2004年11月12日 【外務委員会】

武正委員
民主党の武正公一でございます。午前に引き続き、質疑が午後からということで、質問に立たせていただきます。
 
午前中も、中国外交あるいは国連安保理等、大変中身の濃い質疑が外務委員会で展開されていると私は考えます。これから、米軍再編成あるいは武器輸出三原則見直し等々、午前中の同僚委員も指摘したように、外交案件山積というこの外務委員会の課せられた使命は大変重いものがあるというふうに考える次第でございます。
 
私も、米軍再編や武器輸出三原則等、議論を外務大臣と行いたいんですが、外交案件が山積でございまして、きょうはこれまでのまだまだ外務大臣と質疑をできていない米軍ヘリについて、そしてまた今回のいわゆる中国原子力潜水艦とおぼしき、これは不審船とも言われておりますが、案件について質疑をさせていただきたいと思います。
 
まず、警察庁お見えでございますが、既に沖縄県警は、米軍への検証嘱託の実現が困難との見方を強め、米軍が提出しましたあの分厚い英文の事故報告書をもって立証するとの報道がありますが、この点について事実確認をさせていただきたいと思います。

岡田政府参考人 
報道については見ておりますけれども、警察といたしましては、機体の検証の嘱託を初めとして、関係者の事情聴取等について米側に現在協力を要請しているところであります。
 今後とも、警察といたしまして、事故報告書の内容も当然参考といたしながら、外務当局と連絡をとり、引き続き米側に対して捜査協力を求めるなどして捜査を続けていくというつもりでございます。

武正委員 
これは十月二十七日の、ちょうどあの香田さんが拉致、誘拐をされたときの外務委員会での質疑の続きでございますが、あのときにも御質問した三名の整備士の氏名、ちょっとこれは質問通告にありませんが、あのとき何度かやりとりさせていただいて、まだわかりませんという警察のお答えでしたが、再度この点御質問させていただきますが、確認はできましたでしょうか。

岡田政府参考人 
現時点におきましては、その人たちの固有名詞については確認をいたしておりません。

武正委員 
いたしておりませんなのか、できておりませんなのか、どちらでしょうか。

■岡田政府参考人 
失礼しました。
 協力をお願いしていますが、まだ回答はございませんので、できておりません。

武正委員 
沖縄県警がそうした、このままずるずると立証ができないまま事態の推移を待つことなく、やむを得ず事故報告書のみをもって立証にという報道が出ているのは、私は甚だ遺憾であるというふうに思っております。
 
やはりこれは、民主党がこの間求めてまいりました原因究明の徹底と再発防止、そしてまた抜本的な再発防止策、そしてまた日米合同調査の必要性、さらにまた第一次裁判権について、刑事裁判管轄権分科委員会も開かれずに今日に至っている。
 
こういったことへの政府としての取り組み、これが甚だ不十分であるということで、これは十月二十七日、墜落した在沖米軍ヘリ同型機の飛行再開に対する抗議を民主党、仙谷政調会長名で出しているところでございますが、日米合同委員会も、事故分科委員会、十月の初旬に二回開いて以来開いておられないようですが、次回はいつ行われるのでしょうか。これは、日米行動委員会ということもありますので、外務大臣。
 
あわせて、私ども民主党では、日米での合同検証、合同調査の必要性をずっと求めてきているんですが、これも相変わらず行われていない。こういったことも行われるんでしょうか。お答えいただけますでしょうか。

町村国務大臣 
事故分科委員会は、委員今御指摘あったとおり、八月から、十月二回、計三回会合を開かれております。次回会合の日程については、今鋭意調整中でございますが、現時点ではまだ決まっておりません。
 
今後、事故分科委員会では、アメリカ側が提出をいたしました事故調査報告書とそれに基づくアメリカ側の説明を踏まえて、日米合同委員会の勧告について検討を進めていくこととなるわけであります。
 
