国会議事録 衆議院本会議及び委員会での質問記録

2005年10月17日 【イラク支援特別委員会】

武正委員 
おはようございます。民主党の武正公一でございます。
テロ特措法改正案についての質疑を行わせていただきます。

まず冒頭、ハリケーン・カトリーナによって亡くなられた方、あるいはけがをされた方、また、パキスタン北部地震によって亡くなられた方、けがをされた方に対して、お悔やみと、そしてまた一日も早い御回復をお祈り申し上げる次第でございます。
 
特に、パキスタン北部地震については、民主党は、十月九日前原代表を本部長に対策本部を発足し、十一日にはパキスタン大使にお見舞いに伺い、そして同日調査団を自己完結型でパキスタンに派遣をし、ちょうどきょう帰国の途につくところでございます。
 
大使の方には、調査団派遣については、あくまで民主党は自己完結型で行くんだ、パキスタン政府やあるいは外務省に御迷惑をかけない形で行きますよというようなことを申し上げ、大使からは大変感謝の意を表されたところでございます。きょう帰国した後、対策本部として、党として、政府にまたさらなる要請というものが行われるというふうに考えております。
 
まず冒頭、官房長官もお戻りでございます。記者会見も既にお済ませでございますので、総理の靖国参拝については、先ほどの御答弁では杳としてまだ詳細はわからないということでありましたが、既に記者会見も済まされておりますので、このたびの総理の靖国参拝について、これがどのような形式で行われたのか、あるいは記名はどうだったのか、あるいは玉ぐし料等について、参拝形式については、報道では本殿に入らない一般参拝と同じというようなことも言われておりますが、御報告をいただけますでしょうか。

細田国務大臣 
私も記者会見前に小泉総理にもお会いしまして意思を確認いたしましたが、これは内閣総理大臣という職務での参拝ではないということを明確におっしゃっておられました。
 
それから、参拝の方式については、テレビ等でもございますように、通常のように、昇殿するなどの行為はとらず、あるいは記名とか献花料とかそういうことでなく、本殿前にて、どうも映像ではよくわからないのですが、おさい銭箱にちょっと小銭を入れられたような感じはあるんですが、ここは確認しておりません。そして、一礼されて参拝された、こう伺っております。

武正委員 
先ほどの御答弁では、参拝する前にその報告を受けた旨、官房長官はお答えになっておられますが、きょうの参拝については、そのときに初めて聞かれたのか、もうちょっと事前にお聞き及びだったのか、あるいは、それこそきょうの参拝についての協議を総理あるいは総理周辺とされた経緯があるのか、それについてお答えをいただきたいと思います。

細田国務大臣 
事前の話は一切ございませんで、けさ方針を決められ、記者団等にも連絡をしたようでございますが、それと同時期だと思いますが、九時ちょっと前かと思いますが、連絡が総理秘書官から私のところにあった、これから、十時ごろ公邸を出て参拝される、こういう連絡があった次第であります。

武正委員 
九月三十日、大阪高裁の違憲判決が出た。総理のこの参拝については、いわゆる職務行為と認定をして、宗教的活動を禁じた憲法違反ということで違憲判決が出ておるわけですが、そのときの官房長官のコメントで、「首相は従来、私的参拝と言ってきているので、たいへん遺憾だ。」これは新聞報道でありますが、「私人としての参拝なので、(今後の参拝が)影響されるのかされないのか分からない。」こういうような細田官房長官の話が新聞に出たり、あとは、本人のことだから本人に聞いてくださいというような官房長官のコメントもありました。
 
この大阪高裁の違憲判決が出た後の参拝というものは、それこそ官房長官としてどのようにお考えになられますでしょうか。

細田国務大臣 
御存じのように、このところ高裁判決が次々に出されまして、それぞれに参拝の時期から提訴が行われたためにそうなったかと思いますが、三つの高裁判決がそれぞれ異なっております。
 
