【厚生労働委員会】医療事故・院内感染・救急医療

2002年12月11日

武正委員
民主党・無所属クラブ、武正公一でございます。
 今、既に同僚委員からも御指摘がございました医療事故に関してでございます。
 お手元には、委員長、理事のお許しを得て、民主党が昨年六月二十五日に衆議院に提出をいたしました、いわゆる医療事故防止法案にかかわる概要あるいは法案もお手元に配付をさせていただいております。当委員会での審議をぜひともしていただきたいという思いも込めまして、きょうは質疑をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 まず冒頭、これは関係調達府省連絡会議、今政府が進めておりますe―Japan戦略そして電子政府、電子自治体ということで年間約二兆円、情報システムに関連する支出が行われておりますが、既に昨年度から、与党内からも、その使い方に問題あり、いわゆる安値入札がかえってその後随契で額が膨らんでいる様子、お金の使い方、問題があるんじゃないか、あるいはまた、かえって非効率ではないか、こういった指摘があり、前年度の末に関係省庁の担当者が集まり、ガイドラインを策定しております。
 厚労省さん、今いわゆる総合評価の中ではこれまでの除算方式から加算方式への見直しはされておると聞いておりますが、ガイドラインに指摘されておりますような競争入札の促進あるいはJVの活用、中小企業への受注促進、情報システムに関連してですね。政府支出の六割はいわゆる大手四社が独占をしているといった事態も指摘される中で、今この支出負担行為担当官、三百三十二名厚労省さんにはおいでですが、今年度までに、その中でいわゆる十分の六以下の安値入札だということで調査を行ったのはたった一件と聞いております。その内容とその支出負担行為担当官の役職、またその担当官が指定した契約審査委員の三名の肩書についてお答えいただきたいと思います。副大臣ですね。

■鴨下副大臣
まず、冒頭の方の先生の御意見については私もほぼ共感しておりまして、特にこれから、e―Japanを含めて、二〇〇五年には日本は世界最先端の電子政府をつくろう、こういうようなことでありますので、それに伴ってさまざまな問題をきちんとしておかなければいけない、こういうような意味では、まさに先生おっしゃるとおりであります。
 特に、言ってみれば安値落札の問題については、これは、落札はしたはいいけれどもその後は随契でというようなことになるとかえって高いものを買ったというようなことにもなりますし、非常にむだが多い、こういうようなことで、先生おっしゃるように、四つの大手ベンダーがひとり占めにしてなかなかそれ以外のところはうまくいかないというようなことで、除算方式から加算方式にしていこうというようなことは今まさに進めている最中でございますし、もうそれはある意味で形としてきちんとできてきたというようなことでございます。
 ただ、先生がおっしゃっている、例えばジョイントベンチャー等の入札について、それから中小企業の例えば調達促進について、こういうようなことでありましたけれども、これも現在のところ、ジョイントベンチャーからの競争参加資格の申し込みは今のところはないわけでありますけれども、個別の入札案件について申し込みがあれば、その責任体制等を留意して、できるだけそういう競争参加機会をつくっていこう、こういうようなことであります。それから中小企業からの調達についても、多少技術力云々というところで問題のあることも乗り越えなければいけませんけれども、厚生省としても、それは中小企業の活用についてきちんとしてまいりたい、こういうふうに考えます。
 それから、その後の、先生御指摘の安値入札の調査についてどうか、このことについては担当の方から答えさせます。

■鈴木政府参考人
今御指摘のありました安値入札の問題でございますが、御指摘のように一件ございました。これは国家試験問題の検索システムに関連したものでございます。
 これにつきましては、この調達につきましては、大臣官房会計課長が支出負担行為担当官として行った案件でございます。この場合の審査委員は、大臣官房会計課の監査指導室長、それから同管理室長及び大臣官房統計情報部企画課の情報企画室長でございます。
 調査の結果、最低価格の入札者を落札者とせずに、契約が適切に履行できると判断した次の順位者と契約を締結しております。