こうした検討の中で、御指摘の今合同検証という御提案がございましたが、ちょっとこの合同検証という意味がどういう形のものをおっしゃっておられるのか、必ずしもよくわからないのでありますけれども、必要に応じまして日米の専門家等によります技術的な作業が引き続き行われるものであろう、こう承知をしております。
 
なお、警察の捜査については、これは警察庁の方から詳しくはお答えがあるんだろうと思いますけれども、米軍の財産であります墜落機体に関する検証について、米側の同意が得られなかったため現在嘱託の手続がとられているものと承知をしておりまして、外務省といたしましても、警察当局と連絡をとりながら、警察当局が十分な捜査協力を得られるようにアメリカ側と調整をしていきたいと考えております。

武正委員 
先ほどの沖縄県警の記事では、やむを得ず沖縄県警は、民間の航空事故関係の専門家、こういった人たちの協力を得て立証しようとしております。
 
今大臣言われた専門家というのは、今回の、この間、大臣御不在の委員会で御指摘しましたように、省庁の専門家である、民間の方は一人も入っていない。こういったことも含めて、昭和五十二年、横浜でのファントム機墜落事故のときのように、米軍基地に行って、合同で、民間の専門家も交えて合同検証が必要だということを、事故当初から民主党は求めてきたのでございます。
 
こうしたことも取り組まれないまま、十月十二日、外務大臣を含めた関係大臣等会議で、事故原因を整備不良とし、点検方法改善、賠償請求にこたえることなどが勧告された米軍調査報告書をもって飛行再開を容認した。この中に外務大臣はおられたわけですが、本当に原因究明、再発防止はこれで十分なんでしょうか。大臣、どうお考えでしょうか。お答えいただきたいと思います。

町村国務大臣 
先ほど申し上げましたように、調査報告書を踏まえまして、日本側の専門家が普天間飛行場を訪問するということ、それから事故分科委員会において検証も行いました。
 
こういう形で、事故原因、これは発生事故原因というのは三つ挙げられているわけでありまして、整備要員が実施されるべき整備の内容に混乱をし、また事故機のフライトコントロールの接続について決められた手順を守らなかったことから、コッターピンをテールローターサーバーの接続ボルトに正しく装着していなかったためである。そのため、接続ボルトが飛行中に外れ落ち、テールローターの制御が不能になった。そのような中で、テールローターの羽根が垂直尾翼に当たり、続いて垂直尾翼が損傷してテールローターが事故機から外れた。
 
こういう原因の分析があるわけでございまして、これと再発防止策、四点挙げられておりますが、これらについて十分説明を聴取できたというふうに考えまして、私どもとしては、三閣僚集まりましてゴーサインを出したということであります。
 
今後につきましては、先ほど申し上げましたような事故調査報告書とそれに基づくアメリカ側の説明を踏まえまして、日米合同委員会への勧告について分科委員会でさらに検討を進めていくところでありまして、再発防止策についてもさらに引き続きこの場で検討されていくということにしております。

武正委員 
私は、原因究明も不十分でありますし、それに基づいた再発防止策ですから、絵にかいたもちの再発防止策であって、とてもこれで日本政府が容認してはならないということを改めて指摘させていただきます。
 
ただ、百歩譲って、事故報告書が出てきているから、これをもっていろんな検討を加えようというのであれば、あるいは沖縄県警もこれをもって立証に資するというのであれば、ましてこの外務委員会、きのうも安保委員会で指摘があったように、あの大部な事故報告書を英文でそれぞれ皆さん読みなさいというのは私はなかなか難しいんじゃないかと思うんですが、外務省、どうでしょうか。英文和訳を国会の方あるいは関係機関に提出するお考えはありませんか。外務大臣、いかがでしょうか。

町村国務大臣 
本文約二十ページ、資料を合わせると二百十ページという大部なものでございます。今和訳作業をしておりまして、作業が終わり次第国会の先生方を初め関係する方々には提供させていただこうと思っております。

