2004年9月6日 【沖縄及び北方問題に関する特別委員会】
■武正委員
民主党の武正公一でございます。
まず冒頭でございますが、九月二日、首相は、船から北方四島の視察を行い、元島民との交流集会で、四島の帰属が確認されれば一括返還にはこだわらないと発言したと報じられておりますが、茂木大臣は同席をしておられた御様子でございます。茂木大臣に、その事実を確認させていただきます。
○茂木国務大臣
武正議員には、この北方領土問題、大変関心を持って熱心に取り組んでいただいておりますこと、冒頭、感謝を申し上げます。
委員御指摘のように、九月二日、小泉総理は、内閣総理大臣としては歴代三人目、そして洋上としては初めて北方領土を視察いたしまして、私もそれに同行させていただきました。それから、視察が終わりました後に、ニホロのセンターにおきまして元島民の皆さんと、予定では三十分だったのですが、実際には一時間近く、率直に島民の皆さんから意見を聞く、こういう会を持たせていただきました。
その集会の席上でありますが、この北方領土問題に対します質問が出まして、小泉総理の方からは、四島の帰属を明確にすること、まず北方四島は日本固有の領土だと認めることが大事であり、それを明確にした後は、返還の時期については同時でなくとも柔軟に考えるとの発言をされました。北方四島への日本の主権が確認をされれば、実際の返還の時期、態様等については柔軟に対応する、これが政府の基本的な考え方でありまして、小泉総理も直接島民の皆さんの前でその方針について御説明をされた、このように理解をいたしております。
何にいたしましても、来年、御案内のとおり、日ロ修好の百五十周年、こういう記念すべき年でありまして、またプーチン大統領の来日も来年早々に予定されているわけでありまして、私は、そういった時期に小泉総理が実際に北方四島を自分の目で視察され、そしてまた率直に島民の皆さんと、これは初めての機会であります、こういった対話集会を持たれたということは、今後の交渉を大きく進める上でも、また国民世論を高める上でも極めて有意義な機会だった、こんなふうに考えております。
■武正委員
政府の姿勢は柔軟だというふうに言われましたが、私はちょっとそれは、政府の姿勢としてまだ確認をしておりません。二島先行返還かと思わせる首相発言ゆえに、その真意を確かめるべく、また、米軍ヘリ墜落事故にもかかわらず、稲嶺知事の十八日の面会要請を拒否するなど、二十五日夕方、ようやく沖縄知事と面会をしている。こういったことから申しますと、沖縄問題、基地問題へのその姿勢を問うべく、首相の本委員会への出席を求めたいと存じます。
委員長にはお取り計らいをお願いいたします。
○金田委員長
理事会で協議いたします。
■武正委員
米軍ヘリ墜落事故の話に入らせていただきます。
まず、民主党は、年に一回、沖縄ビジョンの事後検証ということで、八月十七、十八日、現地に赴きまして、十三日の墜落を経て、現地で調査団に衣がえをいたしました。十八日早朝、私がキャンプ・コートニーでナンバーツーの准将に会いましたときに、准将がこのように言われました。沖縄県警から、人手が足りないので機体検証は米軍に任せる、物的損害調査のみ県警でやる、警備は共同でやろう、こういった申し出があったというのは事実なのかどうか。
また、刑事特別法十四条に基づいて県警は第一次裁判権が米側にあっても捜査できるとされているが、一体、捜査をしたのか、しなかったのか、したとすると何をしたのか。これをお伺いするとともに、きょうは大変時間的に押しておりますので、幾つかの質問を同時にさせていただくことをお許しいただきたいのです。
日米地位協定十七条十項(b)、日本国の当局との取り決めに従うことを条件とし、かつ、日本国の当局と連絡して使用されるものとし、その使用は、合衆国軍隊の構成員の間の秩序の維持のため必要な範囲内に限る、つまり施設外の警察権でありますが、県警の検証同意、合同捜査の要請を無視し、日本国当局と連絡して警察権が使用されたとは言えないのではないか。
