国会議事録 衆議院本会議及び委員会での質問記録

2006年2月24日 【予算委員会】

武正委員 
 おはようございます。民主党の武正公一でございます。きょうは一般質疑ということで、以下、質問をさせていただきます。

 先ほど来、日本の領土、領海を守る、あるいは防空識別圏についての変更ということで、大変大事な課題についても質疑が行われております。外務大臣からは、どうしても島国ゆえ、そうした意識が薄いという嫌いがある旨の発言もありましたが、私は、それはやはり政府として、領土、領海を守るという責任をこれまでしっかりと果たしてこなかったということであって、決して島国ゆえの言いわけは許されないというふうに考えております。

 既に当外務委員会では、例えば日本海の呼称、これを、韓国のソウル大使館、日本のですね、ソウル大使館のホームページで、韓国の主張の東の海と、日本側のホームページでそうしたことを、外務省在韓ソウル大使館のホームページで表記をしたり、あるいは、日本政府の関連のそうした出版物に、日本海(東海)と、日本側でわざわざそうした表記をしたりというような意味では、非常にやはり領土、領海に対する意識が政府に根本的に薄いのではないか、欠如しているのではないかという問題があるというふうに考えております。

 この点は、改めて当外務委員会は、この領土、領海を守る、あるいは防空識別圏のことも含めて、委員会としての決議なりなんなり、やはり国会としてそれを改めて示していくべきであろうということを提起させていただきたいと思います。

 さて、過日、外務委員会の沖縄への視察においては、実は尖閣諸島も上空から海上自衛隊機で視察をいたしまして、私の目からは雲間に隠れてちっちゃな岩が二つほど見えまして、これはまた後で同僚の松原委員からも指摘があるかもしれませんが、そうした尖閣諸島の一部も確認をしたわけです。その後、石垣市長からは、自分の市の市域である島になぜ上陸できないのか、日本政府にそういう要請をしているんだがだめだと言われている、こういうことも率直に陳情を受けました。このことも冒頭、改めて申し述べておきたいと思います。

 さて、外務大臣におかれましては、既に昨年、沖縄北方特別委員会で、私から、日本外交として何を大事にするかという質疑に対しては、やはり、国益を損じることのないように、先ほど副大臣の冒頭のあいさつでもございましたように、近隣諸国、アジアとの関係を大事にする、こういったことを述べられたわけです。

 そろそろ小泉内閣、五年となる中で、この小泉外交の評価、総括を外務大臣としてどのようにされているのか。ちょうど秋で首相も交代をされるわけでありますので、やはり今そういった時期を迎えているのではないかなと私は思うんですが、これを例えば地域的に分けまして、対米、対アジア、あるいは対アフリカ、対ヨーロッパ、こういった観点から、この小泉外交の評価、総括を外務大臣なりにどうされているのか、お聞かせをいただきたいと思います。

麻生国務大臣 
全般にわたりますので、少々時間をいただくことになろうと思いますが、日本の国の外交目標というのは、先ほど申し上げましたように、経済的繁栄を通じて、経済的繁栄と民主主義を通じてが正確だと思いますが、いわゆる平和と幸せ、幸福をというのが国民のコンセンサスでこの六十年間やってきたんだと思いますが、それを、基本的にはそんなに外れたところではなくて、少なくとも日米同盟を基本として、いわゆる国際協調というようなことをベースにしてずっとやってこられたというのが、この五年間のほぼ実態なんだと思っております。

 その間、有事法制、国民保護法、いろいろありましたし、いろいろな関係で日本という国の安全と防衛というところもきちんと、戦後五十数年かかってできなかったものが、一応の形としてでき上がりつつありますし、やはり日本としては、小国のときは、でき上がった国際秩序にどうやって自分を合わせるかというのが小国の生き方なんでしょうけれども、それなりに大きくなってきたら自分の都合のいいような国際情勢をつくろうとするのが、大体、大国というものと小国の一番の違いなんでしょうが、少なくとも、日本にとって、通商で成り立っておりますこの国として見ますと、やはり自由に貿易ができるという状況は望ましいというのは当たり前の話なんであって、そういった意味では、基本として経済的にはそういったところをやってこられたんだと思っております。

