2004年6月3日 【総務委員会】

武正委員 
民主党の武正公一です。きょうは一般質疑ということで時間をいただきましたが、四月十三日、本委員会で我が党の山花委員が取り上げました山形テレビの自民党山形県連の制作番組、広報番組ですね、この件について質疑をさせていただきたいと思います。
 
四月十三日、山花委員が総務大臣に、これは放送法上好ましくないのではないかということでお聞きをいたしまして、そのときに総務大臣の見解、今そろそろ二カ月になるわけでございます。その間、山形テレビからも、当委員会の理事会に事のてんまつあるいは番組審議会の意見等提出をされているわけでございますが、あのときの総務大臣の見解とすれば、次のように述べておられます。
 
政党作成の広報番組は直接禁止する規定はない、誹謗中傷がないとそれを放映しちゃいかぬという規則はない、そこで、公平性ということになるものだから、どうですかと行ったというのは、要は民主党や公明党にも聞いたんですよと。基本的に放送事業者が自己責任において判断すべき種類の話だと思いますけれども、基本的には、放送法というものがある以上、公平性を欠かないように配慮することは極めて大事なところだと思いますと。
 
これで山花委員は、やはりそれはおかしい、お金を払って持ち込めばいいという話はおかしいんじゃないか、これはまた理事会で御協議をということを言っておるんですけれども、二カ月たちまして、総務大臣、この自民党山形県連の広報番組、これが放送されたことについて、放送法上問題があるのではないかということについての御見解を改めてお聞きしたいと思います。

麻生国務大臣 
基本的には、放送の自主自律の仕組みとか政治的公平の遵守の必要性についてあのとき述べたと記憶します。四月十三日の意見で、委員会での答弁は、我が国放送法は、憲法の表現の自由の保障規定を受けて、放送事業者の自律的な取り組みを通じて放送番組の適正を図る仕組みとなっているというように答弁をしていると思うんですね、議事録を見ていただければそうなっていると思うんです。
 
そして、政治的公平というものが放送法で定める極めて重要な番組制作の上の基準の一つということになっていますから、そういった意味では、放送事業者がその法律を遵守すべきことは当然のことだという趣旨を申し上げたものでありまして、現時点において変わったかと言われれば、その考えには変わりはございません。

武正委員 
だから、個別具体的にこの自民党山形県連が広報番組を八十五分間流したこと、山形テレビの行為、これが放送法に抵触するおそれあり、こういったことで私どもは問題視しているんですが、この個別具体的な自民党山形県連の広報番組を放送したことについて、これについては大臣としてどのようにお考えになられますか。

麻生国務大臣 
これは三条の二の第一項第二号の政治的に公平であることということで、基本的には、不偏不党の立場から、政治的に考えても偏ることなく、放送番組全体としてのバランスがとれたものであるようにしておかないかぬということだと思っておりますので、政治的に公平であるとの判断は、一つの番組ではなくて、その当該放送事業者の番組全体を見て判断をする必要があるというぐあいに考えております。
 
したがいまして、これを踏まえまして、総務省としては山形テレビから事実関係というものを、山形テレビとしての考え方を伺っている最中でありますので、現段階でどうかと言われれば、総務省としてまだ最終判断をするには至っていないということだと存じます。

武正委員 
最終判断といったって、もう放送されていますし、この間、四月十三日に大臣に意見も聞いていますし、山形テレビからもちゃんと報告がある。
 
手元の資料を御用意させていただきましたが、「写」と書いてあるのと「番組審議会議事録」というのは、それぞれ当委員会の理事会に提出された資料でございます。それから、私が総務省さんにお願いをして、総務省情報通信政策局、六月一日付ということで、「山形テレビに対する総務省の対応経緯」、これが一番上に載っておる資料。こういった形で、総務省としてはもうやりとりを頻繁に山形テレビとしてまいっているわけなんですね。
 
この時点でまだ最終結論が出ていないということを言われましたけれども、結論じゃなくて、大臣としてどのようにお考えなのか。三月二十日に山形テレビが自民党山形県連特別番組を流したことについて、今政治的公平性ということを言われましたけれども、政治的公平性ということであれば、つまり、民主党や公明党に対して投げかけをしたけれども、その意思確認をしないまま放送したこと。
しかも、その時期が三月二十日ぎりぎりであったがために、今さら民主党、公明党、やりますよ、やりたいですよと言っても、もう三カ月以内、つまり選挙告示の三カ月以内ルールにのっとって放送できない。こういったところは、では政治的公平性を欠いていたというふうに認識をされているんですか、お答えをいただきたいと思います。