以上を警察庁にお伺いしたいと思います。
○岡田政府参考人
まず、フロック氏とのお話の内容の詳細については存じ上げませんが、今御質問がございましたような実態はなかったのだろうと思います。と申しますのは、沖縄県警察では、米軍当局に対して機体本体及び墜落現場に対する共同実況見分の申し入れを行い、また、機体本体の検証を行うため検証の同意請求を行うなど、所要の手続を進めていたものでありますから、そのような言動は行っていないと思います。
それから、現場における警備に関しましては、十三日午後、所轄警察署長と現場責任者の間で警備方針の確認をするなど、共同して警備を行っていたと承知をしております。
それから、捜査についてお尋ねでございますが、御案内のとおり、この種の事案が発生いたしましたときには、現場というのはかなり混乱をいたしますし、さまざまな機関が現場に参ります。警察の仕事といたしましても、被害者の救出ですとかあるいは被害確認といった活動、警備のような活動、捜査のような活動、さまざまな活動がございます。そうしたことについてさまざま行っておりますが、御質問は捜査についてでございますので、捜査につきましては、事故発生直後から、事故現場の写真撮影、目撃者、参考人の確保等、所要の捜査活動、それらを書類化すること等も含めてでございますが、さまざまな捜査を行っているところでございます。
それから、三点目の御質問は、むしろ警察庁ではないのではないかと思います。
■武正委員
そうしましたら、三点目の質問は法務省ですので、次に一緒に行いたいと思います。
外務大臣、先ほども同僚委員から質問があったんですが、米軍が許可なく立ち入った理由、これが日米裁判管轄権第十項(4)の「暇がないとき」。時間がなければ許可を得ずに入っていいんだ、そういう合意。これもとんでもないというふうに思うわけでありますが、いとまがあったのではないかということがさまざまな証言から言われております。
きょうお手元に、これは川内調査団事務局長の資料が表紙に載っておるホッチキスどめでございますが、「米軍」のところに「墜落以前に現場付近に待機」、こう書いてあります。これが専ら記事でもさまざまな証言でも言われているわけでありまして、つまり、大学に許可をとるいとまはあったというふうに思われるわけでありますが、それをとらずに入ったということは甚だ問題である。
また、大学側の主張は、既に十四日、警察に要請、現場検証、差し押さえ、押収、しっかりやってくれと。そしてまた十五日には抗議声明、国家主権が侵害されている異常な状態が続いているんだと。そしてまた十七日、これはヘリの機体搬出についての抗議ですが、事件の幕引きを図るのは問題だと大学が強く抗議をしている、渡久地学長名でということでありますので、私は、この民有地への墜落機等の立ち入り、これはやはり必ず承認を受けて立ち入るというふうにこの合意は見直すべきだと思うのですが、外務大臣、いかがでしょうか。
○川口国務大臣
今回、いとまがあったかどうかということでございますけれども、これは米軍の説明によりますと、事故当時、普天間飛行場にいた海兵隊員は、事故機が墜落するのを目撃して、二つのフェンスをよじ登って現場に駆けつけたということでございます。私どもはそのように承知をしているということでございますので、まさに、このヘリコプターに乗っている乗員を助け出さなければいけない、急いで駆けつけたという状況ですので、いとまがあったという状況ではなかったのではないかというふうに思います。
それから、これは先ほど委員もおっしゃられた刑事裁判管轄権に関する事項の第十項の(4)、これに「事前の承認を受ける暇がないとき」というふうに書いてあるわけでございまして、それは私有地であったとしても、通常の、そういう状況でない普通の状況であれば、当然に私有地に入るときにはその許可が要るということでありましょうけれども、いとまがまさになかったわけで、その場合には立ち入ることが許されるというふうにそこに書いてあるということでございます。
