2004年10月27日 【外務委員会】
■武正委員
民主党の武正公一でございます。まず冒頭、私は外務大臣への質問を求めておりますが、外務大臣が不在でございますが、いつ戻ってこられるのでしょうか。ちょっとその点を確認させていただきたいと思います。
■逢沢副大臣 今般、情報としてもたらされました、イラクにおきまして日本人が人質にとられている、身柄を拘束されているという事案が発覚をいたしました。今、官邸におきまして関係閣僚で、その救出また善後策について協議をさせていただいております。その協議がいつごろまでかかるかということについて、至急に情報をとりたいと存じます。恐縮でございます。
■武正委員 ちょっと与野党の御協議もいただく必要があるのかなと思うのは、これは昨年三月二十日、イラク開戦の折に、当時、沖北の委員会で、あらかじめ、やはり外務大臣は当然沖北の委員会、難しいだろうという中で、副大臣、茂木副大臣御出席で答弁ということでございましたが、開戦の日に当たったので副大臣も来れない、政務官だというお話がございました。
やはり、その二十日の開戦に当たって、まして国連での原口国連大使等の演説、その英文和訳、こうした指摘、前から副大臣とのやりとりもありましたので、私はやはりこれは副大臣に来ていただかなければだめだということで、与野党の理事の御協議もいただいて、与野党間のさまざまな御調整で副大臣に戻ってきていただいた経緯もございます。
今、副大臣の方から、要請をというようなことでありますが、きょうは六時間の一般質疑でありますし、大変外交案件が山積をしている。その中で、特に与野党の委員の中には、やはり外務大臣でなければという質問もたくさんあるわけでございます。
そういった意味では、私は、やはりここで、外務大臣が、この今の官邸での協議の中、やはりその場で、またどの程度で戻ってこれるのか、そしてその中で与野党がどういう調整をされるのか、これをぜひ委員会、委員長の方で御確認をいただきたい。そうでなければ、せっかくのこの一般質疑、みんなが準備してきたものが中身のあるものにはならないというふうに考えるからでございます。よろしくお願いいたします。
■赤松委員長 今申し出られました取り扱いにつきましては、お昼に理事会を開催予定でございますので、大臣、町村大臣の出席等についてはその場で協議をいたしたいというふうに思います。
それでは、今与野党の理事で御協議もいただきまして、午前中のといいますか、今の審議につきましては、町村大臣の答弁を、なくてもできる部分もございますので、それを中心に進めていただき、早急に今、外務省の方は、大臣がいつごろ戻れるのか、あるいは戻れないのか等々について連絡をいただくことになっておりますので、その間、この委員会、中断するというわけにはまいりませんので、議事については進めさせていただきたいというふうに思います。
どうぞ質問を続けてください。
■武正委員 これまでの委員会運営で、与野党の理事の御協議でさまざまな工夫がされてきた経験があるということは、もう委員長も御承知のとおりだというふうに思っております。特に、午前中の質問が民主党議員ということもありますので、私はやはり、ここで大臣以外のところをやりなさいといっても、私は防衛庁以外は全部大臣にというふうに質問取りのときにお願いをしております。ですから、大臣以外にということになりますと、防衛庁お見えでございます、あと警察お見えでございますので、この二問だけということになりますが、それでよろしいんでしょうか。
■赤松委員長 再度申し上げますが、町村大臣の退席については、この委員会開会前の理事会で、与野党の理事会でもって了承のもとに、私の別に個人の判断で進めておるわけではございません。与野党間の協議のもとで、その了承のもとに進めておることでありますので、どういう質問をされるかは質問者のもちろん自由でございますけれども、その形でとにかく質問は続けていただきたいというのが私の委員長としての議事整理権でございます。
■武正委員 与野党の理事の皆さんが御協議をされて、委員長のもと、きょうの委員会の運営がされている、これに敬意を表する次第でございます。尊重はしなければなりません。
しかしながら、私は、いつ帰ってくるかわからないというような形で果たして委員会審議ができるのか、このことをやはり問題提起をさせていただきたかったわけでございます。特に、それをよしとする外務省の姿勢がもしあったとすれば、私は国会軽視も甚だしいというふうに思います。昨年の三月の二十日のときも……(発言する者あり)いや、ですから、国会軽視も甚だしいと私は申し上げたのでございます。
ということで、理事会での御協議も配慮をいたしまして、質問に移らせていただきます。速やかに大臣が戻ってこられることをお願いしたいと思います。
