2004年8月4日 【外務委員会】

武正委員
民主党の武正公一でございます。まず、拉致問題についてお伺いさせていただきます。

小泉首相が、参議院選挙中並びに日韓首脳会談後の記者会見でも、二度、一年以内の国交正常化ということに触れたのを、私は大変遺憾に思っております。一年以内に国交正常化ということは、すなわち拉致事件の問題の解決、これを放棄したも等しい発言ではないかというふうに思うわけでございます。もちろん、十名の行方不明あるいは死亡とされた方の確認、これをしっかりやっていく、これが今政府が最大力を上げていくところとは聞いておりますが、あわせて四百名に上る特定失踪者、この問題がもうほとんど幕引きという宣言にも似たもの、これが首相の一年以内の国交正常化発言ではないかと認識するからでございます。

きょうは、お手元の方にも資料を配付させていただいておりますが、これは、この委員会で要望をし、そして理事会の方に外務省から出していただいた、そしてきょうは委員会の方にまた配らせていただいております百五十項目の概要についてでございます。

このことも見ていただきますと、この二年間に、北朝鮮側に対して、いわゆる特定失踪者問題について日本側からきちっとそのことの調査なり指摘なりどれだけやってきたのか。少なくともこの百五十項目の中にはそれが触れられていないということでございますが、この二年間の取り組み、特定失踪者問題について、北朝鮮側への投げかけ、指摘、調査依頼、これがされているのかどうか、されているとすれば何を指摘したのか、お答えをいただきたいと思います。

薮中政府参考人 
お答え申し上げます。
まさに、この二年間という御指摘でございますけれども、この百五十項目を中心に、今までまさに拉致問題として認定された、そして先方も拉致問題として認めて謝罪をした事案についての全面的な解決ということをまず優先してまいったのは、委員御承知のとおりでございます。

そして、その中には、まだ十名の安否不明の方々の調査というのが、これから大きな問題として、課題としてございます。これについて、全力を挙げて徹底した調査、それを我々としても、調査結果をきちんと得たいと思っておりますし、そのための北朝鮮への働きかけをしていくということでございます。

そしてまた、特定失踪者の問題でございますけれども、この問題につきましても、北朝鮮側に対し日本側においていろいろと作業が行われている。そして、これが拉致被害者と認定されたときには、当然今までの拉致被害者と同様の真相究明を求めるんだということで先方に話をし、また具体的にいろいろのケースにつきましては、国内官庁、特に警察と協力をしながら、外務省としても外国でのさまざまの情報収集等々も行って、そしてこの解明に努力してきているところでございます。

武正委員 
外務大臣、これは百五十項目の内容でございますが、いわゆる拉致被害者以外の件については調査依頼をしていない、こういう書類になるわけなんですけれども、この二年間は、そうした、被害者として認定されていないけれども特定失踪者とされた方々について、北朝鮮に対して調査依頼や指摘、こうしたことをしてきているんでしょうか。お答えをいただきたいと思います。外務大臣、お願いします。
 
私は、政府委員は参考委員として後ろに控えていただきたいとは言いましたけれども、質疑はすべて政治家にお願いしております。

川口国務大臣 
事実関係についての御質問ですので、参考人からお答えをさせます。

薮中政府参考人 
お答え申し上げます。
今申し上げましたように、まさに特定失踪者のケースにつきましても、日本側できちんとした調査が行われ、これが拉致被害者であると認定された場合には、当然北朝鮮側に対してそのおのおののケースについての真相究明を求めるということは繰り返し話をしてきております。

そしてまた、この百五十項目というのは、まさに委員御承知のとおり、向こう側から出てきた拉致問題についての報告書、これにさまざまの矛盾があった、そのときに我々として持っている情報をまとめて、それで先方に突きつけた、そういう経緯でございます。

武正委員 
質問したことにちっとも答えてくれないので。事実関係どうたらこうたらではないですよ。
 外務大臣、つまり、この二年間に、被害者以外の件については北朝鮮側に投げかけていないんですね。外務大臣としてお答えをいただきたいと思うんですね。

