【沖縄及び北方問題に関する特別委員会】イラク攻撃について

2003年03月20日

武正公一
おはようございます。民主党の武正公一でございます。
沖振法改正案につきまして質疑を行わせていただきます。

まず、本法案でございますが、電力の大部分を石炭火力に頼る沖縄の特殊事情があるとはいえ、石炭に係る石油石炭税の免税措置については、税の公平性の観点からいささか問題があるのではないか。電力構成の不均衡な状況がさらに悪化する可能性もある。これらの点を考えると、ゼロ税率ではなくて軽減税率にとどめる方が適当だと考えるが、沖縄大臣のお答えを伺います。

■細田国務大臣

 御指摘のような石油石炭税、全国的に新たな制度として課するときに、沖縄県において新しい石炭課税について非課税とすることは行き過ぎではないかという御質問でございます。
 
沖縄の電力事情は、やはり本土九電力等の体制、そして大規模原子力発電所の存在、また石炭火力にしましても石油火力にいたしましても、百万キロワット以上の大きな能力を持ち、コストも安い現状と比較いたしますときに、離島も存在し、かつ石炭比率が高い、そして石油、石炭のいわば化石燃料火力に頼っておるという現状から見ると非常に難しい情勢でございまして、現に沖縄電力のキロワットアワー当たりの家庭料金は、いわゆる九電力の平均に比べましてキロワットアワー当たり八十六銭ほど高い現状でございます。
 
そういった事情を考えますと、八〇%を石炭火力に依存しておる沖縄県において新たな税制を課するということは適当でないのではないかということと、それに加えまして、それでは一部でも負担させてはどうか、軽減税率でやってはどうかというお考えも理解はできるわけでございますが、そうしなければならないような格差以上の格差もございますので、この税は環境ということも念頭に置いていることは事実でございますが、やはり消費者に、一般家庭等にも大きな影響を及ぼす、また産業にも大きな影響を及ぼすコスト増大要因でもございますので、沖縄県においては非課税にしようという趣旨でございますので、御理解をいただきたいと思います。

武正公一

あわせて、この石油石炭税が、石炭が追加された、新たに課税ということは、これまで石油課税に偏重していた税収構造の是正が目的であり、そこには当然、ことしには京都議定書もロシアが批准をして発効といった、そういった二〇〇三年でございますが、CO2排出量が多い石炭エネルギーに対して抑制的であるべきだという環境面への配慮があるものと私は理解するわけです。先ほど大臣もそれについては触れられております。
 
さらに、民主党は、温暖化防止等の環境問題対策の一環として環境税を創設すべきであると提唱しておりまして、これらの点を考慮すると、たとえ沖縄に限定したものであるとはいえ、石炭に係る免税措置は環境面への配慮にいささか欠けていると思われますが、いかがでしょうか。

■細田国務大臣

これは、一つは歴史的な側面も申し上げたいと思いますが、第二次オイルショックのときに、ほとんど石油火力に依存していた沖縄の電力が、当時の石油価格の高騰によりまして、本土の電力に対して異常なコスト高、そして沖縄県民における負担、消費者物価の上昇等につながるということで、極力価格を抑えましたものの、沖縄電力が債務超過に陥るほどの、現に昭和五十五年度には陥ったのでございますが、そのような状況を踏まえ、国策といたしましても石炭火力の導入を促進してまいりました。不安定な石油よりは石炭火力のような、オーストラリアその他の国々に依存する方がいいのではないか、非常に安定的な供給源となるのではないかということで石炭を導入しております。
 
それが、京都議定書等の温暖化という問題がその後に起こりまして、炭酸ガスを減らさなきゃならないということで見た場合には、石炭も石油もほかのものにかえた方がいいという価値観の転換が起こったということもございます。
 
したがいまして、そう急にはなかなかかえられない面がございます、今の能力で沖縄の電力を賄っておりますから。しかしながら、長期の問題として、より環境負荷の少ないLNG等の発電の導入もしようということで今検討が行われておりまして、平成二十二年度以降の運転開始ということであればLNG発電も採用できるのではないかという具体的な検討に入っているほか、風力発電や太陽光発電等も行われ、実施されておりますが、これはまだ試行的段階で、十分な規模に至る見通しがついているわけではございませんが、そういったことが大切であるということは、全国的に必要であるということは当然のことでございます。
 以上でございます。