麻生国務大臣 
基本的には、初めてのケースでもありますので、慎重に審議をしておると御理解いただいたらよろしいんじゃないでしょうか。

武正委員 
いや、審議をしているんじゃなくて、私は総務大臣の見解を聞いているんです。総務大臣の見解をお答えいただきたいと思います。つまり、では、審議中であるからいいも悪いも言えませんというふうなお答えなんでしょうか。

麻生国務大臣 
基本的には、自分の個人的見解で事が決められますかね、この種の話。私の個人的見解を聞いて何の参考にされるのかよくわからぬのですけれども、私の個人的見解を言うことによって判断がゆがんだ方向に行くのも控えておかないかぬところだと思います。個人的見解を聞いて何の参考にされるのかよくわかりませんけれども、この話で私の個人的見解をと言われても余り意味がよくわからぬのですが。

武正委員 
私は個人的見解なんか聞いていないんですよ。総務大臣としてどのように御見解があるのかをお聞きしているんです。もう三月二十日に放送されて、当委員会で四月十三日に取り上げて、あのときにちゃんと答えておられるんです。ですから、個別具体的に御見解を総務大臣としてお答えいただきたい。

麻生国務大臣 
最初にお答え申し上げましたとおりに、この事件に関しましては、知り得る限り初めての例でもあります。こういう例はほかにありませんので、放送番組の放送の自由とか、そういったことに直接かかわりある問題でもあることから、これは、総務大臣、行政を預かる者としては慎重に判断を行っていくということだと存じます。

武正委員 
冒頭挙げましたように、四月十三日にこのように総務大臣は山花委員に答えているわけですよ。もう一回言いますよ。
 
つまり、政党作成の広報番組を直接禁止する規定はない、誹謗中傷がないとそれを放映しちゃいかぬという規則はない、そこで、公平性ということになるものだから、要は民主党や公明党にどうですかと聞きに行ったと。基本的に放送事業者が自己責任において判断すべき種類の話だと思います、けれども、基本的に、放送法というものがある以上、公平性を欠かないように配慮することは極めて大事なところだと思いますと。
 
ですから、このときのこの御答弁と今もお変わりありませんかと聞いているんですが、いかがでしょうか。このように御発言されているんですが。

麻生国務大臣 
先ほども、その点につきましては一番最初にお答え申し上げたと思いますが、山形テレビとしてとった措置が番組全体として政治的公平を確保する上で十分なものだったかどうかということを中心に今後検討していくというふうにお答えを申し上げて、審議を受けて、私ども役所としては、それを慎重に審議しておるというように御理解いただいたらよろしいんじゃないでしょうか。

武正委員 
では、この四月十三日の御答弁はそのままということで承ります。
 
この答弁でいきますと、さっきも言いましたように、民主党、公明党には投げたんだけれども、その返事が来る前に、要は、返事も聞かずに自民党の広報番組だけ流した。これについての公平性は問題があるけれども、基本的には放送事業者が自己責任において判断すべき種類の話だというふうに答えておられますが、では、その認識も今も変わらないということでしょうか。

麻生国務大臣 
基本的には、番組をつくるに当たりまして、向こうから持ち込まれた話に対して、他党に関しても一応それを伺ったという点においては、公平を期そうと努力した点は確かだと思います。しかし、結果が出てくる前に放送したのは軽率だったのではないかという点はいろいろ御意見が出てくるところだと思っております。

武正委員 
この間の委員会でも山花委員が聞いているように、百七十万円の帯のお金と、それから、番組を制作する費用はもっとその何倍にもなるだろうということなんです。つまり、政党にとってはお金がなければそうした番組はつくれないわけなんですね。
 
ですから、自民党さんはそのお金を持って番組をつくって持ち込んだわけですけれども、では、民主党や公明党の事前にちゃんと返事をとっていれば流していいのかというと、民主党や公明党、公明党さんはわかりませんが、民主党がそれだけのお金をこの番組に充てることはなかなか財政上できないというふうになった場合、それでも、公平性から一応聞いてだめだという返事があったから自民党だけの広報番組を流しました、もしこういうケースだったら、それは自主性ということで認められるというふうにお考えですか。