ということで、今回の事故におきましても、米軍におきましては、この合意に基づいて必要な救助作業そして米軍の財産保全のために事故現場に立ち入ったんだというふうに承知をしております。
■武正委員
先ほどのフロック准将の発言もそうなんですが、関係各機関の発言が、墜落後大変錯綜をしておりました。そして、それが徐々に徐々に調整をされていくわけでありますが、例えば今の外務大臣の米軍の説明というのは一体どういうことなんですかね。外務大臣というのは米軍の説明をこの国会で伝えるのが役割なんでしょうか。日本側でさまざま、もう先に来ていたんだ、もう待っていたんだ、こういう報道や証言があるんですが、日本側のそういった説明は外務大臣の耳には届いていないんですか。あるいは、そのことを国会でなぜ言われないんですか。米軍の説明だけ言われる理由は理解できないんですが、いかがでしょうか。
○川口国務大臣
そういう事前にいたということについては、外務省といたしましては、事実関係としては把握をいたしていないということでございます。
■武正委員
こういった指摘があるんですが、それについて把握しようとされたのか、お答えをいただきたいと思います。
○川口国務大臣
そういったことについては、現場における対応についての特別分科委員会も設置をされることになっているわけでございますので、そういう中で議論をしていく、また、その過程で外務省としても、必要な情報については当然に把握をしていくということでございます。外務省がみずから把握をするというか、日本政府全体としてこれは把握をするということであろうかと思います。
■武正委員
最後がよく聞こえなかったんですが、日本政府として把握することではないと言ったんですか。
○川口国務大臣
というようには申し上げておりませんで、特別分科委員会で事故のときの現場の対応については議論をしていくということになっているわけでございますね。それについて日本としてどのような認識を持ってそこに出席をしていくかということは、日本政府全体として把握をしていくことであろうかと思うというふうに申し上げたわけです。
■武正委員
分科委員会はいいんですよ。私が言っているのは、きょうは国会の質疑ですよ、もう事故からそろそろ一カ月近くたとうというのに外務大臣が米側の説明しか国会の答弁でできないというのは、これはどういうことなんですか。
○川口国務大臣
ですから、先ほど申しましたように、外務省としては、そのような状況にあったという把握はいたしていないということでございます。
さらに申し上げれば、それは今後議論をしていくことでございますから、先ほどの繰り返しになりますけれども、そのときにどのような認識を持って日本政府としてそこに出ていくかということについては、日本政府全体として認識を持っていく、把握をしていくということであろうというふうに申し上げたわけでございます。
■武正委員
担当大臣としての国会説明をなしていないというふうに思うんですね。本当はここでとめてもいいんでしょうけれども、関係省庁からたくさん政治家の皆さんもお見えになっていますので。
まず、九月二日、三日、岡田代表も現場に、第二次の調査団に続いて、これは仙谷政調会長が八月三十、三十一日、両日入りましたが、行ってきました。稲嶺知事には三点、第一点が真相究明、第二点は日米政府に説明責任を求める、第三点は地位協定改定だと。まず第一点の真相究明ができていないんですよ、事実確認が。だからこうやっているんですよ。沖北だって、これは一回じゃ済まないですよ。二回、三回やる必要がありますし、閉会中審査は、安保も外務も法務もそれぞれみんな求めています。とても真相に至っていないというふうに言わざるを得ないのであります。
次に、ちょっと先を急ぎますけれども、法務省に続いて聞きます。先ほど私が言ったのは、実際、県警の検証同意、合同捜査の要請を無視して、警察権が要は使用されていないということでありますが、これについてお答えをいただきたい。これは法務省でよろしいですよね。さっき警察は答える立場にないと言われましたが、これは法務省じゃないんでしょうか。ないならないで、お答えいただきたいと思います。