武正公一

LNGは平成二十二年以降、それから新エネルギーは検討中で、検討というか試行段階といった御答弁でございます。
 
さて、今回のこの税が四年間の時限措置というのは、やはり税の特例措置の一般例から見ていささか期間が長過ぎるという印象を受けますが、四年間とする根拠もお伺いいたします。

■細田国務大臣

この措置がそもそも平成十五年十月一日から始まるわけでございます。そこで、沖縄振興計画の計画期間は十年なのでございますが、沖縄振興法に基づく租税特別措置については、例外なく、平成十九年の三月三十一日を適用期限としておりますので、これに合わせて、おっしゃるような免税措置の期限を決めたわけでございます。
 
もちろん、これの結果、実際に今後のエネルギー情勢というのは、石油をめぐる情勢とかあるいはエネルギー全体をめぐる情勢等でコストも大いに変わってまいります。本土の電力企業との価格差の問題も今後見ていかなきゃなりません。余り過大な負担を一般家庭に及ぼすわけにもまいりませんし、電力構成が違うので今後いろいろな変化が見通されるわけでございますが、とりあえず、この非課税措置は、今の大きさというのはそれほど大きなものではございませんので、三年半の措置としてとらえているわけでございます。
 
その後の判断というのはまたその時点で考えなければならないと思いますが、特段の変化がない限りは続けていこうという議論はございます。

武正公一

先ほど来、環境面あるいは新エネルギーということを大臣も盛んに言っておられますが、民主党は沖縄ビジョンを昨年発表いたしましたが、その中で新エネルギーの、特に沖縄は島でございますので、また周りの自然環境がやはり沖縄の何といってもセールスポイントでございます、そういった意味では、やはり隔離をされた、クローズドな島ということで、ここを自給自足の、新エネルギーのモデル県にできないだろうか、これを民主党の沖縄ビジョンでも提言しているんですが、先ほど幾つか大臣も触れておられますが、大臣としての決意として、沖縄はこうあるべしといった点についてはいかがでございましょうか。

■細田国務大臣

新エネルギーについては、政府を挙げて取り組みをしているところでございます。その新エネルギーについてあるいは代替エネルギーについても取り組みの歴史は長くて、第一次オイルショック以降ですから三十年以上かけてやっておりますし、最近では、特に水素エネルギーあるいは燃料電池、そしてもちろん太陽光、風力を初め地熱とか、できるだけ温暖化負担の少ないエネルギー開発について取り組んでいるわけでございます。
 
私自身も科学技術担当大臣を兼ねております。科学技術予算におきましては、非常に力を入れて重点四分野というものを設定いたしております。そして、その一つが環境エネルギーでございます。あとの三つを言うと、バイオテクノロジー、ライフサイエンスの分野、それからナノテクノロジーの分野、それからITの分野でございますけれども、その四分野の一つとして開発を進めております。
 
ですから、できるだけ早く代替エネルギー、新エネルギー開発を進めたいのでございますが、残念ながら、現在の既存の技術に直ちに、たちどころにかわるような大規模な技術開発がまだめどが立っておりません。風力、太陽光等も今いろいろ着手されておりますが、沖縄県において、今発電の比率でいいますと、風力が〇・一%、太陽光が〇・〇一%でございます。全国的に見てもそうでございますし。
 
もう一つは、コスト面でまだまだ既存のものに太刀打ちができないわけでございますので、これらを余り大量に導入しますと、むしろ電力料金面で極めて高いものになるという問題もあるわけでございますが、おっしゃいますように、できるだけ炭酸ガスの排出という地球環境に対する負荷のないエネルギーをつくり出す発電をいたすということは人類共通の課題でございますので、ぜひともその方向に沿ってまた技術開発等を進めてまいる必要があると考えております。

武正公一
私は沖縄担当大臣として聞いたんであって、今のような、日本全国押しなべてという話ではなくて、今回この石油石炭税についての免税、しかもゼロ税率という、先ほど来の三問の質疑を踏まえて、沖縄担当大臣としてこういった新エネルギーのモデル県として取り組むことへの決意といったことを再度伺います。

■細田国務大臣

先ほどは、なかなか、全国的に見て、今取り組んでおるけれどもいま一歩だというお話をしましたけれども、沖縄において、御提案のようなモデル県として、他に先駆けてできるだけそういうものをふやしていくということは非常に有意義なことではないかと思います。過去にも、沖縄は海洋県ですから、波力とか海の潮流、そういうものも使って発電ができないかという構想も随分あったわけでございますが、なかなかそういうエネルギーをうまく取り出すというところまで至っておりませんが、そういった研究もあるいは必要ではないかなと思っております。

