【総務委員会】地方独立行政法人法案について

2003年06月03日

武正委員 
民主党の武正公一でございます。
 地方独法等の質疑をさせていただきます。
 平成十二年十二月一日、行革大綱閣議決定、これがあっての今回の独法の提出というふうに理解をするわけでございますが、この行革大綱では、第三セクター、地方公社、地方公営企業等の改革がまずありき。その内容とすれば、第三セクターに関する指針、土地開発公社健全化五カ年計画、残る二公社は外部監査人の導入、公営企業については平成十七年度までの見直しというのがずらずらずらと並んでおって、最後につけ足しで三行、地方独法も検討すべきということでございまして、私は、まず最初に、この行革大綱にうたわれている三セク、地方公社、公営企業等の改革があって、そして地方独法の検討があるんだというふうに理解をしているのですけれども、今回は地方独法の導入が先に走っているような感を持っております。
 この点について、まず総務大臣、御所見を伺いたいと思います。

■片山国務大臣 
言われるとおり、行革大綱はそういう決め方をしておりますので、土地開発公社を初めとしまして地方の三公社、あるいは第三セクター、公営企業改革もずっとやっているんです、御承知のとおりですよ。特に第三セクターは経営の悪いのが続出しておりますから、これについては今大変力を入れてやっております。
 そういうことの中で、やはり国もやる、国がやったものですから地方でも大変要望がある、ぜひこういう制度をつくってほしい、こういうことなものですから、先ほども言いましたが、地方団体の自主的な選択肢をふやす意味でこの地方独立行政法人制度も制度化しよう、こういうことでございまして、これだけやるから、開発公社や第三セクターや公営企業の方をなおざりにしている、ほっているということではございませんので、一緒にやる、こういうことの中で選択肢を広げよう、こういうふうに我々考えております。

武正委員 
実際にやっているかどうかをこれから質疑の中で明らかにさせていただきたいと思っておりますが、私は、やはり地方独法というものは、ある面、屋上屋を重ねているんではないか、組織として非常に複雑多岐なものにさせてしまっているんではないか、あるいは議会や住民のチェックがより及ばないような形になってしまっているんではないか、そういった危惧を抱いているわけでございます。
 また、国は議院内閣制、地方は、ある面、大統領制、その面でのチェック体制というものは、これはもう大臣がよく答弁されているように、議院内閣制以上に、大統領制の場合はやはりチェック体制をさまざま強化しなきゃいけない。これが、果たして今回の地方独法はできているのかどうか。議会の関与、住民訴訟、こういった点が問題だというふうにまず指摘をしておきたいと思います。
 ちょっと質問の順番を入れかえまして、文部科学省、お見えでございますので、先に公立大学、先ほど来議論も進んでおりますので、こちらからさせていただきたいと思います。順番が変わったことをお許しいただきたいと思います。
 公立大学については、この設立の許可は、これまでは文部科学省といったことでございましたが、今回、総務大臣というような形に変わってくるわけでございます。文部大臣と総務大臣の共管ということでございまして、八十八条の立入検査権も、立入検査権というのはかなり厳しいと思いますよ、それも文部省と総務省に両方認めるわけですね。官のコントロールがこれまで以上に強くなる、特に総務省も絡んでくるといったことでございますが、この点はまず総務省、総務大臣あるいは副大臣でございますか、お答えいただけますか。

■若松副大臣
 公立大学についてのいわゆる官のコントロールが強まるんじゃないか、こういった御質問につきましては、学校教育法に基づく大学の設置認可についてでございますが、教育研究機関としての大学として備えるべき要件を満たしているかどうかという観点から行っております。
 これに対しまして、この法案に基づきます公立大学法人の設立の認可は、私立大学の場合の学校法人の設立認可に相当するものであるわけでありますが、この審査につきましては、大学を経営するにふさわしい法人であるかどうかという観点とあわせまして、従来地方公共団体が直営で行ってきた事務を地方公共団体の関与のもとで行わせるにふさわしい法人であるかどうかという観点から行うものでございます。
 公立大学法人の認可は、このように公立大学の設置認可と趣旨を異にするものでございまして、公立大学の設置認可と別に行う必要がある、このように総務省としては認識しております。

武正委員 
認可権者の、官のコントロールが強くなるということで、先ほど八十八条、立入検査等も述べたわけでございますが、先ほど同僚委員からお話があった評価について話を移したいと思います。
 文部科学省、政務官もお見えでございますが、業務実績を評価する機関が、認証評価機関による評価を踏まえるとしつつも、地方独立行政法人評価委員会という、大学教育及び運営に関し余り識見を有しているとは思えない組織が行うことは問題ではないか、あるいは第三者評価の多元性も確保されていないんではないかという指摘があるんですが、いかがでしょうか。

■池坊大臣政務官 
公立大学法人に対しては、その内容の確実な実施を確保するためには、当然、所要の財政措置が講じられるわけです。ですから、その講じられました公費がきちんと有効に、適切に使用されているかどうかの評価がやはり必要ではないかと思っております。そしてまた、このような評価だけでなくて、学校でございますから、教育研究の評価というものも大切ではないかと思っております。公立大学法人評価は、このような観点を踏まえまして、地方独立行政法人評価委員会が行うようになっております。
 その組織、運営については、設立団体の条例で定めるということとなっておりまして、これを受けて、各設立団体においては、厳正かつ適切な評価を確保する上で必要な事項を定め、そして適任者を評価委員として選任するようになっております。適任者ですから、やはり学校教育にも、また経営能力にも、きちんとそれが使われているかを考えることができる人間が評価委員として選ばれるというふうに思っております。
 それからまた、先ほど申し上げました教育内容におきましては、これは大学において大きな比重を占めるものでございますから、その特性に配慮いたしまして、やはり専門家が必要だと思います。ですから、認証評価機関というものに評価を実施してもらうことになっております。
 そしてまた、評価委員会の評価結果というのは、社会に公表いたしますし、それから、先ほど委員がおっしゃいましたけれども、設立団体の長を通じて議会に報告することとなっております。ですから、これは議会のチェックも得るということで、透明性、公正性をしっかりと担保することができるのではないかというふうに私は考えております。

