2004年2月26日 【財務金融委員会】
■武正委員 民主党の武正公一でございます。
公債特例法並びに所得税法改正について、質疑を行わせていただきます。
まず、四月から実施をするいわゆる消費税の総額表示方式、私は、消費税導入からいわゆる外税として国民が認知をしてきたこの経緯、本体価格と別途消費税を支払うときに、しっかりとお店の方ともやりとりをしながら支払う、これは、非常に納税者意識が高くなる、タックスペイヤーとしても税の使われ方についても関心を持ってもらうという意味でも、あるべき消費税の表示方式だというふうに思うんです。
このたび、四月から総額表示方式の導入ということを決められて、実施をされようとしておりますが、なぜ消費税の外税表示方式をやめたのか、この点について、財務大臣、お答えをいただけますでしょうか。
■山本副大臣
現在主流の税抜き価格表示では、消費者にとって、レジで請求されるまで最終的に幾ら支払えばいいのかわかりにくい、同一の商品、サービスでありながら、税抜き表示のお店と税込み表示のお店が混在しているため、価格の比較がしづらい、そういう状況でございます。
総額表示の義務づけは、値札などに税込み価格を表示することによりまして、消費者が購入の判断をする前に消費税額を含む価格を一目でわかるようにするものでございまして、こうしたわかりやすい価格表示によりまして消費者の煩わしさを解消していくことが、国民の消費税に対する理解を深めていただくことにつながるものと考えまして、総額表示を法律で義務づけたところでございます。
■武正委員 到底理解できませんね、今の御答弁。
国民主権でありまして、それぞれの国民の皆さん一人一人がやはり正確な判断をされる、そういう前提に立ってさまざまな政策はあってしかるべきである。しかも、先ほど触れましたように、納税者としての意識を持っていただくためには、本体価格と税が幾ら違うのか、幾らなのかということは、やはり消費者に対する、教育と言うことはなんですけれども、当然、本体価格を見て消費税は幾らと、その計算をするということがやはり納税者としての意識が高まるのであって、今の御答弁では、私は今回総額表示を導入する理由としては到底理解できないんですが、いかがでしょうか。
済みません、すべて答弁は政治家ということでお願いしておりますし、政府参考人については、私は、後ろに控えていただくのは結構でありますが、政治家の方に御答弁をいただくということできのうもやりとりしておりますので、政治家の方にお願いいたします。
■山本副大臣 先生御懸念の向きも当然あろうかと思いますけれども、税額につきましては、値札に税額幾らというように記載するということも一つ考えられるところでございますし、また、EU諸国におきましても、イギリス、ドイツ、フランス、こういったところでは、EU指令におきまして、消費者保護という観点から、小売価格の表示は税込みの最終価格とするというような定めもございますので、その点、御理解を賜れば幸いに存じます。
■武正委員
財務大臣、時間が間に合って、走ってきていただきましてありがとうございます。
今、副大臣とはこういったやりとりで、今、諸外国の例を言いましたが、私は、日本は日本の消費税導入の経緯があり、そして三%から五%に上げるときの当時の大蔵省のさまざまな御説明があり、今日に至っているわけですので、そうした日本独自の消費税のこれまでの蓄積からすると、後で触れますが、今般の総額表示の導入のやり方、そしてまた、この四月を迎えるに当たっての国民の認知度の低さ、そして後で触れるようなさまざまな、チェーンストア協会あるいは卸関係のさまざまな業界からの大変な反対、懸念、こうしたことを控えているんですけれども、財務大臣として、あくまでも、今副大臣おっしゃったようなことで総額表示は必要だというふうにお考えになられるかどうか、お答えをいただきたいと思います。
■谷垣国務大臣
武正委員がおっしゃいますように、消費税の導入の議論がありましたときから、表示はどうあるべきか、価格表示はどうあるべきかと、いろんな議論がございまして、委員のおっしゃるように、いわゆる外税方式の方が税額等がはっきりしていいんだという御議論もあり、また、内税の方がいいという御議論もありました。
それで、実施して大分年月がたつわけでありますけれども、今副大臣からも答弁がございましたように、買い物に行った者が、支払うときに総額が幾らかわからない不便というのは、やっぱりあったと思います。今回の場合は、内税にせよ、こういうふうにさばいているわけではございませんで、それぞれ事業者が、全部で幾ら払うかということを表示した上で税額幾らという表示の仕方もあるし、いろいろな仕方の選択肢をおゆだねするという形でございますから、私は、これでよいんだと思っております。
それから、今、認知度が低い、あるいはいろいろこれに対する批判もあるという御指摘がございました。私も、確かにいろいろな御批判があるのは承知しておりますけれども、それは、例えば公取等が大きな取り組みをしていただいているというようなこともございますし、また、私、あちこちで、例えばそばを食うとかラーメンを食うとかしますときに、現実に総額表示になってきている。導入を控えてそれぞれ事業者の方もそういう方向で準備をしておられるという現実もあるように思いますので、ぜひとも今度の仕組みでお願いをしたい、こう思っております。
■武正委員
導入のときの議論で、内税、外税、あったかもしれません。しかし、結果的に外税を導入したというのが現実でございます。
それから、これは、日本スーパーマーケット協会の清水会長の話が食品経済新聞に載っております。
「私は中曽根総理のときに売上税導入に反対した。その後、竹下さんに代わり、竹下さん、金丸さん、渡辺美智雄さんから頼まれて、中曽根内閣の時のような反対はしないけれど、その代わり条件があって、その中で外税は絶対条件のひとつだった。」というふうに書いております。「それを突如内税方式に変えた。しかも我々にも国民にも何の相談もなく決めた。やり方が民意を無視している。導入時に決めた条件も無視している。」