川口国務大臣 
認定をされているかどうか。されたということで、これは北朝鮮に対して再開の調査をする対象としていろいろなことを今までも言ってきている、調査の対象として言ってきているということでございます。全くそれ以外のことについて一言も言っていないかどうかということについては私ははっきり記憶をいたしておりませんけれども、それ以外のことについては全く言わないということで厳しく考えているということでもないですけれども、ただ、この認定をされた人、これについて北朝鮮側が調査をしてくるということがまず非常に重要なことであるというふうに認識をいたしております。

武正委員 
全く触れていないことはない、一言も言っていないことはないということですけれども、百五十項目の中にはお一人も触れられていない、これが事実でございます。

それでは、昨年十月、クアラルンプールで、田中実さん、小住健蔵さん、松本京子さんの拉致確認をしたのかどうか、これは、事実ということで、お答えいただけますか。

薮中政府参考人 
お答え申し上げます、というか、クアラルンプールというのはあれでございますか、確認でございますけれども、申しわけございません、日朝間での話し合いの場というか、日朝の国交正常化の協議ということ、一昨年に行ったものでございますか。(武正委員「はい」と呼ぶ)

この件につきましては、一昨年の日朝国交正常化交渉が、協議が再開いたしました折に、さまざまな問題について取り上げました。そうした中で、具体的な拉致案件についてはもちろん具体的に相手に解明を求めておりますし、その他我々が持っている幾つかの新しい情報についても先方にただしているということはございます。
 
そしてまた、先ほどの御質問でございますけれども、特定失踪者について、いろいろの日朝の協議の場で、この問題についても、これがある、問題があるということは指摘しておりますし、御承知のとおり、先般の日朝首脳会談においてもこの問題を取り上げ、これが拉致被害者として日本側で認定が行われたら当然拉致問題としてその真相究明を求めるということを先方に伝えてございます。

武正委員 
それでは、月曜、火曜と報道が、きょうもされております。また、同僚委員からも質問がありました、脱北者が藤田進さんとそっくりな写真を持ってきた件、ピョンヤンの工作員養成機関で日本語教官をしていたと聞いたという証言、これについて、八月二日には、内閣官房拉致被害者・家族支援室に、特定失踪者問題調査会、荒木和博代表が、拉致濃厚とした三十二人を拉致被害者として認定するよう、この中にも藤田進さんが含まれているということでありますが、この藤田進さんの拉致被害者としての認定、これについて、内閣官房副長官、どのようにお取り組みをされますでしょうか。

杉浦内閣官房副長官 
仰せのとおり、二日、特定失踪者問題調査会ほか二団体から、藤田進さんを含む特定失踪者の認定等を求める御要請が内閣官房に対してございました。

私どもとしては、調査会から提供された資料、藤田さんの場合は生存しておられる可能性が高いという資料でございますので、これは重要な参考資料として受けとめております。直ちに、警察庁、海上保安庁、公安調査庁を初めとする捜査、調査機関及び外務省に対して連絡を行ったところでございます。

今後引き続き、関係機関による捜査、調査、御要請のあった方々については今までも行われておりましたし、今後も行われるものと承知しておりますけれども、その結果、北朝鮮当局による拉致行為があったことを確認するに足る情報が集約、整理された場合には、その情報を踏まえまして、北朝鮮当局によって拉致された被害者等の支援に関する法律第二条の規定に基づきまして、内閣総理大臣が、関係行政機関の長と協議の上、拉致被害者に該当すると判断された場合には、政府としての認定を行うことになります。

武正委員 
警察庁もお見えですけれども、この藤田進さんの拉致被害者としての認定について、警察庁としてどのように取り組まれるのか、お答えいただけますでしょうか。

瀬川政府参考人 
お答えいたします。
 御指摘の藤田進さんにつきましては、警察として、これは事案の真相解明に向けて努力してまいりたいというふうに思います。こういった、北朝鮮へ拉致されたのではないかということで届け出をいただいたり、あるいは告発をいただいたりしておられる方、大勢ございますけれども、いずれにつきましても、警察といたしましては、当時の関係者の事情聴取あるいは国内外の関係機関との情報交換等々、鋭意調査、捜査に努めているところでございます。