武正委員 
第三者評価の多元性も確保されていないというようなことも私は指摘をしておりますが。
 今、適任者と、これは人選が大変難しいと思うんですね。これは、国の独法の評価委員もチェックしますと、兼職、いろいろな方がいろいろなところの評価委員を兼ねている、こういった問題点、それから、本当に評価委員会の評価たる発言、そういったものができているんだろうかということが問われると思いますので、この人選、適任者についてはやはり工夫を、それぞれの地方団体が特に教育関係者としっかりと緊密な連携をとってやってほしい、やらなければならないというふうに思います。
 さて、続いて質問させていただきますが、中期目標も設置者が設定するということは、これは文部科学委員会でも既に国立大学法人化で指摘がありますように、大学の自主性を損なうことにならないか。これは公立大学でも同じ危惧があるわけでございますが、これについてはいかがでしょうか。

■池坊大臣政務官 
地方独立行政法人は、設立団体であるのが地方公共団体でございます。ですから、地方公共団体が運営費、交付金などの予算措置を行いますので、それに対して中期目標はどのようなものであるかというのに関与するのは当然であるのではないかと私は思っております。
 ですけれども、今委員がおっしゃいましたように、大学は自律性それから自主性が大切でございます。この中期目標に関しましては、これは、知事がこれをやりなさいと一方的に押しつけるのでは決してございません。この公立大学法人の意見を聞いて、その意見に配慮する仕組みとなっております。地方独立行政法人法案六十九条並びに七十八条ではそれが担保されているのではないかと思っております。
 また、制度の措置だけでなくて、運用においては、学問の自由、大学の自主性、自律性が損なわれることのないように、設立団体は大学における教育研究の特性を尊重しなければならないという規定もございます。ですから、これを踏まえながら、自治体にとって大変有効な、特色ある創意工夫ができる学校となっていくのではないかと思います。今までと違いまして、それぞれの地域の特性あるいは地元の産業に役立つような方々を育成していくことも可能ではないかというふうに考えております。

武正委員 
あらかじめ法人の意見を聞き、配慮するというのは当たり前のことでありまして、こういったことも、書いてあるから大丈夫じゃなくて、やはり大学の自主性を損なうという点では大変危惧が多い、そんな法改正だと言わざるを得ません。
 さて、産学連携のため、営利企業の役員兼業が認められているんですが、どうも公立大学の進捗状況が鈍いという指摘があるんですが、この点はどうでしょうか。

■池坊大臣政務官 
公立大学教員の兼業に関しましては、地方公務員法において、各地方公共団体における任命権者が兼業の許可を行うということとなっております。
 平成十三年に文部科学省が公立大学等を設置する地方公共団体に対して実施いたしましたアンケートの結果によりますと、有効回答数四十五団体でございました。その中で、原則許可とする団体が一団体、それから、一定の基準で許可する団体が三十四団体ございまして、八割近くの地方公共団体が、何らかの形で営利企業役員との兼業を許可する仕組みを整備いたしております。
 では、何名の人間が兼業をしているのかという細やかな件数は私どもは把握いたしておりませんけれども、現在、TLO兼業など、営利企業役員と兼業をしている例もあるというふうに私は聞いております。
 ちなみに、参考までに申し上げますと、国立大学教員の役員兼業については、平成十二年四月から、TLO兼業、研究成果活用企業役員兼業、監査役兼業を認めるなどの制度整備を順次図ってきております。積極的にこれをするようにということを国立大学には申しておりますので、これは、平成十二年九月に三十五件でございましたのが、本年四月には三百二十一件と増加している現状でございます。
 ただ、国立大学と公立大学をそのまま当てはめるのはやはり不都合かと思います。国立大学と異なりまして、公立大学の場合は理工系が少なく、看護系とか人文系が多いので、役員とかの兼業が少ないのだと思いますけれども、どちらにいたしましても、来年四月からは独立行政法人になりますので、また、それぞれの特色ある設置者が兼業なども奨励していって、活発なそして斬新な空気が入って運営され、また研究活動がされることと思っております。

武正委員 
ありがとうございました。
 それでは政務官、どうぞお引き取りください。
 さて、第三セクター等研究会の報告からまずスタートしたいと思いますが、第三セクター、二〇〇二年度、清算が六十七、うち倒産十九、うち解散四十八、負債が資産を上回る法人五百四十二法人、貸付金残高、商法法人一兆一千七百十五億、民法法人一兆一千六百八十九億円、いわゆる三公社は一兆八千六百九十億円、損失補償・債務保証契約にかかわる残高、商法法人三千六億円、民法法人二兆一千四百六十二億円、三公社七兆九千七百四十五億円というような報告がされております。
 この損失補償契約を行った段階で、基本的には限度額の部分を債務としてとらえるべきではないだろうかというふうに考えますが、御所見を伺います。