いずれにしても、これは損害賠償等を求めることに対するいわば却下をする判決でございまして、それが本論でございますが、その判決理由の中のいわば傍らの論として判事の判断がそれぞれ書かれておって、その中の一つに、これは職務として行ったものと認められるというような判断が示されたということはあるわけでございますが、私どもとしては、これはあくまでも職務としての参拝ではない、本人も言っておられますし、政府としてもそのように考えております。

武正委員
そのように政府は一貫して述べておられますが、私的な参拝とか職務ではないというのは、どう見てもやはり無理があるというふうに私は言わざるを得ないところでございます。
さて、テロ特措法の方に移らせていただきます。

まず官房長官に、お手元に資料を理事会のお許しを得て配らせていただいておりますのは、このテロ特措法について、各国と結んでおります交換公文の官報告示をまず一ページ目に載せてございます。これは、アメリカとの交換公文でございます。大変小さい字で恐縮でありますが、政府が出されている官報でございますので、これはもうこれを読むしかないというふうに思うわけであります。
 
皆様にも読んでいただきたいと思いますが、二段目、1、2というところを御注目いただきたいのですが、要は、アメリカに対する日本政府からの支援、これについては国連憲章と両立するものでなければならない、これが第一。そして第二は、日本から後方支援、物品、役務提供をした場合は、日本政府の事前の同意を得ないで、一時的あるいは永続的であれ、アメリカ合衆国の軍隊その他これに類する組織以外の者に移転してはならない。つまり、アメリカ以外の者に、日本から提供された、具体的には油になろうかと思いますが、これがほかに移転されてはならないと。第一は、国連憲章との両立、第二は、他国の組織、軍隊その他の組織に移転してはならない、こういうことが交換公文で約束をされております。
 
これは各国とも同様でございますが、これについては、まず第一に、国連憲章と両立というのは第何条のことを指すのか。第二は、組織以外の者に移転してはならないということで交換公文を結んでおりますが、では実際に移転をしていないのかどうか、そしてまた、いないとすれば、それについて日本政府としてどう検証をしているのか。以上、官房長官、お答えをいただけますでしょうか。

細田国務大臣 
国連憲章との関係という御質問の趣旨が私はちょっとはっきりいたしませんが、テロ対策特措法に従って行われる物品等の提供に関して諸外国と交わしている交換公文においては、これは十一カ国と交わしておるわけでございますが、法に従って相手国の軍隊その他これに類する組織に提供され、かつ、これらにより受領される後方支援、物品または役務の使用は、国際連合憲章と両立するものでなければならないといった規定が設けられておりますので、このような方針をもって提供しておるということを申し上げたいと思います。

武正委員 
国連憲章の何条ですかという質問と、それから二番目、つまり、アメリカに提供したんだけれども、アメリカ以外の国に移転をしたことはあるのかないのか、ないとすればそれをどうやって検証しているのかということで、私は、政治家以外にお答えをいただくことは事前にお願いをしておりませんので、政治家からのお答えということで、官房長官、お答えをいただきたいと思います。

町村国務大臣 
国連憲章と両立というのは、国連憲章二条四項に、武力行使は禁止するということが書いてあるわけでありますが、第七章で、さはさりながら、安保理の決定あるいは自衛権の行使あるいは集団自衛権の行使によってそれが解除されるということでありますから、その趣旨に沿ったものでなければならないということを言っているわけであります。
 
それから、第三国への移転の問題でございますけれども、この点につきましては、一々の動きをすべてチェックするのは、物理的にそれは不可能でございましょう。現実には、やはりこれはそれぞれの国との関係で、信頼関係に基づいてやるわけでありまして、それを実際第三者に移転する際の事前の同意というものを先方が求めていない以上、そういうものは起きていない、こう考えるわけでございます。

武正委員 
二番目の質問については、信頼関係ということで、検証方法はないというお答えでございます。
この信頼関係が果たしていかがなものなのか。実際のところは、ここで書いておりますように、米国以外の国に転用されているのではないか、あるいは各国も同じようなことがないのかといったところが、検証ができないままこの四年間推移をしている。そしてまた、ここでさらなる一年間の延長を政府は求めてくるわけでございます。これはやはり、改正を求める政府の姿勢としては説明責任を果たし得ていないというふうに言わざるを得ないのでございます。
 