 特に、本件の場合につきましては、北朝鮮を脱出した男性が所持していたとされる写真、この入手経路ということが非常に重要なポイントだろうというふうに考えておりまして、そういった点を含めまして、真相解明に向けまして鋭意解明に努めてまいりたいというふうに考えております。

武正委員 
外務大臣、これまでも、被害者が特定されれば、認定されれば、しっかりとそれは日朝間の交渉で上げていくんだということを言ってこられましたけれども、この藤田進さんについて、拉致被害者の認定ということが、さまざま政府の取り組みで、これが近づいてくる、そういったことが今それぞれの関係機関から言われているわけですけれども、外務省として、この藤田進さんの拉致被害者認定について、引き続き、これまでも一言ぐらいは取り上げた特定失踪者のお一人ではありますが、来週にも日朝実務者協議もありますし、六者協議も控えている。さまざまな外務省と北朝鮮側のやりとりも、首相の第二回目の訪朝以来、電話協議も続いている。

 この中で、この藤田進さんの問題をここでも取り上げている、伝えているという、そういった話もあるんですが、もう伝えているんでしょうか。あるいは、伝えていなかったとすれば、しっかりとそれを取り上げて伝えて、この拉致被害者としての認定に外務省として全力を挙げる、そういったことを、御決意もあわせて外務大臣にお答えをいただきたいと思います。

川口国務大臣 
今、再開した調査、これに北朝鮮側は取り組んでいるということでございますけれども、藤田進さんの件について今警察庁からお話ございましたけれども、認定をされるということであれば、当然のことながら、これは、再開をされた調査の中で一人加えて、藤田さんも対象にして取り組むように北朝鮮側に対して言っていくということでございます。

武正委員 
認定されたであればではなくて、外務省が率先して、この事実解明を果たしていくために北朝鮮に対して調査をしっかりと申し入れていく。残念ながら、警察庁が主導して認定したのは、いわゆる宇出津事件の久米さんお一人というような指摘もあるんですね。
そこまで言ったら言い過ぎかもしれませんが、つまり、いろいろマスコミや、あるいは関係機関、関係者が大変な努力をされて、これまで十五名の被害者の認定がされてきた経緯もありますので、私は、ここでやはり外務省が率先をして認定のために全力を挙げて取り組む、そういう決意をお聞かせいただきたいと思います。

川口国務大臣 
外務省としても、認定のために、認定の調査がはかどっていくようにするために、可能な資料を集める等の努力もいたしております。例えば、関係国において情報を集めるというような努力もいたしてきております。我が国として、あるいは外務省といたしまして、こういったまだ認定をされていない人たちで実際に拉致をされた可能性というのはあるわけでございますから、そういった観点から引き続き最大限の努力をしていきたいと思っています。

武正委員 
それでは、官房副長官、お忙しいところおいでいただいているようでありますが、五月二十六日、決算行政監視委員会、官房長官発言、例の米二十五万トン、日テレ報道に対しての指摘でありますが、「振り返ってみますと、」そういった米二十五万トンということが日朝間の協議で事前に「あった面もあることだけは申し上げておきたいと思います。」こういった発言が決算行政監視委員会でありました。

私は、やはり官房長官にこの場においでいただきたいということもこの委員会で申し上げたんですが、なかなか国会のルール等では難しいということでございますけれども、ここで、官房副長官お見えいただいておりますので、官房長官のこの発言は、やはり事前に日朝間の協議で米二十五万トンを日本が供与する、そういった話し合いがあったということで理解してよろしいんでしょうか。

杉浦内閣官房副長官 
御指摘の細田官房長官の答弁を議事録によって確認いたしましたが、それを拝読いたしますと、長官は、日本テレビの報道について、首脳会談の発表の中身が結果的にはそのとおりでない面もあった、また片っ方でちょうちょうはっしと協議を行っているときに実は決まったかのごとき報道がなされることは、結果として交渉に支障や影響を与えることにもなりかねない、差し控えていただきたいという趣旨で述べられているように議事録を見て思いました。