■若松副大臣 
今委員、数字をいろいろと述べられましたが、もう一度要約させていただきますと、平成十四年度に実施した第三セクター等に関する調査、ここで今、損失補償契約の債務残高が、地方三公社が約八兆円ということで、さらに民法法人、商法法人、これが二兆円で、合計十兆円ということでございます。
 これらの債務負担行為の設定につきましては、それぞれの地方公共団体におきまして、あらかじめ予算として議会の議決を得た上で契約されているものでありまして、地方公共団体の債務残高として含まれるものでございます。
 第三セクターに係る債務につきましても、地方公共団体の債務となることから、真にやむを得ないものに限るということで、定期的な点検評価を行うことなどによりまして地方公共団体に要請をしているところでございます。

武正委員 
議会の議決といっても、特に三公社と議会との関係、これは年に一回の報告程度、資料も大した資料が出ないといったことが、この八兆近くの債務保証ですね、これが膨れ上がった原因ではないかというふうに考えますので、やはりこれも地方自治体の債務というふうにとらえるべきであろうというふうに指摘をしますし、今、点検というお話がございましたが、経営の点検をやっているのはわずか一二・九%ということがこの報告書でも出ております。点検も実際のところやられていない。
 また、先ほど触れましたように、地方団体の出資比率が五〇%以上は議会に報告がありますが、五〇%未満は報告義務がないといった点、これはやはり地方自治法の改正が必要ではないかというふうに考えます。
 年に一回、公社も議会に報告しているけれども、大した報告も出ないという点では、これはちょっとあわせて聞きますが、情報公開条例の対象にもしてもいいんじゃないかといったことも含んで御答弁をお願いします。

■若松副大臣 
まず一点目の、第三セクターの点検評価、今一二・九%。確かに低いと思っております。なぜかというと、やはり今までの行政が予算獲得主義、それに対するいわゆる行政評価による成果主義が実施されていなかった。これを改善すべく、私どもとしては、ぜひともチェック体制を強化してまいりたいと考えております。
 二点目の、いわゆる第三セクターの、出資比率五〇%以上の法人をチェックする、これはあくまでもやはり形式基準でありまして、このように民間企業の連結の範囲等や実質基準を採用しているということでありまして、五〇%未満も何らかの形でやはり検討すべきではないかと考えております。
 いずれにしても、そういったものも含めながら、情報公開制度等を活用しながら、住民に対する説明責任を果たしていきたいと考えております。

武正委員 
総務大臣、この五〇%未満、私も県議会にいましたので、五〇%かそうでないかでやはり県議会の対応、いわゆる執行部の対応が違ってくるんですが、五〇%未満あるいは二五%未満も、余りこの出資比率もう関係ない、出資比率にとらわれずに、この損失補償の額も大変大きいところはもう大きいわけですが、今副大臣からは検討すべきという御答弁がありましたが、この点、一言触れていただけますでしょうか。

■片山国務大臣 
これは、出資や何かしているものがいろいろなんですね。極めて本当にダミーみたいなものはパーセントに限らずにやるべきだ、私はこう思うんですが、そうでなくて、純粋に民間的なものに出資しているようなケースもありますので、五〇、二五というのが常識的な線ですが、実態をよく調べまして、必要ならこの比率は検討いたします。

武正委員
 ありがとうございます。
 続いて、土地公社の方にちょっと移らせていただきます。
 この土地公社が今保有する土地の簿価総額、それから、そのうち五年以上の塩漬けの土地の総額は幾らぐらいなのか。
 そしてまた、経営健全化計画ですか、これは昨年の四月二日、総務委員会の同僚委員への答弁では、経営健全化計画、七十三ですよ、その簿価は一兆二千億円ですよと。実際のところ、二百以上の団体が二兆三千億円の土地を簿価で所有しているんだということの御答弁もありましたが、その経営健全化計画が進んでいるのかどうか、対象団体がふえているのかどうかも含めてお答えいただけますでしょうか。

■若松副大臣 
まず、二〇〇二年度末の土地開発公社事業実績、これは現在調査中でございます。
 直近の平成十三年度、二〇〇一年度でございますが、先ほど申し上げました調査結果によりますと、二〇〇一年度末の土地開発公社の土地保有状況は、金額ベースで七兆一千五百六十三億円、そのうち五年以上保有土地は約四兆一千百三十六億円でございます。
 その改善状況ということでございますが、平成十三年度末の土地保有総額は、平成十二年度末に比べて七・三%減少しております。さらに、五年以上土地保有額は〇・一%減少しております。さらに、経営健全化公社の平成十三年度末の土地保有総額につきましては、平成十二年度末に比べまして一〇・六%減少しておりまして、五年以上土地保有額は六%減少しております。
 そういう意味では、わずかながらも改善をしているところでございます。

武正委員 
この資産デフレは解消しなきゃいけないんですが、残念ながら土地の値段が下がっている中で総額を言われても、実際なかなかぴんとこないわけでございまして、まして、総額は七・三%減ったけれども、五年以上は〇・一%しか減っていないというのは、五年以上塩漬けがなかなか解消できていないということが如実にあらわれているところでございます。
 さて、健全化対策を公社から自治体につけかえるにすぎず、その費用に新たな税金を投入することは許されないとの批判もあるわけなんですね。この健全化対策、公社から自治体への借金のつけかえ。今回の地方独法も同様の指摘がございます。第三セクターあるいは公社、公営企業、それぞれが抱えている借金をチャラにして、きれいにして新たな組織にしてやるけれども、その借金は本体が背負うよというような指摘があるわけでございます。
 さて、きょうは国土交通省、政務官がお見えでございますが、住宅公社が、二〇〇〇年度末借入総額三兆一千五百七十四億円、うち四割は民間金融機関、二〇〇〇年度決算時点で少なくとも二十前後が赤字、こういう記事がある中で、今、公社の廃止を視野に検討中、福島、あるいは神奈川、北海道、そのほか茨城、幾つか出ておりますが、実際、今の現行法でどういった手続で廃止ができるのか。もしできないとすれば法改正が必要と思われますが、お答えをいただけますでしょうか。