続いて、一緒に法務省にお聞きをしたいと思います。
私の方の資料をたくさん持ってきておりますが、地位協定の資料、二枚組に書いてありますが、二枚目に、刑事特別法というのが地位協定に基づいてつくられているんですね。この十三条に、要は米側の同意なくして捜索、差し押さえ、検証はできない、あわせて、施設・区域内の捜索は嘱託ができるんだと。これは、要は米軍に依頼して調査できるんだよ、こういうようなのがありまして、それで今回これをやっているんですけれども、これも私はおかしいと思うんですね。
日本の民有地に落ちた墜落機を要は基地の中まで持っていっちゃって、調査は米軍でやってくださいと。要はこの十三条があるから、横浜のときもエンジンを持っていっちゃう、基地に。今回も、あれだけ早く基地に持っていっちゃう理由はこの十三条じゃないかというふうに私は思うわけでありますが、これは同意なくして検証できるようにすべきではないかというのが一点。
そして、昭和五十二年九月、米軍ファントム機墜落事故、横浜のときには令状をとったのか、申請したのか。また、起訴にならなかった理由、そしてまた、横浜では嘱託をしなかったわけですが、なぜしなかったのか。
そして、この嘱託の調査はいつ返事が来るのか。
以上、法務省、一遍で大変だと思いますが、御答弁の方をよろしくお願いいたします。
○実川副大臣
お尋ねの日米地位協定の件でありますけれども、刑事特別法第十三条の規定でありますけれども、日米地位協定第十七条の十及びこれに関します合意議事録の第二項の趣旨を踏まえまして、我が国の捜査機関が捜索、差し押さえ及び検証を行うための規定でございまして、委員御指摘のその改正を行うためには、日米地位協定等に関します議論が前提となるというふうに考えております。
それから二つ目の、昭和五十二年九月のファントムの事故でありますけれども、これに関しましては、合衆国軍隊の構成員であります被疑者三名にかかわる業務上過失致死等事件が横浜地方検察庁に送付されたところでございまして、横浜地方検察庁は、第一次裁判権なしとして、いずれも不起訴処分としたというふうに承知いたしております。
■武正委員
あわせて、今回、検証嘱託をやっておりますけれども、この返事がいつ来るか、お答えいただけますでしょうか。
○岡田政府参考人
警察に関する事実関係のようでございますので、私の方からお答えをさせていただきたいと存じます。
検証の同意請求をして同意が得られないということでございますので、地位協定関連規定及び刑事特別法に基づいて検証の嘱託を行っておりますが、これについては、現在まだ米側においてもさまざまな調査中でございますので、いつ回答をくれるという返事はございません。
■武正委員
先ほどの地位協定十七条十項(b)、要は、県警の検証同意、合同捜査の要請を無視して、日本国当局と連絡して警察権が使用されたとは言えないのではないかというのは、これはどちらがお答えいただけるんでしょうか。外務省でしょうか。外務大臣、お答えをお願いしたいと思います。
○川口国務大臣
連絡を警察としなかったということについて、ちょっと御質問をきちんと伺っていないかもしれませんが、私どもの承知いたしておりますのは、日本の警察庁においては、米軍と連絡をしたということであるというふうに聞いております。
それから、そもそもこれは、十七条の十項の(b)に基づく刑事裁判管轄権に関する事項第十項において、米国の財産、これは飛行機が不時着した場合ですけれども、これは――済みません、その話ではないですね。(武正委員「はい、わかりましたので」と呼ぶ)
■武正委員
わかりましたと言ってもわかっていないんですね。
要は、今私が聞いたのは、日米地位協定十七条十項(b)、日本国の当局との取り決めに従うことを条件とし、かつ、日本国の当局と連絡して使用されるものとし、その使用は、合衆国軍隊の構成員の間の秩序の維持のため必要な範囲内に限る。施設外の警察権の使用は必要な範囲内に限る。でも、県警が検証を求めたら断ったり、合同捜査の要請を無視したり。