武正委員 
いつまででございましょうか。もう臨時国会も、政府・与党によると十二月三日という期限が決められておりますが。

町村国務大臣 
鋭意作業中でございます。

武正委員 
私は、この臨時国会中に御提出をお願いしたいと重ねてお願いしたいと思います。
 
さて、日朝実務者協議、ちょうど今開催、きょうはどうなんでしょうか、開催がされておりますが、いわゆる脱北者が持ち帰った、同一人物とおぼしき特定失踪者、藤田進さん、加瀬さんなど、こうした特定失踪者問題は今回の日朝実務者協議で取り上げられているのかどうか。
これも外務大臣、お答えいただきたいと思います。

町村国務大臣 
委員御指摘の藤田さん、加瀬さん、このお二方につきましては、今回の協議でも取り上げるということで事前の準備をしてまいっております。具体のやりとりが今どう行われているかということにつきましては、我が方に対して、出張している皆さん方から具体の報告はまだ来ておりませんけれども、当然、協議の中でこのお二人につきましてしかるべく取り上げるということになっております。

武正委員 
さて、外務大臣は、十一月十五日から二十五日、チリ、エジプト。APECそしてイラクに関するG8及び周辺国による国際会議出席のため海外出張。そして、二十六日から二十九日はラオス、日本・ASEAN外相会議等意見交換のためということでの出張をされるわけでありますが、これは都合、まあ二十五日、二十六日、帰国はされますが、これをずっと十一月十五日からならしますと、二十九日まで二週間の海外への出張をされる御予定でございます。
 
今の日朝実務者協議についても、交渉当事者が戻ってこないと詳細もわかりませんし、その報告を聞きながら外務大臣にさまざま拉致問題解決の質疑も行いたい。これは、当然この外務委員会メンバー皆さんの共通の思いだというふうに思うんですね。
 
また、午前中も、自衛隊の派遣期限が切れる、ちょうど一カ月でありますので、しっかり議論をしなきゃいけない、これも同僚委員からも指摘をされています。また、首相からも、この十二月十四日ぎりぎりまでさまざまな情報収集しながら、外務大臣も午前中おっしゃいました、この派遣延長の是非を決定したいんだということをお聞きするにつけて、これから二週間、そしてまた香田さんの事件、あるいは今回の潜水艦事件、本当に一日一日何が起きるかわからない。そしてまた、外交案件山積。
 
こういった時期に二週間も国会をあけるということは、私は甚だ外務大臣としていかがなものかというふうに考えますが、外務大臣、この点どうお考えでしょうか。

町村国務大臣 
今委員御指摘のようなAPECの閣僚会議、それからイラクに関するG8及び近隣諸国の国際会議、この二つが大きな会議としてございます。さらには、一たん帰国した後、日・ASEAN外相会議がございます。こういうことで、今回、衆参のそれぞれの御承認をいただきまして、ASEANの方はまだでございますが、前二者の国際会議の方にはお許しをいただいて出席するということにさせていただきました。御配慮に感謝をしているところでございます。
 
こうした国際会議、それぞれどういう意味があるのかということは、武正先生に私が一々申し上げるまでもないことでございます。
 
確かに、国内に今御指摘のようないろいろな課題もございます。それに関連する国会の審議の重要性も、私もよく認識をしているつもりであります。しかし同時に、こうした国際会議でいろいろな意見交換をし、情報を収集して、それをまた国内のいろいろな対策に生かしていくということも、またこれは大切なことではないだろうかと思っております。
 
ここから先は私の一議員としての感想でございますけれども、今般というか、もう森内閣のときに、大臣、副大臣そして大臣政務官という制度をつくった折の与野党の皆さん方の相当程度広範な御理解があったのは、特に御党の小沢先生あたりが、大臣不在のときは副大臣が国会に当たる。
 
