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■国会議事録 衆議院本会議及び委員会での質問記録 |
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2006年3月1日 【予算委員会第八分科】 |
■武正分科員
きょうは、予算委員会分科会、国土交通部門ということで、質疑をさせていただきます。
きょうは、主に第三セクター鉄道に関する国の支援に関して、特に私の地元でもあります埼玉高速鉄道を中心に御質疑をさせていただきます。
それぞれ、北側大臣、そしてまた山崎副大臣、江崎副大臣、西田政務官と御出席をいただいております。政治家との議論をということを心がけておりますので、国会質疑の活性化ということで、御出席いただきまして本当にありがとうございます。
まず、お手元の方に、理事会のお許しを得て資料を配らせていただきました。ちょっとお目通しをいただければと思いますが、埼玉高速鉄道の概要ということで資料を出させていただいております。
平成四年に事業免許、そして平成六年から鉄道公団工事の指示ということで、平成十三年の三月二十八日に開業いたしました。ちょうどワールドカップに、二〇〇二年に間に合うようにということで開業したところでございます。赤羽岩淵から浦和美園まで十四・六キロ。譲渡価額というのは、これは後でちょっと触れますが、いわゆる鉄建公団のP線事業と、それから第三セクター地下鉄高速線支援の事業が半分半分になっておりますのでこのような価格になっております。建設費がこの十四・七キロで約二千五百億円という、巨額の建設費のもと開業しております。
会社概要が、以下のとおりでございまして、いわゆる地元の自治体が五〇%強という形での第三セクターでございます。
経営状況が下に、十四、十五、十六年度というふうに出ております。輸送人員、十六年度で六万五千人ということでございますが、当初、十三年度ですか開業時、このときに六万人をもくろんで開業いたしましたが、四万七千人ということで、当初目標の輸送人員に達しなかったために、この三年間毎年七十億から九十億の当期損失を計上しておりまして、十六年度で三百三十七億円の累積損失ということでございます。
これは、第三セクターが、全国に三十九の鉄道事業がある中で、年間の当期損失については、十五年度黒字が七社だったのが十六年度四社に減っていることなど、各地の第三セクターが大変厳しい経営を余儀なくされているのに加えまして、特にこの埼玉高速鉄道などは地下鉄事業でございますので、どうしても、先ほど言いました初期の投資、これが多額に上るということもありまして、十六年度の決算を見ますと、基礎的収支は十七億円の黒字なんですが、後ほど触れます支払い利息が三十三億円、プラス減価償却費が五十六億円、計八十九億円に上りまして、十億円の補助金を加えても六十二億円の赤字額ということが、先ほどの、累損が毎年ふえている、そういった背景になっておりますので、後ほど、この支払い利息を何とか減らせないか、こういったことを中心に質疑をさせていただきたいと思います。
そこで、まず大臣の方にお伺いをしたいんですが、多分省庁の方からレクも受けておられると思うんです。今、この埼玉高速鉄道線が赤羽から岩淵まで延びておるんですけれども、資料で三ページをごらんいただきたいんですが、この三ページの地下鉄事業の都市高速鉄道事業スキームということで、公営地下鉄は上のような事業のスキームで、国庫補助やあるいは出資があったということですが、第三セクターにこのような公営地下鉄と同様の補助がされたのがちょうど平成六年からでしょうか。
ということで、この平成四年に事業認可された埼玉高速鉄道については、半分このやり方を行いまして、半分は先ほど触れました鉄建公団のP線というようなやり方でやっておりますので、いわゆる国庫補助金などが投じられないというような形でございます。そのときの経緯が、なぜ全線をこの第三セクター地下鉄建設事業でできなかったのかなということが悔やまれるところというのが、地元選出の議員としてのやはり率直な感想でもございます。
ちなみに、今、下の第三セクター地下鉄建設事業によっての補助区間に対して千百三十億円、そして、今までその前にあったP線、鉄建公団のやり方が千四百五十七億円、そのうち鉄建公団の資金が八百八十一億円ございまして、これが、後ほど触れますが、金利が二・三%近くということで、何とかこれをやはり低利に借りかえできないだろうかと。八百億円の一%といえば、年間八億円の金利減免ということにもなるわけでございます。
まず、長々と説明をさせていただきましたが、なぜ、P線、鉄建公団の部分と第三セクター地下鉄建設事業、半分半分になってしまったのか。この経緯について、恐縮でございますが、大臣の方から御説明をいただければと思います。
■北側国務大臣
必要であれば、参考人がおりますので答弁させていただきたいと思いますけれども。
平成四年の鉄道事業免許に際しまして、埼玉高速鉄道株式会社は、全線をP線方式、今委員のおっしゃったP線方式で整備することによって収支採算性が確保できるということで申請が行われました。当時、運輸省でございますが、その内容を確認して免許を出したものでございます。
