【総務委員会】NHK決算

2002年12月12日

武正委員
おはようございます。民主党・無所属クラブの武正公一でございます。
 ことし三月に続いてまた、このNHKの今度は決算ということで、平成十一年度、十二年度、二年度の決算を行わせていただきます。
 さて、まず両年度、NHK決算で示されておりますが、この支出のうち、いわゆる情報システム関連の支出は幾らになるのか。また、これは当委員会で私も指摘をしておりますが、政府関連の情報システム支出約二兆円、そのうちの約六割がいわゆる大手四グループが受注をしている、これについては入札制度の見直しを今政府も進めているところでございますが、NHKにあってはその受注企業にいわゆる大手四グループはどの程度を占めるのか、二点お答えをいただけますでしょうか。



■笠井参考人

お答えいたします。
 NHKでは、最新のITを積極的に導入いたしましてさまざまなシステムを構築し、業務の効率化を図っているところでございます。
 平成十一年度の情報システム関連経費でございますが、これは保守・運用経費などを含めまして百十五億円ございます。各業務別のシステム経費は、これは参考までに申し上げますと、番組系で三十四億円、報道系で十五億円、営業系で四十八億円、事務系十八億円でございます。また、平成十二年度の情報システム関連経費は、保守・運用経費などを含めまして百二十三億円ございます。各業務別のシステム経費は、番組系三十八億円、報道系十五億円、営業系五十五億円、事務系十五億円でございます。
 御指摘のありました大手四社に対する発注額とその割合でございますが、十一年度は、NECが四十四億円、三八・五%、富士通が十八億円、一五・五%、日立が四億円、三・七%、NTTは取引実績がございません。十二年度は、NECが四十六億円で三七・四%、富士通が十九億円で一五・一%、日立が三億円で二・三%、NTTは、これはNTTコミュニケーションズとそれからNTTコムウェア、この二社で二億円、一・九%でございました。
 NHKにおける調達は、公正な取引により、公共放送の円滑な事業活動に資するとともに、透明性の確保及び経済性に留意いたしまして、効率的な調達に努めているところでございます。
 情報システムの契約に当たりましても、平成四年度以降、一件十万SDR以上の国際調達の対象となる案件につきましては、政府国際調達と同等の手続、これは平成四年一月二十日の日本の公共部門のコンピューター製品及びサービスの調達に関する措置でございますが、これを踏まえまして、公正、透明、内外無差別な調達手続をとるということで、コンピューター調達手続きというものをみずから定めまして、平成四年四月からこれに基づいて調達をしているところでございます。
    〔委員長退席、林(幹)委員長代理着席〕



武正委員

今の数字、約六割、やはりNHKさんも同じように約六割は大手四グループということでございました。
 総務大臣お見えでございますが、関係府省連絡会議の事務局も総務省は務めております。情報システムの受注が大手四グループに偏っている点から、ことし三月にガイドラインを設け、総合評価落札方式での除算から加算への採用、あるいはまた競争入札、JV、中小企業受注に各府省挙げて取り組んでおられます。
 過日は、本省と地方支分局のお話を伺いまして、地方自治体への補助金についてはなかなかまだ手がつけられていないといったこともわかったんですが、この総務省所管の特殊法人NHKの情報システムが、約六割、大手四グループの受注という今のお答えでございます。この点については、総務省として、今本省、地方支分局は取り組んでおられるようですが、こうした所管特殊法人についてはどのように把握をされているのか、また指導をされているのか、それから、これからどのように取り組まれるのか、お答えいただけますでしょうか。



■片山国務大臣

今武正委員御指摘のガイドラインは、正式には「情報システムに係る政府調達制度の見直しについて」という文書でございまして、これはことしの三月二十九日に政府調達府省連絡会議で了承というか決めたものでございます。ただ、これは国の機関のみを対象としておりまして、特殊法人であるNHKは対象外となっておりますので、これは適用がない。
 ただ、今NHKの理事さんが言われましたように、平成四年一月に政府として日本の公共部門のコンピューター製品及びサービスの調達に関する措置というものを決めたわけでありまして、その中に、これもお話ございましたが、無差別待遇、透明性及び自由でかつ開かれた競争機会を確保するための手続をとれ、こういうことになっておりまして、NHKさんではコンピューター調達手続きを平成四年の四月から決めておりまして、それに基づいておやりになっている。
 今把握は我々いたしておりますが、指導と言うけれども、NHKくらいになると、指導しなくてもちゃんと自律、自主でおやりになっておりますから、今後ともこの積極的な取り組みをぜひ期待いたしたいと思っております。