いろいろな面で大臣を補佐する副大臣がいろいろな国会答弁を含めて積極的な役割を果たすということで、従前の政務次官よりはより重い形で副大臣制度というものをつくり、大臣不在の折のかわりをどんどんやってもらうというようなことを、たしかそういう幅広い、別に明文規定がありませんが、そういう幅広い御理解のもとで副大臣制度というものができたはずでありまして、こういう折にこそ、ぜひ先生方の御理解をいただいて、大臣にかわっての副大臣の役割というものを果たせるようにしていただきたい。
 
ちなみに、私、今衆参合わせて九つの委員会に出席をいたしまして、それこそ月曜日の午前中から金曜日の夕方まで、もうほとんど国会の中におります。そういうことを言うとちょっと僣越かもしれませんが、ほかのどの大臣よりも私がこの議会の中にいる時間が長いのではなかろうかとさえ思っておるほど、逆に言いますと、省内に戻っていろんな重要な方針を議論する時間が本当にとれないのが、率直に言って私の今大変な悩みでございまして、何とかそういう時間をとりたい、しかし海外にも行かなきゃならない。
 
それらを両立させるために、深夜まで働く。まあ、別に深夜まで働くことが嫌ではございませんけれども、本当にこの時間のなさというのを今つくづく感じているところでございまして、ぜひその辺、武正先生からも御理解を賜れれば幸いだと思います。

武正委員 
今例に出された点はいわゆる自自合意でありまして、私は、昨年の通常国会以来、ずっと政治家のみの御答弁ということを一貫してお願いしておりますのも、それにのっとったところでございますが、これは外務大臣経験者のお話ですが、外務大臣と副大臣との情報量は雲泥の差があるというようなこともありまして、それだけの委員会で求められる、それぐらいやはり外務大臣の職責は重いものがあるということでございます。
 
私はやはり、もし海外に出なければならないのであれば、今のお話であれば、外務副大臣もお二人、政務官もお三方いらっしゃいますので、そういった方々に、そしてまた補佐官もこのたびは前外務大臣も含めていらっしゃるわけですので、たしかアラファト議長の御弔問にも前外務大臣が行かれるということも聞いておりますので、私は、やはり再度御再考いただいて、このイラク自衛隊派遣の大事な時期、外務大臣にはこの外遊をいま一度考え直していただきたいことを申し述べたいと思います。これは私の意見でございますので、よろしくお願いいたします。
 続いて……

町村国務大臣 
今、ちょっとお許しをいただきまして、一言だけ、恐縮ですが言わせていただきます。
 副大臣にも大臣政務官にも随分いろいろな国際会議に出席をしてもらっておりますし、これからもまた出席をしてもらおう、こう思っております。ただ、いろいろな会議というのは、先生よく御承知のとおり、やはり、この会議には各国大体外務大臣が並んで座るんだよというようなものというのがあるんですね。
 
そこはもうよく御理解をいただけると思いますので、そういう意味からも、私は、何も国会を軽視しようとかそういう意図は全くございません、最大限私は国会での御議論を大切にしながらお答えをしたい、こう思っておりますが、やはり、折に触れてここはやはり大臣が行かなければならないという性質のものもあるということはぜひ御理解をいただきたい。
 
また、大臣と副大臣、情報量の差がある、確かにそれは若干のギャップはありますけれども、しかし昨今は重要な省内の会議等々にも副大臣あるいは大臣政務官も担当を決めたりしてどんどん加わってもらっておりますので、そういう意味で、随分副大臣、大臣政務官のそういう意味の外交に関するいろいろな情報は相当程度持ち合わせている、かように私は思っております。特に、逢沢副大臣は前回に引き続き今回も留任をしてこの重責に当たっていただいておりますので、どうぞそういう意味で御理解を賜ればと思います。

武正委員 
情報量の差に加えて、いわゆる権限ですね、これはもう格段の差があるというふうに私は理解しておりますので、やはりその権限を持った省内のトップである外務大臣がお座りいただく、このことの持つ意味というのは格段に差があるということをあえて指摘させていただきます。あわせて、この臨時国会五十三日間の会期のほぼ四分の一の十四日間を外遊する、このことがやはり大きな意味があるということを重ねて指摘させていただきます。
 