これは、日本スーパーマーケット協会の清水信次さんの発言、食品経済新聞に出ております。
ということで、この食品経済新聞に、同じく全日本漬物協同組合連合会、中田肇会長の発言が出ておりますので、御紹介をさせていただきます。
「「スーパーからは総額表示に移行した後も、末端で値頃感のある百九十八円、二百九十八円で売れる新規格の商品を持ってきてくれという要請が既に来ている。新規格と言われるとそれに対応するしかないが、価格に占める手間賃、包材費などは変わらないので、内容量を減らすしかない。原料だけで金額での五%を削るとなると、グラムで二〇%程度削る事態となる。二〇%も内容量が減れば、消費者はどれだけ割高感を感じるのか。沢庵のように減量できないものもある。結局、ベンダーやメーカーが負担することにならざるを得ない。さらに、消費税が一〇%にでもなれば減量での対応は到底不可能だ。一円未満の処理についても切り捨てによる損が納入側に被せられないように政府指導で一律に四捨五入にできないものか」と強く業界の窮状を訴えた。」と。
これは、ある自民党の政策グループに対しての陳情のときの発言でございます。
こうした現場で、特に納入側と納入を受ける側ということで、先ほどのスーパーあるいはまたチェーンストア協会から納入側に対して、例えば、百九十八円のものは、消費税を外税にしますと二百七円九十銭というふうになるわけですね。この九十銭を、当然切り上げるか、切り下げるか、四捨五入か。そのときに、スーパー側、チェーンストア業界側からは、やはり二百七円九十銭のものを二百八円にするわけにはいかない、切り下げたい、当然その九十銭の分は納入者側がかぶってくれ、こういった話がある中でのこの会長の発言なんですが、こういった現場の、納入者側の、この今の中田会長の発言、財務大臣はどのようにお考えになりますか。どのようにお受けとめになられましたか。財務大臣にお願いしたいと思います。
■山本副大臣
まず、消費税導入の外税方式のところでございますけれども、導入時には、消費税が我が国になじみの薄い税であったために、事業者からは転嫁に対する不安、消費者からは便乗値上げへの懸念、こういったものが数多く寄せられまして、消費税に係る価格表示や代金決済の方法については各事業者の判断にゆだねた結果、多くの事業者におきましては、税抜き価格を表示して、別途消費税相当額を請求するという、いわゆる外税方式が採用されたものでございます。
しかしながら、こうした税抜き価格表示では、消費者にとりましては、レジで請求されるまで最終的に幾ら支払えばいいのかがわかりにくい、同一の商品等でありながら、税抜き表示のお店と税込み表示のお店が混在しているため価格の比較がしづらい、こういった状況もございます。
このため、今後、少子高齢化社会における消費税の重要性を踏まえまして、あるべき税制の構築に向けました平成十五年度税制改正で、消費税の信頼性、透明性を向上させるという観点から、抜本的改革の一つとして、この総額表示の義務づけを行ったものでございます。
そして、先生御指摘の、全日本漬物協同組合等によりますこういう問い合わせでございますが、これは確かに先生の御懸念の向きがございます。そこで、公正取引委員会では、昨年十二月三日に「改正消費税法に基づく「総額表示方式」の実施に当たっての独占禁止法及び関係法令に関するQ&Aについて」を公表するなどしまして、優越的な地位の乱用として独占禁止法に違反するおそれがある場合には厳正に対処をすることというような見解も示しているわけでございまして、今後、公正取引委員会が、納入業者、大規模小売業者、これらの調査を実施して、何らかの対応を考えていただけるもの、そう考えております。
■武正委員 導入の当時、事業者の判断にゆだねたということでありますと、先ほどの日本スーパーマーケット協会の清水さんの話とは変わってくるんですね。清水会長たちは外税方式ということを条件につけたというふうに発言しているんですよね。その点、どうなんですか。明言できるんですか。事業者の判断で外税、内税をゆだねたということですか。
■山本副大臣 物の見方、考え方であろうと思いますし、清水さんのようなお考えのもとにできた経緯を把握されるという人もおるだろうと思いますけれども、あくまで立法趣旨そして審議の経過からしますと、私が申し上げましたとおり、事業者の立場、消費者の立場、こういったものを勘案して、結果、外税方式というものが採用された、こう考えております。
■武正委員 さっき言っていたことと違うんです。さっきは事業者の判断にゆだねたと言って、今は、結果、外税方式が採用されたと言っているんです。違うじゃないですか。どっちなんですか。
■山本副大臣 いや、事業者の立場も考え、そして消費者の立場も考えさせてもらって、消費税に係る価格表示や代金決済の方法については各事業者の判断にゆだねた結果、こう申し上げたことは同じでございまして、その点、誤解ないように。
■武正委員 では、各事業者の判断にゆだねたんですね。よろしいですか。それで、結果、みんなが外税方式になったということですね。外税方式にするようにとか、そういった指導も何もなかったということですね。外税方式にするようにという指導もなければ、あるいはそういった通知もなければ、今回示しているように、六通りの中で、こういうふうに外税方式が望ましいとか、そういったことも一切なかったわけですね。
■山本副大臣 外税方式、内税方式というのは、私も先生の御質問を受けて初めて勉強したので、勉強不足は否めないんですが、しかし、外税方式において考えられるところは基本的に外税方式にしたということでございまして、現在も個人タクシーなどは内税でやっているわけでありまして、その意味におきましては、外税方式も現在行われているし、内税方式も、各事業者の判断にゆだねられるということにおきましては、そのことが言えようかというように思っております。
■武正委員