武正公一

大学院大学も沖縄担当として積極的に進めていかれるといったことも聞いておりますので、沖縄の特性を生かした自然エネルギーにこうした大学院大学も当然関与をしていくべきだろうといったことを申し述べまして、次に移らせていただきます。
 
きょうは経済産業省からもお見えでございますが、対イラク攻撃が迫っているという中で、一バレル三十ドルを超えるような価格で原油価格の高騰といったことも言われておるわけでございますが、IEA二十六カ国の加盟国として、日本は特に原油価格の高騰に対してどのような対応をされるのか。原油備蓄には国家備蓄と民間備蓄がございますが、それぞれどのようにお考えになっておられるかお答えいただけますでしょうか。

■桜田大臣政務官

お答えさせていただきたいと思います。
 石油備蓄の放出につきましては、石油供給の途絶またはそのおそれがある場合には、IEA加盟国とも協調して適切な対応を敏速に講じてまいりたい、そんなふうに考えております。
 
実際の備蓄石油の放出に当たっては、民間備蓄は国家備蓄に比較して速やかに市場に流通させることが可能でありますが、実際の取り崩しは石油の所有者である民間事業者にゆだねられるため、必ずしも供給量の増加をもたらさない可能性があること。一方、国家備蓄は敏速性では民間備蓄放出に劣るものの、確実に市場に供給量を増加させることが可能であるといった特徴がございます。
 
今後の備蓄石油の活用につきましては、このような国家備蓄、民間備蓄、それぞれの特徴を踏まえつつ、またIEAによる国際協調放出を原則として、石油供給の不測の事態となった場合には積極的に対応してまいります。
 
以上です。


武正公一

私も昨年、沖縄の沖縄ターミナル石油ですか、あるいは沖縄石油精製、これも見てまいりました。実際、消防法の規定があって、タンクのうち二割ぐらい空きスペースを置いておかなきゃいけないとか、そういったところも実は規制緩和で日本はその分の備蓄をふやせるんではないか、こういったことを求める声もあります。実際また民間の方も、民間としてやはり国家備蓄と同じような備蓄量を協力もしている、ある面。そういったところもあるわけで、今回、報道では国家備蓄を先に放出と。前回、湾岸のときですか、四日ほど民間備蓄の備蓄量を取り崩した、そういった経緯もあるんですが、今、国家備蓄優先というような報道がある中で、やはり民間側からもさまざまな声が上がっているのは確かでございます。これは桜田さんも御承知のことだと思います。
 
そこで、これは日経の社説、三月四日にも出ておりますし、あるいはまた、これは昨年やはり民主党の沖縄ビジョンで、沖縄を東アジアにおけるエネルギーの拠点にしよう、先ほど新エネルギーのことも言いましたが、東アジアのエネルギーセンターへという提言をしております。特に沖縄の地理的特性と既存の備蓄能力を生かし、東アジアにおける原油備蓄基地としてのエネルギーの相互依存連携を進めるというような形も提言をしておりまして、今般、対イラク問題に関する民主党のプロジェクトチームでも、今後の対応については石油の共同備蓄体制の強化というものを打ち出しております。
 
実際、今アジアでは、韓国が、IEAの加盟といったことも踏まえて、この備蓄を義務づけられるといったことへの体制を急いでおりますし、台湾、そしてまた中国も五カ年計画で原油備蓄を打ち出しております。私もおととし、当時、朱鎔基首相とお目にかかったときにこの点を提起した経緯があり、中国としてもこれからはもう原油の輸入国に、しかも、大体今日本が年間二億五千万トン、中国が一億トンですが、早晩日本を追い抜く、そういった原油の輸入国になるというふうにも言われておりますので、実は、このアジアにおける原油の備蓄体制、そしてまたIEAでは、相互に備蓄を持ち合って、備蓄ができないところの分を補おうよという話もあるわけですね。
 
そんな中、日本は、先ほど言ったように、例えばタンクは二割は空きスペースがあるとか、あるいは、沖縄も見てまいりましたけれども、実際、備蓄タンクが空のままになっている状態もあったり、あるいは、まだまだスペースもあるといったことからいうと、日経でもことしになってかなり書いておりますが、この東アジアにおける共同備蓄体制の構築、これについて経済産業省はどのようにお考えになりますでしょうか。