■高木大臣政務官 
ただいま地方住宅供給公社法についてのお尋ねだと思いますけれども、現在、各地方公共団体におきまして、地方の住宅供給公社のあり方についてその廃止、今御指摘ありました福島を含めてさまざま検討がなされていることは認識をしております。
 その上で、現行の地方住宅供給公社法においては、公社の解散のできる場合は、一つ目は破産、二つ目が国土交通大臣による設立認可の取り消し、これは違法行為等があった場合なんですけれども、この二つに限定していることから、設立団体たる地方公共団体の意思によって公社の廃止、いわゆる解散は法律上は認められておりません。
 そのような状況を踏まえながら、国交省といたしまして、昨年の二月から、学識経験者から成る検討委員会、これは横浜国立大学大学院の小林教授が委員長としてこの検討委員会を設置いたしまして、自主的な解散規定の創設を含めて、公社の業務や組織運営のあり方について、現在、検討を行っているところでございます。
 今後、その検討委員会で取りまとめる検討結果や、また地方公共団体の意向等を踏まえながら必要な措置を講じてまいりたいと考えております。

武正委員 
今後必要なということでございますが、先ほど触れたように、健全化計画をつくってもこの公社、こちらは土地公社の方ですけれども、なかなか五年以上塩漬け土地もうまくいかない。こういった中で、また今の住宅公社は、各地方の自治体が何とかこれをしたいというふうに言っておりますので、スピードアップが図られるべきだというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 一点、例えば先ほどの、これは二〇〇〇年度で約三兆円の借金があるわけなんですが、解散する、廃止すると、これはどのような形に手続上なるんでしょうか。簡単でいいですからお答えください。

■高木大臣政務官 
今御指摘の問題等も含めて検討委員会で論議をしている最中でございますので、今この場におきまして、こういう形になる、こういうふうに断定はできかねますので、御承知おきを願いたいと思います。

武正委員 
検討中ということでございますが、これがやはり、責任の所在、そして総括、なあなあのうちに借金が結局は地元の県民の負担につけかえられるということがないように、厳しくその検討を進めていただきたいと私は思います。
 さて、こういった形で第三セクター等について見てまいりましたが、今回の法案では、第三セクター等は対象とされていないやに説明を伺っておりますが、私の見るところ、第二条を見ても、いや、第三セクターも対象に読み込めるんじゃないかなというふうに思うんですけれども、これはいかがでしょうか、副大臣。

■若松副大臣 
民間で実施できることは民間で行う、こういった考え方から、この地方独立行政法人制度におきましては、既存の第三セクターが直接地方独立行政法人へ移行することは想定しておりません。
 仮に、第三セクターの実施する業務を対象として地方独立行政法人に行わせるようにする場合には、一たん当該第三セクターについて清算手続を行って、新たに定款を定めて地方独立行政法人を設立する、このような手続が必要になります。

武正委員 
今、手続上はそういった御説明がありましたが、総務大臣、第三セクター等を念頭には置いていない、あるいは、もしそれをする場合には法改正が必要であるということでよろしいでしょうか。

■片山国務大臣 
第三セクターと地方独立行政法人は全然違うんですね。地方独立法人は、地方団体から分離してもいいけれども、民ではだめだというものなんですよね。第三セクターは民ですからね。だから、今言ったように、第三セクターが仮に独立行政法人になりたいのなら、法律の要件に該当した場合ですけれども、それは第三セクターを解散して新しくつくり直す、こういうことになりますので、第三セクター移行なんということは制度的には全く考えておりません。

武正委員 
民でなければと言いながら、民でやったら失敗した、これが第三セクターなんですね。やはりある面、公にかかわるところを手段がなくて第三セクター、あるいはそれを国が推し進めたさまざまなリゾート法あるいはNTTの資金活用法等で、これはやはり大変反省をしなければならないことだというふうに思います。
 さて、今は、今回の地方独法には第三セクターは移行しないといったことを確認したわけでございますが、第三セクターの民営化ということで、今さまざま地方自治体も検討を進めておりますが、一つ事例として、私は、しなの鉄道のことを挙げさせていただきます。
 長野県も債務放棄を認めて、百億円強ですか、今、経営改革評価委員会が。社長さんも、これまで長野県の副知事だった方はお帰りをいただいて、旅行会社のエイチ・アイ・エスから社長を連れてきた。実際、一年半で、これまで年間四億円の赤字が黒字になった。一年半で黒字化した。これは、しなの鉄道ですね。(発言する者あり)不規則発言がございましたが。そういうことでございまして、今、実際のところ、上場も目指しているそうです。
 実際、例えば松本空港を利用して、ジェット機をそこに集めるようにしようとか、なぜこういうアイデアが出てくるかというと、やはり旅行会社の方が社長になっているからなんですよ。旅行会社の社長さんですから、どうやったらお客を集められるかという視点に立っていますので、この方が社長になって鉄道事業をやろうとする。では、まずお客さんを呼ぶためのイベントをどうしようか。あるいは、では今度は空港とジョイントしてできるんじゃないか。発想がどんどん広がって、民営化そして上場といったところまで展開をしていこうということなんですが、このしなの鉄道の事例、これは総務大臣お聞き及びかと思いますが、このことについて。副大臣ですか。

