【個人情報の保護に関する特別委員会】政府及び衆法提出者に質問

2003年04月17日

武正委員
 民主党の武正公一でございます。
 きょうは、政府そしてまた衆法提出者それぞれに御質問をさせていただきます。
 
まず政府案について、個人情報収集でございますが、収集方法や収集範囲などを制限する規定がなく、官僚にフリーハンドを与える内容になっており、個人情報保護の観点から見て極めて問題が多い、大きいと考えるわけでございます。また、個人情報の目的外利用の要件が緩やかで、行政の裁量幅が大きく、本人の知らない間に個人情報が流用されたりするおそれがあるということでございますが、個人情報取り扱いに際し、行政機関に裁量の余地を与え過ぎない方がよいと私は考えるのでございますが、この点について、まず政府、そして衆法提出者、それぞれ御所見を伺います。片山大臣になりますね。

■片山国務大臣 
個人情報の収集につきましては、これは法令に基づいて、法令の範囲でやるということでございますから、殊さら規定を置いておりませんけれども、それは憲法なり国家公務員法にその種の規定がございますので、行政機関や公務員というものは法令を守るんだ、誠実にやるんだ、こういうことでございます。
 
また、目的外利用につきましては、これは個人情報の利用目的を具体的に明確にする、その上で、行政機関による利用目的の達成に必要のない個人情報の収集や目的外利用・提供を厳しく制限する。

 具体的に、どういう場合に目的外利用や提供ができるかということでありますが、法令の定める事務の遂行に必要な限度である場合、また個人の権利利益を不当に損なうおそれが認められない場合で、しかも相当な理由が要る、こういうわけでございまして、この相当な理由につきましては、既にこの委員会でも何度も御説明しておりますように、原則禁止のものを例外的に認めるわけでありますから、だれでもが納得ができるような客観性が要る。したがって、個別事案に応じて、厳格にそれは考える、判断する、決して行政機関の裁量で自由にできるようなものではない、こういうことでございます。
 
そういう意味では、もしそれについて不服がある場合には、審査会等に申し出てそれの是正ができる、こういう仕組みをとっているわけであります。

■細野議員 
武正委員御指摘のように、政府案に関して、やはり行政の裁量を余りに広く求め過ぎていると私どもも考えております。
 
ただいま総務大臣が目的外利用を例に御説明をされましたので、フェーズを合わせるためでそちらの条文について申し上げますと、政府案の八条、これは目的外利用が書かれているわけですが、私ども、十条で規定をしておりまして、その三項では、目的以外のために個人情報を利用・提供する場合には、「情報公開・個人情報保護審査会の意見を聴かなければならない。」と規定をいたしました。さらに、目的外利用をした場合には、十条五項で、その理由とその他の事項を「記録しておかなければならない。」という規定を設けております。
 
すなわち、こういうことでやるんだということではなくて、一方でそれを客観的に審査をするように、そういう組織をきちっと活用することによって、適切に目的外利用・提供がなされることを担保するということでございます。
 
これについては、行政実務上、非常に事務が繁雑になるんじゃないかという御指摘があるわけですけれども、やはりこの程度のきちっとした制度は設けておかなければ、今の行政機関の状況というのを考えたときに、状況が改善されるということにはならないんではないかというのが私どもの考え方でございます。

武正委員 
そういったことで、衆法の方は、いわゆる三条委員会というような形も含めて、独立した委員会というようなことを掲げているわけでございます。

 これはまず一般論として細田大臣にお伺いをするんですが、既に、行革に逆行するとか、あるいは二重行政であるとか、あるいは十五日の答弁を拝見いたしますと、三条は、これは大変強固なものである、あるいは独立機関はどんどんと自己的に進んでいってしまうというようなことを非常に懸念をされておられます。そうはいっても、主務官庁が担当大臣としてそれをチェックするといったことについては、やはり甘くなってしまうとか癒着だとか、あるいは相談に乗ってくれないとか、そういった両極端をきちっと押さえる必要があるというような御答弁をされているわけでございます。一般論として、戦後二十二あった三条委員会が現在八つということについては、民主党は既に、証券取引等監視委員会や原子力安全委員会も含めて、この三条委員会の設置を強く求めておりますが、政府とはいつもこの点で意見を異にしてきております。