武正委員
最初に申し上げておきますが、お答えは政治家の皆さんにお願いをしておりまして、今のような形で多分メモはもう政治家の皆さんに行っていると思うんですね。もし行っていなかったら、ぜひこれからの審議ではそういった形で御協力をいただいて、政治家同士の議論という国会の活性化に御協力をいただきたいというふうに思います。
 さて、今のお話でございますが、要は、同じ課、ほとんど同じ課、あるいは大臣官房でも隣の課の方々がチェックをしているということなんですね。実際に、残り、厚生労働省さんにはたくさんいるんですが、その方々には今言った専門委員は一人も置いていないということも言われております。これはこの後ちょっと聞いてまいります。
 先ほどの安値入札のことをちょっと振り返りますと、厚労省さんでも行政文書ファイル管理システム、九九年十一月、二百十二万円でNECさん受注、これは予算額六千八百四十万だったわけですね、安値入札。翌年の十月、同じシステムの改造を日本IBMさんが随契でやっております。今度は九千三百三十四万円。まさに副大臣が言われたとおりであります。いろいろ指摘を見てみますと、実際は改造というよりも再構築に近い。実際は最初のNECさんうまくいかなかったんだ。もう一回再構築して九千三百三十四万で随契をしている。これがやはり官庁側の管理能力に問題がある、あるいはCIOを置くべきと。
 ただ、今厚労省さん、CIOは官房長さんですよね。本当に官房長さんがこの情報システムに関してCIOとしての役割を果たしているのかどうか。これはやはり厳しく省内でも御検討いただきたいということを申しておきます。
 また、先ほど副大臣からも電子政府化、電子自治体化、お話ありましたが、例えばアクセンチュアの日本の電子政府化の評価は、昨年も、ことしもですか、要は十七位で変わらない。そのときの指摘とすれば、どうしてもサプライサイドの視点が日本のIT化、電子政府化は強いんだ。ユーザーサイドの視点が欠けているよということなんですね。
 厚労省さん、今カルテの電子化進めておられますが、カルテの電子化もサプライサイドの視点が強過ぎやしないか、ユーザーサイドの視点に立つならば、カルテの電子化の目的はカルテなりレセプトの開示であろう。こういったところは、やはりIT化、電子政府、電子自治体化の視点が今の政府は履き違えていると言わざるを得ないのでございます。
 さて、安値入札について先ほどのお話でございますが、厚労省さんには三百三十二名の支出負担行為担当官がおりますが、そのうち財務省予決令の改正で三名の専門員を置いているのは先ほどの三名だけ、つまり残りの三百三十一名には審査委員を置いていない。契約がいわゆる安値入札のときに調査をするという審査委員を置いていないのは問題が多いというふうに思いますし、もともとこの支出負担行為担当官が、十分の六以下の安値入札であっても受注できるかどうかはその担当官に裁量が任されている、受注できなさそうだなと思ったら三名の専門員にこれから指定をして調査させる、これはやはりお手盛りの調査になろうというふうに問題意識を持つんですが、この点、これは副大臣よろしいでしょうか。

■鴨下副大臣
厚生省がIT化について多少おくれているんではないか、こういうような御指摘でありまして、私も副大臣になって厚生労働省に入りましてCIOはだれなんだというような話から始めて、先生御指摘のところは、今それぞれのところに訓令しているところであります。
 ただ、今の段階でその契約審査委員の指定についてはなかなか多岐にわたるというようなことで、今のところ適任者を指定することができるよう、それぞれ必要があるときにそういうようなことをする、こういうようなことに今なっているわけでありまして、大臣官房会計課以外の部局には契約審査委員を実際に指定していないというようなところが現実ではあります。
 ただ、安値入札にかかわる調達が生じた場合には、その内容について適切に指定する、こういうようなことにしているわけでありますが、今後さらにそのあたりのところのシステムについては改善を図ってまいりたいというふうに思います。


武正委員
いわゆる同じ課の中にチェックをする三名を指定するというのは、やはりお手盛りの指定に、あるいはお手盛りの調査になり得ると思うんですが、この点はいかがですか。