さて、今回の潜水艦事件の案件に移らせていただきますが、危機管理監は首相、官房長官に何時に連絡をされたんでしょうか。官房副長官、お見えでございます。

杉浦内閣官房副長官 
事案の主要な経過を申し上げた方がよろしいと思います。(武正委員「いや、何時ということだけでお願いいたします」と呼ぶ)はい。
 
六時五十分に事案発生を受けまして官邸連絡室が設置されまして、ここが情報の収集、事実確認に当たり、また防衛庁の発動をする際の閣議決定要件を満たすかどうか等の検討を行い、とり得る措置の検討等を行ったわけであります。七時ごろ内閣官房長官に報告がございました。
 
そして、八時十分ごろ、総理承認に向けまして、順を追っての所要の説明、検討等が行われたわけでございます。八時半ごろ総理に報告が上がりまして、承認を受け、八時四十五分、海上警備行動が発令されたわけでございます。事実関係公表要領等について慎重に検討、調整をいたしまして、外には漏れなかったわけですが、十一時二十分に官房長官が会見で公表したという流れでございます。

武正委員 
今、首相に八時二十分ということでよろしいんでしょうか。首相は八時ごろという報道がありますが。

■杉浦内閣官房副長官 
総理に報告が上がったのは八時半ごろでございます。承認が直ちに行われたと聞いております。

武正委員 
きょう、お手元に、平成十五年十一月二十一日閣議決定等、資料を用意させていただきました。
 
一ページ目の一番(三)「内閣危機管理監は、緊急事態に関する情報を掌握し内閣総理大臣及び内閣官房長官へ報告するとともに、必要な指示を受ける。」そして、三ページ目以降がこの実施細目でありますが、その四ページ目、二の(五)「内閣危機管理監は、緊急参集チームの協議の結果を速やかに内閣総理大臣及び内閣官房長官へ報告し、必要な指示を受ける。」
 
お手元にその全体の流れ図のフローチャート、一番後ろから二枚目、これも内閣官房作成のものでございますが、ど真ん中に内閣危機管理監ほか三名がいらっしゃいまして、まず内閣情報集約センターから速報が内閣総理大臣、官房長官、官房副長官に届く。一方、今言われたような報告、指示が危機管理監から行われるということでございますが、この速報というものも、今言われた官房長官七時、そして首相は八時半ということでよろしいんでしょうか。

杉浦内閣官房副長官 
速報の第一報がいつかちょっと調べてまいりませんでしたが、八時半に総理に上がったのは、事態の詳細な判明した事実関係、それに対してとるべき措置等の概要が上がったということでございます。

武正委員 
速報は何時に入ったのでしょうか。きょうは政府委員の方も控えておられて、危機管理審議官の方もお見えでございますので、お答えいただけますか。

堀内政府参考人 
お答えをいたします。
総理及び官房長官に対しましては、秘書官を経由いたしまして、総理につきましては八時半ころ、官房長官につきましては七時ごろ、それぞれ報告をされているところでございます。
 
一方、危機管理監を長とする官邸対策室による状況報告につきましては、総理に対しまして十一時ころ、官房長官に対して十時半ころ、それぞれなされているところではございます。

武正委員 
八時半に首相に第一報が行くというのは大変驚きですね。また、報道の首相の八時ごろというのも、ちょっとこれは違ってきたわけでありまして、私は大変、今回の案件について、その初動のおくれというもの、政府の対応に問題はなかったというところは、甚だ問題があるということはここでまず指摘をさせていただきます。
 
外務大臣、官房副長官、それぞれ何時にどちらから御連絡があったんでしょうか。

町村国務大臣 
私には、当日の朝七時ごろ、秘書官の方から第一報を受けております。

杉浦内閣官房副長官 
私は、出勤したのが九時ちょっと前だと思いますが、宿舎から。官邸に着いたところで秘書官から報告がありました。(武正委員「ちょっと聞こえなかった、何時でございますか」と呼ぶ)九時ちょっと前だと思います。