先ほど御説明の中で、内税、外税、表示の混乱が今回総額表示の導入だというふうに言われたんですが、総額表示であるけれどもその表示の仕方は六通りでいいと。これは大変な混乱を実は招いているんですね。そうすると、そもそも、その導入の議論と、結果今やろうとしていることが違うんじゃないですか。
■山本副大臣 総額表示方式の例、六通り、そのとおりでありますが、しかし、それぞれの表示の仕方、六通りの表示の仕方は、一つの物の価格についての、価格形成についての表示の丁寧さみたいなものでございまして、その意味におきましては、消費者や事業者に御迷惑をかけるという筋のものではないというように考えております。
■武正委員 財務大臣、同じでいいんですか。当初、表示が内税も外税もあるから、混乱を招くから総額表示だという先ほどの副大臣の答弁なんですが、いや、今度表示は六通りでいいと。矛盾していませんか。
■谷垣国務大臣 要するに、買い物に行ったとき、幾ら払えばいいのか。今までだと、消費税は入っていないと思って出したら、ああ、安かったということもあれば、全部込みだと思ったら違ったということもあった。それを、できるだけそういう混乱を防ごうということでありますから、総額を表示しろというのが今度の制度改正の眼目でありまして、その後に、では税をどう表示するか、あるいは、先ほど六通りとおっしゃいましたけれども、いろいろな選択肢がある、こういうことであります。
■武正委員 混乱をするというお話でしたけれども、消費税導入後、混乱があったんでしょうか。内税か外税かで消費者が困ったと。しかも、先ほどのタクシーの例などは一部の例ですよね。私は寡聞にして、ほとんどが外税方式で来ているというふうに考えますが、その点、どうですか、財務大臣。何かそういった苦情とか、いや、今財務大臣に聞いているので、ちょっとお答えをいただきたいんですが。
■山本副大臣 税務署の窓口等には、商店街の中で外税にしている、内税にしているという、そういう差、あるいは商店街相互間でのばらつき、そういったものに対する苦情は日常承っておったということは言えるわけでございます。
■武正委員 日常承っておったって、もう導入して何年ですか。当初はあったかもしれませんけれども、その後も日常そういった苦情があるんですか。何件あったのか、言ってください。
■山本副大臣 それは、統計で示された数字ではありませんので、そういう数字について持ち合わせていませんが、主税局あるいは国税庁の対話集会等におきましては必ず出る話題だということでございます。
■武正委員 財務大臣、そうなんですか。消費税は総額表示じゃないと混乱を招くんですか。私は、やはりもう国民に外税として消費税の表示は定着しているというふうに思いますが、財務大臣はそういう認識がないということでよろしいでしょうか。
■谷垣国務大臣 やはり、そういう意味では、総額がわからないという御不満は常にあったと思います。
■武正委員 私が聞いているのは、国民に外税表示が定着しているというふうに私は認識しておるんですけれども、そういう認識は財務大臣は持たれておりませんか。
■谷垣国務大臣 これは、どういうふうなところから見るかということでありますけれども、多くの事業者が外税を採用してきたという意味においては定着してきたと言えるかもしれません。他方、多くの方が総額がわからない戸惑いを感じているという意味では十分定着し切れていないのかもしれません。そこらは見る角度によって判断が違ってくるのではないかと思います。
■武正委員
ちょっと先を急ぎますが、私は、やはり外税というものは国民に定着をしている、納税者として、税を幾ら自分が払うのか、それを自分の購入時にちゃんと計算する、これが納税者意識の高まりにもつながるということなので、当初の、混乱があるから、内税、外税があるからという話でしたが、ほぼ外税表示になっていること、そして、混乱があるからと言いながら六通りでいくということが大変な混乱を今招いているという矛盾、これを指摘しておきたいと思います。
外税、内税でもよいということなんですけれども、納入業者が実際に納入先からどのようなことを今言われているか。例えば、一個百三十円の品物を十個納入する。
これまでは千三百円プラス消費税で千三百六十五円、これを納入するときにいただいていた。
今、百三十円を今度の総額表示の中で十個、そうすると、消費税でいうと一個当たり百三十六円五十銭ということになるわけですね。
それを十個ということになりますと、まず最初の百三十六円五十銭の五十銭を削ってくれ、百三十六円にしてくれと。結局、十個だと千三百六十円。
今までの千三百六十五円から千三百六十円、五円低い価格で納入者側が支払いを今要求されつつある、されている、こういった話があるわけでございます。
こういったことも、きょうは公取からも来られていますので、公取としての御見解もいただきたいと思うんです。お手元の方に公取委員長あての漬物組合の会長からの要請がありまして、今言ったのは、一円未満を切り捨てろということでいくと、さっき言ったように百三十六円五十銭の五十銭を切り捨てて百三十六円にしろと、結局、十個納入すると五円を納入者側がかぶるといったことの事例なんですが、これについて、例えば、ここは四捨五入してほしいというような要請があるんですが、この要請について公取としてどのようにお考えでしょうか。
■松山政府参考人
お答えいたします。
公正取引委員会は、総額表示方式の実施に伴いまして、納入価格の一方的な引き下げといったような優越的地位の乱用が行われることのないようにという形で、昨年十二月の三日に、独占禁止法あるいは景品表示法、下請法といった関係法令の考え方をQアンドAの形で公表させていただいております。
これを小売業者、納入業者の方たちにも周知させていただいているところでございますが、この中にも、今御指摘の点でございますが、端数処理の方法に関しまして、小売業者と納入業者の間におきまして、小売業者が納入の単価の端数の切り捨てを、一方的に優越的な地位にある小売業者が納入業者に押しつけるということがあるものについては、これは独禁法の優越的地位の乱用に当たるおそれがあるという形のことを示しております。