さて、アメリカとの間には第三項目はこのような書きぶりですが、アメリカ以外の国との書きぶりは違っております。アメリカ以外のすべての国とは、「前記の1及び2は、法に従って第三国の軍隊その他これに類する組織に提供され、かつ、これらにより受領され、その後に日本国政府の事前の同意を得て」、例えばドイツならドイツ、「ドイツ連邦共和国の軍隊その他これに類する組織に移転される後方支援、物品又は役務について準用する。」つまり、アメリカ以外は、一回第三国に行って、そして日本政府の事前の同意を得て、ドイツならドイツに後方支援なり物品、役務を提供することもありますよということなんですね。
 
では、実際こうした事例もあるのかということなんですが、こうした事例があったのか、これについて、官房長官、お答えいただけますでしょうか。いや、政治家しか答えていただかないという約束ですので、お願いいたします。

大野国務大臣 
このようなオペレーションに関します調整につきましては、御存じのとおり、フロリダのタンパにおきましてコアリションビレッジというのがございます、そのいわば多国籍軍村におきまして、それぞれの派遣国から派遣されました者が、それでは何月何日、どこのどういう船に供給しましょう、こういうことをやっているわけでございます。その枠組みは今、交換公文ということで御説明がありましたので省きますけれども、それを確認して、そして、その国のその船がそのような目的のために使うんだということを確認して実行しているわけでございます。
 
果たして実行しているかどうか、そこまでは我々は追求いたしておりません。それをもって、我々は信頼関係に基づいて行動している、このように申し上げているわけでございます。

武正委員 
アメリカ以外の交換公文にすべて、いわゆる後方支援が一回第三国経由でその交換公文を結んだ当該国に移転をされる、このことを書いているわけですね。ただ、そのときには日本政府の事前の同意が必要だということなので、今お聞きしたのは、こういうことが過去あったんですか、四年の間にあったんですかと。
 
今、フロリダのタンパの例は、これはこのテロ特措法とは違いますよね。両方対象ですか。あったのかないのか、あるいはどのぐらいあったのか。そしてまた、では事前の同意は得ているということでよろしいでしょうか。

大野国務大臣 
そういう事実はございません。

武正委員
そういう事実はないということは、第三国経由で交換公文を結んだ国に提供された事実はないということのお答えだったわけですが、そうすると、先ほどのフロリダのタンパの例は、このテロ特措法の交換公文の対象でないことを言及されたということですか。

大野国務大臣 
我々は、要するに、日本からの油等をどのように相手国に供与するか、こういうことをどういう枠組みでやるか、その枠組みが、交換公文の話はおいておきますけれども、タンパのコアリションビレッジでやっている。それは、先生おっしゃるようなルートもあれば、それからアメリカに対するルート、いろいろあると思います。総合的にやっているわけでございまして、日本の同意を得て、そして譲り渡したとか、そういうような例はございません。
 
もう一度繰り返しますが、タンパで総合的にやっています。場合によってはバーレーンでもやっておりますけれども、それはきちっとお互いに、どの船に渡します、その船はこういう活動をいたします、こういうことを確認した上でやっているわけでございます。本当にそれをやったかどうか、そんなことは我々は、多国籍軍に国際的に協力してやっているわけですから、疑ってはおりません。

武正委員 
要は、このテロ特措法の交換公文では、先ほどのお答えのとおり、ないということでありますが、ただ、実際にそのことをやっているかもしれないけれども、検証の手だてはないし、検証する必要もない、信頼があるからというお答えでよろしいでしょうか。

大野国務大臣 
我々は、テロを地球から追放する、あるいはイラクを民主国家として再生していく、こういう国際的な協力の中で日本ができることをやっているわけでございます。それはお互いの国際的な信頼関係に基づいて行っているわけですから、我々は、今武正先生がおっしゃったような言い方は、こういう協力関係に影響するものとして大変残念に思います。そういう信頼関係の中で国際協力でやっていこうじゃないか、こういう精神のもとにやっておりますことを御理解いただきたいと思います。