まず第一に、在日米軍司令部、今回の防衛施設庁に、既に明日、CH53D、二十八日三機、あるいは十一月中旬までに二機を岩国に移す、そうした表明がございましたが、新聞報道もございますが、十月十二日、第三回の関係大臣等会合で、飛行再開に政府としてこれ以上異論を唱えるつもりはないというふうにプレスリリースがされております。いわば墜落事故機の同型機の飛行再開を容認したわけでございますが、この根拠は何でしょうか。外務省、お願いいたします。
■逢沢副大臣 去る八月十三日に宜野湾市で米軍海兵隊のヘリの墜落事故が起こりました。まことに遺憾な事故であったというふうに考えております。
政府としては、早急に事故原因の徹底究明、また再発防止、そのことについて米軍に強く申し入れをし、そして日米合同委員会のもとに関係する分科会を開き、鋭意その対応に当たってきているところであります。
その結果、CH53Dの安全点検等に関しまして、米側からの調査報告書の提出を踏まえ、日本側専門家、これは防衛庁と国交省でありますが、専門家が普天間飛行場を訪問いたしました。そして、事故分科委員会において検証を行い、それらを通じて、政府としては、事故原因及び飛行再開に向けた再発防止策について十二分な説明を聴取することができたという認識に至ったわけであります。それを受け、十二日の関係大臣等会合で確認をいたしましたが、その中身は、米側が事故機と同型のCH53Dヘリの飛行を再開したことに対し、政府としては異論を唱えないという立場に立たせていただきました。
しかし、当然のことでありますけれども、ヘリの運用につきましては、沖縄県民の方々の不安に十二分に配慮をする、飛行の安全の十二分な確保、そのことを最大限に尊重し運用するように引き続き強く働きかけをいたしております。
■武正委員 十分であるというその根拠が私は乏しいというふうに思うわけでございます。
きょう、お手元に、委員長あるいは理事の皆様の御同意を得て提出資料を出させていただいておりますが、この一番最後から二枚目に、八月十八日、外務大臣あて、民主党代表岡田克也名で「在沖米軍ヘリコプターの墜落事故に関する要請書」を出しております。
この中で、例えば、下記の一番「政府は、当該事故に関する徹底的な原因究明を行い、その内容を公開すること。」あるいは「日米合同委員会の事故分科委員会を速やかに開催し、事故にかかわる主要な議事録を公開すること。」こうしたことを当時外務大臣に求めました。そしてまた、二番では「上記合同委員会の場などでの米国政府との交渉を通じ、抜本的な対策を講じること。」というようなことですね。
そしてまた、特に後で問題にいたしますが、これはやはり刑事裁判管轄権、いわゆる第一次裁判権がどちらにあるのか。そして、その放棄を求めたのかどうか。あるいは合同捜査、共同での機体検証を行ったかどうか。こういったことをやはり行うべきということで、昭和五十二年の横浜市の例をもとに、現場検証、合同調査、こうしたことによっての徹底究明、これも求めたところでございます。
特に、五番では「わが国当局の事故現場検証を認めなかった」ということについては、やはり地位協定の改定、これも求めているところでございますが、三回の事故分科委員会の議事録を公開すべきということをこのとき申し出たわけでありますが、事故分科委員会の議事録は公開されていますでしょうか。外務省、お願いいたします。
■海老原政府参考人 日米合同委員会、そして事故分科委員会はその下部組織、地位協定上は補助機関ということになっておりますけれども、この下部組織での合意事項、あるいは今おっしゃいました会合の議事録は、日米間の忌憚のない意見の交換や協議を確保するために、日米双方の同意がなければ公表されないということになっております。
事故分科委員会での議論につきましては、会合ごとに日米双方が協議をいたしまして、会合の内容についてしかるべく公表を行ってきております。また、議事録ではございませんけれども、米側から提出された事故調査報告書については、米側と協議の上、全文を公表いたしております。
■武正委員
九月九日、合同委員会を開いているんですね。これは資料の六ページに、ことし一年間合同委員会がいつどこで開かれたのかの一覧表がございます。
九月九日に合同委員会を開催したんですが、そのときにどういう内容だったのか、合意内容は何だったのか。
そして、民主党が求めておりますような議事録公開の是非あるいは合同検証の申し入れを日本側からしたのかどうか。そして、まだ開かれておりませんが、刑事裁判管轄権分科委員会の開催の提案はしたのかどうか。これらをまとめてお答えいただけますでしょうか。
■海老原政府参考人 お尋ねの九月九日の日米合同委員会でございますけれども、これは米軍のヘリ墜落事故だけではなくて、ほかの件もございましたけれども、米軍のヘリ墜落事故につきましては、私が日本側の代表でございますけれども、私の方から米側に対しまして、まず今般の米軍ヘリ墜落事故を初め、同時期に連続して発生しておりました横浜市内での爆薬落下事故あるいは北硫黄島での米軍機墜落事故等、一連の米軍航空機関連事故について強い遺憾の意を表明いたしまして、再発防止のためのすべての措置をとるように強く求めたところでございます。