武正委員

昨年十二月の放送政策研究会ですか、ここで第一次報告が出て、そのときに、NHKの随契、約八割、平成十二年で二千百億円のうち千六百六十八億円が随契であると。このときに、第一次報告では、競争原則、よいものを安く、これは当たり前のことですよね。それを改めて指摘しなければならないほど随契の比率が高いことが言われているので、今言われたように、NHKさんに任せていればいいというのは、所管大臣の御答弁としてはやはり納得ができません。
 そこで、関係府省連絡会議の事務局を務めておられるんですから、先ほどは政府機関だけというふうに言われましたが、これは、事務局所管の総務大臣として、ぜひ特殊法人を含め、そしてまた地方自治体への補助金もやはり適正に履行させる。これは二つありますが、まずは特殊法人、NHKさん、これもやはり対象に含める、これは事務局担当大臣としていかがでしょうか。



■片山国務大臣

先ほど言いましたように、ガイドラインそのものは国の機関だけやっておりますが、ただ、国の機関だけで、ほかはどうでもいい、こういうことではもちろんないんですね。そこで、平成四年の方の措置で十分やっていただけておると思います。
 今委員御指摘のように、随意契約のお話もありました。私は随意契約が全部悪いとは思わないんですよ。大変特殊のものや、ほかになかなかないものがあれば、随意契約はやむを得ないと思いますけれども、競争的なことがやれるのに随意契約、これは困るわけでございまして、そういう意味では、NHK自身もいろいろお考えだと思いますけれども、我々も状況を把握しながら、もし仮に不適切なこと等があれば、十分指導してまいりたい。
 特殊法人はそれぞれ所管の大臣がおりますから、私の方の行政管理局が国の機関全部の事務局はやっておりますけれども、それぞれ所管の大臣にも不適切なもの等があれば適宜指導していただく、こういうことはやってまいりたいと思いますし、地方自治体については我々の方でいろいろ指導しておりますから、今後とも、武正委員の御趣旨を体して十分指導してまいりたいと思っております。




武正委員

ちょうど十一月の末でございますが、会計検査院さん、きょうお見えでございますが、十三年度決算検査報告が出されております。十一年度、十二年度の会計検査院さんの決算報告にNHKさんがあればそれを引用したんですが、これは既に当委員会でも指摘されておりますように、五十年間にわたって、NHKに関する会計検査院の調査、指摘、一件もないということで、今回初めて、この会計検査院の検査報告にNHKが上がったわけでございます。
 既に新聞等でも、非現用不動産の管理、処分状況について、百八十六件のうち六十五件を抽出調査したところ、総額二億六千五百五十二万円の簿価というか買い取り価額に対して売却見込み額は七十四億七百五十二万円、すぐ売却すべしということで指摘をしているんですが、今回の検査報告のこの項目はどういう観点で選んだのか、これについては簡単にお答えいただけますか。




■円谷会計検査院当局者

お答えいたします。
 日本放送協会では、建物の老朽化や事業地の移転などによりまして、事業用として使用されなくなった非現用不動産の処分につきまして、予算政策上これを計画的に進め、安定的な収入の確保に努めることとしております。また、今後のデジタル放送化の進展に応じまして、アナログ放送のテレビ放送所が廃止されるなどいたしまして、非現用不動産が増加することが見込まれております。
 したがいまして、これらの非現用不動産の管理体制が整備されているかどうか、また処分が適切に行われ、収入の確保が図られているかなどの観点から検査をいたしたところでございます。
 検査の結果、協会におきましては、非現用不動産の管理及び処分に当たりましてさまざまな取り組みを行っているところでありますが、「なお一層、売却のための条件整備等の促進に努めることが望まれる。」と、特定検査対象に関する検査状況として検査報告に掲記したということで、直ちに売れということではございませんで、これはNHKのお考えもございますので計画的にやっていただくことですが、その条件整備等をぜひやっていただきたいということで検査報告に掲記したということであります。