したがいまして、先ほど先生御指摘のとおり、漬物連合会の方からの御要請に関しましても、そういうことを含めて優越的地位の乱用が生じることがないように、私ども、二月三日に緊急調査というのを実施しておりまして、三千数百の調査票を納入業者、それから小売業者に三百通ほど出しておりまして、緊急調査を今実施しておりまして、そこで優越的地位の問題等が生じてくれば厳正に対処してまいりたいと考えているところでございます。
■武正委員 もう一点伺ったのは、「一円未満の端数処理に当たって四捨五入の方式を業界団体の統一処理方法とすることへの承認」と一番最後に書いてある、このことはいかがでしょうか。
■松山政府参考人
端数処理に関しましては、対価にかかわる形でございますので、具体的に事業者団体等でその切り上げをするとか切り捨てをするとかいう決定を行いますと、これは独占禁止法上の問題が出てまいります。
したがいまして、具体的な対価の決定という形ではなしに、要するに、今回の問題は、具体的に申しますと、小売業者の段階での端数処理の問題がいわば納入者の段階の方の納入価格に及んでくるわけでございまして、そこにおいては事業者間取引でございますから一円未満の切り捨てということは直接は生じ得ないわけで、そこは事業者間での交渉になるわけでございます。
そのときに、まさに優越的地位の乱用の問題が起きてきますと独禁法上の問題が出てくるということで、私ども、そういう独禁法上の優越的地位の乱用が生じないように厳正に対処していくということで対処をさせていただきたいと考えております。
■武正委員
ただ、先ほど言ったように、もう現に百三十円のものが、これまでは百三十円で千三百円、千三百六十五円支払っていたものが、百三十六円五十銭の五十銭は切り捨てろ、百三十六円で結局千三百六十円、五円かぶれといったことがもう現に起こり始めている、起こりつつあるということなんですね。
今回の陳情は経済産業省の方にもあったと思うんですが、きょうは政務官お見えですので、この件について、経済産業省としてどのように考えられ、そしてまた御対応をされているのか、お答えいただけますか。
■江田大臣政務官
先生にお答えいたします。
経済産業省としましても、先生御指摘の消費税の総額方式への移行に際しまして、製造業者さん、それから納入業者さんの方から、実質的な本体価格の引き下げ、さらには、今御指摘の一円未満の端数処理に関する負担等に対する強い懸念があることは承知しております。
こういう中におきまして、表示の変更に際しまして、取引関係にある事業者間におきましては、価格設定、取引条件等について独禁法で禁じている優越的地位の乱用行為、これは一方的に値下げさせるような行為でございますね、そういうような行為や、また、下請代金支払遅延等防止法に違反するような行為、すなわち、通常支払われているような対価に比べて著しく低い下請代金の額を不当に定めるケース、こういうような行為等はあってはならないものと認識しております。
当省としましては、日本チェーンストア協会を含めた小売業界に対しまして、今の、公正取引委員会が作成されました総額表示方式の実施に当たっての独占禁止法及び関係法令に関するQアンドAを周知徹底させますとともに、優越的地位の乱用行為に当たるような問題が生じないように各協会から会員各社に対して注意喚起すべき旨、直接要請をしているところでございます。
また、この中小納入事業者向けの対策としまして、全国の商工会議所及び商工会において、独占禁止法等に関する相談を受け付ける体制が整備されております。
さらに、公正取引委員会及び中小企業庁におきまして、小売業者と下請業者との取引について調査を現在実施しております。また、下請代金支払遅延等防止法に違反する行為が認められた場合には、厳正に対処することとしているところでございます。
今後とも、この独占禁止法等に違反する行為が発生しないように、経済産業省として注視していく所存でございます。
■武正委員
財務大臣、先ほど例を挙げましたように、一個百三十円のものを十個納入していた、これまでは千三百円掛ける五%で千三百六十五円納入者はいただいていたんですね。
ところが、今回、今の一円未満の切り捨てということで、百三十六円五十銭の五十銭を切り捨てということで、百三十六円で千三百六十円と。納入者側が五円かぶることになって、今、それを切り捨てじゃなくて四捨五入してくれというこの要請は、公取から難しいという答えなんですね。
これは納入者側がかぶらなきゃいけないんでしょうか。
優越的地位の乱用について取り締まるということでお話ありましたけれども、これはもう四月から始まっちゃうんですね。これで本当に公平公正な税のあり方として適正なんでしょうか。
納入者側がかぶるということに絶対ならないんでしょうか。今これだけ懸念がこの漬物組合からも出されているんですが、財務大臣、どうお考えになりますか。
■谷垣国務大臣 今公取や経済産業省政務官からそれぞれ御答弁がございましたけれども、優越的地位の乱用に当たるようなことは、これはやはり公取の方でしっかりやっていただくという取り組みでございますし、私は、いろいろなこの問題点、まだまだあるのかと思いますが、そういう御努力を通じて解決していけるものと思っております。
■武正委員 先ほどスーパーマーケット協会清水会長の話をちょっと引用しましたが、こんなことも言っておられます。
法律自体が欠陥法律であり、導入時の原理原則――先ほど触れたように、導入時には外税方式でということが絶対条件の一つだったと日本スーパーマーケット協会清水会長は言っております。しかも、外税でずっと来た経緯があります。
そうした中で、導入時の原理原則違反だから、本当は四月からの実施を延期し、次の税率アップのときにあわせて議論してもらえばいいということなんですが、四月からの導入は延期するお考えはありませんか、財務大臣。