しかしながら、整備費用が二千五百億円を超えると見込まれていたために、より効果的な支援を行うべく検討を行った結果、平成六年度予算において、地下鉄補助の適用対象を準公営事業者にも拡大するという改正を行った際に、この線の一部区間についても地下鉄補助を適用することとしたものでございます。
なぜ一部区間に限っているのかというお尋ねでございますが、これは全国にさまざまなプロジェクトがあるわけでございまして、埼玉高速鉄道線の事業規模が大きいこと、もともと全線をP線方式で整備する計画であったこと等を勘案しまして、P線方式に加えて地下鉄補助を適用する、こういう抱き合わせの仕組みになったというふうに理解をしております。
■武正分科員
今、この埼玉高速鉄道は、以前しなの鉄道の社長であった杉野さんが社長になりまして、それこそ経営改革に社長が先頭に立って取り組んでおります。その結果、十六年度、先ほど触れたように、六万五千人ということで、利用者が対前年度一一%増加ということや、あるいは運輸収入も開業後初めて五十億円の大台を突破したり、あるいは運輸外収入ということで、さまざま屋台村の新設とか自動販売機の増設など、こうした新たな分野に進出もし、一方、やはり人件費の削減ということで、これは一一・三%削減を努力されるというようなことで、その経営改善額七億一千万ということで取り組んでいるところでございますが、何せ先ほど触れましたように、三十三億円のこの利子負担と、それから、減価償却費ということで当期純損失六十二億八千万、累損が三百三十七億ということになってしまっているわけでございます。
そこで、きょうはまず、総務省から山崎副大臣お見えでございますので、公営企業金融公庫でございますね。こちらの高い利率で借りたものの借りかえということを鋭意進めておられると思うんですね。私も、埼玉県議を五年務めておりましたので、当時、いわゆる公営企業の金利負担がやはり自治体の経営を大変圧迫している、何とかこれは借りかえできないんでしょうかということを県議会で聞いても、なかなかそれは難しいんですというようなお話がありました。それが、今、公営企業金融公庫の、やはりそれこそ高い金利での貸し付けを低利に借りかえということが進んでいるように伺っておるんですが、その中でも公営企業の地下鉄について、やはり公営企業借換債の許可額というものが年々示されておりますので、実際に、この五年間どの程度借りかえが進んでいるのか、しかも、その利率が何%以上のものを何%にしたのか、この点についてお答えをいただけますでしょうか。
■山崎副大臣
ただいまの公営企業金融公庫の借りかえにつきましてですが、考え方としては、今、委員おっしゃられたように、低金利時代になったという現下の金利状況、それから公営企業の経営状況というものを見て、資本費負担等が著しく高い、資本費といいますのは減価償却費と企業債の利息というものを合わせたもので、御案内のとおりだと思いますが、そういう高い一定の公営企業において、公庫資金に係る既往債の金利負担を軽くしようということで、限定的でございますが、やはり公営企業金融公庫の経営上対応が可能な範囲という考え方で借りかえ措置を御指摘のとおりしているところでございます。
その中で、地下鉄事業に係る公営企業の借換債につきましては、旅客運輸収入に対する資本費の割合が全国平均以上の地下鉄事業を有する企業債を対象とするということでございまして、配分については、未償還残高及び輸送サービス向上努力等を勘案して決めているところでございます。
具体的な数字を言いますと、現行の、今払っている利率六%以上のうちから一・九五%まで下げるということをやっております。ただ、それの総額におきましては、平成十三年度から十七年度の五年間におきまして、順次申し上げれば、十三年度が百六十億、十四年度百七十五億、十五年度百五十五億、十六年度百六十五億、十七年度百四十億、こういう形で借りかえをしているところでございます。
■武正分科員
金利の点について細かに述べていただけなかったんですけれども、十五年度に至っては一・四%への借りかえということを許可しているわけでございます。
そこで、お手元の、資料の二ページ目をお開きいただきたいんですが、これが平成十七年三月末現在の状況でございます。
借入金が一千五百五十六億六千五百万円、平均二・一%ということでございます。政策投資あるいは転貸債、市中銀行ということで、こちらは軒並み一・五六からということで平均のパーセンテージも書いてあるわけですが、やはり今、市中金利は非常に安くなっております。一・六五ということでありますが、今、金融の自由化ということもありまして、それこそ一・六五よりももっと低い利率で市中銀行から借りられるのではないかということも言われているわけでございます。一%を切る金利で借りられるということも聞いておるわけでございますので、この中では旧鉄建公団の七百五十二億円、これが例えば、先ほど触れたように、一%金利が下がれば、これで年間の支払いが七億円安くなるということになろうかということでございます。一・四%に公営企業金融公庫の借りかえが実現していることも、その一つの目安でございます。それがさらに、市中銀行であっては〇・四というような話も聞こえてくるわけでございますので、そうすれば年間十四億の金利の減免というようなことも考え得るわけでございます。
