2004年4月27日 【武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会】

武正委員 
 民主党の武正公一でございます。
 七法案三条約について、質疑を行わせていただきます。
 お手元の方に、理事会、委員長のお許しを得て、資料を配付しております。ホッチキスでとめておりますが、前段は、これは内閣官房からいただいた危機管理のペーパーということで、既にこういったものは本委員会にも提出をされているものでございます。それから、後段の方は、総務省さんからいただいた我が国の電波の使用状況、これを大くくりの形で、ブロックのような形でお示しをしたものでございます。これらの資料をもとに質疑をさせていただきたいと思います。
 まず、電波の方をお聞きしたいと思っておりますが、以前、これは当時、たしか自民党の河野太郎総務政務官、アメリカ、米軍が使用している、娯楽を目的としたビデオを基地間で共有するというか流すための電波、これを返還してもらおうじゃないか、こういった動きが既に本議会でも、河野太郎議員の質疑の中でも明らかになっております。
 これは二〇〇三年四月十七日の毎日新聞でございますが、二〇〇〇年から日米合同委員会で求めてきた米軍の電波帯、しかも特に娯楽用の電波帯、この返還、第三世代携帯電話用帯域というようなことでございましたが、これについては既に返還をされたというようなことを伺っておるんですけれども、いつ、そしてどの電波帯が返還をされたのか、これは総務大臣、お答えをいただけますでしょうか。

麻生国務大臣 
これは武正先生よく御存じのところだと思いますけれども、これは日米の間のいわゆる協定がいろいろありますので、どの周波帯を使っているかというようなことが外に漏れるなどということは通常あり得ないのであって、なぜなら、その電波を使っていろいろなことをしておりますので。
 娯楽用とはいえ、それが一たん事が起きれば、それは当然のこととして別の電波帯に切りかえられるわけですから、そういった意味では別の使用目的に変わりますので、平時のときと有事のときとは全然違った形になろうと思いますので、あらかじめそういったものも用意しておかなければいかぬのは当然のことだと思っております。
 したがいまして、どの電波帯というのが外に漏れるということは、いろいろな形で、ジャミング、妨害をされることも考えなきゃいけませんので、こういったようなことは日米合同委員会における合意に基づいて非公開ということになっておりますので、その点は御理解をいただければと存じます。

武正委員
 
後でまたいろいろ指摘をしてまいりますが、この電波のことは、まず、武力攻撃事態等におけるアメリカ合衆国の軍隊の行動に伴い我が国が実施する措置に関する法律案の中でいろいろと指摘をされておりますように、武力攻撃事態等において、アメリカ合衆国の軍隊、米軍に、日本の電波帯の使用、これが通常決められている平時のものとはまた違った形で、有事の際、その使用を許可するというような、そんな法案の中での電波に関するところでございます。
 私が今話をしているのは平時の話でございまして、日米合同委員会云々というのはまた後でお聞きをいたしますが、娯楽用の電波帯ということでありますので、どの電波帯が、しかもいつ返ってきたのか、これがなぜ明らかにできないのか。
 第一回の取り決めで、日米合同委員会議事録は公開すべきでないというようなことは、既に国会での御答弁であるんですけれども、私はやはり、有事に際して米軍が決められた以外の電波帯を使用するというようなことにかんがみますと、平時における米軍の我が国国内におけるさまざまな活動については、後で触れますが、日米相互防衛協定三条二項に基づいて、公衆に周知、できる限りオープンにしていくべきだろうというふうに思うのでございます。
 この点について、重ねて、日米合同委員会、これは周波数分科委員会、代表がたしか総務省の電気通信局長、今お役所の肩書が変わっているのかもしれませんが、というふうに理解しておりますが、例えばこういった周波数分科委員会の議事録等の公開みたいなことというのは、これはちょっと入れかわりましたけれども、これはやはり不可能というふうになるんでしょうか。これはまず総務大臣にお答えいただけますか。

麻生国務大臣 
今の、日米合同委員会の下にありますいわゆる分科委員会の議事録につきましても、先ほどのお話で申し上げましたように、これは下部組織にあることもありますけれども、少なくとも日米合同委員会の合意によりまして非公開ということになっております。
 理由につきましては、国の電波というのは極めて重要な要素でありますので、有事に当たりましてその電波があらかじめいろいろな形でわかるという方が国の安全という面においていいかどうか等々、いろいろな検討がされた結果と存じます。

武正委員 
総務大臣、平時と有事を両方ごっちゃにされているような気がするので、私は、今、あくまで平時の話をして、米軍が使用してきた娯楽用のビデオ、これを基地間で流したその電波帯を返還した、そして、それを第三世代の携帯電話の用に供する、第三世代の電波帯をどこに使っているというのはもちろん総務省もオープンにしているわけですので、どこが返ってきた、いつ返ってきたぐらいはオープンにしていいんじゃないかというようなことを申し上げているのでございます。
 そこで、外務大臣もお見えでございますので、この日米合同委員会の議事録をなぜ公開できないのかということをお聞きしたいんです。
 私は、実は米軍の方あるいは米国の方は、いや、そのぐらいオープンにしたっていいんじゃないかというような話があるのではないかなと。これは、例えば私が在沖米軍の四軍司令官に一昨年二回ほどお会いしましたが、当時も、在沖米軍がどのような行動をとっているのか、訓練をしているのか、そういったことをつぶさに、スライドを使って御説明いただきました。
 同じようなことを外務省や防衛庁に、米軍、在沖米軍はこういったことをやっているようですが、どうですか、いや、それは米軍あるいは米国との秘密上説明できないと。こういったところが、ある面、日米の信頼感の醸成を過度にゆがめる結果になってはいないかというふうに危惧をいたすわけでございます。
 そういった意味で、日米合同委員会の議事録を非公開ということについて、私は、米軍の了解は得られているというふうに判断をしたときには速やかにオープンにしていくべきではないかというふうに思うんですが、この点、外務大臣、いかがでしょうか。

川口国務大臣 
一般論としておっしゃっていらっしゃるのか、周波数の問題についておっしゃっていらっしゃるのか、若干、定かでないところがございますけれども、いずれにしても、日米合同委員会の議事録の扱いということで申しますと、これは公表するには相互の同意が必要だということになっております。日米合同委員会の下に合計で二十三の分科委員会がありますけれども、この議事録の扱いについても同じようなことになっているということでございます。
 私の記憶でございますと、例えばその中には、双方が合意をして議事録を公開するということにしたものもあったかというふうに記憶をいたしております。
 そして、その周波数分科委員会の議事録、これについては、これは米軍の運用に影響を与えるので、公表するということは不適切であるというふうに考えております。

武正委員 
 民主党の武正公一でございます。
 七法案三条約について、質疑を行わせていただきます。
 お手元の方に、理事会、委員長のお許しを得て、資料を配付しております。ホッチキスでとめておりますが、前段は、これは内閣官房からいただいた危機管理のペーパーということで、既にこういったものは本委員会にも提出をされているものでございます。それから、後段の方は、総務省さんからいただいた我が国の電波の使用状況、これを大くくりの形で、ブロックのような形でお示しをしたものでございます。これらの資料をもとに質疑をさせていただきたいと思います。
 まず、電波の方をお聞きしたいと思っておりますが、以前、これは当時、たしか自民党の河野太郎総務政務官、アメリカ、米軍が使用している、娯楽を目的としたビデオを基地間で共有するというか流すための電波、これを返還してもらおうじゃないか、こういった動きが既に本議会でも、河野太郎議員の質疑の中でも明らかになっております。
 これは二〇〇三年四月十七日の毎日新聞でございますが、二〇〇〇年から日米合同委員会で求めてきた米軍の電波帯、しかも特に娯楽用の電波帯、この返還、第三世代携帯電話用帯域というようなことでございましたが、これについては既に返還をされたというようなことを伺っておるんですけれども、いつ、そしてどの電波帯が返還をされたのか、これは総務大臣、お答えをいただけますでしょうか。

麻生国務大臣 
これは武正先生よく御存じのところだと思いますけれども、これは日米の間のいわゆる協定がいろいろありますので、どの周波帯を使っているかというようなことが外に漏れるなどということは通常あり得ないのであって、なぜなら、その電波を使っていろいろなことをしておりますので。
 娯楽用とはいえ、それが一たん事が起きれば、それは当然のこととして別の電波帯に切りかえられるわけですから、そういった意味では別の使用目的に変わりますので、平時のときと有事のときとは全然違った形になろうと思いますので、あらかじめそういったものも用意しておかなければいかぬのは当然のことだと思っております。
 したがいまして、どの電波帯というのが外に漏れるということは、いろいろな形で、ジャミング、妨害をされることも考えなきゃいけませんので、こういったようなことは日米合同委員会における合意に基づいて非公開ということになっておりますので、その点は御理解をいただければと存じます。

武正委員
 
後でまたいろいろ指摘をしてまいりますが、この電波のことは、まず、武力攻撃事態等におけるアメリカ合衆国の軍隊の行動に伴い我が国が実施する措置に関する法律案の中でいろいろと指摘をされておりますように、武力攻撃事態等において、アメリカ合衆国の軍隊、米軍に、日本の電波帯の使用、これが通常決められている平時のものとはまた違った形で、有事の際、その使用を許可するというような、そんな法案の中での電波に関するところでございます。
 私が今話をしているのは平時の話でございまして、日米合同委員会云々というのはまた後でお聞きをいたしますが、娯楽用の電波帯ということでありますので、どの電波帯が、しかもいつ返ってきたのか、これがなぜ明らかにできないのか。
 第一回の取り決めで、日米合同委員会議事録は公開すべきでないというようなことは、既に国会での御答弁であるんですけれども、私はやはり、有事に際して米軍が決められた以外の電波帯を使用するというようなことにかんがみますと、平時における米軍の我が国国内におけるさまざまな活動については、後で触れますが、日米相互防衛協定三条二項に基づいて、公衆に周知、できる限りオープンにしていくべきだろうというふうに思うのでございます。
 この点について、重ねて、日米合同委員会、これは周波数分科委員会、代表がたしか総務省の電気通信局長、今お役所の肩書が変わっているのかもしれませんが、というふうに理解しておりますが、例えばこういった周波数分科委員会の議事録等の公開みたいなことというのは、これはちょっと入れかわりましたけれども、これはやはり不可能というふうになるんでしょうか。これはまず総務大臣にお答えいただけますか。

麻生国務大臣 
今の、日米合同委員会の下にありますいわゆる分科委員会の議事録につきましても、先ほどのお話で申し上げましたように、これは下部組織にあることもありますけれども、少なくとも日米合同委員会の合意によりまして非公開ということになっております。
 理由につきましては、国の電波というのは極めて重要な要素でありますので、有事に当たりましてその電波があらかじめいろいろな形でわかるという方が国の安全という面においていいかどうか等々、いろいろな検討がされた結果と存じます。