要は、さっき県警と米軍は連絡をとっていると言ったんですけれども、日本国の警察からさまざま米軍にオファーをしても、それが無視をされて拒否をされた上で警察権が使用されているということは、日米地位協定十七条十項(b)に違反しているのではないですか、こういうことなんですが、外務大臣、いかがでしょうか。外務大臣、お願いいたします。
○川口国務大臣
十七条十項の(b)でございますけれども、これについては、まさにその規律維持のために必要な範囲に限るものということが書いてあって、その警察権の使用については、日本国の当局との取り決めに従うということを条件としているというふうに書いてあるわけです。
それで、日本の当局との取り決めでございますけれども、これについては合意議事録がございます。そして、合衆国軍隊の財産について、捜索、差し押さえまたは検証を行う権利を、米国が同意しない限り、これは日本にはないということが書いてあるわけでございまして、これは米国の、地位協定ということの関連でいえば、その枠内にのっとったものであるというふうに考えております。
■武正委員
さっきの川内さんの、七ページにあるんですけれども、警察庁が言われたように、十五時三十分、署長が米軍現場責任者と警備方針を確認したんですね。確認したのは警備方針であって、捜査方針じゃないんですよ。これは大変大事なポイントだと思うんですね。
先ほど来、県警と米軍は連絡をうまくとっているよと。あくまでもその警備についてであって、機体の検証その他について同意がされたり確認がされたというのは、検証の同意を出して断られた十七日になって、だめですよというふうに断られた八月十七日朝七時五十五分の不同意の回答まで、要は、その現場は米軍が、それこそフロック准将の言葉をかりれば、コントロールしていたんですよ。これが事実なんですね。
さて、先ほど副大臣が大変ポイントになることを言われたんです。日米地位協定の議論が必要なんだというふうに言われたんですが、このことをもう一度、もう少し詳しくお答えをいただけますか、実川副大臣。
○実川副大臣
刑事特別法は日米地位協定に基づく法律でありますから、あくまでも、先ほど申し上げましたように、地位協定等に関する議論が前提となるというふうに考えております。
■武正委員
だから、議論の中身は何を議論するんですか。それこそ、外務省に遠慮せずに、法務省として、日本の法律をきちっと法治国家として守るんだ、やはり法務省として毅然たる態度を堂々と出していいと私は思いますよ。副大臣、どうですか、その議論は。日米地位協定の議論、何をするんですか。お答えいただけますか、中身を。
○実川副大臣
今申し上げましたように、日米地位協定の議論を踏まえまして、積極的にこれからも議論を重ねて特別法をやりたい、このように思っております。
■武正委員
中身を再度お答えいただけますか、何を議論するのか。
○茂木国務大臣
検証の問題、それから検証の嘱託の問題についての議論は必要だ、こんなふうに考えておるわけですが、先ほど来出ております意見の中でも、やはりこの運用が恣意的ではいけないんだと思います。
どちらの側から見ても、明確な基準があって、それにのっとって合意をするとか拒否をするとかいうのがあるべきでありまして、恐らく今回の事案を見ると、過去の事案と見比べて、本当にそれが恣意的でなかったのか、こういう検証が私は必要だと思っております。そういったものを踏まえて、検証のあり方、それから検証の嘱託のあり方について議論をしていく、こういうことになると思っております。
■武正委員
先ほど言ったのは、私は刑事特別法十三条改正について実川副大臣に聞いたんですね。
繰り返しますが、刑事特別法十三条に、施設・区域内の捜索は、同意だけでなくて、嘱託というのが出てきたものですから、今回、日本の政府が原因究明、再発防止の機体の検証をせずに、あるいは断られて、では、あなたやってください、こんなことになってしまうんですよ、だから、刑事特別法十三条を改正すべきだと言ったら、実川副大臣が、それは日米地位協定の議論だと言ったから聞いているわけですよ。