■田端副大臣 
御指摘の点は、政党広報番組の放送について財政的基盤の程度によって政党間に格差が生じるものではないかというふうに理解をしておりますが、放送事業者が放送法に基づいて番組の編集を行う際には、政治的公平を確保するということが求められるということはそのとおりだと思います。
 
しかし、御指摘の点につきましては、放送事業者が自主的判断に基づいて番組の編集を行う際に考慮する要素の一つであった、こういうふうに認識しております。

武正委員 
考慮する一つであったというのはちょっとよくわからないんですが。私がさっき聞いたのは、では、民主党、公明党が、やはりお金が払えないし、公明党さんはわかりませんよ、民主党から、払えません、だからこれにはちょっと乗れませんという返事が来ても、その自民党の広報番組を流すということが行われた場合は、これは問題がないというふうにお考えでしょうか。

■田端副大臣 
先ほども申し上げましたとおり、これは放送事業者の自主的判断に基づく問題でありまして、そういう意味では、私たちとしては、そういうことも考慮する判断の一つとしてその要素にあるんだろう、こういうふうに認識しております。

武正委員 
よくわからないんですよ。だから、民主党が断って、それでも自民党の広報番組を流すということは問題がないというふうにお考えですかと聞いているんです。これは副大臣、お答えください。私は政治家のみにお答えをいただきたいと思います。

■田端副大臣 
何回も繰り返すようですが、事の経緯はいろいろあったかと思いますし、私も公明党の人間でありますから、御趣旨、おっしゃっている意味はわかります。しかし、放送事業者の方での自主的な判断があるわけでありまして、それをこちらの方、例えば公明党の側として、今私の立場としてどうだということは言えない、こういうふうに思います。

武正委員 
いやいや、だから総務省としての御見解を伺っているんですよ、総務省としての。総務大臣、いかがですか。

■武智政府参考人 
法律の仕組みと事実関係についてですので、私の方からお答えをさせていただきたいと思います。
 
先ほど来、大臣並びに副大臣から放送事業者の自主性ということを言われておりますが、もう既に御案内のところだと思いますが、放送法というものは、憲法二十一条の表現の自由を受けまして、放送法三条において編集の自由が規定をされ、編集基準をみずから定め、それにのっとって放送をするという仕組みから考えれば、まず一義的には、放送事業者が物を判断するべきであろうということを申し述べているということであります。
 
それから、ただいま、お金があった、ない、そして民主党は断る、断らないという話がありましたが、この報告書について申し上げれば、山形テレビにおきましては、機会均等の配慮という観点から、民主党、公明党にも企画提案をしたということでございますが、それに対して、公明党並びに民主党からはその企画提案を受けるという話が来ていないわけでございます。そのことに関しましても、結果的に平等を図れなかったことについては配慮が足りなかった、そういう言い方をしているということであろうかと思います。

武正委員 
いや、山形テレビの話じゃないんですよ。総務省として聞いているんです。私は、大臣、副大臣にお答えをいただきたいということで事前に通告をしておりますので、総務省としての御見解をお答えいただきたい。
 
すなわち、では、民主党から断りの返事があったのならば、それはもう広報番組として流していいというのが総務省の御見解かどうか。大臣、副大臣、お答えをいただきたいと思います。

麻生国務大臣 
内容にもよるんじゃないでしょうかね、基本的には。金がないからできない。本当に金がないんですか。いや、効果がないと思っておられるから流されない。いや、こっちは効果があると。では、おれのところはどうかなというところはこれは各党いろいろなんだと思います。
 
その内容が他党に対する誹謗中傷というような番組の内容だったら、それは金を払ってもどうかなと。いろいろな判断をされるのは、一義的には放送事業者がされるところだろうと思いますし、放送事業者にとりましては、それによって利益を得られるということになるんだと思うんですね。その利益を得られることに関して、それを一方的にとめる、内容はといえば、極めて公平だったといったときの判断というのはなかなか難しいんじゃないでしょうか。
 
私は、そこのところは、ちょっと仮定の問題に関してお答えするのはいかがなものかと思ってはおります。

武正委員 
放送法で政治的公平ということが言われているわけですね。その放送法の遵守を監督する官庁が総務省でありますし、何といっても電波法というのは、五年で電波の更新というものは、総務大臣が、いや、これは更新しないと言ったらもう更新できない、大変強い権限を総務大臣は放送局に対して有しているわけですね。
 
