2004年11月1日 【外務委員会】

武正委員
民主党の武正公一でございます。まず、昨日、香田さんの遺体と確認をされたことに、心から香田さんの御冥福をお祈り申し上げ、御遺族並びに関係者の皆様にお悔やみを申し上げる次第でございます。
 
民主党はこの事件発生後、二十七日七時半イラク日本人人質事件緊急対策室を設け、十時半対策会議、十六時緊急対策本部を、岡田克也代表のもと、本部を立ち上げました。そして、毎日のように本部を開催し、また人質解放の呼びかけを、アルジャジーラ・カタール本社あるいはイラク大使館等に出向き、そしてアルジャジーラでの報道、そして岡田代表もアルジャジーラで呼びかけるというような、さまざま民主党としてでき得る限りの手を尽くしてきただけに、本当に残念、痛切の思いでございます。
 
そうした中、今回の香田さんのこの死を決してむだにすることなく、日本の外交、安全保障、危機管理、さまざまな面でこれを国会としてどう生かしていくのか、これをもって香田さんの本当に痛ましい死に報いる、これが国会の役割ではないか、こう考え、以下質問をさせていただきたいと思っております。
 
まず、当日二十七日、既に、午前五時七分、ウエブサイトに過激派を名乗る組織の犯行が、人質をもって、香田さんをもってウエブサイトに登場してすぐに、首相秘書官を通じての指示、あるいは自衛隊機で兵庫県の被災地に向かう首相が電話で官房長官に指示等が伝えられておりますが、いわゆる表向き、午前十時に首相の発言というものが出ました。
それが午前十時の、自衛隊は撤退しない、テロは許すことができない、テロに屈することはできないと。これはもっと長い部分の一部分を切り取った形で、かなり厳しい表情で、激しい口調でこの部分が何度も何度も流されたところでございます。
 
これについて、これはイラク・イスラム党幹部のソハイブ・ラウィ氏、小泉首相は当然ながら犯人側の要求を受け入れるなどとは言えない、しかしあんなに強い調子で言う必要はなかったと振り返る、人質は殺すなと強調する声明も出せたはず、それと同時にフランス政府のように水面下で交渉のチャネルを開くよう努力することは可能だという指摘、これが報道されております。
 
また、イスラム聖職者協会幹部のサバハ・ジャセム氏も、小泉首相の発言は賢明でなかった、もし犯行グループが身代金目的ならあれで問題ない、しかし今回はとても過激な姿勢で知られるグループだ、彼らを挑発する必要はないと語る。
 
こういった指摘、コメントをどう受けとめられるか。これは外務大臣、よろしいでしょうか。

町村国務大臣 
委員御指摘のように、かなり早い時点で小泉総理の方針、指示が公表されたわけでございます。
 
ポイントは三つありまして、一つはまず事実解明に全力を挙げること、二番目は、もちろんのことでありますけれども人質救出に全力を尽くすこと、第三番目が、ポイントだけ言えば、テロに屈した形で自衛隊の撤退というものは今考えないということであります。
 
それはいろいろなお立場の方がいろいろなコメントをされていることを私も承知しております。それらが別に、それぞれのお立場の考えで、あえて間違っているとか正しいとか言うつもりもございません。ただ、日本国政府として、小泉総理が政府の基本的な方針をそこできっちり述べるということは、私は、非常に大切なことであった、かように受けとめております。

武正委員 
発するタイミング、あるいは外に向かってしゃべることといわゆる省庁あるいは対策本部内でしゃべること、これはいろいろと、やはりこうした事態にはあるのかなということだというふうに思います。
 
そこで、きょうは官房副長官もお見えですが、ちょっと質問も外務大臣とかぶっているところもありますので、ここは取捨をさせていただくことをお許しいただきたいと思います。
 
イラクの聖戦アルカイダとされる犯人グループ、これが特定はできなかったというコメントもありますが、接触はされたのかどうか、これも外務大臣、お答えいただけますか。

町村国務大臣 
今回の事件の実行犯の蓋然性が高いとされておりますザルカウィ関連組織の犯行と見られる実は未解決の問題が、委員御承知のようにまだまだあるという状況が一つございます。それから、この組織が、当然のことですが活発な活動をしているという事実もございます。
さらには、これは関係国とのいろいろな情報のやりとりというものがあるわけでございまして、それらの国に対する信義の問題というのもございます。
 