■谷垣国務大臣 ございません。
■武正委員
先ほど触れたように、四月からの運用に当たって、その周知徹底が国民に図られていない、そして、混乱を招くといいながら六通り方式がかえって混乱を招いている。納入者と、そして納入を受ける側の優越的な地位の乱用、公取は取り締まると言っているけれども、現場からはこれだけ不安の声が上がっている。もしそれであれば、一円未満四捨五入にできないかということも、公取はできないというふうに言っている。
私は、大変な混乱の中で四月を迎える、この総額表示方式の導入は、先送り、延期すべきだということをここで申したいと思います。
さて、先を急ぎますが、昨年二十兆円の介入がされました。この円高・ドル安維持に、円売り・ドル買い介入というのは本当に効果的なんでしょうか。平成十五年度に比べて十六年度の特会借り入れは六十兆円ふやしておりますが、介入はこの先まだまだ続けていくというお考えなのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
〔委員長退席、山本(明)委員長代理着席〕
■谷垣国務大臣
まず、我が国が為替市場に対して介入を行って、しばらく後、発表いたしますが、どういう基本的な態度で介入しているかということになりますと、これはG7の声明の中にもございますけれども、為替というのはファンダメンタルズを安定的に反映して推移すべきものである、しかし、それを超えて、投機的な思惑やらあるいは急激な動き、オーバーシューティング等があったときには、それはそれぞれの国において適時適切な措置をとることが許される、私どもはそういう観点で介入しているわけでありまして、一定の価格を維持しようとかいうようなことでやっているわけではないわけであります。
それで、昨年に関しましては、御承知のように、アメリカの経済というのは今非常に堅調な足取りをたどっておりますけれども、私は、やや双子の赤字というようなことがマーケットで喧伝された傾きがありまして、その投機的な動きが去年は非常に多かった年ではないかというふうに思っておりますので、そういう形で介入額が膨らんだというわけであります。
今後もやるのかということでありますけれども、為替のマーケットのありようも今後いろいろ動きがあると思いますけれども、出る必要がなければもちろん出ないわけでありますが、先ほど申しましたような観点から見て、出る必要がある場合にはやはり適時適切な手を打つ必要があるというふうに考えております。
■武正委員
適時適切が、年間二十兆の介入が適切なのかどうかというと、やはりやり過ぎというふうに私は思うわけであります。また、今回その借入額を六十兆円ふやしたということは、これからもやるよということでありますので、私はこの円高・ドル安を防ぐために、その介入、ドル買いというのは、やはりこれ以上野放しに続けていくのは、財務大臣言われた適時適切なものを超えているというふうに思うわけであります。
これはルービン元財務長官も、市場の米国への信認がいつ失われるかだれにも予測できないというようなことで、米国の経済あるいは市場に対して楽観的な見通しをしている向き、テーラー財務次官など、これについて大変懸念を示しているわけでございます。
そこで、お手元の方に、資料の二枚目として外貨準備高の総額を表示させていただきました。二〇〇三年十二月ということで、日本が六千七百三十五億ドル、中国四千三十三億ドル、上位五番目まで、香港も含めてですが、東アジア各国が名前を連ねております。
また別途、新聞では、昨年の米財務証券の四四%を日本が購入したということでございまして、私は、日本の外貨準備高というのは貿易で稼いだお金が外貨として蓄積されていく、それが一つ貿易立国ゆえんの指標なんだということでこれまで習ってきたんですが、二十兆円ということでありますので、二千億ドル近いものがほぼアメリカ・ドルの購買、ドル買いの二千億ドルがこの六千七百三十五億ドルの中で米財務証券として昨年買われているということでよろしいでしょうか、認識は。
■谷垣国務大臣 この六千七百三十五億ドルの外貨準備が、今外為特会がどういうポートフォリオになっているかということは、これは表に発表しておりません。
ただ、申し上げられることは、我が国の為替介入のほとんどが要するにドルを買うという形の介入になっておりますから、どうしてもドル建てのものが、ドルが多くなる、必ずしも米国債だけを買っているわけではありませんが、ドル建ての債券が多くなるということはおっしゃるとおりでございます。
それから、先ほど委員が四四%というふうにおっしゃいましたか、その数字は、ちょっと私は何をもとにそういう数字をおっしゃったのか、つまびらかにいたしませんが、恐らくアメリカの財務省か国務省が発行している数字が下敷きになっているのではないかと思いますが、その数字は、日本の証券会社を通じて取得したものということでございまして、必ずしも日本政府がそういう形で取得したという数字ではございません。
■武正委員
これは日経の二月二十日の記事でございますが、ただ、二十兆円の介入をして、そして米国債の購入額が四四%ということでほぼ額が匹敵をするといったことでございます。
そして、他国の証券をどの程度買っているか、少ないというお話でしたが、その割合はお答えいただけますか。
■谷垣国務大臣
これは先ほども申しましたように、ポートフォリオの中身は発表いたしておりません。
ただ、一つ申し上げますと、先ほどドル建てのものになるが必ずしも米国債とは限らないと申し上げましたのは、米国債が多くなっていることは事実でございますが、多様化をしようということの一つのあらわれでございます。
■武正委員
ドル買いをして、そしてまたアメリカ財務証券を買っていく。そして、先ほど元財務長官の話をしたように――経済産業政務官、どうぞお引き取りください、済みません。