■桜田大臣政務官

お答えさせていただきます。
 
アジア地域は、経済発展により急激なエネルギー需要の増加が予想されているところであり、エネルギーセキュリティー、とりわけ石油に関するセキュリティーの確保は重要と認識しているところでございます。
 
アジア地域の石油備蓄の現状につきましては、日本、韓国がIEAに加盟し、IEAの基準である九十日以上の備蓄を保有しているのみであり、日韓以外の各国における石油備蓄を推奨することは重要な課題であると認識しております。

 こうした認識に基づき、昨年九月に我が国が主催した日中韓ASEANエネルギー大臣会合において、ASEANプラス3エネルギー協力が合意され、石油備蓄推進を図ることとされておるところでございます。具体的には、韓国とともに、石油備蓄についての経験やノウハウ等を、セミナーや二国間対話を通じ、中国やASEAN諸国に対して積極的に提供してまいりたい、そう考えております。

武正公一

沖縄大臣、先ほどから新エネルギーのモデル県といったことも民主党は提案をしておりますが、あわせて原油の備蓄基地がある。しかも、お隣の台湾あるいは中国は実はスペースがなくて原油の備蓄基地が、例えば中国はあれだけ沿岸が長いんですが、遠浅の海がないものですから実は備蓄基地がつくれないといったこともあります、今度、江蘇省に二〇〇五年稼働ということで計画はしておりますが。実は、そういった地理的な特性からいうと、沖縄あるいは日本は非常に優位性がある。しかも韓国は、IEA加盟で九十日。こういった中、これはもうASEAN各国も非常に困っている。やりたいんだけれども財政的にできないという、そういった事情であります。
 
この沖縄の地理的な特性を考えて、この備蓄拠点といったことの優位性あるいは可能性、沖縄担当大臣はどのようにお考えになりますでしょうか。 った三点、ありながら、なぜこれは和文は違っているんですか。副大臣、お答えください。

■細田国務大臣

もし御提案のような、アジアにおける原油備蓄基地を沖縄に置くというようなことになれば、沖縄の経済のためにもなりますし、最もアジア諸国に近い沖縄県を活用して、アジア地区のエネルギー供給体制にもいい影響があると考えますので、もし各消費国が、例えば自分の輸入した油を預けるということに合意をし、そのためのコスト負担もする、あるいはそのために必要な資金をどういうふうに、援助するのかしないのかというようなこともあるでしょうし、緊急の場合にどういう基準で、緊急というのは足りないわけですから、その足りない場合に、預けてあれば当然それは持っていくということなんでしょうが、そういう国家間の約束さえできれば、IEAでも推奨している国際的な融通措置ということでもありますので、非常に有益ではないかと思っております。 。

■平林委員長

速記をとめてください。
    〔速記中止〕

■平林委員長

速記を起こしてください。
理事間の協議によりまして、武正公一君の残余の質疑は後刻に行うことといたします。

武正公一
   民主党の武正公一でございます。

委員長、理事の御配慮に感謝を申し上げ、また、茂木副大臣がお見えでございますので、質疑をさせていただきます。
 
先般この沖北で、二月十八日の原口国連大使の国連での演説、私は、やはり突出をしている、そういう演説であったというふうに考えておりますし、また、政策的な演説であったというようなことを申し述べましたら、どこがあるのか指摘をしてくれというお答えもありましたし、また、英文和訳の相違を三点指摘し、一点目の御説明で私が時間を遮った経緯もありますので、きょうお見えをいただいたところでございます。感謝を申し上げます。
 
まず、やはりこのときに、私が英文和訳で、ストロングプレッシャー、ストロングが訳されていない、ベリーリミテッドのベリーが省かれている、あるいはシリアスダウト、このシリアスが省かれている、三点を指摘したわけですが、私は、二月十八日の原口国連大使のやはりここがポイントだというふうに思っております。
 
ちょっと和文、これは外務省発表のものを読みます。「これまでのイラクの対応が不十分であることは、十四日のブリックス委員長の報告でも再確認されています。したがって、単に査察を継続・強化しても、これまでのイラクによる消極的な協力姿勢が抜本的に改められない限り、大量破壊兵器の廃棄に結びつかず、査察の継続の有効性に疑問が生じていることは否めません。」この「疑問」というところのシリアス、重大な、深刻な、ここも実は抜いております。「今、最も重要なことは、国際社会が今後も一致団結した行動をとり、イラクに対し圧力をかけることであります。」この四行が、私は、ここの、原口国連大使の一番ポイントの文章だと思っております。今のこの「圧力」も、強い圧力のストロングを抜いております。この原口国連大使の、なぜストロングを抜いたのか、また、シリアスを抜いたのか。
 