武正委員 
官房副長官は九時に御存じになったということですね。
 
さて、この九ページの(八)に書いてありますように、今回のこの案件、緊急事態の一つ「外国軍用機・艦船による我が国の領空・領海の侵犯及び我が国領土内への強行着陸等」ということでありますので、領海侵犯ということですので、一回で対策室を設けることもできたのがこの細目等でわかるところでございますが、六時五十分に官邸連絡室が設置されて、一時間二十分も官邸対策室への格上げがおくれたわけです。八時十分になりました。
 
もう七時三十五分には領海外に行ってしまったという話ももう報道が出ております。八時四十五分に海上警備行動を発令したときはもう領海外、だから浮上も退避要求もできないありさまでありますが、何でこんな一時間二十分もかかったのか。これは官房副長官、どうでしょうか。官房副長官、お願いいたします。

■杉浦内閣官房副長官 
御指摘のとおり、六時五十分に官邸連絡室が設置されまして、事態の把握と関係省庁との綿密な連携の確保を集中的に行ってまいったところでございます。
 
八時十分の時点で、具体的にどう対応するかということを前提として、必要な省庁間調整を開始することとしたために官邸対策室に格上げをいたした次第でございまして、総理に上げる、承認を求めるだけ情報収集をし、綿密な連絡をするのに時間がかかったということでございます。

武正委員 
ちょっと時間がないので質問を飛ばしますが、尖閣諸島のときも連絡室さえつくられなかった。そして、今回も連絡室と対策室の間、一時間二十分。ともすると、外交案件について非常にその対応が遅い。今のこのお手元の資料を見ても、危機管理監がその判断、意思決定を持っているこの連絡室、対策室の設営。私は、ここに内閣官房長官、官房副長官、政治家がその決定に入るべきだというふうに思いますが、官房副長官、どうでしょうか。

■杉浦内閣官房副長官 
先生の御意見、もっともでございますが、チャートを見ていただければわかりますけれども、事態が発生した際に、官邸のポリティカルアポインティーにも速報が行く、危機管理監がいろいろ検討していく、そこに報告があって指示がある、ある場合もあるというふうに書いてございます。
 
現実に、この間の新潟中越大地震の際には、総理に一報が行って、総理の指示で、対策室をすぐつくれという指示があって対策室が立ち上がったという経緯もございまして、いろいろな規則上の、そういう対策室等の立ち上げる権限は危機管理監にございますが、総理、官房長官、副長官との間の連絡等によって指示が行われることもあり得るということでございます。

武正委員 
その首相に八時半、官房副長官に九時、これは一体どうなっているんでしょうかね。私は、やはりその最初の段階で危機管理監の判断に政治家が絡むべきと、これは改めて指摘をさせていただきます。
 
最後でございますが、私は、こうした外交案件がこうした初動で非常におくれるのは、やはり外交的配慮がこの官邸で働くからだということを改めて指摘をさせていただきます。今回、いわゆる外交の配慮が今回のこの初動のおくれ、領海外での海上警備行動発令にあったのではないかと思いますが、外務大臣、いかがでしょうか。

町村国務大臣 
全く今の御指摘は当たりません。
 
海上警備行動等、こうしたものについて外務省が作動をおくらせたのではないかとおぼしきような一部報道がありましたが、まことに失礼千万な報道でありまして、私どもは一切そういうことはやっておりません。

武正委員 
もう時間もありませんので、最後に指摘をさせていただきます。
 
だからこそ、私は、政治家がその決定に絡んで、その責任の所在を明らかにすべきと。ですから、官房長官、官房副長官が危機管理監にあずかって判断をすべき、あらぬ疑いを受けないためにも必要だと思います。
 
最後に、十一月九日、中国、章副報道官の指摘。いわゆるAPECでの日中首脳会談、その実現の前提は日本側が会議実現に向け良好な雰囲気、条件をつくり出すことを期待する、この指摘があったことをさせていただいて、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。

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