武正委員 
総務大臣、平時と有事を両方ごっちゃにされているような気がするので、私は、今、あくまで平時の話をして、米軍が使用してきた娯楽用のビデオ、これを基地間で流したその電波帯を返還した、そして、それを第三世代の携帯電話の用に供する、第三世代の電波帯をどこに使っているというのはもちろん総務省もオープンにしているわけですので、どこが返ってきた、いつ返ってきたぐらいはオープンにしていいんじゃないかというようなことを申し上げているのでございます。
 そこで、外務大臣もお見えでございますので、この日米合同委員会の議事録をなぜ公開できないのかということをお聞きしたいんです。
 私は、実は米軍の方あるいは米国の方は、いや、そのぐらいオープンにしたっていいんじゃないかというような話があるのではないかなと。これは、例えば私が在沖米軍の四軍司令官に一昨年二回ほどお会いしましたが、当時も、在沖米軍がどのような行動をとっているのか、訓練をしているのか、そういったことをつぶさに、スライドを使って御説明いただきました。
 同じようなことを外務省や防衛庁に、米軍、在沖米軍はこういったことをやっているようですが、どうですか、いや、それは米軍あるいは米国との秘密上説明できないと。こういったところが、ある面、日米の信頼感の醸成を過度にゆがめる結果になってはいないかというふうに危惧をいたすわけでございます。
 そういった意味で、日米合同委員会の議事録を非公開ということについて、私は、米軍の了解は得られているというふうに判断をしたときには速やかにオープンにしていくべきではないかというふうに思うんですが、この点、外務大臣、いかがでしょうか。

川口国務大臣 
一般論としておっしゃっていらっしゃるのか、周波数の問題についておっしゃっていらっしゃるのか、若干、定かでないところがございますけれども、いずれにしても、日米合同委員会の議事録の扱いということで申しますと、これは公表するには相互の同意が必要だということになっております。日米合同委員会の下に合計で二十三の分科委員会がありますけれども、この議事録の扱いについても同じようなことになっているということでございます。
 私の記憶でございますと、例えばその中には、双方が合意をして議事録を公開するということにしたものもあったかというふうに記憶をいたしております。
 そして、その周波数分科委員会の議事録、これについては、これは米軍の運用に影響を与えるので、公表するということは不適切であるというふうに考えております。

○武正委員 
先ほども触れたように、娯楽用の電波帯を返還した、これがなぜ米軍の行動の秘密の保持に影響があるんでしょうか。お答えいただけますか、外務大臣。今、触れましたので。

川口国務大臣 
これは、米軍の運用に影響を与えるというふうに申しましたけれども、いろいろなことが推測可能になってくるということではないかと思います。

武正委員 
お手元に、先ほど触れました資料を配付させていただいておるんですけれども、ホッチキスでとじた後段が我が国の周波数の利用状況、これは総務省からいただいたわけでございます。
 非常に大まかなくくりで、どこからどこまでは、例えば三千キロヘルツ以下、一ページ目でございますが、一番低いところは「航空ビーコン」。ビーコンというのは、のろしとか、かがり火とか、そういうふうに訳すんでしょうが、航空機が目印に使ういろいろな電波のやりとりのものというふうに伺っております。そこから、「AMラジオ」から始まって「船舶・航空通信」、そして二ページ目は、「短波放送」「船舶・航空通信」「アマチュア」「各種用途(固定・移動)」そのほか、いろいろと書かれているわけでございます。
 こういったことを私が指摘していくのは、これは、電波は国民共有の資源である、この国民共有の資源がむだに使われているのではないか、こういった指摘が既にこれまで総務委員会でなされてまいりまして、ようやく昨年度から、その前、試験的に行ったようでありますが、総務省さんは、電波の利用状況をようやく調べる、つまり、これらの電波帯を使用されているそれぞれの事業者が実際にそれを使っているのかどうか、むだに使ってはいないか、余ってはいないか、これをようやく調べるようになったというふうに聞いておるんですけれども、この中で、それこそ自衛隊、米軍がどこの電波帯を使っているのか、こういったことは、こういったブロックの非常に大くくりな中で、ある程度、ここからここのどこかを使っていますよとかいうようなことは言えないものなんでしょうか。これはまず総務大臣に伺います。

麻生国務大臣 
基本的には、自衛隊がどの周波数を利用しているかということは、これは国防上の観点から申し上げるわけにはいかぬということだと思っております。米軍につきましても同様でありまして、日米安全保障条約等々、いろいろな関係からまいりまして、国の安全にかかわる大事なところだと思いますので、国民の共有の財産であると同時に国民が共有して守らねばならぬ大事なところだと思いますので、この利用状況等々は評価対象の外になっております。
 今回、総務省として、電波の利用状況というものは、今使われておりますものによりましては、従来、スタートしたときには使われておったけれども、今は携帯が発達したおかげでこの周波数は使われないことになったというようなところがあるのではないか、そこらのところに携帯電話等々モバイルの周波数を割り当てるということが主たる考え方でありまして、そういった意味では、国の安全保障の観点からという点が一番肝心なところだと思います。

武正委員
イギリスでは、実は、防衛関係で利用している電波に対しても、もちろんほかの電波についても、公共セクターについてもすべて電波利用料を徴収しております。また、先ほど触れました米国でも、詳細な免許情報が一部を除いてインターネット上で公開をされている。こういった中で、ようやく、こうした形で調査が始まった。
 ただ、自衛隊のレーダーあるいは移動体は調査対象からも除いている。そしてまた、米軍はもちろん電波法の対象外ということで、総務省さんは、調査も対象外ということなんです。秘密ですからオープンにしなくていいと思うんですが、ただ、私は、先ほど触れたように、米軍が娯楽用に供していたり、自衛隊でも、そういった自衛隊の機密あるいは自衛隊としての行動、何らかの安全制約上問題がない部分はオープンにしてもいいだろうし、当然、余っている電波帯は国に返還をしていただきたいというふうに思うんです。
 少なくとも、これは調査の対象から外すというのは、どうなんでしょうか。やはり我が国固有、国民共有の財産である電波の使用状況の調査ですから、これからまた有事の際に米軍がいろいろな電波帯を使用する、自衛隊も使用する、その対象である我が国固有、国民共有の資源ですから、少なくとも調査の対象に加えていいんじゃないかと思うんですが、自衛隊のレーダーあるいは米軍の使用している電波状況、これは、総務大臣、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 
たびたび申し上げておりますように、この周波数の利用状況等々はどのようなことになっているかというのを公開するのは、いわゆる日本という国の安全の観点からいかがなものかということで非公開とされておりますし、また、在日米軍の使用する周波帯数につきましては、これはたしか日米地位協定に基づいていたと思いますけれども、電波法の適用除外ということになっておりまして、今どの周波帯数が、電波の利用状況の調査とかいうものにつきましても同じくこれは調査の対象外ということになっておりますので、これは日米両国間の了解というものがきちんとされない限り非公開ということになっておるということだと思います。
 今、何となく娯楽番組の話がよく出てきますけれども、それが一たん何かありますと、ぱっとそれが別のものに利用されるということになりますので、そういった意味では、ふだんの状況と非常事態とは電波の利用方法もまたおのずと変わってくるのは当然だと存じます。

武正委員 
本法案、先ほど触れた法案の提案理由の説明三に、国民への説明責任ということをうたっておるんですよ。先ほど触れたように、日米相互防衛協定にも、「秘密保持」というのは第三条第一項にありますが、しかし、「秘密保持と矛盾しない適当な措置」として公衆に周知をしようというのが第三条第二項にあるわけなんですね。
 今、私が聞いたのは、せめて調査対象に加えたっていいじゃないかと。自衛隊のレーダーあるいは移動体あるいは米軍の使用状況、調べる対象にしたっていいんじゃないですかと。公開しなくたって別にいいとはあえて言いません。私は、娯楽用とか、安全上関係なければ公開してもいいんじゃないか、さっき見せたこういうブロックのどこの部分に当たるかというぐらいはオープンにしたっていいんじゃないかというようなことを言っているんですが、調査対象もやはり、まず自衛隊、調査対象外、これはあくまでも外ということでございましょうか。

麻生国務大臣 
どの電波を使っているかということが公開されることも問題だというのはもう御理解いただいたようなのであれですけれども、基本的には、それを調査するということは、先ほども申し上げましたように、日米地位協定に基づいて電波法の適用除外という規定になっておるというところであります。
 そこのところがそういう法律できちんと決められておる、協定で決められておるというところを大前提に考えていただかぬと、それを調査するということは、どの際で、今あたかもこの辺ではないかというような話も、これは妙に悪用されるといかがなものかということになりますので、調査をすることというのは極めて、今申し上げたようなことの危惧も考えなきゃいかぬというところであって、総務省としては、そこは正直申し上げて日米地位協定の話ということだろうと存じます。

武正委員 
よく御質問をお聞きいただきたいんですが、私は、今、自衛隊ということをまず聞いたのであります。自衛隊の調査、移動体、レーダーの調査、これは平成十六年度、調査対象から外されておりますが、自衛隊も電波法の対象でありますよね、米軍は適用除外でありますけれども。これも調査外にする理由というのは何でしょうか。私は調査すべきだと思いますが。

麻生国務大臣 
基本的には、何回も同じことを申し上げるようで恐縮ですけれども、いわゆる一般の電波を利用しておられる方と一緒に、一律同様の調査になじまないという側面はあるというのは当然だと思うんですね。だから、その調査を行うかどうかということに関しましては、すぐ公開すべきじゃないかと言われても、そう簡単に、そうですねと申し上げるわけにいかぬのであって、私どもといたしましては、それを調査するということになりますと、これは機密やら何やらよほどきちんとしたものをはめてやらぬと問題なのであって、いわゆる一般の電波の利用方法と一律で同じようなことにするにはなじまないものだと思っております。

武正委員 
私は、調べることを求めたのであって、調べる方の総務省が、調べては機密を守れないというような誤解を与えるような発言は非常に問題であろうというふうに思います。
 また、調べるについて、私はまず総務大臣にお聞きしたいんですが、米軍はちょっと置いておきましょう、自衛隊がどこの周波数帯を使っているかというのは、当然、総務省は把握されていますよね。