したがいまして、本件につきましては、テログループと接触があったかというお問い合わせでございますが、これは秘密を守らなければならない性格のことであろう、こう考えますので、接触の有無についてのお答えは差し控えさせていただきます。

武正委員 
それでは、冒頭お聞きした中に入っておりましたが、テログループは確認をされたのか、どこがテログループという、あるいは犯人組織という確認はされたのかどうか。

町村国務大臣 
インターネットを通じて出されたものがそういう名称のものでありましたから、先ほど丁寧に申し上げたつもりでございますが、実行犯の蓋然性が高い組織の名前が挙がっていると私は考えております。

武正委員 
外務大臣は、やはり二十七日、このようなコメントを、先ほどの首相のコメントに続いてでございましょうか、発せられております。再三強い退避勧告が出され、危険であることが十二分にわかっていながら何ゆえ旅行されたのか理解に苦しむ、こういったコメントをされたという報道がありますが、このようなコメントをされたのか、また今もその思いは変わらないのか、お答えをいただきたいと思います。

■町村国務大臣 
イラクが非常に危険な場所であるということは、四月の事件あるいはその後のあるいはその前の国際的ないろいろな人質の事件等を見ても、非常に危険な場所だというのはもう自明の理であろうかと思います。しかるゆえに、外務省としても、あらゆる手段を尽くして、退避勧告等を出し、やってきたわけでございます。
 
それにもかかわらず、今回のようなまず事件が起きたということでございまして、その瞬間の私の気持ちとしては、これだけ退避勧告が発せられるのになぜそんな危険を冒して入るんだろうかと、御本人の意図その他もよくわからなかったわけでございます。結局わからないままで終わったわけでございますけれども、そういう意味で、理解に苦しむと申し上げたのは事実でございます。
 
しかし、その後のいろいろな経過、そして今回のような大変残念な結果になったということで、委員と同様、私も心からお悔やみの念を深くしておりますし、とにかくまことに残念であるとしか言いようがない、今の時点で私はそう思っております。

武正委員 
このコメントは、いわゆる自己責任論というようなニュアンスであるという指摘をされているわけでございますが、今私がお聞きをしたのは、今も、つまりこのときのコメントと同様、つまり退避勧告が出され、危険であることが十二分わかっていながら旅行される、これは理解に苦しむといういわゆる自己責任論というような指摘がある。これについて、今もその御認識は変わらないのかということをお聞きしたんです。

町村国務大臣 
自己責任論というのがちょうど四月の事件の後いろいろ言われました。自己責任論にもいろいろな意味合いがあるということですから、私も、自己責任論という思いでこのことを言ったんではなくて、ごく最初に第一報を聞いたときの最初のいわば直観的な印象を、なぜ行ったんだろうかなということを、これは多分ほとんどの方が自然にそうお思いになるんではないんだろうかなと思いまして、私はそういう印象を述べて、今もその思いはあります。

武正委員 
今もその思いはありますということで、御認識が変わらないということをお述べになられたと思いますが、私は、外務大臣がこのタイミングでこのコメントをすることが果たして適切だったかどうか、これはやはり検証されてしかるべきというふうに指摘をさせていただきます。
 
さて、午前七時に外務省には対策本部が立ち上がり、午前九時三十五分、関係閣僚による邦人人質事件対策本部、本部長細田博之官房長官、立ち上がっておりますが、この両対策本部の関係というものを、官房副長官お見えでございますので、御説明いただけますでしょうか。例えば、情報収集はどちらが行うのか、あるいは指示命令系統はどちらが上なのか下なのか、並行、同じなのか。お答えをいただけますでしょうか。

杉浦内閣官房副長官 
まず、本来、細田長官が伺って御答弁申し上げるべきところでありますが、公務が立て込んでおりまして私が参りましたことを御了解いただきたいと思います。
 