■若松副大臣 
当然やはり、民業は民間経営者がやった方がいいと思います。その上で、このしなの鉄道株式会社につきましては、先ほどのエイチ・アイ・エス、非常に有能な経営者が入られたということで、平成十四年度は、開業以来初めて、減価償却前の損益でございますが、黒字を計上したと伺っておりまして、引き続き経営改善に努められて、地域住民の期待にこたえられることを総務省としては願っているところでございます。
 さらには、今、株式公開という話もありましたが、それは、できれば大変すばらしいな、そのように考えております。

武正委員 
総務大臣も一言、こういった、地方で頑張って民営化も目指している。そのときに、大体これまで第三セクターは地方の県のOBの方がそのトップにつくというような形だったんですが、そこに民間の方も引っ張ってきてといったことも踏まえてお答えをいただきたいと思います。

■片山国務大臣 
私は岡山県ですけれども、岡山県の倉敷に、チボリ公園というのがあるんですよ。デンマークのコペンハーゲンにあるものの日本版。これが第三セクターでやったら大赤字なんですよ。それで、二年前に、その前の社長は副知事なんですよ。私もずっと昔に副知事をやったことがあるので、今、不規則発言がありましたが。それで、どうしても赤字が多くなる。そこで民間の人を入れたんですね、民間の人を社長にした。そうしたら、前年度は、単年度黒字になったんです。
 そういうことで、やはり、第三セクターというのは官と民のいいところを集めようということなんですけれども、官と民の悪いところだけが集まっているようなケースが多いんですよ。だから、それはもうはっきり、民は民にした方がいいし、官でやるなら官でやった方がいいんですよ。官民なんといって一時はやしましたけれども、私は、もう一遍見直すべき時期にあるなと。
 だから、リゾート開発についても、私どもの方の行政評価局では大変厳しい勧告を関係の各省にいたしましたので、今後とも、こういう事例を踏まえながら、やはり民は民としてやっていただく、こういうことを徹底してまいりたいと思っております。

武正委員 
総務大臣、せっかくですので、もう一言お願いしたいんですが、それを進めてこられた、はやしてこられたのは自民党を中心とする政府・与党でございまして、この間の同僚委員の御質問でも、やがて参議院の自民党の大幹部にこれからなられていく総務大臣でございますので、この責任の所在、それから総括をやはりきちっと、落とし前という言葉がいいかどうかわかりませんが、ちゃんとやらないと次につながらないんですよね。
 ある面、負の遺産を背負いながら、今回、地方独法も頑張っていこうと、何かもう一生懸命、法律の整合性をとろうと努力されているのはわかるんですが、第三セクターあり、地方公営企業あり、あるいは三公社あり、これにまたこの地方独法ということも含めて、何か、継ぎはぎ継ぎはぎ、問題の先送り先送り。やはりここで、こういった点での責任の所在、そしてこれまでの総括、官と民の悪いところをやってしまったと、これをどういう形で総括するのか、再度御答弁をいただきたいと思います。

■片山国務大臣 
それぞれの第三セクターが、失敗したケースでははっきり責任をとっておりまして、それぞれ対応いたしておると思いますけれども、時代の環境というのもありますから、やはり個人の力は限界があるので、問題を起こして損害が発生したり倒産したり、そういうところはそれぞれ、法律上も、それ以外の責任もとってきているな、こういうふうに私は思っておりますが、やはりいろいろなことをいい学習体験にして今後に生かしていきたい、こういうふうに思っております。

武正委員 
学習体験で済まされる状況ではないというふうに私は思います。
 平成三年の国、地方を合わせた三百兆が、今七百兆。それで、後でまた触れますが、隠れ借金と呼ばれるような多額な債務が公営企業等も含めてあるといったことでございますので、こういったお答えをいただいても、やはり立法府とすれば、行政府をきちっとコントロールする意味でも、政権交代可能な二大政党というものは日本の民主主義のために必要なんだと。過去のさまざまな問題点を学習した、学んだというだけで済まされるようなお国では、このまま沈没してしまうのではないかというふうにあえて指摘をさせていただきます。
 さて、今、責任はしっかり第三セクターはとっているよというお話でございましたが、これはもう過去、総務委員会での住民訴訟の質疑でもございました、下関の韓国との船の問題を契機として、私は、政府がこれからこういった第三セクターの責任追及をされるのを恐れて住民訴訟を二段階にした、まさにそれがこれからあちらこちらで責任問題が出てくるといったことだというふうに思います。住民訴訟が地方独法とどのようなかかわりをしているのか、これも後でお聞きをしたいと思います。
 それでは、地方公営企業について参りますが、まず、地方公営企業、総括原価方式から価格設定方式への転換ということが指摘されておりますが、この点、副大臣、いかがでしょうか。

■若松副大臣 
地方公営企業法第二十一条によりますと、地方公営企業の料金は、公正妥当なものでなければならない、かつ、能率的な経営のもとにおける適正な原価を基礎として、地方公営企業の健全な運営を確保することができる、こういうことでありますけれども、総括原価方式、いわゆる原価の積み上げ方式ですね、これをやりますと、どうしても、今委員の恐らく御懸念であろういわゆる経営の効率化、こういったところが反映されないということもありまして、価格設定方式等の活用もあるところでございます。
 そういったいろいろな事例も踏まえまして、今後とも、公営企業の料金の具体的な算定手法につきましては、基本的には各事業法のもとで決定されているわけでありますけれども、地方公共団体におきましては、料金算定の透明性並びに経営の効率性の徹底に資するような工夫を講じられるということが望ましいと考えておりまして、総務省としてもそのための努力をしてまいりたいと決意しております。