 今、国際情勢というのを見ましても、先ほど自民党の議員の方に資料をお見せしましたように、BBCの資料やらメリーランド大学の話を出しましたけれども、そういった評価もいただいているというのであって、これは日本がやったんじゃない、日本政府がやったんじゃなく、他国が他国の学生を使ってやっておりますので、そういったものが出てくるというのはまことに結構なことだったんだと思っております、評価が高いということは。

 ただ、この間、何が起きているかというと、やはり、北朝鮮の話に限らず、ミサイルとか核の拡散とかそういったような話とか、テロがあちらこちらで頻発する等々の、いわゆる今までの冷戦構造の時代に余りなかったような地域紛争とか宗教紛争とかいろいろな問題が出てきて、そこらのところが結果として日本に回り回って出てくるということは、これは日本にとっては極めて難しい問題なんであって、私どもとしては、その点に関しては、少なくとも世界の秩序を、何となく金さえ払ってそっちでやってという話じゃなくて、少なくとも自分もある程度そこに参加をして、PKOだ、ODAだ、いろいろな表現がありますでしょうけれども、そういったものを通じて日本としてはやっていこうという努力をしてきたというところが今のイラクであり、アフガニスタンであり、その前に東ティモールであり、いろいろなところなんだと思っております。

 少なくとも、新しい国際協力のあり方というものにつきましても、いろいろ民主党と議論をさせていただいたおかげで、こういった形が高く評価されるような形に出てきたあのグラフの背景かなと思っておりますので、ただ何となくお金だけ払うからあとはそっちでやってというような態度ではなくなってきたのは少し評価できるところかな、全体として言わせていただければ、そんな感じだと存じます。

    〔委員長退席、渡辺(博)委員長代理着席〕

武正委員 
先ほど、インドネシアが八七%でしたか、非常に高い日本への支持という、今のその統計を先ほども示されておりますが、ただ、残念ながら、昨年、国連安保理常任理事国入りに対して、ASEANは反対を表明したわけですね。これだけ東南アジアに対して日本が援助をしてきた国でありながら、反対をしたわけです。アフリカに対しても、ODA倍増ということでしょうか、これを示しながら、やはり同じでありました。

 そういった意味で、この五年間の小泉外交の総括が、必ずしも意図したとおりに行っていない。やはりその問題点、先ほど来、総理の靖国参拝についても質疑があったわけでありますが、いずれにせよ、外交は、言うべきことを、先ほどの領土、領海に関しても国益に関しても、主張しながらも、しかしやはり対話のさまざまなチャネルをつくっていく、この駆け引き。あるいは、時には言葉のけんか。でも、それをにこにこしながら言葉のけんかをするというか、そういう大変すさまじい、そういう国際社会でのやりとりだというふうに思うんですね。それが、残念ながらこの五年間、どこまで成果を上げてきたのかなというところをやはり検証、総括が必要だと思っております。

 中国については、先ほど、覇権争いをしないということを戴秉国外交副部長と意見交換したと言われておりますが、私は、あわせて、この北東アジアで軍拡競争が起きてはいけないということを大変懸念しております。昨年十二月に、私も、訪中をした折にも、中国共産党の中連部ですか、あちらの幹部の方にもそういうことを申し上げました。ある面、そうした意味では、軍事面、防衛面の透明性、これをやはり確保していくということなども含めて必要であろうというふうに考えております。

 そこで、対米についてもう少し深めていきたいと思うんです。

 外務大臣は年次改革要望書をどう評価されておられるでしょうか。これは、九三年七月に宮沢・クリントン会談で合意をして、九四年から、年次はつきませんが、改革要望書ということで両国が交わしてきたもの。

 有名なところでは、郵政民営化については九六年十一月十五日付、要望が出た。昨年、法案を一年延期をいたしましたいわゆる三角合併解禁については、二〇〇二年十月二十三日付の要望であった。しかも、年次改革要望書には「二〇〇四年度までに国会に提出すること」と。こういったところまでなぜアメリカに言われなければならないのかということなんですね。

 これまで、企業会計、CEO、社外取締役、法科大学院などなど含めて、たくさん日本が今取り入れているグローバルスタンダードと呼ばれるようなことが、すべてこの年次改革要望書に盛られているわけなんですが、年次改革要望書を毎年交わし、そして、それである面、この五年間、構造改革も進んでいるということについて、どのように評価をされますでしょうか。