御質問でございますが、本事件発生後、午前七時に外務省に対策本部が設置された、そのとおりですが、実は官邸の対策本部は、この四月の三人の方の事件が起こった際に閣議決定がございまして、「重大テロ等発生時の政府の初動措置について」という閣議決定があの事件の直後出されまして、これに基づいて、これは総理大臣の判断で内閣に官房長官を本部長として設置することができるとしておるものでございますが、そのときに、官房長官を本部長として対策本部が設置されておりました。
 
その対策本部が、そのフォローアップもありますし、その後も幾つか事件が起こったことは御案内のとおりですが、そのまま存続しておりましたので、その対策本部をこの事件についても動かしたという趣旨でございました。新たに設置されたわけではございませんが。
 
官房といたしましては、事件発生直後に危機管理審議官を長とする連絡室を設置して情報体制を強化したわけですが、すぐに内閣危機管理監を長とする官邸対策室へ格上げしたところでございます。その後、総理から御指示があって対策本部を動かせということで、対策本部が動き出したわけでございます。
 
両対策本部の関係でありますけれども、内閣官房に設置いたしました対策本部は、事件の解決に向けて政府が一体となって取り組む、関係省庁が一致協力して施策に取り組むということを推進するために、官房長官を本部長として設置されたものでございます。
 
他方、外務省の対策本部は、現地からの情報収集、その分析、それから邦人保護、これは国の責務、外務省の責務ですが、そういう見地からの対応などを含めまして、外務省に期待されている役割を効果的に果たすためにつくられたものだと承知しております。外務大臣を長として設置されたものでございます。
 
したがいまして、両対策本部の関係は、法令上の指揮命令関係といったものではございませんで、むしろ総合調整を行う内閣とそれに従い協力する外務省との関係、これは内閣法、憲法にもございますが、その一部としてとらえられると考えております。いずれにしても、両者は緊密に連絡、連携協力しながら事態の対処に当たったことは申し上げるまでもございません。

武正委員
今明らかになったのは、官邸、官房につくられた人質事件対策本部は総合調整、連絡調整に当たるんだということで、各省庁に設けられた対策本部との指示命令系統というものは明確になっていないということの答弁だと思います。私は、やはり危機管理上、ここの点があいまいになったまま、今回、人質解放に向けた対応、これが後々の情報の二転三転も含めた混乱につながっているのではないかと、これは問題点を指摘させていただきたいと思います。
 
さて、実は、土曜日に福田康夫前官房長官の御長男の結婚披露宴が都内のホテルで開かれまして、報道によりますと、首相、官房長官、あるいは自民党の森前首相、中川国対委員長ら政府・自民党の幹部が出席したという報道でございます。
 
報道によれば、「公邸で状況の報告を受けていた首相は、午後に「遺体は香田さんとは別人である確度が高い」との報告を受け、出席を決めた。」また、別な報道も「首相らは、発見された遺体が香田さんと確認された場合には出席取りやめを検討していたが、「別人」と分かり、結局そろって参加した。」ということでありますが、今の人質事件対策本部本部長細田官房長官、そしてまた首相、お二人がこの結婚式に参加をされている。
 
これは何時から何時まで出席をされていたのか、官房副長官、よろしくお願いします。

赤松委員長 
官房副長官に申し上げますが、できるだけ大きい声で、ちょっと聞こえにくいので、済みません。
杉浦内閣官房副長官。

杉浦内閣官房副長官 
お答え申し上げます。
 総理は、十七時半、これは開宴の時間でございますが、開宴と同時に御出席されまして、十九時四十五分ごろ、中座、退席されました。
 官房長官は、総理よりおくれて、開宴後出席されまして、総理より早く、その退席前に中座いたしております。

武正委員 
恐縮ですが、時間もお願いできますか、官房長官の時間を。

杉浦内閣官房副長官 
時間は伺ってこなかったですが、十七時半開宴のしばらく後に出席されて、十九時四十五分、総理が中座、退席されましたが、その直前と言ってもいい、そんなに差のない、そういう前に退席されたと伺っております。