武正委員
ここは立法府で、法律を制定し、また条約等交換公文については承認を与える。そしてまた、その承認については、大平三原則に基づいて、国会の承認を得ないものがあっても、外務委員会等に資料を提出するということで、これまで行政府と立法府の間での、特に国際間の取り決めについてはやはり国会の関与ということをこの戦後日本の国会は重視をしてきたわけでございます。その中で、この交換公文についての文言がこのとおり適正に守られているんですかということを聞いたのに、これについて聞くことが両国間の信頼を疑うようなことで大変遺憾であるというような防衛庁長官の答弁は、大変私としては残念であります。
 
そうしたことで、時間もございませんので先を急がせていただきますが、このお手元の官報を、官房長官、見ていただけますでしょうか。
 
これは既に外務委員会でもやっておるんですね。官報告示の実際の日月は平成十四年四月四日、上に書かれております。ところが、ハワード・ベーカー大使と当時の田中眞紀子外務大臣が結んだ日月は前年の十一月十六日でございます。すなわち五カ月間タイムラグがあるということでありまして、このときは、官邸のホームページには閣議案件として記載があります。ただ、いわゆる国会への報告というものはございません。すなわち、この官報での告示をもって済ませる。しかも、これだけ、五カ月たってから記載をする、こういったことが実際行われているんです。
 
官房長官として、両国間の信頼という先ほどの防衛庁長官のお話もありました。であればこそ、特に、これだけ大きな議論を呼んだテロ特措法の以降に結ばれた交換公文についても、やはり国会に対してきちっと報告をしていく。まず第一に官報告示にタイムラグがあってはならない、しかも、その報告については国会の外務委員会等関連委員会にきちっと報告をしていく、これがあるべき姿だと思うのですが、実際これがこの四年間されていないといったことも踏まえて、どのようにお考えになりますでしょうか。官房長官、よろしくお願いいたします。

細田国務大臣 
この交換公文の官報掲載が非常におくれているということは、私は、これは非常に残念であると思いますし、改善すべきであると思います。これは外務委員会でも外務大臣がお答えしているとおりでございますが、改善に取り組みたいと思っておりまして、指示も出ておるところでございます。
 
大平さんのいわゆる原則については、この交換公文については、法律上の背景その他の状況等から、この範疇には属しないと思いますけれども、できるだけ早く決め、早く公表し、かつ国会の委員会等で御議論いただくことが適切であろうと思っております。

武正委員 
時間が参りましたので、午後の時間に移らせていただきます。ありがとうございました。

船田委員長 
午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

船田委員長 
休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。武正公一君。

武正委員 
午前に続いて質疑を行わせていただきます。
官房長官におかれましては、午前の最後の質問のところを再度お伺いいたしますが、特に大平三原則のかかわりで御答弁をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

細田国務大臣 
交換公文について申しますと、昭和四十九年二月の大平当時外務大臣の答弁では、国会承認条約を締結するに際して補足的に合意された当該条約の実施、運用あるいは細目に関する行政取り決めについて、政府は、国会の条約審議権を尊重し、当該条約の国会審議に当たっては、従来から、国会に参考としてこれを提出しております。
これに加えまして、国会において条約の締結が承認された後に結ばれた当該条約の実施、運用あるいは細目に関する行政取り決めについても、国会として、その条約がどのように実施あるいは運用されているかを把握しておく上で必要と思われる重要なものは、締結後できる限り速やかに外務委員会に資料を提出することとしております。

この行政取り決めの国会への報告については、引き続き、この答弁の趣旨を踏まえて適切に対処いたしたいと思っております。
なお、御指摘のこの取り決め、交換公文につきましては、このような、資料を提出する案件に当たるものではないと判断して取り扱っておるものでございます。

武正委員 
当時の大平外務大臣でしょうか、「その条約がどのように実施あるいは運用されているかを把握しておく上で必要と思われる重要なものは、」ということでございまして、そうした重要なものではないという判断に当たるのか、国会には提出をされていないということでございます。
 