その総務大臣から、今、そういった御見解で、要は放送局の自主的な判断だ、内容が問題なければ流してもいいじゃないか、金がないなんというのはどうなんだ、効果がないと思っているからじゃないかというふうなお話ですけれども、お金があればこういう番組がつくれて、そして流せるのであれば、私は、やはり政治的公平性、不偏不党というものが欠けてくるおそれが多分にあるというふうに思うから問題にしているわけでございます。
 
そこで、放送法五十二条にもこのような規定があります。これはいわゆる選挙を目的としたところなんですけれども、候補者放送、「一般放送事業者がその設備により又は他の放送事業者の設備を通じ、公選による公職の候補者に政見放送その他選挙運動に関する放送をさせた場合において、その選挙における他の候補者の請求があつたときは、料金を徴収するとしないとにかかわらず、同等の条件で放送をさせなければならない。」つまり、お金を払わなくても、いわゆる候補者放送については要求があれば流さなきゃいけない。これは政治的公平性をやはり放送が担保する、こういったところからこの五十二条もあるわけなんです。
 
そういった点もかんがみますと、いろいろその過程で非常に政治的公平性を欠くやり方があったというふうに百歩譲ったとしても、やはりお金を出せばこうした政党の放送番組がつくれて、そしてそれを流せる。しかも、広報番組と見まがうというんですかね、最初に広報番組というのがぽっと映って、一番最後に広報委員長がその旨を説明する、あとはもう本当に山形テレビの自主制作の番組ではないかというふうに疑うような、そういった内容でもあるわけですよね。
 
総務省としての御見解を、仮定の質問ではありません、現実に起こった、今起きていることでありますので、今の私の質問、お金があれば、政党として番組をつくってそれを流すことは構わないという御見解でしょうか。この山形テレビに関してお答えいただきたいと思います。

■田端副大臣 
委員御指摘のこの第五十二条は、おっしゃる意味もよくわかりますが、しかし、これはよく読んでみますと、選挙期間中における放送のあり方、こういうことでありまして、ここにも、選挙運動に関する放送をさせた場合、その選挙における候補者の請求等、こういう表現、あるいは候補者の政見放送その他選挙運動に関する放送、こういうことで述べられておりますので、同等の条件で放送、あるいは金銭的に同等の負担という意味では、これは選挙の期間中ということで限定されている規定だという認識でございますが、おっしゃる趣旨はよくわかっております。
 
先ほどから申し上げているように、それは昨年……(発言する者あり)これは、そういう意味では、放送事業者の自主的な判断というものが第一義的に考えられるということを何回も申し上げているとおりでございます。

武正委員 
お手元のこの山形テレビの報告の書類の四ページに「政治的公平に関しまして慎重さと配慮に欠けておりました。」という報告があるんです。
 
この政治的公平というのは、先ほど来話があるように、民主党、公明党に投げたけれども、その返事を待たないまま放送したということなどを含めた、この上に書いてある一、二、三といったことであって、これがちゃんと整っていれば、山形テレビとして自主的な判断として行うことは一向に構わないという御判断でしょうか。先ほど来、放送事業者の自主的判断、自主的判断と言われておりますが、そのように理解してよろしいんですか。

■田端副大臣 
この報告書は、放送した後の結果として、公明党あるいは民主党が放送する見通しのないまま放送したことに対して、自民党のみ放送したことに対して、山形テレビとしては不適切な放送対応をしたということで、慎重さと配慮に欠けていたというのが山形テレビの趣旨である、こういうふうに判断しております。

武正委員 
順序を変えてここでちょっとお聞きをしたいんですが、山形テレビ、山形テレビと、自主的な判断だというので、お手元にこの山形テレビの番組審議会の議事録が配付をされております。
 
いわゆる番組審議会というものは、放送法に、やはり公平公正な放送、公共の福祉に反しない等、そういった意味で、各局に番組審議会という第三者機関、チェックですね、放送法第三条の四、「放送事業者は、放送番組の適正を図るため、放送番組審議機関(以下「審議機関」という。)を置くものとする。」ということでございますが、この議事録をちょっと私も拝見させていただきました。
 
また、お手元には審議会の委員の名簿も同じく配付をしておりますので、これを突き合わせながらぜひ御参照をいただきたいと思います。
 
そうしますと、まず、最初は何か報道ステーションの方のいろいろやりとりがありまして、十七ページから山形県連特別番組の「三宅久之のどうなる山形!」の議論に移っていくわけでございます。
 