武正委員 
これは質問通告でお願いをしている件でありますので、御答弁をいただかないとちょっと次に移れないんですが。

■杉浦内閣官房副長官 
早速調べまして、御答弁するようにいたします。

武正委員 
もちろん外務大臣は出席をされていないという、報道でお名前がないものですから、改めて確認をさせていただきます。

町村国務大臣 
私もお招きをいただいておりましたが、出席はしておりません。

武正委員 
私は、首相、官房長官、お二人そろって出られるというのは、やはり問題だったのではないかなと。しかも、御遺体が香田さんでないから出席をするということが果たして、その後の結果、残念な結果を見るにつけても、やはりその二時間十五分の首相、そしてこの後明らかになる官房長官の出席というのが、お二人そろって出席をされるのは適切でなかったということを考えます。これも指摘にとどめさせていただきます。
さて……(杉浦内閣官房副長官「御説明させていただきます」と呼ぶ)どうぞ。

■杉浦内閣官房副長官 
総理、官房長官が出席されたのは事実でございますが、総理は、二名の秘書官を分けまして、二名は官邸にとどめ、二名を同行して出席されております。
それで、危機管理監初め官邸におりました二人の秘書官から常に連絡を受けておりましたし、さらに事務方でも、二橋事務副長官や内閣広報官は招待を受けておりましたが、欠席させまして事態に備えました、念のためですね。もちろん、その場所は帝国ホテルですから、官邸から車で五分ぐらいのところですので、何かあればいつでも戻れる場所でございました。
 
総理は主賓として呼ばれております。御案内のとおり、大恩ある福田赳夫先生のお孫さんの結婚式でございます。官房長官も重要なゲストとして招待されておりましたことから、待機期間中ではありますが、直前でキャンセルすることは大変失礼との認識もあられたようでございまして、結婚式に出席され、途中退席されたということでございます。出たこと自体、問題があったとは思っておりませんけれども、人質問題が心配だったものですから、失礼とは思いながら、中座して官邸へ戻られたというふうに伺っております。

武正委員 
その時間は速やかに御答弁をいただきたいと思いますが、私はやはり、首相そして官房長官お二人が出席したのは適切でなかった、このことを指摘させていただきます。
 
先ほど来、危機管理監、危機管理監という言葉が出てまいります。
 
さて、二十七日の午前六時十分から、内閣の連絡室が対策室へ格上げになった。六時四十分ですね、三十分後、危機管理の連絡室が対策室への格上げになった。これはだれの判断で格上げになったんでしょうか。これも官房副長官、お答えいただけますか。

堀内政府参考人 
お答えをいたします。
内閣危機管理監の判断によって格上げをしております。それにつきましては、昨年の十一月に政府の初動措置に関する閣議決定が行われておりまして、その中に定められておるものでございます。

武正委員 
これは、当外務委員会でも、あるいは事態対処特別委員会でやっと明らかになったんですが、例の尖閣諸島、この不法上陸のときも、その判断、これもやはり危機管理監がされて、官房長官や首相に上げなかったというようなことがございます。
 
私は、やはりこうした危機管理において、初動であろうと何であろうと、さまざまな意思決定を、危機管理監はもちろん大変なお役を担っていただいておりますが、これが官房長官とか首相に上がらないことが間々あってはならないというふうに思っておりまして、今回も、実は、首相や官房長官がなぜ結婚式に出るのか、それはやはり、実際のところは危機管理監がやっているからいいというような甘えが、官房にも、そして首相、官房長官にもあるのではないか、この問題点を指摘させていただいたわけでございます。
 
続いて、質疑に移らせていただきます。
実は、この水曜日というのは、午前十時四十分に震度六弱の余震が起き、危機管理センターの中は電話が鳴りっ放し。そして、危機管理監の判断で、危機管理対策室に格上げされて以後、A班、B班の二正面作戦というような形、新聞報道もあります。
つまり、片っ方の班が、これはA班が、A班とB班に分けまして、片っ方が地震対策、そして片っ方が人質対策ということで、もしここに何かもう一つ事故が万が一起きた場合、C班をつくろうとしても情報収集機材が二セットしかなく物理的に対応が困難、こういった大混乱の状況で人質対策の対応に当たった、こういう指摘がされているわけでございます。いかに日本の危機管理がお粗末であるかをここでも露呈しております。
 