武正委員 
まだまだ、この価格設定方式についても、公営企業会計、公営企業については検討中ということでございます。
 さて、鉄道事業、これは過大な需要を見込み、その需要予測の利用者に達せず、結局、価格設定を高いものにせざるを得ない、あるいは地方自治体から補助金を追加で投入しなければならない、こういったことがあちらこちらで見られるわけでございます。この理由として、一つ、無理をした需要設定をしないと運輸政策審議会を通ることができないのではないかというようなことが言われておりますが、こんなことを繰り返していたら、結局はそのツケが地元の地方自治体の住民に及ぶ、そして首長さんも、最初の計画と違うといった見直し見直し、そんな答弁を地方議会で繰り返さなきゃいけない。
 これは、運政審の審議も含めて、何かやはり解決していくべき時期に来ているのではないかというふうに思うんですが、国土交通政務官、いかがでしょうか。

■高木大臣政務官 
まず、鉄道事業に関する運賃の設定、これは規制緩和の流れを受けまして、まず、その上限については国土交通大臣の認可を受けなければならない。これは鉄道事業法の第十六条になりますけれども。
 その認可に当たりまして、まず鉄道事業の最初の許可、この時点における需要予測を勘案しつつ、運賃設定の認可申請の時点において予測される旅客輸送人員、またこれをもとに算出された運賃収入等、これが適正価格であるのか、適正利潤の範囲内におさまっているかどうか等について、申請内容を審査するとともに、ほかの鉄道事業者、並行して走っている場合もありますから、そういった他の鉄道事業者における運賃の水準等も考慮した上で認可を行っている。
 さらに、その上限を決めた上で、その中におさまる鉄道の運賃については、事業者の自主性、主体性を尊重しつつ、事業活動の一層の効率化、活性化を図るために、認可を受けた上限運賃より低廉な運賃の設定、これは鉄道事業者の個別の判断、経営判断によって自由に設定することは可能となっている。
 ただ、今御指摘ありましたような最初の予測、この問題についても、例えば武正委員の地元でもあります埼玉高速鉄道、これは、一番最初の許可をするとき、そして認可をするとき、そしてまた実態、この数字が大分違っているという現実は多々ありました。その上で、理由については、ほかの交通機関からお客さんが移ってくるといういわゆる転移が進まないですとか、また沿線地域の開発が当初よりおくれたりだとか、さまざまな要素が考えられると思うんですけれども、このような実績を踏まえまして、国交省としても、鉄道事業法に基づく許可等の処分に際して、事業者に対しては、沿線開発等の見通しについても慎重に判断をして、また過去の鉄道の事例を十分に踏まえて需要予測を行うようにしっかりと指導したいと思います。
 また、より精度の高い需要予測手法についてもさらに研究をして、最終的にはその利用者に負担が大きくかからないような、そういうことをしっかりと考えてまいりたいと思います。

武正委員 
これはやはり、事業費というものもまだまだ軽減が可能ではないかというようなことも指摘されているんですね。全会一致で官製談合防止法案が可決成立しておりますが、まだまだこの法案も改良の余地あり、これは特に公明党さんが与党の中では大変御熱心にされたということも私も承知しておりますが、やはりまだまだ公共事業費は高いのではないかという指摘があるわけです。
 これは逆に、総額は変えなくたっていいですよ、でも、例えば二割カットできる、七兆円安くなる、この七兆円を本当にデフレ脱却、資産デフレ解消のために、あるいはヒートアイランド対策とか、都市部に対してやらなきゃいけないところにつけかえるというようなことが必要なんだということでございまして、この鉄道事業も、今、地元のことを指摘していただきましたが、地元とすればやはり必要だといった観点から進めているわけですので、これについてやはりもっと柔軟な発想が必要ではないかというふうに考えるわけでございます。
 政務官、どうぞお引き取りください。
 さて、フランスの水道事業が、自己申告制を導入することによって原価引き下げを可能にしているといったことがございました。つまり、原価引き下げが公営事業で可能ではないかという工夫を日本はもっとやるべきではないかという事例でございます。
 また、公営企業管理者、これは独立した存在ということでございますが、先ほど総務大臣には、しなの鉄道の社長の件でもちょっと御提案しましたが、では、日本の公営企業管理者で民間から採用している例はあるのかどうか。これは可能なんだということなんですが、この点、副大臣、いかがでしょうか。

■若松副大臣 
まず、地方公営企業の管理者の民間の採用のお尋ねでございますけれども、これは地方公営企業法第七条の二におきまして、「管理者は、地方公営企業の経営に関し識見を有する者のうちから、地方公共団体の長が任命する。」こういうこととなっておりまして、現在でも、そのような条件が合えば、広く民間から適任者を選任することが可能となっております。
 具体的な何件というのは、現在資料を持ち合わせておりませんけれども、いずれにしても、今後、このような地方公営企業、さらには地方独立行政法人、やはり幅広い人材を集めるということのための今回の制度改正でもありまして、私どもとしては、ぜひともこの適任者を広く求める努力を続けてまいりたいと考えております。

武正委員 
私は、今、日本ではないというふうに聞いております。これは、もし違ったら後で、この委員会の中で、あるいは私の方に教えていただきたいと思います。
 さて、設立団体以外からの長期借入金を基本的に禁止した理由は、また、高い金利のものを調達せざるを得ないのではないかというふうに思うんですが、この点、副大臣、いかがでしょうか。