先ほど、冒頭触れましたように、全国の第三セクターの三十九社のうち黒字はわずか四社ということで、特に地下鉄事業、都市の地下鉄事業の初期投資が大きいために、しかも、冒頭大臣が言われたように、半分がP線ということでいわゆる国庫補助は半分しか認められなかった、そんな経緯、そのときにはまだ地下鉄の第三セクターに対する補助という建設事業がなかったということもありましたが、やはり金利の減免ということができないものか、こう考えるわけでございます。
きょうは、財務省の政務官もおみえでございます。ありがとうございます。
この鉄建公団は、今独立行政法人に変わりました。独立行政法人の鉄道建設・運輸施設整備支援機構ということでございますが、こちらは、借入金等の債務の状況を見ると、平成十六年度末で八兆七千六百九十九億円の借り入れ等の債務ということでありますが、そのほとんどの額と言ってはなんですけれども、まあ勘定がそれぞれ分かれているんですが、建設勘定と、いわゆる財投からの借り入れがほとんどを占めているわけでございます。
この機構からの利率、二・三%を、例えば一%減とかに借りかえできないものかということは、財投資金が投じられているわけですので、やはり財務省の許可がなければ当然機構もできないだろうということも考えるわけです。この点、鉄道建設・運輸施設整備支援機構からの、ですから、こちらが財投から借りているお金についてのそれこそ借りかえというんですか、財投への利率の高いものを何とか低く借りかえる、これができれば、機構も鉄建公団時代に貸した利率を低利に借りかえられるのかなといったところもあるんですが、機構の財投とのお金のやりとりを低利に借りかえられるのかどうか、これがまず一点。
それから、こうした機構が、独法でございますが、財投資金が投じられている。かといって、当然民間からの借入金や縁故債やいろいろな形でお金を融通してもらいますし、財投改革にのっとって財投機関債も発行しているわけでございます。そうした独立した行政法人として、今それぞれ、これまで貸し出した金利が高かったものを、それを受けている事業体から安く借りかえられないか、こういった要請、これについて財務省としてどのようにお考えなのか、以上二点、お伺いをできればと思います。
■西田大臣政務官
お答え申し上げます。
ただいま委員から御質問がございました。先ほど国土交通大臣からも御説明がございましたとおり、まず、この埼玉高速鉄道につきましては、関係地方公共団体の支援また官民の沿線開発の推進、そして会社の経営合理化努力によりまして経営の安定化が図られてきているという報告を受けておりますところ、御指摘の鉄道建設・運輸施設整備支援機構と当該埼玉高速鉄道との間で債務の一部減免等の支援を必要とするということにはなっていないというお話をまず聞いております。そのことが、御質問の二点のうちのまず一点でございます。
さらにもう一点、非常に重要な点の御指摘がございましたけれども、ただ、財投への繰り上げ償還につきましては、これはもう委員重々御承知のとおりだと存じますけれども、財政投融資改革の議論におきまして、財投の実施に当たっては、市場メカニズムというものがやはり重要であるということを踏まえ、それとの調和を一層促進することが必要とされたところでございますので、やはり繰り上げ償還あるいは補償金を徴求しないことによるところの繰り上げなどなどについては、いろいろな市場メカニズムとの調和が一層促進されることが必要である、こういうふうに考えております。
■武正分科員
やはりそれぞれの公営企業あるいは第三セクター、これの経営を考えたとき、私はやはり、国の財投改革に合わせて、そうした事業者が本当に累損をふやさない形で、経営努力はそれぞれもう必死になってやっておられます、本当に頑張っておられると思います、社員の皆さん挙げて。それを、これまでの高い金利で借りていたものを何とか安く借りかえられないか、市中からもっと借りられるんですよ、こういうやはりスキームをつくっていくということが何とかできないかな、このように考えるわけです。
この独法については、これは所管省庁が国交省ということでございます。先ほどそういった要請は受けてはいないというお話ですが、私の聞くところでは、やはり何とかこの一千五百億円の借金のうち半分で一番高い八百億の金利二・三%を何とか安く借りかえられると経営がより楽になるんだけれども、当然それが地下鉄の延伸にもつながってくるということなので、担当の国交大臣としてこういったことを、例えば財務省との調整もあろうかと思いますが、機構がそうしたことを、それこそ、もちろん第三セクター地下鉄あるいはそれぞれあると思います、経営努力がうまくいっているところとそうでないところ、ただ、やはりうまくいっているところを一つの基準に、どうしても有利子負債が経営を圧迫しているところを、何とかこの財投改革も絡めて、やはり金利の借りかえ、こういったものを認めるようなことを、財務省初め政府内でそういったスキームを考えられないか。御所見を伺います。