先般の原口国連大使の演説では、同じく、強い圧力ということで、ジ・エバー・ストロンガー・プレッシャーということで、丁寧に、御丁寧にジ・エバー・ストロンガーというふうに強めておりますが、やはり、このストロングプレッシャーのストロングを省いた点、あるいはシリアスダウトのシリアスを省いた点、ここの部分が突出した発言だから和訳では省いているのではないかというふうに私は思わざるを得ません。
 
要は、このときの原口国連大使の発言は、もう査察をやってもだめだ、もう査察をやっても意味がないということを日本として国連の演説で高らかにうたった演説ではないか、外務省が突出をした。そして、実は国連での演説は、内閣がその演説原稿についてはきちっとチェックをする、ということは、小泉首相も当然理解の上での突出した国連演説、発言ではないかというふうに考えるんですが、茂木副大臣、御答弁をお願いいたします。


■茂木副大臣 
  先日も委員の方に、政策的にもし大きな乖離があるんだったらお教えくださいと。
  ただ、表現でいいますと、必ずしも、日本語とそれから英語、これはインド・ヨーロピアン語族  とウラル・アルタイ語族で同じ文法ではありませんので、完全に一対一の対比にはならない  、こういうことでありますけれども、例えば、御指摘いただいた……(発言する者あり)申し上  げます。静かに聞いてください。
  
  日本語の方で、一点目の、「査察の継続の有効性に疑問が生じていることは否めません。」  英語の方は、ゼア・イズから始まります。もしこのまま訳すとすると、イット・イズ・ノット・ディナ  イアブル・ザットとかイット・イズ・アンディナイアブル・ザットというのから始まりまして、これ   は 大変強い表現であります。否定することはできない。アンディナイアブル、ノット・ディナイ  アブル、これは大変強いわけであります。それが英語の方ではゼア・イズと、非常にシンプ   ルといいますか、単純な表現になっています。その分、シリアスという言葉をつけた。プラス  マイナスがありまして、すべてでそのまま日本語が英語にならない。例えば主語の後に述   語が来るとか、そういう表現自体も違うわけでありますから、そこのところは御理解をいただ  きたいなと。
  
  先日もありました、例えば「もはやイラクに残された時間は限られていると考えます。」それ   がベリー・リミテッド・タイムだと。(武正委員「それはもうこの間聞きました」と呼ぶ)申し上げ  たいのは、日本語は「もはや」となっています。それに対しまして、英語の方はイラク・ナウで  す、今です。もはやと今でどちらが強いか、恐らくだれが考えてももはやの方が強い、これは  明らかであります。それから、「イラクに対し圧力をかけることであります。」かける、こういう   動詞形態といいますか、これからかけるという強い表現に対しまして、英語の方はコンティニ  ュー・ツー・プットです、続くわけであります。
  そういうそれぞれを言っていきますと、一対一が比較できない、こういうことは御理解いただ  きたい。ただ、全体の強さとして、英語だけを強くして、日本語はやわらかい表現にしよう、   国内向けと海外向けを使い分けている、こういうことは決してございません。

武正公一
  私は、政策的なというお話だったので、再度そのことをまず冒頭申し上げたんです。国連演  説で、査察をやってももう意味がないというふうにとられる四行ではないかと。そこでしかも、  シリアスそれからストロングというものを強めて、非常に強く日本の主張をしている。これは  
  、当時の外務大臣やあるいは首相の国会の演説とはそごを来している。
  十九日ですね、首相はこのときに、こう言っています。武力行使の決議を求めたわけではな  い、国際社会が一致協力してイラクに当たるということだ、誤解しないでほしいというふうに  十九日言っているわけですね。首相が誤解しないでほしいとなぜ言うんでしょうか。やはりこ  この四行が突出した印象を与えている、しかもストロング、シリアスというふうな強い言葉を  使っている、これについてお答えをいただきたい。突出しているのではないですか。