麻生国務大臣 
知っているとは思いますけれども、それを公開するということはありません。

武正委員 
私が聞いているのは、御存じですかというふうに聞いたんです。御存じということなんですね。
 これから、自衛隊が使用されている電波帯あるいは自衛隊、米軍も使用されていない電波帯も有事の際は米軍がそれを使用する、あるいは自衛隊も使用していくというのがこの法律の枠組みでありますから、そのときに、やはり平時からできる限りその利用状況を明らかにしていこう、明らかにしないでも、なぜ調査のこの業務が総務委員会で認められて電波法が改正されたか。
 それは、国民共有の資源がむだに使われている可能性がある。大ざっくり言いますと、日本の電波帯の約四割を公共セクターが占用しているわけですね。今、これだけ電波ビジネス、電波時計も含めて、ICタグもそうですし、電波を使っていろいろなビジネスが生まれていくチャンスがある、国民共有のこの資源を大切に使おう、あだやむだに使ってやいないか、しかも公共セクターは電波利用料を一切払っていない、だから調査をしようじゃないかということで始まった制度でございます。
 そのときに、自衛隊が平時、今の時点でどういう電波帯を使っているのか、その電波の利用状況がどうなのか、そういったことも総務省として調査対象外にするというのは、私はわかりません。
 これからこの国民共有の資源である電波帯をいろいろな形で、有事の際には、今まで使っている方に、どいてください、あるいは今は使わないでください、そういったことをある面求めていく法案であるからこそ、この提案理由の三にある説明責任、国民への説明責任が必要であろうというふうに考えるのですが、総務大臣、いかがでしょうか。再度、調査をする考え、変更ございませんか。

麻生国務大臣 
今の段階では、私どもとしては、一般のものとはかなり違うものだと思いますので、今のは御意見としては拝聴させていただきますけれども、慎重に対応せねばならぬものだと思っております。

武正委員 
この有事関連七法案三条約を議論している今、それをやらなければ、国民への説明責任と提案理由説明に言っていることがやはり疑われるというふうに思わざるを得ないのでございます。
 さて、また電波と関係あるところが国民保護法制の方にも出てまいりますので、この点をちょっと指摘してお聞きしたいと思います。
 既にきのうも同僚委員から質問がありましたが、指定公共機関にNHKと民放も含める、あるいは、麻生総務大臣からは、いわゆる取材等報道、法律には書いていないが報道に一定の制約をかけるのを依頼するということは十分にあり得ると思う、こういった答弁も出ている中で、この指定公共機関に、公共放送のNHKを含めるというところはまだ理解できても、民放も含めていくというようなことが言われているところでございますが、なぜ民放を含めなければならないのか。この点、再度お聞きをしたいと思います。

麻生国務大臣 
一たん有事になりましたときにはいろいろな問題が出てくるとは思いますが、仮に、民間放送が知り得た軍の装備、人員、輸送道路等々が放送されるということは決して日本の国の利益にはならない、当然のことだと思います。したがいまして、ある程度放送が制限されるということは十分にあり得るのであって、敵を利するだけのことになるというようなことになるんじゃないでしょうか。今言われた質問に対してぱっと思いつくことを申し上げれば、そういうところだと思います。
 これは、平時と同じような状況で放送の自由を侵害とかいう話ではないのであって、いろいろな形で放送されたいというところはあろうかと思いますが、平時と有事とは状況が全然違う話だと思いますので、私どもとしては、そういったときを考えた場合に、知り得た秘密であっても安易に放送で流していただくということに関してはある程度考えていただかなければいかぬと申し上げておるところであります。

武正委員 
私が聞いたのは、指定公共機関に、NHKだけでいいのであって、民放まで含めるのはどういうものかということをお聞きしたのです。
 この指定公共機関の三つの条文が出ておりますが、それは、指定公共機関を用いて有事の際に警報を流したり、いろいろな形で有事の際に速やかな情報伝達をやってもらおうということで、ある面、民放に対して、私は民放は含めなくていいと思いますが、プラス思考でというか、協力をしてくれと。そのときに、いろいろと、業務計画の提出とか業務方針の作成とかあるかもしれないけれどもというようなことを言っているのであって、確かに、まくら言葉で総務大臣の発言は利用させていただきましたが、このことは、制約をするんだ、変なことを流されたら困るんだ、あるいは有事の際に妨害されては困るんだというような発言というのは、今の総務大臣、これは私の質問にも答えておりませんし、そういったことが総務大臣から御答弁あるというのは、放送機関が危惧をする取材制限、放送の自由あるいは報道の自由、こういったものを制限しようという法律であるということをまさに総務大臣が認めたことではありませんか。総務大臣、再度の御答弁をお願いします。

井上国務大臣 
総務大臣は後から御答弁になると思いますので、まず私から答弁をさせていただきたいと思います。
 武力の攻撃なんかがあります場合は、国民の生命とか財産に大きな影響があるわけでございまして、緊急に知らせないといけないことについては、そういうような手段を使いまして国民にその中身を知らせていくということは、これは御理解をいただけると思うのであります。
 今、その手段としては、即時に、迅速に国民一般に知らせる方法としては、やはり放送、ラジオでありますとかテレビが一番有効な手段である、この点についても余り御異論はないと私は思うのであります。
 その場合に、NHKに限定するのか、あるいは他の民放にも及ぼしていくのか、今ここのお尋ねだと思うのでありますけれども、できるだけ広く国民の皆さん方がそういう情報に接することができるようなことをしないといけないということであります。
 確かに、NHKというのは全国一律に放送をいたすところでありますのでよく皆さん聞くと思うのでありますが、しかし、NHKだけではなしに、例えばキー局ですね、東京にありますキー局、大きな放送局、ラジオなんかもありますけれども、これを聞いている方もたくさんいるわけでございまして、そういった皆さん方にも御協力いただきまして、緊急に通報すべき非常に大切な情報についてはそのようにお願いをいたしたいということでございます。
 また、都道府県の方は都道府県の方で、その地域でどういうような放送機関を指定公共機関にしていくか、それは判断すると思いますけれども、少なくとも、全国的な立場からいいますと、NHKのほかに主要なキー局につきまして御協力をお願いするということで、これはずっと私どもは放送関係の人と話し合ってきておりますし、また、今も話し中でございますし、まだ十分な理解が得られるところまでいっていると思いませんけれども、今後もそういった努力を続けていきたい、こんなふうに考える次第でございます。
 ぜひ協力をしていただきたい、そんなふうに考えております。

麻生国務大臣 
放送の自由を制限しているというような発言をしたつもりはありません。
 事実、この国民保護法というのを読んでいただいても、指定公共機関が放送することとされている事項は、警報、避難の指示及び緊急通報に限定と書かれてありまして、放送方法は自主的に定めた上で実施という意味で、報道の自由は確保されているという点に関しましては同じであります。
 ただ、私が申し上げましたのは、先ほど言ったような一つの例として申し上げたというふうに御理解いただければと存じます。

武正委員 
いや、例で、報道の制約、余計なことを流されては困るんだ、そういったことを言われたじゃないですか。では、その点はそのまま大臣の答弁としては生きているということですね。認めているということですね。

麻生国務大臣 
何回も申し上げますけれども、大前提は報道の自由です。当たり前でしょう、笑っている人がいるけれども。
 そこは当たり前なんだと思いますが、その上で、そういったような緊急事態のときにはそういうこともあり得るのではないかということを、そういったことを協力願うということはあり得るんじゃないでしょうか、お願いしますと。(武正委員「制約のことを言ったんです」と呼ぶ)これは基本的にはお願いなんだと思いますが。(発言する者あり)違うんじゃない。それは当然。そういうように誤解してとられた方が、そういうぐあいにとられるような発言があったとするならば、基本的には双方の理解の上にお互いの立場に立って国の安全を守る上でということだと思いますので、お互いさま、納得ずくでやることだと思いますが。

井上国務大臣 
私はこういう趣旨と理解するのでありますけれども、国がしかじかのことは放送していただきたいということになるわけですね。その部分は放送していただきたいということでございまして、したがいまして、それについてとかくの批判もあろうかと思いますが、それは、そのことについていろいろと論評されるということは、これはまさに報道の自由でございまして、我々は、そこまで制約をしてどうのこうのということは考えていないわけであります。
 あくまで、私どもが例えば警報を出したら、それをそのまま政府の警報として放送していただきたい、こういうことでございまして、言論の自由はその限りで制約されるじゃないかと言われればそれはそのとおりでありますが、いわゆる言論を統制していくとか、そういうことは決して考えていないわけであります。

武正委員 
総務大臣にもう一度お聞きします。
 総務大臣は、先ほどの御発言で、私が最初に総務大臣の、法律には書いていないが報道に一定の制約をかけるのを依頼するということは十分にあり得ると思うという発言を出したものですから、すぐそれに御反応されたのでしょうけれども、制約は必要である、しかも、いいかげんなことを有事の際に、妨害という言葉もたしか使ったと思いますが、されては困るんだ、だから制約はするんだというようなことを言われておりますが、その点について、そのままこのことはお認めになる、発言を撤回されることはありませんか。

麻生国務大臣 
いかにも言論を統制するかのごとき話が一番最初に聞こえるような答弁だったというようにとられたら訂正をさせていただきますが、申し上げておきますが、基本的にはお互いさま、報道の自由、これは法律に書いてあるとおりだと思いますので、制限をされるとかいうことに関して双方でということが書いてありますので、報道の自由は確保されるものと思料するということだと存じますので、今の点で、報道について、ちょっとこれはという話はお互い納得ずくでということになるのであって、強制するとかなんとかするというような範疇のものではございません。

武正委員 
先ほどの制約については撤回されたということで理解をさせていただきます。
 ということで、お互いさまだというようなことを今総務大臣は言われましたが、全然お互いさまじゃないんですよ。なぜかというと、総務大臣は電波の許認可権を持っている大臣だからですよ。その許認可権を持っている大臣からお互いさまだと言われて、放送局が、はい、そうですかなんて言えません。(発言する者あり)それがそうであります。
 ですから、さっき言ったのは撤回して、しかも、報道の自由を守るのであれば、放送局、特に民放が危惧するところをできる限り消し去ってやるのが今この国会審議のあるべき姿だというふうに私は思うんですね。
 そういった意味では、この指定公共機関はだれが決め、だれがそのことを民放に通知をして連絡を取り合うのか。これは総務省なのかどうか。そしてまた、これは基本指針に基づいて業務計画を作成するんですが、これについては、御答弁の中でいささか後退をされた答弁もありましたが、首相の助言というようなことも民放連から危惧の言葉も出ている。
 こういったことも含めまして、先ほどの、この指定公共機関はだれが決め、だれが通知をし連絡を取り合うのか。その指定公共機関に指定をした後のNHK、民放とのやりとり、これは総務省が、その業務計画のいろいろなやりとりとか、適時適切ないろいろなやりとりがあるのかなというふうに私は思うんですが、この点は、総務大臣、いかがでしょうか。

井上国務大臣 
指定公共機関の指定というのは、これは政令でやることになっておりますから、内閣としてやるということでありますが、具体的な事務手続はやはり総務省を窓口にして話し合いを進めていくということになろうと思います。