冒頭、専務から報告がありまして、そして議論が始まる、意見交換が始まるということで、十九ページ。まず阿部委員、地元のホテル経営者でございますが、一番最後、「勉強になる番組であったと感じます。」もちろんその前には、最後に自民党の広報委員長がコメントされる、それを見ない限り、一時間半の番組ですから、一体これは何だろう、もしかしたらいたのかなという気がしますということは言っておられますが、勉強になるということで、阿部さんは丸と評価をされている。
 
酒井さん、地元の博物館の学芸員です。これも、二十ページでありますが、上から五行目、「非常に身近なものが分かりやすく見ることができた番組だったと思います。」
 
続いて岡崎委員、岡崎さんは地元のやはりホテル経営者、JCの理事長でもあります。一行目ですね、岡崎委員、「全体的にみれば、すごくいい内容の番組だったと私は思っています。」これはもう二重丸の評価。
 
続いて杉山委員、地元JAの本部長さんですが、この方は二十一ページの下から三行目、「山形テレビが自民党の今のコマーシャルをやったという英断は評価できると私自身は思います。」二十二ページ上から八行目、「よくぞ山形テレビが風穴をあけてくれた、という部分も、ある意味で評価できるのではないか」、この方も二重丸の評価であります。
 
続いて寒河江委員、山形新聞社の方ですね。「公平、中立を欠いたと、不適切な放送となってしまったということを、社側として認識されているということ、私はこれで十分じゃないかというふうな気がいたします。」というようなことで、二重丸か丸かどちらか。
 
二十三ページ、斉藤委員、朝日新聞の方ですね。この方が、二十四ページ上から七行目、「社内考査をして問題ないという判断だったとすると、やはりその当時の判断はどこか問題があったんじゃないかと言わざるを得ないですね。」この方はやはりバツというふうに言っております。
 
そして二十五ページ、委員長さんの発言、上から九行目、「やはり、私も一言で言えば、山形テレビさんは今回の放送のことを考えると軽率であったというそしりは免れないだろうと思います。」
 
やっと斉藤さんと委員長が問題ありというふうに言っているんですが、先ほどの杉山委員は、二十六ページ、ちょうど真ん中辺ですが、「時代的に早すぎたのかなと。ただ、あと二、三年したら、もっと自由にこういうものが意見として出てくる場面もあるだろう、」こういったことを言っているわけなんですね。
 
この番組審議会、機関が、適正な放送を担保するためにチェック機関としてあるわけなんですが、この山形テレビの番組審議会の委員の方々の御発言、今御紹介をさせていただきましたが、大臣、これを聞かれてどのように思われますか。

麻生国務大臣 
番組審議会というのは、いわゆる番組編集の自由というものを考えて、放送事業者が番組を制作する方以外の方の評価をいろいろ聞くためにつくっておられるものでしょう、私よく知らないけれども、多分そうだと思うんです。
 
その審議会において自由濶達な意見がなされたということが外部に出されたということもいいことだと思いますが、その審議会の個々の委員の発言についてどう思うかというのを行政府の立場でコメントする立場にはないと思います。

武正委員 
先ほども触れたように、放送法の三条の四でこういった審議機関が置かれている、その審議機関としての持つ意味の重さ、私はこのことを今総務大臣に申し上げたかったのであります。
 
さて、もう一度質問をちょっと当初のものに戻しますけれども、民主党、公明党には提案をして、共産党、社民党さんになぜオファーをしなかったのかということについて、先ほどの山形テレビの報告書には、ちょうど五ページに出ておりますが、「この時点で共産党と社民党に県選出の国会議員がいなかったためです。」というふうに言っているんですね。
 
それで、この番組には県議会議員さんもたくさん出てこられるので、山形県の県議会の構成を、これは副大臣、お答えいただいてもよろしいでしょうか。山形県議会の議会の会派の構成についてお答えをいただけますか。

■田端副大臣 
県会四十六名で、現会派、自民党二十七名、二十一世紀の会十五名、公明党一人、共産党一人、無所属一人。四十五名、欠員は一になるのかな。その二十一世紀の会の内訳が、社民党四、それから民主党一、無所属十、こういうふうになっております。