今の茂木大臣の議論は、これから現場のいろいろな分科委員会をつくりましょうという話で、私は、この法改正の話で法務省としての対応を求めたのであります。
ちょっと時間がないので、先を急ぎます。
私は外務大臣に、地位協定の改正あるいは合意議事録の見直し、幾つも聞こうと思いました。ただ、残念ながら、外務大臣からは前向きな答弁がこれまでも聞かれません。大変残念であります。
私が指摘をしたかったのは、まず第一点は、先ほども、不起訴理由は、第一次裁判権が日本にないから、昭和五十二年、米軍ファントム機事件を起訴できなかった、不起訴にしたんだと。今回も同じですよ。第一次裁判権は米軍にある、公務執行中だから。でも、警察は起訴しようとして一生懸命やっている。これは茶番じゃないですか。やはり第一次裁判権の放棄を米側に求めるべきだ、これは私は主張だけにしておきます。聞きません。
二点目。合意議事録十七条第一、「合衆国軍隊の法律執行員は直ちに捜査に着手する責任があることを認める。日米両国の裁判権が競合している犯罪については日米の共同捜査が望ましい。」とありますが、私は、当然、共同捜査を行うことに変えるべきだというふうに思います。本当は基地の中だって、ボン協定のように、立ち入りしてやはり捜査しなきゃおかしいですよ。これが二点目。
そして三点目。公務執行中は第一次裁判権は米側にあるというのはやはり改定すべきだというふうに思います。
これは一例でありますが、昭和三十九年、町田で墜落事故がありました。妻と長男を失った吉田治さん、八年後の昭和四十七年、自動車事故で、八月二十三日、長女を失ったんですね。そのときの事故を起こしたブルック三等軍曹は、前の日に結婚をして、結婚手続をするために、キャンプ座間から陸軍病院に向かう途中の私有車の事故なんですよ。ところが、もう九月十七日には米軍は公務証明を出して、それで不起訴処分になっちゃったんですよ。
ですから、この第一次裁判権が公務執行中はあるというのを全部やっちゃったら、やはりおかしいですよ。日本は独立国なのか疑わしいわけなんですね。これもやはり私は地位協定改定が必要だというふうに思う。これも指摘をさせていただきます。
そして、今回も出てまいりました日米合意議事録十七条。所有地のいかんを問わずどこでも、米軍の財産の捜索、差し押さえ、検証、米軍の同意、日本全国どこでも。こんなのおかしいですよ。この合意議事録だってやはり直さなきゃおかしい、このように思うわけであります。
そうした外務大臣への質問は、私から指摘にとどめさせていただきたいと思います。
さて、防衛庁にお伺いをいたしますが、きょうは防衛施設庁の資料もお手元に用意をさせていただいております。
九月二日付の防衛施設庁の時系列の資料でありますが、この一ページ目、二ページ目と、相次いで防衛施設庁次長がティモシー・ラーセン海兵隊准将に申し入れをしているわけなんですね。十三日に申し入れをし、十五日に申し入れをする。
こういった申し入れを受けながら、一ページ目に戻りますが、八月十六日月曜日のところにありますが、実は八月十五日十八時半、「米海兵隊から施設局業務課に機体撤去のための障害立木の伐採について申し出があったので、同日、施設局業務課から大学事務局へ説明・了解を得た。」と。大学側は了解したとは言っていないですよ。撤去しないでくれ、切らないでくれ、昭和四十七年開設以来植えてきた木だから切らないでくれ、そういったことも言いながら、切られちゃったんですね、何十本も。
きょうは、嘉数政務官は沖縄御出身でございますので、大変この問題にも関心が深いというふうに思いますので、私は、やはりこの十八時半の申し出、そして十八時四十分、これは外務省に一体相談したのかしなかったのか。この原因究明、再発防止を次長がこれだけ申し入れをしながら、機体を撤去しちゃったら、原因究明、再発防止できないじゃないですか。航空事故の事故調査のイロハのイは、現場の証拠保全ですよ。これはNTSBが一番よく知っている。米国が一番よく知っているんですよ。それをなぜ防衛施設庁はここで認めちゃったんですか。そして、大学側に邪魔だから木を切るようになぜ説得するんですか、日本政府の防衛施設庁が。おかしいじゃないですか。