■鴨下副大臣
中に契約担当官がいるのではなかなかそれぞれ相互チェックができないんではないか、こういうふうなことでありますけれども、その人間をある意味でチェックするわけではなくて、契約そのものをというようなことで、ある意味では普遍的な事実をきちんと把握するというようなことでありますし、事後にはそのことについては情報公開をしていこう、こういうようなことでありますので、ただ同じ部署にいるからということだけでは、不適切とは必ずしも言えない部分だろうというふうには思います。


武正委員
それでは、まだこの三百三十一名の担当官には三名の審査委員がいないのですけれども、副大臣から今るる御答弁がありましたが、大臣、よろしいですか。
 何か事があったら指定するというようなお話なんですが、事があってから、じゃ、だれにしようかな、これはやはりリスクマネジメントとしてはいかがなものかと思うのですね。やはり、事前から、もし、それぞれの部署で担当官ごとに、安値入札は結局は、厚労省にとってもあるいは日本政府にとっても、まして国民の血税の使い方にとっても問題が多いということはもう指摘をされているわけでございますので、今のうちから三百三十二名それぞれに審査委員をもう指定する。でき得れば、やはり同じ課ではなくて、隣の課とかいろいろクロスをさせていくことを、特に厚労省さんが率先してやっていただくというのは、先ほどのカルテの電子化等、これからさまざまIT化を進めていくうちで非常に必要なことではないかと考えるのですが、大臣の御所見を伺います。

■坂口国務大臣
今副大臣から答弁のあったとおりでございますが、平素からやはり訓練をちゃんとしておくということは大事なことでございまして、また、外側から見て、同じ場所にいるから彼らはなあなあでやっているんじゃないかというふうに言われるようなことがあってはいけませんので、その点はそういうことが言われないように、ふだんからの訓練をやっていきたいと思います。


武正委員
当初、平成九年八月、医療機器の流通に関する調査研究班の医療機器の流通慣行に関する調査報告書も触れようと思っておりましたが、時間の関係で、今回は割愛をしております。
 これはもう言うまでもなく、ペースメーカー、PTCAカテーテル、MRIなどの内外価格差、日本は欧米に比べて三倍高い等の指摘、これは公取さんも調査をされている。こういった問題も、日本の医療費三十兆円、それが有効に使われるためには、やはり入札、受注制度あるいは流通体系、さまざまな発注側と受注側との厳しいチェック関係あるいは競争、これが必要なことを指摘して、次は医療事故防止法案に移らせていただきます。
 お手元の方に、提出をした法案の概要と法案がございます。これで私どもの民主党では、医療事故防止センターというものを設けて、ここが医療事故の調査をすることができるというふうにいたしました。ただ、これは、することができるであって、義務まではいたしませんでした。また、やはりその目的は、原因究明、再発防止であって、犯人捜しではないという視点でございます。
 そこで、まずこれはお伺いをするところでございますが、この一ページに書いてありますが、下から十行目から十五行目ぐらいに書いてありますが、もう厚労省さんから出していただいたように、これは五というところですけれども、安全管理に関する指針は、平成十三年十月で、九五・九%できている。リスクマネジャーも七三・三%で置かれている。安全委員会に至っては九八・九%でつくられている。こういった数字が挙げられておるのでございますが、ことしの東京女子医大の医療事故、カルテ改ざんを含めたこういった隠ぺい体質がやはり組織の中では起きやすいんだということが指摘をされているわけでございまして、後で触れる第三者機関の必要性が今回の東京女子医大の事故からも明らかになってまいります。
 そこで、この医療事故防止センター、要は第三者機関が医療事故報告を求めることができるというような視点、これについてどのようにお考えになるか。あくまでも原因究明、再発防止でございます。
 それからもう一点は、都道府県知事が医療事故防止方針についてその策定状況など立入検査ができるというような形を書かせていただいておりますが、この点、二点について御所見を伺います。