この沖縄の墜落事故につきましては、事故原因及び再発防止策につきまして事故分科委員会において取り上げる方針や、事故現場における協力について特別分科委員会を立ち上げて日米間で話し合っていくということを確認いたしました。
以上申し上げましたのが、日米で合意いたしました日米合同委員会の審議内容でございます。
なお、今委員の方から、議事録の公開あるいは横浜のファントム事故についての合同検証の問題等について、この合同委員会で議論がなされたのかどうかというお尋ねがありましたけれども、これは先ほども申し上げましたように、議事録を含めまして、中でどのような意見交換、議論が行われたのかということについては日米双方の合意がない限り明らかにしないということになっておりまして、御質問につきましても、米国との関係もございまして、議論されたかどうかにつきましてもお答えするのは差し控えさせていただきたいというふうに思います。
■武正委員 本来なら大臣に聞きたいことでありますが、この点だけはちょっと副大臣、どうなんですか。もう事故機同型機再開オーケーだ、事故分科委員会、しっかり検証していますよというお話なんですが、国会でこの点を我々が審議するに当たって、情報が余りにも少ない。
例えば、今回の問題は、先ほども触れたように、合同検証という過去やったことをなぜやらないのか。これをやはりこの合同委員会で申し入れをしたのかどうか。そして特に第一次裁判権、この放棄を言ったのかどうか。あるいは、刑事裁判管轄権分科委員会の開催を申し入れたのかどうか。これは大変大事な点なんですね。
この点を、今のように合同委員会の内容は明かせないということで、これでは飛行機と同型機の再開を認めるということにはやはりならない。状況がつかめない、真相がわからない、それでよしとする関係大臣の十二日の決定は余りにもおかしい、当然私はそう思うんですが、いかがでしょうか。この合同委員会の内容を何も明かせない、これでいいんでしょうか。
〔委員長退席、大谷委員長代理着席〕
■逢沢副大臣 今武正委員御指摘のように、十二日の関係大臣等会合で、今後の同型機CH53Dの飛行の再開については異論を唱えないという立場をとるということを決定いたしたわけでありますが、それは、事故原因を明らかにするとともに、再発防止策、これについて十二分な説明を聴取することができた、そういう判断に至ったからであります。
その再発防止の中身ということでございますが、これは他の委員会等でも既に答弁の形で申し上げさせていただいておりますが、まず事故原因となった部分の点検を飛行前点検の項目に追加をする、そして整備マニュアル中不明瞭であった部分をしっかり改正する、整備要員の勤務時間について、米軍のローテーションでありますが、見直しを行う、そして適切な整備手続を行わなかった者に対しては、これは懲戒行政処分を科す等々の再発防止策が確認をされた。そのことをもって、関係大臣等会合で、今後同型機の飛行については異論を唱えない、そのような判断をいたしたわけであります。
■武正委員 外務大臣に関する質問は飛ばすということでありますので。
私は、なぜ日米合同委員会が九月九日以降開かれないのか。過去を見ていただくと、二週間、あるいはせめて一カ月に一回は開いている。ちょうど参議院選挙あるいはお盆を挟んだところは若干間隔があいておりますが、やはり、米軍ヘリが墜落したというこの案件後の合同委員会が九月九日以降一カ月強開かれていないというのは、甚だ遺憾であります。これはやはり合同委員会開催を求めるべきだ。これは外務大臣に聞きたかったんですが、いらっしゃらないので飛ばさせていただきます。
そして、きょうは防衛庁もお見えでございますので、資料四ページ、五ページ、これは事故分科委員会、これは防衛施設庁が議長をされている分科委員会でございますが、現地調査派遣ということもあって、専門家をここで、四ページ、五ページ、二回、三回の事故分科委員会で委嘱をしている。この専門家が、どういう形でだれが人選をして、この専門家は一体どういう権能を有しているのか、これをお聞きできますでしょうか。防衛庁、お願いします。
■今津副長官 この事故は非常に重大であるというふうに考えたわけであります。早期に原因を究明して、再発防止策をどのように講ずるか、大切に考えました。