ここのところ、では、国会に、条約締結後、国会承認後に結ばれた交換公文をどの程度提出されているのかというと、大変少ないのが実態でございます。
 
例えばアメリカとの交換公文は、平成十三年でございますが、国会承認条約は十六件、七百三十三件の行政取り決めがされておりますが、国会に報告された行政取り決め、交換公文はゼロでございます。そして十四年もゼロ。十五年に一つ、日米地位協定二十四条について。十六年は三つ、日米租税条約、刑事共助条約、日本・ウズベキスタン航空協定ということでございます。
 
要は何を言いたいかというと、国会の関与を、民主党はこの四年間、当初の本法の審議のときから大変重要視してまいりました。ただ、残念ながら、この四年間、例えばこのテロ特措法に基づく交換公文についても、重要ではないという政府の認識のもと、国会に出されていない。
 
こういう中で、果たして本法が四年間どのような効果を上げたのか、あるいは諸外国とどのようなかかわりをしているのかといったことが十分審議に供しないと言わざるを得ないんですけれども、この重要でないという認識、これは、官房長官、やはり、このテロ特措法に基づくこうした交換公文、そのようにお考えでしょうか。お答えをいただけますか。

町村国務大臣 
先ほど官房長官が言われた第二のジャンルに入るというお話なんだろうと思いますが、このテロ特措法関連の交換公文は国会承認条約ではないわけですね。これはあくまでも国内の法律でありますから、国会承認条約の実施、運用あるいは細目に関する行政取り決めではないわけでございます。
 
したがいまして、大平大臣の答弁との関係で申し上げれば、そもそも国会に対して資料を提出すべきものではないということがまず前提にあるということを踏まえた上で、なおかつ、重要なものであるかどうかという判断は政府みずからが判断をして、事案ごとに、今までも、御要望があればお出しをしたり、こちらから出したりしてきたということでございます。

武正委員 
やはりこのテロ特措法に係る審議というものは、諸外国との間のさまざまな条約あるいは取り決め、これもすべてかかわってくるものでございますので、私は同様の扱いがあってしかるべきというふうに考えております。
 
特に、この四年間の審議の中で、国会に政府は率先して提出をし、報告をし、委員会の審議に供すべきであるということを改めて指摘すると同時に、これでまた一年間の延長を政府がもし求めるのであれば、さらに、これからこのような交換公文を結んだ場合にはこのイラク特別委員会なりに提出していくということを求めてまいりたいというふうに思います。
 
さて、お手元の方に資料を用意させていただきましたが、四ページをおあけいただきますと、これは防衛庁さんがつくられた資料ですけれども、海上自衛隊艦船による給油実績が、この四年間、棒グラフと、それから給油量は折れ線グラフで示されております。
 
月々で申しますと、ピーク時の四分の一まで特にことしは減っている。年度ごとの総量でいえば、十分の一にことしは減るのかなという推移が上半期されているわけであります。
 
一方、供給先を見てまいりますと九割はアメリカということでございますが、まず、給油実績が激減しているのを見ると、海上自衛隊艦船による補給、特に給油については役割を終えたのではないかというふうにこの棒グラフなり折れ線グラフからうかがえるんですが、これについて、官房長官、どのようにお考えでしょうか。

大野国務大臣 
まず、給油実績というのは、委員御指摘のとおり減ってきております。最初の六カ月と最近の六カ月の給油量を見ますと大体八分の一ぐらいに減ってきているのかな、こういうことでございます。
 
この原因を見てみますと、まず、補給対象となる艦艇の大きさが小さくなっている、縮小している。そういうことでございますので、その点は、かつて補給艦にどんどん給油していたということもございます。そのことをまず御理解いただきたいと思います。
 
ただ、給油の回数という点で見ますと、同じく、最初の六カ月そして最近の六カ月で比較しますと大体九割程度かな、回数の方はほとんど減っていないと言って過言ではないと思います。
 