麻生国務大臣 最初に中連部の話をさせていただいて、今の年次改革要望書の方については塩崎副大臣の方から答弁させていただきます。

 今、中連部の話が出ておりましたけれども、武正先生、単純計算して、日本の国防予算は四兆八千億。四兆八千億が、ダブルディジットというんだから、仮に一〇%として、二けたというのは最低の一〇%として、十七年いったら二十三兆円ですよ。これだけ二十三兆円のものになっちゃったら、それは隣にいる人は、えっということになるのが普通なんだと私は思うんです。普通じゃない人の方が普通じゃないんじゃないかなと思うぐらい。だって、二十兆を超すんですよ、二十三兆円ぐらいなんですから。

 そうすると、うちは全部中はこれですよと出してあるから、これが人件費、これが戦車、これが何とかでと全部出してあってやるのと、全くそこのところがよくわからぬというのでは、隣の人に対する不安感を与えるというのはいかがなものかというところがこの間申し上げたところなのであって、今言ったような形で、中連部にその点は問題だということを言っていただいたというのは、私どもとしても大変ありがたく、感謝を申し上げます。

塩崎副大臣 武正議員の今のいわゆる年次改革要望書と言われているものについての御質問にお答えいたしたいと思います。

 そもそもマスコミ等々で取り上げられ方が、どうも片一方からだけの、アメリカからだけの要求というふうにとられているわけでございますけれども、これは、もともとキャンプ・デービッドで二〇〇一年にブッシュ・小泉会談の中で、成長のための日米経済パートナーシップというものの中の一つのフォーラムということでスタートをしているわけですね。

 御案内のように、これは双方向で要望をお互いに議論して、言い合っているということでありまして、決してアメリカから言われたことを唯々諾々とのんでいるというようなことではないわけでありまして、今取り上げられたテーマについて、私も自民党の中で小委員長などで扱ってきたものもたくさんございますけれども、一方で、日本からアメリカに対して要望をして、それが実現しているものもかなりございます。

 例えば、この二月にバード修正条項というのが廃止をされました。これはダンピング防止税等の収入を米国内業者に分配するというもので、かねてから、これをやめろやめろ、こういうふうに言ってきたわけでありますけれども、これがWTO協定違反じゃないかということで、向こうの方も認めて、廃止をいたしました。

 それから、一九一六年ダンピング防止法についても、二〇〇四年の十二月に廃止されたりしておりますし、また米国の入国管理の厳格化等々についても、こちらからの要望が向こうに受け入れられたということだと思います。

 したがって、我々は向こうから言われたからやる、あるいは向こうもこっちから言われたからやるということじゃなくて、お互いに議論の中で、いいものをやはりやっていった方が、自分のためになるものはやっていく、そういう判断をしてやってきていることだろうと思いますし、多くのものは法律として出てくるわけでありまして、これは国会で与野党を問わず一緒に議論してやってきていることでありますから、決して言われたままのものをやってきているというふうなことではないんじゃないかと私は思っております。

武正委員 
日本への年次改革要望書は五十ページ以上あるということなんですが、日本からの年次改革要望書というのは何ページぐらいなんですか。そう言われて、いっぱい要望しているというお話ですよね。どうも余りそういう話が聞こえないので、今幾つか挙げられていますが、大変米国から日本への要望というのは大部に映るんですけれども、これは何ページぐらいあるんですか。

塩崎副大臣 
日本国政府の要望事項というのが手元にありますけれども、五十一ページにわたってございます。

武正委員 
ちょっとまたその中身を精査させていただきたいと思います。

 よく日本の改革が外圧を利用してやるというようなことが言われるわけでありまして、この五年間の小泉内閣の外交の一つの評価、総括として、この年次改革要望書は、先ほど言ったように、九四年から始まっているわけでありますし、あるいは、やはり八五年のプラザ合意から二十年間、日本の内需拡大も含めた、そうした要求も含めて、やはり私は検証、総括というものが今必要なのではないかなというふうに思っております。

 もちろんこれは、米国債を日本が大量に保有をしていることによって米国内の長期金利が引き上がるのを抑えている、こういった指摘もあるわけですので、総合的にこの対米関係というものを、日米安全保障条約が基軸ではありますが、やはり小泉外交の総括として、その構造改革の総括も含めて見ていかなければならないというふうに私は思っています。