■若松副大臣 
今、長期借り入れの御質問ですね。これは、まず、公営企業型地方独立行政法人が行う長期資金を要する事業でございますが、地方団体との密接な連絡調整と協調のもとに運営されなければならない、こういうことになっておりまして、また、最終的な財政負担が設立団体に及ぶことが法律で明示されております。したがいまして、設立団体の財政に及ぼす影響が極めて大きいということから、地方公共団体以外からの長期借入金は禁止しております。
 さらに、公営企業型地方独立行政法人に対する長期貸付金につきましては、地方公共団体における予算議決を得ることによりまして、公営企業型地方独立行政法人の事業量について地方公共団体との所要の調整を図ることとしておりまして、さらには、このような資金を地方公共団体が転貸債として地方債計画の枠組みのもとで安定的に調達して、公営企業型地方独立行政法人に対する安定的な資金供給を行うこととした制度設計でございます。

武正委員 
後で触れますが、高い金利のものを借りざるを得ない、こういったことが危惧をされるわけですね。せっかく地方独法化というふうにいいながら、独立性といいながら、この点は、やはり設立団体以外からの長期借入金を認めないといったのは問題であろう。
 やはり地方団体にとって危惧される点は、例えば議会の関与、情報公開、さまざまな形でのチェック体制、そして、責任者が問題がありというときには素早く担当者をかわってもらう、そういった厳しい形で臨んでいけば、この地方独法化、もしこの法案を可決成立して実行するのであれば、私は、この長期借入金、さまざまなルートから捻出をしていいというふうに思うわけでございます。
 さて、議会の関与が大変鈍い今回の地方独法化、国もそうでございます。国も、国会の関与を手放した途端に、いわゆる役員の数が三倍になってしまったというような指摘があるわけでございまして、事後チェックといいながら実はノーチェックなんではないかというふうなことを感じるわけでございますが、この議会の関与、あわせてお答えいただけますか。

■若松副大臣 
まず、議会の関与は、この制度設計としては低くしております。なぜかといいますと、あくまでも独立性を持たせた形で公営企業型地方独立行政法人制度があるわけでありますので、そのために別の法人格として行わせたわけであります。そのために議会の議決を不要、各事業年度の予算につきましては議会の議決を不要にしておりますし、設立団体の事前の関与を極力少なくして、この制度のメリットであります、先ほども評価をいただきましたけれども、経営の弾力性、機動性を確保しているということであります。
 しかしながら、設立団体の長の認可する中期目標におきましては、住民に対して提供するサービスがやはりしっかりと質も高めるものでありまして、かつ、業務運営の改善、効率、こういったこともしっかりと含まなければならない。さらには、料金を含む中期計画に関する認可等につきましても議会の議決を得た上で、これは大事なことでありますので、当然議会の議決を得た上で、設立団体の一定の関与を保ちつつ事務を行わせることによりまして、必要な公共サービスを確保するための措置を講じているところでございます。

武正委員 
先ほど来ちょっとお話ししておりますが、住民訴訟についてはどうでしょうか。これはお答えいただけますか。簡単にお願いします。

■畠中政府参考人 
お答えいたします。
 住民訴訟の対象になるかどうかという御質問かと思いますが、住民訴訟制度は、先生御存じのとおり、納税者の権利を擁護するため、納税者の納付した公金の適正な管理を担保することを主眼とした制度でございますので、地方公共団体のみに適用されるものでございます。
 なお、先ほど言いましたように、地方独立行政法人は住民訴訟制度の対象にはなりませんが、設立団体から地方独立行政法人に対する財政支出につきましては、これまでどおり、現行の住民訴訟制度の対象になるというふうに考えております。

武正委員 
地方独法は対象外ということでございますが、今回、これまでの公営企業の借金を負担することになるんですね、この法律では。それは対象になりますか。今、支出は対象だと言いましたが、いわゆる独法化したときにその債務を受けるわけですよね、地方自治体は。この点については訴訟の対象になりますか。どうでしょうか。

■畠中政府参考人 
お答えいたします。
 財政支出については対象になると申し上げましたけれども、法律に基づいて負担するということにつきましては、一種の財政支出ということになりますので、それも対象になろうかというふうに考えております。

武正委員 
先を急ぎますが、今回、公営企業は、七事業に病院事業を加えて八事業としておりますが、公営企業法では十三事業、そしてまた、条例で定める事業も含めて政令で定めることができるというふうにしているんですが、いわゆる八事業からの拡大というものは考えておられるかどうか、副大臣。

■若松副大臣 
この公営企業型地方独立行政法人でございますが、これは、何といっても効率的な企業経営を期待しているところでございまして、その点で、今おっしゃった八事業につきましては、地方公営企業法におきまして、同法の全部または財務規定等の適用を義務づけるという法律上の位置づけを与えられている事業であるということで、いわば公営企業としての熟度の高い業務というふうに認識しておりまして、そのために、公営企業型地方独立行政法人の対象業務として適当であり、スムーズな制度導入の観点からも、当面これらの事業に限り、公営企業型地方独立行政法人とすることができることとしたものということでございます。
 さらに、なお、法律の第二十一条におきましては、「その他政令で定める事業」という規定も設けてありまして、今後必要と認められる場合には拡充する場合もあるという制度設計になっております。

武正委員 
これが、政令で定めるということで、また拡大をしていくといったところはやはり避けていかなければならないというふうに考えるわけでございます。これは指摘とさせていただきます。
 公営企業が平成十二年度で五十九兆円の借金をしておりますが、公庫からは十六兆円余り、五十九兆円のうち実に利率五%以上の借金が十七兆円余りあります。六十兆円のうちの三分の一まではいきませんが、三分の一弱がまだ金利五%以上のものを借りているんですね。公庫十六兆円のうちの幾ら五%以上なのかを御答弁いただくとともに、この借りかえがなぜ、若干進んでいてもなかなか進まない、これはやはり、進まなければ結局その負担は地方自治体の住民が負うことになります。この点、副大臣、いかがでしょうか。