市場の米国への信認がいつ失われるかだれにも予測できない、こういった指摘もある中で、ドルで保有している外貨準備高、そして、そのかなりの部分を米財務証券で持っている。それによって、ドル安が介入をしても進んだ場合、日本の貴重な税金を使って買ったものが、あるいは持っているものが目減りをしていく。これは国民に対して大変な損失を与えることになると思うんですが、適時適切な介入を超えた介入を続ける中、しかも昨年発行の米財務証券の四四%を日本が購入する、こういったことを今後も続けていかれるつもりなのかどうか、財務大臣、お答えいただきたいと思います。
■谷垣国務大臣
先ほどから四四%とおっしゃっているのは、日経の記事だとおっしゃいましたけれども、それは政府が四四%米国債を持っているという意味ではないということ、しつこいようですが、もう一回申し上げさせていただきたいと思うんです。
それで、先ほどのお問いかけは、結局、これだけドル建てのものを持っていた場合に、ドルが下落をしたら大変な損失を生ずるじゃないかということでございました。
現在も、確かに含み損というものが七兆九千億というようになっていることは事実でございますが、他方、この外為特会の運用益というものがございますので、現実には運用益の方がはるかに凌駕しているという状況でございます。
それから、もう一つ申し上げますと、含み損というのがあることは事実でございますけれども、これは外貨準備というのは持ち続けていくということにやはり意味があるわけでありまして、それが顕在化するというのは、非常に円が安くなってドル買いをするというような局面に顕在化するということであるわけでございますが、一挙にこれが顕在化するというような状況は想定しにくいということではないかと思います。
七兆七千九百億でございます。済みません。
■武正委員
適時適切を超えた介入を続けて、この六千七百億ドルの外貨準備高、異常ですよね、この額。
しかも、そのほとんどがドルで、財務証券はわかりません、答えられません、全部じゃないですよと言いますが、昨年発行された三千七百七十五億ドルの四四%、千五百億ドルですよね。これは全部じゃなくてもいいんですよ、ただ、二十兆円の介入でございますので、かなりの部分財務証券にかわっているのではないかということも推察をするわけですので、であるならば、ポートフォリオをなぜ開示しないのか。説明責任としてはどうですか。
国会で説明をされたらどうですか、懸念を招く前に。
■谷垣国務大臣 これはポートフォリオをどう構成していくか、あるいはポートフォリオの内容をどういう方向に持っていこうとしているのかということ自体が、マーケットに対する大変な、言うなれば圧力と申しますか要因になりますので、これは、私は発表さすのは差し控えさせていただきたいと思います。
■武正委員 お手元の方の、先ほど見ていただいた外貨準備高、五位まで香港を含めて東アジアということでありますが、既にこれは議論が出ておりますアジア債券市場の話でありますが、このときに国債をそのアジア債券市場のベンチマークにしていく、基準にしていくといったことでこのアジア債券市場構想を進めるということで、これについて、財務大臣、お答えいただけますか。
■谷垣国務大臣
アジア債券市場の育成を進めていくというのは、財務省がやっております政策の中でも大事なものでございまして、アジアは大変域内の貯蓄は多いんですが、それが域内の中長期の投資に必ずしも結びつかないということがございます。それを克服していくためには、それぞれの国の現地通貨建て債券を発行していく、債券の発行主体をふやしていく、そういうような努力が必要だろうと思っておりまして、アジア各国とそのような議論を今させていただいております。
そして、今の委員の御趣旨は、日本国債も、そういう中で、アジア各国の間に引き受けてもらったり何かするような努力が必要じゃないかということだろうと思いますが、これは円の国際化とも絡んでいる問題でございまして、円の使い勝手を高めていくためには、日本国債というものの使い勝手のよさ、魅力というものを高めていく必要があわせてあるんだろうというふうに思いますので、そういう取り組みも十分考えていかなければならないことだと思っております。
■武正委員
竹中大臣にお聞きしたいんですが、アジアにも随分銀行がこれまで進出して支店を持って、国際業務も随分金融機関としてやってこられた、そういった人材がかなりいるわけですね。きょうでしたか、日経にも、損保が随分アジアに今展開をしているという記事もありました。
そういった意味では、これまで金融機関にいた国際業務畑の人材が、実は今かなりの支店が引き揚げてきてしまっている中で、金融機関に、ある面、国内業務に専念をしているようなところもあるんですが、こういった人材の活用も含めて、日本の金融機関が今この時期にやはりアジア債券市場の構想の一つの担い手として活躍も期待されるんですが、人材の活用も含めて金融担当大臣としてどのようにお考えになりますか。
■竹中国務大臣
武正委員の問題意識というのは、先ほどの、日本が外貨準備を持っている、つまり、アジアの地域というのは、その意味では大変な貯蓄を持っておりますから、それをドルに投資している。
一方、アジアの中では、外資を取り入れるに当たって、ドル建ての債務で、特に短期のドル建ての債務で借り入れることによって、九七年のアジア通貨危機のようなものが生じた。そういうふうに、国内で貯蓄する人と投資する人がいるんだから、ドルを介さないでもっとアジアの債券市場等々で有効に運用する道があるだろう、そのような問題意識だと思います。
そのような問題意識は、まさに先ほど谷垣大臣御説明になりましたように、財務省においてアジア債券市場育成のイニシアチブということで、これは地域の利益、国益にもかなう一つの間違いない方向だと私も思っております。
そこで、今御指摘のありました日本の金融機関でありますが、これも、国内の状況等々もにらみながら、海外展開をこの何年かの間縮小させてきたという事実がございます。
