2004年4月1日 【総務委員会】

武正議員 
 おはようございます。民主党・無所属クラブ、武正公一でございます。
 ただいま議題となりました電波法及び有線電気通信法の一部を改正する法律案及び通信・放送委員会設置法案につきまして、提案の理由及び内容の概略を御説明申し上げます。

 近年、携帯電話や無線LANなど無線通信の需要が飛躍的に拡大し周波数の逼迫が深刻化しており、早急な対応策が不可欠です。周波数資源の有効活用とそれに伴う産業の活性化を図るためには、これまでの電波政策の抜本的な見直しが必要であると考えております。

 さらに、電波行政を含め、公正中立な通信・放送行政の確保、かつ、急速な技術進歩に見合う迅速な意思決定が強く要請されており、これらの分野に係る規律に関する事務を行う独立行政委員会を設置することが、その要請にこたえ得る解決策であると考えております。
 以上の考えをもって法案を提出したところであります。

 次に、法案の概要につきまして御説明申し上げます。
 第一に、電波利用料制度の見直しであります。電波の公平かつ能率的な利用を促進する観点から、現行法上の共益費用としての電波利用料の性格を見直し、電波利用の対価としてその経済的価値に見合った料額を負担するものに改めることとしております。その際、国や地方公共団体等に対する電波利用料負担の適用除外や優遇措置は廃止するものとしております。

 第二に、電波の経済的価値を市場原理に基づき適切に決定するとともに、無線局免許を付与する手続の透明性及び公正さを向上させるため、適当と認められる場合には、オークション方式による免許の付与を行うことができるものとしております。

 第三に、電波の利用状況の評価結果に基づき、電波の迅速な再配分を円滑化する観点から、既存の電波利用者が退出することとされる場合にはその経済的な損失等を補てんするための措置を講ずることとしております。なお、新たに参入することとなる電波利用者は、オークションでの競落額、または経済的価値を反映して算定された電波利用料額を負担することとしております。

 第四に、一定の条件を満たす無線局の免許に係る事前規制を一部緩和し、登録とする等の措置を講ずるものとしているところは、政府案に同じであります。

 第五に、サイバー犯罪に関する条約を踏まえ、暗合化された無線通信を傍受して、その秘密を漏らし、窃用する目的でその内容を復元する行為を処罰する措置を講じております。また、この行為を行った国外犯並びに有線電気通信の秘密侵害罪に対する国外犯を処罰する措置を講じております。

 第六に、電気通信業務用中継回線に関する高層建築物等の建築制限の緩和の措置として、電気通信業務用無線局に係る伝搬障害防止区域内において建築する一定の高層建築物等の工事制限期間を三年から二年に短縮等することとしております。

 通信・放送委員会設置法案は、近年、通信・放送分野において、技術発展に伴う両者の融合や規制緩和による市場競争が進展しつつある中で、公正中立な通信・放送行政の確保が強く要請されていることにかんがみ、これらの分野に係る規律に関する事務を行う独立行政委員会として、通信・放送委員会を設置するものであります。

 なお、電波法及び有線電気通信法の一部改正案は、公布の日から三月以内で政令で定める日から施行することとしておりますが、無線免許の登録制度の導入に関しては、公布の日から一年以内に施行すること、サイバー犯罪に関する条約に関しては、条約が日本国について効力を生ずる日から施行することとしております。

 また、通信・放送委員会設置法案は、平成十七年四月一日から施行することとしております。
 以上が、法律案の提案理由及び内容の概要であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、御賛同あらんことをお願いいたします。

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