あわせて聞きます。
横浜のときは、九月二十七日に墜落して、事故分科委員会を二回開いて、そして事故分科委員会は中間報告を発表しています。国会にも発表しています。私は中間報告を行うべきだと思いますが、これについて政務官のお答え、御見解をお伺いします。
また、米側から調査報告書、さっきの嘱託ですよ、米側に任せちゃっているんですから、調査を。それが出てきてから事故分科委員会で吟味するんじゃなくて、やはりエンジンの吟味を、厚木基地で昭和五十二年やったように、やはり早く事故分科委員会で提起して、米側が納得して、そしてその事故分科委員会で機体検証をすべきですよ。この点、やる気があるかどうか、あわせて嘉数政務官、お答えをいただきたいと思います。
○嘉数長官政務官
まず第一の御質問ですけれども、立木の伐採については、米軍から防衛施設庁に、機体を撤去するために邪魔になる、差しさわりがあるのでそれを伐採したいと申し出がありました。その申し出に基づいて、施設庁、私どもの業務部長から沖縄国際大学の庶務課長に申し入れをした。そして庶務課長の御了解をいただいた。ただ、そのときに、将来、補償の問題等いろいろあるので、撤去する前、伐採する前に連絡をいただきたいという条件で了解をいただいたということで伐採をした、そういうふうに理解をしております。
外務省に対しての件については、要するに、所有者の許可さえいただければ、それは当然のこととして作業が続行できるということでありますから、そのとおり実行していただいたということであります。
それから、機体の撤去等については、いろいろなことがあるかもしれませんが、私どもとして、日米地位協定の第十七条十項(a)及び(b)に関する合意議事録で、米軍の財産に対する捜査、差し押さえまたは検証については、米軍当局者自身による事故原因の徹底究明の必要性や、米軍財産がその性質上、高度な機密性を有する場合があることを踏まえて、原則として米軍自身がこれを行うものと定めていることから、米軍はその米軍財産たる事故機の機体を撤収したものと考えております。
なお、中間報告については、まだ私ども受けておりません。
以上です。
○金田委員長
最後の語尾がちょっと聞こえなかった。
○嘉数長官政務官
中間報告については、施設庁の業務部長が答弁いたします。
○土屋政府参考人
お答えします。
中間報告の御質問と、それから機体の検証の関係についてお答えします。(武正委員「短く」と呼ぶ)はい。
まず、事故分科委員会を第一回目開いたところですけれども、米軍は事故の原因につきまして、要は後部ローターの構成部分の小さな固定器具が外れたと説明したわけです。これにつきましていろいろな質問をしたわけですけれども、米側は、引き続き入念に調査を行い、その結果を提出するとしておりまして、それまでの間に現時点以上の事実関係についての情報を提出することは難しいとしております。したがって、第一回目の事故分科委員会における説明以上の米側からの説明を、現在のところ期待できないものと考えております。
そして、その合同委員会の合意によりまして、一義的な事故調査は米軍が行うこととされておりますので、この事故調査報告書をできる限り早く提出するよう米側に要請しておりますし、これからもしていきたいと思います。
これらのことを勘案しますと、現時点で中間報告を行いましても、先ほど申し上げた以上の内容がないというのが実態でございます。
それから、その次の、事故機体の検証を早くやるべきではないかということでございますが、実地調査はその米側の事故調査報告の提出を得た上で行うことが適当と考えております。したがって、この事故報告書が提出された後、速やかな調査ができるよう専門家の方を含めて必要な準備を進めてまいりたいと考えておりますが、その専門家による調査につきましては、既に米側に申し入れているところでございます。