 そこで、日米関係にとって今大変懸案事項ということで、2プラス2合意ということで、中間報告、三月末には最終報告ということで、既に日米の審議官級協議も今月あったやに伺っております。報道では、特にグアムへの米海兵隊の移転費用七十六億ドル、うち四十七億ドル、六割は住宅関連、七千人プラス九千人の家族の移転ということで、こうした額も提示があったという報道もあるわけですが、実際のところ、この米軍再編の協議、日米審議官級協議の内容、これも含めて、どのようになっているのか、お答えいただけますでしょうか。

塩崎副大臣 
今、武正議員御指摘のとおり、審議官級の協議は繰り返しやっておりますし、御案内のように、三月末までにまとめなければいけないということにデッドラインも決まっているわけであります。したがって、精力的にお互いに意見交換をしながらこの内容を今詰めているところでありますけれども、具体的な細かなことはまだ詳細に明らかにするわけにはいかないということで、差し控えさせていただきたいと思います。

 グアムへの移転の問題については、趣旨は、御案内のように、沖縄の海兵隊の司令部の要員並びに家族をグアムに移すということで、七千人ということで話が進んでいるわけでありますけれども、まだ具体的な中身については、措置については何ら固まっているところまでにはいっておりません。

 さまざまな報道はなされておりますけれども、議論が今行われているというところで、具体的な措置を含めて、さらに議論を深めて結論を出していかなければいけない、こんなふうに考えておりますので、三月末に向けて努力を続けてまいりたいと思います。

武正委員 
大臣もトイレから戻ってこられましたので、今のこの日米審議官級協議、米海兵隊の七千人のグアムへの移転ということを、合意を中間報告して、最終報告に向けて、もう三月ですから、協議をしているわけですから、今の副大臣のように、額もまだ決まっていない、しかし新聞では七十六億ドルと出ている。もう来月末が最終報告ですよ。本当にそれでいいんですか。国会に対してそういう説明でよろしいんでしょうか、外務大臣。

麻生国務大臣 
数字はいろいろ出ているのは、私ども知らないわけではありませんけれども、そこらのところは、移転するというところは、確かに私どもにとっては負担の軽減になりますので、これをどれくらい金がかかるかという話は、五十台、四十台、いろいろ話があったのはこれも新聞に出ていたところですけれども、基本的には、これはある程度、出ていってもらうのに対して、向こうが例えば朝鮮から、朝鮮国境ですから、あれは三十八度線から以南、りゅう弾砲の届かないところへばんと下げてきた。あのときはアメリカの都合で下げておりますが、今度の場合はこちらも向こうに立ち退きを要求している。簡単に言えば、普通の民間用語ではそういうことになるんだと思います。簡単に言えばそういうことでしょう。だから、下がってくれと。だから、そこらのところを我々は頼んでいるわけです。立ち退きという言葉でなければ、少なくとも、この部分が兵隊が減るということは我々にとってはすごく大きいところですから。

 したがって、東ドイツにいたソ連軍が撤退するときも西ドイツは多額の金を払っておりますけれども、少なくとも私どもとした場合は、今このままいつ果てるともわからないで、二十年かけて七千人減らされるのと直ちに減るのとでは沖縄住民に対する負担は全然違うんじゃありませんか。違いますか。いやいや、何か一生懸命向こうから場外発言をやたらされる方がいらっしゃいますので、そちらに対して一応サービスとしてお答えしているんですけれども。

 私どもとしては、そういった点を考えますと、いろいろな意味で、今の話の額までは正直言ってまだ精細に詰まっているわけではないというのが正直なところですけれども、いろいろな形での話として、それをどういう形でやるのかというのに関しましては、これはちょっといろいろ、真水でやるのかどこでやるのかいろいろな話が出てくるんだと思いますし、ちょっと正直、いまだ詰めができ上がっているわけではございません。

武正委員 
外務大臣に伺いたいんですが、思いやり予算、在日米軍駐留経費の負担を改定というか、二年延長を今国会に出されております。きのう、衆議院本会議でも我が党の山口議員が質疑に立ったわけですが、この協定の三条に、国内の訓練の移転経費を思いやり予算、二十四条の改定で見るという項目があるんですね。これは、どの国でもこういったことをやっていないという外務省のそういう答弁をいただいているんですよ。そのとおりでしょうか。