■木村副大臣
医療安全対策は医療政策の最重要課題の一つであるということは同じ思いでございます。このため、厚生労働省で本年八月に省令を改正しまして、すべての病院等の管理者に対しまして、安全管理のための指針の整備、事故の院内報告制度の構築、安全管理委員会の設置、今先生がお話しされていた点でございますけれども、安全管理のための職員研修の実施などを義務づけるとともに、その整備状況について医療監視を逐次実施をしているところでございます。
 また、特定機能病院等から冷やり、はっと事例を収集いたしまして、医療事故の要因を解明した上で、防止対策について国民や医療機関に情報提供などを行っているところであり、さらに事故事例の収集や活用等について現在検討を行っているところでございまして、厚生労働省といたしましては、当面、現行法のもとでこれらの対策を総合的に推進をすることによって医療の安全を進めてまいりたい、このように思っております。


武正委員
都道府県では、青森県など、院内感染対策委員会をつくらせたり、院内感染防止対策の内容の確認などをやったり、まあこれは立入検査、院内感染でございますが。あと、仙台の保健所長さんは、医療事故防止対策、あるいはこれについてのやはり医療監視、これが必要だというような提言もしているのですね。
 大臣、いかがでしょうか、私は、医療安全対策検討会議の第一回議事録にも書かれておりますが、第三者機関が医療事故報告を求めることができるようにするのはどうだろうということでございまして、この法案もそういった趣旨で出させていただいております。
 日本医療機能評価機構という団体がございますが、この団体がひとつ今、例えば今年度から医療事故対策についての評価、チェック項目もかなり詳細にふやしておりますし、いわゆる病院評価、厚労省さんも二〇〇六年度までに二千病院というような目標も立てておられるようですが、この日本医療機能評価機構を第三者機関にすべきではないか、することが可能ではないかということについての御所見を伺います。


■木村副大臣
先ほど政治家同士の議論ということで、ちょっと私も、考えていることはそんなに違ってないと思うのですが、まさに原因究明であって犯罪捜査ではない。そこは非常に重要なことで、例えばアメリカなんかでも、航空機事故の場合なんか航空機事故調査委員会というのがありまして、そこはどういう取り組みかというと、やはり事故が起こったときに一番原因がわかっているのは事故を起こした当人だ、パイロットとかそういう関係者だということで、そこに免責するんですな。それで、正直に全部しゃべってくれと。正直に全部しゃべることによって、ある意味で免責を与えて、そして一番の肝心な原因究明に取り組んでいる。私は、そこは非常に、なるほど参考になるなといつも感じているのですよ。
 それで、いろいろな機関をつくっても、いろいろな場面があると思います。事故を起こしてしまった人が、うっかりこれをしゃべったら自分は取り調べられたり刑務所に入ったりしなきゃいけないぞとなると、どうしてもそこに肝心なところをしゃべってしまわないような場面が出てくるのではないかなということを考えたときに、どうやってこれからの事故再発の防止のために、おっしゃられたように、原因究明にとことん尽くしていただいて今後の医療の発展とその事故の防止のためにどういう仕組みをつくるかというのは大変大事なところだという感覚は私もそのとおりだと思うので、その辺のことがもう少し具体的になっていけばなというのを強く感じているような次第でございます。
 いずれにいたしましても、本年七月に医療に係る事故事例情報の取扱いに関する検討部会を設置し、検討を行っているところでありまして、できるだけ早いうちに結論を取りまとめて必要な措置をとるべきである、こういうことでございますけれども、私の個人的な考えをあえて議論だということで言わせていただくと、やはりそういう何か、あえて免責を与えてもいいから、本当に正直にしゃべるようなそういうシステムができたらこの辺は相当格段に進歩するのかなというと、どういう機関にするかも大事ですけれども、もっともっと、もう少しその辺に深く食い込むようなことの検討もこれからぜひ行っていただきたいな、また、こちらとしてもしていかなきゃいけないというのを強く感じているような次第であります。


武正委員
私は、日本医療機能評価機構を第三者機関にしてはどうかというふうに聞いているんであって、それについてお答えいただいておりません。
 それに加えて、アメリカの航空事故調査委員会についてはNTSB、それなりに独立した行政委員会としての権限を与えられております。これについては、我が党を初め多くの野党が、政府・与党に対しては、国家行政組織法三条の独立行政委員会設置をと再三再四あらゆる機会を通じて求めているにもかかわらず、それについて政府・与党はいつも行政改革を理由に認めない。ジェー・シー・オー事件もそうでした。
 これなのに、今の副大臣の答弁は納得できないわけでございますが、大臣、いかがでしょうか、日本医療機能評価機構。――いや、大臣にお答えをいただきたいと思いますが。