 一般論ということで伺いたいんですが、八条委員会をこういった三条委員会にするということは、これもやはり行革に反するというふうに考えるものでしょうか。

■細田国務大臣 
私は、どの委員会であるということで申し上げておるわけではありません。
 ただ、非常にこの二、三年で確かにIT化が進みまして、政府もe―Japan計画、改定に改定を次いで、あらゆる民間、政府、個人間、企業間、行政間とのコンピューター化、インターネット利用を進めるという中で、今後、相当多くの問題が生ずる可能性はあると考えておりますが、これまで八年半の問題になった事例を見ますと、私が勝手に集計をしてみますと、六十六件が問題になっているんです。八年半で六十六件。
 
そして、その中の、これは故意だなと、先ほど議員から御指摘のあった案件はその中に入りますけれども、これは悪質な故意も感じられるものだなというものと、ホームページへのアクセスがほかへ漏れてしまうという、単なるソフトウエアミスで、こんなことは民間企業は自己の利益から見ても本来やるはずがないことをうっかりやってしまったので、ソフトウエアさえかえればよかったのにという事故が非常に多くて、その六十六件のうち、そういったものを除いて、これは故意に近いものがあるのではないかと私が勝手に類推するものは十五件ほどでございます。
 
この八年半で十五件あった事件が、今後どのようにふえるか。むしろこれは、私どもは、行政庁がちゃんと注意を喚起して、それぞれ日本にはそういうネットワークもございます。
 それから、これは私も含めて国会議員の責務、責任でもあると思うんですが、社会で問題が生ずれば、それはあなたは司法の問題だ、司法の問題だといって八割方司法に、多分、欧米ではそういうふうにしてしまうんでしょうが、いや、これは政府が何とか監督すべきである、これはけしからぬ、何とか対応しようというようなこともあって、それぞれ行政庁は、各業種について、強い監督というわけではありませんが、事情を聞いて、こういう国会の場でいつも状況を報告する。先ほどの金融庁はこういうふうにやりました、警察庁はこういうふうにやりましたというようなことも対応してきておりますから、その延長線で行政庁で対応をすることは可能ではないかと。
 
そこで膨大なものになってきて、かつ、それが独立の組織、委員会でやるような社会情勢が生ずれば、私は一つの考え方であるということは何遍かお答え申し上げましたけれども、私は、この点はまだそういう状況ではない、むしろ行政庁、主務大臣で対応することが適当な客観的情勢ではないかなと思いますので、決して委員会提案を頭から否定しているということではなくて、日本の行政の実態等から見て、その方が当面はいいのではないかということを申しておるわけでございます。

武正委員 
私が伺ったのは、一般論として、八条委員会を三条委員会に格上げすることが行革に反するんですかというふうに伺ったんですが、この点はいかがでしょうか。

■片山国務大臣 
三条委員会は、これは行政委員会なんですよね、執行権がある。八条委員会は、簡単に言うと諮問機関的なんですよ。そこで、私は、野党案の今の審査会も八条機関ではないかと思っているんですが、そこは規定上は必ずしも定かではない。
 
そこで、三条委員会というのは、言われましたように、証券取引何とかだ、公取だとか国家公安委員会、皆三条委員会ですよ。これは戦後、アメリカは大統領制ですから、委員会がいっぱいあるんですよ。大統領に権限が集中していますから、むしろ分散的に委員会をたくさんつくっているんですよ。日本にそれを持ち込んだんですね、簡単に言うと。そこで教育委員会もでき、公安委員会もでき、何委員会も何委員会もできたんですよ。
 
ところが、必ずしも、日本は議院内閣制ですから、それぞれの大臣が所掌事務については責任を持つ、内閣で意思決定する、総理はそれの主宰者だ、こういうことなものですから、行政委員会方式が全部いいというわけにはなかなかいかないんですね。

 だから、そういう意味では、日本の今の制度からいうと、私は八条の方がいろいろな場合にベターではないか、こう思いますし、今回の情報公開に、今度は個人情報保護のいろいろな不服申し立ての意見を言うことをくっつけますけれども、これは完全に八条なので、そういう意味では、私は八条を三条にすればいいということになかなかならないと。八条の方が、むしろ日本のいろいろな行政の仕組みにはフィットしているのではなかろうか、こう思っております。