武正委員 
今のお答えで、民主党と公明党が一、一というお話でございます。
 
それでは、先ほどの山形テレビの報告書、三ページの下から五行目をごらんいただきたいと思うんですけれども、「当社で番組考査を担当する編成業務部内で、二月中旬に構成台本を考査いたしました。民主党と公明党にもプロモートしている段階であり、この構成案が基本になるとの認識でチェックを行いました。その結果、内容に特に問題は認められませんでした。」
 
つまり、構成案というのは、この山形テレビの内容は、すなわち国会議員さんと県会議員さん、かなりイコールに近い形で番組として構成をされております。
 
ところが、先ほど触れたように、山形県議会では、自民党が二十七ですけれども、民主、公明は一、一と議席が一人ずつしかないわけなんですね。そうすると、この二月時点で、この構成案でもういくんだ、民主党、公明党にもこれでいくんだというわけなんですけれども、どう見ても、県議会のその議席数の配分からいったら、やはり今回の提案というものは自民党ありきの提案であったのではないのかというふうに疑うところが大のこの山形テレビの三ページの記載なんです。この点、副大臣、私の考え方はいかがでしょうか。

■田端副大臣
これはどういうふうに判断されているかわかりませんが、県会でいけば、確かに一、一ということであります。
 
しかし、山形県出身の国会議員ということになれば、私ども公明党の方にも一人参議院議員がいるものですから、そういう意味では、山形選出国会議員のいる政党という考え方でやられたのかなというふうに私は実感として感じております。

    〔委員長退席、左藤委員長代理着席〕

武正委員 
先ほどの「写」という、山形テレビの出されている番組で山形県連特別番組の番組概要が、これが二月中旬にもう決まっていたわけですね。タイトル、オープニング、最初は国会議員座談会第一部、県民各層インタビュー、それから国会議員座談会第二部、そして自民党県議会議員の活動というふうに移ってくるわけなんですけれども、そういったことでいきますと、やはり民主、公明の県議会議員が一名という中で同じような構成が果たしてできるかなというと、甚だ疑問でございます。
 
そういった意味から申しますと、社民、共産の国会議員がいないから聞かなかったというのも、やはりこの論拠も崩れてくると言わざるを得ないのであります。やはり山形テレビからすると、念頭に自民党というものが、一党の広報番組作成というものがあってのさまざまな放送に至るまでの過程だというふうに断ぜざるを得ません。
 
そういった意味で、山形テレビから報告書が出ておりますが、総務省からのお答えは、山形テレビはこうだろう、ああだろうということでありますので、私は、改めて本委員会に山形テレビの参考人としての質疑を行うことを委員長にお願いしたいと思います。

■左藤委員長代理 
理事会で協議します。

武正委員 
続きまして、お手元の方にやはり資料として用意をしたのが、山形テレビ、山形放送、そして山形新聞社の役員あるいは資本関係ということで、ちょっと表をつくってみました。「山形テレビに対する総務省の対応経緯」というものが一番上についているホッチキスどめの三枚目をごらんいただきたいと思います。
 
山形テレビの第三十五期の主要株主、そして山形放送の二〇〇二年度の主要株主、そして役員ということでありますが、こうやって見ていただくと、マスメディアの集中排除ということで、資本は、一〇%を超える資本を複数のテレビ局、同じ県域の中で有してはならない、これがマスメディア集中排除であります。つまり、複数のテレビ局に影響を与えるような形が行われると、報道というものの公平性を欠くということなんです。
 
こうやって見ていただくと、山形新聞社がそれぞれ両方の会社の八・一%、九・七%、ぎりぎり一〇%を下回るということで持ってはおりますが、相馬健一さんが山形新聞社の社長であり、堀田稔さんは前山形新聞社の専務であり、そしてヤマコーという地元の会社の取締役を相馬健一さんもされている。そして三島という会社が、地元の会社なんでしょうか、山形新聞社の第二位の株主でもあるということ。つまり、私が言いたいのは、山形新聞社と山形テレビと山形放送が非常に緊密な関係にあるということでございます。
 
こういった関係がマスメディア集中排除の対象になるのかならないのか、私は、極めてなるおそれがあるのではないかというふうに考えますが、この点、総務省としての御見解をお聞かせいただきます。