■木村副大臣
今の点で、第三者機関の点を含めて、本年七月に医療に係る事故事例情報の取扱いに関する検討部会を設置いたしまして、検討を行っているところでございます、そして、できるだけ早いうちに結論を取りまとめて必要な措置をとっていきたい、こういうことを考えているところでございますと、これは先ほど答弁をさせていただきました。



武正委員
○武正委員 日本医療機能評価機構について、私はその評価を、それこそ日本医療機能評価機構はどうですかと聞いているんですけれどもね。大臣、いかがでしょうか。


■坂口国務大臣
医療事故の問題は、これは特異なものでございますから、この日本医療機能評価機構というのは、これは大変すぐれた機構であるというふうに思っておりますが、この機構に医療事故のことをゆだねるのがいいのかどうか、そこはちょっとよく検討した方がいい。この機構そのものが大変大きな仕事をしておみえになる、これは率直に認めております。医療事故との関係でどうするかということは、少し検討して決めたいと思います。


武正委員
今の医療機能評価機構でございますが、これは厚生労働省が基本財産三億のうち一億を出しております。二〇〇六年までに二千病院の評価を受けさせる、そういった、ある面独立した評価機関ですから、私は、やはり厚労省さんが三億のうち一億を出しているというのは、今大臣は医療事故の調査はまだこれから検討だというふうにおっしゃられましたが、やはりこの評価機関としての独立性を考えたときには、当然、やはり厚労省さんが三分の一というのが果たしていかがなものかなというふうに思うんですが、この点はどうでしょうか。


■木村副大臣
いずれにいたしましても、こういう評価は中立的に行われる必要がある、これはもう当然なことでございまして、そのために日本医療機能評価機構の基本財産は、御存じだとは思いますけれども、保健医療に関する公益法人、保険者を代表する団体等から幅広く出資を求めておりまして、あわせて国としても、評価事業の円滑な実施と普及を支援する観点から一定の出資を行っております。
 国の出資は同機構の中立性に影響を及ぼすものではないと考えておりまして、国といたしましては、今後とも国民の医療に対する信頼を確保し、医療の質の一層の向上を図るために、特定の立場に偏することのない中立的な立場に立った医療機能評価の実施、普及を支援してまいりたい、このような考えでおります。


武正委員
 先ほど副大臣は、免責も含めて、事故に関して、ある面権限を与えてというような話もされましたので、こういった大事な評価をする機関ですので、厚労省さんが三分の一出資していたから本当に、では中立性が保てるのかといったことは私はやはり意見を異にするんですね。
 これは時間の限りもありますので、次に行かせていただきますが、この医療機能評価機構に関して、補助、診療報酬、これは加算してもいいんじゃないかなというふうに思うんですが、拡大をされているようなんですが、この点についてはいかがでしょうか。

■木村副大臣
もう先生は御承知だと思いますけれども、緩和ケアにおきましては、今般の診療報酬改定において、緩和ケア病棟入院料、緩和ケア加算及び外来化学療法加算の算定要件の一つとして、日本医療機能評価機構等が行う医療機能評価を受けていることを位置づけました。つまり、条件としてこの機能の評価を受けているということが入っているわけであります。
 診療報酬においても、医療の質の評価は重要と考えておりますし、御指摘の点も含めまして診療報酬上の適切な評価のあり方についてさらに検討してまいりたいと思います。