■武正委員
要は、最初の点は期待できないわけですよね。それから、共同調査もやらないということですよね。本当にこんなのでは原因究明、再発防止できませんよ。それから、米側の調査報告書を待ってからなんて、そんなの待っている場合じゃないです。早く行って見なきゃ。前回は厚木から米国に持って帰っちゃったんですよ、エンジンを。政府の姿勢は、私は到底容認できないというふうに思います。
さて、きょうは国土交通政務官もずっとお待ちをいただきましたので、まず一点。この防衛施設庁さんの資料で、十四時半、那覇航空交通管制部から那覇局業務課に連絡があったというふうにされていますが、この事実確認。
それから二点目。今回のこの通報体制、これはチャートがありますけれども、現場司令官は那覇防衛施設局に、あるいは外務省に連絡しなきゃいけないんですけれども、十四時十五分に墜落して、那覇防衛施設局に連絡が行ったのが十四時四十分、外務省に行ったのは十四時四十五分、既に二十五分、三十分もたっていますよ。私は余りにも時間がかかり過ぎだと思って、この事故の通報システムも見直しが必要だというふうに思っております。
特に、この事故通報システムのチャートの一番後ろをごらんください。これはSACOの合意です。SACO最終報告。一番上の「事故報告」を読みます。
平成八年十二月二日に発表された米軍航空機事故の調査報告書の提供手続に関する新しい日米合同委員会合意を実施する。
さらに、良き隣人たらんとの米軍の方針の一環として、米軍の部隊・装備品等及び施設に関係する全ての主要な事故につき、日本政府及び適当な地方公共団体の職員に対して適時の通報が確保されるようあらゆる努力が払われる。
これが地位協定の運用の改善ですよ。運用の改善で、要は相変わらず二十五分、三十分たっている。運用の改善じゃだめなんですよ。地位協定の改定をしなきゃ。このことを改めて指摘して、国土交通政務官には先ほどの事実確認。これは防衛施設庁さんの資料に書いてあるんですからね。十四時半に沖縄県警及び那覇航空交通管制部から那覇局業務課に連絡が入ったんですよ、防衛施設庁に。
私は、そういった意味から、嘉手納ラプコンを早く返せと。お手元に資料を用意しています。これは那覇の航空交通管制部の航空事故連絡系統図。先ほどのこのフローチャートの三枚目、ここに、どこにも、一言も、米軍のベの字も出てきませんよ。その理由は、やはり嘉手納ラプコンは米軍が管理していて、沖縄県が、日本が沖縄の上空の航空管制もできないという建前があるからですよ。
でも、多分、レーダーを見ていれば当然わかるんですよ。わかったから、私はやはり十四時半に那覇航空交通管制部から連絡したんだと思いますよ。もしかしたら、立場上、これはないというふうに言われるのかもしれませんが、そういった意味も含めて、嘉手納ラプコンはもう一日も早く日本に返還をすべきだというふうに思います。
以上二点、政務官のお答えをいただきたいと思います。
○鶴保大臣政務官
御指摘の事実関係につきましては、那覇航空交通管制部から那覇防衛施設局に通報を行った事実はございません。
また、嘉手納ラプコン返還問題につきましては、平成十二年三月に、コーエン前国防長官より返還に同意する旨の発言があったことを受け、現在、民間航空分科委員会のもとに専門家レベルの特別作業部会を設置し、具体的な問題について検討が行われておるところでございます。平成十四年五月には、日米間で進入管制業務に関する運用所要について合意するなど、返還に向けた作業を進めておるところでございます。
いずれにいたしましても、御指摘のとおり、国土交通省といたしましても、嘉手納ラプコンの早期返還に向けて最大限の努力をしてまいる所存でございます。
■武正委員
以上で終わります。ありがとうございました。
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