■北側国務大臣
鉄道・運輸機構も借金があるわけでございまして、債務を償還しないといけないわけですね。借りて貸している、まさしく財投からお金を借りて融資をしているわけでございまして、鉄道・運輸機構の財務状況が悪くなるような形でのことはなかなかできないということもぜひ御理解をお願いしたいと思うわけでございます。
それともう一点お話をさせてもらいたいのは、こういう交通インフラ整備というのはやはり中長期的な目で見ていかないといけないというふうに思うんですね。いわゆる、最初はやはり、投資をしてそれが返ってくるというのになかなか時間がかかるのはどこの交通インフラでも同様だと思うわけでございます。
先ほど来委員がおっしゃっているとおり、埼玉高速鉄道におかれましては、非常に経営合理化努力をされているというふうに聞いておりますし、また、官民挙げて沿線開発なんかも推進をされておられまして、経営の安定化が図られつつあるというふうに聞いているところでございます。
償却前黒字を平成十九年度には達成の見込み、さらには開業十二年目で単年度黒字、開業二十六年目で累積損失解消ということを目指していらっしゃるわけでございますが、これは他の一般の鉄道とも変わらない収支採算見込みでございまして、そういう意味では、この時点で機構への債務の一括的な繰り上げ償還等について検討するという時期でもないのではないかというふうに考えております。
■武正分科員
一括とは言っておりませんので、徐々にでも結構でございます。先ほどの償却前黒字も含めて、それを達成するための利子の圧迫、この要因を何としても解消したいというところでございます。
副大臣、政務官、本当にありがとうございました。どうぞお引き取りをいただければと思います。
そこで、この株式会社の第二位の株主が東京メトロでございます。
今、東京メトロさんからもやはりもっともっと経営に応援が欲しい、あるいは乗り合い運賃というのですか、接続して、電車が行き来する場合には鉄道と鉄道の間で運賃を何とかもうちょっと安くできるようにしようとか、そういったことも含めて、この第二位の株主である東京メトロさんの経営への積極的な御協力、参画というものがやはり欠かせないと思うわけでございます。
やはり、これは筆頭株主が国でございます、国と東京都ということでの東京メトロでございますので、同じ路線で車両の融通やさまざまな形で協力をする、それが有機的に働くように、この点は国としての、大株主としてのお考えもぜひお伺いをしたいと思うのです。
やはり、それぞれ地下鉄の経営がよくなることによって、当然それで利便性も向上しますし、先ほど触れましたように、沿線ではこの春に町開きも予定をしておりますので、そうした面では、東京メトロのより積極的な参画といったことを求めたいと思うんですが、この点は国交大臣、いかがでしょうか。
■北側国務大臣
東京メトロの南北線と接続をしておるわけでございまして、これは東京メトロと埼玉高速鉄道とが接続しているわけでございますから、埼玉高速鉄道のお客さんがふえれば、利用者がふえれば、これは東京メトロにとってもプラスに当然なるわけでございます。そういう意味もありまして、今委員もおっしゃったように、メトロの方も二七%の出資をしております。また、人材の方も相当出されているようでございまして、報告を受けておりますのは、埼玉高速鉄道の社員のうち約四割が東京メトロからの出向者、転籍者というふうに聞いておるところでございます。
したがって、出資をしているということを考えても、このような人材を出していることを考えても、当然、東京メトロとしては、埼玉高速との連携を深く、さらにこれからもされていくんだろうと私も思っているところでございます。
ただ、私の口から、もう民間企業でございますので、こうしろ、ああしろということは当然言えないわけでございまして、東京メトロは、今私がお話しした状況からすれば、当然しっかり連携してやっていけるだろうと思いますけれども、それはそれぞれの民間会社が判断されることというふうに思います。
〔三原主査代理退席、主査着席〕
■武正分科員
第三セクターの経営改善、これはやはり国交省がお考えになられる、政府挙げて取り組んでおられる至上命題でございます。そうした意味からも、大株主としての積極的な関与というものも必要だろうと思うわけでございます。
県では既に、この地下鉄の延伸については、建設費の七割超をいわゆる国の補助金や自治体の出資金といった無償資金で賄う必要ありというようなことを最終提言に、運政審で認められた地下鉄の岩槻―蓮田延伸というものを何としても実現しようということで、地元自治体挙げて取り組んでおります。
それについては、先ほど来触れたような、今の経営をより改善するための金利の減免を初めとするさまざまな諸施策を政府としてお取り組みをいただけるように、御支援をいただけるようにお願いをして質問にかえさせていただきます。
どうもありがとうございました。 |
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