■田端副大臣 
御指摘の点は、山形テレビ、山形放送並びに山形新聞の資本関係あるいは役員の兼務ということかと思います。
 
私は、マスメディア集中排除原則に抵触するものではない、特段の問題はないというふうに思います。
 
それは、今先生御指摘のように、山形新聞、山形放送九・七%、それから、山形新聞、山形テレビ八・一%という意味では、一〇%を切っているわけでありまして、マスメディア集中排除原則の出資比率というのは、放送対象地域が重複する場合、十分の一を超えてはならないという原則があるわけでありますが、そういう意味では、一〇%以下であるということ。
 
それから、役員の兼務でありますが、山形新聞の相馬社長が山形放送の非常勤の取締役会長である。それから、山形テレビの非常勤の取締役を兼務している。非常勤という意味において、おっしゃる趣旨には当てはまらないのではないか、こういうふうに判断します。

武正委員 
なかなか力強い答弁には至っていないというふうに思うんですね。
 
本当に山形新聞を真ん中にして、山形放送と山形テレビ、そして地元の三島、ヤマコーという会社も含めて密接な関係にあることは、これを見ていただければ委員の皆さんもおわかりいただけるところだというふうに思います。私は、極めて、マスメディア集中排除の、一〇%以上の資本を有する、そしてまた役員が兼務をしているおそれありというふうに指摘せざるを得ません。
 
昨年改正、そしてことしから施行されるようになりますマスメディア集中排除原則を同じホッチキスどめの一番後ろに二枚つけておりますが、もともとマスメディア集中排除原則を変える理由は、地上波のデジタル化に対応して、地方のテレビ局がお金がないから何とかしてくれ、そういった中で出てきた話と伺っております。
 
こういった地方の一山形テレビ、山形放送、山形新聞ということの現状でありますが、私は、このマスメディア集中排除の出資比率規制、役員規制などを緩和する今回のこの決定、電監審からの決定でありますが、これは慎重に慎重を期す必要があるのではないか、そういったことを投げかけた今回の山形テレビの案件ではないかと考えるんです。
 
マスメディア集中排除原則の見直し、これについて、放送の公平公正さ、あるいは不偏不党、適正な放送、これを担保するためにも、私は集中排除原則の見直しについての実行に当たっては慎重に慎重を期す必要があると思いますが、この点、いかがでしょうか。

■左藤委員長代理 
時間がありませんので、短目にお願いします。

麻生国務大臣 
知っておられる上で聞いておられるんだと思いますが、今回の改正、今山形を例に引かれましたけれども、山形新聞、山形放送、山形テレビは、これは同一地域内ということになっておると思いますので、今回の改正の対象外だと存じます。

武正委員 
もうこれで終わりますが、日本放送協会「放送五十年史」に、三百七ページ、これは放送局開設の根本基準をめぐる聴聞ということで、昭和二十五年の記載がございます。
 
ここに、放送局の開設の根本基準というものの取り扱い、大変これは総務省にいろいろな権限を与えている省令でございます。放送法に余り、どういった放送局が開設にふさわしいかふさわしくないか、これは三つしか、三条しかないということでありますが、その大部分がこの根本基準にある。そういった意味では、この記載、その他の問題、例えば、番組の不偏不党、宗教上の機会均等、公共の福祉に適合する度合い、新聞社の放送事業兼営などといった本質的な問題については、一向に議論が深められないままに日程を終わってしまった、これが昭和二十五年当時でございます。
 
私は、その放送局の開設の根本基準、そして今回のように、総務大臣が放送局の自主的な判断などと言ってはいるものの、実際の許認可権は絶大な権限を総務大臣が有している、こういった現状にかんがみて、やはり民主党が提出しているように、電監審を強めて、通信・放送委員会、三条委員会というふうにすべきだということを重ねて申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

    〔左藤委員長代理退席、委員長着席〕

佐田委員長 
短目にお願いします。

■麻生国務大臣 
昭和二十五年当時は吉田内閣ですからね。これは占領中でもありましたし、事情も大分違うと思います。
 
今回は、いかにも一方的にやられたような意見を言われると、事実と違うと思いますので、ブロードバンド時代における放送の将来像に関する懇談会の提言、放送政策研究会の報告を踏まえた上で、三度にわたるパブリックコメントを募集し、電波監理審議会へ諮問、意見聴取という手続を行っておりますので、昭和二十五年当時とは全然状況が違うと思います。

武正委員 
あえて申しますが、昭和二十五年当時と違うのは、電波監理審議会の総務大臣への勧告権というものをなくしてしまったということが違っております。八条委員会として形骸化をどんどんさせた、それがこの間の五十年であります。
ありがとうございました。

top