さて、今回、新潟県中越地震で政府の非常災害対策本部長を務める村田吉隆防災担当相が、この小泉内閣では国家公安委員長を兼務しております。すなわち、地震対策本部長を兼ねて今回のテロ対策の警察のトップを務めている。こういったことも、果たして地震とテロ対策、しっかりと村田さんができるのかといったことも、やはりここでも指摘をせざるを得ないわけであります。
 
防災担当ということでいえば、阪神大震災以降ということでお答えをいただきたいんですが、過去、防災担当と国家公安委員長が兼務した例が何例あるのか、お名前を挙げていただきたいと思います。警察庁、お願いいたします。

安藤政府参考人 
お答えいたします。
過去、国家公安委員長がいわゆる防災担当大臣を兼務した例といたしましては、いずれも平成十三年でございますが、伊吹文明元国家公安委員長及び村井仁元国家公安委員会委員長の二例がございます。

武正委員 
たしか伊吹さんのときにえひめ丸事件が起きたというふうに記憶しておりますが、正しいでしょうか。
 
まあいいです、それは。これは私の指摘にとどめさせていただきます。
 
二例というお話で、三例目ということで、平成七年からでございますか、約十年の中での三例目に当たるわけでありますが、私はこれは、この内閣が、私はこう考えております、郵政担当大臣というものを置いたがために、沖縄北方大臣と環境大臣が兼務したり、さまざましわ寄せが来ているというようなことを私は思っておりまして、これもやはり、国民が望んでいる、今やるべきことはこうした災害対策あるいは年金問題解決であって、郵政民営化は優先度が低いのではないかということが、私はここにもそのしわ寄せが来ているということを指摘させていただきます。
 
さて、情報が二転三転したことに移らせていただきます。
これは、三十日午前四時、もう未明から、身長、体重、後頭部の特徴が似ているということで、香田さんである可能性が高いという、米軍からの情報ということで、午前四時、高島報道官が記者会見をされています。一体、日本には、現地大使館に連絡が来たという報道がありますが、どこからいつこうした、香田さんではないかという三十日のまず情報が来たのか、どことやりとりをしたのか、お答えをいただけますでしょうか。外務大臣、お願いいたします。

■町村国務大臣 
日本時間の三十日の未明でございますけれども、在イラク米軍より在イラク日本大使館に対しまして、バラドで日本人らしい遺体が発見された、この遺体は日本側から入手していた香田氏の身体的特徴と一致する部分がある、さらに正確な身元確認のためにカタールの首都ドーハに移送したいという旨の連絡がございました。
 
なお、先方の当事者の具体的氏名、肩書等につきましては、これは外交上のやりとりでございますので差し控えさせていただきます。

武正委員 
外交上のやりとりということでありますが、後々の質問にも、あるいは今回も大変大事な危機管理のポイントでありますので、一体、日本政府の情報ソースがどこだったのか。今回、香田さんである可能性が高いという、そうした記者会見がもとになって、ある通信社までが配信をして、そうしたことが一様に流れるといった事態を招いて、香田さん御遺族には二度にわたって大変な心痛を与えたという指摘もあるわけでございます。
 
この情報ソースを明かせないということでありますが、例えば、米軍に派遣されている国務省の顧問等とのやりとりというものを一つ外務省として情報ソースにされているというふうに聞いておりますが、こういったところからの情報であるかどうか、お答えいただけますでしょうか。

町村国務大臣 
一つは、高島外務報道官の発言でありますが、可能性が高いという発言はしておりません。細田官房長官の発言におきましても、最終的には可能性はどのくらいかという問いに対して、全くわかりませんので即断をしてはいけないとまではっきり言っております。
 
そこから先、後、報道各社がどういう判断をして、可能性が高い、あるいは断定をされたのか、それは各社それぞれの判断なり独自の情報があったのかもしれない、そこまではわかりませんけれども、そうしたマスコミの報道の一々について政府が責任を持つことは、それは不可能でございます。
 