麻生国務大臣 
今他国に、きのう本会議の答弁で申し上げましたように、アメリカに対してやったことはないかと言われれば、私の知っている範疇ではございません。ただ、今ソ連の例を引きましたのは、東西ドイツ合併に伴って東ドイツ駐留のソ連軍が撤退するに当たっては、当時の統一ドイツ政府と記憶しますけれども、統一ドイツ政府がソ連軍に対して、何兆だか忘れましたけれども、そういう額を払ったという例はございます。したがって、きのうの国会答弁で申し上げた、米軍が払った例はないというのが私どもの調査で知っている範疇であります。

武正委員 
私が聞いたのは、思いやり予算の三条で、日本国内で日本国の要請で訓練を移転したときの経費は日本側が払うと、もう三条で平成八年に改定したんですよ。このことは諸外国で例がありますかということを聞いたんです。

塩崎副大臣 
今、諸外国で例があるのか、こういうお問い合わせでございまして、ちょっと今手元で正確なところを調べておりませんので、改めて調べてお答えをいたしたいと思います。

武正委員 
私が聞くと、これは民主党の外防の部門会議で来ていただいて聞いたら、諸外国で例がないそうです。今、これから正確にお答えいただきたいと思いますが。

 つまり、平成八年の改定、改正のときに、国内でのそういう移転経費についても日本側が面倒を見ますよ、こういうことをやっているんですね。日米の地位協定は、二十四条で、施設は日本側が提供します、ただ、維持については米軍が負担しますよと。ただ、維持管理については思いやり予算で労務費などを見てきた、そういった経緯があるわけですね。

 この二十四条の一項に「この協定の存続期間中日本国に負担をかけないで合衆国が負担することが合意される。」こういうような項目もあるわけで、先ほど、出ていってもらうんだというようなことで、何かそれがもう当たり前というような感じの外務大臣のお答えが、やはり今の日米協議の中で日本側の負担をいたずらにふやす、そういった背景になっていると思うんですね。

 そもそも今回の2プラス2の合意、そして最終報告は那辺にあるかというと、あくまでも米軍の再編成、米軍再編に伴って、こうした合意が今加速して三月末を迎えようとしているわけであって、本当は沖縄の負担軽減という話は十年前のSACO2なんですよ。そのときに合意をしているはずなんですね。そっちの沖縄の負担軽減がずっと十年間先延ばし先延ばしになって、今回米軍再編に合流しちゃって、そして今回、グアムへの移転経費で、じゃ負担してくれみたいな話になっている。

 ここはやはり交渉で切り分けていくべきだと私は思うんですね。あくまでも今回の合意というのは、米軍再編に端を発しているんだ。SACO2のものがずっと日米がなかなかうまく合意できずに十年もたっている。これはやはり切り分けていかなきゃいけないということですから、私は、この三条の改定などに端を発して、これまで日本が諸外国に例のないような形で負担をしてきた。そして、今回も日本から、米国に戻るに関して、その施設まで費用を負担するということは断じてあってはならないというふうに思うわけでございますが、いかがでしょうか、御所見を。

麻生国務大臣 
今SACO2の話が出たんですけれども、正しいと思います。あのSACO2のときにこの種の話が出た。もう間違いない、私の記憶でもそうであります。

 今おっしゃったとおりなんですが、それが十年間全く動かなかったというところがこれまた非常に大きな問題でして、その間に普天間で事故が起きる、ヘリコプターの墜落事故が起きるということになって、これは事は急ぐということになったのが動き始めた大きな背景だと思っております。

 そして、それは同時に、沖縄にやはり日本じゅうの基地のほぼ七五%、四%が集中しているという話がよく出ますように、この部分に関しては、沖縄に過重にかかっている部分を何とかすべきではないかというのは、これは沖縄の方に限らず、いろいろ言われるところでありまして、そういった意味では、ぜひこういった問題を考えていくときに当たっては、沖縄の部分の中でも、これはジオポリティクス、地政学上どうしても動かせないところがある。沖縄の北部とか人口密集地帯からもう少し密集していないところとか、いろいろな表現がありますけれども、鹿児島とか岩国でしたか、いろいろなところに移そうとしているということになっていますので、私どもとしては、少なくとも沖縄の住民の負担軽減を早くやろうというところが今申し上げたような経費の負担と補充とかいう形につながっていっているというのが大きな背景で、やはり、これまで沖縄にということに関してはなかなか動かなかったのに、今このチャンスに早くというのを考えておりますのが今言われる背景なんだと思いますので、御意見が少し違うんだと思います。