二十五万トンという数字は、結果として、日朝首脳会談に際して総理が表明した対北朝鮮食糧支援、人道支援の数量と一致しておりますけれども、日本テレビの当時の報道では、米で支援を行う、金額にしておよそ十一億円といった点について報道されたと記憶しておりますが、日朝首脳会談でそのようなことが決められたという事実はございません。したがって、報道全体で見るとそのとおりでない面もあったということだと思います。

いずれにしても、まだ政府として決定していない、しかも、結果として決定した事実と異なる内容について、あたかも既に決まったかのように報道することは交渉に差しさわるので差し控えていただきたいというのが官房長官の趣旨であったと承知いたしております。

武正委員 
いや、私が聞いているのは、二十五万トンということが、実際、事前の協議であったというようなことを、「振り返ってみますと、あった面もあることだけは申し上げておきたいと思います。」という答弁でしたから、その事実確認をしたんですが、ちょっとお答えいただけなかったのは大変残念であります。
 
私は、やはり官房長官にこの場においでいただかないと真相はわからないということでございますので、官房長官の当委員会への出席をお願いしたいと思います。

米澤委員長 
引き続き理事会で協議しましょう。

武正委員 
では、官房副長官、どうぞお帰りいただいて結構でございます。
 
ちょっと先ほどの話に戻りますが、私は、国交正常化一年以内にという首相の発言は到底容認できない。十名の行方不明、死亡の調査の結果も出ない、まだ出ていないわけですね。
もう来週には、きょう閣議決定するんですか、閣議了解ですか、五十二億円の対北朝鮮食糧医療支援を閣議了解、閣議決定するんですよね。先にこちらから、支援します、支援します、その十名の情報をくださいよと。
本当にカードがなくなってしまうという指摘もあるぐらい。ましてや今、藤田進さんのこの件も出てきました。四百名に及ぶ特定失踪者問題を幕引きしかねない。
私は、一年以内の国交正常化発言、断じてこれは容認ができないというふうに思うんですが、外務大臣の御所見はいかがでしょうか、首相発言に対して。

川口国務大臣 
総理がおっしゃられたことは、日朝平壌宣言にのっとっていけばということをおっしゃっていらっしゃるわけでございます。私は、その日朝平壌宣言にのっとって北朝鮮が行動をとることの重要性、これを総理として御指摘なさっていらっしゃるというふうに思います。

武正委員 
その日朝平壌宣言がこれまで過去二年のうちにやはりほごにされてきた、こういった指摘がされてきている中であえて首相が二度連続訪朝した、こういったことの大変不正常な状況の中で今日朝間の協議が行われている。その中での一年以内の国交正常化ということは断じて容認できない、このことを重ねて申し上げたいと思います。

米軍のトランスフォーメーションについてですが、昨年十一月、ことし二月あるいは五月、七月と新聞で報道されておりますが、既に首相は、提案はなかった、協議はあると。先ほど外務大臣からもフリーディスカッションという段階というような発言があったんですが、日本と米国の間のミニSSCと呼ばれる非公式協議、審議官級協議の日程、そして出席者、名前、内容、これを簡単に、昨年十一月、ことし二月、そして七月、まあ五月はちょっと省きますが、お答えをいただけますでしょうか。外務大臣、いかがでしょうか。

海老原政府参考人 
お答えさせていただきます。
 
今委員がおっしゃいました協議でございますけれども、一昨年のいわゆる2プラス2におきまして、米軍の世界的な再編、これに伴います日米間の安全保障問題についての協議というものもこれを強化していくという合意がなされたわけでございます。そこでは兵力構成等につきまして協議を行うということが書かれているわけでございまして、これを受けまして、日米間の外務、防衛当局間でさまざまなレベルにおきまして米側との協議を行ってまいりました。

この協議すべてについてその日程等を申し上げるということは差し控えたいと思いますけれども、主なところを申させていただければ、昨年の十一月に、日米の外務、防衛の当局間、これは事務レベルでございますけれども、協議を行いました。
また、ことしの一月には、私が米国に行きました際に、ロドマン国防次官補、これは私のいわばカウンターパートになるわけでございますが、国防次官補との間で協議を行いました。
また、本年の二月には、当時の長嶺北米局参事官、山内防衛庁防衛局次長、それから先方はローレス国防次官補代理、ラフルーア国務省特使との間で協議を行いました。
また、本年の七月の、これは十五から十七日でございますけれども、同じく当方からは長嶺、山内、それから先方からはローレス国防、これはタイトルが変わりまして副次官になっております。それから、国務省の方からはリビア日本部長との間で協議を行ってきております。