武正委員 
私ども民主党は、電波の許認可権を総務大臣が持つと、どうしてもいわゆる放送の独立性を、政府・与党に、あえて申しますが、おもんぱかるようなことがなきにしもあらずというようなことから、そういった意味では、放送の独立性を堅持するために、許認可権は総務大臣ではなくていわゆる国家行政組織法の三条委員会、具体的には通信・放送委員会ということを、昨年に続いてことしも法案を提出しているところでございます。
 そういった意味では、今の許認可権を握っておられる総務大臣、総務省との具体的なやりとりがあるんだということからいうと、私は民間放送事業者は外すべきだと思いますが、これからの、その指定公共機関にNHKそれから民放が指定された後のやりとりについては、殊さら報道の自由、取材の自由などを有事の際には万が一にも制限はしないんだというようなことを、そういった危惧を抱かないようなやりとりをぜひ心していただきたいというふうに思うんです。この点、担当大臣、いかがでしょうか。

井上国務大臣 
これは武力攻撃事態対処法の中にも書いてありますし、国民保護法制の中にも書いておりますけれども、言論の自由には特に十分な留意をして対応していきたい、こんなふうに考えている次第でございます。

武正委員 
ある面、この指定公共機関の指定というのはお願いベースだというふうに私は理解をしております。
 つまり、先ほど総務大臣が答えたのは、どちらかというと、否定はされましたが、制約のようなお話、担当大臣が答えられたのは、いろいろと有事の際に放送をお願いしたいんだ、警報をお願いしたいんだ、そういったお願いベースの話、そういった面で、ある面、指定公共機関に協力を求めていくという立場にある政府にあって、取材規制のようなお話もいろいろ出てくるということはやはりあってはならない。お願いベースで、政府として有事の際に御協力をと、国民に対しても協力をと求める本法であるのであれば、やはりその姿勢は今問われるというふうに思うのでございます。
 さて、本当は、消防団や、特に都道府県知事を通じた市町村ということでございますが、政令指定都市の扱い等についても聞きたかったんですが、ちょっと時間の関係がございますので、ACSAに移らせていただきます。
 まず、先ほど来触れておりますが、このACSAでも通信というものが出てまいりますが、米軍に役務の提供、通信ということがありますが、この通信に航空管制は含まれるのかどうか。
 それから、沖縄の嘉手納ラプコン、これは返還返還といいながら、結局、返還もされていないんですけれども、この返還はいつになるのか。
 あわせて、これは通信とは若干離れますが、自衛隊による米軍の空域の使用というものは、いわゆる有事の際、可能なのかどうか、あるいはこのACSAの改定によって可能となるのかどうか。
 以上三点、お聞きしたいと思います。

川口国務大臣 
たくさんの御質問がございました。
 まず最初の、ACSAの通信に航空管制が含まれるかということですけれども、ACSAの五条二項に「通信」とございまして、付表1にその内容が規定をされているわけでございます。それで、その付表1によりますと、「通信設備の利用、通信支援、通信機器及びこれらに類するもの」というふうになっています。航空管制はこれには含まれないというふうに解されているということでございます。
 次に、嘉手納ラプコンについて、いつ返還をされるのかということでございますけれども、これは、平成十二年三月に、コーエン前国防長官より、返還に同意をするという御発言があって、それを受けまして、民間航空分科委員会のもとで専門家レベルの特別作業部会が設置されて、そこで御議論をいただいている、具体的なことについて検討している、そういう状況にございます。平成十四年五月には日米間で進入管制業務に関する運用所要について合意をするなどございまして、返還に向けた作業は進んでいます。
 外務省といたしまして、これは今後、国土交通省と協力をしていくということでございますけれども、そういった形で鋭意取り組んでいきたいというふうに考えております。いつかということについては今の段階で申し上げるということはできない、国土交通省と協力をして外務省としては取り組んでいくということでございます。
 それから、自衛隊による米軍の空域の使用は可能となるかということで、これはむしろ私がお答えするよりも防衛庁長官にお答えしていただいた方がいいのかもしれませんが、その自衛隊による米軍の空域の使用ということの意味ということが若干わからないところがございますけれども、米軍が進入管制の業務を実施している空域において自衛隊の航空機が飛行するという観点から申し上げますと、これは今までも行われてきたということでございまして、これはACSAの改正と直接に関係はない、そういうことでございます。

武正委員 
この航空管制そしてまた嘉手納ラプコンの話も含めて、これは以前から指摘があって、日本の空の使用が米軍に、制限空域も設けておることとともに、皆様御承知のように、那覇空港に着陸するときに遠距離からずっと低空で入っていかなければならないということはもう皆様御経験だと思いますが、これは嘉手納ラプコンの存在があるゆえでございます。もう平成十五年や十六年に返るんだというようなこともある面言われたところなんですが、一体どうなってしまったのかといったところも指摘されるわけであります。
 日本の空、航空管制も含めてなんですけれども、これから有事の際に、米軍がさまざまな形で、自衛隊の使用している空域の使用あるいはまた自衛隊から米軍へのACSA、物品または役務の提供、こういったことが予想される中で、平時における、今における米軍の説明責任を、米軍は多分、説明責任を十分果たしたい、そういった姿勢だというふうに、先ほど触れた在沖米軍四軍司令官でも感じておりますが、それのもしかしたらバリアになっているのが日本政府じゃないかというような危惧がないように、この際、この有事関連七法案三条約の際に、こうした日本の空でありながら日本が非常に不自由を来しているこの嘉手納ラプコンなどの返還等、これは速やかに進めていくべきだというふうに私は考えます。
 そこでまた、このACSAでございますが、第六条第一項に「国際の平和及び安全に寄与するための国際社会の努力の促進、」というのはなぜ入れたのか。
 これについて、三月十日、参議院予算委員会で、川口外務大臣は、「地震などの大規模の災害や邦人救出が必要となるような緊急事態に際しての活動」「自衛隊が米軍より物品役務の提供を受けることを可能にするもの」、日本側が主体的に考えている、こういった答弁がありまして、ある面、米国から言われたからやったのではありませんよ、そういうようなニュアンスの御答弁でありますが、相互の物品、役務の提供協定でありますので、当然、日本からの米軍への提供もあるわけなんですけれども、こういった答弁をされた真意というものをちょっとお聞かせいただけますか、外務大臣。――意味がわからないですか。
 外務大臣の答弁では、日本側が主体的に考えているというような答弁を参議院でされまして、ACSAというのは相互の物品、役務の提供でございますよね。でも、日本側から、日本側が主体的に考えているんだということなんですが、これは相互でありますから、当然、米国からも、役務を提供してくださいと。これは相互での改正だというふうに思うんですが、日本側から、日本側が主体的に考えているというふうに答弁された真意を聞きたいということであります。

川口国務大臣 
舌足らずであったところがあったのかもしれませんけれども、ACSAの協定というのは相互に提供する枠組みであるわけでして、我が国からいえば、我が国が提供する立場ということに立っていえば、これはもちろん要請があって、その上で、それに対してこたえることができるということを書いてあるわけですね。したがって、それをしなくてもいい、要するに、するかどうかということは我が国の主体的な判断ということで申し上げたのではないかと思います。
 そのときのコンテクストを今きちんと記憶しておりませんが、もしそういうことであれば、そういう趣旨を申し上げたということであります。

武正委員 
今回、付表2の中に、テロ特、イラク特、これを加えて、しかも、この修正は、政府が国会に諮らずとも付表の修正はできるといったことでありますし、先ほど触れましたように、「国際の平和及び安全に寄与するための国際社会の努力の促進、」こういった項目が加わったということで、私は、ある面、米軍と自衛隊が世界各国まで、ともに、いわゆる後方支援、物品、役務の提供、これがもう世界じゅうまでできるんだ、この「国際の平和」云々かんぬんが入ったことによってというふうに解しているんですが、そこまではやり過ぎじゃないかというふうに思うんですが、この点、お答えをいただけますか。

川口国務大臣 
場所的な意味でいいますと、それは六条あるいはその前の三条というのもそうかもしれませんが、どこでもできるということであるということです。
 それで、では、それがやり過ぎかどうかということをおっしゃっていらっしゃるわけですけれども、ACSAは、これは提供あるいは受領する手続の枠組みを決めたものでありますから、当然、ACSAにも書いていますように、我が国が提供するとしたらば、それは我が国の権限がある場合にのみ行うことができるということで、それを可能にする国内法が必要であるわけです。国内法の際に、そういった提供をするということが適切かどうか、そういう判断を国会において十分にしていただいているということでございます。
 したがって、何かそこで問題があるかといえば、国会での御議論の際にその問題はきちんと議論されるわけでございまして、何ら問題はないというふうに考えております。

武正委員 
先ほど触れたことがあるものですからまた聞かなきゃいけないんですが、付表2はテロ特、イラク特と出ておりますが、この修正は国会に諮らずとも修正できるんじゃないですか。つまり、その適用範囲は国会に諮らずとも世界じゅう各国に広がっていく可能性は十分あるというのがこの条約の解釈ではないでしょうか。いかがですか。

川口国務大臣 
おっしゃっていらっしゃるのは、付表2に書き込めばいいではないか、その書き込む段階において国会の審議を経ていないではないかということでおっしゃっていらっしゃるのかもしれませんが、これはその十二条できちんとそういうことを政府が行うということを授権しているわけでございます。まさにそのACSAを今御審議いただいているということでございまして、政府ベースで付表に書くということについては全く問題はないというふうに考えております。

武正委員 
いや、さっき、だから国会に諮るんだというふうに言われたので、国会に諮らなくてもいいんでしょうと言ったら、今、大臣は、そうです、授権をされているから大丈夫なんですと。答弁が二転三転しているんですが、いかがでしょうか。

川口国務大臣 
いえ、全く二転三転しておりませんで、ACSAというのは、相互に提供する手続、これを決める枠組みですね。それに基づいて何かができるかということについては国内法が必要であって、国内法の議論をしていただいているわけです。そして、国内法の議論を国会でしていただいた上で、それについて、ACSAに基づいて提供できるということを付表2に書き込む。付表2に政府が書き込むことがなぜできるかということは、ACSAの十二条で政府にこれを授権しているということでありまして、全く行政ベースで付表2に書き込むということは問題がないということを申し上げているわけです。

武正委員 
わかりました。
 続いて、緊急事態基本法について、ちょっと移らせていただきます。
 お手元に先ほど資料をお配りさせていただいて、一番最後にございます。これまで内閣官房に設けられた官邸対策室、官邸連絡室、平成十年からことし平成十六年まで。
 昨年の十一月でございましたでしょうか、既に官邸連絡室はもう廃止をして官邸対策室一本化ということでございますが、過去の日本の危機管理、近年でございますが、例えば日航機ニアミス事故、これは国交大臣に連絡がおくれたという指摘がありますが、航空事故であるから、ここには当然、連絡室などつくられておりません。えひめ丸事件、これはここでいいますと二月十日ですね。平成十三年二月十日は、これを見ていただくように、連絡室を設けています。それから不審船事件、これは同じく十二月二十二日、このときも連絡室であります。翌年の平成十四年、ここにはいわゆる瀋陽総領事館事件は載っていない、つまり連絡室も対策室もつくられなかった。そしてまた、ことし、この三月でありますが、尖閣諸島不法上陸も当然のように、当然のようにというか、何もつくられなかった。
 こういったことでございますが、過去、連絡室、対策室をつくる、つくらない、こういった判断というのは一体だれがしてきたのでしょうか。これは担当大臣になりますでしょうか。