■若松副大臣 
ただいま地方公営企業が公営企業金融公庫から借り入れている債務残高は、平成十三年度末現在で十七兆九百四十億円、このうち金利五%以上の債務残高が五兆八百六十億円ということで、全体の二九・八%になっております。これは、地方公共団体が例えば民間金融機関から直接に調達したいわけでありますが、極めて長期、低利の資金が民間からできない、こんなこともありまして、公庫がいわゆるその肩がわりというか、そういった資金提供をしていたということであります。
 さらには、長期で安定した資金を地方団体へ供給するという公庫資金の本来的な機能、これは大変やはり今のところ重要ではないかと思っておりまして、今委員の御懸念でありますけれども、公営企業の経営状況、現下の金利情勢を見ながらも、いずれにしても、随時借りかえ額の増額、対象企業債の要件の緩和、こういったことを図りながら、着実に高利債のさらに低利債への転換というのを実現してきたわけでありますけれども、平成十五年度におきましては、これまでの借りかえの進捗状況にかんがみまして、七百億円の借りかえ枠を確保しております。
 今後とも、当然公庫の機能維持、これも非常に現状のところ大事でありますので、それに留意しながらも、かつ公営企業の経営の健全化を図るためのやはり低利債への借りかえ、これもしっかりやっていきたいと思っております。

武正委員 
実際進んでいないわけですね。三割が五%以上、まあ今決意をいただきましたけれども、そういった中で、やはり長期借入金は地方公共団体からしか借りられないと。設立団体以外からの長期借入金は認めていないわけですから、結局こういった高い金利のところから借りざるを得ないという、これはやはり矛盾しているというふうに思わざるを得ません。
 ちょっと時間の関係もありますので、続いて地方独法の法案について移りますが、まず評価委員の人選、兼職禁止、結局はお手盛りの評価になってしまうよというようなこと。これは、国の独法の場合は、私はまだまだ不満ですが、総務省の評価委員会で二重のチェックをしていると。これは地方はないわけですね、これに当たるものが。これをやはり指摘せざるを得ません。
 それから、ちょっと時間の関係で先を急ぎますが、これは総務大臣、最後から二番目の質問になりますが、やはりこの総務大臣の認可というものが地方独法で必要だというのは地方分権に逆行しているんじゃないですか。これは総務大臣、いかがでしょうか。

■片山国務大臣 
地方団体と別の法人をつくるんですよ、公法人を。これを地方団体独自でやるとか条例でやるとかということは、なかなかこれは法制論として難しいんですよ。だから、一番緩い認可主義をとっているんです。地方団体と同じようなものをつくるんですよ、公法人をつくるんですよ、公に。これについては、今までのいろいろな立法例を見ましても、やはり何らかの関与が要るんですよ。だから一番緩い関与で、総務大臣の認可を、これは都道府県絡みですけれどもね。政令指定都市と市町村については知事にやってもらう、こういうことでございます。
 しかも、先ほど局長が答弁しましたように、認可の基準をできるだけはっきりさせて、しかも法規裁量で認可していく、こういうことでございまして、これは私は法制論としてやむを得ないことだと思っております。

武正委員 
緩い認可法人といっても、今まで都道府県がやっていたことに総務省が、そして総務大臣がそこから、上から認可をしていく。しかも、先ほど公立大学で指摘したように、大学はもとよりですが、地方独法に対して立入検査と。立入検査というのは、これは大変厳しい権限だと私は思いますよ。こういったものもできるわけですね。前よりも中央の権限が強まっている、これは問題であるというふうに指摘をしておきます。
 最後、これは通則法、国の独法の通則法五十四条の四項の規定が地方独法にないのはなぜでしょうか。副大臣、お答えいただけますか。いわゆる天下り禁止の規定が、国の独法にはあるんですが、地方独法にはないんですね。ですから、地方独法からいわゆる関連のところに二年以内とか五年以内とか、ああいった規定が国にはあるのに地方にない、この理由をお答えいただきたいと思います。

■若松副大臣 
お答えいたします。
 国の独立行政法人の役員につきましては、離職後の営利企業への再就職につきまして、独立行政法人通則法上、規制が課されております。これは、国家公務員につきまして、離職後の営利企業への再就職に係る法律上の規制が設けられていることを踏まえた措置でございます。
 それでは、地方独立行政法人につきましては、地方公務員につきまして営利企業への再就職に係る法律上の規制が設けられていないことを踏まえまして、法律上の規制を設けていない、このような制度設計にした次第でございます。

武正委員 
今の答弁ではちょっと私も要領を得ませんので、なぜこの地方の独法はそういった天下り禁止の規定がないのかということも含めて、第三セクターでは、先ほど触れましたように、五年以上の土地――何かありますか、副大臣。

■若松副大臣 
今、地方独法がありましたけれども、地方公務員の営利企業への再就職、恐らくこの視点も関係ありますので、ちょっとこれを答えさせていただきます。
 地方公務員につきましては、国家公務員に比べまして、再就職の実態、また退職管理のあり方、かなり異なっておりまして、御存じのように、中央の場合に五十三で肩たたき、地方の場合には五十八とか、そういう意味で、地方の場合はやはり制度設計上うまく回っているのかな、そんなこともありまして、地方公務員に対しての営利企業への再就職についての規制が設けられていない、こういったことも踏まえまして、先ほどの地方独立行政法人の制度設計になった次第でございます。

武正委員 
時間が来ましたので終わらせていただきますが、この質疑を通じても、地方独法化の前に第三セクターと公社、そして公営企業等まだまだやるべきことがたくさんあるということを言って、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

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