武正委員 
私は、行革の視点から、八条を三条にすると行革に反するのかどうか聞いたんですが、その点はどうでしょうか。

■片山国務大臣 
三条委員会は、これは行政委員会ですから執行権も持ちますから、相当な体制と人員を確保しなきゃいけません。人をふやさないといかぬ、こういうことになりますし、権限については場合によっては二重行政になるものですから、そういう意味では、行革の観点からいうと、必ずしも三条委員会がいいというわけにいかないと思います。

武正委員 
新設であれば、確かに人員等はふえるんですが、これまでの既存の八条を三条に引き上げるについて、私もいろいろと調べてみました。それは、委員会の委員の給与が、例えば三条である公安委員会の委員と同じように引き上がる分は予算はふえるとはいっても、そのほかの人員については、既存のいろいろな人員を活用していくということであれば、決してそれが膨大なものになっていくということはないというふうに私は考えますので、既存のものを変えるのであれば、行革に決して逆行はしない。
 
新設については、これは議論が分かれるところでありますが、もう既に衆法の提出者が言っているように、これについては大事なんだ、その分を行革で、ほかで要らないものを削れば十分。しかも、十八億とかそういった額ですよね。もう何百億、何千億あるいは何兆のむだがあるんだというような指摘ですので、私は、八条を三条に格上げして、それが行革に反するというようなことを、昨年五月、官房長官が実はこういった答弁をしているんですね、行革の視点から三条委員会はできないと。
 
ですから、この委員会は昨年からの延長線上ですので、官房長官においでいただかなければならないというのは、これはもう我々一致した意見でございます。きょうもこうしておいでいただけないのは大変遺憾であることを私からも申し述べまして、これは衆法提出者の方にお伺いします。
 
この個人情報保護委員会、これを独立した委員会、独立行政委員会とした理由。政府は、行革の視点から問題、大臣の責任があいまい、二重行政というふうに言っているんですが、行革の視点からといえば、決して三条委員会は行革には逆行しない。そして、予算がふえるわけでもない。ただ、新設については、これは政策判断だけれども、個人情報保護に関して、大事か否か、チェック機関が必要か否か、そういった観点だと思うんですが、この政府の行革の視点からの反対論、これについては衆法提出者はいかがでしょうか。

■山内(功)議員 
まず、個人情報保護委員会がなぜ必要かということが重要だと思うんですけれども、やはり主務大臣に任せるということは、本当に資質とか能力とか、もし、ない大臣が主務大臣であったときには、これはもう問題だなということが一つ。それから、大臣にしても中央の官僚にしても、まだ十分に政官業の癒着が断ち切れていない、そういう政治が行われているわけですので、やはり政治的に中立な第三者機関をつくって、政府からしっかりと独立性を確保する、そういう機関が必要だと思っています。
 
だから、内閣府設置法四十九条三項の規定に基づいて、内閣府の外局として、こういうしっかりとした……(武正委員「三条委員会」と呼ぶ)そうです、三条委員会をつくっていくということが必要なわけです。
 
行革の視点から申しますと、確かに、行革というのは大変大切な、国家としての最大のテーマだと私も思っています。国民から預かった大切な税金を垂れ流すようなむだな事業はしない、あるいは活性化を阻害するような規制は撤廃する、それが行革の理念だと思うんですね。
 
しかし、新たな課題に対応するために必要な機関、そしてしっかりと仕事をしてもらうという組織をつくるということは、やはりそれは行革の本旨にかなった意味があると思いますので、私は、個人情報保護委員会は後の方の意味で設置するべきだと思っていますし、情報保護先進国である世界各国ともこの第三者機関を設定しておりまして、主務大臣に任せるというような仕組みは日本だと思いますので、グローバルスタンダードにもかなっていると思っています。
 
それから、私たちの方でもう一つ触れておかせていただきたいのは、これは、国会あるいは国民に対してもきちんと責任をとった組織を私たちの方で考えているということでございます。個人情報保護委員会の委員は、まず両議院の同意が必要でございますし、もちろん職務上知り得た秘密については、職を辞したときも含めて秘密を漏えいしてはいけないということ、その漏えいに違反したときには刑事罰をもって委員にも臨むということ、それから、国会に対しては、内閣総理大臣を通じてしっかりと国会、国民に対して報告をするということも義務づけておりますので、そういう意味からも、国民の権利保護をしっかりと守っていく仕組みがつくれたと思っています。

