ことしはこの六月にこんなもので、千六百八十八件、こういう形で公表をさせていただいているところでございまして、そういう形でチェックをしていきたいと思っております。
 また、今回の構造改革の特区法案におきましても、地方公共団体からの要望を内閣官房を通じて一元的に調整をする仕組みでございますとか、また、民間企業も地方公共団体に対しまして規制改革の提案が認められておりまして、これに対しまして、採用されなければ自治体がその理由を述べなければならないということになっております。
 いずれにいたしましても、総合規制改革会議の持つ機能と今回の特区法案の機能、これをあわせて活用いたしまして、委員御指摘のような規制改革全体をおくらせるといったことにならないように、しっかりとチェックをしていきたいというふうに思っております。

武正委員
今大村政務官にお見せいただいた千六百八十八の分類でございますが、措置済み、措置予定が二七・七%、検討中が二三・六%、措置困難二八・六%、そのほか二〇・一%。ですから、四分の三はなかなか難しいですよということでございまして、やはりこの難しいですよに積極的に取り組む必要があると思っております。
 時間が参りましたので、終わらせていただきます。ありがとうございました。

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