 私どもとしては、少なくとも、一日も早く負担軽減につながるという部分も、沖縄のことを考えれば、やはりこの五十年間考えておかないかぬ大事なところだったのではないかという感じはしますので、このときに一緒にという感じで非常にスピードアップしたいというのが、今回の移転費に関してもという話につながっていった背景なんだと存じます。

武正委員 
外務省、まだ先ほどのわかりませんか。

塩崎副大臣 
思いやり予算と一般的に言われているもので、移転経費を日本政府、ホスト国が見ているというのは、今武正議員がおっしゃっているものは、国道を越えて訓練をしていたものについて北海道に持っていった、その経費を持っているということだけだというふうに認識をしております。

 今武正議員がおっしゃっている話は、今度グアムに持っていく際の移転経費についてどうなんだという話も言っているんだとするならば、それは今大臣が申し上げているようなことで、これは新たな、国外への移転の話でありますから、その経費の持ち方というのはまだこれからの話ということだと思います。

    〔渡辺(博)委員長代理退席、委員長着席〕

武正委員 
先ほど聞いたので、ちゃんと答えていただきたいんですが、他国に駐留する米軍が、他国の国内で、他国の要請に伴って訓練地を移転するに関する費用をホストネーションがサポートした例はありますかと。これは、ないというふうに私は外務省から聞いているんですが、どうですかということです。ちょっと整理して、後でまたお答えをいただきたいと思います。

 今の話に絡むんですけれども、ちょうど今、沖縄密約、吉野元局長、きょうも新聞に出ています。〇〇年に米公文書が公開されて、沖縄返還協定のときの四百万ドルの土地の原状回復補償費、これを、密約があって、日本側が負担したと。公文書が二〇〇〇年に公開されたときに、このことは、当時の河野外相が当時の元アメリカ局長、吉野さんに密約の存在を否定するよう要請された、こういったことが新聞に出ているわけですね。

 これについて、その真偽について外務大臣に伺いたいんですが、もともとこういったところにすべてその根があるのではないかなということがあるわけですね。やはり、協定をしながら密約をして日本側が負担をするという、最初からボタンのかけ違いがあったということが、今もって、例えばグアムへの移転という、諸外国でもないこの経費をどうやって負担するのか。日米地位協定の改定なのか。よくわかりません。あるいは交換公文を結ぶのか。

 まず、この密約については、外務大臣、どう認められますか。

麻生国務大臣 
これは、前に川口外務大臣の方から答弁があったんだと私どもは聞いておりますけれども、少なくとも、河野元外務大臣、当時の外務大臣が吉野局長の方に対して、密約は存在したかという話を確認したところ、御指摘のような、そういうような要請を行うなどということはあり得ないというような話で、いわゆる四百万ドルの話はなかったと当時の吉野局長から答弁が河野外務大臣にあったということを川口外務大臣の方からお答えがあったと存じますけれども、そのとおりで、それ以後の、今、何年たつか、大分たちましたけれども、今八十七ぐらいになっておられると思いますけれども、なられてから、今、最近になって言われているという話は私どもも漏れ承ってはおりますけれども、そのあれによれば、なかったことにしてくれと河野外務大臣が頼んだというような話になっていますけれども、そのようなことはなかったということであります。

武正委員 
事ほどさように、こうしたことが出てくるのは、後で、金大中事件の韓国の文書公開、当時の田中元首相が金鍾泌首相に、その日韓の捜査継続についての四条件、これを示したときに、これは建前ですかと言われて、建前だと。この問題はパアにしようというようなことも、日韓の間でそうしたやりとりがあった。ところが、対日の、日本国内での説明は違う。こういったことが出てくるということは、私はやはり三十年ルールに基づいて外交文書は公開していくべきだと思うんですね。

 やはり、そのときそのときの政治状況で、時の政府の外交担当者が、いろいろと、いろいろな状況をかんがみて決断をし判断をした。それはそれで、やはり三十年たったら、我々は国会でそれを検証、評価する必要がある。なぜこれが必要かというと、このことをオープンにしないがために、日本の対外的な外交で、その交渉相手国に私は弱みを握られていると思うんですね。