武正委員
次は、セラチア菌の院内感染に移らせていただきますが、世田谷区保健所、世田谷区さんからこういった報告書が出ております。
 この報告書を見てまいりましても、これは御存じのように、十二月の末から一月の頭、いわゆる年末年始に疑いがあり、あるいは確定し、そして死亡されたということで、七名の方が亡くなられた事故でございます。ちょうど年末年始にかかっていることでございますが、この報告書の中でも、四十一ページには、十二月一日から十九日が、一晩平均、夜間の救急外来患者六・九人、十九日から三十一日が八・八人、一月一日から十二日までは六・一人。あるいは、一月四日から七日に検査が集中したということでございまして、仮眠もとれないほど激務と多くの看護師が言っているという記載や、あるいは一月四日から七日に検査が集中したときは、一月四日は検査に追われて大変だった、病棟は忙しい上に、検査室からは遅いと言われて追い立てられるようだったというような形が書かれております。
 ただ、こういった、ある面、年末年始の繁忙期、そこで人が実は不足をしているんではないか、人手が足りないといったようなヒアリング、調査結果は載っているんですが、では、今回のことを受けてのまとめの方には、五十六ページ以下でございますが、「I病院に対する院内感染予防の提言」「今後への提言・決意」にはこの人的配置の問題は一切触れられていないんですね、年末年始の繁忙期に人手が足りないということは。これは私はどうしてかなというふうに思うんですね。
 今回は、いわゆる十二月二十六日とそれ以前でヘパロックの解析疫学上オッズ比、二十五日以前は一・七五、それが二十六日以後は二五・六七にはね上がっているといったことも含めて、やはりこの年末年始の繁忙期の人手のなさが、二〇〇一年に既に百ミリリットルから五百ミリリットルにヘパリンロックの溶液を大きくした。その五百ミリリットルの中でセラチア菌が増殖したんではないかという疑いが濃厚というところでございますが、なぜこの人手の不足を挙げないのか、私はここに根本的な原因があるのではないかと考えるんですが、この点、大臣、いかがでしょうか。お答えいただけますか。


■坂口国務大臣
世田谷のI病院のことをお挙げになりました。それで、こういう立入検査、これは都道府県がやるものですから、当然のことながら東京都が行っているということでございます。
 東京都が十一年の十二月に実施をしております立入検査、これは、この件とはかかわりなく、ふだんやっている検査でございまして、そこにおきましては人員配置の問題はなかった。ただ、管理関係の項目につきまして、これは幾つかの改善項目をその中に入れているということでございまして、ふだんの人的配置の問題とそれからお正月とかそういった特定の時期に対する人的配置の問題と若干違うのかなというふうには思いますが、この事件によります原因究明の話は、別途、これはそうしたことも全体を含めて、それはやらなきゃいけないのではないかというふうに思います。


武正委員
 医療監視のところをちょっと飛ばしたもので、大臣の方もちょっと御混乱されたかもしれませんが、極めて明快にその医療監視の方を言っていただいたので、余計わかりやすくなりました。
 要は、医療監視では人的配置というのを、人がいるかいないか、人数のことをチェックするということで、医療の質についてはチェックができないということや、東京都さんにも行ってきましたが、東京都さんでは、こういったこと、要は、年末の繁忙期に人手が足りないということを今の医療法上指摘できないんだというようなことをいみじくも語っておられます。
 ですから、医療監視は自治事務だと言い切ってしまわないで、既に墨田区そして堺市ということで立て続けに起こり、ことしはまた群馬県でも起きているセラチア菌、これは感染症法の対象外ですね。ですから、軽微なと言われながら、セラチア菌による死亡者が毎年のように起きている。これについて、今の人的なところというのは、やはり厚生労働省が取り組まなければならない医療監視の内容充実といった点だというふうに私は思います。
 そういったことで、このセラチア菌でございますが、もう既に堺市の方でも、これは耳原総合病院というふうにいうんでしょうか、大田副院長は、その後、三億七千三百万の赤字というような形で、病院も患者さんが来なくなってしまった、その中で安全対策に二・八倍を使った、徹底してそのことをやったよというようなことも書いておりますが、こうしてなぜ繰り返されるのか。
 このことについては先ほど医療監視をやっているよというお話でしたが、その中身、ただ人が、施設が整っていればいいという今の限界、これについて、大臣、再度お答えをいただけますでしょうか。改善が、やはり厚生労働省として取り組みがなければ、こういったセラチア菌による死亡事故、院内感染が繰り返されるだろうと考えるんですが、大臣の御所見を伺います。