武正委員 
衆法提出者に伺いますが、この個人情報保護委員会を設けて、その予算はどの程度というふうにはじいておられますか。予算の方をちょっとお伺いしたいと思います。

■山内(功)議員 
予算の規模ですか。約十七億ぐらいを考えております。

武正委員 
たしか公安委員会の三分の一程度の規模ではじいたというふうに伺っているんですけれども……(発言する者あり)公取ですね、十七億ですね。細田大臣、この十七億円、多いか少ないか。
 
それとあわせて、大臣の責任があいまいになるんだよというようなことをおっしゃられますが、やはり準立法、準司法的なものは独立すべきであろうと。まして、一昨年一月六日に一府十二省庁ということで巨大官庁になっております。そういったところも考えて、行革の視点からも、行政改革会議の最終報告でも、この行政委員会、必要だ、存置させるべきだ、そして新設させるべきだ、こういった最終報告も出ております。
 
どうでしょうか、三条委員会、予算は十七億。大臣の責任があいまいと言われますが、準立法、準司法的なものだけを三条委員会に移すわけでありますから、決してあいまいになるわけではない。しかも、予算、人事は内閣が握るわけですよね。内閣もきちっとコントロールする。しかも、国会にもちゃんと同意人事ということで、きっちり国会からもチェックができる。いかがでしょうか、細田大臣。

■細田国務大臣 
一〇〇%否定するべきお考えだとは思っておりませんけれども、やはり実際に起こってくる事故、先ほどのように十五件で十五億もかけるわけにもいきませんし、しかし、これから膨大に本当にふえてくれば、行政上非効率ではないという場合もあるかもしれませんし、もうちょっと私は、日本の今の行政の実態から見て、この第三者機関を設置すれば、よりいい行政が行われるようになるというふうには私は到底考えられませんので、また、個別にどういう問題があるかといったときに、先ほどの金融庁などが相当専門的にお答えしていましたように、またその個別の業として問題があるときには、そこがまたフィードバックされて、どう対応するんだというふうに戻っていく可能性も大きいわけでございますが、ちょっと投資効率の面でも時期尚早じゃないでしょうか。私は率直に思います。
 
それから、ヨーロッパ等のそういう委員会は、届け出を受け付けるというのをまず最初の機能にしておりまして、どうも運用を見ておりますと、そういうことを救済する慣行は余り行政庁にはないということのようでございまして、諸外国の委員会組織もちょっと性格が違うので、向こうにあるからこちらにというのも早計ではないかなと思っております。
 
ただ、これは、野党四党が慎重御審議の結果考えられて提案された中身でございますので、私があえていろいろ申し上げるよりは、また与党の皆さん等からの御質問等で御議論いただきたいと思います。

武正委員 
十五日のときもそうですし、今もそうですが、件数がふえてくれば考えればいいとか、それから、時期尚早であるというようなことで見切り発車というのは問題だと思うんですよね。これだけ個人情報について問題が多いとされている中で、その万全な備えをしないでスタートしてしまう。そして、大臣も実際答弁で、主務大臣がある面甘く、あるいは癒着、あるいは相談に乗ってくれない、こういった可能性も御自身で認めておられるわけですよ。両極端ある、だからきちっと押さえるんだ、政府案はそれを担保しているよ、新三十五条と言っているんですが、三十五条だって、誤った判断をする可能性は低いと。低いということはないということではないわけで、やはりあるよと。あるときには、やはり主務大臣、改善命令、行政処分、裁判、行政事件訴訟法。片山大臣も、司法によってと。やはりあるわけなんですね。主務大臣だって過ちをすることはあるというふうに認めているわけでありますので、そういった意味では、発車して、スタートしてから考えるというのでは到底認められない、納得できないわけであります。
 