井上国務大臣 
まさに官邸が判断をするということでございます。

武正委員 私はだれがというふうにお聞きしたので、お答えをいただきたいと思います。

井上国務大臣 
官邸で、もちろん形式的には内閣総理大臣ということでありますけれども、官房長官がそのように決めるということでよろしいと思います。

武正委員 
この対策室、連絡室をどうするかというのは、官房長官が決めているということで本当によろしいんでしょうか。官房長官の判断で、対策室にしたり連絡室にしたり、あるいは尖閣のように何も設けない、あるいは瀋陽総領事館のように、なぜか外交案件が多いんですが、何も設けない、これは官房長官が決めているということでよろしいんでしょうか。

井上国務大臣 
官房長官と連絡をとりつつということでいいと思いますけれども、危機管理監が決める、これはそのような制度にはなっております。


武正委員 
危機管理監が判断をされて、何を連絡室、対策室にするか、あるいは設けるか設けないかを決めてきた。また、今は連絡室はなくなった、対策室のみを設ける、設けない、これは警察庁出身の危機管理監が決めているということでございます。
 そうした中で、過日の尖閣への不法上陸、これは対策室は未設置でございますが、実際、このときに、沖縄県警から内閣官房に、あるいは、ここで申しますと、資料の二ページ目、三ページ目、四ページ目に絵が出ておりますが、「初動対処の流れ」というのがありますから四ページ目をごらんいただいて、既に委員会に提出されている資料でございますが、内閣情報集約センターに集まってきて、ここからそれぞれ第一報が行くようになっておりますが、要は、内閣危機管理監が、ある面、その判断に大変重要な役割を担っているということがわかったわけですが、このときは内閣官房に沖縄県警からいつ連絡があったのか、これをお答えいただけますでしょうか。

井上国務大臣 
内閣官房が海上保安庁から当該事件の第一報を受けましたのは、三月二十四日の午前七時四十八分ごろでございます。

武正委員 
これは外務委員会で外務大臣にも私は何度もお聞きをしたんですが、外務大臣から、答弁の中で、内閣官房ほか政府各所から外務省には、今回の強制送還も含めて、どのような対応をするということはいろいろ、相談もなかったのかどうかということに対して、「この七人に対して政府としてどのような対応をするかということについては、御相談はあずかっていません。」ということが外務委員会の外務大臣の答弁であったわけなんですけれども、これはそのとおりでしょうか。外務省には一切連絡をとっていない、相談もしていないということで過日の尖閣諸島不法上陸への対応をされたということで、担当大臣、よろしいでしょうか。

井上国務大臣 
この尖閣列島に関しましては、省庁の連絡体制があらかじめございまして、それは外務省、法務省、警察庁それから海上保安庁、この四省庁で連絡体制がありまして、相互に情報を共有しているということであります。その中心に内閣官房がありまして、内閣官房にも、だから最終的には内閣官房で情報を集約する、こういうことになっているわけでございます。
 川口大臣の御答弁は、それは、今大臣いらっしゃいますのでお聞きになればと思いますけれども、連絡は受けておられるとは思うのでありますけれども、具体的な最終の決定については直には関与しなかった、そういう御趣旨じゃないかと思うのであります。
 あとは、詳しくは川口大臣に一応お聞きいただきたいと思います。

武正委員 
外務大臣にお聞きをしたいんですが、ちょっと時間の関係もありまして。――では、手短にぱっとお答えいただけますか。

川口国務大臣 
まさにそういうことを外務委員会で申し上げていたわけです。

武正委員 
この三月三十一日の段階での外務委員会では、およそそのような理解はされませんでした。先ほど触れたように、「この七人に対して政府としてどのような対応をするかということについては、御相談はあずかっていません。」というような答弁でありましたので、日本の危機管理、特に外交案件がかかわるところは外務省はオミットされているんじゃないか、そんな危惧を抱いたんですが、それはないということでもございます。また、外務省からも内閣官房にいろいろな方が入っておられるようなので、外務省にも適時適切相談があっての強制送還であったというふうに判断をさせていただきます。
 では、最後でございますが、危機管理についてでございますが、私はやはり、首相の権限と責任というものを明確にしていく必要があるのではないかな、緊急事態基本法に盛り込むべきではないかなというふうに思っております。
 というのは、国家行政組織法では「内閣の統轄の下」と書かれ、あるいは内閣法では首相が「指揮監督する。」というような書きぶりでありますが、これはいろいろ調べてみると非常に弱い。やはり有事の際に、首相が適時適切に判断をして、責任を持って、そして、当然、権限を行使する、これがなければいけないだろうというふうに思うんですが、そのためには、日ごろからの、この今の日本の体制が、いわゆるつかさつかさ、大臣にそれぞれの省庁のいろいろなことは任せる、ある面、もう最後どうしようもなくなったら首相官邸に情報が上がるような過去の危機管理のこういった体制は非常にまずかろうというふうに思いますので、これから、今与野党で御論議のあるこの緊急事態基本法については、首相の権限と責任というものの明確化に加えて、内閣法の指揮監督をさらに上回るような行政各部への権限、責任、こういったものが首相に与えられていなければならないだろうというようなことを思うんですが、これは、最後、大臣、お答えいただけますか。

自見委員長 
手短にお願いいたします。

川口国務大臣 
一言、念のためですけれども、私が申し上げているのは、先ほど井上大臣もおっしゃいましたけれども、情報の共有等についての連絡はもちろん受けている、最後の判断として、最終決定の判断として強制送還をする、入管に引き渡すということについて、外務省は、私も含めてですが、全く相談にあずかっていないということを申し上げているわけでございます。

井上国務大臣 
内閣総理大臣に、有事の場合、権限を集中いたしまして、適時適切といいますか、迅速に決定すべきだという議論があることはもう十分承知をしているのでありますが、どうも今の現行憲法からいきますと行政権は内閣にあるということで、せんだっても首藤委員から、プーボワールエクセプシオネールなんというのはどうだなんというような話がありましたけれども、今の憲法のもとでは、ああいったことが、法制局長官が答えておりましたように、なかなか難しいんじゃないかということでございますが、ただ、御指摘の点、どうせ基本法の与党と民主党との協議の中ではいろいろな議論が出ると思うのでありますが、その中でも十分ひとつ御検討いただきたいと考えております。

武正委員 
以上で終わります。ありがとうございました。

 
先ほども触れたように、娯楽用の電波帯を返還した、これがなぜ米軍の行動の秘密の保持に影響があるんでしょうか。お答えいただけますか、外務大臣。今、触れましたので。

川口国務大臣 
これは、米軍の運用に影響を与えるというふうに申しましたけれども、いろいろなことが推測可能になってくるということではないかと思います。

武正委員 
お手元に、先ほど触れました資料を配付させていただいておるんですけれども、ホッチキスでとじた後段が我が国の周波数の利用状況、これは総務省からいただいたわけでございます。
 非常に大まかなくくりで、どこからどこまでは、例えば三千キロヘルツ以下、一ページ目でございますが、一番低いところは「航空ビーコン」。ビーコンというのは、のろしとか、かがり火とか、そういうふうに訳すんでしょうが、航空機が目印に使ういろいろな電波のやりとりのものというふうに伺っております。そこから、「AMラジオ」から始まって「船舶・航空通信」、そして二ページ目は、「短波放送」「船舶・航空通信」「アマチュア」「各種用途(固定・移動)」そのほか、いろいろと書かれているわけでございます。
 こういったことを私が指摘していくのは、これは、電波は国民共有の資源である、この国民共有の資源がむだに使われているのではないか、こういった指摘が既にこれまで総務委員会でなされてまいりまして、ようやく昨年度から、その前、試験的に行ったようでありますが、総務省さんは、電波の利用状況をようやく調べる、つまり、これらの電波帯を使用されているそれぞれの事業者が実際にそれを使っているのかどうか、むだに使ってはいないか、余ってはいないか、これをようやく調べるようになったというふうに聞いておるんですけれども、この中で、それこそ自衛隊、米軍がどこの電波帯を使っているのか、こういったことは、こういったブロックの非常に大くくりな中で、ある程度、ここからここのどこかを使っていますよとかいうようなことは言えないものなんでしょうか。これはまず総務大臣に伺います。

麻生国務大臣 
基本的には、自衛隊がどの周波数を利用しているかということは、これは国防上の観点から申し上げるわけにはいかぬということだと思っております。米軍につきましても同様でありまして、日米安全保障条約等々、いろいろな関係からまいりまして、国の安全にかかわる大事なところだと思いますので、国民の共有の財産であると同時に国民が共有して守らねばならぬ大事なところだと思いますので、この利用状況等々は評価対象の外になっております。
 今回、総務省として、電波の利用状況というものは、今使われておりますものによりましては、従来、スタートしたときには使われておったけれども、今は携帯が発達したおかげでこの周波数は使われないことになったというようなところがあるのではないか、そこらのところに携帯電話等々モバイルの周波数を割り当てるということが主たる考え方でありまして、そういった意味では、国の安全保障の観点からという点が一番肝心なところだと思います。

武正委員
イギリスでは、実は、防衛関係で利用している電波に対しても、もちろんほかの電波についても、公共セクターについてもすべて電波利用料を徴収しております。また、先ほど触れました米国でも、詳細な免許情報が一部を除いてインターネット上で公開をされている。こういった中で、ようやく、こうした形で調査が始まった。
 ただ、自衛隊のレーダーあるいは移動体は調査対象からも除いている。そしてまた、米軍はもちろん電波法の対象外ということで、総務省さんは、調査も対象外ということなんです。秘密ですからオープンにしなくていいと思うんですが、ただ、私は、先ほど触れたように、米軍が娯楽用に供していたり、自衛隊でも、そういった自衛隊の機密あるいは自衛隊としての行動、何らかの安全制約上問題がない部分はオープンにしてもいいだろうし、当然、余っている電波帯は国に返還をしていただきたいというふうに思うんです。
 少なくとも、これは調査の対象から外すというのは、どうなんでしょうか。やはり我が国固有、国民共有の財産である電波の使用状況の調査ですから、これからまた有事の際に米軍がいろいろな電波帯を使用する、自衛隊も使用する、その対象である我が国固有、国民共有の資源ですから、少なくとも調査の対象に加えていいんじゃないかと思うんですが、自衛隊のレーダーあるいは米軍の使用している電波状況、これは、総務大臣、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 
たびたび申し上げておりますように、この周波数の利用状況等々はどのようなことになっているかというのを公開するのは、いわゆる日本という国の安全の観点からいかがなものかということで非公開とされておりますし、また、在日米軍の使用する周波帯数につきましては、これはたしか日米地位協定に基づいていたと思いますけれども、電波法の適用除外ということになっておりまして、今どの周波帯数が、電波の利用状況の調査とかいうものにつきましても同じくこれは調査の対象外ということになっておりますので、これは日米両国間の了解というものがきちんとされない限り非公開ということになっておるということだと思います。
 今、何となく娯楽番組の話がよく出てきますけれども、それが一たん何かありますと、ぱっとそれが別のものに利用されるということになりますので、そういった意味では、ふだんの状況と非常事態とは電波の利用方法もまたおのずと変わってくるのは当然だと存じます。