それから、在イラクの米側の、それは軍の関係者かというあれでございますけれども、先ほど申し上げたように、米軍関係者という以上の詳細は差し控えさせていただきます。

武正委員 
私が言ったのは、身長、体重、後頭部の特徴が似ていることを勘案し、香田さんである可能性があると米軍が判断した、これは高島報道官の記者会見であり、今の御指摘のとおりでありますが、ただ、例えば、午前四時三十九分、自民党本部、久間政調会長、顔の特徴から見て本人に間違いないだろうと外務省から連絡があったと。
これがやはり共同電で流れているんですけれども、私は、午前にかけて、香田さんではないかということを、いろいろな確度から高いということが、やはり政府のさまざまなコメントで伝わってきた。これが、今回の混乱のやはり原因ではないかというふうに考えております。
 
そういった意味で、私がここで指摘をしたいのは、情報ソースは明かせないということでありますが、これは、指摘がされているように、米軍に頼った情報しかとれなかったところに問題がある。
外務省在外公館における情報収集のあり方、そしてまた外務省の情報収集のあり方、そして先ほどいわゆる官邸の対策本部との位置関係もはっきりしないといったところのやはり情報収集、この一点が今回問題があったというふうに考えるわけでございます。これは、ちょっと質問の時間も限られておりますので、この点は指摘にとどめさせていただきたいと思います。
 
さて、ちょっと質問の時間も押してまいりましたので、ここで幾つか飛ばしましてお聞きをさせていただきます。
 
これは、官房長官が、いわゆる渡航禁止法制化の議論について慎重姿勢を示したわけでございます。官房長官からは、外国移住の自由に抵触する可能性があることと、入国管理が徹底されない国があることを理由に挙げたとされておりますが、この御認識、官房副長官、お聞きをさせていただきたいと思います。

杉浦内閣官房副長官 
その前に、先ほどの官房長官の時間でございますが、出席は十七時四十五分ころ、つまり開宴後十五分後ころ出席しまして、総理が出られる一分ぐらい前ということでございますから、十九時四十四分ごろ退席されたということでございます。
 
危険な地域への渡航禁止の法制化の議論についてですが、官房長官が記者会見で申しておられるとおりでございます。
御指摘のとおりでありまして、憲法が保障する海外渡航の自由との関係もあり、慎重に検討する必要があると言っておられます。
その際言っておられるのは、最近の渡航の形態として、最初は別の目的で他の国へ行って、それから転々とされるという形で、後で危険な国に入るという方も多いし、また渡航禁止を法制化した場合にその実効性をどのように確保するかという問題もあるということでございます。
 
とりあえずは、退避勧告が発出された地域に、非常に危険であるという認識を国民の皆さんに持っていただく。スポット情報を六十二回も出したとかいろいろやっておるわけですが、さらにそれを徹底して、そういう認識を持っていただくことが大事じゃなかろうかというふうに考えております。

武正委員 
ちょっと飛ばしたところで、一点、外務大臣に御確認をさせていただきますが、三十一日午前六時半、遺体安置所に日本大使館員を派遣して御遺体の御確認をされたわけでありますが、これは日本人ですか、イラク人ですか。お答えをいただきたいと思います。

町村国務大臣 
イラク人でございます。我が方大使館を警備している、契約関係にあるイラク人でございます。

武正委員 
在イラク大使館の日本人大使館員、あるいは在イラク日本大使がイラクでの大変行動ができない状況、そしてまた先ほどの渡航禁止法制化でありますが、非戦闘地域であることを理由に自衛隊が派遣されているイラクへ渡航を禁止することは矛盾しかねず難しい。
 
こういったことをかんがみますと、イラク特措法に基づいて、イラクは非戦闘地域であるということが既に矛盾をしていることも、今の在イラク大使館の日本人大使館員の行動、そしてまた渡航禁止法制化がやはり難しいことの理由として挙げざるを得ないわけではございまして、十二月十四日をもってさらに自衛隊派遣延長ということは民主党として断じて認めることができないということをこの理由をもって改めて指摘をし、質問を終わりとさせていただきます。
ありがとうございました。

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