また、先ほどから欧米の例というふうに言われますが、例えば、イギリスではADRというような形で行政が司法を行っている例、そしてフランスについても行政裁判、これはフランスでは、憲法よりも先にこのいわゆる行政裁判が法律として確定をしていたというようなことでありまして、ヨーロッパでは特に行政が準司法的なことをやっているということでありますよ。ですから、必ずしも行政と司法といった関係ではない。行政から準司法的、準立法的なものを独立させて置いていくというようなことは可能であるということなんですね。
 さて、行革、行革というお話が出ておりますし、なぜ細田大臣がこの担当大臣になったかということでは、IT担当だからという御答弁がありましたが、それでは、実際そのITに関して、情報システムに関して発注、年間二兆円でございます。
 
政府は、既に、総務、財務、経済産業中心となって、情報システムの発注の問題点を指摘し、その見直しを進めておられます。昨年三月二十九日に各省に通知をし、見直しを求めました。一年たったわけでございます。そして、ことし三月十九日にその見直しも改定をいたしましたが、依然、官民の責任分担を明確化した契約書の導入、あるいは調達事例の情報共有、分析等については、引き続き検討というようなことも含めて、この一年間、連絡会議、課長級の連絡会議を何回開いたのか。そして、実際に平成十四年度、各省がどの程度やっているのか。ここの点について、これは総務大臣。手短にお答えをお願いいたします。

■松田政府参考人 
事務的な連絡会議の話でございますので、お答えさせていただきます。簡潔に申し上げます。
 
情報システムに係る政府調達府省連絡会議ということで、極端な安値落札、そういうものを防止いたしましたり、あるいは、質の高い低廉な情報システムの調達を図るということで、各府省横断的に取り組むべき諸課題としまして、入札の評価方式の見直しですとか、あるいは入札参加制度の見直しですとか、それから今御指摘の調達管理の適正化、その三点について検討を進めてきまして、いろいろ、例えば複数年にまたがるプロジェクトについては複数年契約を導入していくとか、あるいは総合的な評価落札方式においては価格面と技術面を合わせました加算方式を導入していくとか、いろいろな措置を取り進めてまいっているところでございます。
 
平成十四年度におきましては、さらに外部人材の積極的な活用等を通じました調達側の体制強化、それからプロジェクトマネジメント手法の導入など、調達管理の適正化のための方策を中心に、課長補佐クラスの検討部会六回、課長クラスの連絡会議二回開催しまして、具体的な成果の取りまとめを進めているところでございます。
 
そして、今先生御指摘の各省の取り組み状況でございますが、先ほど申し上げました総合評価落札方式の加算方式による評価ですとか、あるいは低入札価格調査の実施ですとか、一部府省等において既に実施されていると承知いたしておりますが、なお、十四年度の各省の取り組み状況につきまして、本年五月を目途にフォローアップ調査を実施する予定でございます。

武正委員 
まだ平成十四年度の実態については把握もされていないといったことでありまして、細田大臣、ちょっと質問通告ないんですが、ITについて、実はむだとかむらとか、いろいろ問題点、これはもう与党から指摘があってできたことなんですね。
 
実際に、今、これは例えば日経パソコンの三月号で指摘されていますが、いわゆるメーンフレーム系のIT、要は、大型コンピューターを置いて、そして全部ソフトから何でも一括でというこういったやり方から、各パソコンがサーバーとして非常にレベルアップした、いわゆるオープン系という方にもう日本のIT、移管しなきゃいけないだろうというふうに言われながら、特に官公庁のITは相変わらずメーンフレーム系、COBOLとか昔の言語を使っている。これが実は、何かちょっと直そうとすると莫大な金がかかる。二兆円のうち、実は七割、一兆四千億はむだなんじゃないか、六千億で済むんじゃないか、こういうふうにも言われているんですね。実際、この点はまだまだ手つかずなんですよ。

 IT担当大臣として、先ほどから行革、行革と、衆法は十七億だと、十七億はこれは行革に反するというふうに言っていますが、一兆四千億むだがあると言われているのがITの分野なんです。政府発注、地方自治体発注二兆円のうちの七割がむだだと。この点、どうでしょうか。行革に関して。

■細田国務大臣 
議員からすばらしい御提案をいただきました。実は、私どももそういう点に大変な問題があるということは承知しております。

 自由民主党のe―Japan委員会というのもありまして、麻生政調会長みずから委員長になってこの辺を何とか全部変えろと、松下議員が事務局長としてこの間も内閣総理大臣に対して、私も同席いたしましたが、提案をいただきました。