■茂木副大臣
  たしか私の記憶が正しければ、総理は二月の六日の日から、新決議の採択の必要性等々  につきましても言及しておりますし、その段階で一貫して、イラクの査察への協力が不十分  である、こういう表現を使っていると思います。その部分につきましては、「これまでのイラク  による消極的な協力姿勢が抜本的に改められない限り、」この部分とそごを来している、私  はそのようには考えておりません。

武正公一
  さっき言ったように、六日から、それは望ましいということで求めていますが、ここでは、もうこ  の四行は、査察をやっても意味がないですよという強い調子がこの国連演説である。(発言  する者あり)いやいや、この四行が私はポイントだと思っているんです。しかも、その中で二   つの大事な形容詞を和訳では省いている。この姿勢は到底私は理解ができない。外向けと  内向けが違う。しかもその国連演説は、実は内閣が理解していたのではないかというふうに  思うわけです。
  
   さて、続けて話を行きますけれども、国際法に照らしてこれは違法ではないか。きのう、菅   代表が、アナン事務総長が国連憲章五十一条違反であると言ったことも例に挙げて首相   に迫りましたが、首相からは明確な答弁がございません。国際法に照らして違法ではない   かといったこの指摘については、どのようにお考えになりますか。

■茂木副大臣
  そのようには考えておりません。
  御案内のとおり、国連決議の六七八、六八七、そして一四四一、これらの決議はすべて、国  際の平和と安全を回復するという明確な目的のために、武力行使を認めます国連憲章の   七章のもとで採択をされたものであります。そして、イラクに対します武力行使を容認する権  限でありますけれども、これは今申し上げた六七八、六八七、そして一四四一の存在、さら   にその相互関連によって存在する、私はこのように今考えております。
  
  御案内のとおり、六七八でありますけれども、安保理事会がイラクをクウェートから排除する  ため及び、ここの部分が重要でありますけれども、同地域に平和と安全を回復するため、イ  ラクに対する武力行使の権限を付与した。そして、停戦の条件を定めました六八七でありま  すが、安全保障理事会が同地域に国際社会の平和と安全を回復するために、大量破壊兵  器を除去する継続的な義務をイラクに課したと。決議の六八七は、決議の六七八のもとで   の武力行使の権限を停止しましたが、これを終了したわけではありません。そして、この六   八七に対します重大な違反は決議の六七八のもとでの武力行使の権限を復活させるもの   だ、このように理解しております。そして、一四四一におきましては、御案内のとおり、安全   保障理事会が全会一致で、イラクが六八七のもとで負っている武装解除の義務を完全には  履行していないため、イラクは決議六八七の重大な違反をこれまでも犯し、また依然として  犯していることを決定いたしたものであります。
  
  そこで、安全保障理事会でありますが、この決議の一四四一におきまして、イラクに対し、武  装解除の義務を履行する最後の機会を与え、これを履行しない場合の深刻な結果につきま  してイラクに警告をしたわけであります。安保理はまた、一四四一におきまして、いかなる時  点においてであれ、イラクが決議一四四一の遵守及びこれの実施のための完全な協力を   行わない場合、それはさらなる重大な違反を構成することを決定したわけであります。
  イラクがこのような遵守を行わなかったことは明らかでありまして、したがって、イラクは、決  議 一四四一の時点において重大な違反を犯しており、その後も継続して重大な違反を犯  している。したがって、決議六七八のもとでの武力行使の権限は復活し、それは今日も継続  をしている。
  
  そこで、もう一回、一四四一のことを安保理に持っていくか、こういう話でありますけれども、  決議の一四四一は、武力行使の権限を付与する安保理のさらなる決定が必要であることを  意図したのであれば、その旨を明確に規定すべきである、そうはなっていない。したがいま  して、決議一四四一が求めているのは、イラクの不履行について、安保理に対してそれが   報告をされ、安保理によって議論をされるということでありまして、武力行使の権限を付与す  るさらなる明示の決定ではない、このように理解をいたしております。

武正公一
  七章ということではございますが、これは自衛権を認め、そして、国連決議があった場合に   は攻撃ができるといったことでございます。今回、一四四一で最後の機会を与えた、そして  さらなる決議案によって、もうこれで攻撃をしますよという決議案、これを取り下げてしまった  わけですよ、アメリカ、イギリス、スペインは。取り下げたということは、この一四四一、最後   の機会を与えるといったところにまた立ち戻っているわけですよ。
  