武正委員 
本法案、先ほど触れた法案の提案理由の説明三に、国民への説明責任ということをうたっておるんですよ。先ほど触れたように、日米相互防衛協定にも、「秘密保持」というのは第三条第一項にありますが、しかし、「秘密保持と矛盾しない適当な措置」として公衆に周知をしようというのが第三条第二項にあるわけなんですね。
 今、私が聞いたのは、せめて調査対象に加えたっていいじゃないかと。自衛隊のレーダーあるいは移動体あるいは米軍の使用状況、調べる対象にしたっていいんじゃないですかと。公開しなくたって別にいいとはあえて言いません。私は、娯楽用とか、安全上関係なければ公開してもいいんじゃないか、さっき見せたこういうブロックのどこの部分に当たるかというぐらいはオープンにしたっていいんじゃないかというようなことを言っているんですが、調査対象もやはり、まず自衛隊、調査対象外、これはあくまでも外ということでございましょうか。

麻生国務大臣
どの電波を使っているかということが公開されることも問題だというのはもう御理解いただいたようなのであれですけれども、基本的には、それを調査するということは、先ほども申し上げましたように、日米地位協定に基づいて電波法の適用除外という規定になっておるというところであります。
 そこのところがそういう法律できちんと決められておる、協定で決められておるというところを大前提に考えていただかぬと、それを調査するということは、どの際で、今あたかもこの辺ではないかというような話も、これは妙に悪用されるといかがなものかということになりますので、調査をすることというのは極めて、今申し上げたようなことの危惧も考えなきゃいかぬというところであって、総務省としては、そこは正直申し上げて日米地位協定の話ということだろうと存じます。

武正委員 
よく御質問をお聞きいただきたいんですが、私は、今、自衛隊ということをまず聞いたのであります。自衛隊の調査、移動体、レーダーの調査、これは平成十六年度、調査対象から外されておりますが、自衛隊も電波法の対象でありますよね、米軍は適用除外でありますけれども。これも調査外にする理由というのは何でしょうか。私は調査すべきだと思いますが。

麻生国務大臣
基本的には、何回も同じことを申し上げるようで恐縮ですけれども、いわゆる一般の電波を利用しておられる方と一緒に、一律同様の調査になじまないという側面はあるというのは当然だと思うんですね。だから、その調査を行うかどうかということに関しましては、すぐ公開すべきじゃないかと言われても、そう簡単に、そうですねと申し上げるわけにいかぬのであって、私どもといたしましては、それを調査するということになりますと、これは機密やら何やらよほどきちんとしたものをはめてやらぬと問題なのであって、いわゆる一般の電波の利用方法と一律で同じようなことにするにはなじまないものだと思っております。

武正委員 
私は、調べることを求めたのであって、調べる方の総務省が、調べては機密を守れないというような誤解を与えるような発言は非常に問題であろうというふうに思います。
 また、調べるについて、私はまず総務大臣にお聞きしたいんですが、米軍はちょっと置いておきましょう、自衛隊がどこの周波数帯を使っているかというのは、当然、総務省は把握されていますよね。

麻生国務大臣 
知っているとは思いますけれども、それを公開するということはありません。

武正委員 
私が聞いているのは、御存じですかというふうに聞いたんです。御存じということなんですね。
 これから、自衛隊が使用されている電波帯あるいは自衛隊、米軍も使用されていない電波帯も有事の際は米軍がそれを使用する、あるいは自衛隊も使用していくというのがこの法律の枠組みでありますから、そのときに、やはり平時からできる限りその利用状況を明らかにしていこう、明らかにしないでも、なぜ調査のこの業務が総務委員会で認められて電波法が改正されたか。
 それは、国民共有の資源がむだに使われている可能性がある。大ざっくり言いますと、日本の電波帯の約四割を公共セクターが占用しているわけですね。今、これだけ電波ビジネス、電波時計も含めて、ICタグもそうですし、電波を使っていろいろなビジネスが生まれていくチャンスがある、国民共有のこの資源を大切に使おう、あだやむだに使ってやいないか、しかも公共セクターは電波利用料を一切払っていない、だから調査をしようじゃないかということで始まった制度でございます。
 そのときに、自衛隊が平時、今の時点でどういう電波帯を使っているのか、その電波の利用状況がどうなのか、そういったことも総務省として調査対象外にするというのは、私はわかりません。
 これからこの国民共有の資源である電波帯をいろいろな形で、有事の際には、今まで使っている方に、どいてください、あるいは今は使わないでください、そういったことをある面求めていく法案であるからこそ、この提案理由の三にある説明責任、国民への説明責任が必要であろうというふうに考えるのですが、総務大臣、いかがでしょうか。再度、調査をする考え、変更ございませんか。

麻生国務大臣 
今の段階では、私どもとしては、一般のものとはかなり違うものだと思いますので、今のは御意見としては拝聴させていただきますけれども、慎重に対応せねばならぬものだと思っております。

武正委員 
この有事関連七法案三条約を議論している今、それをやらなければ、国民への説明責任と提案理由説明に言っていることがやはり疑われるというふうに思わざるを得ないのでございます。
 さて、また電波と関係あるところが国民保護法制の方にも出てまいりますので、この点をちょっと指摘してお聞きしたいと思います。
 既にきのうも同僚委員から質問がありましたが、指定公共機関にNHKと民放も含める、あるいは、麻生総務大臣からは、いわゆる取材等報道、法律には書いていないが報道に一定の制約をかけるのを依頼するということは十分にあり得ると思う、こういった答弁も出ている中で、この指定公共機関に、公共放送のNHKを含めるというところはまだ理解できても、民放も含めていくというようなことが言われているところでございますが、なぜ民放を含めなければならないのか。この点、再度お聞きをしたいと思います。

麻生国務大臣 
一たん有事になりましたときにはいろいろな問題が出てくるとは思いますが、仮に、民間放送が知り得た軍の装備、人員、輸送道路等々が放送されるということは決して日本の国の利益にはならない、当然のことだと思います。したがいまして、ある程度放送が制限されるということは十分にあり得るのであって、敵を利するだけのことになるというようなことになるんじゃないでしょうか。今言われた質問に対してぱっと思いつくことを申し上げれば、そういうところだと思います。
 これは、平時と同じような状況で放送の自由を侵害とかいう話ではないのであって、いろいろな形で放送されたいというところはあろうかと思いますが、平時と有事とは状況が全然違う話だと思いますので、私どもとしては、そういったときを考えた場合に、知り得た秘密であっても安易に放送で流していただくということに関してはある程度考えていただかなければいかぬと申し上げておるところであります。

武正委員 
私が聞いたのは、指定公共機関に、NHKだけでいいのであって、民放まで含めるのはどういうものかということをお聞きしたのです。
 この指定公共機関の三つの条文が出ておりますが、それは、指定公共機関を用いて有事の際に警報を流したり、いろいろな形で有事の際に速やかな情報伝達をやってもらおうということで、ある面、民放に対して、私は民放は含めなくていいと思いますが、プラス思考でというか、協力をしてくれと。そのときに、いろいろと、業務計画の提出とか業務方針の作成とかあるかもしれないけれどもというようなことを言っているのであって、確かに、まくら言葉で総務大臣の発言は利用させていただきましたが、このことは、制約をするんだ、変なことを流されたら困るんだ、あるいは有事の際に妨害されては困るんだというような発言というのは、今の総務大臣、これは私の質問にも答えておりませんし、そういったことが総務大臣から御答弁あるというのは、放送機関が危惧をする取材制限、放送の自由あるいは報道の自由、こういったものを制限しようという法律であるということをまさに総務大臣が認めたことではありませんか。総務大臣、再度の御答弁をお願いします。

井上国務大臣 
総務大臣は後から御答弁になると思いますので、まず私から答弁をさせていただきたいと思います。
 武力の攻撃なんかがあります場合は、国民の生命とか財産に大きな影響があるわけでございまして、緊急に知らせないといけないことについては、そういうような手段を使いまして国民にその中身を知らせていくということは、これは御理解をいただけると思うのであります。
 今、その手段としては、即時に、迅速に国民一般に知らせる方法としては、やはり放送、ラジオでありますとかテレビが一番有効な手段である、この点についても余り御異論はないと私は思うのであります。
 その場合に、NHKに限定するのか、あるいは他の民放にも及ぼしていくのか、今ここのお尋ねだと思うのでありますけれども、できるだけ広く国民の皆さん方がそういう情報に接することができるようなことをしないといけないということであります。
 確かに、NHKというのは全国一律に放送をいたすところでありますのでよく皆さん聞くと思うのでありますが、しかし、NHKだけではなしに、例えばキー局ですね、東京にありますキー局、大きな放送局、ラジオなんかもありますけれども、これを聞いている方もたくさんいるわけでございまして、そういった皆さん方にも御協力いただきまして、緊急に通報すべき非常に大切な情報についてはそのようにお願いをいたしたいということでございます。
 また、都道府県の方は都道府県の方で、その地域でどういうような放送機関を指定公共機関にしていくか、それは判断すると思いますけれども、少なくとも、全国的な立場からいいますと、NHKのほかに主要なキー局につきまして御協力をお願いするということで、これはずっと私どもは放送関係の人と話し合ってきておりますし、また、今も話し中でございますし、まだ十分な理解が得られるところまでいっていると思いませんけれども、今後もそういった努力を続けていきたい、こんなふうに考える次第でございます。
 ぜひ協力をしていただきたい、そんなふうに考えております。

麻生国務大臣 
放送の自由を制限しているというような発言をしたつもりはありません。
 事実、この国民保護法というのを読んでいただいても、指定公共機関が放送することとされている事項は、警報、避難の指示及び緊急通報に限定と書かれてありまして、放送方法は自主的に定めた上で実施という意味で、報道の自由は確保されているという点に関しましては同じであります。
 ただ、私が申し上げましたのは、先ほど言ったような一つの例として申し上げたというふうに御理解いただければと存じます。

武正委員 
いや、例で、報道の制約、余計なことを流されては困るんだ、そういったことを言われたじゃないですか。では、その点はそのまま大臣の答弁としては生きているということですね。認めているということですね。