ぜひ野党の皆様方の御支援もいただきながら、いろいろな理屈や抵抗とか、いろいろな問題はあるんですよ。これまでの経緯、これまでの予算がみんなむだになるんじゃないかというような話も聞いておりますが、そういう一種の抵抗感があるところもありますが、御趣旨をよく踏まえまして、これはもう非常に大きな課題だと私どもも認識しております。そういう方向に向かって頑張ってまいりたいと思います。

武正委員 
一兆四千億むだがあるよという指摘もある。そしてまたこれが、今いみじくも大臣が、いろいろ抵抗があるというふうに言われましたよね。現政府では、このITの情報システムに関する政府調達の見直し、緒についたとはいっても、先ほど言ったように平成十四年度の実態さえ各省庁から上がってきていない。これからやっと調べるという状況もあったり、安値入札についてはやっと手がつけられましたが、さっきのオープン系への移行とか、それからSLAあるいはEVMS、それから各省庁が調達事例を共有化すること、こういったこともまだ手つかずなんですね。それで今回、この個人情報保護委員会、十七億円、これは行革に反するというのはいかがなものかなというふうに思うんですね。余りにもやれるところをやっていないといったところだと思うんですね。
 
そこで、ちょっと時間の関係もありますので質問を急ぎますが、最終的な担保は不服申し立てや訴訟によると、昨年五月十七日、片山大臣言っておられますし、これはもう今週のさまざまな答弁で、最終担保は司法だ、審査会でやるのも膨大なんだと、これは行政機関の個人情報保護法についても言っております。この司法でということなんですけれども、あるいは行政不服審査法等の施行状況に関する調査結果、これも平成八年以来やっていない、こんなこともありまして、地方自治法改正で、例えば地方自治体への訴えも二段階になったりということもありまして、最終的な担保が司法によるというのが、実は本当に最終的な担保になるんだろうかということが疑念でございますが、この不服申し立ての仕組み等、これは総務大臣、いかがでしょうか。実際にこれは機能するんでしょうか。総務大臣、お答えいただけますか。簡便に。

■片山国務大臣 
行政不服審査法は、これは昭和三十七年ですね、もう私は相当定着している、こういうふうに思っておりまして、処分庁に出すのは異議申し立て、それからその上の上級庁に出すのは審査請求、二段階で、相当活用されておりますよ。ただ、今委員が言われたように、統計が古いんですね。私もちょっと、これは何だと言って、きょう注意したところですけれども。できるだけ最新の統計をとりますが、相当利用されていますよ。
 
れから、今、地方自治を二段階と言われたんです。これは二段階じゃないんです。今までは、首長個人あるいは首長の下の執行機関のポストにある人が個人で訴えられておったんですよ、納税者訴訟ですから。それを、機関ということにしたんですね、団体。そこで、団体と首長なんかの関係については再度ここで求償できるということで、そこを二段階といえば二段階ですけれども、訴訟そのものは一段階。
 
そこで、司法が最終的な救済になるか。これは三権分立の基本ですから、もし司法が最終的な救済にならないんなら、司法を変えてもらわないけません。私は今なっていると思います。なっていますけれども、まあ時間がかかったりいろいろなことありますよ、手間や手続。だから、そういうことで今、司法制度改革に取り組んでおりますので、あくまでも三権分立における最終の救済は司法でございます。

武正委員 
であるからこそ、独立した行政委員会が必要であるんですね。最終的には司法なんですよ。ただ、司法に行くまでのいろいろなやはり問題がある。司法制度改革で取り組まれている、さまざまな形で司法も今改革を急いでいるんですけれども、やはり準立法、準司法的なものは独立行政委員会にゆだねた方がいいだろうということなんですね。
 
今のお話のように、先ほど触れたように、行政不服審査法の施行状況に関する調査結果、平成八年以来やっていない。平成八年以来やっていないんですよ。さっき、どんどん活用されていますよと言いますが、国民の皆さんに伺いますと、この行政不服審査申し立て、やはり敷居が高いと言うんですよ。各地方にありますね、そういう窓口が。行っても、やはり行政に物申すというのが非常に言いづらい、これがやはり国民の皆さんの率直なところですよね。
 だから、ここをやはり担保するためにも、主務大臣がコントロールするんじゃなくて、独立した行政委員会といった形で独立をさせるべきだというふうに再度申し上げますし、行政不服審査法といいながら、さっき言ったように全然調査もしていないということですので、これは一日も早い調査、実態把握、これを進めていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