  そこで攻撃をするのは、決議案の決議もないし、また、自衛権からの攻撃になってしまうの   かどうか。日本は、だから、このアメリカの自衛権による攻撃であるということは認めていな  いんですよね。あくまでも国連決議だ。十二年前、十三年前にさかのぼって日本は支持をす  ると言っている。非常に無理がある。国際法からもこれは見解が分かれるところですが、新  しい法律が前の法律をしのいでいくといった解釈もあります。
  
  つまり、六七八、あるいは六八七、そして一四四一、新しければ新しいほどその決議が生き  てくる。ということは、今は一四四一が一番生きている、新しい決議案を取り下げたんですか  ら。ということは、今最後の機会をまだ与えているんだ、その中でアメリカが武力行使するこ  とを認めるということはいかがなものか。国連決議はないではないか。国連決議があるのは  、最後の機会を与えているという決議ではないか。ここにやはり矛盾がある。認めるのであ  れば、アメリカが自衛権を行使している、日本はそれを賛成するんだというふうに言わなけ   ればおかしいわけです。その発言がないわけです。ですから私は、これは国際法に違反し   ていると言わざるを得ません。
  あわせて聞きますが、北朝鮮にもアメリカが国連決議なしで攻撃することも日本は支持をす  るんでしょうか。お答えをいただきたいと思います。

■茂木副大臣 
  今私なりに丁寧に、国際法に違反するのではないか、こういう御質問がございましたので、  恐らく十点にわたってお話を申し上げたつもりであります。
  違反するかどうかということに関して、例えばイラクの侵攻にさかのぼってという話でありま  すけれども、先ほど申し上げたように、イラクをクウェートから排除するため及び同地域の平  和と安全を回復するためと、そしてまた、六八七におきましても同じ表現が使われている。   そして、六八七の重大な違反は、六七八のもとでの武力行使の権限を復活させるものであ  ると。
  
  それから、一四四一の解釈、そしてまた新決議がなくてはだめなんですか、こういうことにつ  きましては、先ほど、最後の部分で御説明を申し上げたつもりであります。
  新決議につきましては、日本は、それが望ましい、こういう立場をとり続けてまいりました。こ  れはまさに、イラクに対して国際社会が一致してより強い圧力をかけ、平和的な努力、平和  的な解決を目指す、こういう観点でありまして、この姿勢は今までも一貫しておりました。
  
  その上で、北朝鮮の問題でありますが、委員の御質問でありますと、北朝鮮に対しても国連  決議なしでという話でありますけれども、まず、イラクに対しても、申し上げているように、国  連決議に基づいて、国際法に基づいて強制的な手段が場合によってはとられる、こういうこ  とであります。
  また、北朝鮮問題につきましては、累次国会でも答弁をさせていただいているように、日本   そしてアメリカ、韓国、さらには中国、ロシアも含めた関係国とも緊密な連携の上で外交的   な解決を図っていきたい、この姿勢を貫いております。

武正公一
  最後に、おととい、官房長官が平壌宣言破棄の発言をされましたが、昨年この日朝平壌宣  言が締結をされている、この平壌宣言を破棄しよう、破棄する可能性があるよと言っておる  んですけれども、あの平壌宣言についてはさまざまな問題点が指摘をされております。

経済協力ありきのさまざまな問題解決、お金をぶら下げなかったら日本はさまざまな交渉ができないのか、譲歩を引き出せないのかということがさまざま指摘をされた問題の多い、まして拉致の問題も、拉致の文字もないといったことも含めて大変問題の多いこの平壌宣言であったわけです。それをこの期に及んで、もともとあの時点で問題が多かったといったことも含めて、官房長官が破棄の可能性、これは一体どういう根拠で破棄をしようというのかお答えいただけますでしょうか。

■茂木副大臣
  官房長官の発言でありますが、これは十八日の参議院の予算委員会におきまして、こういう  表現を使われていると思うんですが、もう少し全体の状況を見た上で判断していきたい、こ  ういうふうに発言をされておると思います。
  この趣旨でありますけれども、今この時点で破棄の可能性、これを検討すべきだ、こういうこ  とよりも、そういう事態に至らないように粘り強く交渉を進めていきたい、こういう意味で私は  官房長官は発言された、このように理解をいたしております。

武正公一
  今の答弁からも、しょせんこの平壌宣言は絵にかいたもち、砂上の楼閣、そんな宣言であっ  たといったことが証明をされている。内閣での閣内不一致といったことを露呈したものと考   えます。
  以上で質問を終わります。ありがとうございました。

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