【総務委員会】電波法の一部を改正する法律案について提案の趣旨及び概要説明

2003年05月06日

武正議員 ただいま議題となりました電波法の一部を改正する法律案及び通信・放送委員会設置法案につきまして、民主党・無所属クラブを代表いたしまして、提案の趣旨及びその内容の概要を御説明申し上げます。

 近年、携帯電話や無線LANなど無線通信の需要が飛躍的に拡大し、周波数の逼迫が深刻化しております。各国でも、周波数逼迫へさまざまな対応策が検討され、周波数への課金やオークション制度の利用も図られております。アメリカ、イギリスでも、技術進歩から、免許付与でなく、自由に電波を利用させる見直しが始まろうとしています。我が国でも早急な対応が不可避であるにもかかわらず、対応策は場当たり的で、その効果をあらわしておりません。私ども民主党は、周波数資源の有効活用とそれに伴う産業の活性化を図るためには電波政策の抜本的な見直しが必要であるということをこれまで強く主張してまいりました。

 電波の有効活用が進まず、技術の進展とともに電波不足が問題化した最大の理由は、これまで電波の経済的価値が認められてこなかったことにあります。電波利用に伴う共益費の負担のみで、電波を利用することそのものへの対価が課せられなかったことが、既存免許人、特に公共セクターの周波数の効率利用を妨げてきました。現行の電波利用料は、受益者負担とかけ離れた料額設定となっており、自発的な電波利用の効率化を促すという観点からは適切ではありません。さらに言えば、利用者間の負担の割合に大きな偏在があることもたびたび指摘されるところであります。

 また、電波の新規需要にこたえるためには、大規模かつ迅速な周波数の再配分が不可欠であり、その解決には、オークション制度の導入を可能とすることが適当と考えております。既に割り当てられている周波数帯の再配分は、これまでの政府の直接割り当て制度では立ち行かないことは明らかであり、電波の有効活用を促すには新たな方策が必須なのであります。

 政府案では、電波利用共益事務における無線局免許人の受益と負担の公平性を確保する観点から時限的な料額改正がされておりますが、そのような小手先の改正ではなく、私どもは、電波利用料のあり方の抜本的見直しの時期にあると考えております。また、今回の値上げは、地上波デジタル放送スタートに伴うアナログ周波数変更対策費が当初の試算よりかさんだことが理由と説明されていますが、このような見通しの甘さで電波利用料額が改定されるようでは、不透明な裁量行政と指摘せざるを得ません。総務省の裁量で電波利用料額が決定されることのないよう、独立した第三者が透明かつ公正にその料額を決めるべきであると考えます。このことが放送の独立性の堅持にもつながります。

 さらに、近年、通信・放送分野において、技術発展に伴う両者の融合や規制緩和による市場競争が進展しつつある中で、公正中立な通信・放送行政の確保、かつ、急速な技術進歩に見合う迅速な意思決定が強く要請されているところであり、これらの分野に係る規律に関する事務を行う独立行政委員会を設置することこそが、その要請にこたえ得る究極の解決策であるのです。
 以上の考えをもって、電波法の一部を改正する法律案並びに通信・放送委員会設置法案を提出する必要があるとの結論に達したものであります。

 続きまして、法案の概要につきまして御説明申し上げます。
 電波法の一部を改正する法律案では、第一に、電波の公平かつ能率的な利用を促進する観点から、電波利用料の、電波利用共益費用の分担という現行法上の性格を見直し、電波利用の対価としてその経済的価値に見合った料額を負担させるものに変えることとします。
 次に、電波の経済的価値を市場原理に基づき適切に決定するとともに、無線局免許を付与する手続の透明性及び公正さを向上させるため、免許人の選定手続としてオークションを用いることができることとします。

 第三の、製造業者等による無線機器の迅速な市場投入を促進し、経済活性化及び国際競争力強化に資する観点から、技術基準適合自己確認制度を導入するとともに、民間能力の一層の活用を図るため、総務大臣または指定証明機関が行う技術基準適合証明制度等について総務大臣の登録を受けた者が行うこととする等所要の措置を講ずるところは、政府案に同じであります。
 次に、通信・放送委員会設置法案の内容の概略について御説明申し上げます。

 内閣府の外局として通信・放送委員会を設置し、有線、無線の通信の通信施設に係る規律、電気通信業、放送業に係る規律、電波の監理その他通信・放送分野に係る規律に関する事務を総務省から移管して委員会の所掌事務といたします。これによって、総務省に残るのは、産業振興に係る政策の企画立案及び実施等の事務となります。情報通信分野の規制に深い見識を持つ専門家を起用し、意思決定やルール策定の過程の透明化と、公平公正競争と産業の活性化を図るものであります。

 なお、この法律は、無線設備の技術基準適合性をみずから確認する制度の新設及び指定証明機関制度等の登録制度への移行については、公布の日から起算して九カ月以内において政令で定める日から施行すること、電波利用料制度の改正及び無線局免許手続へのオークションの導入については、公布の日から起算して九カ月以内において政令で定める日から施行すること、また、通信・放送委員会の設置は平成十六年四月一日を施行期日としております。

 以上が、電波法の一部を改正する法律案及び通信・放送委員会設置法案の提出理由とその内容の概要でございます。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。(拍手)

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