■片山国務大臣 
調査の方はぜひ急がせてやらせたい、こう思いますが、ただ、行政委員会、行政委員会というのは、今の議院内閣制といいますか、議会制民主主義は、やはり選挙で国民が議員さんを選んで、議員さんをたくさん持っているところが政権を持つわけですね、国会が選んで。そこで問題があれば、国会がそれを不信任するとかいろいろなことがあるし、最終的には選挙で審判を受けるので、国民や国会に対して責任を持っているのは当該閣僚なんですよ。議会制民主主義における与党というのかな、政府・与党なんですね。だからそれを、政府・与党と別の行政委員会をつくって、そこで何でもやればいい、行政の一部を。それは、国民や国会に対して責任を持ったことにはならないですよ。ただ、準司法的なものは専門的な点がありますから、それはやむを得ないと思いますけれども、野党案の言う三条委員会ですよ、基本法の方の。これは一種の行政委員会ですからね。だから、私は、アメリカ式の行政委員会は我が国の国情に合わないということを、この件でもありませんが、いつも申し上げているところでございます。
 調査の方は、急がせますので。

武正委員 
先ほども、もう繰り返しになりますが、予算、人事では内閣がこの独立行政委員会に縛りを持っているわけです。ですから、決してもう完全に独立してどんどん自分で走り出すということがないわけですしね。そして、国会がというふうに言いますが、このチェックについては、国会でのチェックというものもやはり限界があります、正直、膨大な行政量ですから。だから、やはり準立法、準司法的なものは独立させて、それも国会が同意人事ということで縛りをかけるということが、一府十二省庁になって巨大官庁になった今、やはり必要だというふうに思うんです。
 
最後の質問でございます。
 会計検査院の取り扱い。本法、行政機関法では、会計検査院を含めたところと含めないところがございます。これがなぜなのか。
 
実際、検査院を対象とする必要がないんじゃないかという議論があります、憲法で独立した機関ですので。これは実は、情報公開法でも議論がありました。情報公開法の審査会でも、これは検査院法の改正で行っていいんじゃないかという議論があるんですね。
 これについて、総務大臣、いかがでしょうか。

■片山国務大臣 
これは私も経緯を聞いたんですが、今回の法案の立案を行う段階で、権威ある行政機関等個人情報保護法制研究会、こういうものにおきまして検討したようです。そこでいろいろな方に入っていただいて、いえば行政だけじゃないんですよ。そういうことの中で、今回はすべての行政機関を対象にしよう、こういうことで会計検査院を含めましたけれども、会計検査院については、今委員が言われましたように、例えば総務大臣に対する事前通知はしなくてもよろしいとか、あるいは審査会については会計検査院で独自で持つとか、そういう特別な扱いにしているんです。
 
かし、私は、やはり会計検査院を全くこの法案の外に置くよりは、中に抱え込んで、その中の一般的な規制といいますか、そういう適用を受けながら、やはり独立機関ですから、独立性が強いですから、そういうことについては独自の扱いをする、この方がいいんではないか、今の法制がいいんではないかと思っております。

武正委員 
今の方がいいというお話ですが、権威あるその情報公開に関する審議会の、行政情報公開部会のときにも、やはり検査院は他省庁と異なるということで、会計検査院法の改正で、情報公開法並びにこの個人情報保護法に関しては別法にした方がいいんじゃないかという議論がこのときにもあったということを申し述べまして、であるからこそ、やはり、先ほど今野委員も指摘をいたしましたが、見直し規定が必要なんですよ。衆法は三年以内ということを言っておりますが、絶対に見直し規定が必要です。何といっても細田大臣が言っているじゃないですか、これからふえていく可能性もある、時期尚早である、まあ、ある面走りながらと。私はそれは問題だと思いますよ。それで、もし、百二十歩譲ってとだれか言いましたが、であるならば、見直し規定が必要ですよ。
 見直し規定が必要であることを最後に申し述べまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

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