そこで問題は、今、こういう行動を通じて、抑止力、テロの脅威が世界各国に拡大するという抑止力の効果は当然のことでありますけれども、やはり非常に活動を効率的にしている、寄港地に余り寄らないで済む、こういう問題があります。そういうことで、OEF・MIOの効率性に大変大きな寄与をしているということであります。
 
それから、日本の場合、これは補給技術というのは大変高い技術水準を要するものでありまして、数時間にわたって並行で走っていかなきゃいけない。並行で走りながら給油をやるわけですから高い技術と能力が必要とされておりますけれども、世界の補給技術というのは、日本が今ナンバーワンになっているということも御理解をちょうだいしたいと思います。
 
もう一つ申し上げますと、このような補給艦、大変大きな役割を果たしているわけでありますが、補給艦を数多く持っている国は余りない、このような問題もございます。
 
ただ、あと一つだけ、これは余談でございますけれどもちょっと触れさせていただきたいのは、思わぬ波紋がございまして、日本の海上自衛隊がフランスのブレストに寄港いたしましたとき、フランスの方から日本の艦隊に、今度はフランスの方から油を差し上げよう、こういうことで、三千万円相当の油をちょうだいいたしました。フランスに差し上げた油は六億円程度でありますから、まあ二十分の一でございますが、何となくそこにお互いの心の触れ合い、通じ合いみたいなものができてきているんだな、こんな感じがいたしております。

武正委員 
今、補給艦への補給が減っているというふうに言われましたけれども、具体的にどの程度減っているのかお答えいただけますか。

大野国務大臣 
補給艦への艦船用燃料を給油した回数で見ますと最近一年で七回でございまして、同じ時系列とりますと約六%ということでございます。
 
それから、開始以来で見ますと、ちょっと具体的なピンポイントの答弁はできませんけれども、開始以来で見ますと百三十五回で、全給油回数五百五十回の二五%でございます。だから、全給油回数の二五%、しかし最近の例でいいますと六%、こういうふうに御理解いただきたいと思います。

武正委員 
次に、ヘリコプターへの給油と飲料水の提供を可能とする閣議決定をお答えいただきたいと思うんです。
 
これは既に参議院の外交防衛委員会で、我が党の白参議院議員に対して、防衛庁長官からは、これは各国からの要請である、そしてヘリコプター以外の航空機にも使用可能であるJP5という燃料であるということで、哨戒、警戒に使うヘリに使用をしているんだというような答弁があったわけなんですけれども、これは官房長官に、閣議決定ですのでぜひお答えをいただきたいと思うんです。
 
この閣議決定で、ヘリコプターへの給油と飲料水の提供を可能とする、これを加えた理由ということでお答えをいただきたい点なんですが、そのときには、白参議院議員から防衛庁長官には、それならばそれで、ちゃんと警戒なり哨戒なり、そういう目的に使うということを閣議決定で明記すべきではないか。それが、ヘリコプターの給油そして飲料水の提供を可能とするというのみですと大変幅広に解釈されてしまう、こういう指摘があったんですけれども、閣議決定でそうした使用についてしっかりと限定をしていくというやりとりについて、官房長官として閣議決定についての御所見を伺いたいと思います。

細田国務大臣 
艦艇搭載用ヘリ燃料及び水の補給を追加した理由は、各OEF・MIOを実施しております各国から、オペレーションの効率性の観点から、特に給油等のための寄港回数を減らすという意味での観点から、艦船用燃料に加え艦艇搭載ヘリコプター用燃料及び水の補給も受けたいとの具体的な要請があったことを受けまして、これを昨年十一月の基本計画変更時に実施したものでございます。
 
艦艇搭載用ヘリコプター用燃料については米、英、独、仏、伊、パキスタン、水についてはパキスタンについて実施したものでございます。ヘリコプターについては、基本計画において、艦船に対して行われるものに明確に限定をされているものでございます。

武正委員 
私が聞いたのは、そういう意味では限定をされているんだったら、閣議での決定のときに、限定した書きぶりをすべきではないのかということなんですが、その点についてはいかがでしょうか、官房長官。