武正委員

さらにまた会計検査院さんには、NHKさんへの検査につきましては督励をいただければと思っております。
 というのは、NHKというのは、国会と経営委員会がやはりチェック機関として大事な役割を果たしている。その国会がNHKをチェックする材料がまだまだ不足していると私は思っておりますので、会計検査院さんの役割が重いものがあると考えるからでございます。
 さて、三月の時点で、NHKあるいは民放の放送料、電波利用料、これについて会長にお尋ねをいたしましたところ、いわゆるNHKが二億弱、民放が二億強、高いとも安いとも答えられないというような御答弁でございましたが、過日、九月には、放送料、電波利用料を五十億から七十億ということで、ぼんと新聞に出ました。十一月二十日に、約七倍の三十五億円負担、NHKが十億、民放二十億、こういったことが出てまいりました。総務大臣は、これは来年、法律で出すんだということでしたが、参議院では、局長がこのことをほぼ認める御答弁があったやに伺っております。
 これは指摘だけにとどめておきますが、私は、放送の独立性を堅持するためにも、やはり総務省がこの電波利用料を決める。法律に出して国会で審議するんだと総務大臣言われますが、これはやはりいかがなものかというふうに私は思っております。これは会長から再度御答弁はいただきませんで、指摘にとどめておきますが、やはり放送の独立性を担保するために、放送局が支払う電波利用料は、公平公正な第三者機関が決めてしかるべきというふうに考えておりますので、これは指摘とさせていただきます。
 次に移らせていただきますが、過日、BSデジタル放送推進協会伊藤邦男理事長が、一千日一千万世帯、これを下方修正されました。五百万世帯ということでございまして、これは先ほど申しました放送政策研究会でもかなり議論がされているようでございます。いわゆる地上とBSを一体化、特に民放関係のBSですね、経営が苦しいということも出ておりまして、NHKさんはうまく進めておられるということも議事録要旨からもかなり指摘をされております。その関係から、マスメディア集中排除原則と多様性との兼ね合いといった指摘もかなり出ているところでございますが、このBSデジタル下方修正、これはデジタル放送全体の計画に影響が出るだろう、こういうふうに言われているわけでございますが、これは引き続いての質問とあわせてお答えをいただきたいんですが、会長に全体的にお答えいただきたいと思います。
 第二十四回の民放経営研究会、ここで民放連研究所の木村幹夫さんが、八五%普及は東阪名二〇一二年秋、ローカル二〇一五年秋ということで、二〇一一年アナログ停波は困難な状況と指摘をしています。
 あるいは民放労連も、ちょうど今、総務委員それぞれにアンケートをお配りしておりまして、まず一点目は、NHKと民放で視聴可能地域が違う、これはやはり問題であろう。また二点目、ブースター障害対策ができていないんじゃないか。三番目、停波による不利益が国民に及ぶ、特に高齢者対策ができていない。こういったことをもってアンケート調査も今行っております。
 こういった、先ほど触れましたBSデジタルの下方修正という現実、一千日一千万世帯がうまくいかない、この現状、それを踏まえて、民放連研究所からの、二〇一一年停波は難しいんじゃないか、こういった指摘につきまして、会長としてどのようにお考えになりますでしょうか。




■海老沢参考人

BS、衛星放送は私ども、十数年前から世界に先駆けて放送を始めました。これまで千六百万世帯まで普及させてまいりました。そういう中で、BSデジタル放送は私どもNHKと民放六社、合わせて七社が一緒に今放送をしているわけであります。そういう面で、私ども、これを一千日で一千万世帯まで普及させよう、NHK、民放あるいは電機メーカー、流通事業者あるいは行政当局あわせて、そういう目標を掲げました。
 残念ながら、今三百五十万前後まで普及させましたけれども、来年の八月二十七日がちょうど一千日になります、あと八カ月余りですけれども、これを達成するのは非常に難しい状況だという認識を持っております。そういう中で、伊藤理事長が、この前の記者会見等で、あるいはあいさつ等で、非常に今厳しい状況である、当面五百万世帯の普及に全力を挙げるという発言をしていることを私も聞いております。
 私どもも、できるだけ普及させるというのが目的でありますけれども、御案内のように、今、景気が停滞する、非常に景気が悪いという中、そしてまた、メーカーの方の出荷台数も我々が予想したより下回っている、生産がなかなか追いついていないというような状況から、非常に厳しい状況だろうと思ってはおります。
 ただ、もう一つ、地上デジタル放送は、二〇一一年の七月二十四日にアナログからすべてデジタル化へ切りかえる、つまり二〇一一年で放送をとめてしまう、いわゆる停波してしまうということは、この国会で、電波法の一部改正の中で決められた、議決されたものであります。法律になりました。そういう意味で、私どもも、法律を守るという立場から、二〇一一年の七月二十四日までにアナログ放送をすべてデジタル放送に切りかえるように努力するのが我々の使命だろうと今思っているところであります。
 いずれにしても、景気の回復、また、我々が国民の、視聴者のニーズにこたえることができるような質のいい番組を提供する、また、それに相まって、メーカーも、操作がしやすい、そして安い値段の受像機が出回れば、車の両輪としてうまく運んでいくだろうと見ております。これからさらに努力を重ねていきたいと思っております。
    〔林(幹)委員長代理退席、委員長着席〕



武正委員

時間が参りましたので、本当は総務大臣にもと思ったんですが、以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

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