 つまり、向こうは公開している、あるいは公開していないと。日本が、それは公開したくない、公開しないでくれと。わかった、公開しないよと。そのかわりというようなことで、外交上の不利益をこうむるので、私は、やはり三十年ルールを原則に、国益を損じないということがまず第一とは理解しておりますが、やはりすべからく公開、ましてや相手国が公開していたら公開をするという原則を貫くべきと思いますが、この点、外務大臣いかがでしょう。

麻生国務大臣 
かつての文書を公開文書という意義は非常に大きいと。これはマッカーサーの一九五一年の上院外交委員会の表現というものが、少なくとも五十年たって、二〇〇一年のときに公開された、あれは非常に大きかったと思っております。

 そういった意味で、こういった、十年一昔と言いますけれども、まだ存命の方がいっぱいいらっしゃいますので、したがって三十年、五十年と、一つの区切りでそういったものが公開されるというのは、私は、確かに痛いところもあるんだとは思います。しかし、基本的にそういったようなものが公開されていくというのは、私は、他国、相手国にとりましても、こちら側にとりましても、双方のために、その当時の状況としての責任判断、政治判断、そういったものが検証されていくというのは非常に大事なプロセスの一つだと思いますので、原則としてそういったものが出てくる、出されてくるということに関して、私は反対ではありません。

武正委員 
ぜひ、麻生外相のもと、積極的に、特に他国が公開した外交文書の公開を進めていただけるよう、お願いを申し上げます。

 お手元に資料として、きょう理事会のお許しを得て配っておりますのは、昨年の特別国会で、町村外相との間のやりとりで、ちょっとこれは指摘だけさせていただきます、質疑はちょっと後の予定だったんですが。

 大平三原則に基づいて、日本が他国と結んだ条約と、その後、取り決め、交換公文、これは重要なものは外務委員会に提出します、こういったことが大平三原則で示されて、そしてその後外務省からも示されてきた。ところが、平成六年以降、約八千本の交換公文が日本と他国と交わされながら、一本たりとも外務委員会に提出されていない。では、この八千本の中に重要な交換公文はなかったのかという認識であります。そうだというふうに外務省は答えます。とてもそのようには私は思えません。重要な交換公文はたくさんあったわけです。ということで、昨年の町村外相、これから重要な交換公文は委員会に提出しますと。その間、百二件交換公文は結ばれているんですが、相変わらず一本も外務委員会には提出がないわけでございます。

 そういった意味で、私は、引き続きこの交換公文、重要な交換公文を当然結んでおられる、それだけ外務省、外交努力をされているはずでありますから、国会に対する説明責任として、重要な交換公文を外務委員会に提出するよう、改めてお願いをしておきます。

 防衛庁もお見えでございますが、今、先ほどの沖縄の普天間、地元の議員からも沿岸案ということで要請もあったようでありますが、状況を簡単にちょっとお答えいただけますでしょうか。

木村副長官 
昨年の十月の2プラス2の合同文書を受けて、私たちの考え方を、発表直後、施設庁長官、またその後、額賀長官等が現地に赴いて、誠意を持って御説明、御協力をお願いしているところであります。

 先ほど来、外務大臣や副大臣からもお話があったとおり、随時、日米間の協議を続けていく中で、三月の最終取りまとめに我々一層努力していきたいと思っております。

 いろいろ地元関係の方々から御意見等いただいておりますので、その意見を踏まえながら協議はしておりますが、基本的には、私どもが示しております考え方を誠心誠意御説明をしていきながら、御理解いただく努力をしていきたいと思っております。

武正委員 
防衛庁副長官、ありがとうございました。もう結構でございます。

 外務大臣、ちょっとお伺いしたいんですが、ちょうど今ODA改革、政府で検討中でございます。間もなくその最終的な取りまとめということを聞いておりますが、毎日新聞で、「外務、財務省が裏合意 JICA所管めぐり」というようなことが出ております。

 きょう財務省の政務官もお見えでございますが、こうした事実、あったのかどうか、まず外務大臣、そして財務省、それぞれお答えいただけますでしょうか。

麻生国務大臣 
その毎日新聞でしたか、毎日だけが多分出ていたんだと思いますけれども、きのうの経済財政諮問会議において、私どもとしては今回のあれに関しておおむね、裏合意という話になっているといかにもいかがわしいようなイメージ、裏日本というイメージで、裏合意とか、裏とかというと何となく、日本海沿岸が裏日本と言われると何となくよろしくないというので裏日本という言葉がなくなったのと同じように、やはり公式的には裏合意というようなものではないんだと思っております。