武正委員 
これまで国会でこの種の質問をしても、具体的な日時、人名すら、これまで約半年間、通常国会で報告がなかったわけでございます。
 
外務大臣にあっては、三月に予算委員会、二月十七日、今言われたラフルーア東アジア太平洋特使、ローレス米国防副次官補、日本側は長嶺さんと山内さん。アメリカがだれですかと、承知していない、調べたい、こういった発言が出る始末でございます。

 これは、米韓あるいは米豪でもこうしたトランスフォーメーションの一環の協議が行われている中で、韓国の場合は、その都度韓国側の代表である車栄九国防部政策室長が毎回記者会見をする、これとえらい、日本外務省のいわゆる説明責任を果たさない対応、これがこのトランスフォーメーションについて半年間、あるいはもっと、言ってしまえば一昨年からでありますが、続いてまいりました。

話に聞くと、十一月、米大統領選の前にまとめたいとか、そういった、大変おしりがもう差し迫っているような、そういった報道もあるんですね。これが新聞に盛んに報道されるものですから、我々も国会に籍を置き、外務委員会に籍を置く者として、このことはやはり説明責任を政府には果たしてほしい。それが、日米安全保障条約、そしてその体制の維持にも大変健全な役割を果たすのではないか。こうして隠そう隠そうということは、かえってさまざまな危惧を生じかねない、招きかねないというふうに考えるわけでございます。

外務大臣は、共同通信配信、七月二十七日、正式提案でなく事務レベルでフリーディスカッションをしている段階というような記者会見をされました。一方、二十三日、自民党の部会に出席したときは、大変御迷惑をおかけした、非公式な議論の中で米側から具体的なアイデアは出ているというふうに、これは新聞報道ですが言っておりますので、正式な提案ではない。

こういったことで終始しているんですが、外務大臣、いかがなのでしょうか、この米軍のトランスフォーメーションは我が国の安全保障にとっても大変重要な影響を与えることなんですけれども、この点について、やはり真摯に国会にあるいは国民に説明責任を果たしていくことが求められているのではないでしょうか。御所見を伺いたいと思います。

川口国務大臣 
トランスフォーメーションは、御案内のように、変化をしていく国際的な安全保障環境の中で、米軍がどのようにそれに適切に対応していくかという観点から行われていると考えられているわけでございますけれども、委員御指摘のように、我が国にとっては、これは我が国の安全保障に対してどのような変化を生じ得るか、あるいは生じないようにできるかという意味で重要な問題であるわけです。

我が国が一貫して言ってきておりますことは、米軍の持っている抑止、これが維持されるということが重要であるということを言っております。それからもう一つ、沖縄などいわゆる基地、施設・区域がある地域というのが我が国の中にあるわけですけれども、そういった地元の住民の方々の御負担、これを軽減していくことが大事だ、この二点から、米軍との間で、先ほど来申し上げておりますようなフリーディスカッションということを行ってきているということでございます。

御案内のような、おっしゃったような、政府としての説明責任、これは常にこのことも含め重要であると私は思っております。このトランスフォーメーションについては、先ほど来申し上げましたように、具体的に提案が米軍から出ているわけではないということでございますから、今まさにフリーな形で、いろいろなアイデアといいますか議論といいますか、協議をしているということでございます。

武正委員 
こうしたことで国会を乗り切ろうというか答弁をし続けるというのは、大変日本あるいは日米関係にとっても不幸なことであるというふうに指摘をしたいと思います。
 きょうは防衛庁からも浜田防衛庁副長官がお見えでございます。お待たせをいたしました。航空自衛隊の統合ということで、このトランスフォーメーションの中で航空自衛隊の統合についても議論が出ている、こういった報道があるんですが、このことについて、こうした事実はあるのか、あるいは防衛庁としてどのように認識をされているのか、お答えいただけますか。