細田国務大臣 
これは当然限定されるという前提で議論をしておりましたので、特に問題はない、こう考えております。

武正委員 
ただ、その前提は我々には伝わってこない、あるいは国会にもわからない。質疑でようやく答弁を引き出すということですので、このテロ特措法に基づくインド洋の自衛隊艦船の派遣については、後ほど触れますように、イラク戦争へのかかわりなども懸念をされる、あるいはさまざまな、もしかしたら、先ほどもお話があった第三国に燃料などが転用されているんではないか、あるいはアメリカ艦船が海上阻止活動ではなくてイラクに行っているんではないか、こうした数々の疑念があるんですけれども、防衛庁長官や外務大臣からは、それはもう信頼がある、両国の信義である、それについて疑うのはいかがなものかというようなニュアンスの御答弁もあったぐらいですので、私は、やはり閣議でもきちっと限定して決定をし、それを国会に報告あるいは国民に公表すべきだということを重ねて申し上げておきます。
 
それでは、ちょっと時間もなくなってまいりましたので、この資料の三ページ目をお開きいただきたいんです。これは防衛庁さんがつくられた資料で、今回のOEF・MIOの成果ということで、右上に1、2、3、アフガニスタンへの武器の流入の阻止、麻薬売買による資金流入の阻止、テロリスト入国の阻止に効果を上げた、こういうことを防衛庁さんが挙げておられます。
 
これもやはり防衛庁さん、二ページ目を見ていただきますと、一ページ前です、実際インド洋でどういう活動をしているのか、アフガニスタン陸上作戦と海上阻止活動の地図が載っているわけなんですね、十一カ国参加と。
 
ただ、この海上阻止活動の矢印が太く、私が見る限りイラクに向かっているように見えてならないんですね。ですから、この地図を見ると、アフガニスタン陸上作戦と海上阻止活動は一体化した上、さらにこれがイラクにその影響を与えようというようなニュアンスで見受けられるわけですが、この点について、官房長官、私のこの感想はあくまで懸念であるということなんでしょうか。お答えいただけますでしょうか。

細田国務大臣 
この矢印は、よく見ますと武器やテロリストの流れがこうであるというようなことでございまして、よく読むとわかるんですが、油を供給したらそれらがここに向かうというような感じでとられているとするとそれは誤解でございますし、誤解のある表現は避けた方がいいと思いますが、ここには、テロリストというものがどういうふうに広範に動いているかということに限定されて書いておりますので、御勘弁をいただきたいと思います。

武正委員 
それでは、最後の質問であります。
ちょっと話題がかわりますが、普天間の辺野古への移転について、今どのような状況にあるのか、これは外務大臣、防衛庁長官、それぞれお答えをいただきたいと思います。手短でお願いしたいと思います。

町村国務大臣 
日米間で、できるだけ今月中ぐらいには取りまとめをしたいものだということで最終的な議論の詰めをやっているという段階でございます。
 
普天間を出ていくということは既にSACOの段階で決まっているわけでありますが、辺野古をどうするのか、あるいはその他の場所をどうするのか、今、最終的な議論中でございます。

大野国務大臣 
特につけ加えることはございませんけれども、普天間を移設しなきゃいけない、このことは両国で意見は合致しております。
 
どこへ移設していくのか、このことについてまさに協議中でありまして、この協議もいつまでも続けておくわけにいかない、ぜひとも今月中には合意点に達したい。しかしながら、こういうアイデアがある、こういうアイデアがあると言いますと、やはり対米関係それから地元の関係ございますので、その点はしかるべき時期に説明責任をはっきりさせていきたいと思っております。

武正委員 
民主党はこれまでも、マニフェストでも、県外移転を模索し国外移転を目指すということを打ち出しているのは改めて申すまでもございません。そしてまた、キャンプ・シュワブ周辺のジュゴンがいるあの海域に果たして飛行場を建設することがいかにということを、改めて問題があるということを指摘し、終わらせていただきます。
ありがとうございました。
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