2004年3月26日 【外務委員会】

武正委員
民主党・無所属クラブ、武正公一でございます。
サイバー犯罪条約に関し、民主党・無所属クラブを代表して、賛成の立場から討論を行います。

民主党が本条約への賛成を表明するに至った理由は、コンピューターシステム攻撃、あるいはコンピューターシステムを利用して行われるサイバー犯罪が出現する中、コンピューターシステムに対する違法なアクセス等一定の行為の犯罪化等を図ると同時に、コンピューターを利用した児童ポルノの規制も内容としており、そこに積極的な意義を見出したからであります。

しかし、日本国憲法二十一条、通信の秘密を侵すことなどがあってはならないことは申すまでもありません。

また、条約の趣旨に賛成したからといって、これまで人権関係の諸条約の締結について政府のとってきた姿勢を手放しで認めるわけでないことを改めて強調したいと思います。

以下、具体的に理由を申し述べます。

まず、民主党としては、マニフェストにおいて「盗聴法、住基ネット法、個人情報保護法を見直します。政権獲得後直ちに、盗聴法の運用を凍結し、二年以内に抜本改正の法律案を国会に提出します。」と宣言し、過去、通信傍受法の廃止法案を提出した経緯もあることから、本条約に関連する国内法のあり方やその実施主体たる警察等の実施機関の実態についてはかなり強い疑問を持っています。
その趣旨を認めて条約に賛成したという一事をもって、関連の国内法や運用実態等について別の観点から厳しく監視していく姿勢に関しては、いささかの変化がないことを改めて表明したいと思います。

さらに、この条約のベースになった欧州評議会においては、条約前文に記されているように、人権及び基本的自由の保護に関する条約や個人情報の自動処理における個人の保護に関する条約の採択など、人権擁護のためのさまざまな条約による歯どめが講じられており、多くの人権関係の条約が未批准のまま放置されている日本とは状況が異なっている中、犯罪捜査に関する条約を先行させる政府の進め方に強い懸念があることです。

このような条約を締結するのであれば、当然に車の両輪であるはずの人権を擁護する条約の批准も進めるべきであり、ここで改めて、政府に対して、未批准となっている二百を超える諸条約の早期批准を強く促すものであります。

以上、条約に対する政府の姿勢、国内法との関連、実施体制について懸念を有しており、政府に対してしっかりとした対応を要請いたしますが、一方では、増加する深刻なサイバー犯罪の防止、児童ポルノ規制等の対策が急務であり、日本がこの問題で国際的な責任を果たしていくべきであるとの認識も有しており、このような意義に着眼し、政府に対して徹底的な努力を促すことを表明し、賛成討論といたします。

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