■坂口国務大臣
先ほども若干触れましたが、ふだん行っております監査というものが、ややもいたしますと、事務的な監査と申しますか、そうしたことに偏りがちになりまして、いわゆる技術面での監査というのがややもいたしますと手薄になる可能性がある、私も率直にそう思っております。
 監査に入ります人間、どちらかといえば、そうしたいわゆる技術面での監査をするというような人間が少ないものでございますから、どうしてもそうなるんだろうというふうに思いますし、それはそれでやむを得ない面もあるというふうには思うんですが、やはり、そうした意味では、このセラチア菌のような問題につきましては、ふだんから病院の関係者を集めて、そして、これをどういうふうに取り扱っていくかということの検討会と申しますか、それに対する知見なるものをみんなにわかりやすく話さなければいけないし、そして、取り扱いはどういうふうにしていったらいいかということ、どういうことに注意をしたらいいかということをもっと積極的にやらないといけないんだろうというふうに思っています。
 そういった点で、今までが不十分であったという反省もあるわけでございますので、これからそうした病院の皆さん方にお集まりをいただいて、関係者の皆さん方にこういうケースで今まではセラチア菌の問題が起こっているというお話をして、そして、そういうことがないようにふだんから気をつけていただかないといけないわけでございます。
 先ほどのI病院でございましたか、ここの場合にも、その原因となりました理由はもうわかっているわけでありまして、本来ならば冷凍室か何かに入れておかなきゃならないものを、普通の温度のところに数日間も置いておいたというようなことがあって、それが原因になっておるわけでありますから、そういう教育訓練というものをやはり徹底的にやっていかないといけないというふうに思っております。単なる監査というのではなくて、やはりそういうことをミックスして行っていかないといけないというふうに反省もしておるところでございます。


武正委員
I病院については、先ほども触れたように、なぜ常温で放置をしたのか、あるいは、いわゆるぬれタオルですけれども、布タオルをそのままかえなかったのか。そこでまたセラチア菌が増殖した。これは、私は、やはりすべて人手不足、繁忙期にあっての人手不足だというふうに結論づけなければならない。
 そのことさえも報告書に書けない。これは私はまた繰り返されるというふうに言わざるを得ませんし、その医療監視について、医療監視でできるものではないと言われますが、やはり医療監視で、設備の数じゃなくて、その内容にまで立ち入らなかったら、これは医療監視の意味がないというふうに考えるわけでございます。
 さて、次に、救急医療に移らせていただきますが、間もなく厚生労働省と総務省さんの最終報告が検討会でまとまるようでございます。事前に私も見させていただきましたが、まだまだもっともっと取り組みが必要であろうというふうに考えるわけでございます。
 特に、この中で、消防署と病院のいわゆるメディカルコントロールについて触れているわけですが、どちらかというと、それは、病院側が消防署側、搬送側のメディカルコントロールを全体で行うということであって、私はやはり、搬送した消防署側が搬送後の患者さんの予後の状態を知るといった面での、病院側から消防署側への、搬送者への情報提供が必要ではないかというふうに考えております。
 平成十二年で挙げますと、約四百万人超の搬送者の中で、重症者四十六万四千七百十六人、その方が病院に運ばれて、全体の一割ですね、どういう状況になったのか、重症者ですから。これについては実態を把握されていますか。
 また、今私が言ったように、病院側から搬送後の患者さんの容体を搬送者である消防署側に伝えるということは、搬送時の行為について検討を加えたり、いろいろやはり改善につながるというふうに思うんですが、今、特定医療三行為の拡大についても議論があるわけですから、当然情報提供は義務づけていいんじゃないかと私は思うんですが、二点お伺いいたします。――いやいや、政治家に答えてもらいます。