麻生国務大臣 
何回も申し上げますけれども、大前提は報道の自由です。当たり前でしょう、笑っている人がいるけれども。
 そこは当たり前なんだと思いますが、その上で、そういったような緊急事態のときにはそういうこともあり得るのではないかということを、そういったことを協力願うということはあり得るんじゃないでしょうか、お願いしますと。(武正委員「制約のことを言ったんです」と呼ぶ)これは基本的にはお願いなんだと思いますが。(発言する者あり)違うんじゃない。それは当然。そういうように誤解してとられた方が、そういうぐあいにとられるような発言があったとするならば、基本的には双方の理解の上にお互いの立場に立って国の安全を守る上でということだと思いますので、お互いさま、納得ずくでやることだと思いますが。

井上国務大臣 
私はこういう趣旨と理解するのでありますけれども、国がしかじかのことは放送していただきたいということになるわけですね。その部分は放送していただきたいということでございまして、したがいまして、それについてとかくの批判もあろうかと思いますが、それは、そのことについていろいろと論評されるということは、これはまさに報道の自由でございまして、我々は、そこまで制約をしてどうのこうのということは考えていないわけであります。
 あくまで、私どもが例えば警報を出したら、それをそのまま政府の警報として放送していただきたい、こういうことでございまして、言論の自由はその限りで制約されるじゃないかと言われればそれはそのとおりでありますが、いわゆる言論を統制していくとか、そういうことは決して考えていないわけであります。

武正委員 
総務大臣にもう一度お聞きします。
 総務大臣は、先ほどの御発言で、私が最初に総務大臣の、法律には書いていないが報道に一定の制約をかけるのを依頼するということは十分にあり得ると思うという発言を出したものですから、すぐそれに御反応されたのでしょうけれども、制約は必要である、しかも、いいかげんなことを有事の際に、妨害という言葉もたしか使ったと思いますが、されては困るんだ、だから制約はするんだというようなことを言われておりますが、その点について、そのままこのことはお認めになる、発言を撤回されることはありませんか。

麻生国務大臣 
いかにも言論を統制するかのごとき話が一番最初に聞こえるような答弁だったというようにとられたら訂正をさせていただきますが、申し上げておきますが、基本的にはお互いさま、報道の自由、これは法律に書いてあるとおりだと思いますので、制限をされるとかいうことに関して双方でということが書いてありますので、報道の自由は確保されるものと思料するということだと存じますので、今の点で、報道について、ちょっとこれはという話はお互い納得ずくでということになるのであって、強制するとかなんとかするというような範疇のものではございません。

武正委員 
先ほどの制約については撤回されたということで理解をさせていただきます。
 ということで、お互いさまだというようなことを今総務大臣は言われましたが、全然お互いさまじゃないんですよ。なぜかというと、総務大臣は電波の許認可権を持っている大臣だからですよ。その許認可権を持っている大臣からお互いさまだと言われて、放送局が、はい、そうですかなんて言えません。(発言する者あり)それがそうであります。
 ですから、さっき言ったのは撤回して、しかも、報道の自由を守るのであれば、放送局、特に民放が危惧するところをできる限り消し去ってやるのが今この国会審議のあるべき姿だというふうに私は思うんですね。
 そういった意味では、この指定公共機関はだれが決め、だれがそのことを民放に通知をして連絡を取り合うのか。これは総務省なのかどうか。そしてまた、これは基本指針に基づいて業務計画を作成するんですが、これについては、御答弁の中でいささか後退をされた答弁もありましたが、首相の助言というようなことも民放連から危惧の言葉も出ている。
 こういったことも含めまして、先ほどの、この指定公共機関はだれが決め、だれが通知をし連絡を取り合うのか。その指定公共機関に指定をした後のNHK、民放とのやりとり、これは総務省が、その業務計画のいろいろなやりとりとか、適時適切ないろいろなやりとりがあるのかなというふうに私は思うんですが、この点は、総務大臣、いかがでしょうか。

井上国務大臣 
指定公共機関の指定というのは、これは政令でやることになっておりますから、内閣としてやるということでありますが、具体的な事務手続はやはり総務省を窓口にして話し合いを進めていくということになろうと思います。

武正委員 
私ども民主党は、電波の許認可権を総務大臣が持つと、どうしてもいわゆる放送の独立性を、政府・与党に、あえて申しますが、おもんぱかるようなことがなきにしもあらずというようなことから、そういった意味では、放送の独立性を堅持するために、許認可権は総務大臣ではなくていわゆる国家行政組織法の三条委員会、具体的には通信・放送委員会ということを、昨年に続いてことしも法案を提出しているところでございます。
 そういった意味では、今の許認可権を握っておられる総務大臣、総務省との具体的なやりとりがあるんだということからいうと、私は民間放送事業者は外すべきだと思いますが、これからの、その指定公共機関にNHKそれから民放が指定された後のやりとりについては、殊さら報道の自由、取材の自由などを有事の際には万が一にも制限はしないんだというようなことを、そういった危惧を抱かないようなやりとりをぜひ心していただきたいというふうに思うんです。この点、担当大臣、いかがでしょうか。

井上国務大臣 
これは武力攻撃事態対処法の中にも書いてありますし、国民保護法制の中にも書いておりますけれども、言論の自由には特に十分な留意をして対応していきたい、こんなふうに考えている次第でございます。

武正委員 
ある面、この指定公共機関の指定というのはお願いベースだというふうに私は理解をしております。
 つまり、先ほど総務大臣が答えたのは、どちらかというと、否定はされましたが、制約のようなお話、担当大臣が答えられたのは、いろいろと有事の際に放送をお願いしたいんだ、警報をお願いしたいんだ、そういったお願いベースの話、そういった面で、ある面、指定公共機関に協力を求めていくという立場にある政府にあって、取材規制のようなお話もいろいろ出てくるということはやはりあってはならない。お願いベースで、政府として有事の際に御協力をと、国民に対しても協力をと求める本法であるのであれば、やはりその姿勢は今問われるというふうに思うのでございます。
 さて、本当は、消防団や、特に都道府県知事を通じた市町村ということでございますが、政令指定都市の扱い等についても聞きたかったんですが、ちょっと時間の関係がございますので、ACSAに移らせていただきます。
 まず、先ほど来触れておりますが、このACSAでも通信というものが出てまいりますが、米軍に役務の提供、通信ということがありますが、この通信に航空管制は含まれるのかどうか。
 それから、沖縄の嘉手納ラプコン、これは返還返還といいながら、結局、返還もされていないんですけれども、この返還はいつになるのか。
 あわせて、これは通信とは若干離れますが、自衛隊による米軍の空域の使用というものは、いわゆる有事の際、可能なのかどうか、あるいはこのACSAの改定によって可能となるのかどうか。
 以上三点、お聞きしたいと思います。

川口国務大臣 
たくさんの御質問がございました。
 まず最初の、ACSAの通信に航空管制が含まれるかということですけれども、ACSAの五条二項に「通信」とございまして、付表1にその内容が規定をされているわけでございます。それで、その付表1によりますと、「通信設備の利用、通信支援、通信機器及びこれらに類するもの」というふうになっています。航空管制はこれには含まれないというふうに解されているということでございます。
 次に、嘉手納ラプコンについて、いつ返還をされるのかということでございますけれども、これは、平成十二年三月に、コーエン前国防長官より、返還に同意をするという御発言があって、それを受けまして、民間航空分科委員会のもとで専門家レベルの特別作業部会が設置されて、そこで御議論をいただいている、具体的なことについて検討している、そういう状況にございます。平成十四年五月には日米間で進入管制業務に関する運用所要について合意をするなどございまして、返還に向けた作業は進んでいます。
 外務省といたしまして、これは今後、国土交通省と協力をしていくということでございますけれども、そういった形で鋭意取り組んでいきたいというふうに考えております。いつかということについては今の段階で申し上げるということはできない、国土交通省と協力をして外務省としては取り組んでいくということでございます。
 それから、自衛隊による米軍の空域の使用は可能となるかということで、これはむしろ私がお答えするよりも防衛庁長官にお答えしていただいた方がいいのかもしれませんが、その自衛隊による米軍の空域の使用ということの意味ということが若干わからないところがございますけれども、米軍が進入管制の業務を実施している空域において自衛隊の航空機が飛行するという観点から申し上げますと、これは今までも行われてきたということでございまして、これはACSAの改正と直接に関係はない、そういうことでございます。

武正委員 
この航空管制そしてまた嘉手納ラプコンの話も含めて、これは以前から指摘があって、日本の空の使用が米軍に、制限空域も設けておることとともに、皆様御承知のように、那覇空港に着陸するときに遠距離からずっと低空で入っていかなければならないということはもう皆様御経験だと思いますが、これは嘉手納ラプコンの存在があるゆえでございます。もう平成十五年や十六年に返るんだというようなこともある面言われたところなんですが、一体どうなってしまったのかといったところも指摘されるわけであります。
 日本の空、航空管制も含めてなんですけれども、これから有事の際に、米軍がさまざまな形で、自衛隊の使用している空域の使用あるいはまた自衛隊から米軍へのACSA、物品または役務の提供、こういったことが予想される中で、平時における、今における米軍の説明責任を、米軍は多分、説明責任を十分果たしたい、そういった姿勢だというふうに、先ほど触れた在沖米軍四軍司令官でも感じておりますが、それのもしかしたらバリアになっているのが日本政府じゃないかというような危惧がないように、この際、この有事関連七法案三条約の際に、こうした日本の空でありながら日本が非常に不自由を来しているこの嘉手納ラプコンなどの返還等、これは速やかに進めていくべきだというふうに私は考えます。
 そこでまた、このACSAでございますが、第六条第一項に「国際の平和及び安全に寄与するための国際社会の努力の促進、」というのはなぜ入れたのか。
 これについて、三月十日、参議院予算委員会で、川口外務大臣は、「地震などの大規模の災害や邦人救出が必要となるような緊急事態に際しての活動」「自衛隊が米軍より物品役務の提供を受けることを可能にするもの」、日本側が主体的に考えている、こういった答弁がありまして、ある面、米国から言われたからやったのではありませんよ、そういうようなニュアンスの御答弁でありますが、相互の物品、役務の提供協定でありますので、当然、日本からの米軍への提供もあるわけなんですけれども、こういった答弁をされた真意というものをちょっとお聞かせいただけますか、外務大臣。――意味がわからないですか。
 外務大臣の答弁では、日本側が主体的に考えているというような答弁を参議院でされまして、ACSAというのは相互の物品、役務の提供でございますよね。でも、日本側から、日本側が主体的に考えているんだということなんですが、これは相互でありますから、当然、米国からも、役務を提供してくださいと。これは相互での改正だというふうに思うんですが、日本側から、日本側が主体的に考えているというふうに答弁された真意を聞きたいということであります。