そこで、第一回目の事故分科委員会というのがございまして、アメリカの方からとりあえずの調査結果として、後部ローターの構成部分の小さな固定器具が外れてコントロールができなくなったという説明があったものですから、これは専門家でなければ事実を解明できない、こういう判断をいたしまして、海上幕僚監部のパイロット、あるいは海上幕僚監部の整備担当者、あるいは技術研究本部の機体構造に関する研究者、あるいは国土交通省の航空事故調査官のパイロット、この五名に対しまして、それぞれ飛行関連事項、それから整備関連事項、機体構造関連事項、飛行関連事項の分野にわたって調査を依頼したわけでございます。
議員御承知のとおり、その後、二回の事故分科委員会にこの専門家の方々の御出席をいただいて、子細な現地視察を三回されているところでございます。その現地視察の中では、普天間の飛行場の中の、事故の残骸が保管をしてありましたから、それを調査するとか、そういうようなことを重ねて、事故原因それから再発防止策、安全点検の状況等について、部隊関係者と専門的、技術的なやりとりを行ってまいりました。
これらの専門家は、事故分科委員会において、今後ともおのおのの専門的、技術的知見を提供することとなりますが、事故原因の究明及び再発防止策に係る日米合同委員会の勧告については、専門家の知見を踏まえて、事故分科委員会の責任においてなされることとなると思います。なお、その際には、専門家の知見を最大限尊重するべきものと考えております。
■武正委員 知見の提供程度の、そういった権能を持っているということがわかりました。
ちなみに、昭和五十二年のときのメンバーとして、今のような航空自衛隊の技術者、海上自衛隊あるいは運輸省の専門家、そのほか、横浜市長から六名の推薦、運輸省の事故調査委員会で過去いろいろやられた専門の先生、そういった名簿、運輸省、こういった方々から専門家をチョイスするというようなことからかんがみますと、私は、例えば日本航空や民間航空会社、あるいは民間の専門家、学識経験者、たくさん航空事故の専門家がいますので、そういった方々をもっともっと加えていかなかったら、このメンバーを見れば、皆さんお役所の方ですよ。それで本当にこの事故調査、原因究明、再発防止の知見の提供ができるのか、私は甚だ疑わしいと思っております。
そういった意味では、まだまだこれで事故原因、先ほど外務副大臣が言われたように、八月二十二日、同型機の飛行再開のときの米軍のプレスリリースに書いてあるように、そのときからすべて整備不良。八月二十二日のプレスリリース、整備不良、それがもうありきのこの事故分科委員会であると断じざるを得ないわけでありまして、私は、原因究明、再発防止、徹底した調査が行われていない。
このまま再開を関係大臣が容認して、あした岩国に飛んでいく。一度ならず二度。そのことを政府が容認することは、同じ失敗を繰り返すことで、やってはならない。主権の侵害甚だしい点も含めて、日米合同委員会あるいは事故分科委員会の取り組みをとてもこのままでは容認できないというふうに考えるわけであります。
警察もお見えでございますので、日米地位協定改正や特定失踪者問題、米軍再編について、外務大臣お見えでありませんのできょうはお聞きできませんので、最後に警察から。
事故分科委員会で整備上のものなのかと聞いておりますが、事故報告書のように整備上のものと仮にすると、航空の危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律、運転罪で整備士を立件、いわゆる送致するようになるのか。この点、警察庁、お聞きできますでしょうか。
■岡田政府参考人 御案内のとおり、沖縄県警察におきましては、事故発生以来、墜落現場等の検証、実況見分、目撃者等参考人からの事情聴取を実施しているほか、航空機の専門家から意見を聴取するなど、所要の捜査を推進中のものであります。
御質問にございましたような、米側から提出された事故調査報告書の内容等も踏まえつつ、今後とも刑罰法令に触れるものがあれば法と証拠に基づき対処していくもの、このように承知をいたしております。
■武正委員 警察は三名の名前の照会をしているというふうに聞いていますが、そのような事実はございますか、米側の整備士の。
■岡田政府参考人 いたしております。
■武正委員 その結果はどうですか。
■岡田政府参考人 現時点では、私どものところではまだ確認をいたしておりません。
■武正委員 たとえ整備不良だとしても、こうした点での送致については、これまでの過去の例にあるように、検察庁では第一次裁判権がないことを理由に不起訴にしているということもありまして、やはり、この危険運転罪での送致についても、外務省、米側との関係で三名の名前も明らかにできない、こういったことも含めて、私は、やはり合同委員会のその内容、今回の米軍ヘリについての原因究明、再発防止、その取り組みには甚だ不備なものがあるということを指摘して、時間を若干余して終わらせていただきます。
ありがとうございました。
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