浜田副長官 
多分、府中の基地の関係のお話だと思います、横田への移転ということだと思うんですが、我々も今、防衛庁・自衛隊として防衛力のあり方の検討も行っておりますし、各自衛隊の将来の体制とか、当然のごとくこれは将来の日米協力の方向についても検討を行っているところでありますが、御指摘の報道にあるような、航空自衛隊航空総隊司令部を横田基地へ移転するといったような内容に関しては、全く我々は議論しておりません。ましてや、計画もしておらないところであります。

武正委員 
議論していない、計画していないではなくて、米軍からそういった投げかけはあるのかということをお聞きしたんですが。

浜田副長官 
それはございません。

武正委員 
こうしたさまざまな新聞報道が次々に出ている。これは一切ないんだ、具体的な提案はないんだということで政府が突っ張っていると言ったら怒られますが、そういったことなんですが、やはり、米軍あるいは米国政府、特にラムズフェルド国防長官の構想、こういったものが着々と進んでいる、これに対して大変危惧を覚える一方、それに対しての日本側の考え方、これが見えないということが大変残念であります。

さて、最後になりますが、東海の記載について、これはもう六月に、在韓、在タイ日本大使館の文化広報部長あるいは大使厳重訓戒処分が行われましたが、これは、いわゆる内規処分ということで公表もされていないといったことになりました。

きょうは人事院もお見えでありますので、こうした外務省とか各省庁のガイドライン、内規ということでやってしまうことが果たしてどうなのかということが私自身思うわけでありますが、こういったものを公開する必要があるのではないかということを人事院にお伺いするとともに、外務大臣、最後に、またいわゆる処分ということでありますけれども、先ほども野上前外務次官の大使就任という報道もありましたが、私は、もともと今回の内規での処分も、あるいは懲戒処分も、国家公務員法に規定されておりますように、任命権者に対してそうしたものが与えられている。内規も、外務省でつくって、それも公開もしないで任命権者がその処分をする。任命権者に対してかなり強い権限が与えられているわけです。その任命権者が更迭をした野上さんがここでまた大使に復権というか、するというのはやはりおかしい、今の国家公務員法なりの解釈からしてもおかしいというふうに思うわけであります。

まず、人事院に、内規はやはり公開すべきではないのかということ、あるいは人事院がそれを把握すべきではないかということと、外務大臣には、こうした中で、任命権者が下した処分、それがひっくり返るということは、やはり国家公務員法の懲戒処分、あるいは内規での処分ということから見てもおかしいのではないか、以上二点、続けてお伺いしたいと思います。

関戸政府参考人 
お答えいたします。
訓告、訓戒とか厳重注意というような形で各府省で内規に基づく措置がとられております。これは、国家公務員法の懲戒処分に当たらないということで、公務部内において監督の地位にある人が、部下職員の義務違反等に対しまして、指導監督上の措置として、その責任を確認して将来を戒めるために行われているものというふうに理解をしております。
 
したがって、公開すべきではないか、オープンにすべきではないかというような話もございましたけれども、これは内規を決めている各府省において判断をされるべきものというふうに考えております。

川口国務大臣 
先ほど別な委員に申し上げましたけれども、個別人事の問題については、これは任命権者の責任で行うということでございまして、その前に公の場でそれについてコメントをしないという方針を持っております。
 
したがって、この件について、それを、大使になるであろうということを前提にの御質問でございますので、これについてはコメントを差し控えさせていただきたいというふうに考えております。

武正委員 
先ほどの東海の記載ですけれども、結局、内規での処分でありました。これまで三年間の外務省の懲戒処分で、公金とあとロシアの問題、プライバシー、プライベートなもの以外では、瀋陽の総領事館事件、あれで減給一カ月というものがあった以外は、すべて公金の横領と、そしていわゆる四島支援のみでございまして、私は、この東海という記載をしたことが、そこにも懲戒処分にものってこない、ほとんどお金についてということも含めておかしいと思いますし、そうした点もまたこれからも指摘をしていきたいと思います。
以上で終わります。ありがとうございました。

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