■木村副大臣
これはあくまでも厚生省側の話でございますから、御承知のように、この件に関しましては消防庁側の取り組み……(武正委員「いや、厚生労働省側の考えでいいんです」と呼ぶ)
 御指摘の救急救命士が業務を行うに際しましての病院から消防への情報提供につきましては、各都道府県及び各地域を単位といたしまして、御承知のメディカルコントロール協議会を早急に設置し、この場において救急救命士が行った除細動や気道の確保などについての事後検証を重ねる中で、つまり協議会を開いて、両者がその場において、今おっしゃられた重症者がこうなった、ああなったという事後検証を重ねる中で、医療関係者や消防関係者の情報の共有という目的が達成されるものと考えているわけでございまして、現状におきましては、年内にも予定される検討会の報告書の取りまとめを受け、総務省消防庁と連携いたしまして、医療行政、消防行政の緊密な連絡調整体制の確立に向けた必要な取り組みを進めてまいりたい、このように思っているような次第であります。


武正委員
四十六万四千七百十六人のその後の症状はわからないということで理解をしたいと思います。
 さて、私はやはり義務づけるべきだと思うんですね。これは厚生労働大臣よくわかるように、ドクターとドクターじゃない方々が、私も検討会に出ました、同僚委員と一緒に。やはり、ドクターがしゃべると、なかなかほかの方々はしゃべりにくいという雰囲気があります。だから義務づけないと、やはりあるんですよ、何というんですか、ドクターと搬送者側のそういう位置関係が。私はやはり義務づけるべきだと思います。これは強く申し上げておきます。
 最後になりますが、国立病院・療養所のうち約三割が築三十年ということでございますが、建てかえについてどのような方針で臨まれるのか、また、民間病院がどの程度年数がたっているのか実態把握をされているのかどうか、一点。
 それから、私は、都市整備公団が指摘しているように、躯体保護に有効で省エネに有効な外断熱を病院の建てかえには取り入れるべきと考えますが、二点、御所見をお伺いします。これは大臣、いかがでしょうか。

■坂口国務大臣
 御案内のとおり、百四十四の国立病院・療養所、これは今独立行政法人にお願いをしている最中でございますが、この百四十四の施設のうちで、三十年以上たっております施設が四十六施設で三二%を占めている。三十年未満が九十八施設で六八%、現在建てかえ中のものも含めてでございますが、あります。
 これは、年齢だけではいかないわけで、年齢は短いけれども非常に悪くなったといったようなものも中にございますので、それらのことを、独立行政法人になりますまでに、引き渡しますときに大体どういう状況かということを、国としても、厚生労働省としてもちゃんと明確にしておかなければいけないというふうに思っておりまして、それらのことの調査も進めていきたいというふうに思っているところでございます。
 それから、改修におきます先ほど先生が言われました断熱材のお話、素人でございますから、どれがいいか悪いかということは私はなかなか言いがたいわけでございますが、外側につける外断熱の使用につきましては、断熱の効果から見て有効であるという意見はよく聞いておるところでございますが、ただ一方、建設コストがかなり高くなるということもあるという面もあるようでございます。
 しかし、効果としては外側にした方がいいという結論が出ているようでございますから、これは今後、そうしたことを申し送りをして、建てかえるときにはそうしたことも、あるいはまた、建てかえができなくても、そうしたことをやることによって、そして一時しのげることができるということであれば、大変それも大事なことだというふうに思っております。
 今後の建てかえ整備につきましては、独立行政法人国立病院機構が経営の健全性を十分に考慮しながら進めていくものというふうに思いますが、ただいまの御意見等も参考にしながらやっていきたいというふうに思っております。


武正委員
もう時間が来ましたので終わりますが、史上最大のミステーク、TBSブリタニカでも、いわゆる内断熱が病院の結露を生み出して、結露が院内感染を引き起こす可能性がある、こういった指摘があります。実際、北海道新聞でも、札幌市立病院で全病棟に結露、これは市議会が指摘、調査、結局は札幌市側が陳謝といった事態も札幌市立病院でありますし、これは産業経済新聞、お茶の水女子大の田中教授、外断熱工法、カビなどの減少に効果、室温安定させ結露を防ぐ、内断熱より外断熱、省エネ性高く躯体伸縮も防止ということで、いわゆる院内感染防止にも役立つということをぜひ大臣には御記憶をいただき、以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

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