 そこで、私どもとしては、昨日の経済財政諮問会議、そのまた前はこれの審議会というのは法務省の原田さんのもとでずっとやってきたところでもありますので、今この種の話をやらせていただくに当たって、少なくともJBICをやめて、やめては正確じゃありませんね、JBICを解体して、そしてこれを政府の統一のものにしよう、傍ら、OECFという昔で言う円借の話ですけれども、この部分はJICAと一緒にしようと。

 武正先生御存じのように、JBICというようなもの、国際協力銀行、輸銀等々でやっていました部分は、年間約一兆一千億ぐらいあると思いますけれども、この一兆一千億のうちの約一兆円は借りている人は日本の企業です。傍ら、相手国が借りておりますのはその約一割、一千億。一兆対一千億ぐらいの比率だと思います。

 傍ら、OECFの方は、約六千五百億ぐらいだと思いますが、これはもう一〇〇%相手国が借りていますので全然全く異質でしょうがというのは合併のときからあった話でもありますので、そういった意味では、このOECFの部分を、いわゆる円借と言われる部分をJICAの方につけるというのは、少なくとも金融をやっていて、十年据え置き、二十五年の返済なんというのは、ちょっとそれは金融かというような種類の話でもありますので、私どもとしては、これをやはり国策としてODAというのを外交の一環としてやるのが正しいというので、今回これを分けようと。

 私どもとしては、そこの主幹の部分に、そこに育っている人というのが私どももおりますので、これはこれまでも財務省がいろいろやってきておられたところでもありますので、そこらの人はある程度こっちも利用せないかぬということなんだというように思っておりますので、今そういう形になっていますから、そのままこっちにくださいと。ただ、人はこっちももらわぬとできませんので、そういったようなことを申し上げたので、裏でどうのこうのというような意識ではございません。

野上大臣政務官 
ただいま大臣からも御答弁がございましたとおり、先週、官房長官から関係大臣に対しまして、ODAの新たな実施機関をどのような形にしていくかということを事務的に詰めるように、こう指示があったところでありまして、これを受けて、事務的な準備作業として関係省庁間で現在検討を行っているところということでございます。

武正委員 
もう時間が来ましたので、最後、指摘にとどめますが、今、お手元の資料の四ページ、五ページ目、ごらんをいただきたいと思いますが、民主党では、独立行政法人に対する予備的調査を昨年十月行って、ことし一月、資料を得ております。こちらが、JICAのそれぞれ十五年度、十六年度の収入支出の上位十の取引先、そしてまた、他の法人への財務上の関与、人事交流などについてということでございます。

 ごらんのように、支出についても、財団あるいは社団、そして株式会社もいわゆるコンサルなどの額も大変多額であります。また、収入についても、経産省からの三十五億なども含めて、このお金の入りと出、そしてまた関連の公益法人との関係、こういったところのやはり透明性というものをしっかりと担保していかないと、これから額が約一兆円になる、その独立行政法人の運営というものは大変大事になってくるということを申し上げるとともに、この裏合意がないとしても、私は、これから円借款をJICAに統合したときに、勘定を別にするべきじゃない。多分勘定を別にしようということを考えておられる向きが報じられておりますが、やはり独法の性格上、勘定が幾つにも分かれるとそれぞれでまた無駄がダブりで発生しますので、私は、あくまでも外務省が主体でJICAの監督官庁、所管庁として、円借款も含めて勘定は一本にして、それでODAを担っていくべきだと思いますが、この点、ちょっと外務大臣、最後いかがでしょうか。

麻生国務大臣 
この種の話は、外交の一元化の観点から考えても、今言われた点なんだと思っておりますけれども、物理的なところもちょっと考えておかないかぬところでもありますので、私どもは、そういった重複するとか無駄な、二元化するとか、そういったことになりますと、現場を預かっておりますJICAの現場の人たちは、こっち相談して、こっち相談して、相談する窓口がいっぱいふえるなんというのはさらなる負担になりますので、そういったことのないように、すっきりした形でいけるように最大限やっていかないかぬと思っております。

武正委員 
以上で終わります。ありがとうございました。
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