中身についてはいろいろ事情があろうかと思いますが、恐らくこれまでも、しかし、アジア・ダラーと言われるようなものを意識した海外展開であったのが、それが縮小しているということなのではないかと認識をしております。
いずれにしても、どこにどのような経営資源を投入するのか、ましてやどのような資産で運用していくのか、これは大変重要な経営判断でありますから、これは経営判断にゆだねるという以外にないわけでございますが、先ほど前半で申し上げましたようなマクロ的な一つの状況をにらみながら、我々としてはしっかりと環境整備をする、アジア債券市場をしっかりと育成して使い勝手をよくする。
結果としてそこに民間の経営判断が重なって、結果的には、御指摘のような形での、アジアでの債券市場における運用がふえるというような形、これがふえていくような形は、これはこれで望ましいわけでありますから、我々としては、しっかりとした環境整備を行いたい。財務省の御意図はまさにその辺にあるというふうに認識をしております。
■武正委員
もう一つ財務省に聞きたかったんですが、時間の関係で指摘をさせていただきますが、そういった意味では、アジアの大使館に財務省から随分出向されておりますが、そういったアジア債券市場づくりを担うということでの、ある面やはりそれなりの権限を持った方々が大使館に出向すべきであろう、これは要望とさせていただきます。
さて、これは私、過日、代表質問の際にも聞かせていただいたら、総理からこのような御答弁があったんですが、地方への補助金、一兆円減らしたというふうに言いますが、実は社会保障関係でふえているんではないですか、増減額でいうと結局幾ら減ったんですか、ふえたんですかと言いましたら、少しふえたという答弁だったんですが、結局、地方への補助金というのは減ったのが幾らで、ふえたのが幾らで、合計すると幾らふえたんでしょうか、お答えいただけますか。
■山本副大臣 補助金改革につきましては、国の関与を縮小して地方の権限、責任を拡大するとともに、国、地方を通じた行政のスリム化を推進する観点から、平成十六年度予算におきましては、一兆三百億円の廃止、縮減等を行ったわけでございますが、先生御指摘のとおり、地方向け補助金の総額といたしましては、医療、介護、福祉等の社会保障関係の補助金の大幅な増加等によりまして、前年度対比で四百億円増加しております。
■武正委員
結局、一兆円減らしたと言いますけれども、増減額でいうと四百億円ふえたといったことが確認できたわけで、やはり三位一体改革というのは中途半端なものである。この間、百五十五万人雇用はふえたけれども、百五十七万人減って、通算二万人この三年間で減ったといった総理の答弁と同じなわけでございます。
ちょっと時間の関係で、次は年金の課税の件を伺いたかったんですが、一つ飛ばさせていただいて、財革法。先ほど、特例公債の一つ理由として、財革法の凍結というのが理由にあったというふうに聞いているんですけれども、財革法の再開のめど、これについてお答えいただけますでしょうか。
■山本副大臣 将来の財革法の凍結解除の時期につきましては、その時点における我が国の経済状況や財政状況等を踏まえまして総合的な判断が必要でございまして、現時点において、将来における解除の時期について申し上げることは大変困難なことでございます。
■武正委員
この特例公債のやり方が、年金の預入金をもとにその事務費をということで、あれだけいろいろどんどんふやしていった経緯があるんですけれども、財革法を凍結するときには、あくまでも凍結、停止であって、いつそれを再開するか、こういったことがあったわけなんですね。
プライマリーバランス二〇一〇年代初頭黒字化ということを盛んに政府は言っておりますが、これは利子が入らない、支出に対して。
そうしますと、この巨額な国債、それに対する国債費、これがかかってこないということでいくと、本当にプライマリーバランスの黒字化を二〇一〇年代初頭に達成した場合に、財政再建はどうなるんだろう。
今、七百二十兆円近いもの、国、地方合わせてというお話でした。国債も五百兆円を超えているわけですが、そちらの国債の償還、償還というか返済ですね、こういったことがそれから議論が始まっていくようなことであれば、プライマリーバランス、プライマリーバランスと威張っていると、とても財政再建は、じゃ、どうなっちゃうのかということになるので、プライマリーバランスとは別な指標が必要なんではないかというふうに思うんですが、その点はいかがでしょうか。
■谷垣国務大臣
プライマリーバランスは、確かに委員のおっしゃるように国債を減らしていくということにすぐつながるわけではありませんで、要するに、この世代の負担はこの世代で出していただいたもので賄っていこうという、極めてモデストな目標であるといえばモデストな目標であるわけですが、まずそれができないことにはしようがないということだろうと思います。
そこから先は、やはりそのときの経済成長と利子率というものの関係になってくるわけでございますけれども、今何か数量目標を設けろということかもしれませんが、これは、数量目標を設けますと財政運営というのは極めて難しくなるというふうに私は認識をいたしておりまして、つまり、毎年度毎年度の税収というのは、その年その年の景気と極めて関係がございますから、要するに、国債発行額というのは税収とそのときの施策のギャップでございますから、その移り変わるもので一気にやってしまうと、なかなか経済の再建も難しいということがございます。
したがって、今私どもはプライマリーバランスを回復していくということを目標として仕事を進めているわけでございます。
■武正委員
財政健全化計画ということで閣議決定をして財革法と、そして、当初二〇〇三年、それを二〇〇五年に延ばしての財政赤字を対GDP比三%以内、そして特例公債、赤字公債発行ゼロと掲げて、その期間を二年延長して、そして故小渕内閣になって凍結と、その中で出てきたのが今御議論のこの特例法でありますよ。ですから、きょうのこの議論というのは、やはり財革法なしには議論できないわけですね。