川口国務大臣 
舌足らずであったところがあったのかもしれませんけれども、ACSAの協定というのは相互に提供する枠組みであるわけでして、我が国からいえば、我が国が提供する立場ということに立っていえば、これはもちろん要請があって、その上で、それに対してこたえることができるということを書いてあるわけですね。したがって、それをしなくてもいい、要するに、するかどうかということは我が国の主体的な判断ということで申し上げたのではないかと思います。
 そのときのコンテクストを今きちんと記憶しておりませんが、もしそういうことであれば、そういう趣旨を申し上げたということであります。

武正委員 
今回、付表2の中に、テロ特、イラク特、これを加えて、しかも、この修正は、政府が国会に諮らずとも付表の修正はできるといったことでありますし、先ほど触れましたように、「国際の平和及び安全に寄与するための国際社会の努力の促進、」こういった項目が加わったということで、私は、ある面、米軍と自衛隊が世界各国まで、ともに、いわゆる後方支援、物品、役務の提供、これがもう世界じゅうまでできるんだ、この「国際の平和」云々かんぬんが入ったことによってというふうに解しているんですが、そこまではやり過ぎじゃないかというふうに思うんですが、この点、お答えをいただけますか。

川口国務大臣 
場所的な意味でいいますと、それは六条あるいはその前の三条というのもそうかもしれませんが、どこでもできるということであるということです。
 それで、では、それがやり過ぎかどうかということをおっしゃっていらっしゃるわけですけれども、ACSAは、これは提供あるいは受領する手続の枠組みを決めたものでありますから、当然、ACSAにも書いていますように、我が国が提供するとしたらば、それは我が国の権限がある場合にのみ行うことができるということで、それを可能にする国内法が必要であるわけです。国内法の際に、そういった提供をするということが適切かどうか、そういう判断を国会において十分にしていただいているということでございます。
 したがって、何かそこで問題があるかといえば、国会での御議論の際にその問題はきちんと議論されるわけでございまして、何ら問題はないというふうに考えております。

武正委員 
先ほど触れたことがあるものですからまた聞かなきゃいけないんですが、付表2はテロ特、イラク特と出ておりますが、この修正は国会に諮らずとも修正できるんじゃないですか。つまり、その適用範囲は国会に諮らずとも世界じゅう各国に広がっていく可能性は十分あるというのがこの条約の解釈ではないでしょうか。いかがですか。

川口国務大臣 
おっしゃっていらっしゃるのは、付表2に書き込めばいいではないか、その書き込む段階において国会の審議を経ていないではないかということでおっしゃっていらっしゃるのかもしれませんが、これはその十二条できちんとそういうことを政府が行うということを授権しているわけでございます。まさにそのACSAを今御審議いただいているということでございまして、政府ベースで付表に書くということについては全く問題はないというふうに考えております。

武正委員 
いや、さっき、だから国会に諮るんだというふうに言われたので、国会に諮らなくてもいいんでしょうと言ったら、今、大臣は、そうです、授権をされているから大丈夫なんですと。答弁が二転三転しているんですが、いかがでしょうか。

川口国務大臣 
いえ、全く二転三転しておりませんで、ACSAというのは、相互に提供する手続、これを決める枠組みですね。それに基づいて何かができるかということについては国内法が必要であって、国内法の議論をしていただいているわけです。そして、国内法の議論を国会でしていただいた上で、それについて、ACSAに基づいて提供できるということを付表2に書き込む。付表2に政府が書き込むことがなぜできるかということは、ACSAの十二条で政府にこれを授権しているということでありまして、全く行政ベースで付表2に書き込むということは問題がないということを申し上げているわけです。

武正委員 
わかりました。
 続いて、緊急事態基本法について、ちょっと移らせていただきます。
 お手元に先ほど資料をお配りさせていただいて、一番最後にございます。これまで内閣官房に設けられた官邸対策室、官邸連絡室、平成十年からことし平成十六年まで。
 昨年の十一月でございましたでしょうか、既に官邸連絡室はもう廃止をして官邸対策室一本化ということでございますが、過去の日本の危機管理、近年でございますが、例えば日航機ニアミス事故、これは国交大臣に連絡がおくれたという指摘がありますが、航空事故であるから、ここには当然、連絡室などつくられておりません。えひめ丸事件、これはここでいいますと二月十日ですね。平成十三年二月十日は、これを見ていただくように、連絡室を設けています。それから不審船事件、これは同じく十二月二十二日、このときも連絡室であります。翌年の平成十四年、ここにはいわゆる瀋陽総領事館事件は載っていない、つまり連絡室も対策室もつくられなかった。そしてまた、ことし、この三月でありますが、尖閣諸島不法上陸も当然のように、当然のようにというか、何もつくられなかった。
 こういったことでございますが、過去、連絡室、対策室をつくる、つくらない、こういった判断というのは一体だれがしてきたのでしょうか。これは担当大臣になりますでしょうか。

井上国務大臣 
まさに官邸が判断をするということでございます。

武正委員 私はだれがというふうにお聞きしたので、お答えをいただきたいと思います。

井上国務大臣 
官邸で、もちろん形式的には内閣総理大臣ということでありますけれども、官房長官がそのように決めるということでよろしいと思います。

武正委員 
この対策室、連絡室をどうするかというのは、官房長官が決めているということで本当によろしいんでしょうか。官房長官の判断で、対策室にしたり連絡室にしたり、あるいは尖閣のように何も設けない、あるいは瀋陽総領事館のように、なぜか外交案件が多いんですが、何も設けない、これは官房長官が決めているということでよろしいんでしょうか。

井上国務大臣 
官房長官と連絡をとりつつということでいいと思いますけれども、危機管理監が決める、これはそのような制度にはなっております。


武正委員 
危機管理監が判断をされて、何を連絡室、対策室にするか、あるいは設けるか設けないかを決めてきた。また、今は連絡室はなくなった、対策室のみを設ける、設けない、これは警察庁出身の危機管理監が決めているということでございます。
 そうした中で、過日の尖閣への不法上陸、これは対策室は未設置でございますが、実際、このときに、沖縄県警から内閣官房に、あるいは、ここで申しますと、資料の二ページ目、三ページ目、四ページ目に絵が出ておりますが、「初動対処の流れ」というのがありますから四ページ目をごらんいただいて、既に委員会に提出されている資料でございますが、内閣情報集約センターに集まってきて、ここからそれぞれ第一報が行くようになっておりますが、要は、内閣危機管理監が、ある面、その判断に大変重要な役割を担っているということがわかったわけですが、このときは内閣官房に沖縄県警からいつ連絡があったのか、これをお答えいただけますでしょうか。

井上国務大臣 
内閣官房が海上保安庁から当該事件の第一報を受けましたのは、三月二十四日の午前七時四十八分ごろでございます。

武正委員 
これは外務委員会で外務大臣にも私は何度もお聞きをしたんですが、外務大臣から、答弁の中で、内閣官房ほか政府各所から外務省には、今回の強制送還も含めて、どのような対応をするということはいろいろ、相談もなかったのかどうかということに対して、「この七人に対して政府としてどのような対応をするかということについては、御相談はあずかっていません。」ということが外務委員会の外務大臣の答弁であったわけなんですけれども、これはそのとおりでしょうか。外務省には一切連絡をとっていない、相談もしていないということで過日の尖閣諸島不法上陸への対応をされたということで、担当大臣、よろしいでしょうか。

井上国務大臣 
この尖閣列島に関しましては、省庁の連絡体制があらかじめございまして、それは外務省、法務省、警察庁それから海上保安庁、この四省庁で連絡体制がありまして、相互に情報を共有しているということであります。その中心に内閣官房がありまして、内閣官房にも、だから最終的には内閣官房で情報を集約する、こういうことになっているわけでございます。
 川口大臣の御答弁は、それは、今大臣いらっしゃいますのでお聞きになればと思いますけれども、連絡は受けておられるとは思うのでありますけれども、具体的な最終の決定については直には関与しなかった、そういう御趣旨じゃないかと思うのであります。
 あとは、詳しくは川口大臣に一応お聞きいただきたいと思います。

武正委員 
外務大臣にお聞きをしたいんですが、ちょっと時間の関係もありまして。――では、手短にぱっとお答えいただけますか。

川口国務大臣 
まさにそういうことを外務委員会で申し上げていたわけです。

武正委員 
この三月三十一日の段階での外務委員会では、およそそのような理解はされませんでした。先ほど触れたように、「この七人に対して政府としてどのような対応をするかということについては、御相談はあずかっていません。」というような答弁でありましたので、日本の危機管理、特に外交案件がかかわるところは外務省はオミットされているんじゃないか、そんな危惧を抱いたんですが、それはないということでもございます。また、外務省からも内閣官房にいろいろな方が入っておられるようなので、外務省にも適時適切相談があっての強制送還であったというふうに判断をさせていただきます。
 では、最後でございますが、危機管理についてでございますが、私はやはり、首相の権限と責任というものを明確にしていく必要があるのではないかな、緊急事態基本法に盛り込むべきではないかなというふうに思っております。
 というのは、国家行政組織法では「内閣の統轄の下」と書かれ、あるいは内閣法では首相が「指揮監督する。」というような書きぶりでありますが、これはいろいろ調べてみると非常に弱い。やはり有事の際に、首相が適時適切に判断をして、責任を持って、そして、当然、権限を行使する、これがなければいけないだろうというふうに思うんですが、そのためには、日ごろからの、この今の日本の体制が、いわゆるつかさつかさ、大臣にそれぞれの省庁のいろいろなことは任せる、ある面、もう最後どうしようもなくなったら首相官邸に情報が上がるような過去の危機管理のこういった体制は非常にまずかろうというふうに思いますので、これから、今与野党で御論議のあるこの緊急事態基本法については、首相の権限と責任というものの明確化に加えて、内閣法の指揮監督をさらに上回るような行政各部への権限、責任、こういったものが首相に与えられていなければならないだろうというようなことを思うんですが、これは、最後、大臣、お答えいただけますか。

自見委員長 
手短にお願いいたします。

川口国務大臣
一言、念のためですけれども、私が申し上げているのは、先ほど井上大臣もおっしゃいましたけれども、情報の共有等についての連絡はもちろん受けている、最後の判断として、最終決定の判断として強制送還をする、入管に引き渡すということについて、外務省は、私も含めてですが、全く相談にあずかっていないということを申し上げているわけでございます。

井上国務大臣 
内閣総理大臣に、有事の場合、権限を集中いたしまして、適時適切といいますか、迅速に決定すべきだという議論があることはもう十分承知をしているのでありますが、どうも今の現行憲法からいきますと行政権は内閣にあるということで、せんだっても首藤委員から、プーボワールエクセプシオネールなんというのはどうだなんというような話がありましたけれども、今の憲法のもとでは、ああいったことが、法制局長官が答えておりましたように、なかなか難しいんじゃないかということでございますが、ただ、御指摘の点、どうせ基本法の与党と民主党との協議の中ではいろいろな議論が出ると思うのでありますが、その中でも十分ひとつ御検討いただきたいと考えております。

武正委員 
以上で終わります。ありがとうございました。

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