当初閣議決定をされて凍結をされている、財政赤字対GDP比三%以内、これは指標にはならないんですか、財務大臣。
〔山本(明)委員長代理退席、委員長着席〕
■谷垣国務大臣 財革法の趣旨は、あの当時これでやろうとした。しかし、今おっしゃるような過程の中で、小渕内閣発足時、非常に経済混乱に見舞われましたので、とてもそれではいけないということで、今申しましたような凍結の措置をとっているわけであります。ですから、この精神は、全部廃止してはいけないということで現在凍結の措置をとっているわけでありますが、現在、もう少し違う手法でもって財政再建の道を探っていこうということが、骨太の方針二〇〇三に書いてございます、プライマリーバランスを回復していこう、こういうことであります。
■武正委員
その財政構造改革の、財革法の精神が、この保険料、預入金から事務費をということなんですよ。財革法の本当の精神である三%以内あるいは赤字国債の発行はどこかにいっちゃって、そして社会保障費の二%キャップを若干弾力的にする、そういう凍結の中で、こっちの部分だけはちゃんと残して、また一年延ばすと。そして、本来の趣旨である三%以内なり赤字国債の発行というのはどこかにいっちゃった。凍結もいつ解除するかわからない。ただ、こっちの、事務費は保険料で面倒見てくれよと、これだけが残っているというのはおかしいじゃないですか。財務大臣、どうですか。
■谷垣国務大臣 これは、今委員のおっしゃった高い目標はやはり私たちは見失ってはいけないと思いますけれども、まずは周辺の景気回復をどう進めていくか、そのための財政はどうあるべきか、そこからスタートをしようということでやらせていただいているわけでありまして、したがって、これを凍結しましたときも、この年金の問題に関しては凍結をしなかった、こういう経緯がございます。
■武正委員
これだけ凍結していないというのはおかしいんですよね。しかも、預けられた保険料からこれだけの一千億近いお金を使う。表づらだけはいい。特会をいかに利用するか、財務省がいかに特会を利用しているか、その一つの例でございます。表づらを幾ら合わせても、国民の信頼は得られないのでございます。
きょう、竹中大臣に、これまでIT担当としてずっとやってこられた、そのことも含めて、私は、e―Japan2に、行政の簡素化、効率化という言葉はあるけれども行政改革という言葉はないということを本会議でも指摘をしたんですが、私は、やはり歳出の削減で、基礎年金財源二・七兆円についても、これは民主党案でありますが、十分捻出できるんだと。なぜ歳出の削減というものをもっと政府・与党は掲げないのか。安易に国民に痛みや負担を求めちゃいけないということの一つに、IT、世界に冠たるITと首相は威張りますけれども、国連で十五位、アクセンチュアで十七位、十八位という評価の中で、まだまだユーザーオリエンテッドになっていない。あわせて、行革の視点がない。
これは三菱総研のタスクフォースの中村秀治さんが、人件費の、このときは二十七兆円ということで、今はもうちょっとふえているんでしょうけれども、二十七兆円の一〇%の半分、一・三兆円をITによって削れる、申請、相談、その他窓口関連で。それから、建設用経費二十七・七兆円のうち、企画調査及び計画、設計、これもIT化によって一・四兆円削れると。行政改革によって二・七兆円削れると。
IT、ITといって、地方、国合わせて三兆円使っている。このお金によって行政改革の効果がこれだけありますよと、なぜこれをe―Japan2に掲げないか。あるいは、政府・与党として、この浮いた経費をもって、今回の例えば基礎年金財源、三分の一から二分の一の分は出せる、こういうことであれば世界に冠たるITと胸を張れますが、ITで金を使う、年金ではお金が足りないから皆さん御負担をでは、これではだれでもできるというふうに言わざるを得ないんでありますが、竹中大臣、このITによる行政改革ということでお答えをいただきたいと思います。
■竹中国務大臣
申しわけございません。ちょっと、この問題についての通告をいただいておりませんでしたし、e―Japan2の担当もしておりませんので、正確にお答えできる立場にはないということをお許しいただきたいんでございますが、基本的には、このe―Japan計画、当初のe―Japan戦略の中においても、行政改革の思想というのは大変強く入っていたというふうに認識をしております。
それが、いわゆるeガバメント、電子政府のプロジェクトの中にあらわれておりまして、これはまさに総務大臣の御担当でありますので、総務大臣がいらっしゃれば数値も含めて御答弁させていただけるのではないかと思うんですが、御指摘のような形でITを戦略的に使うことによって、それを行財政改革に生かすというのは、これは大変重要なことだというふうに思っております。
そのためのeガバメント、当初幾つか決めた、インフラづくり、eガバメント、電子商取引、いろいろの中で、このインフラの整備と電子政府というのは比較的私は進んできた部分だというふうに認識をしておりまして、必要がございましたら、また担当の者から答弁をさせていただくべきだと思いますが、少なくとも、十分かどうかという御批判はあろうかと思いますが、そういう思想はe―Japan戦略の1の中から既に含まれているというのが私の基本的な認識でございます。
■武正委員
時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。
埼玉りそなへの県あるいは地元経済界からの出資ということは、私は、強い地元からの要望がありますし、上田知事初め今埼玉県も検討しているところでありますので、これから健全行に注入という話も出てくるようでありますが、こうした観点に立って、地方銀行の健全育成といった点で、地方自治体、地元経済界からの出資、これについても要望しておきます。
以上でございます。ありがとうございました。
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